特殊詐欺の出し子、ATM悪用した詐欺罪「成立する」 最高裁判決

米田優人
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 特殊詐欺でATMから現金を引き出す「出し子」を、「ATMにうその情報を入力した」とする電子計算機使用詐欺罪に問えるのか。この点が争われた刑事裁判上告審判決で、最高裁第三小法廷(平木正洋裁判長)は11日、現金を振り込ませるなどの直接的な詐欺行為をしていない被告に「同罪が成立する」との初判断を示した。

 今後、検察が特殊詐欺の出し子を同罪で積極的に起訴するなど影響を与える可能性がある。

 判決を受けた男(43)は、2021年に他人名義のキャッシュカードを使ってATMから現金計約900万円を引き出すなどしたとして、窃盗罪と電子計算機使用詐欺罪などで起訴された。

 一審・青森地裁八戸支部は、いずれの罪の成立も認めて懲役4年とした。しかし二審・仙台高裁は「指示役らと共謀してATMを操作したとは認められない」として、電子計算機使用詐欺罪については無罪とした。

 第三小法廷は判決で、被告が指示を受けて、犯行当日にATM付近で待機するなどしており、指示役らと「暗黙のうちに意思を通じ合った」と指摘。短時間のうちに現金を引き出すなど、極めて重要な役割を担ったとして共謀が成立すると結論づけた。

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この記事を書いた人
米田優人
東京社会部|最高裁
専門・関心分野
司法、刑事政策、消費者問題、独禁法