JP7788414B2 - 780-820nm波長帯域用光アイソレータ - Google Patents
780-820nm波長帯域用光アイソレータInfo
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Description
本発明は、780-820nm波長帯域において使用される光アイソレータに関する。
光記録・医療・光計測用途に使用される産業用レーザには、半導体レーザが主に使用されている。従来より、CDへの光記録では波長780nmの小型半導体レーザ、生体分子を可視化する2光子蛍光顕微鏡法或いは第二高調波発生顕微鏡法によるバイオイメージングでは800nm帯パルス半導体レーザ、また、数ナノから数ピコメートルの位置決め精度を有するレーザ測長器においては、780-800nmの赤外波長域の半導体レーザが使用されている。
この半導体レーザの代表的なものとしてファブリペローレーザ(Fabry-Perot Laser Diode)がある。レーザ発振の原理は、光が通過する経路の両端に結晶の劈開などで形成した2枚の反射面を対向させた共振器を利用し、光の吸収よりも誘導放出の方が強くなったときにレーザ発光するというものである。これらの共振器構造は非常に簡素でありレーザーパッケージを小型化できる利点がある反面、発光したレーザ光が光ファイバ等ヘの結合端面へ入射される際、その一部が反射し戻り光となる場合がある。この戻り光が共振器内へ誘導されると本来出力されるレーザ光と干渉し、レーザ出力が安定しないという問題を引き起こす。
そこで、半導体レーザの安定動作の為には、反射光が発光光源である発光素子へ戻るのを防止するために、発光光源と加工体との間に、順方向の光を透過し逆方向の光を遮断する機能を有する光アイソレータ(an optical isolator)を配置して、光ファイバから発光光源へ反射して戻ってくる光を遮断することが不可欠となる。
ところで、この光アイソレータの機能を有するためには、45°程度のファラディ回転角が必要となる。具体的には、光アイソレータに入射された光は、その偏光面をファラディ回転子により45°回転されて各々角度調整された入出射偏光子を透過する。一方、戻り光は、ファラディ回転子の非相反性を利用して逆方向に偏光面を45°回転され、入射偏光子と90°の直行偏光面となって透過できなくなる。光アイソレータは、この現象を利用して光を単一方向にのみ透過させて、反射して戻ってくる光を阻止するのである。
そして、このような機能の光アイソレータは、ファラディ回転子と、ファラディ回転子の光入射側及び光出射側に配置された一対の偏光子と、ファラディ回転子の光透過方向(光軸方向)に磁界を印加するマグネットとの3つの主要部品から構成されている。この光アイソレータでは、光がファラディ回転子に入射するとファラディ回転子の中で偏光面が回転するという現象が生じる。この現象は、一般にファラディ効果と呼ばれるもので、偏光面が回転する角度をファラディ回転角と称し、その大きさθは、次式で表される。
θ=V×H×L
ここで、Vはヴェルデ定数であり、ファラディ回転子の材料および測定波長で決まる定数である。また、Hは磁束密度であり、Lはファラディ回転子の長さ(=サンプル長)である。
θ=V×H×L
ここで、Vはヴェルデ定数であり、ファラディ回転子の材料および測定波長で決まる定数である。また、Hは磁束密度であり、Lはファラディ回転子の長さ(=サンプル長)である。
光アイソレータの大きさを決める要因としては、磁束密度Hを与えるマグネットの大きさである。大きいマグネットであれば磁束密度Hも大きくなり、小型化を実現する小さいマグネットを利用すれば磁束密度Hは小さくなるので、同一長のファラディ回転子においては、より大きなヴェルデ定数を有する材料を開発することが必要になる。
従来から、波長780nm-820nmの範囲で使用されるファラディ回転子の材料として、TGG:テルビウム・ガリウム・ガーネット(化学式:Tb3Ga5O12)などが知られている。このTGGの780nm-820nmの波長帯域におけるヴェルデ定数は、0.25-0.29min/(Oe・cm)という小さい値であり、実際に使用されているTGG単結晶でも、そのヴェルデ定数は、波長800nmで0.27min/(Oe・cm)程度である。このような、ヴェルデ定数が0.27min/(Oe・cm)程度では、光アイソレータの機能を発揮させるために外径φ3.5cm、長さ2.0cmの更なる大きなマグネットを使用しなければならず、光アイソレータの形状が大きくなるという問題があり、ファラディ回転子の材料としては不適である。なお、1minは1/60度を表す。
そこで、光アイソレータの小型化が可能な材料として、特許文献1には、酸化テルビウムをモル比換算で50%以上含む酸化物が記載されている。この記載によれば、この酸化物を用いると波長800nmのヴェルデ定数Vが0.62min/(Oe・cm)以上で、かつファラディ回転子に印加する磁束密度B(Oe)が0.5×104以下となるときに、同波長で用いる光アイソレータの小型化が可能であるとされている。具体的にはモル比換算で60%の酸化物では、サンプル長1.1cmにおいて3950[Oe](=0.395[T])の磁束密度となる内径φ0.4cm、外径φ3.5cm、長さ2.0cmのマグネットでファラディ回転角45度が得られたと示されている。
しかし、近年、半導体レーザが使用される光記録・医療・計測用途の分野では、赤外域波長780-820nm帯域で用いられる半導体レーザのパッケージサイズも小型化が進んでおり、このパッケージの外部に具備される光アイソレータも同波長帯でより一層の小型化が要求されている。特許文献1に記載のファラディ回転子は波長800nmにおいて0.62min/(Oe・cm)のヴェルデ定数を有することから、マグネットサイズはサンプル長1.1cmにおいて外径φ3.5cm、長さ2.0cmの寸法が必要となる。この寸法では、光アイソレータの方がレーザパッケージサイズより大きくなり、双方レイアウト上の制限がでてくる。よって実装可能な光アイソレータの現実的な外径としては、φ3.5cmの半分以下のφ1.7cm以下であり、長さも2.0cm以下であればより好適な外形寸法となる。
