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JP7719964B2 - 面ファスナー及び成形装置 - Google Patents
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JP7719964B2 - 面ファスナー及び成形装置 - Google Patents

面ファスナー及び成形装置

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JP7719964B2 JP2024529013A JP2024529013A JP7719964B2 JP 7719964 B2 JP7719964 B2 JP 7719964B2 JP 2024529013 A JP2024529013 A JP 2024529013A JP 2024529013 A JP2024529013 A JP 2024529013A JP 7719964 B2 JP7719964 B2 JP 7719964B2
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Description

本発明は、面ファスナー及び面ファスナーの製造に用いられる成形装置に関する。
従来から、複数のループを有する雌型の面ファスナー(以下、ループ部材と言う)と、そのループ部材に対して着脱可能な雄型の面ファスナー(以下、雄型の面ファスナーを単純に面ファスナーと言う)とが組み合わされて用いられる面ファスナー製品が知られている。面ファスナーは、例えば、平板状のベース部と、そのベース部から突出するとともにきのこ状等の形態を有する複数の係合素子とを有する。
面ファスナーは、現在、多種多様な商品に広く使用されており、例えば使い捨ておむつ、乳幼児のおむつカバー、手足の関節などを保護するサポーター、腰用コルセット(腰痛ベルト)、手袋などのような身体に対して着脱させる商品にも用いられている。また、使い捨ておむつ等に用いられる面ファスナーの一例が、国際公開第2017/109902号(特許文献1)に開示されている。
特許文献1に記載されている面ファスナーは、ベース部と、ベース部から突出する複数の係合素子とを有する。特許文献1の各係合素子は、ベース部から立ち上がるステム部と、ステム部の上端部に一体的に形成される円盤状の係合頭部とをそれぞれ有する。係合頭部には、係合頭部の外周縁部から突出する複数の微小な爪部が設けられている。
このような特許文献1の面ファスナーは、一次成形を行う成形装置と、二次成形を行う加熱押圧装置とを有する製造装置を用いて製造される。成形装置は、一方向に回転する1つのダイホイールと、ダイホイールの外周面に対向して配される供給ノズルと、供給ノズルよりもダイホイールの回転方向の下流側に配されるピックアップローラーとを有する。
ダイホイールは、金型となる円筒状の外側スリーブと、外側スリーブの内側に密接して配される円筒状の内側スリーブと、外側スリーブ及び内側スリーブを一方向に回転させる駆動ローラーとを備える。外側スリーブには、外側スリーブの外周面から内周面に貫通する複数の貫通孔が設けられている。内側スリーブの外周面には、複数の凹部が設けられている。加熱押圧装置は、上下一対の押圧ローラー(カレンダローラー)を有する。
このような製造装置を用いることによって、係合頭部の外周縁部に微小な爪部が設けられた複数の係合素子を有する特許文献1の面ファスナーを製造することができる。
一方、雄型の面ファスナーを製造する方法として、上述した1つのダイホイールを備えた成形装置を用いる代わりに、複数のキャビティが外周面部に設けられたダイホイールと、ダイホイールに対向して配される押圧ホイールとを備えるツインロールタイプの成形装置を用いる方法が知られている。
このツインロールタイプの成形装置を用いる場合は、供給ノズルから、互いに対向するダイホイールと押圧ホイールとの間に向けて、溶融した合成樹脂材料が供給される。それにより、ダイホイールと押圧ホイールとの間でベース部が成形されるとともに、ダイホイールの外周面部で係合素子(又は、係合素子に成形される前の一次素子)が成形されるため、面ファスナーを連続的に製造することができる。
国際公開第2017/109902号
上述したツインロールタイプの成形装置を用いて面ファスナーを製造する場合、ダイホイールと押圧ホイールとによって、例えば特許文献1の製造方法よりも厚さを薄くしたベース部を成形することが可能である。しかし、ツインロールタイプの成形装置の場合、例えば特許文献1の製造方法に比べて、溶融した合成樹脂材料をダイホイールの外周面部に設けた複数のキャビティに充填し難く、各係合素子に上述した微小な爪部を安定して設けることができない。従って、ツインロールタイプの成形装置では、微小な爪部が係合素子に形成される特許文献1の面ファスナーを製造することが難しかった。
一方、特許文献1のように供給ノズルから1つのダイホイールに合成樹脂を供給して面ファスナーを製造する場合、ツインロールタイプの成形装置に比べて、一次成形時にベース部の厚さを薄くして成形体を成形することが難しい。このため、面ファスナーの柔軟性を低下させ、また、面ファスナーの軽量化及びコストダウンを妨げる可能性があった。
これに対し、近年では、1つのダイホイールを有する成形装置を用いて、薄いベース部を有する面ファスナーを製造するために、成形装置でベース部を備えた成形体(一次成形体)を成形した後に、例えば、得られた成形体のベース部を機械方向(MD)に沿って延伸して薄くする延伸加工を行うことが検討されている。
しかし、特許文献1の成形装置を用いて得られる成形体(一次成形体)に対し、機械方向(MD)に沿った延伸加工を施す場合、延伸装置内でベース部が機械方向に引っ張られることにより、ベース部に機械方向に沿った破断を生じさせる可能性がある。
また、機械方向に延伸加工が施されて製造された面ファスナーでは、面ファスナーの直交方向(CD)における引き裂き強度が低下することがあり、例えば面ファスナーのベース部に力が加えられたとき等に、ベース部が直交方向に切れる直交方向の引き裂きが生じる可能性もある。このため、例えば面ファスナーを使い捨ておむつ等に利用する場合には、面ファスナーを引っ張りながら、使い捨ておむつのループ部材に係合させておむつの取付状態を保持するときに、延伸されたベース部に直交方向の引き裂き又は破断が生じる可能性が考えられる。なお、直交方向(CD)とは、製造時の機械方向(MD)に直交する方向を意味する。
上述のような課題に対して、例えば機械方向(MD)と直交方向(CD)とに関して構造や強度等に差を生じさせるような面ファスナーを開発することが望まれてきている。
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、機械方向と直交方向の間で異なる構造及び/又は性質を示す面ファスナーを提供すること、並びに、そのような面ファスナーの製造に用いられる成形装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明により提供される面ファスナーは、ベース部と、前記ベース部に一体的に形成される複数の係合素子とを有し、各係合素子は、前記ベース部の表面から前記ベース部の厚さ方向に突出するステム部と、前記ステム部の先端部に形成される係合頭部とを有し、前記ステム部の少なくとも上端部における前記厚さ方向に直交する断面は、円形又は円形に近い形状を有し、前記係合頭部は、前記ステム部の先端部から前記厚さ方向に直交する方向の全体に拡がる形状を有する合成樹脂製の面ファスナーであって、前記ステム部の下半部は、前記係合素子を機械方向から見た第1形状において、前記機械方向に直交する直交方向に向く外面がストレート状又は略ストレート状に形成される部分を含み、且つ、前記係合素子を前記直交方向から見た第2形状において、前記機械方向に向く外面が前記ベース部の表面に向けて湾曲する部分を含み、前記第2形状における前記外面の湾曲する曲線部分は、前記ステム部の下半部における上下方向の範囲の30%以上に亘って設けられ、前記ステム部の前記ベース部に連結する連結部は、前記機械方向に長い楕円又は略楕円の形状を有するものである。
本発明の面ファスナーにおいて、前記ステム部は、前記第2形状において、前記機械方向に向く前記外面がストレート状又は略ストレート状に形成される部分を、前記ステム部の上半部に含み、前記第2形状のストレート状又は略ストレート状に形成される部分は、前記第1形状のストレート状又は略ストレート状に形成される部分よりも短い範囲に形成されていることが好ましい。
