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JPH07114703B2 - Dnaベクター - Google Patents
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JPH07114703B2 - Dnaベクター - Google Patents

Dnaベクター

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JPH07114703B2
JPH07114703B2 JP5285157A JP28515793A JPH07114703B2 JP H07114703 B2 JPH07114703 B2 JP H07114703B2 JP 5285157 A JP5285157 A JP 5285157A JP 28515793 A JP28515793 A JP 28515793A JP H07114703 B2 JPH07114703 B2 JP H07114703B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はDNAベクター、その産
生及び組換えDNA技術におけるその応用に関する。本
発明は又宿主生物の細胞中でのDNAベクターの複製の
コントロールと遺伝子産物の産生に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスミッドのようなDNAベクターは
通常環状てあり、宿主生物の細胞内で自律的に増殖する
染色体外DNA分子である。多くの単細胞生物(いくつ
かの細菌が含まれる)の細胞は天然に存在する野生型の
プラスミッドを含有しており、このプラスミッドが宿主
細胞の抗生物質耐性や繁殖力などの種々の機能に影響を
与える。これら野生型プラスミッド及びその誘導体は組
換えDNA技術における基本的な道具であり、宿主生物
の細胞内での対応する外来のポリペプチドや蛋白産生の
遺伝子暗号を有する外来DNA配列による宿主生物の細
胞の形質転換のためのビークルを供する。すなわち組換
えDNA技術においてプラスミッドはインビトロで制限
酵素を用いて特異的な部位で切り開かれ、目的の異種生
成物の遺伝暗号を有する遺伝子を含有する追加的DNA
配列で再結合され、適当な宿主細胞を形質転換させるの
に用いられる組換えプラスミッドができる。
【0003】それらが得られた親プラスミッドに類似し
た組換えプラスミッドは宿主細胞内で自律的増殖が可能
であり、複製時には親プラスミッドのDNA配列のみで
なく、外来遺伝子を含む挿入された追加DNA配列も複
製する。蛋白合成時には、形質転換した宿主細胞中の組
換えプラスミッドのDNA配列の転写と翻訳により、特
にその挿入された外来遺伝子に対応する異種生成物が合
成される。
【0004】合成された異種生成物の収率に影響を与え
る要因のひとつは、形質転換した細胞内に存在する外来
遺伝子のコピー数、すなわち宿主細胞内で組換えプラス
ミッドが維持されるコピー数であり、これはふつう宿主
ゲノム1個当たりのプラスミッドのコピーの数と定義さ
れる。一般に組換えプラスミッドのコピー数が多い程異
種生成物の収率が高い。コピー数の少ない(ふつう宿主
内でゲノム1個当たり約1−10コピーが維持される)
プラスミッドもコピー数の多いプラスミッド(ふつうゲ
ノム1個当たり約11から数百コピーが維持される)も
知られている。ある野生型のレプリコンのコピー数は、
複製開始点を規定するDNA配列付近、又はそれを含有
するDNA配列に支配される。従ってこれ以後大コピー
数複製開始点及び小コピー数複製開始点という。
【0005】大コピー数プラスミッドは組換え系におい
て異種生成物の高収率を目的として使用されてきた。し
かし多くの大コピー数プラスミッドは形質転換した細胞
中で安定的に維持されにくく、又充分増殖して大量の異
種蛋白を生成するようになる前に細胞が消失することも
あるため、大コピー数プラスミッドを用いる方法では目
的の結果が得られない可能性もある。たとえば異種生成
物は形質転換細胞の増殖を阻害したり、大コピー数プラ
スミッド自身が本質的に不安定なこともある。
【0006】あるプラスミッドのコピー数を蛋白合成の
阻害(たとえば発酵培地にクロラムフエニコールのよう
な蛋白合成阻害剤を添加すること)により通常レベル以
上に増幅させることが可能であることは公知である。し
かし多くの遺伝子産物の産生には蛋白合成が必要なた
め、外来遺伝子産物の合成が始まる前に阻害物を除去し
なければならない。この阻害物の除去には複雑な操作が
必要であり、必ずしも可能ではない。
【0007】宿主細胞中での大コピー数プラスミッドの
安定な維持という問題を解決するために他の多くの溶液
が提唱されている。たとえば英国特許第1,557,7
74号明細書では、温度依存性プラスミッドコピー数型
を示す突然変異プラスミッドの使用が提唱されている。
この温度依存性とは、プラスミッドを有する宿主細菌を
ある温度で培養するとプラスミッドコピー数が一定に保
たれ、別の温度で培養するとプラスミッドのコピー数型
が変化しはるかに多い数の、又は全くコントロールされ
ないコピー数が得られるというものである。こうしてプ
ラスミッドが少ないコピー数で複製し、その遺伝子産物
が細胞の増殖を有意に阻害しない温度で培養することに
より、細胞を目的とする生産規模に繁殖させることがで
きる。次に温度を変えプラスミッドのコピー数及びその
対応する遺伝子産物の産生を著しく増加させることもで
きる。しかしこのような突然変異プラスミッドでコピー
数温度依存性を導入することはプラスミッドに不安定要
因を導入することになり、このような突然変異プラスミ
ッドを有する細胞を長期間増殖させるとプラスミッドが
不安定になったり消失したりする。
【0008】プラスミッドの複製はその全DNA配列中
に含まれるヌクレオチド配列によりコントロールされ
る。この配列中にはDNA複製が開始される点である複
製開始点を規定する配列が含まれ、それに関連して複製
開始点での複製開始をコントロールする配列やプラスミ
ッドが維持されるコピー数をコントロールする配列もし
ばしば含まれている。たとえばある種のプラスミッド
(代表例はColE1)は、いくつかの共通の特徴を有
するプラスミッド複製系を有している。これらの系は複
製開始点を規定するDNA配列と、その上流側に2つの
RNA(RNA IIとRNA I)の反対方向への転写の
