半導体層と電極との間の抵抗を低減してオーミック接続を実現するための技術として、いわゆる選択再成長オーミックコンタクト技術が知られている。この技術では、半導体層の所定部位に選択的に、所定導電型のドーパントを含有させた低抵抗の半導体領域を成長(再成長)させて形成し、その半導体領域上に電極を接続することで、電極の、半導体層とのオーミック接続を実現する。半導体層と電極との間に設けられる半導体領域は、再成長領域、再成長層等とも称される。
ところで、半導体装置の1種として、窒化物半導体を用いたものが知られている。窒化物半導体を用いた半導体装置は、高い飽和電子速度やワイドバンドギャップ等の特徴を利用し、高耐圧、高出力デバイスとしての開発が行われている。窒化物半導体を用いた半導体装置としては、電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor;FET)、例えば、HEMTについての報告が数多くなされている。HEMTの1つとして、AlGaN(アルミニウムガリウムナイトライド)層を電子供給層(「バリア層」とも称される)として用い、GaN(ガリウムナイトライド)層を電子走行層(「チャネル層」とも称される)として用いたHEMTが知られている。このようなHEMTでは、AlGaN層の自発分極、及びGaN層との格子定数差に起因した歪みによってAlGaN層に発生するピエゾ分極により、AlGaN層との接合界面近傍のGaN層に高濃度の二次元電子ガス(Two Dimensional Electron Gas;2DEG)が生成され、高出力デバイスが実現される。このため、GaN系窒化物半導体を用いたHEMTは、通信向け高出力増幅器等への応用が期待されている。
図1は半導体装置の例について説明する図である。図1(A)には半導体装置の第1の例の要部断面図を模式的に示している。図1(B)には半導体装置の第2の例の要部断面図を模式的に示している。
図1(A)に示す半導体装置100Aは、HEMTの一例である。半導体装置100Aは、半導体層110、並びに、その上に設けられたゲート電極120、ソース電極130及びドレイン電極140を含む。
半導体層110は、電子走行層111及び電子供給層112を含む。例えば、電子走行層111にGaNが用いられ、電子供給層112にAlGaNが用いられる。電子走行層111の、電子供給層112との接合界面近傍に、2DEG1aが生成される。2DEG1aは、半導体層110に設けられた不活性領域150によって画定される活性領域160に生成される。不活性領域150は、半導体層110へのAr(アルゴン)のイオン注入等によって素子分離領域として形成される領域である。活性領域160は、そのような素子分離領域によって画定される素子領域として形成される領域である。
ゲート電極120は、活性領域160における半導体層110の電子供給層112上に設けられる。ゲート電極120は、ショットキー電極として機能するように、電子供給層112上に設けられる。ソース電極130及びドレイン電極140は、ゲート電極120を挟むように、活性領域160における半導体層110の電子供給層112上に設けられる。ソース電極130及びドレイン電極140は、オーミック電極として機能するように、電子供給層112上に形成される。
半導体装置100Aの動作時には、ソース電極130とドレイン電極140との間に所定電圧が供給され、ゲート電極120に所定ゲート電圧が供給される。ソース電極130とドレイン電極140との間の電子走行層111にキャリアの電子が輸送されるチャネルが形成され、半導体装置100Aのトランジスタ機能が実現される。
半導体装置100Aでは、チャネル、即ち、電子供給層112との接合界面近傍の電子走行層111に生成される2DEG1aと、電子供給層112上に設けられるソース電極130及びドレイン電極140との間に電子供給層112が介在される。半導体装置100Aでは、2DEG1aとソース電極130及びドレイン電極140との間の抵抗R1が、比較的高くなる。そのため、半導体装置100Aでは、それが備えるトランジスタ素子の、チャネルを介したソース電極130とドレイン電極140との間のオン抵抗が、比較的高くなる。オン抵抗が高くなると、半導体装置100Aのソース電極130とドレイン電極140との間の大電流化が抑えられ、半導体装置100Aの高出力化が抑えられてしまう。
そこで、ソース電極130及びドレイン電極140と、半導体層110との接続に、上記のような選択再成長オーミックコンタクト技術が採用される。
図1(B)に示す半導体装置100Bは、選択再成長オーミックコンタクト技術を採用したHEMTの一例である。半導体装置100Bは、半導体層110に設けられたリセス171及びリセス172にそれぞれn型半導体領域181及びn型半導体領域182(再成長領域)が設けられ、それらにそれぞれソース電極130及びドレイン電極140が接続された構成を有する。半導体装置100Bは、このような構成を有する点で、上記半導体装置100Aと相違する。
半導体装置100Bにおいて、リセス171及びリセス172は、例えば、電子供給層112を貫通して電子走行層111に達し、リセス171及びリセス172の底面が電子走行層111に生成される2DEG1aよりも深い位置となるように、設けられる。このようなリセス171及びリセス172に、例えば、MOCVD法を用いて、それぞれn型半導体領域181及びn型半導体領域182が成長(再成長)され、形成される。n型半導体領域181及びn型半導体領域182には、例えば、n型GaNが用いられる。形成されたn型半導体領域181及びn型半導体領域182に、それぞれソース電極130及びドレイン電極140が接続される。
半導体装置100Bでは、電子走行層111に生成されるチャネルの2DEG1aが、比較的低抵抗のn型半導体領域181及びn型半導体領域182と接続され、2DEG1aとn型半導体領域181及びn型半導体領域182との間の抵抗R2が比較的低くなる。そして、比較的低抵抗のn型半導体領域181及びn型半導体領域182に、それぞれソース電極130及びドレイン電極140が接続される。これにより、2DEG1aと、ソース電極130及びドレイン電極140との間の抵抗が比較的低くなる。そのため、半導体装置100Bでは、それが備えるトランジスタ素子の、チャネルを介したソース電極130とドレイン電極140との間のオン抵抗が比較的低くなる。オン抵抗が低くなることで、半導体装置100Bのソース電極130とドレイン電極140との間の大電流化が可能になり、半導体装置100Bの高出力化が可能になる。
ここで、上記n型半導体領域181及びn型半導体領域182のような再成長領域の形成方法の一例について、図2を参照して説明する。
図2は再成長領域の形成方法の一例について説明する図である。図2(A)~図2(D)には再成長領域形成の各工程の要部断面図を模式的に示している。
まず、図2(A)に示すように、電子走行層111上に電子供給層112が設けられた半導体層110が準備され、その電子供給層112上に、開口部190aを有するマスク190が形成される。
半導体層110は、例えば、MOCVD法を用いて、下地基板(図示せず)上に成長されたGaN等の電子走行層111上に、AlGaN等の電子供給層112が成長されて、準備される。半導体層110には、Arのイオン注入等によって不活性領域150が形成されると共に、その不活性領域150によって画定される活性領域160が形成される。このような半導体層110上に、マスク190が形成される。
マスク190には、SiN(窒化シリコン)等の絶縁膜が用いられる。例えば、プラズマCVD法等を用いて、電子供給層112上にSiN等のマスク190が形成される。そのマスク190に、フォトリソグラフィ技術、及びF(フッ素)系ガスを用いたRIE(Reactive Ion Etching)等のドライエッチング技術により、再成長領域を形成する半導体層110の部位に対応して開口部190aが形成される。開口部190aは、活性領域160における半導体層110の部位に形成される。
次いで、図2(B)に示すように、マスク190の開口部190aから露出する半導体層110の部位が、Cl(塩素)系ガスを用いたRIE等のドライエッチング技術によって除去され、リセス170(上記図1(B)のリセス171又はリセス172に相当)が形成される。リセス170は、例えば、半導体層110の電子供給層112を貫通して電子走行層111に達し、リセス170の底面が電子走行層111に生成される2DEG1aよりも深い位置となるように、形成される。
次いで、図2(C)に示すように、半導体層110に形成されたリセス170に、例えば、MOCVD法を用いて、再成長領域としてn型GaN等のn型半導体領域180(上記図1(B)のn型半導体領域181又はn型半導体領域182に相当)が再成長され、形成される。例えば、n型半導体領域180としてn型GaNを再成長する場合、MOCVD法では、主原料としてトリメチルガリウム(Tri-Methyl-Gallium;TMGa)及びNH3(アンモニア)が用いられ、n型ドーパント原料としてSiH4(シラン)やGeH4(ゲルマン)が用いられる。
その後、図2(D)に示すように、半導体層110上のマスク190が、HF(フッ化水素)等を用いたウェットエッチング技術によって除去される。これにより、活性領域160の半導体層110に形成されたリセス170に、再成長領域としてn型半導体領域180が形成された構造が得られる。
ところが、このような再成長領域の形成時には、マスク190の開口部190a又はそこに形成されるリセス170の配置によって、n型半導体領域180の成長レートに違いが生じることがある。この点について、図3を参照して説明する。
図3は再成長領域の成長レートの違いについて説明する図である。図3にはマスクが形成された半導体層の要部平面図を模式的に示している。
例えば、図3に示すような場合、即ち、半導体層110上に形成されるマスク190に、開口部190a群が比較的密である領域191と、比較的疎である領域192とが含まれる場合を考える。マスク190の開口部190a群が比較的密である領域191の半導体層110には、比較的密にリセス170群が形成される。一方、マスク190の開口部190a群が比較的疎である領域192の半導体層110には、比較的疎にリセス170群が形成される。このような領域191及び領域192を含むマスク190が形成され、その開口部190a群にリセス170が形成された半導体層110に対し、上記のように、MOCVD法を用いて、n型GaN等のn型半導体領域180が形成される。
その際、n型半導体領域180の主原料の原子183、例えばGa(ガリウム)原子は、マスク190の開口部190aの半導体層110上のほか、その開口部190aの外側のマスク190上にも供給される。マスク190上に供給された主原料の原子183は、マスク190上を拡散し得る。マスク190上を拡散する主原料の原子183は、開口部190aに移動すると、半導体層110のリセス170に形成されるn型半導体領域180の再成長に消費され得る。マスク190上を拡散する主原料の原子183が開口部190aに移動してn型半導体領域180の再成長に消費される場合には、当該原子183が開口部190aに移動しない場合に比べて、開口部190aに再成長されるn型半導体領域180の成長レートが速くなる。
