【渡辺倫果の言葉】16年ぶり2度目の「本気でやめようと思いました」からの銅メダル

【重慶=勝部晃多】23年世界選手権代表の渡辺倫果(23=三和建装/法政大)は、銅メダル獲得に安堵(あんど)の表情を浮かべました。ショートプログラム(SP)では、世界女王で首位に立ったアリサ・リュウ(米国)まで0・60点差の74・01点と好調な滑り出しとなったものの、フリーは5位の124・62点。SPの貯金で、4位と0.75点差の合計198.63点と逃げ切り、3位を死守しました。

前日練習、SP、フリーでのコメントを「渡辺倫果の言葉」としてお届けします。

フィギュア

<フィギュアスケート:グランプリ(GP)シリーズ第2戦中国杯>◇10月24、25日◇中国・重慶◇女子ショートプログラム(SP)、フリー




25日のフリーを終えて


―率直な感想を教えてください

ショートに救われたなっていう部分と、やはり細かい部分の積み重ねが、こうしてギリギリのところでとどまってくれたんじゃないかなと思いますので、まずはひとまず表彰台に乗ることができて、まずはよかったんじゃないかなと思います。


―ほっとした表情になったのは、表彰台に乗れるのが分かったからですか

そうですね。表彰台、フリーの点数的にちょっとやばいかなと思って。3位だったらもう4位になってしまうのがわかってたので。もうその時点では、もう2位っていう風に出た時点でもう安堵の気持ちになりました。


―リンクを降りた後はほっとした様子でした

そうですね。アクセル―トーのトーループでこういけることっていうのがほとんど今のところブロックぐらいで、練習でもほとんどやったことのない失敗でしたので、ちょっとびっくりして、少しだけフリップに動揺が出てしまったと思うんですけれども。ただ、しっかり2つ目のアクセルも綺麗ではないんですけれども、しっかり一応立てたという面でよかったかなと思います。


―公式練習で少し苦戦しているように見えました


ちょっと難しい部分ではあるんですけれども、公式練習から絶好調で行ってしまうと、その分体がすごくやっぱり動いているので、なんて言うんでしょう…。この本番の時に疲れてしまうっていったところで、別に公式練習で失敗とか、あんまり絶好調じゃなくても不安にならないような練習を今まで積んできていますので、そういったところでは別に、特になんて言うんでしょう、不安要素っていうのは少なめだったとは思うんですけれども。ただ、ショートからトップにいてこうなるっていうのは、なかなか自分の中でもあんまり「フリー番長」と言われるぐらい、結構フリーで巻き返すことの方が得意と言いますか、気持ち的にも追い詰められる方がやるタイプですので、逆にこのグランプリシリーズの第1戦の段階でそういった経験ができたっていうのはすごく大きかったんじゃないかなと思います。


中国杯フリーの6分間練習に臨む渡辺(撮影・勝部晃多)

中国杯フリーの6分間練習に臨む渡辺(撮影・勝部晃多)


―試合に臨む前の緊張感はいかがでしたか

ショートはショートで、ほんとに死にそうなぐらい緊張してたんですけれど、フリーはまた違った緊張感の中で、自分との戦いで自分に勝ちたいと思う反面、やっぱり順位が見えてしまうといったところで無意識に…。ショートだったらもう順位がまだ確定していないので、もう自分にしっかり集中することはできるんですけど、やっぱりフリーはショートが良かった分、多少のちらつきはあったので、勝ち切れなかった部分は自分でもちょっと悔しい部分ではありますけれども。ただ、まずはひとまず表彰台に乗れてまずまずよかったかなと思います。


―トリプルアクセル3本に、果敢に挑みました。収穫はいかがですか

本文残り87% (8137文字/9380文字)

スポーツ

勝部晃多Kota Katsube

Shimane

島根県松江市生まれ。2021年4月入社。高校野球の神奈川担当などを経て、同年10月からスポーツ部に配属。バトル班として新日本プロレスやRIZINなどを担当し、故アントニオ猪木さんへの単独インタビューや武藤敬司氏の引退試合、那須川天心―武尊などを取材した。 23年2月から五輪班に移り、夏季競技はバレーボールを中心に担当。同年秋のW杯や24年夏のVNLなど。冬季競技はフィギュアスケートをメインに務め、全日本選手権は2年連続で取材中。X(旧ツイッター)のアカウントは「@kotakatsube」。