遺伝暗号を有するDNA配列より成る。RNA II はD
NA合成の開始される複製開始点又はその近くで複合体
を形成するプライマーとなり、RNA Iはこのイニシエ
ーション複合体の形成を妨害する。この2つのRNAの
転写は、その転写の遺伝暗号を有するDNA配列に関連
した異なるプロモーター配列によりコントロールされ
る。さらに小さいポリペプチド(rop蛋白)がありR
NA II のプロモーターと相互作用をすると考えられて
いる。このポリペプチドは複製に必須のものではなくそ
の役割は不明である。複製開始点、RNAの遺伝暗号配
列及び関連するプロモーターは一緒になって、内部的に
自己制御された系を与え、プラスミッドの複製の不和合
性とコピー数をコントロールしている。いくつかの他の
プラスミッド(RIやいくつかのブドウ球菌プラスミッ
ドなど)も転写のレベルで複製開始をコントロールして
いるが、これはメッセンジャーRNAによるコントロー
ルであり、その生成物はおそらくポリペプチドである開
始因子を与えDNA複製に関係している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、コン
トロール可能なコピー数型を有する新規のDNAベクタ
ーを提供し、それにより大コピー数でのみ複製するベク
ターの安定的維持に関連する問題を解決し、これまでに
報告されている温度依存性コピー数型の突然変異プラス
ミッドの不安定性という問題がなく、さらにそのコピー
数が温度以外の因子(たとえば代謝物濃度)によりコン
トロール可能な新規のベクターを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】従って第一の態様におい
て本発明は以下の2つの複製系より成るDNAベクター
を供する。すなわち、小コピー数でベクターが安定に維
持される第一の複製開始点、そして第二の複製開始点に
おける複製をコントロールする天然のベクターの配列の
DNA操作によりDNAの置換又は変更により複製が直
接コントロール可能な、大コピー数の第二の複製開始
点。本発明の方法により、ベクターを含有している宿主
細胞が第一の条件で繁殖しているときは、主にそして好
ましく全面的に複製は小コピー数複製開始点から始ま
り、宿主細胞が別の条件で繁殖しているときは、複製は
大コピー数で第二の複製開始点でも始まり、そしてベク
ターの有する遺伝子の異種遺伝子産物の大量生産が誘導
される。
【0011】第二の態様において本発明は、複製開始点
とその関連するDNA配列(複製開始点又はその近辺で
複合体を形成することによりDNA複製を開始させるプ
ライマー又は開始因子を(たとえばポリペプチド)を与
える(RNAの遺伝暗号を有する)より成る複製系を含
有するDNAベクターを与える。ただしここでRNAの
転写は直接コントロール可能であり、このベクターを含
有する宿主細胞を選択した条件下で増殖させると複製開
始点から大コピー数の複製が始まり、ベクターにより暗
号化されている大量の異種遺伝子産物の産生が始まる。
本発明の第一の態様の第二の複製系は、本発明の第二の
態様に特定された系であることが好ましい。
【0012】本発明は又、第二の複製系の遺伝暗号を有
するDNA配列に、第二の複製開始点での複製の直接の
コントロールを可能にさせるDNA配列を含有させるこ
とより成る、第一の態様のベクターの調製方法を含む。
本発明の第一の態様のベクターの調製方法は、第一の複
製開始点より成る複製系の遺伝暗号を有する最初のDN
A配列を、第二の複製系の遺伝暗号を有する第二のDN
A配列と結合させることより成る方法が適当である。第
二の複製開始点での複製の直接的なコントロールを可能
にするDNA配列の、第二のDNA配列への導入は、最
初のDNA配列との結合の前でも後でもよい。本発明は
さらに、RNAの転写をコントロールして第二の複製開
始点での複製のコントロールを可能にするDNA配列を
第二のDNA配列に含有させることより成る、本発明の
第二の態様ベクターの調製方法を供する。
【0013】本発明はさらに、第二の態様のベクター
(ポリペプチド、蛋白又は他の遺伝子産物の産生のため
の遺伝暗号を有する遺伝子配列を含有する)で宿主細胞
を形質転換させ、形質転換した細胞を、主に及び好まし
くは全面的に第一の複製開始点から小コピー数で複製の
始まる第一の条件で増殖させ、次にこの形質転換した細
胞を第2の複製開始点からも(又は第二の複製開始点か
らのみ)大コピー数で複製の始まる第二の条件で増殖さ
せ、ポリペプチド、蛋白又は他の遺伝子産物の発現を誘
導することより成る、ポリペプチド、蛋白又は他の遺伝
子産物の産生方法を含有する。
【0014】本発明の方法により、形質転換させた細胞
を、ベクターが小コピー数で複製した大コピー数ベクタ
ーに関連する不安定性の問題を避ける条件で増殖させ、
次にベクターが大コピー数で複製し同時にポリペプチ
ド、蛋白又は他の産物が高収率で産生される別の条件で
増殖させて、ポリペプチド、蛋白又は他の産物の経済的
生産に必要な大量培養が与えられる。特に遺伝子産物の
発現が細胞質レベルのリプレッサーにより制御されるプ
ロモーターにコントロールされている時、ベクターのコ
ピー数が増加するリプレッサーによるコントロールが除
かれ遺伝子産物が大量に発現されることが見出された。
これはリプレッサーの合成が自己制御されている時(た
とえばプロモーター/リプレッサー系がトリプトファン
オペロンのものである時)でさえ当てはまる。
【0015】本発明のベクターのコピー数のコントロー
ルに用いるコントロール系は、組換えDNA技術におけ
る複製(及び/又は発現)のコントロールにつき公知の
コントロール系のいかなる方法を用いてもよい。特にコ
ントロール可能な複製開始点のコピー数は、温度又は1
つ又は2つ以上の代謝物又は代謝物類似化合物によりコ
ントロールし得る。使用可能な代謝物依存系の例として
は、トリプトファン、ラクトース、ガラクトース、アラ
ビノース又は他の任意の代謝物又は代謝物類似化合物が
あり、これらの存在、除去さらには代謝はあるプロモー
ターからの転写を活性化するのに使用し得る。
【0016】本発明のベクターに使用されるコントロー
ル可能な複製系は、ColE1様プラスミッド(たとえ
ばpAT153,NTP1,CloDF13,RSF1
030又はP15A)などの大コピー数のクローニング
ベクターに由来し、これらは複製開始点又はその近辺で
複合体を形成することによりDNA複製を開始するプラ
イマーを与えるRNA II 又は類似のRNAの転写を含