マスク190の開口部190a群が比較的疎である領域192では、開口部190a群の周囲に比較的大面積でマスク190が存在するため、マスク190上を拡散して開口部190a群に移動してくる主原料の原子183の量が比較的多くなり易い。そして、開口部190a群が比較的疎である領域192では、単位面積当たりの開口部190a群の数が少ないため、1個当たりの開口部190aに到達する主原料の原子183の量も多くなり易い。その結果、開口部190a群が比較的疎である領域192では、開口部190a群が比較的密である領域191に比べて、リセス170に再成長されるn型半導体領域180の成長レートが速くなり易い。
n型半導体領域180の成長レートが速くなると、ドーパント原料の原子、例えばSi(シリコン)原子やGe(ゲルマニウム)原子の取り込み量が減少し、得られるn型半導体領域180の抵抗が高くなり易い。即ち、マスク190の開口部190a群が比較的疎である領域192に再成長されるn型半導体領域180は、開口部190a群が比較的密である領域191に再成長されるn型半導体領域180に比べて、速い成長レートで再成長され易く、抵抗が高くなり易い。
尚、MOCVD法を用いたn型半導体領域180の再成長時には、Ga原子等の主原料の原子183のほか、Si原子やGe原子といったドーパント原料の原子も、マスク190上に供給され得る。但し、ドーパント原料の原子は、主原料の原子183に比べて、マスク190上での滞在(吸着)時間が短く、拡散距離が短い。そのため、マスク190上に供給されたドーパント原料の原子が開口部190aに到達し、そこでの再成長に消費される確率は比較的低くなる。その結果、マスク190上に供給されて拡散する主原料の原子183の開口部190aへの移動によって成長レートが速くなるn型半導体領域180では、ドーパント原料の原子の取り込み量が減少し、抵抗が高くなり易い。
図4は再成長領域の成長レートとトランジスタ素子のオン抵抗との関係の一例を示す図である。
図4において、横軸は活性領域に設けられてトランジスタ素子の電極(オーミック電極)と接続されるn型半導体領域(再成長領域)の成長レート[nm/min]を表し、縦軸はトランジスタ素子のオン抵抗[Ω・mm]を表している。図4に示すように、n型半導体領域の成長レートが速くなると、トランジスタ素子のオン抵抗が高くなる傾向が認められる。
以上述べたように、MOCVD法を用いた再成長領域の形成時には、マスク上を拡散する主原料の原子の影響により、そのマスクの開口部の半導体層に再成長領域として形成されるn型半導体領域の成長レートに違いが生じることが起こり得る。尚、このようなn型半導体領域の成長レートの違いは、1つの半導体層に形成される異なるn型半導体領域間に限らず、異なる半導体層にそれぞれ形成されるn型半導体領域間でも起こり得る。n型半導体領域の成長レートに違いが生じると、取り込まれるn型ドーパントの量が変動し、形成されるn型半導体領域の抵抗に違いが生じる。その結果、ソース電極やドレイン電極のような電極と接続される、十分に低抵抗なn型半導体領域を有する半導体装置を、安定して実現することができないことが起こり得る。
以上のような点に鑑み、ここでは以下に実施の形態として示すような手法を用い、電極の接続のために半導体層に再成長される半導体領域の成長レートに違いが生じることを抑え、電極と接続される低抵抗の半導体領域を有する半導体装置を安定して実現する。
[第1の実施の形態]
図5は第1の実施の形態に係る半導体装置の一例について説明する図である。図5には第1の実施の形態に係る半導体装置の一例の要部断面図を模式的に示している。
図5に示す半導体装置1は、HEMTの一例である。半導体装置1は、半導体層10、その活性領域AR1に設けられるn型半導体領域21及びn型半導体領域22、並びに、ゲート電極30、ソース電極40及びドレイン電極50を含む。半導体装置1は更に、半導体層10の不活性領域AR2に設けられるn型半導体領域61及びn型半導体領域62を含む。
半導体層10は、電子走行層11及び電子供給層12を含む。例えば、電子走行層11にGaNが用いられ、電子供給層12にAlGaNが用いられる。電子走行層11の、電子供給層12との接合界面近傍に、2DEG1aが生成される。2DEG1aは、半導体層10に設けられた不活性領域AR2によって画定される活性領域AR1に生成される。不活性領域AR2は、半導体層10へのArのイオン注入等によって素子分離領域として形成される領域である。活性領域AR1は、そのような素子分離領域によって画定される素子領域として形成される領域である。
n型半導体領域21及びn型半導体領域22は、活性領域AR1における半導体層10の一方の面(電子供給層12側の面)10a側に設けられたリセス71及びリセス72にそれぞれ設けられる。リセス71及びリセス72は、例えば、電子供給層12を貫通して電子走行層11に達し、リセス71及びリセス72の底面が電子走行層11に生成される2DEG1aよりも深い位置となるように、設けられる。このようなリセス71及びリセス72に、例えば、MOCVD法を用いて、それぞれn型半導体領域21及びn型半導体領域22が再成長され、形成される。n型半導体領域21及びn型半導体領域22には、例えば、n型GaNが用いられる。尚、活性領域AR1に設けられるn型半導体領域21及びn型半導体領域22を、再成長領域、再成長層等とも称する。
ゲート電極30は、活性領域AR1における半導体層10の面10a側に設けられる。図5の例では、ゲート電極30は、半導体層10の面10a(電子供給層12)上に設けられる。ゲート電極30は、活性領域AR1に設けられたn型半導体領域21とn型半導体領域22との間に位置し、n型半導体領域21及びn型半導体領域22(並びにその上に設けられるソース電極40及びドレイン電極50)とは接続されないように、設けられる。ゲート電極30には、Ni(ニッケル)、Au(金)等の金属が用いられる。ゲート電極30は、ショットキー電極として機能するように設けられる。
ソース電極40及びドレイン電極50は、半導体層10の面10a側に、ゲート電極30を挟むように設けられる。ソース電極40は、半導体層10のリセス71に設けられたn型半導体領域21上に位置し、n型半導体領域21と接続されるように、設けられる。ドレイン電極50は、半導体層10のリセス72に設けられたn型半導体領域22上に位置し、n型半導体領域22と接続されるように、設けられる。ソース電極40及びドレイン電極50には、Ti(チタン)、Al(アルミニウム)等の金属が用いられる。ソース電極40及びドレイン電極50は、オーミック電極として機能するように設けられる。
半導体装置1の動作時には、ソース電極40とドレイン電極50との間に所定電圧が供給され、ゲート電極30に所定ゲート電圧が供給される。ソース電極40とドレイン電極50との間の電子走行層11にキャリアの電子が輸送されるチャネルが形成され、半導体装置1のトランジスタ機能が実現される。
半導体装置1では、電子走行層11に生成されるチャネルの2DEG1aが、比較的低抵抗のn型半導体領域21及びn型半導体領域22と接続され、2DEG1aとn型半導体領域21及びn型半導体領域22との間の抵抗が低減される。そして、比較的低抵抗のn型半導体領域21及びn型半導体領域22に、それぞれソース電極40及びドレイン電極50が接続される。これにより、2DEG1aと、ソース電極40及びドレイン電極50との間の抵抗が比較的低くなる。そのため、半導体装置1では、そのトランジスタ機能を有する素子(トランジスタ素子)の、チャネルを介したソース電極40とドレイン電極50との間のオン抵抗が比較的低くなる。オン抵抗が低くなることで、半導体装置1のソース電極40とドレイン電極50との間の大電流化が可能になり、半導体装置1の高出力化が可能になる。
半導体装置1では、トランジスタ素子が形成される活性領域AR1に隣接しその活性領域AR1を画定する不活性領域AR2に、n型半導体領域61及びn型半導体領域62が設けられる。不活性領域AR2に設けられるn型半導体領域61及びn型半導体領域62には、例えば、活性領域AR1に設けられるn型半導体領域21及びn型半導体領域22と同様に、n型GaNが用いられる。尚、不活性領域AR2に設けられるn型半導体領域61及びn型半導体領域62を、ダミー再成長領域、ダミー再成長層等とも称する。
n型半導体領域61及びn型半導体領域62は、不活性領域AR2における半導体層10の面10a側に設けられたリセス81及びリセス82にそれぞれ設けられる。リセス81及びリセス82は、例えば、活性領域AR1を囲むように、断続的又は連続的に設けられる。リセス81及びリセス82は、例えば、n型半導体領域21及びn型半導体領域22がそれぞれ設けられるリセス71及びリセス72と同一或いは同等の深さで設けられる。このようなリセス81及びリセス82に、例えば、MOCVD法を用いて、それぞれn型半導体領域61及びn型半導体領域62が再成長され、形成される。この時、n型半導体領域61及びn型半導体領域62は、n型半導体領域21及びn型半導体領域22と同時に形成される。後述のように、半導体層10の面10aに対し、n型半導体領域61及びn型半導体領域62の、面10a側の端面61a及び端面62aは、n型半導体領域21及びn型半導体領域22の、面10a側の端面21a及び端面22aよりも、高い位置となる。
不活性領域AR2に設けられるn型半導体領域61及びn型半導体領域62は、活性領域AR1から離間して位置するように、設けられる。即ち、n型半導体領域61及びn型半導体領域62は、半導体層10内において、活性領域AR1(及びそこに設けられるn型半導体領域21及びn型半導体領域22)とは接触しないように、設けられる。n型半導体領域61及びn型半導体領域62(リセス81及びリセス82)は、活性領域AR1に隣接する不活性領域AR2の、活性領域AR1からの距離D1が、50μm以上の位置に、設けられることが好ましい。n型半導体領域61及びn型半導体領域62が、活性領域AR1からの距離D1が50μm未満の範囲に位置すると、次のような恐れがあるためである。即ち、半導体層10内における、n型半導体領域61及びn型半導体領域62と、活性領域AR1のn型半導体領域21及びn型半導体領域22や2DEG1aとの電気的な作用(容量結合等)により、トランジスタ素子の動作に影響が出る恐れがあるためである。但し、後述のように、n型半導体領域61及びn型半導体領域62は、活性領域AR1に設けられるn型半導体領域21及びn型半導体領域22(リセス71及びリセス72)からの距離、図5の例では活性領域AR1からの距離D1が、500μm以内の位置に、設けられることが好ましい。
上記構成を有する半導体装置1のn型半導体領域21及びn型半導体領域22並びにn型半導体領域61及びn型半導体領域62の、MOCVD法を用いた再成長時には、半導体層10の面10aに、それらを再成長する部位に開口部群を有するマスクが形成される。このマスクの開口部群にリセス71及びリセス72並びにリセス81及びリセス82が形成され、これらにそれぞれn型半導体領域21及びn型半導体領域22並びにn型半導体領域61及びn型半導体領域62が再成長される。n型半導体領域21及びn型半導体領域22並びにn型半導体領域61及びn型半導体領域62の主原料の原子(Ga原子等)は、リセス71及びリセス72並びにリセス81及びリセス82のほか、マスク上にも供給される。マスク上に供給された主原料の原子は、マスク上を拡散し得る。
尚、ドーパント原料の原子は、主原料の原子に比べて、マスク上での滞在時間が短く、拡散距離も短いため、主原料の原子ほどのマスク上での拡散は生じない。
