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JP7725286B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents
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JP7725286B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置

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Description

本発明は、電子写真感光体、係る電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジ及び電子写真装置に関する。
電子写真感光体(以下、単に「感光体」ともいう)に関わる電子写真プロセスは、主に帯電・露光・現像・転写の4つのプロセスから成り、必要に応じてクリーニングや前露光などのプロセスが加わる。これらの中でも露光プロセスは、感光体の電荷分布を制御し、感光体表面を所望の電位分布にする、静電潜像形成の肝となるプロセスである。
この露光プロセスにおいて、電子写真装置の画像濃度を制御する方法としてアナログ諧調方式とデジタル諧調方式の2つの方式が存在する。アナログ諧調方式は、トナー非現像部(所謂白ベタ)からトナー最大現像部(所謂黒ベタ)までの濃度諧調を表現する方式である。アナログ諧調方式では、露光量を調節することで感光体表面の平均電位を、多段階的な値にし、現像プロセス時の感光体へのトナー現像量を制御する。他方デジタル諧調方式では、濃度諧調は黒ベタ1ドットの面積率を制御することで表現する。従って、デジタル諧調方式の場合は光照射された1ドット領域内は常に黒ベタであり、発光時の光量を常に最大に固定し、光照射部の感光体表面電位を最小にすることで、光照射部のトナー現像量を最大にする。
近年の電子写真装置で用いられる半導体レーザはスポット径が小さいため、デジタル諧調方式が主流である。一方、半導体レーザは、一般的に、そのスポット径-光量分布が釣り鐘型となる。そして、半導体レーザの1/e直径は典型的には数十μm~百μmであり、これは典型的な電子写真装置の解像度300dpi、600dpi、1200dpiの像における、それぞれの場合の1ドット長84μm、42μm、21μmと同程度である。従って、最大の光量で照射した場合であっても、1ドット中に、1/e直径から外れた低い光量で照射された箇所が生じる。そのため、デジタル諧調方式を採用しても、実際にはデジタル諧調とアナログ諧調の両方が混ざっており、両者の比重は画像形成時の線数に左右される。低線数であるほど画像周波数が低く相対的にスポット径が小さくなるためデジタル諧調に近づき、逆に高線数であるほど画像周波数が高く相対的にスポット径が大きくなるためアナログ諧調に近づく。
電子写真装置に用いられる電子写真感光体は、支持体上に感光層などの各種の層を形成してなるものが一般的である。また、電子写真感光体としては、低価格及び高生産性の観点から、支持体上に形成される層の主成分が樹脂である有機感光体が近年普及しており、中でも高感度及び材料設計の多様性の利点から、感光層が積層型感光層である有機感光体が主流である。積層型有機感光体は、光導電性染料や光導電性顔料などの電荷発生物質を含有する電荷発生層と、光導電性高分子や光導電性低分子などの電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とが積層されて構成される。
ところが、積層型有機感光体の電荷輸送層は樹脂を主成分とするが、一般に樹脂自体の電気抵抗が高いため、電荷輸送層が露光により発生した電荷をトラップしやすい。また電荷輸送層と電荷発生層の界面でも、両層のエネルギー準位の差異などに起因する障壁により、やはり発生電荷がトラップされやすい。このため、一般に、積層型有機感光体では、十分強い光を照射しても、残ってしまう表面電位(以下、「残電」と呼称する)が高いという問題がある。この問題は、感光体への照射露光量Iexp[μJ/cm]とその時の表面電位の絶対値Vexp[V]の関係性を示すグラフ(以下、「EVカーブ」と呼称する)において確認される。さらに、やはり上記トラップに起因して、積層型有機感光体では、帯電電位が半減するときの露光量I1/2[μJ/cm]付近でのEVカーブの直線性が、損なわれやすいという問題がある。
残電が低く0[V]に近いほど、デジタル諧調における黒ベタ1ドットは高濃度で安定する。他方、EVカーブの直線性が高いほど、露光量調節と表面平均電位の関係の線型性が高くなり、すなわち、トナー現像量と露光量との関係も線型に近づき、アナログ諧調が良化する。
従って、上記積層型有機感光体の問題、すなわち、残電の高さ、及びそのEVカーブの直線性の悪さは、それぞれ、デジタル諧調性、アナログ諧調性を損なう要因であったといえる。
また、近年、有機感光体の感度を高めるために、顔料分散系電荷発生層が用いられる。顔料分散系電荷発生層においては、樹脂中に分散された顔料と樹脂との界面がさらに、電荷をトラップするため、積層型有機感光体の上記の問題は、特に顕著である。したがって、積層型有機感光体では低残電特性、EVカーブの直線性、及び、高感度特性の全て満足させることは困難であった。
以上述べたように、デジタル諧調とアナログ諧調が混ざっている上記電子写真装置で良好な濃度諧調特性や文字品位を得るためには、デジタル諧調とアナログ諧調を両立させるような露光光量を設定する必要がある。その際、上記積層型有機感光体のEVカーブ上で、上記3特性(感度・残電・直線性)が満足されないと、そのような露光光量を設定することは難しい。特に、電子写真装置の小型化及び低コスト化の要求に応えるために省スペースの光学系や廉価なレーザチップを用いると、露光スポットが大きくなるため、アナログ諧調性が強くなる。そのような場合、アナログ諧調性を維持しながら低線数ハーフトーンのデジタル諧調特性や文字品位を高めることは困難であり、積層型有機感光体の改善による解決が求められている。
特許文献1には、チタニルフタロシアニンを用いた電荷発生層を400[nm]の膜厚で形成することで、高感度でありながら、湿度変化の影響を受けにくい感光体を得られたことを記載する。この感光体は、絶対値が700[V]の電位に帯電された感光体に波長が780[nm]で強度が0.15[mW/cm]の光を照射したときの半減露光量が小さく、かつ、湿度変化に対して露光電位の変化が小さいことが記載されている。
特許文献2には、EVカーブ上の半減露光量付近での直線性と、半減露光量の2倍程度の露光量での表面電位の値、及び感光層膜厚に依存して帯電電位と像露光量を決定する画像形成方法及び画像形成装置が記載されている。半減露光量の2倍程度の露光量での表面電位は残電に近い。したがって、特許文献2はEVカーブの直線性と残電から、適切な像露光量を文献中の式(1)によって決定する方法と言える。これにより、長寿命化を目的として感光層の膜厚を厚くした場合であっても、使用開始時から長期に渡って高解像度かつ高精細再現性を保つ感光体が実現される。
特許文献3には、帯電電位の絶対値が600[V]の場合に、EVカーブ上の半減露光量付近での直線性が高い感光体が記載されている。これにより、デジタル潜像を形成するドット1つ1つを忠実に現像でき、解像度や諧調性に優れる高画質な画像を高速で出力できる。
特許文献4には、表面電位を-50[V]とするのに必要な露光量E50で半減露光量E1/2を除した値が0.25以上である感光体が記載されている。残電が低いほどE50は小さく、直線性が高いほどE1/2は大きいため、これはEVカーブ上で残電が低く、かつ直線性が高いことを意味している。これにより、良好な表面電位減衰特性が得られ、画像の諧調性が高まる。
特許文献5には、EVカーブ上の半減露光量~1/5露光量の範囲の直線性が高い感光体が記載されている。これにより、1ドット画素の静電荷像が安定して再現できる。
特開2014-197237号公報 特開2007-206349号公報 特開2003-195577号公報 特開2002-072522号公報 特開2001-183852号公報
本発明者らの検討によると、特許文献1~5に記載の電子写真感光体及び画像形成方法は、いずれもEVカーブ上の感度・残電・直線性の3特性を満足するための最適化が行われていない。近年、電子写真装置の小型化・低コスト化の要求により、レーザのスポット径を小さく出来ない。そのような中、高生産性を達成するための高速プロセスにおいてもアナログ諧調性を維持しながら低線数ハーフトーンのデジタル諧調特性や文字品位を如何に高めるかという課題は解決されていなかった。
したがって本発明の目的は、高速プロセスにおけるアナログ諧調性を維持しながら、低線数ハーフトーンのデジタル諧調特性や高い文字品位を示す電子写真感光体を提供することである。また、本発明の目的は、該電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することである。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明にかかる電子写真感光体は、
支持体、支持体上の下引き層、該下引き層上の電荷発生層、及び該電荷発生層上の電荷輸送層を有する電子写真感光体であって、
該電子写真感光体は、有機感光体であり、
該下引き層が、表面をシラン処理した、結晶構造がルチル型またはアナターゼ型酸化チタン粒子を含み、
該電荷発生層が、
CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θの7.4°±0.3°及び28.2°±0.3°に強いピークを有し、結晶中に下記式(A1)に示す構造の化合物を0.4質量%以上3.0質量%以下含有すヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶:
(上記式(A1)中、R は、メチル基、プロピル基、又はビニル基を示す。)、または、
CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θの27.2°±0.3°に強いピークを有するチタニルフタロシアニン結晶
を含み、
該電荷発生層の平均膜厚が150nm以上300nm以下であり、
該電荷輸送層が、電荷輸送物質と樹脂とを含有し、該電荷輸送層中の該電荷輸送物質と該樹脂との含有量比(質量比)が、8:10~12:10であり、
温度23.5[℃]及び相対湿度50[%RH]において、帯電電位がV=500[V]のときの下記<NESA-EVカーブの測定法>に従って得られる横軸がIexpで縦軸がVexpのIexp-Vexpグラフにおいて、該グラフのVexp=250[V]となるときの光量をI1/2[μJ/cm]とし、該グラフのIexp=0.000~3.414・I1/2[μJ/cm]の範囲における、S=Iexp・Vexpで計算されるS[V・μJ/cm]の最大値をSmax[V・μJ/cm]とし、該グラフのIexp=0.000[μJ/cm]~0.100・I1/2[μJ/cm]の範囲における近似直線とIexp=(5・I1/2-0.100)[μJ/cm]~5・I1/2[μJ/cm]の範囲における近似直線の交点をQとして、点Qの光量値をI[μJ/cm]、点Qの電位値をV[V]、IとVの積をS=I・V[V・μJ/cm]とし、SとSmaxの比をAR=S/Smaxとし、VをIで除した値をLR=V/I[V・cm/μJ]とした場合に、I1/2≦0.170、かつ、AR≦0.370、かつ、LR≦780であることを特徴とする。
また、本発明にかかる電子写真感光体は、上記I1/2とAR=S/SmaxとLR=V/IとがI1/2≦0.170、かつ、AR≦0.500、かつ、LR≦520であることを特徴とする。
<NESA-EVカーブの測定法>
(1):該電子写真感光体の表面電位を0[V]にし、
(2):該電子写真感光体の表面電位の絶対値がV[V]となるように該電子写真感光体を0.005秒間帯電させ、
(3):帯電開始から0.02秒後から、露光量がIexp[μJ/cm]となるように波長が805[nm]で強度が25[mW/cm]の光でt秒間連続して帯電後の該電子写真感光体を露光し、
(4):帯電開始から0.06秒後に、露光後の該電子写真感光体の表面電位の絶対値を測定してVexp[V]とする。
(5):(1)~(4)の操作を、tを変えることにより、Iexpを0.000[μJ/cm]から0.850[μJ/cm]まで0.001[μJ/cm]の間隔で変化させながら繰り返し行い、それぞれのIexpに対応したVexpを得る。
(6):(3)の操作でt=0、Iexp=0.000[μJ/cm]とした場合のVexp[V]を帯電電位V[V]と呼び、該Vの値が500[V]となるよう(2)の操作を行う際のV[V]を設定する。
本発明によれば、近年、電子写真装置の小型化・低コスト化の要求により、レーザのスポット径を小さく出来ず、デジタル諧調性とアナログ諧調性の両立が求められる中、高生産性を達成するための高速プロセスにおいてもアナログ諧調性を維持しながら低線数ハーフトーンのデジタル諧調特性や文字品位を高めた電子写真感光体、並びに、該電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することができる。
従来の感光体のEVカーブにおけるアナログ諧調とデジタル諧調のバーター関係を示す概念図である。 本発明のEVカーブの規定を満たす感光体のEVカーブにおいてはアナログ諧調とデジタル諧調が両立可能であることを示す概念図である。 従来の感光体のEVカーブにおけるSmax[V・μJ/cm]とS[V・μJ/cm]を示す概念図である。 本発明の感光体のEVカーブにおけるSmax[V・μJ/cm]とS[V・μJ/cm]を示す概念図である。 アナログ諧調とデジタル諧調の説明と、1ドットのサイズと露光スポット径との大小関係によって実際の諧調におけるアナログ諧調とデジタル諧調の混ざり方の割合が変化することを説明する図である。 NESA-EVカーブの測定に用いた装置の概略を示した図である。 本発明の電子写真感光体の層構成の一例を示す図である。 電子写真感光体と帯電手段を備えたプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。 本発明の評価に用いた諧調ディザパターンの例を示す図である。 本発明の感光体製造例1について、プロセススピード300[mm/s]で線数600線の32諧調ライン成長ディザパターンに関する面積率-規格化濃度グラフを測定した例を示す。 本発明の評価に用いた、面積率-規格化濃度グラフ上の「ハイライト諧調性」と「シャドウ諧調性」の算出方法を説明する図である。 本発明の評価に用いた1ドット4スペースのハーフトーンを示す図である。
以下、好適な実施の形態を挙げて、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書中では、電圧は、絶対値で示す。
本発明の電子写真感光体は、支持体、支持体上の下引き層、該下引き層上の電荷発生層、及び該電荷発生層上の電荷輸送層を有する電子写真感光体であって、
該電子写真感光体は、有機感光体であり、