また、本発明により提供される別の形態の面ファスナーは、ベース部と、前記ベース部に一体的に形成される複数の係合素子とを有し、各係合素子は、前記ベース部の表面から前記ベース部の厚さ方向に突出するステム部と、前記ステム部の先端部に形成される係合頭部とを有し、前記ステム部の少なくとも上端部における前記厚さ方向に直交する断面は、円形又は円形に近い形状を有し、前記係合頭部は、前記ステム部の先端部から前記厚さ方向に直交する方向の全体に拡がる形状を有する合成樹脂製の面ファスナーであって、
前記係合素子を機械方向から見たときに、前記ステム部の前記ベース部に連結する連結部における前記機械方向に直交する直交方向の長さを第1寸法とし、前記係合素子を前記直交方向から見たときに、前記ステム部の前記連結部における前記機械方向の長さを第2寸法とした場合、前記ステム部は、前記第2寸法が前記第1寸法よりも大きい形状を有し、前記ステム部の下半部は、前記係合素子を前記直交方向から見た第2形状において、前記機械方向に向く外面が前記ベース部の表面に向けて湾曲する部分を含み、前記第2形状における前記外面の湾曲する曲線部分は、前記ステム部の下半部における上下方向の範囲の30%以上に亘って設けられ、互いに係合する前記面ファスナーとループ部材とが前記機械方向及び前記直交方向に沿って剥離されるときの前記面ファスナーにおける剥離強度を、それぞれMD剥離強度及びCD剥離強度と規定した場合、前記ステム部は、前記第2寸法が前記第1寸法よりも大きいことにより、前記CD剥離強度が前記MD剥離強度よりも大きくなる形状を有するものである。
本発明により提供される更に別の形態の面ファスナーは、ベース部と、前記ベース部に一体的に形成される複数の係合素子とを有し、各係合素子は、前記ベース部の表面から前記ベース部の厚さ方向に突出するステム部と、前記ステム部の先端部に形成される係合頭部とを有し、前記ステム部の少なくとも上端部における前記厚さ方向に直交する断面は、円形又は円形に近い形状を有し、前記係合頭部は、前記ステム部の先端部から前記厚さ方向に直交する方向の全体に拡がる形状を有する合成樹脂製の面ファスナーであって、前記ステム部の下半部は、前記係合素子を機械方向に直交する直交方向から見た第2形状において、前記機械方向に向く外面が前記ベース部の表面に向けて湾曲する部分を含み、前記第2形状における前記外面の湾曲する曲線部分は、前記ステム部の下半部における上下方向の範囲の30%以上に亘って設けられ、前記ステム部の前記ベース部に連結する連結部は、前記機械方向に長い楕円又は略楕円の形状を有し、前記面ファスナーの前記直交方向に沿った部分を前記厚さ方向に湾曲させるときのCD柔軟性は、前記連結部が前記機械方向に長い楕円又は略楕円の形状を有することにより、前記面ファスナーの前記機械方向に沿った部分を前記厚さ方向に湾曲させるときのMD柔軟性よりも優れているものである。
本発明の面ファスナーにおいて、複数の前記係合素子は、前記機械方向に沿って一定のピッチ間隔で一列に配されることにより素子列を形成し、複数の前記素子列は、前記直交方向に一定の間隔で配置され、各素子列の前記係合素子は、前記直交方向に隣り合う前記素子列の前記係合素子の位置に対し、前記機械方向に前記ピッチ間隔の半分の大きさでずらされた位置に配され、前記係合素子は、前記機械方向に関して、各係合素子の前記ステム部の形成範囲が、前記直交方向に隣り合う前記素子列における前記係合素子の前記ステム部の形成範囲に対して重なる部分を有する位置に配されていることが好ましい。
また本発明において、各係合素子は、前記係合頭部の外周縁部から前記直交方向に突出する少なくとも1つの爪部を有することが好ましい。
更に、前記係合素子を前記機械方向から見た第1形状では、前記ステム部の前記直交方向に向く前記外面が、前記ステム部の前記係合頭部に連結する上端の位置から、前記ステム部の前記ベース部に連結する下端の位置までの略全体にかけて、ストレート状又は略ストレート状に形成され、前記第2形状において、前記ステム部の前記機械方向に向く前記外面がストレート状又は略ストレート状に形成される部分は、前記ステム部の全体の高さ寸法の1/2以上、3/4以下の範囲に配されていることが好ましい。
次に、形装置は、一方向に回転するダイホイールと、前記ダイホイールに向けて溶融した合成樹脂を供給する供給ノズルとを有し、ベース部に複数の係合素子が設けられ、各係合素子が、前記ベース部の表面から前記ベース部の厚さ方向に突出するステム部と、前記ステム部の先端部に形成される係合頭部とを有する面ファスナーの製造に用いられる成形装置において、前記ダイホイールは、少なくとも1つの円筒状のスリーブと、前記スリーブを回転させる駆動ローラーとを有し、前記スリーブは、前記スリーブの外周面から内周面に貫通する複数の貫通孔を有し、複数の前記貫通孔は、機械方向に沿って一定の孔ピッチ間隔で一列に配されることにより孔列を形成し、複数の前記孔列は、前記機械方向に直交する直交方向に一定の間隔で配置され、各孔列の前記貫通孔は、前記直交方向に隣り合う前記孔列の前記貫通孔の位置に対し、前記機械方向に前記孔ピッチ間隔の半分の大きさでずらされた位置に配され、前記貫通孔は、前記機械方向に関して、各貫通孔の形成範囲が、前記直交方向に隣り合う前記孔列における前記貫通孔の形成範囲に対して重なる部分を有する位置に配されているものである。
本発明によれば、機械方向と直交方向の間で異なる構造及び/又は性質を示す面ファスナーを提供することができる。
本発明の実施形態に係る面ファスナーの一部を上側から撮影した写真の写しである。 図1に示した面ファスナーの係合素子を上側から撮影した写真の写しである。 図1に示した面ファスナーの係合素子を機械方向から撮影した写真の写しである。 図1に示した面ファスナーの係合素子を直交方向から撮影した写真の写しである。 図1に示した面ファスナーを製造する製造装置を模式的に説明する模式図である。 図5に示した製造装置の成形装置が備える外側スリーブの一部を模式的に示す模式図である。 一次成形工程で成形される一次成形体を模式的に示す斜視図である。 剥離強度試験について説明する説明図である。 剥離強度試験について説明する別の説明図である。 面ファスナーの柔軟性を測定する試験装置を模式的に示す模式図である。 図10の試験装置で面ファスナーを押圧した状態を模式的に示す模式図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下で説明する実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明と実質的に同一な構成を有し、かつ、同様な作用効果を奏しさえすれば、多様な変更が可能である。例えば、本発明の面ファスナーの長さ寸法(機械方向MDにおける寸法)及び幅寸法(直交方向CDにおける寸法)は特に限定されず、面ファスナーを切断すること等により、任意の形状を有することが可能である。
図1は、本実施形態に係る面ファスナーの一部を上側から撮影した写真の写しである。図2~図4は、それぞれ、本実施形態に係る面ファスナーの1つの係合素子を上側から撮影した写真(平面視)、機械方向側から撮影した写真(正面視又は背面視)、及び直交方向側から撮影した写真(側面視)の写しである。
なお、以下の説明において、前後方向は、長尺に成形される面ファスナー及び一次成形体の長さ方向である。また、前後方向は、面ファスナーの製造工程において、面ファスナー又は一次成形体が搬送される機械方向MDに沿った方向(第1方向)である。
左右方向は、長さ方向に直交し、且つ、面ファスナーにおけるベース部の平坦な上面(第1面)又は下面(第2面)に沿った幅方向を言う。この場合、左右方向及び幅方向は、機械方向MDに直交する直交方向CDに沿った方向(第2方向)である。
上下方向は、ベース部の平坦な上面又は下面に直交する方向に沿った高さ方向(又はベース部の厚さ方向)であり、また、前後方向と左右方向とに直交する方向である。この場合、ベース部に対して係合素子が突出する側の向きを上下方向の上側とし、その反対の向きを下側とする。
本実施形態に係る面ファスナー10は、後述するように図5に示した成形装置60、加熱押圧装置70、及び延伸装置80を有する製造装置50を用いて、製造装置50の機械方向MDに長い形状に製造される。
面ファスナー10は、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、ポリブチレンテレフタレート、又はそれらの共重合体などの熱可塑性樹脂により形成されている。なお、面ファスナー10の材質は特に限定されず、面ファスナー10は、例えば生分解樹脂、植物由来樹脂、又はリサイクルにより得られる熱可塑性樹脂を用いて形成されていてもよい。