不活性領域AR2に対応したマスク上を拡散する主原料の原子は、不活性領域AR2に設けられたリセス81及びリセス82に対応したマスクの開口部群に移動し、n型半導体領域61及びn型半導体領域62の再成長に消費され易くなる。その結果、不活性領域AR2に対応したマスク上を拡散する主原料の原子が、活性領域AR1に設けられたリセス71及びリセス72に対応したマスクの開口部群に移動することが抑えられ、n型半導体領域21及びn型半導体領域22の再成長に消費されることが抑えられる。そのため、活性領域AR1に設けられるn型半導体領域21及びn型半導体領域22の成長レートが、不活性領域AR2に対応したマスク上を拡散する主原料の原子の影響によって速くなることが抑えられ、安定化される。
不活性領域AR2に対応したマスク上を拡散する主原料の原子を、n型半導体領域61及びn型半導体領域62の再成長に消費され易くし、n型半導体領域21及びn型半導体領域22の再成長に消費され難くするために、マスクの開口部群の配置が調整される。それにより、半導体層10に形成されるリセス71及びリセス72並びにリセス81及びリセス82の配置が調整される。リセス81及びリセス82(n型半導体領域61及びn型半導体領域62)は、リセス71及びリセス72(n型半導体領域21及びn型半導体領域22)からの距離が500μm以内の位置に、設けられることが好ましい。リセス81及びリセス82の、リセス71及びリセス72からの距離が、500μmを上回ると、次のようなことが起こり易くなるためである。即ち、不活性領域AR2に対応したマスク上を拡散する主原料の原子が、リセス71及びリセス72に対応したマスクの開口部群に移動し、n型半導体領域21及びn型半導体領域22の再成長に消費され、それらの成長レートが速まり易くなるためである。
尚、不活性領域AR2に対応したマスク上を拡散する主原料の原子は、n型半導体領域61及びn型半導体領域62の再成長に消費され易くなり、n型半導体領域21及びn型半導体領域22の再成長に消費され難くなる。そのため、不活性領域AR2に設けられるn型半導体領域61及びn型半導体領域62の成長レートは、活性領域AR1に設けられるn型半導体領域21及びn型半導体領域22の成長レートに比べて、相対的に速くなる。その結果、半導体層10の面10aに対し、n型半導体領域61及びn型半導体領域62の、面10a側の端面61a及び端面62aは、n型半導体領域21及びn型半導体領域22の、面10a側の端面21a及び端面22aよりも、高い位置となる。
上記のように、活性領域AR1に設けられるn型半導体領域21及びn型半導体領域22は、それらの成長レートが速くなることが抑えられ、安定化される。その結果、n型半導体領域21及びn型半導体領域22のドーパントの取り込み量が減少することが抑えられ、それらの抵抗が高くなることが抑えられる。これにより、ソース電極40及びドレイン電極50と接続される、十分に低抵抗なn型半導体領域21及びn型半導体領域22を有する半導体装置1が、安定して実現される。
尚、活性領域AR1に設けられるn型半導体領域21及びn型半導体領域22に比べて成長レートが速い不活性領域AR2のn型半導体領域61及びn型半導体領域62は、n型半導体領域21及びn型半導体領域22よりもドーパントの取り込み量は少なくなる。
以上のように不活性領域にn型半導体領域(ダミー再成長領域)を設け、活性領域に設けられるn型半導体領域(再成長領域)の成長レートを抑える手法は、活性領域に設けられるn型半導体領域の配置が疎の場合(成長レートが速くなり易い場合)に有効である。但し、当該手法は、活性領域に設けられるn型半導体領域の配置が密の場合にも、同様に適用可能である。不活性領域にn型半導体領域を設けることで、活性領域に設けられるn型半導体領域の配置が疎の場合に限らず、密の場合でも、活性領域に設けられるn型半導体領域の成長レートを抑え、安定化させることが可能になる。
また、不活性領域にn型半導体領域(ダミー再成長領域)を設けることで、活性領域に設けられる複数のn型半導体領域(再成長領域)の成長レートを安定化させ、活性領域に設けられる異なるn型半導体領域間に生じる成長レートの違いを抑えることが可能になる。更に、1つの半導体層の活性領域に設けられるn型半導体領域間に限らず、異なる半導体層の活性領域に設けられるn型半導体領域間に生じる成長レートの違いを抑えることも可能になる。
[第2の実施の形態]
図6及び図7は第2の実施の形態に係る半導体装置の一例について説明する図である。図6には第2の実施の形態に係る半導体装置の要部平面図を模式的に示している。図7には第2の実施の形態に係る半導体装置の要部断面図を模式的に示している。図7は図6のVII-VII断面模式図である。
図6及び図7に示す半導体装置1Aは、HEMTの一例である。半導体装置1Aは、図6及び図7に示すように、半導体層10A、その活性領域AR1に設けられるn型半導体領域21及びn型半導体領域22(再成長領域)、並びに、ゲート電極30、ソース電極40及びドレイン電極50を含む。半導体装置1Aは更に、半導体層10Aの不活性領域AR2に設けられるn型半導体領域61及びn型半導体領域62(ダミー再成長領域)を含む。
半導体装置1Aの半導体層10Aには、図7に示すように、基板13、初期層14、電子走行層11、スペーサ層15及び電子供給層12が含まれる。
ここで、基板13には、SiC(シリコンカーバイド)、Si、サファイア、GaN、AlN(アルミニウムナイトライド)、ダイヤモンド等の基板が用いられる。基板13は、1種の基板の単層構造であってもよいし、2種以上の基板の積層構造であってもよい。
初期層14は、基板13の一方の面13aに設けられる。初期層14には、AlN、GaN、AlGaN等の窒化物半導体が用いられる。初期層14は、1種の窒化物半導体の単層構造であってもよいし、2種以上の窒化物半導体の積層構造であってもよい。
電子走行層11は、初期層14の、基板13側とは反対側の面14aに設けられる。電子走行層11には、GaN、AlGaN等の窒化物半導体が用いられる。電子走行層11は、1種の窒化物半導体の単層構造であってもよいし、2種以上の窒化物半導体の積層構造であってもよい。例えば、電子走行層11には、i型GaNが用いられる。
スペーサ層15は、電子走行層11の、初期層14側とは反対側の面11aに設けられる。スペーサ層15には、AlN、AlGaN等の窒化物半導体が用いられる。スペーサ層15は、1種の窒化物半導体の単層構造であってもよいし、2種以上の窒化物半導体の積層構造であってもよい。
電子供給層12は、スペーサ層15の、電子走行層11側とは反対側の面15aに設けられる。電子供給層12には、AlGaN、InAlN(インジウムアルミニウムナイトライド)、InAlGaN(インジウムアルミニウムガリウムナイトライド)、AlN、ScAlN(スカンジウムアルミニウムナイトライド)等の窒化物半導体が用いられる。電子供給層12は、1種の窒化物半導体の単層構造であってもよいし、2種以上の窒化物半導体の積層構造であってもよい。
半導体装置1Aでは、電子走行層11の、スペーサ層15との接合界面近傍に、2DEG1aが生成される。2DEG1aは、半導体層10Aに設けられた不活性領域AR2によって画定される活性領域AR1に生成される。不活性領域AR2は、半導体層10AへのArのイオン注入等によって素子分離領域として形成される領域である。活性領域AR1は、そのような素子分離領域によって画定される素子領域として形成される領域である。不活性領域AR2は、活性領域AR1を囲むように、活性領域AR1に隣接して、設けられる。2DEG1aが生成される活性領域AR1に、トランジスタ機能を有するトランジスタ素子が形成される。
半導体層10Aは、例えば、MOCVD法を用いて、基板13の面13aに初期層14が成長され、その面14aに電子走行層11が成長され、その面11aにスペーサ層15が成長され、その面15aに電子供給層12が成長されることで、形成される。
尚、ここでは図示を省略するが、半導体層10Aには、電子供給層12の、スペーサ層15側とは反対側の面12aに設けられる、GaN等の窒化物半導体を用いたキャップ層等の他の層が更に含まれてもよい。
活性領域AR1における半導体層10Aの面10a(この例では電子供給層12の面12a)側に、n型半導体領域21及びn型半導体領域22が設けられる。n型半導体領域21及びn型半導体領域22は、活性領域AR1における半導体層10Aの面10a側に設けられたリセス71及びリセス72にそれぞれ設けられる。リセス71及びリセス72は、例えば、図7に示すように、電子供給層12及びスペーサ層15を貫通して電子走行層11に達し、リセス71及びリセス72の底面が電子走行層11に生成される2DEG1aよりも深い位置となるように、設けられる。このようなリセス71及びリセス72に、例えば、MOCVD法を用いて、それぞれn型半導体領域21及びn型半導体領域22が再成長され、形成される。n型半導体領域21及びn型半導体領域22には、例えば、n型GaNが用いられる。
ゲート電極30は、半導体層10Aの面10a側に設けられる。図6及び図7の例では、ゲート電極30は、活性領域AR1及び不活性領域AR2の半導体層10Aの面10a(電子供給層12)上に設けられる。ゲート電極30は、その一部が、活性領域AR1に設けられたn型半導体領域21とn型半導体領域22との間に位置し、n型半導体領域21及びn型半導体領域22(並びにその上に設けられるソース電極40及びドレイン電極50)とは接続されないように、設けられる。ゲート電極30には、Ni、Au等の金属が用いられる。ゲート電極30は、ショットキー電極として機能するように設けられる。尚、ゲート電極30と半導体層10Aの面10aとの間には、酸化物、窒化物又は酸窒化物等が用いられたゲート絶縁膜(図示せず)が介在されてもよい。
ソース電極40及びドレイン電極50は、半導体層10Aの面10a側に、ゲート電極30を挟むように設けられる。ソース電極40は、その一部が、半導体層10Aのリセス71に設けられたn型半導体領域21上に位置し、n型半導体領域21と接続されるように、設けられる。ドレイン電極50は、その一部が、半導体層10Aのリセス72に設けられたn型半導体領域22上に位置し、n型半導体領域22と接続されるように、設けられる。ソース電極40及びドレイン電極50には、Ti、Al等の金属が用いられる。ソース電極40及びドレイン電極50は、オーミック電極として機能するように設けられる。
半導体装置1Aの動作時には、ソース電極40とドレイン電極50との間に所定電圧が供給され、ゲート電極30に所定ゲート電圧が供給される。ソース電極40とドレイン電極50との間の電子走行層11にキャリアの電子が輸送されるチャネルが形成され、半導体装置1Aのトランジスタ機能が実現される。
半導体装置1Aでは、電子走行層11に生成されるチャネルの2DEG1aが、比較的低抵抗のn型半導体領域21及びn型半導体領域22と接続され、2DEG1aとn型半導体領域21及びn型半導体領域22との間の抵抗が低減される。これにより、半導体装置1Aでは、2DEG1aと、n型半導体領域21及びn型半導体領域22を介して接続されるソース電極40及びドレイン電極50との間の抵抗が低減され、トランジスタ素子のオン抵抗が低減される。半導体装置1Aでは、電子供給層12を貫通し、更にスペーサ層15を貫通して、電子走行層11の2DEG1aに接続されるように、n型半導体領域21及びn型半導体領域22が設けられる。2DEG1aと半導体層10Aの面10aとの間に、電子供給層12に加え、更にスペーサ層15が介在されても、n型半導体領域21及びn型半導体領域22により、2DEG1aとソース電極40及びドレイン電極50との間の抵抗が効果的に低減される。