むコピー数コントロール系を有する。さらにその複製が
mRNA及び/又はその生成物によりコントロールされ
る他のプラスミッドの複製開始点は、本発明のベクター
に使用されるコントロール可能な複製系を与える。この
ような複製開始点はR1,R6,R100,rp4など
のグラム陰性細菌、又はPUB100,PC194など
のグラム陽性細菌、及びいくつかの他のブドウ球菌プラ
スミッドより得られる。さらにたとえばλ,T3,T
4,T7,M13,φX174,SPP1,SPO2な
どのバクテリオファージの複製開始点を二次性コントロ
ール可能複製開始点として使うこともできる。
【0017】本発明の重要な態様において、コントロー
ル可能な複製系はRNAの転写を促進する天然のプロモ
ーターを、PL プロモーター,PR プロモーター,Pre
プロモーター,P' R プロモーター,T7 lateプロ
モーター,trpプロモーター,tacプロモーター,
lacプロモーター,galプロモーター,araプロ
モーター、又はrecAプロモーターなどのコントロー
ル可能なプロモーターにより置換することにより、その
ような大コピー数クローニングベクターから調製される
(このような系の複製開始点は「ハイブリッド開始点」
と呼ばれる)。あるいは天然のプロモーターを使い、オ
ペレーター配列(たとえばlacオペレーター、又はラ
ムダファージのOL 又はOR オペレーター)などの制御
機能を複製系に導入することにより、RNAの転写がコ
ントロール可能となる。
【0018】プラスミッドpMG9(ケイ・タッチエル
(K Tatchell)ら、「セル」cell,第2
7巻、25−35頁、1981年11月号(第2部)に
記載の方法により挿入されたXhoエリンカーDNA配
列を含有する)はCol E1複製開始点に基づくコン
トロール可能な複製系の調製用の便利な出発物質を与え
る。このプラスミッドはRNA II の転写の遺伝暗号を
有する配列の出発点の近くにXhoI制限部位を有して
おり、これはオペレーターやコントロール可能なプロモ
ーター配列(たとえばλPL )を挿入して直接コントロ
ール可能な複製系を得るのに用いることが可能であるこ
とを本発明者らは見出した。プラスミッドpMG9はナ
ショナル・コレクション・オブ・タイプ・カルチャー,
セントラル・パブリック・ヘルス・ラボラトリイ(Na
tional collection of Type
Cultures,Central Public
Health Laboratory)(Colind
ale Anenue,London NW9 5H
T)に1983年3月24日に、プラスミッドpMG9
を含有する大腸菌K12、DH1株の培養細胞としてN
CTC11539番で寄託した。
【0019】第一の複製開始点より成る複製系は、任意
の適当な小コピー数のプラスミッドから得られる。たと
えばpSC101複製開始点より成る複製系を用いるこ
とも可能であり、プラスミッドpHSG415(テイー
・ハシモトおよびゴトー(T.Hashimoto−G
otoh)ら、「ジーン」Gene、第16巻、198
1年、227−235頁)はそのような複製系の便利な
供給源を与える。pHSG415の複製開始点は温度感
受性であるが、これは温度に対して安定である野生型の
pSC101の複製開始点で置換が可能である。しか
し、pHSG415は後述する実施例で使用するのに、
便利な温度感受性の複製開始点を与える。
【0020】当業者に公知の技術を使って、コントロー
ル可能な機能を大コピー数複製系に導入し、大コピー数
複製系と小コピー数複製系を結合させ、ベクターに外来
遺伝子を導入することにより、本発明のベクターを作る
ことができる。次に得られたベクターを、標準的な方法
を用いて適当な宿主細胞を形質転換させるのに用い、異
種ポリペプチド、蛋白及び他の生産物を得ることができ
る。宿主細胞はS.セレビシエー(S.cere vi
siae)などの酵母を含む真核細胞、又はさらに一般
的には枯草菌(B.sultilis)又は特に大腸菌
E.coli)などの細菌でもよい。
【0021】
【実施例】以下の実施例(実施例1−7)において本発
明をさらに詳しく説明する。これらの実施例は本発明の
複製開始点を2個有する具体的なプラスミッドの作成に
関し、又コピー数コントロール、不均一な遺伝子発現そ
してこれらのプラスミッドの安定性の研究に関する。し
かし、本発明はここに記載する具体的なプラスミッドや
方法に限定されるものではない。 実施例1 コピー数がPlにコントロールされている複製開始点を
2個有するプラスミッドの作成 (a)複製開始点を2個有するプラスミッドpMG40
4の作成 プラスミッドpMG15(第1)は、複製開始点領域
(表1)にXho I リンカー(CCTCGAGG)が
挿入(タッチエル(Tatchell)ら、1981
年)されているため構成的に大コピー数(染色体1個当
り約300コピー)のRSa−12(pBR322レプ
リコン)の誘導体である。RSa−12の作成中にte
遺伝子におけるSal I部位を越える消然消失によ
rop遺伝子は消失したがBam HI部位は保持さ
れた。pMG15の1.1kbのXho I−Bam
HI DNA断片をバクテリオファージM13mp8に
挿入し、サンガー(Sanger)らの方法(1977
年)によりXho I部位からDNA配列を決定するこ
とにより、Xho I リンカーの位置を決定した。
【0022】リンカーの挿入部位はRNA II の転写開
始部位から30塩基分下流のところにあった(表1)。
このXho I リンカーはRNA II 転写の5’末端に
近いユニークな切断部位を与え、pMG15から単離し
た1.1kbのXho I−Bam HI断片はプロモ
ーターのないRNA II 配列を有していた(図1)。別
のプロモーターに結合させた時この配列がDNA複製の
プライマーとして機能するか否かを調べるため、この
1.1kb断片をプラスミッドpHSG415のKm耐
性遺伝子(KmR )プロモーター(ハシモトおよびゴト
ーHashimoto−Gotohら、1981年)の
下流に挿入した(図1)。pHSG415は安定な小コ
ピー数のApR KmR CmR プラスミッドでありその複
製開始点はpSC101に由来する。このプラスミッド
は30℃で複製するが42℃では複製しない。
【0023】
【表1】 表1 複製開始点近くのXho I リンカーの挿入部位
【0024】制限酵素による消化、DNAの結合、及び
アガロースゲル電気泳動の条件はマニアテイス(Man