よって、波長800nmにおけるヴェルデ定数が0.62min/(Oe・cm)の従来の酸化テルビウムの材料では、この要望に応えるのに十分ではなかった。
本発明は、このような実情に鑑みなされたものであり、波長780-820nmの帯域において、ファラディ効果が大きいファラディ回転子と小さな外形のマグネットとを組み合わせることによって、より一層の小型の光アイソレータを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の780-820nm波長帯域用光アイソレータは、下記式(A)で表される酸化物を主成分として含む複合酸化物で構成されると共に、波長800nmにおけるヴェルデ定数が0.80min/(Oe・cm)以上のファラディ回転子と、前記ファラディ回転子の外周に配置される中空マグネットとから構成される光アイソレータであって、
前記ファラディ回転子のサンプル長L(cm)は、下記式(1)の範囲内にあり、前記ファラディ回転子に印加される磁束密度B(Oe)は、下記式(2)の範囲内にある。
(TbxR1-x)2O3 (A)
ここで、上記式(A)中、xは、0.8≦x≦1.0であり、Rは、スカンジウム、イットリウム、Tb(テルビウム)以外のランタノイド元素群よりなる集合から選択された少なくとも1つの元素を含む。
0.8≦L≦1.1 (1)
B≦0.4×104 (2)
前記ファラディ回転子のサンプル長L(cm)は、下記式(1)の範囲内にあり、前記ファラディ回転子に印加される磁束密度B(Oe)は、下記式(2)の範囲内にある。
(TbxR1-x)2O3 (A)
ここで、上記式(A)中、xは、0.8≦x≦1.0であり、Rは、スカンジウム、イットリウム、Tb(テルビウム)以外のランタノイド元素群よりなる集合から選択された少なくとも1つの元素を含む。
0.8≦L≦1.1 (1)
B≦0.4×104 (2)
このような光アイソレータであれば、ヴェルデ定数が大きいためにファラディ効果が高くなり、所定のファラディ回転角を得るための磁界が小さくて済み、中空マグネットを小型化できるので、光アイソレータのより一層の小型化を実現できる。
また、前記酸化物は、セラミックスであることが好ましい。
このような酸化物であれば、ヴェルデ定数が大きなファラディ回転子を容易に実現できる。
また、前記ファラディ回転子は、前記サンプル長L(cm)において、1dB以下の挿入損失と30dB以上の消光比を有することが好ましい。
このようなファラディ回転子であれば、光アイソレータを低損失かつ高アイソレーションの高性能なものにできる。
また、前記中空マグネットは、ネオジム-鉄-ボロン(NdFeB)系磁石からなることが好ましい。
このような中空マグネットであれば、小型形状でも確実にファラディ回転子への磁束密度Bの印加を実現できる。
以上のように、本発明の780-820nm波長帯域用光アイソレータであれば、ヴェルデ定数が大きいためにファラディ効果が高くなり、所定のファラディ回転角を得るための磁界が小さくて済み、マグネットを小型化できるので、光アイソレータのより一層の小型化を実現できる。
また、光アイソレータを組み込むレーザ装置内の空間的寸法の自由度を大きくすることができる。
さらに、従来のTGGファラディ回転子と比較して、長さを短くすることができるので、この短尺化によって吸収損失を減少させ、光アイソレータの重要な特性である挿入損失を減少させることができる。
また、光アイソレータを組み込むレーザ装置内の空間的寸法の自由度を大きくすることができる。
さらに、従来のTGGファラディ回転子と比較して、長さを短くすることができるので、この短尺化によって吸収損失を減少させ、光アイソレータの重要な特性である挿入損失を減少させることができる。
上述のように、780-820nm波長帯域用光アイソレータにおいて、より一層の小型化が求められていた。
そして、本発明者らが鋭意検討を行ったところ、波長780nm-820nmの帯域では、マグネット外径をφ1.2cm以下、長さを2.0cm以下とするために、ヴェルデ定数が0.80min/(Oe・cm)以上とする必要があり、それ未満の値では、使用する所定の磁界の大きさが0.4×104(Oe)以上となり、光アイソレータをより小型化することは困難であることが判った。
そのために、本発明者らは、さらに検討を行ったところ、波長800nmでヴェルデ定数が0.85min/(Oe・cm)以上になる材料として、酸化テルビウムをモル比換算で80%以上含む酸化物材料を開発し、この材料をファラディ回転子に用いるとその長さを1.1cm以下まで短くできることを見出し、上記マグネット寸法内に実装できることを見出した。
また、このようなファラディ効果が大きい上記酸化物材料と磁束密度の大きい中空マグネットを組み合わせればより一層の小型化が実現可能であることを知見し、本発明に至ったものである。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明に係る光アイソレータは、780~820nmの波長帯域のレーザ光に使用されるものである。このレーザには、半導体レーザが含まれる。なお、本発明に係る光アイソレータを上記以外の波長帯域のレーザ光に設計変更することもできる。