半導体装置1では、トランジスタ素子が形成される活性領域AR1に隣接しその活性領域AR1を画定する不活性領域AR2に、n型半導体領域61及びn型半導体領域62が設けられる。不活性領域AR2に設けられるn型半導体領域61及びn型半導体領域62には、例えば、活性領域AR1に設けられるn型半導体領域21及びn型半導体領域22と同様に、n型GaNが用いられる。
n型半導体領域61及びn型半導体領域62は、不活性領域AR2における半導体層10Aの面10a側に設けられたリセス81及びリセス82にそれぞれ設けられる。リセス81及びリセス82は、例えば、活性領域AR1を囲むように、設けられる。図6及び図7の例では、不活性領域AR2の、活性領域AR1を挟んだ両側にそれぞれ、平面視でコ字形状のリセス81及びリセス82が設けられる。リセス81及びリセス82は、例えば、図7に示すように、n型半導体領域21及びn型半導体領域22がそれぞれ設けられるリセス71及びリセス72と同一或いは同等の深さで設けられる。
このようなリセス81及びリセス82に、例えば、MOCVD法を用いて、それぞれn型半導体領域61及びn型半導体領域62が再成長され、形成される。この時、n型半導体領域61及びn型半導体領域62は、n型半導体領域21及びn型半導体領域22と同時に形成される。半導体層10Aの面10aに対し、n型半導体領域61及びn型半導体領域62の、面10a側の端面61a及び端面62aは、n型半導体領域21及びn型半導体領域22の、面10a側の端面21a及び端面22aよりも、高い位置となる。
不活性領域AR2に設けられるn型半導体領域61及びn型半導体領域62は、活性領域AR1から離間して位置するように、設けられる。n型半導体領域61及びn型半導体領域62(リセス81及びリセス82)は、活性領域AR1に隣接する不活性領域AR2の、活性領域AR1から50μm以上離間した位置に、設けられることが好ましい。半導体層10A内における、n型半導体領域61及びn型半導体領域62と、活性領域AR1のn型半導体領域21及びn型半導体領域22や2DEG1aとの電気的な作用(容量結合等)を抑え、電気的な作用によるトランジスタ素子の動作への影響を抑えるためである。但し、後述のように、n型半導体領域61及びn型半導体領域62(リセス81及びリセス82)は、活性領域AR1に設けられるn型半導体領域21及びn型半導体領域22(リセス71及びリセス72)からの距離が500μm以内の位置に、設けられることが好ましい。
尚、n型半導体領域61及びn型半導体領域62は、ゲート電極30とは接触しないように、不活性領域AR2に設けられる。これにより、n型半導体領域61及びn型半導体領域62のゲート電極30への影響が抑えられ、ゲート電極30への影響によるトランジスタ素子の動作への影響が抑えられる。
上記構成を有する半導体装置1Aでは、活性領域AR1に、ソース電極40及びドレイン電極50と接続されるn型半導体領域21及びn型半導体領域22が設けられると共に、不活性領域AR2に、n型半導体領域61及びn型半導体領域62が設けられる。不活性領域AR2にn型半導体領域61及びn型半導体領域62が設けられることで、それらと共に活性領域AR1に設けられるn型半導体領域21及びn型半導体領域22の、再成長時の成長レートが速くなることが抑えられる。尚、再成長の詳細については後述する。再成長時に成長レートが速くなることが抑えられることで、n型半導体領域21及びn型半導体領域22のドーパントの取り込み量が減少することが抑えられ、それらの抵抗が高くなることが抑えられる。これにより、ソース電極40及びドレイン電極50と接続される、十分に低抵抗なn型半導体領域21及びn型半導体領域22を有する半導体装置1Aが、安定して実現される。
続いて、上記構成を有する半導体装置1Aの形成方法について述べる。
図8~図15は第2の実施の形態に係る半導体装置の形成方法の一例について説明する図である。以下、半導体装置形成の各工程の一例について、図8~図15を参照して順に説明する。
図8は半導体層の準備工程の一例を示す図である。図8(A)には半導体層の準備工程の一例の要部平面図を模式的に示している。図8(B)には半導体層の準備工程の一例の要部断面図を模式的に示している。図8(B)は図8(A)のVIII-VIII断面模式図である。
例えば、図8(A)及び図8(B)に示すような半導体層10Aが準備される。例えば、MOCVD法を用いて、基板13の面13aに初期層14が成長され、その面14aに電子走行層11が成長され、その面11aにスペーサ層15が成長され、その面15aに電子供給層12が成長される。電子走行層11の、スペーサ層15との接合界面近傍に、2DEG1aが生成される。
図9は不活性領域及び活性領域の形成工程の一例を示す図である。図9(A)には不活性領域及び活性領域の形成工程の一例の要部平面図を模式的に示している。図9(B)には不活性領域及び活性領域の形成工程の一例の要部断面図を模式的に示している。図9(B)は図9(A)のIX-IX断面模式図である。
半導体層10Aの準備後、例えば、図9(A)及び図9(B)に示すように、不活性領域AR2が形成され、それにより、形成された不活性領域AR2によって画定される活性領域AR1が形成される。
例えば、半導体層10Aの面10aに、フォトリソグラフィ技術により、不活性領域AR2を形成する半導体層10Aの部位に開口部を有するレジストパターン(図示せず)が形成される。そして、そのレジストパターンの開口部から露出する半導体層10Aの部位に対し、Arのイオン注入が行われる。半導体層10Aの、Arのイオン注入が行われた部位に、不活性領域AR2が形成される。Arのイオン注入は、電子走行層11に生成される2DEG1aよりも深い位置まで延びるように、行われる。半導体層10Aの、Arのイオン注入が行われなかった部位には、不活性領域AR2によって画定される活性領域AR1が形成される。Arのイオン注入後、レジストパターンは、有機溶剤等を用いて除去される。
尚、Arのイオン注入に代えて、レジストパターンの開口部から露出する半導体層10Aの部位を、Cl系ガスを用いたRIE等によりドライエッチングして除去することで、不活性領域を形成することもできる。
図10はマスクの形成工程の一例を示す図である。図10(A)にはマスクの形成工程の一例の要部平面図を模式的に示している。図10(B)にはマスクの形成工程の一例の要部断面図を模式的に示している。図10(B)は図10(A)のX-X断面模式図である。
不活性領域AR2及び活性領域AR1の形成後、例えば、図10(A)及び図10(B)に示すように、半導体層10Aの面10aに、半導体層10Aの所定部位に開口部90a群を有するマスク90が形成される。マスク90の開口部90a群は、半導体層10Aの、活性領域AR1に設けられるn型半導体領域21及びn型半導体領域22(又はリセス71及びリセス72)を形成する部位に、設けられる。マスク90の開口部90a群は更に、半導体層10Aの、不活性領域AR2に設けられるn型半導体領域61及びn型半導体領域62(又はリセス81及びリセス82)を形成する部位に、設けられる。
マスク90には、SiN等の絶縁膜が用いられる。例えば、半導体層10Aの面10aに、プラズマCVD法を用いて、SiN等の絶縁膜が形成される。次いで、その絶縁膜上に、フォトリソグラフィ技術により、半導体層10Aのn型半導体領域21及びn型半導体領域22を形成する部位、並びにn型半導体領域61及びn型半導体領域62を形成する部位に対応する開口部群を有するレジストパターン(図示せず)が形成される。そして、そのレジストパターンの開口部群から露出する絶縁膜が、F系ガスを用いたRIE等によりドライエッチングされて除去される。これにより、図10(A)及び図10(B)に示すようなマスク90の開口部90a群が形成される。
尚、ここでは図示を省略するが、開口部90a群の形成後のマスク90上には、開口部90a群の形成時に用いられたレジストパターンが残存してもよい。
図11はリセスの形成工程の一例を示す図である。図11(A)にはリセスの形成工程の一例の要部平面図を模式的に示している。図11(B)にはリセスの形成工程の一例の要部断面図を模式的に示している。図11(B)は図11(A)のXI-XI断面模式図である。
開口部90a群を有するマスク90の形成後、図11(A)及び図11(B)に示すように、開口部90a群から露出する半導体層10Aの部位が、Cl系ガスを用いたRIE等によりドライエッチングされて除去される。これにより、活性領域AR1の半導体層10Aの面10a側に、マスク90の開口部90aと連通するリセス71及びリセス72が形成される。不活性領域AR2の半導体層10Aの面10a側に、マスク90の開口部90aと連通するリセス81及びリセス82が形成される。
活性領域AR1のリセス71及びリセス72は、半導体層10Aの電子供給層12及びスペーサ層15を貫通して電子走行層11に達し、リセス71及びリセス72の底面が電子走行層11に生成される2DEG1aよりも深い位置となるように、形成される。一例として、リセス71及びリセス72は、それらの底面が、電子走行層11の面11aから初期層14側に向かって60nm以内の深さに位置するように、形成される。不活性領域AR2のリセス81及びリセス82は、活性領域AR1のリセス71及びリセス72と同時に、同一或いは同等の深さで、不活性領域AR2における半導体層10Aの電子供給層12及びスペーサ層15を貫通して電子走行層11に達するように、形成される。
リセス71及びリセス72並びにリセス81及びリセス82の形成後、マスク90上にその開口部90a群の形成時に用いられたレジストパターンが残存する場合には、そのレジストパターンは、有機溶剤等を用いて除去される。
図12はn型半導体領域の形成工程の一例を示す図である。図12(A)にはn型半導体領域の形成工程の一例の要部平面図を模式的に示している。図12(B)にはn型半導体領域の形成工程の一例の要部断面図を模式的に示している。図12(B)は図12(A)のXII-XII断面模式図である。
リセス71及びリセス72並びにリセス81及びリセス82の形成後、図12(A)及び図12(B)に示すように、それらにそれぞれ、n型半導体領域21及びn型半導体領域22並びにn型半導体領域61及びn型半導体領域62が形成される。
例えば、MOCVD法を用いて、マスク90の開口部90a群から露出するリセス71及びリセス72並びにリセス81及びリセス82に、n型半導体領域21及びn型半導体領域22並びにn型半導体領域61及びn型半導体領域62がそれぞれ再成長される。n型半導体領域21及びn型半導体領域22並びにn型半導体領域61及びn型半導体領域62として、例えば、n型GaNが再成長される。n型半導体領域21及びn型半導体領域22並びにn型半導体領域61及びn型半導体領域62は、MOCVD法を用いた同一の再成長工程で、リセス71及びリセス72並びにリセス81及びリセス82にそれぞれ再成長される。
MOCVD法を用いたn型半導体領域21及びn型半導体領域22並びにn型半導体領域61及びn型半導体領域62の再成長時には、それらの主原料の原子が、リセス71及びリセス72並びにリセス81及びリセス82のほか、マスク90上にも供給される。