面ファスナー10は、図1~図4に示すように、厚さが薄い平板状のベース部11と、ベース部11の上面から突出するとともにマッシュルームのような形状を有する複数の係合素子20とを有する。ベース部11は、面ファスナー10の製造時における機械方向MDに沿って長く形成されている。ベース部11は、適切な強度と適切な可撓性を確保できる一定の厚さを有する。ベース部11の上面(第1面)と、上面の反対側に配される下面(第2面)は、それぞれ平坦又は略平坦で、且つ、互いに平行に形成されている。
各係合素子20は、ベース部11の上面から上方に突出するステム部21と、ステム部21の上端部に一体的に形成される円盤状の係合頭部22と、係合頭部22の外周縁部から直交方向CDに沿って小さく外側に突出する2つの微小な爪部23とを有する。
ここで、係合素子20を機械方向MDから見たときのステム部21の形状をステム部21の第1形状31と規定し、係合素子20を直交方向CDから見たときのステム部21の形状をステム部21の第2形状32と規定する。この場合、各係合素子20のステム部21(特に、ステム部21の下半部)は、面ファスナー10の製造工程において後述する機械方向MDに沿った延伸加工が施されることによって、ステム部21の第1形状31(図3を参照)とステム部21の第2形状32(図4を参照)とが互いに異なる形状に形成されている。
本実施形態の係合素子20では、ステム部21の第1形状31と第2形状32とが、ステム部21の主に下半部において互いに相違しており、ステム部21の第1形状31の下半部は、ステム部21の第2形状32の下半部よりも細く形成されている。このため、係合素子20は、例えば係合素子20の上側から力を受けたときに、機械方向MDよりも直交方向CDにたわみ易く形成されている。なお、ステム部21の上半部と下半部とは、それぞれ、ステム部21において、ステム部21の高さ方向における中央位置でステム部21を仕切った場合に、その中央位置よりもベース部11から離れた側の部分と、その中央位置よりもベース部11に近い側の部分とを意味する。
ステム部21の形状についてより具体的に説明すると、係合素子20を機械方向MDから見た正面視(図3)又は背面視において、ステム部21の第1形状31は、ステム部21の直交方向CDに向く外面21aが、ステム部21の係合頭部22に連結する上端の位置から、ステム部21のベース部11に連結する下端(連結部)の位置までの略全体にかけて、まっすぐに延びるストレート状、又はまっすぐに近いラインに沿って延びる略ストレート状に形成されている。また、ステム部21の第1形状31において、ステム部21の直交方向CDに向く外面21aとベース部11の上面との間には、約95°の角度が形成されている。なお、第1形状31において、ステム部21の直交方向CDに向く外面とベース部11の上面との間の角度の大きさはこれに限定されない。
また本実施形態において、第1形状31は、ステム部21の直交方向CDに向く外面21aが上下方向において凹状に湾曲する曲線部分を、例えばステム部21のベース部11に近接する下端部に含んで形成されていてもよい。この場合、第1形状31における外面21aのストレート状又は略ストレート状に形成される部分は、ステム部21の下半部における上下方向の範囲の50%以上に、好ましくは60%以上に亘って設けられることが好ましい。
本発明において、まっすぐに延びるストレート状、又はまっすぐに近いラインに沿って延びる略ストレート状とは、後述する略円柱状に形成されているステム部21の外周面を機械方向MDや直交方向CD等の方向から見たときに、そのステム部21の外周面が上下方向に凹状に大きく又は明確に湾曲する曲線部分を含まない形状を意味している。例えば、ステム部21の直交方向CDに向く外面21aが、ベース部11の上面に対して95°よりも大きな角度(例えば、100~110°の角度)を形成する場合であっても、当該外面21aがまっすぐに又はまっすぐに近いラインに沿って延びていれば、ストレート状又は略ストレート状に形成されているものとする。
一方、係合素子20を直交方向CDから見た側面視(図4)において、ステム部21の第2形状32は、ステム部21の機械方向MDに向く外面21aがストレート状又は略ストレート状に形成される部分と、当該外面21aが上下方向に凹状に湾曲しながら延びる形状を示す曲線部分とを含んで形成されている。この第2形状32において、ステム部21の機械方向MDに向く外面21aがストレート状又は略ストレート状に形成される部分は、ステム部21の主に上半部に設けられており、また、図3に示す第1形状31のストレート状又は略ストレート状に形成される部分よりも短い範囲で形成されている。第2形状32において、ステム部21の機械方向MDに向く外面21aが湾曲して形成される曲線部分は、ステム部21の主に下半部に設けられている。また、第2形状32における外面21aの曲線部分は、ステム部21の下半部における上下方向の範囲の30%以上に、好ましくは40%以上に亘って設けられることが好ましい。この第2形状32における外面21aの曲線部分は、例えば第1形状31の下端部に曲線部分が設けられる場合、その第1形状31の曲線部分よりも長い範囲で形成される。
図3に示した第1形状31における直交方向CDに向く外面21aの形状は、図4に示した第2形状32における機械方向MDに向く外面21aの上半部の形状と類似する。例えば、ステム部21の第2形状32の上半部において、ステム部21の機械方向MDに向く外面21aは、ベース部11の上面と平行な方向に対して約95°の角度が設けられるように形成されている。また、ステム部21の第2形状32の下半部において、ステム部21のベース部11に近接して配される外面21aとベース部11の上面との間には、約160°の角度が形成されている。第2形状32において、ステム部21の機械方向MDに向く外面21aがストレート状又は略ストレート状に形成される部分は、第2形状32におけるステム部21の全体の高さ寸法(ベース部11の上面からステム部21の上端までの上下方向における寸法)の1/2以上、3/4以下の範囲に配されている。
ステム部21の第1形状31(図3)と第2形状32(図4)とを比較した場合、第2形状32を示すステム部21の下半部は、図4に示すように、第1形状31を示すステム部21の下半部に比べて、ステム部21がベース部11に近付くにつれてより太くなるように、ステム部21の太さを大きく変化させている。
また、第1形状31では、ステム部21のストレート状又は略ストレート状の外面21aが、ステム部21のベース部11に連結する下端まで延びており、このストレート状又は略ストレート状の外面21aとベース部11の上面(表面)との間には、90°に近い角度(略95°)で急激に曲がる境界部が設けられている。
これに対し、第2形状32では、ステム部21の下半部の外面21aが緩やかに大きく湾曲するとともに、ステム部21の外面21aの傾斜がベース部11に近付くにつれてなだらかになっている。このため、第2形状32におけるステム部21の外面21aは、ベース部11の表面に滑らかに連続するように形成されている。
各係合素子20において、ステム部21の上半部は、略円柱状に形成されている。このため、ステム部21の上半部における外周面は、外周面の全周が滑らかに連続する曲面に形成されており、当該外周面に、角張った稜線や突起物等は設けられていない。また、ステム部21は、ステム部21の上端部における上下方向に直交する断面が円形又は円形に近い形状(略円形の形状)を有するように形成されている。
ステム部21のベース部11に連結する連結部(すなわち、ステム部21の下端)は、機械方向MDの最大寸法が直交方向CDの最大寸法よりも大きくなるように、機械方向MDに長い楕円又は略楕円の形状に形成されている。なお本発明において、略楕円の形状とは、楕円に近い形状を意味し、例えば長円等の形状を含む。
ここで、ステム部21の連結部について、係合素子20を機械方向MDから見たときの連結部の直交方向CDに沿った長さを第1寸法D1と規定し、また、係合素子20を直交方向CDから見たときの連結部の機械方向MDの長さを第2寸法D2と規定する。この場合、ステム部21は、第2形状32における連結部の第2寸法D2を、第1形状31における連結部の第1寸法D1よりも大きくして形成されている。第2形状32における連結部の第2寸法D2は、例えば、第1形状31における連結部の第1寸法D1の1.5~2倍の長さを有する。
本実施形態において、複数の係合素子20は、ベース部11の上面に千鳥状の配置パターンで規則的に整列して設けられている。具体的に説明すると、係合素子20は、機械方向MD(前後方向)に沿って一定のピッチ間隔で配置されることにより、係合素子列26を形成している。複数の係合素子列26は、直交方向CD(左右方向)に一定の間隔で配置されている。各係合素子列26の係合素子20は、直交方向CDに隣り合う係合素子列26の係合素子20の位置に対し、係合素子20の位置を機械方向MDに1/2のピッチ間隔の大きさでずらされた位置に配されている。これによって、複数の係合素子20は、直交方向CDに互いに隣接する係合素子列26間において、互い違いに又はジグザグ状に配置されている。