図1は、光アイソレータの構成例を示す断面模式図である。図1では、入射偏光子1、ファラディ回転子2および出射偏光子3が左側の入射側から右側の出射側に向う光軸6上に順次配置されている。また、入射側では入射偏光子1が偏光子ホルダ4に固定され、同じく出射側では出射偏光子3が偏光子ホルダ4に固定され、各々入出射の偏光方向が調整され金属ホルダ5に固定されている。
ファラディ回転子2の形状は特に限定されず、三角柱状、四角柱状でもよいが、円柱状であることが好ましいので、以下に、円柱状のファラディ回転子2を例に説明する。
このファラディ回転子2の外周には、中空マグネット7が配置されている。ファラディ回転子2が円柱状の場合、中空マグネット7は中空円筒状であることが好ましく、ファラディ回転子2の中心軸及び中空マグネット7の中空部の中心軸は同軸であることが好ましい。また、ファラディ回転子2の外径と、中空マグネット7の中空部の内径はほぼ同じであり、光アイソレータを組み立てた後に調芯することが好ましい。そして、このような配置によってファラディ回転子2は中空マグネット7の中心に配置される。
次に、本発明の光アイソレータは、波長800nmにおけるヴェルデ定数が0.80min/(Oe・cm)以上のファラディ回転子を有するから、このファラディ回転子について説明する。
ファラディ回転子は、波長800nmでのヴェルデ定数が0.85min/(Oe・cm)以上である酸化テルビウムがモル比換算で80%以上含まれる酸化物材料で構成される。具体的な材料としては、下記式(A)で表される酸化物を主成分とするものであり、その他に焼結助剤を有する場合がある。
(TbxR1-x)2O3 (A)
ここで、式(A)中、xは0.8≦x≦1.0であり、Rはスカンジウム、イットリウム、Tb(テルビウム)以外のランタノイド元素群よりなる集合から選択された少なくとも1つの元素を含むものである。
(TbxR1-x)2O3 (A)
ここで、式(A)中、xは0.8≦x≦1.0であり、Rはスカンジウム、イットリウム、Tb(テルビウム)以外のランタノイド元素群よりなる集合から選択された少なくとも1つの元素を含むものである。
なお、このような酸化物結晶をアイソレータのファラディ回転子として使用する場合には、切断後に研磨剤等により表面に鏡面仕上げを施すことが好ましい。研磨剤は特に限定されないが、例えばコロイダルシリカが挙げられる。
ファラディ回転子としては、上記のような材料であれば特に限定されないが、セラミックスとすることができる。セラミックスであれば、ヴェルデ定数が大きなファラディ回転子を容易に実現できるからである。以下「透明セラミックス」という。
[透明セラミックスの製造方法]
所望の配合比の酸化物粉末を使用して、透明セラミックスを製造する。
透明セラミックスの作製方法としては、従来公知の製造方法を適宜選択して使用することができ、特に限定されない。透明セラミックスの製造方法としては、熱間等方圧加圧処理する方法、固相法とプレス成形法とを組み合わせる方法、鋳型成形等を利用して真空焼結する方法等が例示され、池末明生著「光学単結晶から光学多結晶へ」応用物理、第75巻、第5号、579-583(2006)、柳谷高公、八木秀喜著「セラミックレーザー材料の現状と将来」レーザー研究、第36巻、第9号、544-548(2008年)等に記載されている。
所望の配合比の酸化物粉末を使用して、透明セラミックスを製造する。
透明セラミックスの作製方法としては、従来公知の製造方法を適宜選択して使用することができ、特に限定されない。透明セラミックスの製造方法としては、熱間等方圧加圧処理する方法、固相法とプレス成形法とを組み合わせる方法、鋳型成形等を利用して真空焼結する方法等が例示され、池末明生著「光学単結晶から光学多結晶へ」応用物理、第75巻、第5号、579-583(2006)、柳谷高公、八木秀喜著「セラミックレーザー材料の現状と将来」レーザー研究、第36巻、第9号、544-548(2008年)等に記載されている。
以下、透明セラミックスの作製方法として、熱間等方圧加圧法(HIP(Hot Isostatic Pressing)を使用して透明セラミックスを作製する場合の一例について説明する。
(原料粉末の調製)
出発原料として用いる前記式(A)で表される酸化物の粉末材料は高純度のものを使用することが好ましく、純度99.9重量%以上であることが好ましく、99.99重量%以上であることがより好ましく、99.999重量%以上であることがさらに好ましい。なお、酸化テルビウムとしてはTb2O3に限定されるものではなく、Tb4O7を使用することもできる。
出発原料として用いる前記式(A)で表される酸化物の粉末材料は高純度のものを使用することが好ましく、純度99.9重量%以上であることが好ましく、99.99重量%以上であることがより好ましく、99.999重量%以上であることがさらに好ましい。なお、酸化テルビウムとしてはTb2O3に限定されるものではなく、Tb4O7を使用することもできる。
所望の配合比の酸化物粉末を使用して透明セラミックスを製造することになるが、その際に使用される粉末粒子の形状やサイズについては特に限定されない。また、これらの原料粉末の調製方法も特に限定されない。乾式粉砕法、湿式粉砕法、共沈法、アルコキシド加水分解法、ゾルゲル法、水熱合成法、噴霧熱分解法、その他あらゆる合成法で作製された原料粉末が好適に利用できる。なお、このとき酸化物の粉末材料を主成分として含有していればよく、その他の成分を副成分として意図的に含有していてもよい。
ここで、主成分として含有するとは、前記式(A)で表される複合酸化物を50質量%以上含有することを意味する。前記式(A)で表される複合酸化物の含有量は80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、97質量%以上であることがさらに好ましく、98質量%以上であることが特に好ましい。