尚、ドーパント原料の原子は、主原料の原子に比べて、マスク上での滞在時間が短く、拡散距離も短いため、主原料の原子ほどのマスク上での拡散は生じない。
不活性領域AR2に対応したマスク90上に供給されてその上を拡散する主原料の原子は、不活性領域AR2のリセス81及びリセス82に対応したマスク90の開口部90a群に移動し、n型半導体領域61及びn型半導体領域62の再成長に消費され易くなる。その結果、不活性領域AR2に対応したマスク90上を拡散する主原料の原子が、活性領域AR1のリセス71及びリセス72に対応したマスク90の開口部90a群に移動し、n型半導体領域21及びn型半導体領域22の再成長に消費されることが抑えられる。そのため、活性領域AR1に設けられるn型半導体領域21及びn型半導体領域22の成長レートが、不活性領域AR2に対応したマスク90上を拡散する主原料の原子の影響によって速くなることが抑えられる。
不活性領域AR2に対応したマスク90上を拡散する主原料の原子を、n型半導体領域61及びn型半導体領域62の再成長に消費され易くし、n型半導体領域21及びn型半導体領域22の再成長に消費され難くするために、開口部90a群の配置が調整される(図10)。それにより、リセス71及びリセス72並びにリセス81及びリセス82の配置が調整される(図11)。リセス81及びリセス82(n型半導体領域61及びn型半導体領域62)は、リセス71及びリセス72(n型半導体領域21及びn型半導体領域22)からの距離が500μm以内の位置に、設けられることが好ましい。リセス81及びリセス82の、リセス71及びリセス72からの距離が、500μmを上回ると、次のようなことが起こり易くなるためである。即ち、不活性領域AR2に対応したマスク90上を拡散する主原料の原子が、リセス71及びリセス72に対応した開口部90a群に移動し、n型半導体領域21及びn型半導体領域22の再成長に消費され、それらの成長レートが速まり易くなるためである。
このような観点で、マスク90の開口部90a群の配置が調整され、リセス71及びリセス72並びにリセス81及びリセス82の配置が調整される。配置が調整されたリセス71及びリセス72並びにリセス81及びリセス82に、MOCVD法を用いた同一の再成長工程で、n型半導体領域21及びn型半導体領域22並びにn型半導体領域61及びn型半導体領域62がそれぞれ再成長される。これにより、活性領域AR1に設けられるn型半導体領域21及びn型半導体領域22の成長レートが、不活性領域AR2に対応したマスク90上を拡散する主原料の原子の影響によって速くなることが抑えられ、安定化される。
尚、不活性領域AR2に対応したマスク90上を拡散する主原料の原子は、n型半導体領域61及びn型半導体領域62の再成長に消費され易くなり、n型半導体領域21及びn型半導体領域22の再成長に消費され難くなる。そのため、不活性領域AR2に設けられるn型半導体領域61及びn型半導体領域62の成長レートは、活性領域AR1に設けられるn型半導体領域21及びn型半導体領域22の成長レートに比べて、相対的に速くなる。その結果、半導体層10Aの面10aに対し、n型半導体領域61及びn型半導体領域62の、面10a側の端面61a及び端面62aは、n型半導体領域21及びn型半導体領域22の、面10a側の端面21a及び端面22aよりも、高い位置となる。
上記のように、活性領域AR1に設けられるn型半導体領域21及びn型半導体領域22の成長レートが速くなることが抑えられ、安定化されることで、n型半導体領域21及びn型半導体領域22のドーパントの取り込み量が減少することが抑えられる。ドーパントの取り込み量が減少することが抑えられることで、n型半導体領域21及びn型半導体領域22の抵抗が高くなることが抑えられる。これにより、十分に低抵抗なn型半導体領域21及びn型半導体領域22が、安定して形成される。
尚、活性領域AR1に設けられるn型半導体領域21及びn型半導体領域22に比べて成長レートが速い不活性領域AR2のn型半導体領域61及びn型半導体領域62は、n型半導体領域21及びn型半導体領域22よりもドーパントの取り込み量は少なくなる。
図13はマスクの除去工程の一例を示す図である。図13(A)にはマスクの除去工程の一例の要部平面図を模式的に示している。図13(B)にはマスクの除去工程の一例の要部断面図を模式的に示している。図13(B)は図13(A)のXIII-XIII断面模式図である。
n型半導体領域21及びn型半導体領域22並びにn型半導体領域61及びn型半導体領域62の形成後、図13(A)及び図13(B)に示すように、マスク90が除去される。例えば、HF等を用いたウェットエッチングによってマスク90が除去される。
図14はソース電極及びドレイン電極の形成工程の一例を示す図である。図14(A)にはソース電極及びドレイン電極の形成工程の一例の要部平面図を模式的に示している。図14(B)にはソース電極及びドレイン電極の形成工程の一例の要部断面図を模式的に示している。図14(B)は図14(A)のXIV-XIV断面模式図である。
マスク90の除去後、図14(A)及び図14(B)に示すように、ソース電極40及びドレイン電極50が形成される。例えば、まず、フォトリソグラフィ技術により、ソース電極40及びドレイン電極50を形成する部位に開口部を有するレジストパターン(図示せず)が形成される。このレジストパターンの開口部は、活性領域AR1の半導体層10Aのリセス71及びリセス72にそれぞれ再成長されたn型半導体領域21及びn型半導体領域22に通じるように、設けられる。レジストパターンの形成後、真空蒸着法により、レジストパターン上及びその開口部内に、金属が蒸着される。一例として、厚さ2nm~50nmのTiが蒸着され、その上に厚さ100nm~300nmのAlが蒸着される。金属の蒸着後、リフトオフ技術により、レジストパターンがその上に蒸着された金属と共に除去される。これにより、n型半導体領域21及びn型半導体領域22とそれぞれ接続されるソース電極40及びドレイン電極50が形成される。その後、窒素雰囲気中、500℃~900℃で熱処理(合金化処理)が行われることで、ソース電極40及びドレイン電極50におけるオーミック接続が確立される。
尚、ソース電極40及びドレイン電極50はそれぞれ、一部が活性領域AR1のn型半導体領域21及びn型半導体領域22と接続されていれば、他部が不活性領域AR2に位置していてもよい。
図15はゲート電極の形成工程の一例を示す図である。図15(A)にはゲート電極の形成工程の一例の要部平面図を模式的に示している。図15(B)にはゲート電極の形成工程の一例の要部断面図を模式的に示している。図15(B)は図15(A)のXV-XV断面模式図である。
ソース電極40及びドレイン電極50の形成後、図15(A)及び図15(B)に示すように、ゲート電極30が形成される。例えば、まず、フォトリソグラフィ技術により、ゲート電極30を形成する部位に開口部を有するレジストパターン(図示せず)が形成される。このレジストパターンの開口部は、ソース電極40とドレイン電極50との間の、活性領域AR1の半導体層10A(ゲート絶縁膜が形成される場合にはそのゲート絶縁膜)に通じるように、設けられる。レジストパターンの形成後、真空蒸着法により、レジストパターン上及びその開口部内に、金属が蒸着される。一例として、厚さ5nm~30nmのNiが蒸着され、その上に厚さ100nm~300nmのAuが蒸着される。金属の蒸着後、リフトオフ技術により、レジストパターンがその上に蒸着された金属と共に除去される。これにより、ゲート電極30が形成される。ゲート電極30の形成後には熱処理が行われてもよい。
尚、ゲート電極30は、活性領域AR1内に限らず、活性領域AR1から外側に延ばされて一部が不活性領域AR2に設けられてもよい。
また、ゲート電極30と半導体層10Aとの間にゲート絶縁膜を介在させる場合には、ゲート電極30の形成前に、ゲート絶縁膜の形成が行われる。
以上の工程により、図15(A)及び図15(B)に示すような構成を有する半導体装置1Aが形成される。
半導体装置1Aでは、活性領域AR1に設けられるn型半導体領域21及びn型半導体領域22の成長レートが速くなることが抑えられる(図12)。その結果、n型半導体領域21及びn型半導体領域22のドーパントの取り込み量が減少することが抑えられ、取り込み量が減少することによってそれらの抵抗が高くなることが抑えられる。これにより、十分に低抵抗なn型半導体領域21及びn型半導体領域22が、安定して形成される。十分に低抵抗なn型半導体領域21及びn型半導体領域22に、ソース電極40及びドレイン電極50がそれぞれ接続され、それらと2DEG1aとの間の抵抗が低減される。これにより、半導体装置1Aの大電流化、高出力化が実現される。上記手法によれば、ソース電極40及びドレイン電極50と接続される、十分に低抵抗なn型半導体領域21及びn型半導体領域22を有する半導体装置1Aが、安定して実現される。
図16は第2の実施の形態に係る再成長領域の成長レートとトランジスタ素子のオン抵抗との関係の一例を示す図である。
図16において、横軸は活性領域に設けられてトランジスタ素子の電極(オーミック電極)と接続されるn型半導体領域(再成長領域)の成長レート[nm/min]を表し、縦軸はトランジスタ素子のオン抵抗[Ω・mm]を表している。図16のP部には、不活性領域にn型半導体領域(ダミー再成長領域)を設ける場合の、活性領域のn型半導体領域(再成長領域)の成長レートと、トランジスタ素子のオン抵抗との関係の一例を示している。比較のため、図16のQ部には、不活性領域にn型半導体領域を設けない場合の、活性領域のn型半導体領域の成長レートと、トランジスタ素子のオン抵抗との関係の一例を示している。
図16に示すように、活性領域のn型半導体領域と共に、不活性領域のn型半導体領域を設ける場合(P部)には、設けない場合(Q部)に比べて、活性領域のn型半導体領域の成長レートが低減され、トランジスタ素子のオン抵抗が低い値で安定化される。上記手法によれば、活性領域のn型半導体領域の成長レートが速まることが抑えられ、成長レートが速まることによってその抵抗が高くなることを抑え、オン抵抗の低いトランジスタ素子を備える半導体装置を、安定して実現することが可能になる。
続いて、変形例について述べる。
図17~図19は第2の実施の形態に係る半導体装置の変形例について説明する図である。図17(A)及び図17(B)にはそれぞれ、変形例に係る半導体装置の一例の要部平面図を模式的に示し、図18(A)、図18(B)及び図19にはそれぞれ、変形例に係る半導体装置の一例の要部断面図を模式的に示している。
図17(A)に示す半導体装置1Aaは、不活性領域AR2に設けられるn型半導体領域61が複数のセグメント61bに分割され、n型半導体領域62が複数のセグメント62bに分割された構成を有する点で、上記半導体装置1A(図6等)と相違する。不活性領域AR2のセグメント61b群及びセグメント62b群は、上記図10の工程において、それらに合わせてマスク90の開口部90a群の配置が調整され、以降は上記図11~図13の工程の例に従った工程が行われることで、形成される。セグメント61b群及びセグメント62b群の形成後は、上記図14及び図15の工程の例に従ってソース電極40及びドレイン電極50並びにゲート電極30が形成される。例えば、このようにして半導体装置1Aaが得られる。