該下引き層が、表面をシラン処理した、結晶構造がルチル型またはアナターゼ型酸化チタン粒子を含み、該電荷発生層が、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θの7.4°±0.3°及び28.2°±0.3°に強いピークを有し、結晶中に前記式(A1)に示す構造の化合物を0.4質量%以上3.0質量%以下含有すヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶:
(上記式(A1)中、R は、メチル基、プロピル基、又はビニル基を示す。)、または、
CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θの27.2°±0.3°に強いピークを有するチタニルフタロシアニン結晶
を含み、
該電荷発生層の平均膜厚が150nm以上300nm以下であり、
該電荷輸送層が、電荷輸送物質と樹脂とを含有し、該電荷輸送層中の該電荷輸送物質と該樹脂との含有量比(質量比)が、8:10~12:10であり、温度23.5[℃]及び相対湿度50[%RH]において、帯電電位がV=500[V]のときの下記<NESA-EVカーブの測定法>に従って得られる横軸がIexpで縦軸がVexpのIexp-Vexpグラフにおいて、該グラフのVexp=250[V]となるときの光量をI1/2[μJ/cm]とし、該グラフのIexp=0.000~3.414・I1/2[μJ/cm]の範囲における、S=Iexp・Vexpで計算されるS[V・μJ/cm]の最大値をSmax[V・μJ/cm]とし、該グラフのIexp=0.000[μJ/cm]~0.100・I1/2[μJ/cm]の範囲における近似直線とIexp=(5・I1/2-0.100)[μJ/cm]~5・I1/2[μJ/cm]の範囲における近似直線の交点をQとして、点Qの光量値をI[μJ/cm]、点Qの電位値をV[V]、IとVの積をS=I・V[V・μJ/cm]とし、SとSmaxの比をAR=S/Smaxとし、VをIで除した値をLR=V/I[V・cm/μJ]とした場合に、I1/2≦0.170、かつ、AR≦0.370、かつ、LR≦780であることを特徴とする電子写真感光体に関する。
また、本発明にかかる電子写真感光体は、上記I1/2とAR=S/SmaxとLR=V/IとがI1/2≦0.170、かつ、AR≦0.500、かつ、LR≦520であることを特徴とする電子写真感光体に関する。
<NESA-EVカーブの測定法>
(1):該電子写真感光体の表面電位を0[V]にし、
(2):該電子写真感光体の表面電位の絶対値がV[V]となるように該電子写真感光体を0.005秒間帯電させ、
(3):帯電開始から0.02秒後から、露光量がIexp[μJ/cm]となるように波長が805[nm]で強度が25[mW/cm]の光でt秒間連続して帯電後の該電子写真感光体を露光し、
(4):帯電開始から0.06秒後に、露光後の該電子写真感光体の表面電位の絶対値を測定してVexp[V]とする。
(5):(1)~(4)の操作を、tを変えることにより、Iexpを0.000[μJ/cm]から0.850[μJ/cm]まで0.001[μJ/cm]の間隔で変化させながら繰り返し行い、それぞれのIexpに対応したVexpを得る。
(6):(3)の操作でt=0、Iexp=0.000[μJ/cm]とした場合のVexp[V]を帯電電位V[V]と呼び、Vの値が500[V]となるよう(2)の操作を行う際のV[V]を設定する。
さらに本発明は、上記の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段及びクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段と、を一体に支持し、電子写真装置の本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ、に関する。
さらに本発明は、上記の電子写真感光体と、並びに、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を有することを特徴とする電子写真装置、に関する。
本発明者らが検討したところ、従来技術の感光体は、EVカーブ上で、感度・残電・直線性の3特性を高いレベルで満足していない。近年、電子写真装置の小型化・低コスト化の要求により、レーザのスポット径を小さく出来ない。そのような、高生産性を達成するための高速プロセスにおいてもアナログ諧調性を維持しながら低線数ハーフトーンのデジタル諧調特性や文字品位を高めることは達成されていなかった。
また、従来技術においては、上記の目的に照らすとEVカーブ上の感度・残電・直線性の3特性を高いレベルで満足させるための規定の仕方が不十分であった。さらにEVカーブを測定するための基礎特性評価手段も、近年及び将来予測される高速プロセスを達成するには、満足できるものではなかった。
そこで本発明者らは、EVカーブ上の感度・残電・直線性の3特性について、最適なバランスを保って規定した。またそのためのEVカーブを適切に測定し、上記課題を解決するためには、感光体を以下のように規定及び測定し設計すればよいことを見出した。
<感光体の設計>
アナログ諧調とデジタル諧調の両立という目的を達成するために、感光体は、高感度・低残電・高直線性の3特性を、最適バランスを維持しながら高いレベルで達成することが必要であった。
(EVカーブとアナログ諧調及びデジタル諧調の安定性との関係について)
図1に、従来感光体のEVカーブにおけるアナログ諧調とデジタル諧調のバーター関係について示す。アナログ諧調を良化させるためには、光量を振った場合の表面電位の変化を線型に近づけることが必要である。そのためには図1中のEVカーブにおいて、(a)低光量を像露光量に選べばよい。EVカーブの(a)低光量を拡大して図1の(a)に示す。この拡大図から、EVカーブを、一定の像露光量毎に分割(光量等分)すると、対応する表面電位も比較的等分に近く分割されることが分かる。従って、低光量ではアナログ諧調は比較的良化する。対して(b)高光量を像露光量に選んだ場合の、EVカーブを、拡大して、(b)に示す。この拡大図から、EVカーブを、光量等分すると、対応する表面電位は、等分から遠い分割となることが分かる。従って、高光量においては、アナログ諧調は悪化する。
他方、デジタル諧調を良化させるためには、1ドットが濃く安定していることが必要である。そのため、図1中のEVカーブにおいて(b)高光量を像露光量に選べばよい。この場合、図1に示すようにEVカーブの傾きの絶対値が小さいため、光量振れに対して表面電位変化が安定し、結果として1ドットが安定する。対して(a)低光量を像露光量に選ぶと、図1に示すようにEVカーブの傾きの絶対値が大きいため、光量振れに対して表面電位が不安定化し、結果として1ドットが不安定となる。
以上で述べたように、EVカーブ上の、どの光量を像露光量に選ぶかについて、アナログ諧調とデジタル諧調は一般にバーターの関係にある。
一方、図1の従来感光体のEVカーブでは、(a)低光量を像露光量とした場合の、光量と表面電位との線型性は十分ではなく、(b)高光量を像露光量とした場合において、光量振れに対する表面電位の安定は十分ではなく、また、残電は高い。
次に図2には、本発明の感光体のEVカーブにおけるアナログ諧調とデジタル諧調の関係について示す。本発明の感光体は残電が低く直線性も高いため、低光量側から高光量側へEVカーブが変化する際の屈曲が急峻である。そのため、図1で示したアナログ諧調に有利な(a)低光量の領域とデジタル諧調に有利な(b)高光量の領域とを接近させることができる。図2に示すように、両領域が接近したEVカーブでは、低光量の領域ではEVカーブの線型性が高いため、像露光量の変化を等分したときに対応する表面電位の変化も等分に近くなる。また同時に、高光量の領域において、光量振れに対する1ドットの安定性も高い。加えて残電が低いため、アナログ諧調に使える表面電位の上下限幅(以下、「潜像コントラスト」と呼称する)が大きくなり、これもアナログ諧調の良化に寄与する。さらに潜像コントラストが拡大し1ドット濃度が濃く安定するため、デジタル諧調良化にも寄与する。
後述するNESA-EVカーブは感光体ごとに測定され、プロセスに依存しないが、レーザビームプリンタの中で測定されるEVカーブは、プロセスにも依存する。特にプロセススピードが速いと、感光体内の光発生キャリアの移動度が遅い場合にはEVカーブが悪化する。また、プロセススピードの高速化やレーザビームの複数化などによって像露光光の照射時間が短く、あるいは照射回数が少なくなると、感光体内の光発生キャリアの単位時間・単位体積当たりの密度が大きくなる。このため、層界面やバルク中のトラップが多い場合にはEVカーブが悪化する(これを感光体の「相反則不軌」特性と言う)。これらの問題を避けるためには、光発生キャリアの移動度が早く、かつ該トラップが少ない必要があり、高感度な感光体はこれら条件を満たす。したがって、近年及び将来の高速プロセスにおいてアナログ諧調とデジタル諧調を安定して両立させるには、本発明の感光体はEVカーブ上の低残電と高直線性に加えて高感度も満たす必要がある。
(EVカーブの規定について)
本発明においては、EVカーブとして、NESA-EVカーブが用いられる。NESA-EVカーブは、以下のNESA-EVカーブの測定方法によって取得されるIexp-Vexpグラフである。本発明において、各特性値は以下のように定められる。帯電電位がV=500[V]のときのNESA-EVカーブにおいて、該グラフのVexp=250[V]となるときの光量をI1/2[μJ/cm]とする。S=Iexp・Vexpと定める。該グラフのIexp=0.000~3.414・I1/2[μJ/cm]の範囲におけるS[V・μJ/cm]の最大値をSmax[V・μJ/cm]とする。該グラフのIexp=0.000[μJ/cm]~0.100・I1/2[μJ/cm]の範囲における近似直線を求める。Iexp=(5・I1/2-0.100)[μJ/cm]~5・I1/2[μJ/cm]の範囲における近似直線を求める。これら2つの近似直線の交点をQとする。点Qの光量値をI[μJ/cm]、点Qの電位値をV[V]とし、IとVの積をS=I・V[V・μJ/cm]とする。AR=S/Smaxとし、LR=V/I[V・cm/μJ]と定める。
図3に、従来感光体のEVカーブにおけるSmax[V・μJ/cm]とS[V・μJ/cm]を示した概念図を示す。
maxは、露光量がIexp=0.000~3.414・I1/2[μJ/cm]の範囲における、S=Iexp・Vexpで計算されるS[V・μJ/cm]の最大値を意味する。このとき、I1/2は半減露光量であり、VexpはIexpの光量で露光したときの表面電位の絶対値である。「3.414」は、次のように説明される。下凸の二次関数上の、任意の点(x、y)と頂点(x、y)及びそれら2点のy座標値の中間値を取る点(x、y=(y+y)/2)を考える。この場合の、(x、0)から(x、0)までの距離(半減露光量に対応する)と(x、0)から(x、0)までの距離(残電露光量に対応する)の比が3.414である。どのような下凸の二次関数についても常に(x-x)/(x-x)=2/(2-√2)≒3.414となる。従って、Iexp=0.000~3.414・I1/2[μJ/cm]の範囲において、Smaxは低感度かつ高直線性かつ低残電であるほど大きい。
他方Sは、次のように定義される。Iexp=0.000[μJ/cm]~0.100・I1/2[μJ/cm]の範囲における近似直線とIexp=(5・I1/2-0.100)[μJ/cm]~5・I1/2[μJ/cm]の範囲における近似直線の交点をQとする。点Qの光量値をI[μJ/cm]、点Qの電位値をV[V]とした場合のIとVの積がSである。この定義から、Sは高感度かつ低残電であるほど小さい。
このようにして定義されるSmaxとSの比:AR=S/Smaxを考える。感度は、SとSmaxに、逆方向の影響を及ぼす。そのため、感度はARの大小にはあまり影響を与えない。よって、ARは低残電あるいは高直線性であるほど小さく、感度からの影響は比較的小さい。また、Sの縦と横の比:LR=V/Iを考えると、その定義からLRは低感度かつ高直線性かつ低残電であるほど小さいが、特に低残電であることが強く影響する。
本発明者らは、以上に述べたI1/2とARとLRとが以下の規定、
(A)I1/2≦0.170、かつ、AR≦0.370、かつ、LR≦780を満たすか、あるいは
(B)I1/2≦0.170、かつ、AR≦0.500、かつ、LR≦520を満たすことが、高感度・低残電・高直線性の3特性を、アナログ諧調とデジタル諧調の両立という目的に対して最適バランスを維持しながら高いレベルで達成するために最適であることを見出した。本発明の感光体のEVカーブであって、この規定を満たすEVカーブの概念図を図4に示す。図4から明らかな様に、低残電かつ高直線性を満たせばAR=S/SmaxとLR=V/Iは共に小さくなる。また、特に低残電の影響が大きいことも分かる。
(A)のI1/2≦0.170、かつ、AR≦0.370、かつ、LR≦780という規定は、低残電よりも高直線性への寄与が(B)のI1/2≦0.170、かつ、AR≦0.500、かつ、LR≦520という規定よりも大きい。すなわち、(A)または(B)に示すように低残電と高直線性が互いを補いながら高感度とバランスを保てば、本発明の目的が達成されることを意味している。
近年の電子写真装置の小型化・低コスト化の要求により、レーザのスポット径を小さく出来ない状況においては、図5に示すようにアナログ諧調性が強くなる。図5中(a)(b)(c)は、1ドットが42μm×42μm、600dpiのパターンを示す。(a)はアナログ諧調(マクロな平均電位で制御した場合)、(b)はデジタル諧調(ミクロな面積率で制御した場合)、(c)はレーザのスポット径を十分制御できない場合に得られるパターンの例を示す。(d)はレーザのスポット径‐光量分布の模式図である。スポット径が大きい場合は、アナログ諧調性が高く、スポット径が小さい場合は、デジタル諧調性が高い。その場合、低残電性をより反映するLRの規定はアナログ諧調性を維持しながら低線数ハーフトーンのデジタル諧調特性や文字品位を高めるために特に重要となる。
(NESA-EVカーブの測定方法)
NESA-EVカーブは、次の測定方法によって取得される。なお、当技術分野において、EVカーブは特定のプロセス条件のレーザビームプリンタの中で測定されることが比較的一般的である。一方、NESA-EVカーブは、プリンタ中で測定するのではなく、以下に説明するように、感光体のみについて特定の条件で測定を行うものであり、感光体ごとに定められる。
NESA-EVカーブの測定は、温度23.5[℃]及び相対湿度50[%RH]において、帯電電位をV=500[V]として、下記のように行う。
(1):電子写真感光体の表面電位を0[V]にし、
(2):該電子写真感光体の表面電位の絶対値がV[V]となるように該電子写真感光体を0.005秒間帯電させ、
(3):帯電開始から0.02秒後から、露光量がIexp[μJ/cm]となるように波長が805[nm]で強度が25[mW/cm]の光でt秒間連続して帯電後の該電子写真感光体を露光し、
(4):帯電開始から0.06秒後に、露光後の該電子写真感光体の表面電位の絶対値を測定してVexp[V]とする。
(5):(1)~(4)の操作を、tを変えることにより、Iexpを0.000[μJ/cm]から0.850[μJ/cm]まで0.001[μJ/cm]の間隔で変化させながら繰り返し行い、それぞれのIexpに対応したVexpを得る。