iatis)ら(1982年)が記載した方法を使用し
た。pMG15からのXho I−Bam HI断片の挿
入、KmR プロモーターへのプロモーターのないRNA
II 配列の結合により、複製開始点を2個有するプラス
ミッドpMG404が得られた(図1)。制限酵素消化
による解析によりプラスミッドpMG404の構造は証
明され(結果は示していない)、プラスミッドDNAの
収率からそのコピー数はpHSG415よりかなり多い
ことが証明された。さらにpMG404は細菌中で42
℃で維持されたが、pHSG415はこの温度での複製
は不可能なため消失した。ハイブリッドである「Col
E1」複製開始点はpMG404中で機能しておりK
R 遺伝子プロモーターはRNAII プロモーターに代
わり得ることを示していると結論された。pMG404
Bal Iで消化し、ハイブリッド複製開始点のみを
含有する大きい方の断片を再び環状化させることによ
り、ハイブリッド複製開始点が機能していることを確認
した。これにより30℃と42℃の両方で自律複製が可
能なプラスミッドpMG410が得られ、ハイブリッド
複製開始点が機能していることが証明された。
【0025】(b)複製開始点を2個有するpMG41
1の作成 プラスミッドpMG404は2個の複製開始点を有す
る:pSG101の小コピー数複製開始点と「Col
E1」ハイブリッド複製開始点・pSC101の複製開
始点により30℃におけるプラスミッドの安定な複製が
確保され(Hashimoto−Gotohら、198
1年)、コントロール可能なプロモーターにより作動さ
れる「Col E1」ハイブリッド複製開始点を有する
誘導体の作成が可能になる。バクテリオファージλのP
1プロモーターを有する0.5kbのSal I−Eco
RI DNA断片をプラスミッドpCT1050(図
1)から単離し(図1)、pMG404からの5.5k
bのEco RI−Xho I断片と結合させた。この結
合混液を用いて大腸菌QY7(λcI857 欠陥溶原菌)
とDH 1を30℃で形質転換させ、ApR 形質転換体を
Cms クローンについてスクリーニングした。このうち
の1つのpMG411を以後の研究に選んだ(図1)。
DH 1とQY 7のプラスミッドpMG411の形質転換
体は選択された条件下で充分増殖し、種々の増殖温度で
コピー数の測定を行なった。
【0026】(c)pMG411のコピー数測定 2種類の方法によりプラスミッドのコピー数を求めた。
1つの方法は塩化セシウム遠心分離による染色体DNA
と超コイルDNAの分離に依存する。第二の方法はアガ
ロースゲル電気泳動による染色体DNAとプラスミッド
DNAの分離に依存する。アンピシリンを含有するL−
ブロース中で細胞を一晩増殖させ、アンピシリンを含有
する最小M9塩中へ100倍希釈した。OD660 =0.
5のところで2−デオキシアデノシン(200μg/m
l)チミジン(1μg/ml)、及び〔3 H〕−チミジン
(4μgCi/ml)を加え、インキュベーションを2時
間続けた。細胞を遠心分離し洗浄し、等量の50mMト
リスHCl pH7.5、10%ショ糖(w/v)及びリ
ゾチーム(200μg/ml)中に再浮遊させた。0℃で
10分間インキュベーション後EDTAを10mMにな
るように加え、インキュベーションを10分間続け、最
後にサルコジル(0.45w/v)を加えた。溶解液中
の染色体DNAを19ゲージの針の中を6回通過させて
剪断変形させ、細胞破片を遠心分離で除去した。DNA
調製液をさらに1回のフェノールとクロロホルムの抽出
及びエタノールの沈澱により精製した。この標識したD
NA調製液を用いて2つの方法によるコピー数の定量を
行なった。
【0027】アガロースゲル法については、試料を0.
7%アガロースゲル(0.04Nトリスアセテート、
0.001MEDTA、 pH7.9中)上で50Vで1
2時間電気泳動を行なった。臭化エチジウムで染色して
DNAバンドを肉眼で見えるようにした。染色体DNA
とプラスミッドDNAバンドをゲルから切り取り、飽和
ヨウ化ナトリウムに溶解させ、10%(w/v)トリク
ロロ酢酸(TAC)を加えてDNAを沈澱させた。沈澱
物をGF/Cワットマン濾紙上に集め、10%(w/
v)TCA、エタノールで洗い風乾した。液体シンチレ
ーションカウンター中で放射能を計測定量した。塩化セ
シウム遠心分離法によるコピー数測定については、DN
Aを塩化セシウム−臭化エチジウム中ベックマンTI
50ローター中で48,000rpmで24時間遠心分
離し平衡化させた。この濃度勾配液を分別し、各画分を
TCAでGF/Cワットマン濾紙上に沈澱させ、洗浄し
上記したように処理した。30℃、37℃及び42℃で
pMG15,pAT153,及びpMG411からプラ
スミッドコピー数を測定し、得られた結果を表2に示
す。
【0028】
【表2】 表2 プラスミッドコピー数の温度による変化 プラスミッド 細 菌 株 全DNAの比率 染色体1個当 (発育温度) りのコピー数 pMG15 HB101(37℃) 33 309 pAT153 HB101(37℃) 5.8 59 pMG411 QY7(30℃) 0.7 4 pMG411 QY7(37℃) 13.5 78 pMG411 QY7(42℃) 24.8 143
【0029】種々の温度でのQY7株(λ溶原菌)での
pMG411のコピー数の測定によりλリプレッサーは
pMG411コピー数をコントロールしていることが証
明された。30℃での増殖後はコピー数は染色体1個当
り4であったが、37℃では78に増加し、42℃では
染色体1個当り143に増加した(表2)。pMG41
1中のハイブリッド「Col E1」複製開始点はλリ
プレッサーを不活性化することによりスイッチがはいる
ことを示すために、QY7の形質転換体を30℃で増殖
させ、次に指数増殖中に温度を42℃に上げた。プラス
ミッドコピー数の増加後培養菌1mlから単離したDNA
のアガロースゲル分析を行なった(図2)。試料は7時
間にわたって1時間毎に採取した。予想通り7時間にわ
たってpMG411のコピー数の増加が観察された。
【0030】実施例2 Prにコントロールされる誘導可能なコピー数を有す
る、複製開始点を2個有するプラスミッドの作成 (a)複製開始点を2個有するプラスミッドpMG15
9とpMG165の作成プラスミッドpMG411は小
コピー数の複製開始点pSC101と、P1に作動され
るCol E1複製開始点の2個の複製開始点を有す
る。コピー数コントロールにはリプレッサー遺伝子であ