複数の係合素子20は、機械方向MDに関して、図1に示すように、各係合素子20のステム部21の形成範囲27が、直交方向CDに隣り合う係合素子列26の係合素子20の形成範囲27に対して重なる部分を有する位置に配されている。言い換えると、各係合素子20のステム部21における機械方向MDの一方側(例えば前方側)の端縁は、直交方向CDに隣り合う係合素子列26の係合素子20のステム部21における機械方向MDの一方側(例えば前方側)の端縁と他方側(例えば後方側)の端縁との間に位置している。
本実施形態では、(1)係合素子20を直交方向CDから見たときのステム部21の第2形状32が、ステム部21の外面21aを湾曲させる部分を含んでいて、機械方向MDから見たときのステム部21の第1形状31よりも太く形成されていること、(2)ステム部21のベース部11に連結する連結部が、機械方向MDの第2寸法D2を直交方向CDの第1寸法D1よりも大きくした楕円又は略楕円の形状に形成されること、及び、(3)係合素子20の千鳥状の配置において、機械方向MDにおける各係合素子20のステム部21の形成範囲27が、直交方向CDに隣り合う係合素子列26の係合素子20の形成範囲27に重なること、のうちの少なくとも1つの構造が面ファスナー10に設けられていることにより、ベース部11における機械方向MDの強度を効果的に高めることができる。このため、例えば面ファスナー10の製造工程でベース部11を形成する延伸加工において、機械方向MDに引っ張られて延伸されるときに、ベース部11に破断等の不具合を発生させ難くすることができる。
本実施形態の係合素子20において、係合頭部22は、上下方向に比較的薄く形成されており、ステム部21の先端部から上下方向に直交する方向(すなわち、ベース部11の上面と平行な方向)の全体に拡がる形状を有する。また、係合素子20を上方側から見たときに、係合頭部22は、図2に示すように直交方向CDに長い楕円又は略楕円の形状を示す。この円盤状の係合頭部22は、ステム部21の上端(言い換えると、ステム部21と係合頭部22間の境界)に対して、外側へ向けて放射状に張り出して形成されている。なお、係合頭部の形状は、上方側から見たときに楕円又は略楕円を示す円盤の形状に限定されず、ステム部21の先端部からベース部11の表面と平行な方向に拡がって形成されていれば、上方側から見たときに真円、真円に近い形状、又は四角形等の多角形に近い形状を示す形状を有していてもよい。
各係合素子20には、係合頭部22の外周縁部から、直交方向CDに沿って互いに反対向きに突出する左右一対の微小な爪部23が設けられている。この場合、左右の爪部23は、直交方向CDに長い係合頭部22の左右端部に配されている。また、係合頭部22の外周縁部は、爪部23が設けられていない非形成領域を有しており、本実施形態において、係合頭部22における爪部23の非形成領域は、機械方向MDに向いて配されている。
左右の各爪部23は、図3に示したように、係合頭部22の外周縁部から突出方向の先端部に向けて、ベース部11に近付くように斜め下方に垂れる形状を有する。また、各爪部23は、係合素子20を上方側から見た平面視において、爪部23の係合頭部22に接続する基端部が、係合頭部22の機械方向MDにおける寸法の最大値よりも小さくなるような、好ましくは当該最大値の2/3以下となるような微小なサイズに形成されている。
このような微小な爪部23が各係合素子20に設けられていることにより、面ファスナー10にループ部材を係合させたときに、係合素子20に係合したループ部材のループが爪部23に引っ掛かり易くなるため、ループを係合素子20からより外れ難くすることができる。また、爪部23が係合頭部22に対して微小なサイズで形成されていることにより、爪部23の設置が面ファスナー10の上面側における肌触り又は感触に与える影響を小さく抑えることができる。
なお本発明において、係合頭部は、ステム部の上端部から上下方向に直交する方向に拡がる形状に形成されていれば、係合頭部の形状及び大きさは特に限定されない。更に、爪部の形状、爪部の設置数、及び爪部の係合頭部からの突出方向等も特に限定されない。また、係合素子は、爪部を設けずに形成されていてもよい。1つの面ファスナーには、互いに形状が異なる複数種類の係合素子が設けられていてもよい。
次に、上述した本実施形態の面ファスナー10を製造する製造装置50について、図5及び図6を参照しながら説明する。
本実施形態の製造装置50は、一次成形を行う成形装置60と、成形装置60により成形された一次成形体40(図7を参照)に対して二次成形を行って二次成形体(プレファスナー体)を成形する加熱押圧装置70と、得られた二次成形体に延伸加工を行う延伸装置80とを有する。なお本発明において、プレファスナー体とは、延伸加工を行って面ファスナー10を製造する場合に、延伸加工が施される前の成形体又は部材を意味する。
成形装置60は、一方向(図面では反時計回り方向)に駆動回転するダイホイール61と、ダイホイール61の周面に対向して配され、溶融した合成樹脂材料を連続して供給する供給ノズル65と、供給ノズル65よりもダイホイール61の回転方向下流側に配されるピックアップローラー66とを有する。
ダイホイール61は、金型となる円筒状の外側スリーブ(外側円筒体)62と、外側スリーブ62の内側に密接して配される円筒状の内側スリーブ(内側円筒体)63と、外側スリーブ62及び内側スリーブ63を一方向に回転させる駆動ローラー64とを備える。駆動ローラー64の内部には、冷却液を流通させる図示しない冷却ジャケットが設けられている。
外側スリーブ62には、外側スリーブ62の外周面から内周面に貫通する複数の貫通孔62aが、一次成形体40の後述する一次ステム部43を成形するキャビティとして形成されている。各貫通孔62aは、外側スリーブ62の外周面における円形が、外側スリーブ62の内周面における円形よりも大きく形成される略円錐台の形状を有する。
外側スリーブ62に設けられる複数の貫通孔62aの形成位置は、作製される二次成形体において係合素子20が配設される位置に対応している。貫通孔62aの形成位置について具体的に説明すると、複数の貫通孔62aは、例えば図6に示すように、外側スリーブ62に千鳥状の配置パターンで規則的に整列して設けられている。この場合、貫通孔62aは、機械方向MDに沿って一定のピッチ間隔で配置されることにより、孔列62bを形成している。複数の孔列62bは、直交方向CDに一定の間隔で配置されている。各孔列62bの貫通孔62aは、直交方向CDに隣り合う孔列62bの貫通孔62aの位置に対し、貫通孔62aの位置を機械方向MDに1/2のピッチ間隔の大きさでずらされた位置に配されている。これによって、複数の貫通孔62aは、左右方向に互いに隣接する孔列62b間において、互い違いに又はジグザグ状に配置されている。
また、複数の貫通孔62aは、機械方向MDに関して、各貫通孔62aの形成範囲62cが、直交方向CDに隣り合う孔列62bの貫通孔62aの形成範囲62cに対して重なる部分を有する位置に配されている。このような位置関係で複数の貫通孔62aが外側スリーブ62に形成されていることにより、面ファスナー10を製造したときに、複数の係合素子20を、直交方向CDに隣り合う係合素子列26間で係合素子20の形成範囲27が互いに重なり合うように安定して配置できる。
内側スリーブ63の外周面には、複数の凹溝部が形成されている。各凹溝部は、内側スリーブ63の中心軸と平行な直交方向CDに沿って直線状に、また、溶融した合成樹脂が流入可能な大きさで凹設されている。凹溝部は、内側スリーブ63の周方向(機械方向MD)に沿って一定の間隔で形成されている。また、内側スリーブ63の凹溝部の少なくとも一部は、ダイホイール61が組み立てられたときに、外側スリーブ62の内周面に形成された貫通孔62aの外周縁に交わるように設けられている。
なお本発明において、内側スリーブの外周面に設ける凹部の形態は、本実施形態のような直線状の凹溝部に限定されない。本発明では、例えばジグザグ状に屈曲した凹溝部や、内側スリーブの外周面から直方体等の立体形状で窪んで形成される凹陥部等が、内側スリーブの外周面に設けられていてもよい。また、ダイホイールは、本実施形態のように外側と内側の2つのスリーブを有するものではなく、例えば、外周面から内周面に貫通する複数の貫通孔と、内周面に設けられる複数の凹溝部とを有する1つのスリーブを有して形成されていてもよい。