(6):(3)の操作でt=0、Iexp=0.000[μJ/cm]とした場合のVexp[V]を帯電電位V[V]と呼び、Vの値が500[V]となるよう(2)の操作を行う際のV[V]を設定する。
NESA-EVカーブの測定系の、具体的な例を説明する。ただし、NESA-EVカーブの測定方法が実行できれば、必ずしも、以下の方法に限定されない。
表面を1,000[Ω/sq]以下のシート抵抗となるように透明ITO電極で蒸着した、全面光学研磨の透明石英ガラスを用意する(以下、「NESAガラス」と呼称する)。図6に示すように、表面を透明ITO電極204で蒸着したNESAガラス202に感光体201の表面を密着させる。この際、確実に密着するよう、NESAガラス202と感光体201の間にグリセリンを介在させる。なお、感光体が平板形状であれば平滑NESAガラスを用い、感光体が円筒形状であれば図6に示すような湾曲NESAガラスを用いる。この状態でNESAガラスに高圧電源205によって電圧を印加することで感光体表面を帯電させることができる。また、NESAガラスの下面から波長が805[nm]で強度が25[mW/cm]の平面光を照射することで感光体表面を露光203して表面電位を光減衰させることができる。
上記の測定系を用いることで、25[mW/cm]の光を、短時間かつ1回のみ感光体に照射しつつ、同時に近年あるいは将来予想される電子写真装置のプロセススピードよりも速いサイクルで帯電や露光を繰り返すことが可能となる。25[mW/cm]の光とは、近年あるいは将来予想される電子写真装置で感光体に照射される露光光よりも強い。これにより、0.001[μJ/cm]刻みの光量の大量のデータを安定的に、かつ簡便に取得して本発明の感光体のNESA-EVカーブと、そこから計算される特性値を得ることができる。また同時に、この測定系を用いて実現される上記測定方法によって、近年あるいは将来に渡り、プロセススピードが高速化し、露光照射時間が短時間した場合にも感光体特性の評価が可能である。さらに、現在主流のレーザ走査光学系からLEDアレイへと露光方法が変化したときの露光回数の減少にも対応して、感光体特性を評価できる。特に強度が25[mW/cm]での短時間かつ1回露光という光照射条件は、感光体の相反則不軌特性を鑑みても、将来に渡り十分に厳しいEVカーブ測定方法である。
[電子写真感光体]
本発明の電子写真感光体は、支持体、支持体の電荷発生層、及び該電荷発生層上の電荷輸送層を有する有機感光体である。電荷発生層は電荷発生物質を含み、電荷輸送層は電荷輸送物質を含む。有機感光体とは、支持体上に形成される層の主成分が樹脂である感光体を指す。図7は、電子写真感光体の層構成の一例を示す図である。図7中、101は支持体であり、102は下引き層であり、103は電荷発生層であり、104は電荷輸送層であり、105は感光層である。本発明において、102の下引き層は無くてもよい。
また、本発明の感光体は、温度23.5[℃]及び相対湿度50[%RH]において、帯電電位がV=500[V]のときの上記<EVカーブの測定法>に従って得られる横軸がIexpで縦軸がVexpのIexp-Vexpグラフにおいて、
該グラフのVexp=250[V]となるときの光量をI1/2[μJ/cm]とし、
該グラフのIexp=0.000~3.414・I1/2[μJ/cm]の範囲における、S=Iexp・Vexpで計算されるS[V・μJ/cm]の最大値をSmax[V・μJ/cm]とし、
該グラフのIexp=0.000[μJ/cm]~0.100・I1/2[μJ/cm]の範囲における近似直線とIexp=(5・I1/2-0.100)[μJ/cm]~5・I1/2[μJ/cm]の範囲における近似直線の交点をQとして、点Qの光量値をI[μJ/cm]、点Qの電位値をV[V]、IとVの積をS=I・V[V・μJ/cm]とし、
とSmaxの比をAR=S/Smaxとし、
をIで除した値をLR=V/I[V・cm/μJ]とした場合に、
(A)I1/2≦0.170、かつ、AR≦0.370、かつ、LR≦780となるか、または
(B)I1/2≦0.170、かつ、AR≦0.500、かつ、LR≦520となる
ことが必要である。
また、ドット面積率の小さいハイライト側の画像とドット面積率の大きいシャドウ側の画像の両方を良化させる観点から、上記(A)と(B)を両方満たすようAR≦0.370、かつ、LR≦520となっていることが好ましい。AR≦0.370、かつ、LR≦520であると、レーザのスポット径が80μmで印刷スピードが100ppm(500mm/sec)相当の高速プロセスでも低残電と高直線性のバランスがさらに良くなる。その結果、ハイライト側とシャドウ側の諧調性が共に良化する。
さらに、高線数のシャドウ側の画像をさらに良化させて小フォントサイズ白抜き文字の再現性を上げる観点から、前記AR≦0.100を満たすことがより好ましい。AR≦0.100であると、レーザのスポット径が80μmで印刷スピードが100ppm(500mm/sec)相当の高速プロセスでもシャドウ側の6ptの白抜き文字の視認性が向上する。
他方、低線数のハイライト側の画像をさらに良化させて通常の小フォントサイズ文字の再現性を上げる観点から、前記LR≦60を満たすことがより好ましい。LR≦60であると、レーザのスポット径が80μmで印刷スピードが100ppm(500mm/sec)相当の高速プロセスでもハイライト側の3ptの白抜き文字の視認性が向上する。
また、省エネルギー化などの目的で帯電電位を低く設定した場合の孤立1ドットの再現性を上げる観点から、前記Iexp-Vexpグラフ上のIexp=5・I1/2[μJ/cm]におけるVexpの値V[V]がV≦70であることが好ましい。さらにはV≦10であることがより好ましい。V≦70であると、レーザのスポット径80μmで印刷スピードが100ppm(500mm/sec)相当の高速プロセスでもV=450[V]での孤立1ドットの再現性が上がり、V≦10であると孤立1ドットパターンの濃度がさらに濃くなる。
本発明の電子写真感光体を製造する方法としては、後述する各層の塗布液を調製し、所望の層の順番に塗布して、乾燥させる方法が挙げられる。このとき、塗布液の塗布方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、インクジェット塗布、ロール塗布、ダイ塗布、ブレード塗布、カーテン塗布、ワイヤーバー塗布、リング塗布などが挙げられる。これらの中でも、効率性及び生産性の観点から、浸漬塗布が好ましい。
以下、支持体及び各層について説明する。
<支持体>
本発明において、電子写真感光体は、支持体を有する。支持体は導電性を有する導電性の支持体であることが好ましい。また、支持体の形状としては、円筒状、ベルト状、シート状などが挙げられ、中でも、円筒状の支持体であることが好ましい。また、支持体の表面は、ブラスト処理、切削処理などを施されてもよい。
支持体の材質としては、金属、樹脂、ガラスなどが好ましい。
金属としては、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅、金、ステンレスや、これらの合金などが挙げられ、中でも、アルミニウムを用いたアルミニウム製の支持体であることが好ましい。
また、材質が樹脂やガラスである場合は、導電性材料を混合又は被覆するなどの処理によって、導電性を付与してもよい。
本発明の支持体は、酸化剤を含む酸性液体中において支持体の表面を陽極酸化して用いても良い。この場合、陽極酸化処理には、例えば、硫酸、クロム酸などの無機酸やシュウ酸、スルホン酸などの有機酸を電解液として用いることができる。印加電圧、電流密度、処理温度、時間などの条件は、上記電解液の種類や膜厚に応じて選択できる。また、本発明の電子写真感光体に用いられる陽極酸化された表面は電解処理した後、封孔処理が施されてもよい。封孔処理としては熱水処理、水蒸気処理、酢酸ニッケルやフッ化ニッケルなどの各種封孔剤を用いた処理でもよいが、効率よく微細孔を封孔処理できる酢酸ニッケルを用いた処理が好ましい。
<導電層>
本発明において、支持体の上に導電層を設けてもよい。導電層を設けることで、支持体表面の傷や凹凸を隠蔽することや、支持体表面における光の反射を制御することができる。
導電層は、導電性粒子と樹脂とを含有することが好ましい。
導電性粒子の材質としては、金属酸化物、金属、カーボンブラックなどが挙げられる。
金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化ビスマスなどが挙げられる。金属としては、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などが挙げられる。
これらの中でも、導電性粒子として、金属酸化物を用いることが好ましく、特に、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛を用いることがより好ましい。
導電性粒子として金属酸化物を用いる場合、金属酸化物の表面をシランカップリング剤などで処理したり、金属酸化物にリンやアルミニウムなどの元素やその酸化物をドーピングしたりしてもよい。ドープする元素やその酸化物としては、リン、アルミニウム、ニオブ、タンタルなどが挙げられる。
また、導電性粒子は、芯材粒子と、その粒子を被覆する被覆層とを有する積層構成としてもよい。芯材粒子としては、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛などが挙げられる。被覆層としては、酸化スズ、酸化チタンなどの金属酸化物が挙げられる。
また、導電性粒子として金属酸化物を用いる場合、その体積平均粒子径が、1nm以上500nm以下であることが好ましく、3nm以上400nm以下であることがより好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などが挙げられる。
また、導電層は、シリコーンオイル、樹脂粒子、酸化チタンなどの隠蔽剤などをさらに含有してもよい。
導電層の平均膜厚は、1μm以上50μm以下であることが好ましく、3μm以上40μm以下であることが特に好ましい。
導電層は、上記の各材料及び溶剤を含有する導電層用塗布液を調製し、この塗膜を下層あるいは支持体上に形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。導電層用塗布液中で導電性粒子を分散させるための分散方法としては、ペイントシェーカー、サンドミル、ボールミル、液衝突型高速分散機を用いた方法が挙げられる。
<下引き層>
本発明において、支持体又は導電層の上に、下引き層を設けてもよい。下引き層を設けることで、層間の接着機能が高まり、電荷注入阻止機能を付与することができる。
下引き層は、樹脂を含有することが好ましい。また、重合性官能基を有するモノマーを含有する組成物を重合することで硬化膜として下引き層を形成してもよい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、アルキッド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエチレンオキシド樹脂、ポリプロピレンオキシド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド酸樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、セルロース樹脂などが挙げられる。
重合性官能基を有するモノマーが有する重合性官能基としては、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、メチロール基、アルキル化メチロール基、エポキシ基、金属アルコキシド基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、チオール基、カルボン酸無水物構造、炭素-炭素二重結合などが挙げられる。
また、下引き層は、電気特性を高める目的で、電子輸送物質、金属酸化物、金属、導電性高分子などをさらに含有してもよい。これらの中でも、電子輸送物質、金属酸化物を用いることが好ましい。
特に、電子輸送物質、金属酸化物、金属、導電性高分子、及び樹脂の選択、それらの配合比などの制御が重要である。これらの適切な選択と制御と、かつ、下引き層の上の感光層の適切な選択により、電荷発生層で発生した光キャリアをスムーズに支持体側へ流し、本発明のEVカーブの規定を満たす感光体を得られる。
電子輸送物質としては、キノン化合物、イミド化合物、ベンズイミダゾール化合物、シクロペンタジエニリデン化合物、フルオレノン化合物、キサントン化合物、ベンゾフェノン化合物、シアノビニル化合物、ハロゲン化アリール化合物、シロール化合物、含ホウ素化合物などが挙げられる。電子輸送物質として、重合性官能基を有する電子輸送物質を用い、上記重合性官能基を有するモノマーと共重合させることで、硬化膜として下引き層を形成してもよい。
金属酸化物としては、酸化インジウムスズ、酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素などが挙げられる。金属としては、金、銀、アルミなどが挙げられる。中でも、表面をシラン処理した、結晶構造がルチル型またはアナターゼ型酸化チタン粒子が、本発明の電荷発生層で発生した光キャリアをスムーズに支持体側へ流す観点から好ましい。表面のシラン処理は、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン及びビニルメチルジメトキシシランから選択される少なくとも1種の化合物が用いられることが好ましい。シラン処理して疎水性を付与することで水分吸着によるキャリア移動阻害を抑制でき、ルチル型またはアナターゼ型の酸化チタン粒子とすることでキャリアトラップを抑制できる。また、キャリア移動阻害をさらに抑制する観点から、該酸化チタン粒子は光触媒活性の弱いルチル型であることがより好ましく、さらにルチル化率90%以上であることが好ましい。加えて、酸化チタン粒子の導電性が結着樹脂により阻害されないようにする観点から、酸化チタン粒子と結着樹脂の体積比(結着樹脂の体積に対する酸化チタン粒子の体積)は、0.2以上であることが好ましい。0.2未満であると光キャリアのスムーズな移動が結着樹脂により阻害される場合がある。
また、下引き層は、添加剤をさらに含有してもよい。
下引き層の平均膜厚は、0.1μm以上50μm以下であることが好ましく、0.2μm以上40μm以下であることがより好ましく、0.3μm以上30μm以下であることが特に好ましい。
下引き層は、上記の各材料及び溶剤を含有する下引き層用塗布液を調製し、この塗膜を下層あるいは支持体上に形成し、乾燥及び/又は硬化させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。
<電荷発生層>
電荷発生層は、電荷発生物質と樹脂とを含有することが必要である。
電荷発生物質としては、アゾ顔料、ペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、フタロシアニン顔料などが挙げられる。これらの中でも、本発明に必要な高い感度を得られやすいという観点から、フタロシアニン顔料が好ましい。