一般的に例示される、その他の副成分(主成分以外の成分)としては、単結晶育成の際にドープされるドーパントやフラックス、セラミックス製造の際に添加される焼結助剤等がある。
ここで、焼結助剤としては、チタン、ジルコニウム、ハフニウムなどの第4族元素の酸化物、マグネシウム、カルシウムなどの第2族元素の酸化物が挙げられる。また、第4族元素の酸化物と第2族元素の酸化物を同時に使用してもよい。これらの酸化物は波長800nm付近に吸収がなく、本発明に係る透明セラミックスに好適である。焼結助剤を所定量加えても良く、複合酸化物100質量部に対して0.01質量部超5.0質量部以下含むことが好ましく、0.03質量部超3.0質量部以下含むことがより好ましく、0.05質量部超2.0質量部以下含むことがさらに好ましい。
一方、上記以外の元素では、波長800nm付近に吸収がみられること、希土類酸化物に固溶しにくいため、焼結助剤として反応せず、単独で析出してしまうこと、活性度が高すぎて結晶粒の大きさが最適範囲とならないこと、又は長期間において徐々に水分と反応することからセラミックスが吸湿性を示して失透することなどの問題があり、本発明に係る透明セラミックスを製造するための焼結助剤として不適である。
次に、得られた原料粉末材料を所望のモル比で秤量した後、粒径を揃えるため、必要に応じてポリアクリル酸アンモニウム、ポリカルボン酸アンモニウム、などの分散剤、所望の成型体を得るために、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールなどのバインダー等の少なくともいずれかを加える。さらに溶媒として水やメチルアルコール、エチルアルコールなどを使って、スラリー状とし、数~10数時間、ボールミルなどの一般的な混合粉砕を行う。得られたスラリーをスプレードライで処理して乾燥球状態体を得る。
また、ボールミルなどで混合粉砕した後、焼成処理を行ってもよく、焼成処理の後、さらに粉砕処理を行ってもよい。具体的には、ボールミル等で混合粉砕した後、スプレードライで処理した混合粉末を焼成する方法が例示できる。
焼成温度及び焼成時間は特に限定されないが、焼成温度は600~1,600℃であることが好ましく、800~1,400℃であることがより好ましく、800~1,100℃であることがさらに好ましい。焼成の雰囲気は特に限定はされず、大気、酸素および酸素含有雰囲気、アルゴン雰囲気、窒素ガス雰囲気等の不活性雰囲気の中から好適に利用できる。また、焼成時間は特に限定されず、混合粉末の含水量や焼成温度に応じて適宜選択すればよいが、1~20時間であることが好ましく、より好ましくは5~15時間である。また、焼成を行う場合には、焼成後にさらにボールミル等で数~10数時間粉砕混合することが好ましい。
また、混合粉末の平均粒子径の分布をシャープにし、さらに、高純度とする目的で、粉末材料を溶解して、再結晶化及び粉砕した後、原料粉末として使用してもよい。具体的には、高純度(例えば99.9質量%以上)の原料粉末を用意し、Tb2O3:R2O3が所望のモル比になるように、秤量する。これらの原料粉末を濃度1mol/l硝酸水溶液として溶解し、それに濃度1mol/lの硫酸アンモニウム水溶液を混合し、さらに超純水を加えて、濃度を調整し、得られた水溶液を撹拌しながら、濃度0.5mol/lの炭酸水素アンモニウム水溶液を、一定の滴下速度でpH8になるまで滴下し、攪拌しながら室温で数日間放置し、その後、ろ過と超純水での洗浄を行って、150℃で数日間乾燥する方法が例示できる。
得られた混合粉末を、アルミナ坩堝に入れて、窒素雰囲気もしくはアルゴン雰囲気などの不活性雰囲気で、好ましくは800~1,500℃、より好ましくは1,000~1,400℃、さらに好ましくは1,100~1,200℃にて、好ましくは0.5~10時間、より好ましくは1~7時間、さらに好ましくは2~4時間仮焼きを行う。ここで、不活性雰囲気にするのは、酸化テルビウムの価数が変化しないようにするためである。
[製造工程]
上記原料粉末を用いて、所定形状に成形した後に脱脂を行い、次いで焼結し、さらに熱間等方圧加圧法(HIP)にて加工して透明複合酸化物焼結体を作製する。
上記原料粉末を用いて、所定形状に成形した後に脱脂を行い、次いで焼結し、さらに熱間等方圧加圧法(HIP)にて加工して透明複合酸化物焼結体を作製する。
(成形)
成形においては、通常のプレス成形工程を好適に利用できる。即ち、ごく一般的な、型に充填して一定方向から加圧するプレス工程や、変形可能な防水容器に密閉収納して静水圧で加圧するCIP(Cold Isostatic Press)工程が利用できる。なお、印加圧力は得られる成形体の相対密度を確認しながら適宜調整すればよく、特に制限されない。また、成形工程においては、鋳込み成形などのその他の成形方法も好適に利用できる。また、成形する形状は特に限定されず、使用する装置等に応じて適宜選択すればよく、例えば、円柱状に成形することが例示される。
成形においては、通常のプレス成形工程を好適に利用できる。即ち、ごく一般的な、型に充填して一定方向から加圧するプレス工程や、変形可能な防水容器に密閉収納して静水圧で加圧するCIP(Cold Isostatic Press)工程が利用できる。なお、印加圧力は得られる成形体の相対密度を確認しながら適宜調整すればよく、特に制限されない。また、成形工程においては、鋳込み成形などのその他の成形方法も好適に利用できる。また、成形する形状は特に限定されず、使用する装置等に応じて適宜選択すればよく、例えば、円柱状に成形することが例示される。
(脱脂)
脱脂においては、通常の脱脂工程を好適に利用できる。即ち、加熱炉による昇温脱脂工程を経ることが可能である。また、この時の温度は好ましくは200~600℃、より好ましくは250~400℃である。脱脂を行う際の雰囲気は特に限定されず、大気、酸素、アルゴンガス雰囲気等が好適に利用できる。