ピックアップローラー66は、ダイホイール61の外周面部で成形される一次成形体40を上下から挟持して引っ張る一対の上側挟持ローラー67及び下側挟持ローラー68を有する。上側挟持ローラー67及び下側挟持ローラー68の各外周面部には、ポリウレタンエラストマー等のエラストマーにより形成される図示しない表面層が設けられている。
加熱押圧装置70は、ピックアップローラー66の下流側に配される上下一対の押圧ローラー(カレンダローラー)71,72を有する。上側押圧ローラー71と下側押圧ローラー72とは、所定の間隔を開けて対向して配されている。上側押圧ローラー71及び下側押圧ローラー72間の間隔は、図示しない高さ調整手段により調整可能である。
上側押圧ローラー71は、内部に図示しない加熱源を備えており、上側押圧ローラー71の表面温度は、面ファスナー10(一次成形体40)を形成する合成樹脂を軟化させることが可能な温度に設定される。なお本発明において、加熱押圧装置は、後述するように一次成形体40の少なくとも一部を押圧して係合素子を形成することが可能であれば、その構造は特に限定されない。
延伸装置80は、加熱押圧装置70で成形されたプレファスナー体(二次成形体)に、少なくとも延伸加工を行うために、加熱押圧装置70の下流側に設置されている。延伸装置80は、具体的な図示を省略するが、プレファスナー体を延伸装置80内に導入する供給部と、延伸加工された面ファスナー10を下流側に送り出す排出部と、供給部及び排出部間に加工対象部材(すなわち、プレファスナー体又は面ファスナー10)の搬送路に沿って配される複数の回転ローラーとを有する。
各回転ローラーは、加工対象部材を接触させながら回転することにより、加工対象部材をその回転速度に応じた速度で下流側に向けて搬送可能に形成されている。また、少なくとも一部の回転ローラーは、加工対象部材をローラー外周面に接触させることによって、予め設定された加熱温度で加工対象部材を加熱可能に形成されている。
延伸装置80の回転ローラーには、プレファスナー体に加熱処理を行う加熱ローラーと、加熱ローラーとの間でプレファスナー体を延伸加工する延伸ローラーと、延伸ローラーの下流側に配される緩和ローラーとが含まれる。この場合、加熱ローラー、延伸ローラー、及び緩和ローラーは、加工対象部材の搬送路を上下に蛇行させるように設置される。
加熱ローラーは、一定の回転速度で回転することによってプレファスナー体を搬送するとともに、プレファスナー体をローラー表面に接触させることによって加熱する。また、加熱ローラーには、加熱ローラーに対向して配される支持ローラー(ニップローラー)が設けられており、加熱ローラーと支持ローラーは、プレファスナー体を上下から挟んで保持しながら、それぞれ一定の速度で回転する。この加熱ローラーによって、延伸加工を行う前のプレファスナー体を、延伸可能な温度に加熱できる。なお本実施形態において、延伸加工前の加熱処理を行う手段及び方法は特に限定されない。
延伸ローラーは、加工対象部材をローラー表面に接触させながら、加熱ローラーよりも速い回転速度で回転するように制御される。例えば本実施形態において、延伸ローラーの回転速度は、加熱ローラーの回転速度の110%以上200%以下に設定される。また、延伸ローラーの加熱温度は、加熱ローラーの加熱温度以上に、且つ、面ファスナー10を形成する合成樹脂の融点よりも低く設定される。これにより、加熱ローラーと延伸ローラーとの間で、プレファスナー体に延伸加工を行うことができる。この延伸加工によって、プレファスナー体の後述する仮ベース部41が機械方向MDに沿って延伸されて、面ファスナー10のベース部11が形成される。
緩和ローラーは、加工対象部材をローラー表面に接触させながら、延伸ローラーよりも遅い回転速度で回転するように制御される。緩和ローラーの加熱温度は、面ファスナー10を形成する合成樹脂の融点よりも低く設定される。これにより、延伸ローラーと緩和ローラーとの間で、面ファスナー10に加えられる張力を弱めて、面ファスナー10の形状及び寸法を安定させることができる。
なお、上述した本実施形態の延伸装置80の構造は一例に過ぎない。本発明において、延伸装置は、少なくとも成形装置の下流側に配され、且つ、一次成形装置又は加熱押圧装置から送り出されるプレファスナー体等の成形体を機械方向MDに沿って延伸可能に形成されていれば、その構造は特に限定されない。
次に、上述した製造装置50を用いて面ファスナー10を製造する方法について説明する。
本実施形態の製造方法は、一次成形装置60を用いて図7に示すような一次成形体40を成形する一次成形工程と、加熱押圧装置70を用いて一次成形体40の一部を変形させることによって係合素子20を備えたプレファスナー体(不図示)を成形する二次成形工程と、延伸装置80を用いてプレファスナー体に機械方向MDに沿った延伸加工を行って面ファスナー10を形成する延伸工程とを含む。
一次成形工程では、溶融した合成樹脂を供給ノズル65からダイホイール61の外周面に向けて連続的に供給する。これにより、供給ノズル65とダイホイール61との間で仮ベース部41が連続的に成形される。また、ダイホイール61の外側スリーブ62に設けた貫通孔62aと内側スリーブ63に設けた凹溝部とにより、複数の一次素子(仮素子)42が仮ベース部41と一体的に成形される。従って、この一次成形工程によって、図7に示す一次成形体40が成形される。
このとき成形される一次成形体40は、平板状の仮ベース部41と、仮ベース部41の上面に突出する複数の一次素子42とを有する。仮ベース部41は、製造される面ファスナー10のベース部11よりも厚く形成される。
一次素子42は、二次成形工程で二次成形(押圧成形)が施されることにより、係合素子20に変形する。複数の一次素子42は、仮ベース部41に千鳥状の配置パターンで設けられる。各一次素子42は、仮ベース部41から突出する円錐台状の一次ステム部43と、一次ステム部43の上面から上方に部分的に膨出する棒状のリブ部44と、リブ部44と一体的に形成されるとともにリブ部44の両端部から突出する2つの突出部(一次爪部)45とを有する。リブ部44及び左右の突出部45は、直交方向CDに沿って形成されている。また、左右の突出部45は、一次ステム部43の上端面よりも外側に突出している。
また、複数の一次素子42は、外側スリーブ62に設けられる複数の貫通孔62aの形成位置に対応して設けられるため、各一次素子42の一次ステム部43の機械方向MDにおける形成範囲は、直交方向CDに隣り合う素子列間で互いに重なり合うように形成されている。なお、一次素子42は、一次ステム部43の上面から上方に部分的に膨出する2つの突出部(一次爪部)45を有していてもよい。この場合、後述する二次成形工程において、係合頭部22の外周縁部から外側に向けて突出する4つの微小な爪部23が形成される。
本実施形態の一次成形工程では、溶融した合成樹脂が、ダイホイール61の外周面に担持されて冷却されながら半回転することにより、上述した一次成形体40が成形される。その後、一次成形体40は、ピックアップローラー66によってダイホイール61の外周面部から連続的に引き剥がされる。
次に、ダイホイール61から引き剥がされた一次成形体40は、二次成形工程を行う加熱押圧装置70に向けて搬送され、加熱押圧装置70の上側押圧ローラー71と下側押圧ローラー72の間に導入される。
加熱押圧装置70による二次成形工程では、一次成形体40の仮ベース部41が下側押圧ローラー72によって下方から支持される。また、一次成形体40の各一次素子42の少なくとも上端部が、上側押圧ローラー71によって加熱されて軟化するとともに、上方から押圧される。これにより、一次素子42から、二次素子(不図示)が成形されるため、仮ベース部41に複数の二次素子が一体的に形成されたプレファスナー体が作製される。
この二次成形工程で成形される二次素子は、その図示を省略するものの、仮ベース部41から立ち上がる略円錐台状の二次ステム部と、二次ステム部の上端部に一体的に形成される係合頭部22と、係合頭部22の外周縁部から外側に向けて突出する2つの微小な爪部23とを有する。
この場合、各二次素子の二次ステム部は、上下方向に直交する断面が円形又は略円形を呈するとともに、その断面の直径が仮ベース部41から離れるにつれて徐々に小さくなる形状を有する。また、二次素子を機械方向MDから見たときの二次ステム部の形状と、二次素子を直交方向CDから見たときの二次ステム部の形状とは、互いに同じ又は略同じ形状に形成される。各二次素子に設けられる係合頭部22及び爪部23は、図1~図4に示す係合素子20の係合頭部22及び爪部23と実質的に同様の形状及び大きさで形成される。