電荷発生物質としてフタロシアニン顔料とアゾ顔料と比較すると、アゾ顔料はその電荷発生位置が電荷発生層と電荷輸送層の界面にある界面型であるのに対し、フタロシアニン顔料はその電荷発生位置が電荷発生層のバルクにあるバルク型である(参考文献:梅田実『積層有機感光体におけるExtrinsic型の光キャリア発生過程とその速度論』日本化学会誌,1996,No.11,pp.932-937)。したがって電荷発生物質としてフタロシアニン顔料を使うと、アゾ顔料に比べて電荷発生層膜厚を厚くすることで、光発生キャリア量を稼ぎやすい。その結果、フタロシアニン顔料を電荷発生物質として使うと、本発明の高感度の高感光体が得られやすい。
フタロシアニン顔料の中でも、安定して高い光感度が得られることから、チタニルフタロシアニン顔料、あるいはヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料が好ましい。また、特開2000-137340号公報に記載の、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θの7.4°±0.3°及び28.2°±0.3°に強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶、または、特開2000-137340号公報に記載の、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θの27.2°±0.3°に強いピークを有するチタニルフタロシアニン結晶がより好ましい。これらの中でも特に、特開2018-189692号公報の実施例に記載の、結晶中に下記式(A1)に示す構造の化合物を0.4質量%以上3.0質量%以下含有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶が好ましい。
(上記式(A1)中、Rは、メチル基、プロピル基、又はビニル基を示す。)
これは、感度を高めつつ、樹脂中に分散された顔料と樹脂との界面が電荷トラップとなることを防いで残電を低くする観点に基づく。
上述の結晶中に上記式(A1)に示す構造の化合物を0.4質量%以上3.0質量%以下含有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶は、結晶粒子のサイズが電荷発生層膜厚程度の大きさに揃っている。この理由についても特開2018-189692号公報に記載される。このため、特開2018-189692号公報に記載のオンサーガーの式で決まる量子効率、及び、ランベルト・ベールの式で決まる光吸収率を、高い値に両立させることが出来る。従って、感度を上げるために電荷発生層膜厚を厚くしすぎる必要が無く、厚膜化時に増加する傾向にある電荷発生物質(結晶粒子)と樹脂との界面トラップ量を抑制し、残電を低くすることが出来る。
電荷発生層中の電荷発生物質の含有量は、電荷発生層の全質量に対して、40質量%以上85質量%以下であることが好ましく、60質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリビニルブチラール樹脂がより好ましい。
また、電荷発生層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの添加剤をさらに含有してもよい。添加剤として、具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、などが挙げられる。
電荷発生層の平均膜厚は、0.1μm以上1μm以下であることが好ましく、0.15μm以上0.3m以下であることがより好ましい。
電荷発生層は、上記の各材料及び溶剤を含有する電荷発生層用塗布液を調製し、この塗膜を下層または支持体上に形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。
<電荷輸送層>
電荷輸送層は、電荷輸送物質と樹脂とを含有することが必要である。
電荷輸送物質としては、例えば、多環芳香族化合物、複素環化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、エナミン化合物、ベンジジン化合物、トリアリールアミン化合物や、これらの物質から誘導される基を有する樹脂などが挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物が好ましい。
電荷輸送層中の電荷輸送物質の含有量は、電荷輸送層の全質量に対して、25質量%以上70質量%以下であることが好ましく、30質量%以上55質量%以下であることがより好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。ポリエステル樹脂としては、特にポリアリレート樹脂が好ましい。
電荷輸送層は、電荷発生層で発生した光キャリアが電荷輸送層にスムーズに受け渡されるようにする観点から、イオン化ポテンシャルが電荷発生層と近いことが好ましい。特に電荷発生物質としてチタニルフタロシアニンやヒドロキシフタロシアニンを用いる場合、電荷輸送層のイオン化ポテンシャルは5.2eV以上5.5eV以下であることが好ましく、5.3eV以上5.4eV以下であることがより好ましい。イオン化ポテンシャルは5.2eV以上5.5eV以下であると、電荷発生層と電荷輸送層の界面にトラップが発生しにくく、残電が低くなる。イオン化ポテンシャルが5.2eVより小さいとメモリ現象が悪化する場合があり、5.5eVより大きいと残電が上がる場合があった。
また電荷輸送層は、発生した光キャリアを電荷輸送層内で素早く移動させる観点から、移動度が速いことが好ましい。このため、電荷輸送物質と樹脂との含有量比(質量比)は、6:10~20:10が好ましく、8:10~12:10がより好ましい。電荷輸送物質と樹脂との含有量比(質量比)が8:10~12:10であると、電荷輸送層のバルクにトラップが発生しにくく、残電が低くなる。これよりも電荷輸送物質の含有量比を上げると、感光体の耐久性や製造安定性が低下する場合がある。
また、電荷輸送層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、レベリング剤、滑り性付与剤、耐摩耗性向上剤などの添加剤を含有してもよい。添加剤として、具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、シロキサン変性樹脂、シリコーンオイル、フッ素樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子、窒化ホウ素粒子などが挙げられる。
電荷輸送層の平均膜厚は、5μm以上50μm以下であることが好ましく、10μm以上23μm以下であることがより好ましく、14μm以上20μm以下であることが特に好ましい。
電荷輸送層は、上記の各材料及び溶剤を含有する電荷輸送層用塗布液を調製し、この塗膜を下層の上に形成し、乾燥させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。これらの溶剤の中でも、エーテル系溶剤または芳香族炭化水素系溶剤が好ましい。
<保護層>
本発明において、感光層の上に保護層を設けてもよい。保護層を設けることで、耐久性を向上することができる。
保護層は、導電性粒子及び/又は電荷輸送物質と、樹脂とを含有することが好ましい。
導電性粒子としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物の粒子が挙げられる。
電荷輸送物質としては、多環芳香族化合物、複素環化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、エナミン化合物、ベンジジン化合物、トリアリールアミン化合物や、これらの物質から誘導される基を有する樹脂などが挙げられる。これらの中でも、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物が好ましい。
樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。中でも、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂が好ましい。
また、保護層は、重合性官能基を有するモノマーを含有する組成物を重合することで硬化膜として形成してもよい。その際の重合反応としては、熱重合反応、光重合反応、放射線重合反応などが挙げられる。重合性官能基を有するモノマーの重合性官能基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基などが挙げられる。重合性官能基を有するモノマーとして、電荷輸送能を有する材料を用いてもよい。
保護層は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、レベリング剤、滑り性付与剤、耐摩耗性向上剤、などの添加剤を含有してもよい。添加剤として、具体的には、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、硫黄化合物、リン化合物、ベンゾフェノン化合物、シロキサン変性樹脂、シリコーンオイル、フッ素樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子、シリカ粒子、アルミナ粒子、窒化ホウ素粒子などが挙げられる。
保護層の平均膜厚は、0.5μm以上10μm以下であることが好ましく、1μm以上7μm以下であることが好ましい。
保護層は、上記の各材料及び溶剤を含有する保護層用塗布液を調製し、この塗膜を下層の上に形成し、乾燥及び/又は硬化させることで形成することができる。塗布液に用いる溶剤としては、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、スルホキシド系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤が挙げられる。
<I1/2≦0.170、かつ、AR≦0.370、かつ、LR≦780を満たす電子感光体の各層の構成例>
電子写真感光体が、I1/2≦0.170、かつ、AR≦0.370、かつ、LR≦780を満たすためには電子感光体の各層は以下の構成とすることが好ましい。すなわち、電子写真感光体は、特開2018-189692号公報の実施例に記載の、結晶中に前記式(A1)に示す構造の化合物を0.4質量%以上3.0質量%以下含有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶、または、特開2000-137340号公報に記載の、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θの27.2°±0.3°に強いピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を含む電荷発生層を有することが好ましい。中でも、特開2018-189692号公報の実施例に記載の、結晶中に前記式(A1)に示す構造の化合物を0.4質量%以上3.0質量%以下含有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を含む電荷発生層を有することが好ましい。また、電子写真感光体は、イオン化ポテンシャルが5.2eV以上5.5eV以下である電荷輸送層を有することが好ましく、さらには、イオン化ポテンシャルが5.3eV以上5.4eV以下である電荷輸送層を有することが好ましい。
さらには、上述の電荷発生層と、電荷輸送層を合わせて有することが特に好ましい。
これは、樹脂中に分散された顔料と樹脂との界面が電荷トラップとなることを防ぐ電荷発生層と、電荷発生層と電荷輸送層の界面トラップを発生しにくくする電荷輸送層とを組み合わせることで、顔料で発生した光キャリアを電荷輸送層までスムーズに流れるようにする観点に基づく。
好ましい構成の一例として、特開2018-189692号公報の実施例に記載の、結晶中に前記式(A1)に示す構造の化合物を0.4質量%以上3.0質量%以下含有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶と、イオン化ポテンシャルが5.3eV以上5.4eV以下である電荷輸送層を有する電子感光体を挙げられる。
ただし、以上で述べた構成例は例示であり、本発明の電子感光体は、I1/2≦0.170、かつ、AR≦0.370、かつ、LR≦780を満たせば、上記構成例に限定されない。
<I1/2≦0.170、かつ、AR≦0.500、かつ、LR≦520を満たす電子感光体の各層の構成例>
また、電子写真感光体が、I1/2≦0.170、かつ、AR≦0.500、かつ、LR≦520を満たすためには電子感光体の各層は以下の構成とすることが好ましい。電子写真感光体は、表面をシラン処理した、結晶構造がルチル型またはアナターゼ型酸化チタン粒子を含む下引き層を含むことが好ましい。中でも、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン及びビニルメチルジメトキシシランから選択される少なくとも1種の化合物で表面をシラン処理した、ルチル化率90%以上のルチル型酸化チタン粒子を含み、酸化チタン粒子と結着樹脂の体積比(結着樹脂の体積に対する酸化チタン粒子の体積)が0.2以上である下引き層とを含むことが好ましい。また、電子感光体は、特開2018-189692号公報の実施例に記載の、結晶中に前記式(A1)に示す構造の化合物を0.4質量%以上3.0質量%以下含有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶、または、特開2000-137340号公報に記載の、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θの27.2°±0.3°に強いピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を含む電荷発生層を含むことが好ましい。中でも、特開2018-189692号公報の実施例に記載の、結晶中に前記式(A1)に示す構造の化合物を0.4質量%以上3.0質量%以下含有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶含む電荷発生層を含むことが好ましい。また、電子写真感光体は、イオン化ポテンシャルが5.2eV以上5.5eV以下である電荷輸送層を有することが好ましく、さらには、イオン化ポテンシャルが5.3eV以上5.4eV以下である電荷輸送層を有することが好ましい。
さらには、上述の下引き層と、電荷発生層と、電荷輸送層とのすべてを有することが特に好ましい。
これは、電荷発生層で発生した光キャリアをスムーズに支持体側へ流す下引き層と、樹脂中に分散された顔料と樹脂との界面が電荷トラップとなることを防ぐ電荷発生層と、電荷発生層と電荷輸送層の界面トラップを発生しにくくする電荷輸送層とを組み合わせることで、顔料で発生した正負の光キャリアの片方を電荷輸送層までスムーズに流れるにするとともに、それとは逆極性の光キャリアも支持体までスムーズに流れるようにする観点に基づく。