脱脂においては、通常の脱脂工程を好適に利用できる。即ち、加熱炉による昇温脱脂工程を経ることが可能である。また、この時の温度は好ましくは200~600℃、より好ましくは250~400℃である。脱脂を行う際の雰囲気は特に限定されず、大気、酸素、アルゴンガス雰囲気等が好適に利用できる。
(焼結)
焼結においては、一般的な焼結工程を好適に利用できる。即ち、抵抗加熱方式、誘導加熱方式等の加熱焼結工程を好適に利用できる。このときの雰囲気は特に制限されず、大気、不活性ガス、酸素ガス、水素ガス、ヘリウムガス等の各種雰囲気が好適に利用できるが、より好ましくは減圧下(真空中)での焼結が利用できる。
焼結においては、一般的な焼結工程を好適に利用できる。即ち、抵抗加熱方式、誘導加熱方式等の加熱焼結工程を好適に利用できる。このときの雰囲気は特に制限されず、大気、不活性ガス、酸素ガス、水素ガス、ヘリウムガス等の各種雰囲気が好適に利用できるが、より好ましくは減圧下(真空中)での焼結が利用できる。
また、焼結時の真空度は、1×10-1Pa以下であることが好ましく、1×10-2Pa以下であることがより好ましい。焼結条件としては、1,300~1,800℃であることが好ましく、1,400~1,700℃であることがより好ましく、1,400~1,600℃であることがさらに好ましい。焼結時間は1~50時間であることが好ましく、2~25時間であることがより好ましく、5~20時間であることがさらに好ましい。このとき、好ましくは1,200℃程度までは昇温速度を100~500℃/hr、より好ましくは200~400℃/hr、さらに好ましくは250~350℃/hrとし、それ以上の温度では、昇温速度を遅くすることが好ましく、20~100℃/hrとすることがより好ましい。
(熱間等方圧加圧法(HIP)による加工)
また、上記の焼結の後、さらに透明性を上げるため、熱間等方圧加圧法(HIP)処理等の後工程を設ける。特に、焼結工程終了後でも透光性が発現しなかった透明複合酸化物焼結体の場合には、HIP処理まで進めることで焼結体中の気泡を排除でき、透光性を得ることが容易となり好ましい。
また、上記の焼結の後、さらに透明性を上げるため、熱間等方圧加圧法(HIP)処理等の後工程を設ける。特に、焼結工程終了後でも透光性が発現しなかった透明複合酸化物焼結体の場合には、HIP処理まで進めることで焼結体中の気泡を排除でき、透光性を得ることが容易となり好ましい。
処理温度は、前記焼結温度よりも高いことが好ましく、1,300℃以上とすることが好ましい。また、HIP処理での処理温度は、HIP処理中に粒成長が生じると気泡の除去が困難となるため、1,800℃以下であることが好ましく、1,700℃以下であることがより好ましい。処理圧力は、市販のHIP装置で処理できる196MPa以下であると簡便で好ましい。処理時間は特に限定されないが、50時間以下が好ましく、25時間以下がより好ましく、10時間以下がさらに好ましい。また、15分以上が好ましく、30分以上がより好ましく、1時間以上がさらに好ましい。このときの加圧ガス媒体の種類はアルゴン等の不活性ガス、又はAr-O2が好適に利用できる。
(加工)
得られた透明体を光学用途に使用するにあたり、光学的に利用する軸上にある両端面を長さL(cm)となるように、光学研磨して仕上げる、この時の平面度はλ=633nmの場合、λ/2以下が好ましく、λ/8以下が特に好ましい。なお、光学研磨された面に適宜反射防止膜を成膜することで光学損失を更に低減させることも可能である。
得られた透明体を光学用途に使用するにあたり、光学的に利用する軸上にある両端面を長さL(cm)となるように、光学研磨して仕上げる、この時の平面度はλ=633nmの場合、λ/2以下が好ましく、λ/8以下が特に好ましい。なお、光学研磨された面に適宜反射防止膜を成膜することで光学損失を更に低減させることも可能である。
また、本発明では、ヴェルデ定数が0.80min/(Oe・cm)以上であれば特に限定されないが、テルビウム酸化物の含有量100%のヴェルデ定数が上限となる。ヴェルデ定数が0.80min/(Oe・cm)未満であると、ファラディ回転角を45°とするために必要なマグネットの大きさが大きくなり、光アイソレータを小型化することが困難であるからである。
このヴェルデ定数は、定法に従い測定すればよく、特に限定されない。具体的には、所定の厚さの酸化物を切り出して、鏡面研磨仕上げを行い、磁束密度の大きさが既知の永久磁石にファラディ回転子としてセットし、測定条件25±10℃の大気中で波長800nmにおけるヴェルデ定数を測定する。
表1に、(TbxR1-x)2O3の具体的な組成例と波長800nmでのヴェルデ定数の値を示す。
表1より、3つの組成例で、x=0.8、1.0では、ヴェルデ定数が0.85~1.05min/(Oe・cm)となり、全てが0.80min/(Oe・cm)以上を満たしている。
さらに、本発明のファラディ回転子の長さ(サンプル長)L(cm)と実装されるマグネット磁束密度B(Oe)は、下記式(1)(2)を満たす。
0.8≦L≦1.1 (1)
B≦0.4×104 (2)
ファラディ回転子の長さが0.8cm未満であると、ファラディ回転角45度を得るための磁束密度が0.4×104Oeを超えるので、マグネット外形サイズがより大きくなり、小型化が難しい。また、ファラディ回転子のサンプル長が1.1cmを超えると、印加される磁束密度が極端に小さくなるが、逆にマグネットの長尺化やそれに伴うアイソレータ長も長くなるために、やはりアイソレータのより一層の小型化が難しくなる。
0.8≦L≦1.1 (1)
B≦0.4×104 (2)