半導体装置1Aaでは、MOCVD法を用いた再成長工程で、活性領域AR1のn型半導体領域21及びn型半導体領域22と共に、不活性領域AR2のセグメント61b群及びセグメント62b群に、n型半導体領域(ダミー再成長領域)が形成される。不活性領域AR2のセグメント61b群及びセグメント62b群に、n型半導体領域が形成されることで、それらと共に再成長される活性領域AR1のn型半導体領域21及びn型半導体領域22の成長レートが速くなることが抑えられ、それらの抵抗が高くなることが抑えられる。
半導体装置1Aaのように、不活性領域AR2には、複数に分割されたセグメント61b群が断続的に配置されるn型半導体領域61が設けられてもよく、複数に分割されたセグメント62b群が断続的に配置されるn型半導体領域62が設けられてもよい。
また、図17(B)に示す半導体装置1Abは、不活性領域AR2に、活性領域AR1を切れ目なく囲む一続きのn型半導体領域63が設けられた構成を有する点で、上記半導体装置1A(図6等)と相違する。不活性領域AR2のn型半導体領域63は、上記図10の工程において、それに合わせてマスク90の開口部90aの配置が調整され、以降は上記図11~図13の工程の例に従った工程が行われることで、形成される。n型半導体領域63の形成後は、上記図14及び図15の工程の例に従ってソース電極40及びドレイン電極50並びにゲート電極30が形成される。例えば、このようにして半導体装置1Abが得られる。
半導体装置1Abでは、MOCVD法を用いた再成長工程で、活性領域AR1のn型半導体領域21及びn型半導体領域22と共に、不活性領域AR2の一続きのn型半導体領域63(ダミー再成長領域)が形成される。不活性領域AR2にn型半導体領域63が形成されることで、それと共に再成長される活性領域AR1のn型半導体領域21及びn型半導体領域22の成長レートが速くなることが抑えられ、それらの抵抗が高くなることが抑えられる。
不活性領域AR2に、活性領域AR1を囲む一続きのn型半導体領域63を設ける半導体装置1Abでは、例えば、図17(B)に示すように、レイアウト上、平面視でゲート電極30をn型半導体領域63と交差させることを要する場合もある。このような場合には、n型半導体領域63上の少なくともゲート電極30との交差部分に絶縁層を設け、n型半導体領域63とゲート電極30との間に絶縁層が介在されるようにすればよい。これにより、n型半導体領域63とゲート電極30との接触が回避される。n型半導体領域63とゲート電極30との接触が回避されることで、n型半導体領域63のゲート電極30への影響が抑えられ、ゲート電極30への影響によるトランジスタ素子の動作への影響が抑えられる。
尚、ソース電極40及びドレイン電極50についても同様とすることができる。即ち、レイアウト上、平面視でソース電極40及びドレイン電極50を、接触を回避してn型半導体領域63と交差させることを要する場合には、ソース電極40及びドレイン電極50とn型半導体領域63との間に絶縁層を介在させればよい。これにより、n型半導体領域63のソース電極40及びドレイン電極50への影響が抑えられる。
また、図18(A)に示す半導体装置1Acは、活性領域AR1のn型半導体領域21と、不活性領域AR2のn型半導体領域61との間に、トレンチ64が設けられた構成を有する。更に、半導体装置1Acは、活性領域AR1のn型半導体領域22と、不活性領域AR2のn型半導体領域62との間に、トレンチ65が設けられた構成を有する。図18(A)には、トレンチ64及びトレンチ65が、不活性領域AR2を分割するように設けられた例を示している。半導体装置1Acは、このような構成を有する点で、上記半導体装置1A(図7等)と相違する。トレンチ64及びトレンチ65は、上記図8~図15の工程のうちのいずれかの工程後に、行うことができる。例えば、上記図9の工程において不活性領域AR2を形成した後、不活性領域AR2の所定部位を、Cl系ガスを用いたRIE等によりドライエッチングして除去し、トレンチ64及びトレンチ65を形成する。例えば、このようにして半導体装置1Acが得られる。
半導体装置1Acでは、MOCVD法を用いた再成長工程で、活性領域AR1のn型半導体領域21及びn型半導体領域22と共に、不活性領域AR2のn型半導体領域61及びn型半導体領域62が形成される。不活性領域AR2にn型半導体領域61及びn型半導体領域62が形成されることで、それらと共に再成長される活性領域AR1のn型半導体領域21及びn型半導体領域22の成長レートが速くなることが抑えられ、それらの抵抗が高くなることが抑えられる。
半導体装置1Acでは、n型半導体領域21とn型半導体領域61との間にトレンチ64が設けられ、n型半導体領域22とn型半導体領域62との間にトレンチ65が設けられる。これにより、不活性領域AR2のn型半導体領域61及びn型半導体領域62と、活性領域AR1のn型半導体領域21及びn型半導体領域22や2DEG1aとの電気的な作用(容量結合等)が、効果的に抑えられる。
また、図18(B)に示す半導体装置1Adは、不活性領域AR2に、活性領域AR1を囲む凹部66が形成され、その凹部66の底にn型半導体領域61及びn型半導体領域62が設けられた構成を有する点で、上記半導体装置1A(図7等)と相違する。凹部66は、例えば、上記図9の工程において、Arのイオン注入に代えて、レジストパターン(図示せず)の開口部から露出する半導体層10Aの部位を、Cl系ガスを用いたRIE等によりドライエッチングして除去することで、形成される。凹部66は、電子走行層11に生成される2DEG1aよりも深い位置が底となるように、形成される。
凹部66が形成された半導体層10Aに対し、上記図10~図15の工程の例に従った工程が行われる。即ち、マスク90の形成、活性領域AR1のリセス71及びリセス72並びに不活性領域AR2の凹部66のリセス81及びリセス82の形成、n型半導体領域21及びn型半導体領域22並びにn型半導体領域61及びn型半導体領域62の形成が行われる。そして、マスク90の除去、ソース電極40及びドレイン電極50の形成、ゲート電極30の形成が行われ、半導体装置1Adが得られる。
半導体装置1Adでは、MOCVD法を用いた再成長工程で、活性領域AR1のn型半導体領域21及びn型半導体領域22と共に、不活性領域AR2の凹部66のn型半導体領域61及びn型半導体領域62が形成される。不活性領域AR2にn型半導体領域61及びn型半導体領域62が形成されることで、それらと共に再成長される活性領域AR1のn型半導体領域21及びn型半導体領域22の成長レートが速くなることが抑えられ、それらの抵抗が高くなることが抑えられる。
半導体装置1Adでは、不活性領域AR2の凹部66にn型半導体領域61及びn型半導体領域62が設けられる。そのため、半導体装置1Adでは、不活性領域AR2のn型半導体領域61及びn型半導体領域62と、活性領域AR1のn型半導体領域21及びn型半導体領域22との、互いの側面同士の対向、互いの側面同士の大面積での対向が抑えられる。これにより、不活性領域AR2のn型半導体領域61及びn型半導体領域62と、活性領域AR1のn型半導体領域21及びn型半導体領域22や2DEG1aとの電気的な作用(容量結合等)が、効果的に抑えられる。
また、図19に示す半導体装置1Aeは、半導体層10Aの面10aに、n型半導体領域21及びn型半導体領域22並びにn型半導体領域61及びn型半導体領域62が設けられた構成を有する。半導体装置1Aeでは、半導体層10Aに、上記のようなリセス71及びリセス72並びにリセス81及びリセス82は設けられない。半導体装置1Aeは、このような構成を有する点で、上記半導体装置1A(図7等)と相違する。
例えば、上記図10の工程の例に従ってマスク90が形成された後、上記図11の工程に示したリセス71及びリセス72並びにリセス81及びリセス82の形成が行われることなく、上記図12の工程の例に従い、MOCVD法を用いた再成長が行われる。即ち、MOCVD法を用いて、半導体層10Aの面10aに、n型半導体領域21及びn型半導体領域22並びにn型半導体領域61及びn型半導体領域62が再成長される。そして、このように面10aに再成長が行われた半導体層10Aについて、上記図13~図15の工程の例に従い、マスク90の除去、ソース電極40及びドレイン電極50の形成、ゲート電極30の形成が行われ、半導体装置1Aeが得られる。
半導体装置1Aeでは、MOCVD法を用いた再成長工程で、活性領域AR1における半導体層10Aの面10aに、n型半導体領域21及びn型半導体領域22が形成される。それらと共に、不活性領域AR2における半導体層10Aの面10aに、n型半導体領域61及びn型半導体領域62が形成される。不活性領域AR2にn型半導体領域61及びn型半導体領域62が形成されることで、それらと共に再成長される活性領域AR1のn型半導体領域21及びn型半導体領域22の成長レートが速くなることが抑えられ、それらの抵抗が高くなることが抑えられる。
半導体装置1Aeのように、n型半導体領域21及びn型半導体領域22並びにn型半導体領域61及びn型半導体領域62は、必ずしもリセス71及びリセス72並びにリセス81及びリセス82に設けられることを要しない。半導体層10Aの面10aに設けられたn型半導体領域21及びn型半導体領域22にそれぞれ接続されるソース電極40及びドレイン電極50が、十分に低い抵抗で2DEG1aと接続されれば、半導体装置1Aeのような構成が採用されてもよい。
[第3の実施の形態]
図20及び図21は第3の実施の形態に係る半導体装置の一例について説明する図である。図20には第3の実施の形態に係る半導体装置の要部平面図を模式的に示している。図21には第3の実施の形態に係る半導体装置の要部断面図を模式的に示している。図21は図20のXXI-XXI断面模式図である。
図20及び図21に示す半導体装置1Bは、HEMTの一例である。半導体装置1Bは、活性領域AR1に設けられたn型半導体領域21と接続されるソース電極40が、不活性領域AR2に延び、不活性領域AR2に設けられたn型半導体領域61と接続された構成を有する。一例として、ソース電極40は、n型半導体領域61を覆い、平面視でソース電極40の一部がn型半導体領域61と重なるように、設けられる。同様に、半導体装置1Bは、活性領域AR1に設けられたn型半導体領域22と接続されるドレイン電極50が、不活性領域AR2に延び、不活性領域AR2に設けられたn型半導体領域62と接続された構成を有する。一例として、ドレイン電極50は、n型半導体領域62を覆い、平面視でドレイン電極50の一部がn型半導体領域62と重なるように、設けられる。半導体装置1Bは、このような構成を有する点で、上記第2の実施の形態で述べた半導体装置1A(図6及び図7等)と相違する。
半導体装置1Bの形成では、上記第2の実施の形態で述べた図14の工程において、ソース電極40が、活性領域AR1のn型半導体領域21及び不活性領域AR2のn型半導体領域61の両方と接続されるように形成される。ドレイン電極50が、活性領域AR1のn型半導体領域22及び不活性領域AR2のn型半導体領域62の両方と接続されるように形成される。その他の工程は、上記第2の実施の形態で述べた図8~図13及び図15の工程の例に従って行われる。このような方法によって、図20及び図21に示すような半導体装置1Bが得られる。