好ましい構成の一例として、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン及びビニルメチルジメトキシシランから選択される少なくとも1種の化合物で表面をシラン処理した、ルチル化率90%以上のルチル型酸化チタン粒子を含み、酸化チタン粒子と結着樹脂の体積比(結着樹脂の体積に対する酸化チタン粒子の体積)が0.2以上である下引き層と、特開2018-189692号公報の実施例に記載の、結晶中に前記式(A1)に示す構造の化合物を0.4質量%以上3.0質量%以下含有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶を含む電荷発生層と、イオン化ポテンシャルが5.3eV以上5.4eV以下である電荷輸送層を有する電子感光体を挙げられる。ただし、以上で述べた構成例は例示であり、本発明の電子感光体は、I1/2≦0.170、かつ、AR≦0.500、かつ、LR≦520を満たせば、上記構成例に限定されない。
[プロセスカートリッジ及び電子写真装置]
図8に、電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成の一例を示す。図8において、1は円筒状(ドラム状)の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。
電子写真感光体1の表面は、回転過程において、帯電手段3により、正又は負の所定電位に帯電される。次いで、帯電された電子写真感光体1の表面には、露光手段(不図示)から像露光光4が照射され、目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。像露光光4は、例えば、スリット露光やレーザビーム走査露光などの露光手段から出力される、目的の画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して強度変調された光である。
電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、現像手段5内に収容されたトナーで現像(正規現像又は反転現像)され、電子写真感光体1の表面にはトナー像が形成される。電子写真感光体1の表面に形成されたトナー像は、転写手段6により、転写材7に転写される。このとき、転写手段6には、バイアス電源(不図示)からトナーの保有電荷とは逆極性のバイアス電圧が印加される。また、転写材7が紙である場合、転写材7は給紙部(不図示)から取り出されて、電子写真感光体1と転写手段6との間に電子写真感光体1の回転と同期して給送される。
電子写真感光体1からトナー像が転写された転写材7は、電子写真感光体1の表面から分離された後、定着手段8へ搬送されて、トナー像の定着処理を受けることにより、画像形成物(プリント、コピー)として電子写真装置の外へプリントアウトされる。転写材7にトナー像を転写した後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段9により、残存するトナー(転写残りトナー)などの付着物の除去を受けて清浄される。近年開発されているクリーナレスシステムにより、転写残りトナーを直接、現像器などで除去することもできる。さらに、電子写真感光体1の表面は、前露光手段(不図示)からの前露光光10により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、帯電手段3が帯電ローラなどを用いた接触帯電手段である場合は、前露光手段は必ずしも必要ではない。本発明においては、上述の電子写真感光体1、帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9などの構成要素のうち、複数の構成要素を容器に納めて一体に支持してプロセスカートリッジを形成することができる。さらに、このプロセスカートリッジは電子写真装置の本体に対して着脱自在に構成することができる。例えば、帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9から選択される少なくとも1つを電子写真感光体1とともに一体に支持してカートリッジ化することができる。さらに、電子写真装置本体のレールなどの案内手段12を用いて電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ11とすることができる。像露光光4は、電子写真装置が複写機やプリンタである場合には、原稿からの反射光や透過光であってもよい。又は、センサーで原稿を読み取り、信号化し、この信号に従って行われるレーザビームの走査、LEDアレイの駆動もしくは液晶シャッターアレイの駆動などにより放射される光であってもよい。
本発明の電子写真感光体1は、レーザビームプリンタ、CRTプリンタ、LEDプリンタ、FAX、液晶プリンタ及びレーザ製版などの電子写真応用分野にも幅広く適用することができる。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例の記載において、「部」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
実施例及び比較例の電子写真感光体の各層の膜厚は、電荷発生層を除き、渦電流式膜厚計(Fischerscope(商標)、フィッシャーインスツルメント製)を用いる方法、又は、単位面積当たりの質量から比重換算する方法で求めた。電荷発生層の膜厚は、次のように求められた。すなわち、感光体の表面に分光濃度計(商品名:X-Rite504/508、X-Rite製)を押し当ててマクベス濃度値を測定した。マクベス濃度値と断面SEM画像観察による膜厚測定値から予め取得した校正曲線を用いて、測定されたマクベス濃度値から膜厚を算出した。
<導電層用塗布液の調製>
[酸化チタン粒子の製造例]
基体として、一次粒径の平均が200nmのアナターゼ型酸化チタンを使用し、チタンをTiO換算で33.7部、ニオブをNb換算で2.9部含有するチタンニオブ硫酸溶液を調製した。基体100部を純水に分散して1000部の懸濁液とし、60℃に加温した。チタンニオブ硫酸溶液と10mol/L水酸化ナトリウムとを懸濁液のpHが2~3になるよう3時間かけて同時に滴下した。全量滴下後、pHを中性付近に調整し、ポリアクリルアミド系凝集剤を添加して固形分を沈降させた。上澄みを除去し、ろ過及び洗浄し、110℃で乾燥し、凝集剤由来の有機物をC換算で0.1wt%含有する中間体を得た。この中間体を窒素中750℃で1時間焼成を行った後、空気中450℃で焼成して、酸化チタン粒子を作製した。得られた粒子は前述の走査電子顕微鏡を用いた粒径測定方法において、平均粒径(平均一次粒径)220nmであった。
[導電層用塗布液1の調製]
結着材料としてのフェノール樹脂(フェノール樹脂のモノマー/オリゴマー)(商品名:プライオーフェンJ-325、DIC製、樹脂固形分:60%、硬化後の密度:1.3g/cm)50部を、溶剤としての1-メトキシ-2-プロパノール35部に溶解させて溶液を得た。
この溶液に酸化チタン粒子の製造例で得られた酸化チタン粒子を75部加え、これを分散媒体とした。これを平均粒径1.0mmのガラスビーズ120部を用いた縦型サンドミルに入れ、分散液温度23±3℃、回転数1500rpm(周速5.5m/s)の条件で4時間分散処理を行い、分散液を得た。この分散液からメッシュでガラスビーズを取り除いた。ガラスビーズを取り除いた後の分散液に、レベリング剤としてシリコーンオイル(商品名:SH28 PAINT ADDITIVE、東レ・ダウコーニング製)0.01部、及び、表面粗さ付与材としてシリコーン樹脂粒子(商品名:KMP-590、信越化学工業製、平均粒径:2μm、密度:1.3g/cm)8部を添加して攪拌し、PTFE濾紙(商品名:PF060、アドバンテック東洋製)を用いて加圧ろ過することによって、導電層用塗布液1を調製した。
[導電層用塗布液2の調製]
酸化スズで被覆されている硫酸バリウム粒子(商品名:パストランPC1、三井金属鉱業製)60部、酸化チタン粒子(商品名:TITANIX JR、テイカ製)15部、レゾール型フェノール樹脂(商品名:フェノライト J-325、DIC製、固形分70質量%)43部、シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング製)0.015部、シリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール120、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアル・ジャパン製)3.6部、2-メトキシ-1-プロパノール50部、及び、メタノール50部をボールミルに入れ、20時間分散処理して、導電層用塗布液2を調製した。
[導電層用塗布液3の調製]
酸化亜鉛粒子(平均一次粒子径:50nm、比表面積:19m/g、粉体抵抗:1.0×10Ω・cm、テイカ製)100部をトルエン500部に攪拌しながら混合した。これに表面処理剤としてN-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン(商品名:KBM-602、信越化学製)0.75部を添加し、2時間攪拌しながら混合した。その後、トルエンを減圧留去して、3時間120℃で乾燥させることによって、表面処理された酸化亜鉛粒子を得た。
次に、酸化チタン粒子(商品名:JR-405、平均一次粒子径:210nm、テイカ製)100部をトルエン500部と攪拌混合し、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン0.75部を添加し、2時間攪拌した。その後、トルエンを減圧留去して、3時間120℃で乾燥させることによって、表面処理された酸化チタン粒子を得た。
続いて、上記表面処理された酸化亜鉛粒子100部、上記表面処理された酸化チタン12部、下記式(A2)
で示されるブロック化されたイソシアネート化合物(商品名:スミジュール3175、固形分:75質量%、住化バイエルウレタン製)30部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBM-1、積水化学工業製)15部、2,3,4-トリヒドロキシベンゾフェノン(東京化成工業製)1部を、メチルエチルケトン70部とシクロヘキサノン70部の混合溶剤に加えて分散液を調製した。
この分散液を、平均粒径1.0mmのガラスビーズを用いて縦型サンドミルにて23℃雰囲気下、回転数1,500rpmで3時間分散処理した。分散処理後、得られた分散液からメッシュでガラスビーズを取り除き、架橋ポリメタクリル酸メチル粒子(商品名:SSX-103、平均粒径:3μm、積水化学工業製)7部と、シリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング製)0.01部を添加して攪拌することで、導電層用塗布液3を調製した。
[導電層用塗布液4の調製]
酸化亜鉛(平均一次粒子径:70nm、比表面積:15m/g、テイカ製試作品)100部をトルエン500部に攪拌しながら混合した。これに表面処理剤としてシランカップリング剤(商品名:KBM603、信越化学製)1.25部を添加し、2時間撹拌しながら混合した。その後、トルエンを減圧留去して、2時間150℃で乾燥させることによって、表面処理された酸化亜鉛粒子を得た。
続いて、上記表面処理された酸化亜鉛粒子60部、上記式(A2)で示されるブロック化されたイソシアネート化合物(商品名:スミジュール3175、固形分:75質量%、住化バイエルウレタン製)13.5部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBM-1、積水化学工業製)15部を、メチルエチルケトン85部に加えて分散液を調製した。
この分散液を、平均粒径1.0mmのガラスビーズを用いて縦型サンドミルにて23℃雰囲気下、回転数1,500rpmで2時間分散処理した。分散処理後、得られた分散液からメッシュでガラスビーズを取り除き、触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005部、シリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール130、GE東芝シリコーン製)3.4部を添加し、導電層用塗布液4を得た。
[導電層用塗布液5の調製]
10%の酸化アンチモンを含有する酸化スズで被覆した酸化チタン粉体50部、レゾール型フェノール樹脂25部、メチルセロソルブ20部、メタノール5部、及び、シリコーンオイル(ポリジメチルシロキサン・ポリオキシアルキレン共重合体、平均分子量3,000)0.002部を、平均粒径1.0mmのガラスビーズを用いて縦型サンドミルにて23℃雰囲気下、回転数1,500rpmで2時間分散処理した。分散処理後、得られた分散液からメッシュでガラスビーズを取り除いて導電層用塗布液5を調製した。
<下引き層用塗布液の調製>
[下引き層用塗布液1の調製]
ルチル型酸化チタン粒子(商品名:MT-600B、平均一次粒径:50nm、テイカ製)100部をトルエン500部と攪拌混合し、ビニルトリメトキシシラン(商品名:KBM-1003、信越化学製)5.0部を添加し、8時間攪拌した。その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間乾燥させることによって、ビニルトリメトキシシランで表面処理済みのルチル型酸化チタン粒子を得た。
続いて、上記ビニルトリメトキシシランで表面処理済みのルチル型酸化チタン粒子18部、N-メトキシメチル化ナイロン(商品名:トレジンEF-30T、ナガセケムテックス製)4.5部、共重合ナイロン樹脂(商品名:アミラン(商標)CM8000、東レ製)1.5部を、メタノール90部と1-ブタノール60部の混合溶剤に加えて分散液を調製した。この分散液を、直径1.0mmのガラスビーズを用いて縦型サンドミルにて5時間分散処理することにより、下引き層用塗布液1を調製した。
[下引き層用塗布液2の調製]
N-メトキシメチル化ナイロン6(商品名:トレジンEF-30T、ナガセケムテックス製)25部をメタノール/n-ブタノール=2/1混合溶液480部に溶解(65℃での加熱溶解)させてなる溶液を冷却した。その後、溶液をメンブランフィルター(商品名:FP-022、孔径:0.22μm、住友電気工業製)で濾過して、下引き層用塗布液2を調製した。
[下引き層用塗布液3の調製]
下記式(A3)
で示される化合物1質量部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックKS5、積水化学工業製)0.2質量部、ジオクチルスズラウリレート0.0005質量部を、メトキシプロパノール15質量部とテトラヒドロフラン15質量部の混合溶媒に溶解した。この溶液に、固形分1.3質量部相当のブロックイソシアネート樹脂(商品名:デュラネートSBN-70D、旭化成製)を加え、下引き層用塗布液3を調製した。
[下引き層用塗布液4の調製]
下記式(A4)