ファラディ回転子の長さが0.8cm未満であると、ファラディ回転角45度を得るための磁束密度が0.4×104Oeを超えるので、マグネット外形サイズがより大きくなり、小型化が難しい。また、ファラディ回転子のサンプル長が1.1cmを超えると、印加される磁束密度が極端に小さくなるが、逆にマグネットの長尺化やそれに伴うアイソレータ長も長くなるために、やはりアイソレータのより一層の小型化が難しくなる。
本発明のファラディ回転子は、前記式を満たすサンプル長L(cm)において、1dB以下の挿入損失と30dB以上の消光比とを有することが好ましい。また、サンプル長Lが上記式を満たす範囲内であると、低損失かつ高アイソレーションの光学特性を有する光アイソレータを作製することが可能であるから好ましい。なお、挿入損失及び消光比等の光学特性は、定法に従って、測定条件25±10℃として大気中で波長800nmにおいて測定される。
また、本発明のファラディ回転子は、波長800nm、サンプル長Lcmが0.8≦L≦1.1の範囲での全光線透過率(光の全透過率)が78%以上であることが好ましく、80%以上であればより好ましい。全透過率は、より高い方が好ましいが、その上限は特に限定されず、100%以下である。
そして、このような全光線透過率は、日本分光(製)の紫外可視分光光度計V-670を用いて測定した。内壁に高反射率素材を塗布した積分球で光を多重反射させて光を均一にし、試料の濁りで散乱した光なども捕捉した光の強度により測定され、以下の式に基づいて求めた。この時の波長は800nmである。
全光線透過率=I/Io×100
ここで、上記式中、Iは透過光強度(厚さLcmの試料を透過した光の強度)であり、Ioは入射光強度を表す。なお、得られる酸化物の透過率が均一ではなく、測定箇所によって透過率に変動がある場合には、任意の10点の平均透過率をもってこの酸化物の透過率とする。
全光線透過率=I/Io×100
ここで、上記式中、Iは透過光強度(厚さLcmの試料を透過した光の強度)であり、Ioは入射光強度を表す。なお、得られる酸化物の透過率が均一ではなく、測定箇所によって透過率に変動がある場合には、任意の10点の平均透過率をもってこの酸化物の透過率とする。
次に、本発明の光アイソレータに用いられる中空マグネット7について説明する。この中空マグネット7は、可能な限り小型な永久磁石とすることが好ましく、大きな磁場強度を得るためには、ネオジム-鉄-ボロン(NdFeB)系磁石を使用することが好ましい。
一般的に、更なる磁束密度を与えるためには、図2に示すように、第2の中空マグネット8および第3の中空マグネット9を具備した、複数マグネットを使用した反磁場マグネット構成が必要となる。この場合、マグネット周囲に炭素鋼材によるヨーク構造を必要とする為、結果としてより大きな外形となる。
よって、光アイソレータを小型化にするためには中空マグネットを単一で使用することが好ましく、本発明に係る中空マグネット7は、図1に示すように、中空マグネット7の磁界極性を光軸6方向とし、中空マグネット7の外周に偏光子材を具備し、各々溶接固定することができるSUS材金属ホルダ5を配置することが好ましい。このような構成とすることによって、マグネット形状が小さくかつファラディ回転子2に与える印加磁束密度を最大とすることができる。
本発明の光アイソレータでは、その基本設計において、中空マグネット7の外径および長さを小さくすることが小型化のために重要なことであり、そのためにファラディ効果が大きいファラディ回転子2と磁束密度の大きい中空マグネット7材(磁石)とを組み合わせて用いることがより小型化を実現するために重要なことである。
また、光アイソレータに半導体レーザを用いる場合に問題となるハイパワー光によるファラディ回転子2の光損傷は、ファラディ回転子2の透過率とその長さLで決まるため、この光損傷を少なくするためには、ファラディ回転子2の透過率が高く、また長さLが短い方が好都合である。
さらに、本発明の光アイソレータでは、偏光依存型のガラス偏光子を2枚以上光学軸上に具備することが好ましく、この構成によって偏光依存の光アイソレータとすることができる。
なお、2枚以上の平板複屈折結晶及び1枚以上の45度旋光子を光軸6上に具備することがより好ましいが、この構成によって偏光無依存のアイソレータとすることもできる。この場合、前記平板複屈折結晶の光学軸は、光軸6に対してほぼ45°方向であり、厚みが1.0cm以上であることが好ましい。例えば、ルチル単結晶(TiO2)を使用した場合では、厚みの1/10であるφ1.0mm、α-BBO結晶(BaB2O4)を使用した場合では、厚みの1/30程度であるφ0.35mmのビーム径にまで対応することができる。
以上、本発明の実施形態について説明した。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
実施例1では、図1に示す構成の780-820nm波長帯域用の光アイソレータを製作した。入射偏光子1および出射偏光子3には、780-820nm波長帯域において高い透明性/消光比を有する吸収型のガラス偏光子を使用し、その光透過面に中心波長800nmの反射防止膜を施すとともに、入射光路に光透過面の反射光が戻ることを回避するために、5度だけ傾き角度をもった偏光子ホルダ4の上に偏光子の四隅底面を共に接着固定して、金属ホルダ5に挿入した。
実施例1では、図1に示す構成の780-820nm波長帯域用の光アイソレータを製作した。入射偏光子1および出射偏光子3には、780-820nm波長帯域において高い透明性/消光比を有する吸収型のガラス偏光子を使用し、その光透過面に中心波長800nmの反射防止膜を施すとともに、入射光路に光透過面の反射光が戻ることを回避するために、5度だけ傾き角度をもった偏光子ホルダ4の上に偏光子の四隅底面を共に接着固定して、金属ホルダ5に挿入した。