二次成形工程が行われた後、加熱押圧装置70から送り出されたプレファスナー体は、延伸装置80に搬送される(図5を参照)。延伸装置80では、図示しない供給部からプレファスナー体が延伸装置80内に導入され、プレファスナー体に対し、加熱ローラーによる加熱処理(加熱工程)、加熱ローラーと延伸ローラーとの間で行われる延伸加工(延伸工程)、及び延伸加工後の緩和処理(緩和工程)が順番に施される。
延伸装置80における加熱処理では、プレファスナー体を加熱ローラーのローラー表面に接触させることにより、プレファスナー体を延伸加工可能な温度に加熱する。
プレファスナー体が加熱ローラーを通過した後、プレファスナー体に対し、加熱ローラーと、加熱ローラーよりも早い回転速度で回転する延伸ローラーとの間で、プレファスナー体を機械方向MDに沿って延伸する延伸加工(一軸延伸加工)が行われる。この延伸加工により、プレファスナー体の仮ベース部41を機械方向MDに延伸して、面ファスナー10が備えるベース部11を形成できる。この延伸加工後に得られるベース部11の上面及び下面間の厚さは、二次成形工程後の仮ベース部41の上面及び下面間の厚さよりも薄くされている。
更に、本実施形態の延伸加工では、仮ベース部41を延伸するときに、二次素子における二次ステム部の下端部を、仮ベース部41とともに機械方向MDに延伸する加工条件で行われる。この場合、延伸加工の加工条件には、例えば、プレファスナー体の加熱温度、加熱ローラーの回転速度、延伸ローラーの回転速度等のうちの少なくとも1つが含まれる。
この延伸加工により二次ステム部の下端部を延伸することによって、略円錐台状の二次ステム部を機械方向MDに延ばして、ベース部11との連結部が機械方向MDに長い楕円又は略楕円の形状を有するステム部21に変形させることができる。また、ステム部21を、上述した第1形状31と第2形状32とが互いに異なる形状に形成できる。その結果、二次成形工程で成形された二次素子から、図1~図4に示すような形状を有する係合素子20が成形される。
更に、この延伸加工では、ベース部11に、機械方向MDに沿った破断を生じさせ難くすることができる。なお、この破断を生じさせ難くする理由については明らかではないが、その理由の1つとして、本実施形態では、プレファスナー体における二次素子においても、また、製造される面ファスナー10の係合素子20においても、二次ステム部又はステム部21の形成範囲27が、直交方向CDに隣り合う素子列間で互いに重なり合っていることが考えられる。
例えば、仮ベース部の二次ステム部が設けられていない部分、又はベース部11のステム部21が設けられていない部分が、直交方向CDに沿って連続的に形成されるような場合、仮ベース部又はベース部11の強度が、二次ステム部又はステム部21が設けられていない部分で局部的に低下し、また、その強度が低下する部分が機械方向MDに一定の周期で仮ベース部又はベース部11に形成される可能性がある。これに対し、本実施形態のように、二次ステム部又はステム部21の形成範囲27が、直交方向CDに隣り合う素子列間で互いに重なり合うことにより、仮ベース部又はベース部11の強度が局部的に低下することを抑制できる。このため、延伸加工において、ベース部11に機械方向MDの破断を生じさせ難くすることができると考えられる。
以上のような延伸加工を行うことによって、プレファスナー体から、本実施形態の面ファスナー10を得ることができる。なお、この延伸加工では、プレファスナー体の仮ベース部41を機械方向MDに沿って延伸して薄くするとともに、略円錐台状の二次ステム部から機械方向MDに長いステム部21を成形することが可能であれば、延伸加工の方法、手段、及び条件等は特に限定されない。
上述の延伸加工を行った後、ベース部11及び係合素子20を有する面ファスナー10に対して緩和処理を行う。この緩和処理では、面ファスナー10を、延伸ローラーと、延伸ローラーよりも遅い回転速度で回転する緩和ローラーとの間で、面ファスナー10に加えられる張力が弱められた状態で搬送する。これにより、面ファスナー10の形状を安定させることができる。
その後、緩和ローラーを通過した面ファスナー10は、延伸装置80の排出部から外側に送り出される。また、延伸装置80から排出された面ファスナー10は、例えば回収ローラー等にロール状に巻き取られて回収される。また、面ファスナー10は、延伸装置80から図示しない切断部に向けて搬送され、その切断部にて所定の幅寸法及び/又は長さ寸法に切断された後に回収されてもよい。
以上に説明した一次成形工程、二次成形工程、及び延伸工程を含む製造方法を行うことによって、図1~図4に示す本実施形態の面ファスナー10が製造される。
製造された本実施形態の面ファスナー10では、各係合素子20のステム部21が、図3及び図4に示したように、係合素子20を機械方向MDから見たときの第1形状31と、係合素子20を直交方向CDから見たときの第2形状32とが互いに異なるような方向性(すなわち、機械方向MDと直交方向CDとの違い)が設けられた構造を有している。
特に本実施形態では、ステム部21のベース部11に連結する連結部が、機械方向MDに長い楕円又は略楕円の形状に形成されており、また、直交方向CDに隣り合う係合素子列26間において、機械方向MDにおけるステム部21の形成範囲27が互いに重なるように面ファスナー10が形成されている。これにより、上述したように、ベース部11が上述した延伸加工によって薄く形成されていても面ファスナー10のベース部11に力が加えられたときに(例えば面ファスナー10の製造工程における延伸加工のときに)、ベース部11に機械方向MDに沿った破断を生じさせ難くすることができる。
更に本実施形態の面ファスナー10では、各係合素子20が機械方向MDと直交方向CDとにおいて互いに異なる構造を有することにより、以下に説明するように、機械方向MDと直交方向CDとにおいて異なる性質を示すことができる。
例えば、ループ部材に対する面ファスナー10の剥離強度について、面ファスナー10を機械方向MDに沿って剥離するときの強度をMD剥離強度と規定し、また、面ファスナー10を直交方向CDに沿って剥離するときの強度をCD剥離強度と規定する。この場合、本実施形態の面ファスナー10は、方向性が設けられた構造を有することによって、以下に説明するように、CD剥離強度がMD剥離強度よりも大きくなる性質を備えている。
ここで、面ファスナー10のCD剥離強度とMD剥離強度を測定する方法について、図8及び図9を参照しながら説明する。
面ファスナー10のCD剥離強度を測定する場合、先ず、面ファスナー10から、例えば図8に示すように、機械方向MDの寸法が直交方向CDの寸法よりも長くなる細長い切断片91を切り取って作製する。更に、その切断片91を支持部材92に接着することによって、面ファスナー10側の第1試験片93を作製する。また、所定の目付で形成されたループ部材を所定の形状及び大きさに切断することにより、第1試験片93の切断片91(面ファスナー10)に係合させる第2試験片94を作製する。
次に、第1試験片93に設けた面ファスナー10を第2試験片94に係合させ、更に、第2試験片94を図9に示すようにU字状に折り返す。続いて、第1試験片93と第2試験片94とをそれぞれ一対の図示しないクランパーで把持し、その後、第1試験片93を把持したクランパーと、第2試験片94を把持したクランパーとを互いに離間する向きに一定の速度で移動させる。これによって、係合状態にある第1試験片93及び第2試験片94に対し、図9に矢印で示すような負荷を徐々に加えることができる。そして、負荷を加え始めてからの50mm間の平均荷重を積分法にて算出する(ただし、解析は係合部分の3mmの位置から50mmの99%までの間で行う)。この算出した値を面ファスナー10の有効巾(cm)で除することによって、面ファスナー10のCD剥離強度(N/cm)が測定される。
一方、面ファスナー10のMD剥離強度を測定する場合には、面ファスナー10から、直交方向CDの寸法が機械方向MDの寸法よりも長くなる細長い切断片を切り取って作製する。更に、その面ファスナーの切断片を支持部材に接着することによって、面ファスナー10側の第1試験片を作製する。その後、CD剥離強度を測定する場合と同様に第2試験片を作製する。得られた第1試験片と第2試験片とを用いて、CD剥離強度を測定する場合と同様の測定を行うことにより、面ファスナー10のMD剥離強度(N/cm)が測定される。