で示される化合物1質量部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックKS5、積水化学工業製)0.2質量部、ジオクチルスズラウリレート0.0005質量部を、メトキシプロパノール15質量部とテトラヒドロフラン15質量部の混合溶媒に溶解した。この溶液に、固形分1.3質量部相当のブロックイソシアネート樹脂(商品名:デュラネートSBN-70D、旭化成製)を加え、下引き層用塗布液4を調製した。
[下引き層用塗布液5の調製]
6-66-610-12四元系ポリアミド共重合体5部をメタノール/n-ブタノール=14/5混合溶液95部に溶解(65℃での加熱溶解)させてなる溶液を冷却した。その後、溶液をメンブランフィルター(商品名:FP-022、孔径:0.22μm、住友電気工業製)で濾過して、下引き層用塗布液5を調製した。
[下引き層用塗布液6の調製]
チタンキレート化合物(商品名:TC-750、松本製薬製)30部、シランカップリング剤(商品名:KBM-503、信越化学製)17部を2-プロパノール117部に溶解し、下引き層用塗布液6を調製した。
<電荷発生層用塗布液の調製>
[合成例1]
窒素フローの雰囲気下、オルトフタロニトリル5.46部及びα-クロロナフタレン45部を反応釜に投入した後、加熱し、温度30℃まで昇温させ、この温度を維持した。次に、この温度(30℃)で三塩化ガリウム3.75部を投入した。投入時の混合液の水分濃度は150ppmであった。その後、温度200℃まで昇温させた。次に、窒素フローの雰囲気下、温度200℃で4.5時間反応させた後、冷却し、温度150℃に達したときに生成物を濾過した。得られた濾過物をN,N-ジメチルホルムアミドを用いて温度140℃で2時間分散洗浄した後、濾過した。得られた濾過物をメタノールで洗浄した後、乾燥させ、クロロガリウムフタロシアニン顔料を収率71%で得た。
[合成例2]
上記合成例1で得られたクロロガリウムフタロシアニン顔料4.65部を、温度10℃で濃硫酸139.5部に溶解させ、攪拌下、氷水620部中に滴下して再析出させて、フィルタープレスを用いて減圧濾過した。このときフィルターとして、No.5C(アドバンテック社製)を用いた。得られたウエットケーキ(濾過物)を2%アンモニア水で30分間分散洗浄した後、フィルタープレスを用いて濾過した。次いで、得られたウエットケーキ(濾過物)をイオン交換水で分散洗浄した後、フィルタープレスを用いて濾過することを3回繰り返した。最後にフリーズドライ(凍結乾燥)を行い、固形分23%のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料(含水ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料)を収率97%で得た。
[合成例3]
前記上記合成例2で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料6.6kgをハイパー・ドライ乾燥機(商品名:HD-06R、周波数(発振周波数):2455MHz±15MHz、日本バイオコン製)を用いて以下のように乾燥させた。
上記ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を、専用円形プラスチックトレイにフィルタープレスから取り出したままの固まりの状態(含水ケーキ厚4cm以下)で載せ、遠赤外線はオフにし、乾燥機の内壁の温度が50℃になるように設定した。そして、マイクロ波照射時は真空ポンプとリークバルブを調整し、真空度を4.0~10.0kPaに調整した。
先ず、第1工程として、4.8kWのマイクロ波をヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料に50分間照射し、次に、マイクロ波を一旦オフにしてリークバルブを一旦閉じて2kPa以下の高真空にした。この時点でのヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の固形分は88%であった。第2工程として、リークバルブを調整し、真空度(乾燥機内の圧力)を上記設定値内(4.0~10.0kPa)に調整した。その後、1.2kWのマイクロ波をヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料に5分間照射し、また、マイクロ波を一旦オフにしてリークバルブを一旦閉じて2kPa以下の高真空にした。この第2工程をさらに1回繰り返した(すなわち計2回本工程を行った)。この時点でのヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料の固形分は98%であった。さらに第3工程として、第2工程でのマイクロ波の出力を1.2kWから0.8kWに変更した以外は第2工程と同様にしてマイクロ波照射を行った。この第3工程をさらに1回繰り返した(すなわち計2回本工程を行った)。さらに第4工程として、リークバルブを調整し、真空度(乾燥機内の圧力)を上記設定値内(4.0~10.0kPa)に復圧した。その後、0.4kWのマイクロ波をヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料に3分間照射し、また、マイクロ波を一旦オフにしてリークバルブを一旦閉じて2kPa以下の高真空にした。この第4工程をさらに7回繰り返した(すなわち計8回本工程を行った)。以上、合計3時間で、含水率1%以下のヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料(結晶)を1.52kg得た。
[合成例4]
α-クロロナフタレン100g中、o-フタロジニトリル5.0g、四塩化チタン2.0gを200℃にて3時間加熱攪拌した後、50℃まで冷却して、析出した結晶を濾別してジクロロチタニウムフタロシアニンのペーストを得た。次にこれを100℃に加熱したN,N-ジメチルホルムアミド100mLで攪拌洗浄し、次いで60℃のメタノール100mLで2回洗浄を繰り返し濾別した。さらに得られたペーストを脱イオン水100mL中80℃で1時間攪拌し、濾別して青色のチタニルフタロシアニン顔料を4.3g得た。
[ミリング例1]
合成例3で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料1部、N-メチルホルムアミド(製品コード:F0059、東京化成工業製)9部、直径0.9mmのガラスビーズ15部を冷却水温度18℃下で70時間、サンドミル(K-800、五十嵐機械製造(現アイメックス)製、ディスク径70mm、ディスク枚数5枚)を用いてミリング処理した。この際、ディスクが1分間に400回転する条件で行った。こうして処理した液を、フィルター(品番:N-NO.125T、孔径:133μm、NBCメッシュテック製)で濾過してガラスビーズを取り除いた。この液にN-メチルホルムアミドを30部添加した後、濾過し、濾過器上の濾取物をテトラヒドロフランで十分に洗浄した。そして、洗浄された濾取物を真空乾燥させて、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を0.45部得た。得られた顔料はCuKα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度2θの7.4°±0.3°及び28.2°±0.3°に強いピークを有した。H-NMR測定により見積もられたヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶粒子内における上記式(A1)で示されるアミド化合物(N-メチルホルムアミド)の含有量は、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの含有量に対して0.8質量%であった。
[ミリング例2]
合成例4で得られたチタニルフタロシアニン顔料0.5部、テトラヒドロフラン10部、直径0.9mmのガラスビーズ15部を冷却水温度18℃下で48時間、サンドミル(K-800、五十嵐機械製造(現アイメックス)製、ディスク径70mm、ディスク枚数5枚)を用いてミリング処理した。この際、ディスクが1分間に500回転する条件で行った。こうして処理した液をフィルター(品番:N-NO.125T、孔径:133μm、NBCメッシュテック製)で濾過してガラスビーズを取り除いた。この液にテトラヒドロフランを30部添加した後、濾過し、濾過器上の濾取物をメタノールと水で十分に洗浄した。そして、洗浄された濾取物を真空乾燥させて、チタニルフタロシアニン顔料を0.45部得た。得られた顔料はCuKα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度2θの27.2°±0.3°に強いピークを有した。
[ミリング例3]
合成例3で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料0.5部、N,N-ジメチルホルムアミド(製品コード:D0722、東京化成工業製)9.5部、直径0.9mmのガラスビーズ15部を室温(23℃)下で100時間、ボールミルでミリング処理した。この際、容器は規格びん(商品名:PS-6、柏洋硝子製)を用い、容器が1分間に60回転する条件で行った。こうして処理した液をフィルター(品番:N-NO.125T、孔径:133μm、NBCメッシュテック製)で濾過してガラスビーズを取り除いた。この液にN,N-ジメチルホルムアミドを30部添加した後、濾過し、濾過器上の濾取物をテトラヒドロフランで十分に洗浄した。そして、洗浄された濾取物を真空乾燥させて、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を0.48部得た。得られた顔料はCuKα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度2θの7.4°±0.3°及び28.2°±0.3°にピークを有した。
[電荷発生層用塗布液1の調製]
ミリング例1で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料20部、ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX-1、積水化学工業製)10部、シクロヘキサノン190部、直径0.9mmのガラスビーズ482部を冷却水温度18℃下で4時間、サンドミル(K-800、五十嵐機械製造(現アイメックス)製、ディスク径70mm、ディスク枚数5枚)を用いて分散処理した。この際、ディスクが1分間に1,800回転する条件で行った。ガラスビーズ除去後、この分散液にシクロヘキサノン444部及び酢酸エチル634部を加えることによって、電荷発生層用塗布液1を調製した。
[電荷発生層用塗布液2の調製]
ミリング例2で得られたチタニルフタロシアニン顔料12部、ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX-1、積水化学工業製)10部、シクロヘキサノン158部、直径0.9mmのガラスビーズ402部を冷却水温度18℃下で4時間、サンドミル(K-800、五十嵐機械製造(現アイメックス)製、ディスク径70mm、ディスク枚数5枚)を用いて分散処理した。この際、ディスクが1分間に1,800回転する条件で行った。ガラスビーズ除去後、この分散液にシクロヘキサノン369部及び酢酸エチル527部を加えることによって、電荷発生層用塗布液2を調製した。
[電荷発生層用塗布液3の調製]
ミリング例3で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料20部、ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX-1、積水化学工業製)10部、シクロヘキサノン190部、直径0.9mmのガラスビーズ482部を冷却水温度18℃下で4時間、サンドミル(K-800、五十嵐機械製造(現アイメックス)製、ディスク径70mm、ディスク枚数5枚)を用いて分散処理した。この際、ディスクが1分間に1,800回転する条件で行った。ガラスビーズ除去後、この分散液にシクロヘキサノン444部及び酢酸エチル634部を加えることによって、電荷発生層用塗布液3を調製した。
[電荷発生層用塗布液4の調製]
ポリカーボネート(商品名:ユーピロンZ-200、三菱エンジニアリングプラスチックス製)0.45部、ミリング例3で得られたヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料2.4部、テトラヒドロフラン56部、直径3.2mmのステンレス鋼球300部を、室温(23℃)下で24時間、規格びん(製品名:PS-6、柏洋硝子製)を用い、容器が1分間に120回転する条件のボールミルでミリング処理した。ステンレス鋼球除去後、ポリカーボネート(商品名:ユーピロンZ-200、三菱エンジニアリングプラスチックス製)2.25部をテトラヒドロフラン46.1部に溶解し、これを上述のヒドロキシガリウムフタロシアニンスラリーに加えた。次いで、このスラリー300部と直径0.9mmのガラスビーズ450部を、冷却水温度18℃下で10分間、サンドミル(K-800、五十嵐機械製造(現アイメックス)製、ディスク径70mm、ディスク枚数5枚)を用いて分散処理した。この際、ディスクが1分間に1800回転する条件で行った。この分散液からガラスビーズを取り除くことで、電荷発生層用塗布液4を調製した。
[電荷発生層用塗布液5の調製]
下記式(CGM-1)
で表されるトリスアゾ顔料10部、フェノキシ樹脂(商品名:PKHH、ユニオンカーバイド製)5部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX-1;積水化学製)5部、シクロヘキサノン100部、直径0.9mmのガラスビーズ200部を冷却水温度18℃下で24時間、サンドミル(K-800、五十嵐機械製造(現アイメックス)製、ディスク径70mm、ディスク枚数5枚)を用いて分散処理した。この際、ディスクが1分間に1,800回転する条件で行った。ガラスビーズ除去後、この分散液に1,4ジオキサン200部を加えることによって、電荷発生層用塗布液5を調製した。
[電荷発生層用塗布液6の調製]
CuKα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度2θの9.6±0.2°、24.0±0.2°、及び27.2±0.2°に強いピークを有するチタニルフタロシアニン9部、ポリビニルブチラール(商品名:BX-55、積水化学工業製)11部、2-ブタノンとシクロヘキサノンの混合溶媒90部、直径0.9mmのガラスビーズ200部を冷却水温度18℃下で4時間、サンドミル(K-800、五十嵐機械製造(現アイメックス)製、ディスク径70mm、ディスク枚数5枚)を用いて分散処理した。この際、ディスクが1分間に1,800回転する条件で行った。分散処理後、分散液からガラスビーズを除去することによって、電荷発生層用塗布液6を調製した。
[電荷発生層用塗布液7の調製]