るcI857 が必要なため、pMGの溶原性細菌株への使
用を制限している。この制限を克服するためcI857
有する複製開始点を2個持つプラスミッドを作成した。
【0031】まず第一に外来遺伝子の以後のクローニン
グを容易にするためにSal IとHind IIIの制限部
位より成るオリゴヌクレオチドを、pMG411のハイ
ブリッド複製開始点のすぐ下流のBam HI部位に挿
入した。こうしてpMG153が得られた(図3)。p
MG153の5.9kbのEco RI−Bam HI
断片を精製し、pCQV2(クイーン(Queen)、
1983年)の1.1kbのEco RI−Bam
I断片に結合させてpMG159を得た。pCQV2の
Eco RI−Bam HI断片はPr及びcI557
伝子共に有しており、pMG153に挿入するとP1含
有断片と置き換わり、Col E1複製開始調RNA I
I 配列をPrと融合させる。リプレッサー遺伝子は複製
開始点から離れる方向へ転写されることに注意(図
3)。この複製開始点を2個有するベクターを30℃に
維持したときのプラスミッドの安定化(下記参照)を増
加させるために、複製開始点、複製蛋白、及びpar配
列を有するpSC101の2.85kb Hinc II
断片をpMG159に導入し、3.25kbのEco
I−Bal I 断片を、一端にEco RIリンカーを
有するpSC101のHinc II 断片で置換した。こ
うしてpMG165が得られた。(図3)。
【0032】(b)Prに作動される複製開始点を2個
有するプラスミッドのコピー数のコントロール Prによって作動される「Col E1」ハイブリッド
複製開始点はクローン化したcI857 遺伝子から発現さ
れる温度感受性リプレッサーによりコントロールされる
ことを証明するために、pMG159とpMG165を
大腸菌E103(S)に導入した。30℃におけるコピ
ー数の測定は前記した如く、3 H−チミジン標識細胞か
ら行なった(表3)。42℃への温度変更後のコピー数
の誘導をアガロースゲル電気泳動で追跡した。L−ブロ
ース中のコピー数の変化と誘導の動力学を定量するため
に「スポット」ハイブリダイゼーション法を使用した。
【0033】
【表3】 表3 プラスミッドコピー数の温度による変動 プラスミッド 細 菌 株 染色体1個当り (増殖温度) のコピー pMG159 E103(S)(30℃) 3−4 pMG165 E103(S)(30℃) 3−4 pMG159 E103(S)(42℃) 〜320 pMG165 E103(S)(42℃) 〜248
【0034】「スポット」ハイブリダイゼーション用
に、ニックトランスレーション法(マニアティス(Ma
niatis)ら、1982年)により32p−標識プロ
ーブDNAを調製した。温度変更後の種々の時間に採取
した1mlの培養菌からアルカリ溶解法(アイシュ−ホロ
ウィッツおよびバーク(Ish−Horowitz a
nd Burke)、1981年によりDNA試料を調
製した。DNA調製試料をRNaseで37℃5分処理
した後、制限酵素Bam HIで30分インキュベーシ
ョンし、100℃で3分間熱変性させた。異なる量の消
化したDNA調製液をニトロセルロースフィルター上に
スポットし、これを70℃で乾燥し次に2×SSC/5
0%ホルムアミド中37℃で変性したプローブDNAと
一晩(15時間)ハイブリダイズさせた。次に2×SS
C/50%ホルムアミド中でフィルターを2回洗浄し、
2×SSC中で1回洗浄した後風乾した。液体シンチレ
ーションカウンター中で放射能を測定した。得られた値
を誘導中の細胞増殖量により補正し、誘導しない時の値
に対するコピー数の変化の大きさを測定した。
【0035】pMG159及びpMG165共に42℃
に温度変更し、続けて37℃でインキュベーションした
とき、急速なコピー数の誘導を示した。誘導しないとき
染色体1個当り3−4コピーであっものが、2時間の誘
導後に90−100コピーに増加し、4−5時間後には
300−400コピーに増加しており、これはクローン
化PrプロモーターとcI857 遺伝子によりコピー数が
コントロールされていることを明白に証明している。
【0036】実施例3 Ptrpにコントロールされる誘導可能なコピー数を有
する複製開始点を2個有するプラスミッドの作成 コントロール可能なコピー数を有する複製開始点を2個
有するプラスミッドの上記2例では誘導に温度を使用し
たが、本例では代謝物を用いてコピー数をコントロール
している。pMG411の6.2kbのHind III−
Bgl II 断片を、標準緩衝液と標準方法(Mania
tisら、1982年)を用いてpCT54の0.65
kb Hind III−Bam HI断片と結合させた
(図5)。このプラスミッドはアンピシリンの選択下及
び培地にトリプトファンが存在(これはPtrpからの
転写を抑制するはずである)した場合も不安定であっ
た。この不安定性の原因はPtrpからの転写を完全に
抑制することができず大コピー数になると結論づけた。
複製開始点を通る転写を減少させるためにPtrpと
「Cal E1」複製開始点配列の間に転写停止物質を
挿入した。このような転写停止物質は転写のレベルを約
10倍減少させる。早期転写停止物質を有する、バクテ
リオファージT7 DNAからの180bp Alu 1
をDNAリンカーに結合させ、末端をHind III認識
部位に変えた(エムタージイ(Emtage)ら、19
83年)。次にこの断片をHind IIIで消化したpM
G426 DNAに結合させてpMG427を得た(図
5)。pMG427はpMG426よりも安定であり、
形質転換体をトリプトファン(100μg/ml)を含有
する培地で増殖させたとき小コピー数を示した。この培
養菌をトリプトファン欠乏培地に移すとコピー数は急速
に増加した。これはRNA II 転写は代謝物又は外から
の培地中の化学物質の濃度によってコントロールし得る
ことを示しており、コピー数は温度以外の要因により変
化させ得ることを証明している。
【0037】実施例4 「tac」プロモーターにコントロールされる誘導可能
なコピー数を有する複製開始点を2個有するプラスミッ
ドの作成 本例では、RNA II プロモーターをtacプロモータ
ー(Ptac)(ラッセルおよびベネット(Russe
ll and Bennet)、1982年)により置
換することによりコピー数がラクトース又はラクトース
類似化合物の添加又は除去によりコントロールされるよ