本実施形態の面ファスナー10では、係合素子20の爪部23が直交方向CDに沿って突出しているため、面ファスナー10を直交方向CDに沿うようにループ部材に係合させるときに、係合素子20の爪部23にループ部材のループを引っ掛け易くすることができる。更に、係合素子20を機械方向MDから見たときのステム部21の第1形状31が、係合素子20を直交方向CDから見たときのステム部21の第2形状32よりも細く形成されているため、各係合素子20が、上述したように、機械方向MDよりも直交方向CDに撓み易く形成されている。このように係合素子20のステム部21が直交方向CDに撓み易いことにより、面ファスナー10を直交方向CDに沿うようにループ部材に係合させるときに、例えば面ファスナー10を機械方向MDに沿うように係合させる場合に比べて、係合素子20をループ部材のループ間に、ステム部21の撓みを利用してより深く入り込ませることができる。このため、各係合素子20をよりしっかりとループ部材に係合させることが可能となる。
従って、本実施形態の面ファスナー10は、MD剥離強度とCD剥離強度とを測定して比べたときに、CD剥離強度がMD剥離強度よりも高くなる性質を備えている。例えば本実施形態の面ファスナー10の場合、CD剥離強度及びMD剥離強度をそれぞれ複数回測定して、その平均値を求めた結果、CD剥離強度が0.53N/cmであり、MD剥離強度が0.02N/cmであった。このため、CD剥離強度は、MD剥離強度の10倍以上の大きさであることが確認された。なお、本実施形態においては、各係合素子20が機械方向MDと直交方向CDとにおいて異なる構造を有していても、面ファスナー10の剪断強度には方向性の差が見られなかった。
このようにMD剥離強度よりも高いCD剥離強度を備える本実施形態の面ファスナー10を、例えば使い捨ておむつに使用する場合には、面ファスナー10を、ループ部材への係合・剥離が面ファスナー10の直交方向CDに沿って行われる向き(すなわち図8に示すような向き)で、使い捨ておむつに取り付けることが好ましい。これにより、面ファスナー10を使い捨ておむつのループ部材に係合させたときに、面ファスナー10の高いCD剥離強度により、面ファスナー10とループ部材の係合状態を安定して維持し、面ファスナー10をループ部材から簡単に剥がれないようにすることができる。その結果、おむつの取付状態を、面ファスナー10とループ部材との係合によって安定して保持できる。
更に、例えば使い捨ておむつの取付状態を直したい場合等では、面ファスナー10を強く引っ張ってループ部材から剥離し、その後、面ファスナー10をループ部材の適切な位置に改めて係合させることがある。このような場合に、本実施形態の面ファスナー10では、係合素子20が上述のように直交方向CDに撓み易く形成されているため、面ファスナー10を強い力でめくってループ部材から剥離するときに、ステム部21の直交方向CDへの撓みを利用することによって、ループ部材のループを係合素子20から円滑に外し易くすることができる。その結果、剥離時に、ループ部材のループに破壊や損傷を生じさせ難くすることができるため、面ファスナー10とループ部材との係合・剥離を安定して繰り返すことが可能となる。更に、係合・剥離が繰り返される場合でも、その面ファスナー10とループ部材との間の係合強度を低下させ難くすることもできる。
また、係合素子20が上述のように直交方向CDに撓み易く形成されていることにより、面ファスナー10を強く引っ張ってループ部材から剥離させるときに、上述したようにステム部21の撓みによりループ部材のループを係合素子20から円滑に外すことができる。そのため、延伸によってベース部11の直交方向CDにおける引き裂き強度が低下していたとしても、ループ部材に係合している面ファスナー10に対して、大きな力が加えられたときには、係合素子20とループ部材の係合が解除されるため、直交方向CDにおけるベース部11の引き裂きを防ぐことができる。
本実施形態の面ファスナー10では、各係合素子20が機械方向MDと直交方向CDとにおいて異なる構造を有することにより、以下に説明するように、面ファスナー10の直交方向CDに沿った部分を上下方向に湾曲させるときのCD柔軟性が、面ファスナー10の機械方向MDに沿った部分を上下方向に湾曲させるときのMD柔軟性よりも高くなる性質を備えている。
ここで、面ファスナー10のMD柔軟性とCD柔軟性を測定する方法について、図10及び図11を参照しながら説明する。
図10は、柔軟性試験装置の作動前の状態を示す。図11は、柔軟性試験装置を作動させて面ファスナー10を加圧した状態を示す。
MD柔軟性を測定する場合、面ファスナー10を切断して、機械方向MDが直交方向CDよりも長くなる長尺の試験片101を作製する。また、CD柔軟性を測定する場合、面ファスナー10を切断して、直交方向CDが機械方向MDよりも長くなる長尺の試験片101を作製する。
得られた試験片101を、試験片101の長さ方向における中央付近でベース部11の表裏方向にループ状に丸めるように曲げることによって、試験片101にループ部102を形成する。このとき、試験片101は、面ファスナー10の係合素子20がループ部102の内周側に配されるように曲げられる。更に、ループ部102を形成した試験片101の長さ方向の両端部を重ね合わせることによって重なり部103を形成する。この場合、例えばループ部102の長さが100mm、重なり部103の長さが20mm以上となるように試験片101が曲げられる。
柔軟性の試験装置は、上下に移動する移動部材104と、移動部材104に取り付けられ、試験片101のループ部102を加圧する加圧子106と、試験片101の重なり部103を固定するクランプ107と、クランプ107に取り付けられ、荷重を電気信号に変換するロードセル105とを有する。
クランプ107は、試験片101のループ部102を加圧子106に向けて突出させるようにして試験片101の重なり部103を挟んで保持することによって、試験片101を支持する。この状態で、移動部材104を上方へ移動させる。移動部材104が上方へ移動すると、加圧子106も上方へ移動するため、図11に示すように、加圧子106が試験片101のループ部102を押圧する。更に、移動部材104を所定の位置まで上方へ移動させた後、ロードセル105によって移動範囲内での最大荷重を測定する。このような最大荷重の測定を、機械方向MDが長い試験片101と、直交方向CDが長い試験片101とに対してそれぞれ複数回ずつ行い、その平均値をMD柔軟性及びCD柔軟性として求めた。なお、この平均値が小さいほど、面ファスナー10は柔軟性に優れている。
本実施形態の面ファスナー10では、図2に示すように、各係合素子20の係合頭部22が直交方向CDに長い楕円又は略楕円の形状に形成されているものの、ステム部21のベース部11に連結する連結部は、機械方向MDに長い楕円又は略楕円の形状を有する。また、機械方向MDにおける各係合素子20のステム部21の形成範囲27が、直交方向CDに隣り合う係合素子列26間で重なり合っている。このため、本実施形態の面ファスナー10は、MD柔軟性とCD柔軟性とを測定して比べたときに、CD柔軟性がMD柔軟性よりも小さい値を示す性質、すなわち、面ファスナー10の柔軟性が、機械方向MDよりも直交方向CDに優れている性質を備えている。例えば本実施形態の面ファスナー10の場合、CD柔軟性及びMD柔軟性を測定した結果、MD柔軟性が0.07の値を示し、CD柔軟性が、MD柔軟性よりも小さな0.05の値を示すことが確認された。
このようにCD柔軟性がMD柔軟性よりも優れている本実施形態の面ファスナー10を、例えば使い捨ておむつに使用する場合、面ファスナー10を、ループ部材に対する係合・剥離が面ファスナー10の直交方向CDに沿って行われる向きで、使い捨ておむつに取り付けることが好ましい。これにより、面ファスナー10を使い捨ておむつのループ部材に係合させるとき、また、面ファスナー10をループ部材から剥離するときに面ファスナー10がベース部11の表裏方向(上下方向)に曲げ易くなるため、面ファスナー10の取り扱い易さを向上させて、使い捨ておむつの取り付け・取り外しをより行い易くすることができる。
更に、延伸によってベース部11の直交方向CDにおける引き裂き強度が低下していたとしても、ベース部11に大きな力が加えられたときにはベース部11が表裏方向(上下方向)に曲げられるため、直交方向CDにおけるベース部11の引き裂きを防ぐこともできる。また、面ファスナー10のMD柔軟性の値が大きいため、例えば赤ちゃんを抱きあげたときや洋服を脱がせる際に、洋服と使い捨ておむつが擦れてMD方向に面ファスナー10が捲れ上がることを防ぐことができる。
なお、上述した実施形態における二次成形体は、成形装置60を用いる一次成形工程と、加熱押圧装置70を用いる二次成形工程とを行うことによって作製されている。しかし本発明において、延伸加工が施される成形体を成形する方法及び手段は特に限定されない。本発明では、例えば、上述した実施形態のような熱変形を生じさせる二次成形工程を行うことなく、ステム部及び係合頭部を備えた係合素子を成形可能なキャビティが設けられた成形装置を用いて成形工程を行うことによって、延伸加工が施される成形体を直接成形してもよい。