また、ファラディ回転子2は、中空マグネット7の中空部中心に位置するようにし、かつ中空マグネット7による磁界分布の最大となるような位置に固定した。入射光路順に配置された入射偏光子1および出射偏光子3は、ファラディ回転子2透過後に回転される偏光角度45度に合わせて最大のアイソレーション特性となるようにその光学軸の調整を行って、偏光子ホルダ4と金属ホルダ5の外周接合部をレーザ溶接固定した。なお、ファラディ回転子2の光透過面には、中心波長800nmの反射防止膜(図示せず)が施されている。
このようなファラディ回転子2の材料としては、表1を参照し、波長800nmにおいてヴェルデ定数が0.85min/(Oe・cm)以上となるテルビウム/スカンジウム酸化物を使用した。また、このファラディ回転子2のサンプル長Lを1.1cmとし、このファラディ回転子2の外周には、ネオジム-鉄-ボロン(NdFeB)系マグネットからなる中空マグネット7を配置し、その外側にはSUS金属筐体を配置した。
実施例1のファラディ回転子2の詳細についてさらに説明すると、ファラディ回転子2の具体的な材料としては、テルビウム酸化物をモル比換算で80%含むテルビウム/スカンジウム酸化物のセラミックスを用いた。このセラミックスの光学特性を波長800nmにおいて測定したところ、挿入損失0.1dB、消光比38dB、ヴェルデ定数0.85min/(Oe・cm)であった。なお、このときに測定したサンプルの形状は、外径φ2.3cm、長さ1.10cmの円柱形状であった。図3に、本ファラディ回転子2の波長透過特性を示す。
図4には、実施例1で使用するテルビウム/スカンジウム酸化物セラミックスのサンプル長を0.80~1.10cmの範囲で0.05cmずつ変化させた場合に、ファラディ回転角が45度となるときの磁束密度Br(T=104Oe)とサンプル長L(cm)との関係を示している。なお、図3、図4において、特許文献1に記載の材料を参考例として示した。
そして、実施例1のファラディ回転子2の場合、そのサンプル長Lは1.10cmであり、ファラディ回転子2のヴェルデ定数は0.85min/(Oe・cm)であるから、この場合のファラディ回転角が45度となるような磁束密度を図4の関係から算出すると、その磁束密度は、約2900[Oe](=0.29[T])であることが判る。
また、本発明では、ヴェルデ定数の下限値が0.80min/(Oe・cm)であり、このときのファラディ回転子2に用いられる材料は、少なくとも酸化テルビウムがモル比換算で80%含まれるテルビウム/スカンジウム、テルビウム/イットリウム、テルビウム/ルテチウム酸化物である。そして、そのサンプル長Lの下限値は0.8cmであるから、この酸化物の磁束密度は、図4の関係から算出すると、0.4×104[Oe](=0.4[T])の値がBrの上限となることが判る。したがって、本発明で用いられる中空マグネットは、光アイソレータのより一層の小型化のためには、その磁束密度B(Oe)が下記式(2)を満たすことが好ましい。
B≦0.4×104 (2)
B≦0.4×104 (2)
次に、実施例1の磁束密度を満足する中空マグネット形状について説明する。この中空マグネットの形状は、以下のような磁場解析により求めた。すなわち、磁場解析手法としては有限要素法(JMAG-Designer)を選択し、マグネット材質としては信越化学工業(株)製ネオジム-鉄-ボロン(NdFeB)マグネットを、また金属ホルダ5の材質としてはSUSステンレス材をそれぞれ選択した。また、図5に、中空マグネット外径をφ1.2cmとし、中空マグネットの長さ(L’)をパラメータとして得られる磁束密度分布のシミュレーション結果を示す。
この図5の結果によれば、実施例1のサンプル長Lが1.10cmの場合の磁束密度分布を示す中空マグネット形状は、内径φ0.3cm、外径φ1.2cm、長さ2.0cmになることが判った。ここで、図中のZ[cm]は、光軸6上の中心からの距離を示し、サンプル長L[cm]は、2×Zとして算出する。つまり図5においてサンプル長Lが1.10cmとなるのは、横軸Zが0.55cmの位置である。
そして、波長800nmにおいて光アイソレータを組み立てたところ、挿入損失0.5[dB]、アイソレーション38[dB]の光学特性を有する光アイソレータを作製することができた。
<比較例1>
比較例1では、TGG単結晶(ヴェルデ定数0.27min/(Oe・cm))をファラディ回転子とした光アイソレータを作製した。そして、サンプル長0.80~1.10cmの範囲で、このTGG単結晶に印加すべき磁束密度を算出すると、図4に示す通りとなった。特に比較例1が実施例1と同様のサンプル長1.1cmにおいて必要とする磁束密度は、約9,100[Oe](=0.91[T])となることが判る。そこで、実施例1と同様に中空マグネット形状を算出するために、外径をφ2.5cmとし、図2に示す中空マグネット7の長さ(MT)をパラメータとして得られる磁束密度分布のシミュレーション結果を図6に示す。
比較例1では、TGG単結晶(ヴェルデ定数0.27min/(Oe・cm))をファラディ回転子とした光アイソレータを作製した。そして、サンプル長0.80~1.10cmの範囲で、このTGG単結晶に印加すべき磁束密度を算出すると、図4に示す通りとなった。特に比較例1が実施例1と同様のサンプル長1.1cmにおいて必要とする磁束密度は、約9,100[Oe](=0.91[T])となることが判る。そこで、実施例1と同様に中空マグネット形状を算出するために、外径をφ2.5cmとし、図2に示す中空マグネット7の長さ(MT)をパラメータとして得られる磁束密度分布のシミュレーション結果を図6に示す。
この図6の結果によれば、比較例1における磁束密度を満足する中空マグネット形状は、中空マグネット7、第2の中空マグネット8、第3の中空マグネット9による反磁場構成となり、内径φ0.3cm、外径φ2.5cm、中空マグネット7の長さMT=2.0cmを含む総長6.5cmの長さになることが判った。ここで、図中のZ[cm]は光軸6上中心からの距離を示し、サンプル長L[cm]は2×Zとして算出する。