うにしたベクターを作成した。Ptacを有する121
bp Bam HI−Eco RIのDNA断片をpD
R540より精製した。この断片をBam HI−Ec
RIで消化したpMG404DNAに結合させ、大
腸菌DH 1のアンピリシン耐性、クロラムフェニコール
感受性形質転換体を単離した。このような形質転換体の
ひとつからプラスミッドDNAを単離し制限酵素により
解析した結果、クロラムフェニコール耐性遺伝子中に1
21bp断片が挿入されていることが証明された(pM
G421)(図6)。pMG421 DNAをBam
HIで消化し、子牛腸アルカリフォスファターゼで処理
し、pMG411から単離した1.2kbのBam
Iのプロモーターのない複製開始点に結合させた。形質
転換混液を30℃又は42℃で広げると、大腸菌DH 1
のアンピシリン耐性形質転換体が得られた。42℃では
小コピー数複製開始点は活性がなかった。この形質転換
体から2つのかけ離れたプラスミッド型が同定された
(pMG415とpMG416)(図6)。pMG41
5は正しい方向に(Ptacの下流に)単一のBam
HI複製開始点断片を有しており、一方pMG416は
複製開始点断片が3つそのまま繰返しの形で、これも
tacからの発現の方向を向いていた(図6)。
【0038】プラスミッドpMG415とpMG416
を導入して大腸菌D900(lacIsq)とした。こ
れはPtacプロモーターのコントロール要素である
acリプレッサーを過剰に産生する。ラクトース類似化
合物であるIPTG(イソプロピルチオガラクトシド)
を添加することによりPtacを誘導し得る。L−ブロ
ース中で増殖させたD900のpMG415形質転換体
はアガロースゲル電気泳動で測定すると小コピー数であ
ったが、これはIPIGを添加しても増加しなかった。
L−ブロース中で増殖させたD900のpMG416形
質転換体は小コピー数であり、これは培養液にIPIG
を添加すると急速に増加し、PtacからのpMG41
6のコピー数誘導がコントロール可能であることを示し
ている。
【0039】実施例5 複製開始点を2個有するプラスミッドにクローン化した
子牛の胃のmetプロキモシン遺伝子の発現 (a)pMG168の作成 複製開始点を2個有するプラスミッドが大腸菌中のクロ
ーン化した不均一遺伝子の発現に有用であることを証明
するため、子牛のmet−プロキモシン遺伝子を有する
プラスミッドを作成した。pCT70(Emtage
ら、1983年)をHind IIIとSalIで消化し、
Ptrpにコントロールされるmet−プロキモシン遺
伝子を有する〜2.4kb断片を単離した。この断片を
pMG165より単離した2つのDNA断片(5.6k
bのSal I−Pst I 断片と1kbのHind III
Pst I 断片)に結合させた(図3)。こうして大
腸菌DH 1の形質転換体より単離したプラスミッド(p
MG168)は複製開始点の下流にクローン化した遺伝
子を有しており、Prを通過するいかなる転写もmet
−プロキモシン遺伝子を追加転写することになる(図
3)。
【0040】(b)pMG168からのmet−プロキ
モシン蛋白の発現 pMG168を大腸菌E103(S)に導入し、ポリア
クリルアミドゲル電気泳動法によりmet−プロキモシ
ンの発現を調べた。大腸菌E103(S)形質転換体を
L−ブロース中30℃でOD600 =0.4になるまで増
殖させ42℃に温度を変更した。次に培養菌を37℃で
撹拌しながらインキュベートし、1時間毎に試料を採取
してコピー数と蛋白の発現を調べた。DNAコピー数は
pMG159及びpMG165に記載した方法と同じ方
法で測定した。蛋白の分析用に、各培養試料を遠心分離
し、ペレットを集め停止緩衝液(1%SDS、10mM
トリスHCl、 pH7.5)と、等量の試料緩衝液
(0.12%トリスHCl、 pH6.8、20%グリセ
ロール、1.2Mβ−メルカプトエタノール、6%SD
S)に再浮遊させ、3分間沸騰させた。ポリアクリルア
ミドゲル電気泳動、染色及び脱色法は基本的にMani
atisら(1982年)が記載した方法と同じであ
る。ジョイス・レーベル(Joyce Loebl)社
のクロモスキャン(Chromoscan)を用いて5
30mmで、染色したポリアクリルアミドゲルをスキャン
した。温度を30℃から42℃に変更するとプラスミッ
ドコピー数とmet−プロキモシン蛋白濃度も著しく増
加した(表4、図4と図7)。
【0041】37℃でのインキュベーション後の90分
間にコピー数は急速に増加したが、met−プロキモシ
ンの蓄積はもっとゆるやかであった。ポリアクリルアミ
ドゲルのスキャンから、温度変更後4−5時間までに組
換え遺伝子産物は全抽出可能蛋白の少なくとも10%ま
で蓄積した。pMG168の誘導されたコピー数は、複
製開始点を2個有する親のプラスミッド(pMG16
5)より少なかったが、それでも染色体1個当り3−4
から120−150まで増加した。pMG168は誘導
後細胞生存率が低下したがpMG165では変化はなか
った。この生存率の減少は組換え遺伝子産物が毒性が出
る量まで蓄積したためであると結論づけた。
【0042】
【表4】 表4 met−プロキモシン遺伝子発現の増加 37℃で誘導後の時間 met−プロキモシンとして (hrs) の総蛋白中の割合 0 <0.5 3 7.08a 4 9.09a 5 10.25a a)これらはゲルのスキャンからの測定値である。誘導
しない場合の蛋白の量はこの方法では正確に測定できな
い。
【0043】実施例6 複製開始点を2個有するプラスミッドにクローン化させ
たクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺
伝子の発現 (a)pMG160の作成 ポリアクリルアミドゲル上の染色した蛋白を正確に測定
することは限界があるため、複製開始点を2個有するベ
クター上のクローン化遺伝子の発現を、プラスミッドp
MG169のコピー数誘導後のクロラムフェニコールア
セチルトランスフェラーゼ活性の増加を測定することに
より、さらに定量した。精製したHind IV −Sal
I断片はPtrp(図3)にコントロールされるクロラ
ムフェニコールアセチルトランスフェラーゼの構造遺伝
子を有していることを除いては、pMG168(実施例
5)の作成と同様の方法でpMG165よりプラスミッ
ドpMG169を作った。
【0044】(b)クローン化したクロラムフェニコー
ルアセチルトランスフェラーゼの発現pMG169を大