CuKα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度2θの9.6±0.2°、24.0±0.2°、及び27.2±0.2°に強いピークを有するチタニルフタロシアニン6部、CuKα線を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度2θの7.6±0.2°、25.3±0.2°、及び28.6±0.2°に強いピークを有するチタニルフタロシアニン3部、ポリビニルブチラール(商品名:BX-55、積水化学工業製)11部、2-ブタノンとシクロヘキサノンの混合溶媒90部、直径0.9mmのガラスビーズ200部を冷却水温度18℃下で4時間、サンドミル(K-800、五十嵐機械製造(現アイメックス)製、ディスク径70mm、ディスク枚数5枚)を用いて分散処理した。この際、ディスクが1分間に1,800回転する条件で行った。分散処理後、分散液からガラスビーズを除去することによって、電荷発生層用塗布液7を調製した。
[電荷輸送層用塗布液1の調製]
電荷輸送物質として、下記式(A5)
で示されるイオン化ポテンシャルが5.4eVの電荷輸送物質40部、
下記式(A6)
で示されるイオン化ポテンシャルが5.3eVの電荷輸送物質60部、
ポリカーボネート(商品名:ユーピロンZ-400、三菱エンジニアリングプラスチックス製)100部をオルトキシレン225部/安息香酸メチル375部/ジメトキシメタン150部に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液1を調製した。
[電荷輸送層用塗布液2の調製]
電荷輸送物質として、下記式(A7)
で示されるイオン化ポテンシャルが5.5eVの電荷輸送物質100部、
ポリカーボネート(商品名:ユーピロンZ-400、三菱エンジニアリングプラスチックス製)100部をオルトキシレン225部/安息香酸メチル375部/ジメトキシメタン150部に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液2を調製した。
[電荷輸送層用塗布液3の調製]
電荷輸送物質として、下記式(A8)
で示されるイオン化ポテンシャルが5.5eVの電荷輸送物質100部、
ポリカーボネート(商品名:ユーピロンZ-400、三菱エンジニアリングプラスチックス製)100部をオルトキシレン225部/安息香酸メチル375部/ジメトキシメタン150部に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液3を調製した。
[電荷輸送層用塗布液4の調製]
電荷輸送物質として、下記式(A9)
で示されるイオン化ポテンシャルが5.5eVの電荷輸送物質100部、
ポリカーボネート(商品名:ユーピロンZ-400、三菱エンジニアリングプラスチックス製)100部をオルトキシレン225部/安息香酸メチル375部/ジメトキシメタン150部に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液4を調製した。
[電荷輸送層用塗布液5の調製]
電荷輸送物質として、下記式(A10)
で示されるイオン化ポテンシャルが5.35eVの電荷輸送物質90部、
下記式(A11)
で示される構造単位と、
下記式(A12)
で示される構造単位とを、5/5の割合で有し、重量平均分子量が100,000であるポリアリレート樹脂100部を、ジメトキシメタン300部及びクロロベンゼン700部の混合溶剤に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液5を調製した。
[電荷輸送層用塗布液6の調製]
電荷輸送物質として、前記式(A10)で示されるトリアリールアミン化合物70部、
下記式(A13)
で示されるトリアリールアミン化合物10部、ポリカーボネート(商品名:ユーピロンZ-200、三菱エンジニアリングプラスチックス製)100部をモノクロロベンゼン630部に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液6を調製した。
[電荷輸送層用塗布液7の調製]
電荷輸送物質として、下記式(A14)で示される電荷輸送物質50部、
下記式(A15)
で示される構造単位と、
下記式(A16)
で示される構造単位とを、繰り返し単位51モル%/49モル%の割合で有し、p-t-
ブチルフェノールに由来する末端構造式を有するポリカーボネート樹脂100部、
2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール8部、
シリコーンオイル(商品名:KF96、信越化学工業(株)製)0.03部をテトラヒドロフラン/トルエン(重量比8/2)混合溶媒640部に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液7を調製した。
[電荷輸送層用塗布液8の調製]
電荷輸送物質として、前記式(A6)で示される電荷輸送物質25部、
下記式(A17)
で示される電荷輸送物質25部、
前記式(A15)で示される構造単位と、前記式(A16)で示される構造単位とを、繰り返し単位51モル%/49モル%の割合で有し、p-t-ブチルフェノールに由来する末端構造式を有するポリカーボネート樹脂100部、
シリコーンオイル(商品名:KF96、信越化学工業(株)製)0.05部をテトラヒドロフラン/トルエン(重量比8/2)混合溶媒640部に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液8を調製した。
[電荷輸送層用塗布液9の調製]
電荷輸送物質として、前記式(A6)で示される電荷輸送物質10部、
ポリカーボネート(商品名:ユーピロンZ-400、三菱エンジニアリングプラスチックス製)10部をテトラヒドロフラン39部に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液9を調製した。
[電荷輸送層用塗布液10の調製]
電荷輸送物質として、(4-メトキシ-4′-(4-メチル-α-フェニルスチリル)トリフェニルアミン)30部、
ポリカーボネート(商品名:ユーピロンZ-300、三菱エンジニアリングプラスチックス製)30部、
酸化錫微粒子1部をジオキソラン200部に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液10を調製した。
[電荷輸送層用塗布液11の調製]
下記式(A18)
で示される電荷輸送物質50部、
ポリカーボネート(商品名:ユーピロンZ-400、三菱エンジニアリングプラスチックス製)50部、
下記式(A19)
で表されるジシアノ化合物1.5部をジ-ter-ブチルヒドロキシトルエン4部及びジクロルメタンに溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液11を調製した。
[電荷輸送層用塗布液12の調製]
DEH(p-(ジエチルアミノ)ベンズアルデヒドジフェニルヒドラゾン)27.0部、
ビスフェノール-A(バイヤーエージー)37.9部、
アセトゾルイエロー0.48部をテトラハイドロフランと1,4-ジオキサンの混合溶媒に溶解させることによって、電荷輸送層用塗布液12を調製した。
[単層感光層用塗布液1の調製]
無金属フタロシアニン5部、
下記式(A20)
で示される電荷輸送物質(正孔輸送物質)10部、
下記式(A21)
で示される電荷輸送物質(電子輸送物質)3部、
ポリカーボネート(商品名:ユーピロンZ-400、三菱エンジニアリングプラスチックス製)10部、テトラヒドロフラン80部、直径0.9mmのガラスビーズ250部を室温(23℃)下で10時間、ペイントシェーカ(東洋精機製作所製)を用いてミリング処理した。この際、容器は規格びん(製品名:PS-6、柏洋硝子製)を用いた。こうしてミリング処理した液をフィルター(品番:N-NO.125T、孔径:133μm、NBCメッシュテック製)で濾過してガラスビーズを取り除き、単層感光層用塗布液1を調製した。
<電子写真感光体の製造>
(感光体製造例1)
押し出し工程及び引き抜き工程を含む製造方法により、長さ260.5mm、直径30mmのアルミニウムシリンダー(JIS-A3003、アルミニウム合金)を支持体として得た。
この支持体上に導電層用塗布液1を浸漬塗布して塗膜を形成し、塗膜を150℃で20分間加熱乾燥させることにより、膜厚が19μmの導電層を形成した。
次に、下引き層用塗布液1を上記の導電層上に浸漬塗布して塗膜を形成し、塗膜を100℃で10分間加熱乾燥させることにより、膜厚が2.2μmの下引き層を形成した。
次に、電荷発生層用塗布液1を上記の下引き層上に浸漬塗布して塗膜を形成し、塗膜を100℃で10分間加熱乾燥させることにより、膜厚が140nmの電荷発生層を形成した。
次に、電荷輸送層用塗布液1を上記の電荷発生層上に浸漬塗布して塗膜を形成し、塗膜を温度120℃で60分間加熱乾燥することにより、膜厚が17μmの電荷輸送層を形成した。
各層の塗膜の加熱処理は、各温度に設定されたオーブンを用いて行った。以上のようにして、円筒状(ドラム状)の感光体1を製造した。
このとき得られた感光体の特性値であるI1/2[μJ・cm]、AR、LR、及びVを前述の方法で求めた。その結果を、感光体製造例1の構成と共に表1に示す。
なお、表1、2中「CPL」は「導電層」を意味し、CPL塗布液No.の「1」、「2」、「3」、「4」、「5」はそれぞれ「導電層用塗布液1」、「導電層用塗布液2」、「導電層用塗布液3」、「導電層用塗布液4」、「導電層用塗布液5」を意味する。さらに、「UCL」は「下引き層」を意味し、UCL塗布液No.の「1」、「2」、「3」、「4」、「5」、「6」はそれぞれ「下引き層用塗布液1」、「下引き層用塗布液2」、「下引き層用塗布液3」、「下引き層用塗布液4」、「下引き層用塗布液5」、「下引き層用塗布液6」を意味する。「CGL」は「電荷発生層」を意味し、CGL塗布液No.の「1」、「2」、「3」、「4」、「5」、「6」、「7」はそれぞれ「電荷発生層用塗布液1」、「電荷発生層用塗布液2」、「電荷発生層用塗布液3」、「電荷発生層用塗布液4」、「電荷発生層用塗布液5」、「電荷発生層用塗布液6」、「電荷発生層用塗布液7」を意味する。「CTL」は「電荷輸送層」を意味する。CTL塗布液No.の「1」、「2」、「3」、「4」、「5」、「6」、「7」、「8」、「9」、「10」、「11」、「12」は「電荷輸送層用塗布液1」、「電荷輸送層用塗布液2」、「電荷輸送層用塗布液3」、「電荷輸送層用塗布液4」、「電荷輸送層用塗布液5」、「電荷輸送層用塗布液6」、「電荷輸送層用塗布液7」、「電荷輸送層用塗布液8」、「電荷輸送層用塗布液9」、「電荷輸送層用塗布液10」、「電荷輸送層用塗布液11」、「電荷輸送層用塗布液12」を意味する。「単層感光層用塗布液1を使って膜厚38μmを形成」は、「単層感光層用塗布液1」を前記アルミニウムシリンダー上に38μmの膜厚で形成したことを意味する。
また、表1、2におけるCPL塗布液No.1~5を浸漬塗布した際の乾燥温度と乾燥時間は以下の通りであった。
・CPL塗布液No.1:乾燥温度150℃、乾燥時間20分間
・CPL塗布液No.2:乾燥温度145℃、乾燥時間60分間
・CPL塗布液No.3:乾燥温度170℃、乾燥時間20分間
・CPL塗布液No.4:乾燥温度170℃、乾燥時間40分間
・CPL塗布液No.5:乾燥温度140℃、乾燥時間30分間
また、表1、2におけるUCL塗布液No.1~6を浸漬塗布した際の乾燥温度と乾燥時間は以下の通りであった。
・UCL塗布液No.1:乾燥温度100℃、乾燥時間10分間
・UCL塗布液No.2:乾燥温度100℃、乾燥時間10分間
・UCL塗布液No.3:乾燥温度160℃、乾燥時間30分間
・UCL塗布液No.4:乾燥温度160℃、乾燥時間30分間
・UCL塗布液No.5:乾燥温度100℃、乾燥時間10分間
・UCL塗布液No.6:乾燥温度120℃、乾燥時間30分間
また、表1、2におけるCGL塗布液No.1~7を浸漬塗布した際の乾燥温度と乾燥時間は以下の通りであった。
・CGL塗布液No.1:乾燥温度100℃、乾燥時間10分間
・CGL塗布液No.2:乾燥温度100℃、乾燥時間10分間
・CGL塗布液No.3:乾燥温度100℃、乾燥時間10分間
・CGL塗布液No.4:乾燥温度125℃、乾燥時間2分間
・CGL塗布液No.5:乾燥温度100℃、乾燥時間10分間
・CGL塗布液No.6:乾燥温度100℃、乾燥時間15分間
・CGL塗布液No.7:乾燥温度100℃、乾燥時間15分間
また、表1、2におけるCTL塗布液No.1~12を浸漬塗布した際の乾燥温度と乾燥時間は以下の通りであった。
・CTL塗布液No.1:乾燥温度125℃、乾燥時間30分間
・CTL塗布液No.2:乾燥温度125℃、乾燥時間30分間
・CTL塗布液No.3:乾燥温度125℃、乾燥時間30分間
・CTL塗布液No.4:乾燥温度125℃、乾燥時間30分間
・CTL塗布液No.5:乾燥温度125℃、乾燥時間30分間
・CTL塗布液No.6:乾燥温度125℃、乾燥時間30分間
・CTL塗布液No.7:乾燥温度125℃、乾燥時間30分間
・CTL塗布液No.8:乾燥温度125℃、乾燥時間30分間
・CTL塗布液No.9:乾燥温度120℃、乾燥時間30分間
・CTL塗布液No.10:乾燥温度125℃、乾燥時間30分間
・CTL塗布液No.11:乾燥温度125℃、乾燥時間30分間
・CTL塗布液No.12:乾燥温度100℃、乾燥時間60分間
また、表2の感光体製造例79における「単層乾燥用塗布液1」を浸漬塗布した際の乾燥温度と乾燥時間は以下の通りであった。
・乾燥温度130℃、乾燥時間30分間
さらに、表1、2における「-」は、該当する層を形成しなかったことを意味する。
(感光体製造例2~83)
感光体製造例1において、導電層、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を表1、2に示すように変更したこと以外は感光体製造例1と同様にして、感光体2~83を製造した。ただし、導電層、下引き層、電荷発生層及び電荷輸送層の塗膜の加熱処理は、上記の通り、各温度に設定されたオーブンを用いて、各時間で行った。
また、感光体製造例1と同様にして、感光体2~83の特性値であるI1/2[μJ・cm]、AR、LR、及びVを求めた。その結果を、感光体製造例2~83の構成と共に表1、2に示す。
[評価]
上記感光体製造例1~83を用いて、実施例1~50及び比較例1~33の評価を行った。評価は以下のようにした。その結果を表3、4に示す。
<評価装置>
評価用の電子写真装置として、ヒューレットパッカード社製のレーザビームプリンタ(商品名:Laser Jet Enterprise M609dn)を用意し、プロセススピード、帯電ローラへの印加電圧、像露光量、及び、現像ローラへの印加電圧を調節及び測定できるよう改造した。
画像の出力に際しては、上記感光体製造例1~83のドラムを上記レーザビームプリンタのプロセスカートリッジに取り付け、モノクロ画像を出力した。
<アナログ諧調性が維持できているかの確認>
暗部電位を450[V]となるように設定し、露光後の表面電位が225[V]となるような露光量を求めた。その10倍光量を照射した場合の表面電位と暗部電位450[V]との差分の絶対値をΔVと定めた。EVカーブ上のアナログ諧調性を揃えるために、露光後の表面電位が450-0.99ΔVとなるような露光量を像露光量として設定した。電位設定の際の感光体表面電位の測定には、プロセスカートリッジの現像位置に電位プローブ(商品名:model6000B-8、トレック・ジャパン製)を装着したものを用い、表面電位計(商品名:model344、トレック・ジャパン製)を使用して測定した。