尚、半導体層10Aの面10aに対し、n型半導体領域61及びn型半導体領域62の端面61a及び端面62aは、n型半導体領域21及びn型半導体領域22の端面21a及び端面22aよりも、高い位置となる。
図20には一例として、ソース電極40が、平面視で不活性領域AR2のn型半導体領域61の全体を覆い、ドレイン電極50が、平面視で不活性領域AR2のn型半導体領域62の全体を覆うレイアウトとした半導体装置1Bを示している。このほか、ソース電極40は、平面視で不活性領域AR2のn型半導体領域61の一部を覆うレイアウトとされてもよく、ドレイン電極50は、平面視で不活性領域AR2のn型半導体領域62の一部を覆うレイアウトとされてもよい。
半導体装置1Bでは、上記第2の実施の形態で述べたのと同様に、MOCVD法を用いた再成長工程で、活性領域AR1のn型半導体領域21及びn型半導体領域22と共に、不活性領域AR2のn型半導体領域61及びn型半導体領域62が形成される。不活性領域AR2にn型半導体領域61及びn型半導体領域62が形成されることで、それらと共に再成長される活性領域AR1のn型半導体領域21及びn型半導体領域22の成長レートが速くなることが抑えられ、それらの抵抗が高くなることが抑えられる。
更に、半導体装置1Bでは、ソース電極40が、不活性領域AR2のn型半導体領域61の全体又は一部を覆い、n型半導体領域61と接続される。ドレイン電極50が、不活性領域AR2のn型半導体領域62の全体又は一部を覆い、n型半導体領域62と接続される。
ここで、不活性領域AR2のn型半導体領域61及びn型半導体領域62は、活性領域AR1から離間した位置、例えば、50μm以上離間した位置に、設けられる。そのため、ソース電極40と接続される不活性領域AR2のn型半導体領域61が、半導体層10A内における、活性領域AR1のn型半導体領域21や2DEG1aとの電気的な作用により、活性領域AR1のトランジスタ素子の動作に影響を及ぼすことが抑えられる。同様に、ドレイン電極50と接続される不活性領域AR2のn型半導体領域62が、半導体層10A内における、活性領域AR1のn型半導体領域22や2DEG1aとの電気的な作用により、活性領域AR1のトランジスタ素子の動作に影響を及ぼすことが抑えられる。半導体装置1Bでは、このような電気的な作用を抑えて、ソース電極40を、n型半導体領域61の全体又は一部を覆うレイアウトとし、ドレイン電極50を、n型半導体領域62の全体又は一部を覆うレイアウトとすることができる。半導体装置1Bのような構成を採用することで、ソース電極40及びドレイン電極50のレイアウトの自由度、パターン設計の自由度を高めることが可能になる。
尚、n型半導体領域61及びn型半導体領域62は、ゲート電極30とは接触しないように、不活性領域AR2に設けられる。これにより、n型半導体領域61及びn型半導体領域62のゲート電極30への影響が抑えられ、ゲート電極30への影響によるトランジスタ素子の動作への影響が抑えられる。
[第4の実施の形態]
図22及び図23は第4の実施の形態に係る半導体装置の一例について説明する図である。図22には第4の実施の形態に係る半導体装置の要部平面図を模式的に示している。図23には第4の実施の形態に係る半導体装置の要部断面図を模式的に示している。図23は図22のXXIII-XXIII断面模式図である。
図22及び図23に示す半導体装置1Cは、HEMTの一例である。半導体装置1Cは、一対のソース電極40群と、ソース電極40群の間に設けられるドレイン電極50と、ドレイン電極50と各ソース電極40との間にそれぞれ設けられるゲートフィンガー部31を有するゲート電極30とを含む。ソース電極40群の各一部、ドレイン電極50の一部、及びゲートフィンガー部31の一部(図22)は、活性領域AR1に設けられる。ソース電極40群はそれぞれ、活性領域AR1に設けられたn型半導体領域21及びn型半導体領域22と接続され、更に、不活性領域AR2に延び、不活性領域AR2に設けられたn型半導体領域61及びn型半導体領域62と接続される。一例として、ソース電極40群はそれぞれ、n型半導体領域61及びn型半導体領域62を覆い、平面視でソース電極40群の各一部がそれぞれn型半導体領域61及びn型半導体領域62と重なるように、設けられる。また、ドレイン電極50は、活性領域AR1に設けられたn型半導体領域23と接続され、更に、不活性領域AR2に延びるように(図22)、設けられる。半導体装置1Cは、このような構成を有する点で、上記第2の実施の形態で述べた半導体装置1A(図6及び図7等)と相違する。
半導体装置1Cの形成では、上記第2の実施の形態で述べた図10~図13の工程において、活性領域AR1にn型半導体領域21、n型半導体領域22及びn型半導体領域23が形成され、不活性領域AR2にn型半導体領域61及びn型半導体領域62が形成される。即ち、これらに対応する開口部90a群を有するマスク90が形成され、活性領域AR1のリセス71、リセス72及びリセス73、並びに不活性領域AR2のリセス81及びリセス82が形成され、MOCVD法を用いた再成長工程が行われる。その後、マスク90が除去される。次いで、上記第2の実施の形態で述べた図14及び図15の工程の例に従い、図22及び図23に示すようなパターンとなるように、ソース電極40群及びドレイン電極50が形成され、更に、ゲートフィンガー部31を有するゲート電極30が形成される。このような方法によって、図22及び図23に示すような半導体装置1Cが得られる。
尚、半導体層10Aの面10aに対し、n型半導体領域61及びn型半導体領域62の端面61a及び端面62aは、n型半導体領域21、n型半導体領域22及びn型半導体領域23の端面21a、端面22a及び端面23aよりも、高い位置となる。
また、ソース電極40群のうちの一方は、平面視で不活性領域AR2のn型半導体領域61の一部を覆うレイアウトとされてもよく、ソース電極40群のうちの他方も同様に、n型半導体領域62の一部を覆うレイアウトとされてもよい。これにより、レイアウトの自由度、パターン設計の自由度を高めて、ソース電極40群を設けることが可能になる。
半導体装置1Cでは、MOCVD法を用いた再成長工程で、活性領域AR1のn型半導体領域21、n型半導体領域22及びn型半導体領域23と共に、不活性領域AR2のn型半導体領域61及びn型半導体領域62が形成される。不活性領域AR2にn型半導体領域61及びn型半導体領域62が形成されることで、それらと共に再成長される活性領域AR1のn型半導体領域21、n型半導体領域22及びn型半導体領域23の成長レートが速くなることが抑えられ、それらの抵抗が高くなることが抑えられる。
半導体装置1Cは、ソース電極40群をグラウンド(GND)にしたソース接地式のトランジスタ、ディスクリートデバイス、マイクロ波モノリシック集積回路(Monolithic Microwave Integrated Circuit;MMIC)等に適用される。不活性領域AR2のn型半導体領域61及びn型半導体領域62は、信号の伝送線路として用いられるゲート電極30及びドレイン電極50とは離間された位置に、ゲート電極30及びドレイン電極50から分離されて、設けられる。n型半導体領域61及びn型半導体領域62は、GNDとして用いられるソース電極40群の直下又はその一部の不活性領域AR2、その他パッシブ素子等が設けられない不活性領域AR2に、設けられる。不活性領域AR2のn型半導体領域61及びn型半導体領域62は、活性領域AR1から離間した位置、例えば、50μm以上離間した位置に設けられ、半導体層10A内における、活性領域AR1のn型半導体領域21や2DEG1aとの電気的な作用が抑えられる。これにより、活性領域AR1のn型半導体領域21、n型半導体領域22及びn型半導体領域23の成長レートが速くなることを抑えるn型半導体領域61及びn型半導体領域62を設けることによる、トランジスタ素子の動作及び信号伝送への影響が抑えられる。
以上、第1~第4の実施の形態について説明した。
上記第1~第4の実施の形態で述べたような構成を有する半導体装置1,1A,1B,1C等は、各種電子装置に適用することができる。一例として、上記のような構成を有する半導体装置を、半導体パッケージ、力率改善回路、電源装置及び増幅器に適用する場合について、以下に説明する。
[第5の実施の形態]
ここでは、上記のような構成を有する半導体装置の、半導体パッケージへの適用例を、第5の実施の形態として説明する。
図24は第5の実施の形態に係る半導体パッケージの一例について説明する図である。図24には第5の実施の形態に係る半導体パッケージの一例の要部平面図を模式的に示している。
図24に示す半導体パッケージ200は、ディスクリートパッケージの一例である。半導体パッケージ200は、上記第2の実施の形態で述べた半導体装置1A、半導体装置1Aが搭載されたリードフレーム210、及びそれらを封止する樹脂220を含む。
半導体装置1Aは、例えば、リードフレーム210のダイパッド210a上にダイアタッチ材等(図示せず)を用いて搭載される。半導体装置1Aには、上記ゲート電極30と接続されたパッド30a、ソース電極40と接続されたパッド40a、及びドレイン電極50と接続されたパッド50aが設けられる。パッド30a、パッド40a及びパッド50aはそれぞれ、Au、Al等のワイヤ230を用いてリードフレーム210のゲートリード211、ソースリード212及びドレインリード213に接続される。ゲートリード211、ソースリード212及びドレインリード213の各一部が露出するように、リードフレーム210とそれに搭載された半導体装置1A及びそれらを接続するワイヤ230が、樹脂220で封止される。
半導体装置1Aの、ゲート電極30と接続されたパッド30a及びドレイン電極50と接続されたパッド50aが設けられる面とは反対側の面に、ソース電極40と接続された外部接続用電極が設けられてよい。当該外部接続用電極を、ソースリード212に繋がるダイパッド210aに、半田等の導電性接合材を用いて接続してもよい。
例えば、上記第2の実施の形態で述べた半導体装置1Aが用いられ、このような構成を有する半導体パッケージ200が得られる。
上記のように、半導体装置1A(図6及び図7等)では、活性領域に、電極(ソース電極40又はドレイン電極50)と接続されるn型半導体領域(再成長領域)が設けられ、更に、不活性領域に、n型半導体領域(ダミー再成長領域)が設けられる。不活性領域にn型半導体領域が設けられることで、それと共に活性領域に設けられるn型半導体領域の成長レートが速くなることが抑えられる。その結果、活性領域に設けられるn型半導体領域のドーパントの取り込み量が減少することが抑えられ、ドーパントの取り込み量が減少することによってその抵抗が高くなることが抑えられ、十分に低抵抗なn型半導体領域が活性領域に安定して形成される。これにより、電極と接続される十分に低抵抗なn型半導体領域を活性領域に有する半導体装置1Aが、安定して実現される。このような半導体装置1Aが用いられ、高性能の半導体パッケージ200が実現される。
ここでは、半導体装置1Aを例にしたが、他の半導体装置1,1B,1C等を用いて同様に半導体パッケージを得ることが可能である。
[第6の実施の形態]
ここでは、上記のような構成を有する半導体装置の、力率改善回路への適用例を、第6の実施の形態として説明する。
図25は第6の実施の形態に係る力率改善回路の一例について説明する図である。図25には第6の実施の形態に係る力率改善回路の一例の等価回路図を示している。