腸菌E103(S)に導入し、クロラムフェニコールア
セチルトランスフェラーゼ濃度をポリアクリルアミドゲ
ル電気泳動法と酵素定量法(ショー(Shaw),19
75年)で測定した。実施例5のpMG168形質転換
体について記載したように、大腸菌E103(S)形質
変換体を増殖させ42℃に温度を変更して誘導し、37
℃でインキュベーションを続けた。一時間毎に試料を採
取しプラスミッドコピー数を定量し(図4,図8)、ク
ロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼの比活
性を定量し(Shaw,1975年、「リード・アンド
・ノルソコート」Read and Northoco
te,1981年)(図8,表5)、そして試料をポリ
アクリルアミドゲル電気泳動にかけた(図9)。このプ
ラスミッドコピー数はpMG168と類似の動力学的変
化を示し、類似の絶対値を有していた(図4)。クロラ
ムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ活性は、コ
ピー数誘導の結果粗抽出液中の酵素の比活性は約80倍
増加したことを証明していた(図3)。クロラムフェニ
コールアセチルトランスフェラーゼとして存在している
抽出可能な蛋白の比率は、純粋な蛋白の比活性から計算
した(表5)。pMG169からの誘導されないときの
発現した量は0.25%抽出蛋白であり、6時間の誘導
後はこれが21.9%に増加した。
【0045】
【表5】 表5 クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ 比活性の上昇 37℃で誘導後の時間 クロラムフェニコールアセチルトランス (hrs) フェラーゼとしての総蛋白中の割合 a) 0 0.25 1 5.6 2 15.5 3 18.1 4 18.5 5 21.4 6 21.9 7 20.9 a)これらの値は純粋なクロラムフェニコールアセチル
トランスフェラーゼの既知の比活性(195単位/mg蛋
白)から計算した。
【0046】実施例7 複製開始点を2個有するプラスミッドのプラスミッド安
定性試験 プラスミッドpMG165とpMG168を大腸菌RV
308に導入し、pMG168は大腸菌E103(S)
に導入し、抗生物質は添加せずケモスタット(chem
ostat)増殖条件下で30℃で安定性の試験をし
た。全ての実験は、抗生物質含有寒天平板から採取し、
金属製のバネの邪魔板のついた250ml用の円錐フラス
コ中の100mlのL−ブロース中に植菌した適当な大腸
菌株の単一コロニーから出発した。静止期に達するまで
培養菌を回転(orbital)シェーカー(37℃,
240rpm)中で培養した。細胞を集め、無菌の合成
培地(グルコースを抜いてある)中に浮遊し、発酵容器
中に植菌した。合成培地の組成はグルコース4g/リッ
トル;〔NH4 2 SO4 5g/リットル;Na2 HP
4 7g/リットル;KH2 PO4 3g/リットル;プ
ロリン200mg/リットル;ロイシン,100mg/リッ
トル;チアミン10mg/リットル;MgSO4・7H2
O200mg/リットル,CaCl2 ・6H2 O,5mg/
リットル,ZnSO4 ・7H2 O20mg/リットル,M
nSO4 ・4H2 O2mg/リットル;CuSO4 ・5H
2 O,5mg/リットル,CoCl2 ・6H2 O,0.5
mg/リットル;FeSO4 ・7H2 O100mg/リット
ル;NaCl 200mg/リットル;EDTA Na2
600mg/リットル;NaOH150mg/リットル〕。
【0047】特に明記してない場合はこの培地にトリプ
トファンを100mg/リットルを捕促した。培地中泡消
剤(ポリプロピレン−グリコール2000)は0.00
15v/vで存在した。発酵槽の細胞密度は、菌体量が
培地で維持できる量の少なくとも60%になるまで閉鎖
系として増殖させた。次にポンプのスイッチを入れ、系
をケモスタット(chemostat)として培養し
た。発酵槽中の全菌体量が一定になったとき、初期の遷
移増殖期は止まったと仮定し、次に式n(世代数)=μ
t/ln2(式中μ=増殖速度であり、定常状態での希
釈速度に等しく、t=時間である)から定常状態での世
代数を計算した。
【0048】連続培養から試料を採取し、希釈しL−寒
天培地に広げた。100個の単一コロニーを取り、抗生
物質を捕促した寒天培地とコントロールとしてのL−寒
天培地に移した。抗生物質に対し耐性のコロニー数を、
L−寒天平板に増殖している数のパーセントとして表わ
し、これをプラスミッドを有する集団の比率と考えた。
周期的に試料を取り、プラスミッドDNA調製液を作
り、大きな変化があるか否か調べた。大腸菌RV308
中のpMG165とpMG168の安定性のケモスタッ
トによる解析から、これらのプラスミッドはトリプトフ
ァンを加えた培地中で少なくとも68世代(表6)安定
であることが証明された。これらの条件下ではpMG1
68上のmet−プロキモシン遺伝子の転写は抑制され
ていた。
【0049】
【表6】 表6 プラスミッド安定性 大腸菌株 プラスミッド 安定性 世 代 数 % +Trp −Trp RV308 pMG165 100 72.5 30 RV308 pMG168 100 68 30 E103(S) pMG168 100 20 −
【0050】トリプトファンがない場合の増殖の安定性
解析はまだ進行中であるが、30世代後もプラスミッド
の消失は認められない。大腸菌E103(S)中のpM
G168の安定性解析も進行中であるが、20世代後も
プラスミッドの消失は認められなかった。複製開始点を
2個有するプラスミッドは、小コピー数でDNA複製が
par+ ,pSC101複製開始点から指示される条件
下では安定なようである。
【0051】文献 エムタージィ・ジェイ・エス,アルガル,エス・ドエ
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【0053】
【表7】実施例に記載した大腸菌株のリスト a) ATCCはアメリカン・タイプ・カルチャー・フ
レクション American Type Cultu
re Collectionの意味である。
【0054】本発明は、コピー数がPL やPR などの制
御可能なプロモーターにより意図的にコントロール可能
な新しい種類のプラスミッドの創製を可能にする。RN
A II の5′末端からXhoIリンカーの30塩基対の
存在により、RNA II の天然のプロモーターを他のプ