以上の結果について実施例1と比較例1を比較すると、実施例1では、比較例1のTGGの光アイソレータに比べて、双方のマグネット外径と長さより算出した体積比で90%以上のサイズダウンができることが確認された。
また、ヴェルデ定数には波長依存性があるために、長波長になると定数が小さくなることが一般的に知られているから、780-820nm帯域における上限波長の820nmにおいてもそのヴェルデ定数を評価したところ、比較例1のTGGでは、0.26min/(Oe・cm)であるのに対して、実施例1では、0.80min/(Oe・cm)であったので、800nmの長波長の場合でも、3倍以上の性能を有していることが確認された。
したがって、本実施例の光アイソレータによれば、780―820nm帯域において、低損失で高アイソレーションの特性を持ちながら、かつ十分に小型化された光アイソレータとして実用化が可能であることが確認された。
本発明は以下の態様を包含する。
[1]:
下記式(A)で表される酸化物を主成分として含む複合酸化物で構成されると共に、波長800nmにおけるヴェルデ定数が0.80min/(Oe・cm)以上のファラディ回転子と、前記ファラディ回転子の外周に配置される中空マグネットとから構成される光アイソレータであって、
前記ファラディ回転子のサンプル長L(cm)は、下記式(1)の範囲内にあり、前記ファラディ回転子に印加される磁束密度B(Oe)は、下記式(2)の範囲内にあることを特徴とする780-820nm波長帯域用光アイソレータ。
(TbxR1-x)2O3 (A)
ここで、上記式(A)中、xは、0.8≦x≦1.0であり、Rは、スカンジウム、イットリウム、Tb(テルビウム)以外のランタノイド元素群よりなる集合から選択された少なくとも1つの元素を含む。
0.8≦L≦1.1 (1)
B≦0.4×104 (2)
[2]:
前記酸化物は、セラミックスであることを特徴とする上記[1]に記載の光アイソレータ。
[3]:
前記ファラディ回転子は、前記サンプル長L(cm)において、1dB以下の挿入損失と30dB以上の消光比を有することを特徴とする上記[1]又は上記[2]に記載の光アイソレータ。
[4]:
前記中空マグネットは、ネオジム-鉄-ボロン(NdFeB)系磁石からなることを特徴とする上記[1]から上記[3]のいずれかに記載の光アイソレータ。
[1]:
下記式(A)で表される酸化物を主成分として含む複合酸化物で構成されると共に、波長800nmにおけるヴェルデ定数が0.80min/(Oe・cm)以上のファラディ回転子と、前記ファラディ回転子の外周に配置される中空マグネットとから構成される光アイソレータであって、
前記ファラディ回転子のサンプル長L(cm)は、下記式(1)の範囲内にあり、前記ファラディ回転子に印加される磁束密度B(Oe)は、下記式(2)の範囲内にあることを特徴とする780-820nm波長帯域用光アイソレータ。
(TbxR1-x)2O3 (A)
ここで、上記式(A)中、xは、0.8≦x≦1.0であり、Rは、スカンジウム、イットリウム、Tb(テルビウム)以外のランタノイド元素群よりなる集合から選択された少なくとも1つの元素を含む。
0.8≦L≦1.1 (1)
B≦0.4×104 (2)
[2]:
前記酸化物は、セラミックスであることを特徴とする上記[1]に記載の光アイソレータ。
[3]:
前記ファラディ回転子は、前記サンプル長L(cm)において、1dB以下の挿入損失と30dB以上の消光比を有することを特徴とする上記[1]又は上記[2]に記載の光アイソレータ。
[4]:
前記中空マグネットは、ネオジム-鉄-ボロン(NdFeB)系磁石からなることを特徴とする上記[1]から上記[3]のいずれかに記載の光アイソレータ。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
1…入射偏光子、 2…ファラディ回転子、 3…出射偏光子、 4…偏光子ホルダ、 5…金属ホルダ、 6…光軸、 7…中空マグネット、 8…第2の中空マグネット、 9…第3の中空マグネット。
Claims (4)
- 下記式(A)で表される酸化物を主成分として含む複合酸化物で構成されると共に、波長800nmにおけるヴェルデ定数が0.80min/(Oe・cm)以上のファラディ回転子と、前記ファラディ回転子の外周に配置される中空マグネットとから構成される光アイソレータであって、
前記ファラディ回転子のサンプル長L(cm)は、下記式(1)の範囲内にあり、前記ファラディ回転子に印加される磁束密度B(Oe)は、下記式(2)の範囲内にあることを特徴とする780-820nm波長帯域用光アイソレータ。
(TbxR1-x)2O3 (A)
ここで、上記式(A)中、xは、0.8≦x≦1.0であり、Rは、スカンジウム、イットリウム、Tb(テルビウム)以外のランタノイド元素群よりなる集合から選択された少なくとも1つの元素を含む。
0.8≦L≦1.1 (1)
B≦0.4×104 (2) - 前記酸化物は、セラミックスであることを特徴とする請求項1に記載の光アイソレータ。
- 前記ファラディ回転子は、前記サンプル長L(cm)において、1dB以下の挿入損失と30dB以上の消光比を有することを特徴とする請求項1に記載の光アイソレータ。
- 前記中空マグネットは、ネオジム-鉄-ボロン(NdFeB)系磁石からなることを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の光アイソレータ。
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