図25に示す力率改善(Power Factor Correction;PFC)回路300は、スイッチ素子310、ダイオード320、チョークコイル330、コンデンサ340、コンデンサ350、ダイオードブリッジ360及び交流電源370(AC)を含む。
PFC回路300において、スイッチ素子310のドレイン電極と、ダイオード320のアノード端子及びチョークコイル330の一端子とが接続される。スイッチ素子310のソース電極と、コンデンサ340の一端子及びコンデンサ350の一端子とが接続される。コンデンサ340の他端子とチョークコイル330の他端子とが接続される。コンデンサ350の他端子とダイオード320のカソード端子とが接続される。また、スイッチ素子310のゲート電極には、ゲートドライバが接続される。コンデンサ340の両端子間には、ダイオードブリッジ360を介して交流電源370が接続され、コンデンサ350の両端子間から直流電源(DC)が取り出される。
例えば、このような構成を有するPFC回路300のスイッチ素子310に、上記半導体装置1,1A,1B,1C等が用いられる。
上記のように、半導体装置1,1A,1B,1C等では、活性領域に、電極と接続されるn型半導体領域(再成長領域)が設けられ、更に、不活性領域に、n型半導体領域(ダミー再成長領域)が設けられる。不活性領域にn型半導体領域が設けられることで、それと共に活性領域に設けられるn型半導体領域の成長レートが速くなることが抑えられる。その結果、活性領域に設けられるn型半導体領域のドーパントの取り込み量が減少することが抑えられ、ドーパントの取り込み量が減少することによってその抵抗が高くなることが抑えられ、十分に低抵抗なn型半導体領域が活性領域に安定して形成される。これにより、電極と接続される十分に低抵抗なn型半導体領域を活性領域に有する半導体装置1,1A,1B,1C等が、安定して実現される。このような半導体装置1,1A,1B,1C等が用いられ、高性能のPFC回路300が実現される。
[第7の実施の形態]
ここでは、上記のような構成を有する半導体装置の、電源装置への適用例を、第7の実施の形態として説明する。
図26は第7の実施の形態に係る電源装置の一例について説明する図である。図26には第7の実施の形態に係る電源装置の一例の等価回路図を示している。
図26に示す電源装置400は、一次側回路410及び二次側回路420、並びに一次側回路410と二次側回路420との間に設けられるトランス430を含む。
一次側回路410には、上記第3の実施の形態で述べたようなPFC回路300、及びPFC回路300のコンデンサ350の両端子間に接続されたインバータ回路、例えば、フルブリッジインバータ回路440が含まれる。フルブリッジインバータ回路440には、複数、ここでは一例として4つのスイッチ素子441、スイッチ素子442、スイッチ素子443及びスイッチ素子444が含まれる。
二次側回路420には、複数、ここでは一例として3つのスイッチ素子421、スイッチ素子422及びスイッチ素子423が含まれる。
例えば、このような構成を有する電源装置400の、一次側回路410に含まれるPFC回路300のスイッチ素子310、及びフルブリッジインバータ回路440のスイッチ素子441~444に、上記半導体装置1,1A,1B,1C等が用いられる。例えば、電源装置400の、二次側回路420のスイッチ素子421~423には、シリコンを用いた通常のMIS(Metal Insulator Semiconductor)型FETが用いられる。
上記のように、半導体装置1,1A,1B,1C等では、活性領域に、電極と接続されるn型半導体領域(再成長領域)が設けられ、更に、不活性領域に、n型半導体領域(ダミー再成長領域)が設けられる。不活性領域にn型半導体領域が設けられることで、それと共に活性領域に設けられるn型半導体領域の成長レートが速くなることが抑えられる。その結果、活性領域に設けられるn型半導体領域のドーパントの取り込み量が減少することが抑えられ、ドーパントの取り込み量が減少することによってその抵抗が高くなることが抑えられ、十分に低抵抗なn型半導体領域が活性領域に安定して形成される。これにより、電極と接続される十分に低抵抗なn型半導体領域を活性領域に有する半導体装置1,1A,1B,1C等が、安定して実現される。このような半導体装置1,1A,1B,1C等が用いられ、高性能の電源装置400が実現される。
[第8の実施の形態]
ここでは、上記のような構成を有する半導体装置の、増幅器への適用例を、第8の実施の形態として説明する。
図27は第8の実施の形態に係る増幅器の一例について説明する図である。図27には第8の実施の形態に係る増幅器の一例の等価回路図を示している。
図27に示す増幅器500は、デジタルプレディストーション回路510、ミキサー520、ミキサー530及びパワーアンプ540を含む。
デジタルプレディストーション回路510は、入力信号の非線形歪みを補償する。ミキサー520は、非線形歪みが補償された入力信号SIと交流信号とをミキシングする。パワーアンプ540は、入力信号SIが交流信号とミキシングされた信号を増幅する。増幅器500では、例えば、スイッチの切り替えにより、出力信号SOをミキサー530で交流信号とミキシングしてデジタルプレディストーション回路510に送出することができる。増幅器500は、高周波増幅器、高出力増幅器として使用することができる。
このような構成を有する増幅器500のパワーアンプ540に、上記半導体装置1,1A,1B,1C等が用いられる。
上記のように、半導体装置1,1A,1B,1C等では、活性領域に、電極と接続されるn型半導体領域(再成長領域)が設けられ、更に、不活性領域に、n型半導体領域(ダミー再成長領域)が設けられる。不活性領域にn型半導体領域が設けられることで、それと共に活性領域に設けられるn型半導体領域の成長レートが速くなることが抑えられる。その結果、活性領域に設けられるn型半導体領域のドーパントの取り込み量が減少することが抑えられ、ドーパントの取り込み量が減少することによってその抵抗が高くなることが抑えられ、十分に低抵抗なn型半導体領域が活性領域に安定して形成される。これにより、電極と接続される十分に低抵抗なn型半導体領域を活性領域に有する半導体装置1,1A,1B,1C等が、安定して実現される。このような半導体装置1,1A,1B,1C等が用いられ、高性能の増幅器500が実現される。
上記半導体装置1,1A,1B,1C等を適用した各種電子装置(上記第5~第8の実施の形態で述べた半導体パッケージ200、PFC回路300、電源装置400及び増幅器500等)は、各種電子機器又は電子装置に搭載することができる。例えば、コンピュータ(パーソナルコンピュータ、スーパーコンピュータ、サーバ等)、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、センサ、カメラ、オーディオ機器、測定装置、検査装置、製造装置、送信器、受信器、レーダー装置といった、各種電子機器又は電子装置に搭載することが可能である。
以上説明した実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1) 半導体層と、
前記半導体層に設けられる活性領域と、
前記半導体層に設けられ、前記活性領域に隣接する不活性領域と、
前記活性領域における前記半導体層の第1面側に設けられる第1半導体領域と、
前記不活性領域における前記半導体層の前記第1面側に設けられる第2半導体領域と、
前記半導体層の前記第1面側に設けられ、前記第1半導体領域と接続される第1電極と
を含むことを特徴とする半導体装置。
(付記2) 前記第1半導体領域は、前記活性領域における前記半導体層の前記第1面側に設けられた第1リセスに設けられ、
前記第2半導体領域は、前記不活性領域における前記半導体層の前記第1面側に設けられた第2リセスに設けられることを特徴とする付記1に記載の半導体装置。
(付記3) 前記半導体層は、
前記第1面側に設けられた電子供給層と、
前記電子供給層の、前記第1面側とは反対側に設けられた電子走行層と
を含み、
前記第1半導体領域及び前記第2半導体領域は、前記電子供給層を貫通して前記電子走行層に達することを特徴とする付記1又は2に記載の半導体装置。
(付記4) 前記第2半導体領域は、前記活性領域から離間して位置することを特徴とする付記1乃至3のいずれかに記載の半導体装置。
(付記5) 前記第2半導体領域は、前記活性領域からの距離が50μm以上の位置に設けられることを特徴とする付記1乃至4のいずれかに記載の半導体装置。
(付記6) 前記第2半導体領域は、前記第1半導体領域からの距離が500μm以内の位置に設けられることを特徴とする付記1乃至5のいずれかに記載の半導体装置。
(付記7) 前記半導体層の前記第1面に対し、前記第1半導体領域の、前記半導体層の前記第1面側の第1端面は、前記第2半導体領域の、前記半導体層の前記第1面側の第2端面よりも、低い位置にあることを特徴とする付記1乃至6のいずれかに記載の半導体装置。
(付記8) 前記第1電極は、前記第1半導体領域及び前記第2半導体領域と接続されることを特徴とする付記1乃至7のいずれかに記載の半導体装置。
(付記9) 前記半導体層の前記第1面側に設けられ、少なくとも一部が前記活性領域に位置し、前記第1半導体領域及び前記第2半導体領域とは分離された第2電極を含むことを特徴とする付記1乃至8のいずれかに記載の半導体装置。
(付記10) 半導体層に、活性領域と、前記活性領域に隣接する不活性領域とを形成する工程と、
前記活性領域における前記半導体層の第1面側に、第1半導体領域を形成する工程と、
前記不活性領域における前記半導体層の前記第1面側に、第2半導体領域を形成する工程と、
前記半導体層の前記第1面側に、前記第1半導体領域と接続される第1電極を形成する工程と
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記11) 前記第1半導体領域を形成する工程、及び前記第2半導体領域を形成する工程では、
前記半導体層の前記第1面側に、前記活性領域に通じる第1開口部と、前記不活性領域に通じる第2開口部とを有するマスクを形成し、
有機金属気相成長法を用いて、前記マスクの前記第1開口部及び前記第2開口部に、それぞれ前記第1半導体領域及び前記第2半導体領域を成長することを特徴とする付記10に記載の半導体装置の製造方法。
(付記12) 前記マスクの形成後、前記第1開口部及び前記第2開口部の前記半導体層を部分的に除去し、前記半導体層に、前記第1開口部と連通する第1リセス、及び前記第2開口部と連通する第2リセスを形成し、
前記第1開口部及び前記第2開口部に、それぞれ前記第1半導体領域及び前記第2半導体領域を成長する際には、前記第1開口部と連通する前記第1リセス、及び前記第2開口部と連通する前記第2リセスに、それぞれ前記第1半導体領域及び前記第2半導体領域を成長することを特徴とする付記11に記載の半導体装置の製造方法。
(付記13) 半導体層と、
前記半導体層に設けられる活性領域と、
前記半導体層に設けられ、前記活性領域に隣接する不活性領域と、
前記活性領域における前記半導体層の第1面側に設けられる第1半導体領域と、
前記不活性領域における前記半導体層の前記第1面側に設けられる第2半導体領域と、
前記半導体層の前記第1面側に設けられ、前記第1半導体領域と接続される第1電極と
を含む半導体装置を備えることを特徴とする電子装置。