ロモーターで置換することが可能となる。たとえばプラ
スミッドpMG404ではRNA II はプラスミッドP
HSG415上のカナマイシン耐性遺伝子プロモーター
のコントロールを受けており、pMG404上の2個の
複製開始点(pHSG415からの温度感受性pSC1
01複製開始点と
【外1】 プロモーターのコントロール下にあるCol E1複製
開始点)ともに機能していると考えられる。これらのプ
ラスミッドにおける正確なDNA複製開始点は不明であ
るが、ハイブリッド複製開始点が機能していることは、
pHSG415よりpMG404の方がコピー数が多い
こと、そしてpMG404は42℃で複製することから
わかる。ハイブリッド複製開始点を有するがpSC10
1温度感受性複製開始点は持たない、再環状化させた
al I断片であるpMG410が作成できるということ
は、ハイブリッド複製開始点が機能していることの別の
証拠である。
【0055】pMG404の性質は、RNA II のRN
A II プロモーターと最初の30塩基は、DNA複製開
始をなくすことなく別のプロモーターで置換できること
を示している。しかし
【外2】 プロモーターは構成的に発現されているため、pMG4
04のコピー数の変更は不可能である。大腸菌内で働く
いくつかの充分規定されたコントロール可能なプロモー
ターが存在する。バクテリオフアージλからのPL プロ
モーターは、直接コントロールされるCol E1ハイ
ブリッド複製開始点を有するプラスミッドpMG411
を作成するのに用いられた。pMG411はpHSG4
15からの複製開始点を保持しており、λリプレッサー
遺伝子(QY7)を有する株の中で30℃で小コピー数
で維持された。λリプレッサーを42℃で不活性化する
とコピー数が上昇し、これはCol E1複製開始点の
複製PL により作動されていることを示している。従っ
てプラスミッドのコピー数は制御されたプロモーターか
ら意図的にコントロールすることが可能であることは明
白であり、これは温度(たとえばpMG411中の
L )や、又は、さらに重要であるが、トリプトファン
やラクトースなどの代謝物の濃度を変えることによりコ
ピー数がコントロールされるプラスミッド作成への道を
開くものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】プラスミッドの制限地図を示し、本発明の複製
開始点を2個有するプラスミッド、pMG411、の調
製に使用するDNA操作を示す。
【図2】30℃から42℃へ温度を変更した後1時間毎
に採取した、大腸菌(E.coli)QY7のpMG4
11による形質転換体の培養菌から単離したDNAをア
ガロースゲルで電気泳動したものである(1−7は0−
6時間に対応)。
【図3】プラスミッドの制限地図を示し、本発明の複製
開始点を2個有するさらに2つのプラスミッド、pMG
159とpMG165、の調製に使用するDNA操作を
示す。
【図4】pMG159,pMG165,pMG168及
びpMG169を含有する大腸菌(E.coli)の形
質転換体の温度変化(30℃から42℃に変化させ、以
後37℃で培養した)後のコピー数の誘導のグラフであ
る。
【図5】プラスミッドの制限地図を示し、本発明の代謝
物によりコントロール可能な複製開始点を2個有するベ
クター、pMG427、の調製に使用するDNA操作を
示す。
【図6】プラスミッドの制限地図を示し、本発明の代謝
物によりコントロール可能な複製開始点を2個有するさ
らに2つのベクター、pMG415とpMG416の調
製に使用するDNA操作を示す。
【図7】温度変更の処理のあとに1時間毎に採取した、
pMG169により形質転換させた大腸菌(E.col
)E103(S)から調製した全細胞抽出液からの蛋
白を10%ポリアクリルアミドゲルで電気泳動したもの
である(1−8は0−7時間に対応)。
【図8】pMG169で形質転換させた大腸菌(E.c
oli)E103(S)の培養菌の温度ショック処理後
のプラスミッドのコピー数とクロラムフェニコールアセ
チルトランスフェラーゼ活性の増加を示すグラフであ
る。
【図9】温度変更の処理の後に5時間にわたって1時間
毎に採取した、pMG169により形質転換させた大腸
菌(E.coli)E103(S)の培養菌から調製し
た全細胞抽出液からの蛋白を10%ポリアクリルアミド
ゲルで電気泳動したものである(6−1は0−5時間に
対応)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:19) (72)発明者 ロビンソン,マーチン キム イギリス国 エスエル6,4アールエツチ バークシヤー,メイドンヘツド,ヒーバ ー クロース,9 (72)発明者 カウルコツト,セリア アン イギリス国 エスエル6 1ピーエイ,バ ークシヤー,メイドンヘツド,ハイ タウ ン ロード,15 (72)発明者 ライト,エドウイナ メリー イギリス国 エスエル6 0エルテイー, バークシヤー,タツプロウ,ハギル ライ ズ,59

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 小コピー数でベクターが安定に維持され
    る第一の複製開始点および大コピー数の第二の複製開始
    点の2つの複製系より成るDNAベクターであって、第
    二の複製開始点における複製が、直接コントロール可能
    なプロモーターの制御下にDNA複製を開始させるプラ
    イマーをコードするDNA配列を置くことによって、直
    接コントロール可能であり、第二の複製開始点はDNA
    複製を開始させるプライマーをコードするDNA配列を
    含むColElのRNA II配列由来のものである、
    DNAベクター。
  2. 【請求項2】 直接コントロール可能なプロモーター
    が、Pプロモーター、Pプロモーター、Preプロ
    モーター、Prmプロモーター、P’プロモーター、
    lateプロモーター、trpプロモーター、ta
    プロモーター、lacプロモーター、galプロモー
    ター、araプロモーター、又はrecAプロモーター
    である、請求項1記載のベクター。
  3. 【請求項3】 遺伝子産物の産生のための遺伝暗号を有
    する遺伝子配列を含有する請求項1又は2記載のベクタ
    ー。
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