次に、評価用のディザパターンを用意した。図9は、600[dpi]の解像度における線数150線のライン成長ディザパターンの内、面積率(a)0[%]、(b)25[%]、(c)50[%]、(d)75[%]、(e)100[%]の場合の例である。実際の測定では、面積率を等分に32分割した32諧調(面積率0[%]の白ベタも含めると33パターン)の画出しを行った。この際、パルス幅変調(Pulse with modulation、PWM)を用いた1画素未満への段差補間を行った。同様の32諧調ライン成長ディザパターンを、線数150線とは別に線数600線についても用意した。
上記の方法で設定した像露光量を固定した場合に、暗部電位と現像電位との差分の絶対値Vback[V]と現像電位と露光電位との差分の絶対値Vcont[V]が、それぞれVback=200[V]及びVback=200[V]となるよう帯電ローラ及び現像ローラへの印加電圧を調節し、上記の線数600線の32諧調ライン成長ディザパターンを画像出力した。この出力画像の各諧調のトナー濃度を反射濃度計(商品名:RD-918、マクベス社製)で測定した。測定値は全諧調の濃度データから面積率0[%]の白ベタ部の濃度を減じた上で面積率100[%]の濃度で規格化したものを縦軸、面積率を横軸にグラフ化した。図10には、例として上記感光体製造例1についてプロセススピード300[mm/s]で測定した場合のグラフを示した。このグラフ上で、面積率60[%]の場合の規格化濃度が0.8±0.05に入っている場合、アナログ諧調性が維持できていると判断した。ここで、0.85よりも上に外れた場合には、像露光量を10[%]程度下げて面積率―規格化濃度グラフを測定しなおす。他方、0.75よりも下に外れた場合には、像露光量を10[%]程度上げて面積率―規格化濃度グラフを測定しなおす。以上を、面積率60[%]の場合の規格化濃度が0.8±0.05に入るまで繰り返して、最終的な像露光量を決定した。
<デジタル諧調性の評価>
プロセススピードを200[mm/s]、暗部電位を450[V]、現像電位を250[V]に設定し、前記<アナログ諧調性が維持できているかの確認>の方法で決定した像露光量で、ベタパターンを画像出力した。この出力画像の濃度を、評価する感光体製造例毎に決まる濃度規格化用の最大濃度値とする。
次に、プロセススピードを300[mm/s]、400[mm/s]、または500[mm/s]に設定し、暗部電位を450[V]、現像電位を250[V]に設定し、上記の方法で決定した像露光量で、上記の線数150線の32諧調ライン成長ディザパターンを画像出力した。この出力画像の各諧調のトナー濃度を反射濃度計(商品名:RD-918、マクベス社製)で測定した。測定値は全諧調の濃度データから面積率0[%]の白ベタ部の濃度を減じた上で上記濃度規格化用の最大濃度値で規格化したものを縦軸、面積率を横軸にグラフ化し、以下の2つの数値を計算した。
(i)図11に示すような面積率-規格化濃度グラフにおいて、面積率0[%]と50[%]の2点を直線でつなぎ、面積率0~50[%]の範囲の16諧調分のデータとの差分をとった上で平均して「ハイライト諧調性」とした。この値が0に近いほど、ハイライト部の諧調性が優れていることを示している。
(ii)図11に示すような面積率-規格化濃度グラフにおいて、面積率50[%]と100[%]の2点を直線でつなぎ、面積率50~100[%]の範囲の16諧調分のデータとの差分をとった上で平均して「シャドウ諧調性」とした。この値が0に近いほど、シャドウ部の諧調性が優れていることを示している。
<6pt白抜き文字の視認性評価>
プロセススピードを300[mm/s]、400[mm/s]、または500[mm/s]に設定し、暗部電位を450[V]、現像電位を250[V]に設定し、前記<アナログ諧調性が維持できているかの確認>で決定した像露光量で、フォントサイズ6ptのMS明朝体の白抜き「電驚」文字を画像出力した。この出力画像を目視で観察し、下記の基準で6pt白抜き文字視認性を評価した。
・ランクA:白抜き「電驚」文字が明瞭に読める。
・ランクB:白抜き「電驚」文字にかすれが認められる。
・ランクC:白抜き「電驚」文字がつぶれかけている。
・ランクX:白抜き「電驚」文字の黒ベタ部が薄くなっている。
上記評価の中で、ランクA及びBは6pt白抜き文字視認性良好と判断した。
<3pt文字の視認性評価>
プロセススピードを300[mm/s]、400[mm/s]、または500[mm/s]に設定し、暗部電位を450[V]、現像電位を250[V]に設定し、前記<アナログ諧調性が維持できているかの確認>で決定した像露光量で、フォントサイズ3ptのMS明朝体の「電驚」文字を画像出力した。この出力画像を目視で観察し、下記の基準で3pt文字視認性を評価した。
・ランクA:「電驚」文字が明瞭に読める。
・ランクB:「電驚」文字にかすれが認められる。
・ランクC:「電驚」文字が薄くなっている。
上記評価の中で、ランクA及びBは3pt文字視認性良好と判断した。
<孤立1ドット再現性評価>
プロセススピードを300[mm/s]、400[mm/s]、または500[mm/s]に設定し、暗部電位を450[V]、現像電位を250[V]に設定し、前記<アナログ諧調性が維持できているかの確認>で決定した像露光量で、図12に示す1ドット4スペースのハーフトーンを画像出力した。この出力画像のトナー濃度を反射濃度計(商品名:RD-918、マクベス社製)で測定し、下記の基準で孤立1ドット再現性を評価した。
・ランクA:トナー濃度0.084以上。
・ランクB:トナー濃度0.076以上0.084未満。
・ランクC:トナー濃度0.059以上0.076未満。
・ランクD:トナー濃度0.059未満。
上記評価の中で、ランクA及びBは孤立1ドット再現性良好と判断した。
101:支持体
102:下引き層
103:電荷発生層
104:電荷輸送層
105:感光層
1:電子写真感光体
2:軸
3:帯電手段
4:像露光光
5:現像手段
6:転写手段
7:転写材
8:像定着手段
9:クリーニング手段
10:前露光光
11:プロセスカートリッジ
12:案内手段
201:感光体
202:NESAガラス
203:露光
204:透明ITO電極
205:高圧電源

Claims (9)

  1. 支持体、支持体上の下引き層、該下引き層上の電荷発生層、及び該電荷発生層上の電荷輸送層を有する電子写真感光体であって、
    該電子写真感光体は、有機感光体であり、
    該下引き層が、表面をシラン処理した、結晶構造がルチル型またはアナターゼ型酸化チタン粒子を含み、
    該電荷発生層が、
    CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θの7.4°±0.3°及び28.2°±0.3°に強いピークを有し、結晶中に下記式(A1)に示す構造の化合物を0.4質量%以上3.0質量%以下含有すヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶:
    (上記式(A1)中、R は、メチル基、プロピル基、又はビニル基を示す。)、または、
    CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θの27.2°±0.3°に強いピークを有するチタニルフタロシアニン結晶
    を含み、
    該電荷発生層の平均膜厚が150nm以上300nm以下であり、
    該電荷輸送層が、電荷輸送物質と樹脂とを含有し、該電荷輸送層中の該電荷輸送物質と該樹脂との含有量比(質量比)が、8:10~12:10であり、
    温度23.5[℃]及び相対湿度50[%RH]において、帯電電位がV=500[V]のときの下記<NESA-EVカーブの測定法>に従って得られる横軸がIexpで縦軸がVexpのIexp-Vexpグラフにおいて、
    該グラフのVexp=250[V]となるときの光量をI1/2[μJ/cm]とし、
    該グラフのIexp=0.000~3.414・I1/2[μJ/cm]の範囲における、S=Iexp・Vexpで計算されるS[V・μJ/cm]の最大値をSmax[V・μJ/cm]とし、
    該グラフのIexp=0.000[μJ/cm]~0.100・I1/2[μJ/cm]の範囲における近似直線とIexp=(5・I1/2-0.100)[μJ/cm]~5・I1/2[μJ/cm]の範囲における近似直線の交点をQとして、点Qの光量値をI[μJ/cm]、点Qの電位値をV[V]、IとVの積をS=I・V[V・μJ/cm]とし、
    とSmaxの比をAR=S/Smaxとし、
    をIで除した値をLR=V/I[V・cm/μJ]とした場合に、
    1/2≦0.170、かつ、AR≦0.370、かつ、LR≦780である
    ことを特徴とする電子写真感光体。
    <NESA-EVカーブの測定法>
    (1):該電子写真感光体の表面電位を0[V]にし、
    (2):該電子写真感光体の表面電位の絶対値がV[V]となるように該電子写真感光体を0.005秒間帯電させ、
    (3):帯電開始から0.02秒後から、露光量がIexp[μJ/cm]となるように波長が805[nm]で強度が25[mW/cm]の光でt秒間連続して帯電後の該電子写真感光体を露光し、
    (4):帯電開始から0.06秒後に、露光後の該電子写真感光体の表面電位の絶対値を測定してVexp[V]とする。
    (5):(1)~(4)の操作を、tを変えることにより、Iexpを0.000[μJ/cm]から0.850[μJ/cm]まで0.001[μJ/cm]の間隔で変化させながら繰り返し行い、それぞれのIexpに対応したVexpを得る。
    (6):(3)の操作でt=0、Iexp=0.000[μJ/cm]とした場合のVexp[V]を帯電電位V[V]と呼び、Vの値が500[V]となるよう(2)の操作を行う際のV[V]を設定する。
  2. 支持体、支持体上の下引き層、該下引き層上の電荷発生層、及び該電荷発生層上の電荷輸送層を有する電子写真感光体であって、
    該電子写真感光体は、有機感光体であり、
    該下引き層が、表面をシラン処理した、結晶構造がルチル型またはアナターゼ型酸化チタン粒子を含み、
    該電荷発生層が、
    CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θの7.4°±0.3°及び28.2°±0.3°に強いピークを有し、結晶中に下記式(A1)に示す構造の化合物を0.4質量%以上3.0質量%以下含有すヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶:
    (上記式(A1)中、R は、メチル基、プロピル基、又はビニル基を示す。)、または、
    CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θの27.2°±0.3°に強いピークを有するチタニルフタロシアニン結晶
    を含み、
    該電荷発生層の平均膜厚が150nm以上300nm以下であり、
    該電荷輸送層が、電荷輸送物質と樹脂とを含有し、該電荷輸送層中の該電荷輸送物質と該樹脂との含有量比(質量比)が、8:10~12:10であり、
    温度23.5[℃]及び相対湿度50[%RH]において、帯電電位がV=500[V]のときの下記<NESA-EVカーブの測定法>に従って得られる横軸がIexpで縦軸がVexpのIexp-Vexpグラフにおいて、
    該グラフのVexp=250[V]となるときの光量をI1/2[μJ/cm]とし、
    該グラフのIexp=0.000~3.414・I1/2[μJ/cm]の範囲における、S=Iexp・Vexpで計算されるS[V・μJ/cm2]の最大値をSmax[V・μJ/cm]とし、
    該グラフのIexp=0.000[μJ/cm]~0.100・I1/2[μJ/cm]の範囲における近似直線とIexp=(5・I1/2-0.100)[μJ/cm]~5・I1/2[μJ/cm]の範囲における近似直線の交点をQとして、点Qの光量値をI[μJ/cm]、点Qの電位値をV[V]、IとVの積をS=I・V[V・μJ/cm]とし、
    とSmaxの比をAR=S/Smaxとし、
    をIで除した値をLR=V/I[V・cm/μJ]とした場合に、
    1/2≦0.170、かつ、AR≦0.500、かつ、LR≦520である
    ことを特徴とする電子写真感光体。
    <NESA-EVカーブの測定法>
    (1):該電子写真感光体の表面電位を0[V]にし、
    (2):該電子写真感光体の表面電位の絶対値がV[V]となるように該電子写真感光体を0.005秒間帯電させ、
    (3):帯電開始から0.02秒後から、露光量がIexp[μJ/cm]となるように波長が805[nm]で強度が25[mW/cm]の光でt秒間連続して帯電後の該電子写真感光体を露光し、
    (4):帯電開始から0.06秒後に、露光後の該電子写真感光体の表面電位の絶対値を測定してVexp[V]とする。
    (5):(1)~(4)の操作を、tを変えることにより、Iexpを0.000[μJ/cm]から0.850[μJ/cm]まで0.001[μJ/cm]の間隔で変化させながら繰り返し行い、それぞれのIexpに対応したVexpを得る。
    (6):(3)の操作でt=0、Iexp=0.000[μJ/cm]とした場合のVexp[V]を帯電電位V[V]と呼び、Vの値が500[V]となるよう(2)の操作を行う際のV[V]を設定する。
  3. 前記ARと前記LRAR≦0.370、かつ、LR≦520である、請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記ARがAR≦0.100である、請求項1~3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  5. 前記LRLR≦60である、請求項1~4のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  6. 前記Iexp-Vexpグラフ上のIexp=5・I1/2[μJ/cm]におけるVexpの値Vr[V]がVr≦70である、請求項1~5のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  7. 前記VrがVr≦10である、請求項6に記載の電子写真感光体。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段及びクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段と、を一体に支持し、電子写真装置の本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  9. 請求項1~7のいずれか1項に記載の電子写真感光体、並びに、帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を有することを特徴とする電子写真装置。
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