10 面ファスナー
11 ベース部
20 係合素子
21 ステム部
21a ステム部の外面
22 係合頭部
23 爪部
26 係合素子列
27 形成範囲
31 第1形状
32 第2形状
40 一次成形体
41 仮ベース部
42 一次素子(仮素子)
43 一次ステム部
44 リブ部
45 突出部(一次爪部)
50 製造装置
60 成形装置
61 ダイホイール
62 外側スリーブ(外側円筒体)
62a 貫通孔
62b 孔列
62c 貫通孔の形成範囲
63 内側スリーブ(内側円筒体)
64 駆動ローラー
65 供給ノズル
66 ピックアップローラー
67 上側挟持ローラー
68 下側挟持ローラー
70 加熱押圧装置
71 上側押圧ローラー(カレンダローラー)
72 下側押圧ローラー(カレンダローラー)
80 延伸装置
91 切断片
92 支持部材
93 第1試験片
94 第2試験片
101 試験片
102 ループ部
103 重なり部
104 移動部材
105 ロードセル
106 加圧子
107 クランプ
MD 機械方向
CD 直交方向
D1 第1寸法
D2 第2寸法

Claims (7)

  1. ベース部(11)と、前記ベース部(11)に一体的に形成される複数の係合素子(20)とを有し、各係合素子(20)は、前記ベース部(11)の表面から前記ベース部(11)の厚さ方向に突出するステム部(21)と、前記ステム部(21)の先端部に形成される係合頭部(22)とを有し、前記ステム部(21)の少なくとも上端部における前記厚さ方向に直交する断面は、円形又は円形に近い形状を有し、前記係合頭部(22)は、前記ステム部(21)の先端部から前記厚さ方向に直交する方向の全体に拡がる形状を有する合成樹脂製の面ファスナー(10)であって、
    前記ステム部(21)の下半部は、前記係合素子(20)を機械方向(MD)から見た第1形状(31)において、前記機械方向(MD)に直交する直交方向(CD)に向く外面(21a)がストレート状又は略ストレート状に形成される部分を含み、且つ、前記係合素子(20)を前記直交方向(CD)から見た第2形状(32)において、前記機械方向(MD)に向く外面(21a)が前記ベース部(11)の表面に向けて湾曲する部分を含み、
    前記第2形状(32)における前記外面(21a)の湾曲する曲線部分は、前記ステム部(21)の下半部における上下方向の範囲の30%以上に亘って設けられ、
    前記ステム部(21)の前記ベース部(11)に連結する連結部は、前記機械方向(MD)に長い楕円又は略楕円の形状を有する
    ことを特徴とする面ファスナー。
  2. 前記ステム部(21)は、前記第2形状(32)において、前記機械方向(MD)に向く前記外面(21a)がストレート状又は略ストレート状に形成される部分を、前記ステム部(21)の上半部に含み、
    前記第2形状(32)のストレート状又は略ストレート状に形成される部分は、前記第1形状(31)のストレート状又は略ストレート状に形成される部分よりも短い範囲に形成されている
    請求項1記載の面ファスナー。
  3. ベース部(11)と、前記ベース部(11)に一体的に形成される複数の係合素子(20)とを有し、各係合素子(20)は、前記ベース部(11)の表面から前記ベース部(11)の厚さ方向に突出するステム部(21)と、前記ステム部(21)の先端部に形成される係合頭部(22)とを有し、前記ステム部(21)の少なくとも上端部における前記厚さ方向に直交する断面は、円形又は円形に近い形状を有し、前記係合頭部(22)は、前記ステム部(21)の先端部から前記厚さ方向に直交する方向の全体に拡がる形状を有する合成樹脂製の面ファスナー(10)であって、
    前記係合素子(20)を機械方向(MD)から見たときに、前記ステム部(21)の前記ベース部(11)に連結する連結部における前記機械方向(MD)に直交する直交方向(CD)の長さを第1寸法(D1)とし、前記係合素子(20)を前記直交方向(CD)から見たときに、前記ステム部(21)の前記連結部における前記機械方向(MD)の長さを第2寸法(D2)とした場合、前記ステム部(21)は、前記第2寸法(D2)が前記第1寸法(D1)よりも大きい形状を有し、
    前記ステム部(21)の下半部は、前記係合素子(20)を前記直交方向(CD)から見た第2形状(32)において、前記機械方向(MD)に向く外面(21a)が前記ベース部(11)の表面に向けて湾曲する部分を含み、
    前記第2形状(32)における前記外面(21a)の湾曲する曲線部分は、前記ステム部(21)の下半部における上下方向の範囲の30%以上に亘って設けられ、
    互いに係合する前記面ファスナー(10)とループ部材とが前記機械方向(MD)及び前記直交方向(CD)に沿って剥離されるときの前記面ファスナー(10)における剥離強度を、それぞれMD剥離強度及びCD剥離強度と規定した場合、前記ステム部(21)は、前記第2寸法(D2)が前記第1寸法(D1)よりも大きいことにより、前記CD剥離強度が前記MD剥離強度よりも大きくなる形状を有する
    ことを特徴とする面ファスナー。
  4. ベース部(11)と、前記ベース部(11)に一体的に形成される複数の係合素子(20)とを有し、各係合素子(20)は、前記ベース部(11)の表面から前記ベース部(11)の厚さ方向に突出するステム部(21)と、前記ステム部(21)の先端部に形成される係合頭部(22)とを有し、前記ステム部(21)の少なくとも上端部における前記厚さ方向に直交する断面は、円形又は円形に近い形状を有し、前記係合頭部(22)は、前記ステム部(21)の先端部から前記厚さ方向に直交する方向の全体に拡がる形状を有する合成樹脂製の面ファスナー(10)であって、
    前記ステム部(21)の下半部は、前記係合素子(20)を機械方向(MD)に直交する直交方向(CD)から見た第2形状(32)において、前記機械方向(MD)に向く外面(21a)が前記ベース部(11)の表面に向けて湾曲する部分を含み、
    前記第2形状(32)における前記外面(21a)の湾曲する曲線部分は、前記ステム部(21)の下半部における上下方向の範囲の30%以上に亘って設けられ、
    前記ステム部(21)の前記ベース部(11)に連結する連結部は、前記機械方向(MD)に長い楕円又は略楕円の形状を有し、
    前記面ファスナー(10)の前記直交方向(CD)に沿った部分を前記厚さ方向に湾曲させるときのCD柔軟性は、前記連結部が前記機械方向(MD)に長い楕円又は略楕円の形状を有することにより、前記面ファスナー(10)の前記機械方向(MD)に沿った部分を前記厚さ方向に湾曲させるときのMD柔軟性よりも優れている
    ことを特徴とする面ファスナー。
  5. 複数の前記係合素子(20)は、前記機械方向(MD)に沿って一定のピッチ間隔で一列に配されることにより素子列(26)を形成し、
    複数の前記素子列(26)は、前記直交方向(CD)に一定の間隔で配置され、
    各素子列(26)の前記係合素子(20)は、前記直交方向(CD)に隣り合う前記素子列(26)の前記係合素子(20)の位置に対し、前記機械方向(MD)に前記ピッチ間隔の半分の大きさでずらされた位置に配され、
    前記係合素子(20)は、前記機械方向(MD)に関して、各係合素子(20)の前記ステム部(21)の形成範囲(27)が、前記直交方向(CD)に隣り合う前記素子列(26)における前記係合素子(20)の前記ステム部(21)の形成範囲(27)に対して重なる部分を有する位置に配されている
    請求項1~4の何れかに記載の面ファスナー。
  6. 各係合素子(20)は、前記係合頭部(22)の外周縁部から前記直交方向(CD)に突出する少なくとも1つの爪部(23)を有する
    請求項1~4の何れかに記載の面ファスナー。
  7. 前記係合素子(20)を前記機械方向(MD)から見た第1形状(32)では、前記ステム部(21)の前記直交方向(CD)に向く前記外面(21a)が、前記ステム部(21)の前記係合頭部(22)に連結する上端の位置から、前記ステム部(21)の前記ベース部(11)に連結する下端の位置までの略全体にかけて、ストレート状又は略ストレート状に形成され、
    前記第2形状(32)において、前記ステム部(21)の前記機械方向(MD)に向く前記外面(21a)がストレート状又は略ストレート状に形成される部分は、前記ステム部(21)の全体の高さ寸法の1/2以上、3/4以下の範囲に配されている
    請求項1~4の何れかに記載の面ファスナー。
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