「SNSでヘイトスピーチ」 在日コリアンの訴え、市議に賠償命令
大阪府泉南市の添田詩織市議(36)からSNSの投稿でヘイトスピーチを受けたとして、在日コリアンの李香代(イヒャンデ)さん(59)が550万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決で、大阪地裁(山本拓裁判長)は24日、市議に55万円の賠償と残る投稿の削除を命じた。「名誉を毀損(きそん)し、プライバシーを侵害した」と判断した。
添田氏はX(旧ツイッター)で昨年2月、李さんが朝鮮学校の無償化除外に反対する活動をしていたことについて顔写真付きで投稿したり、「従兄弟(いとこ)は在日留学生捏造(ねつぞう)スパイ事件で死刑判決を受けた」と書いたりした。李さんのいとこは2015年に再審無罪が確定し、当時の韓国大統領から謝罪を受けている。
判決は、投稿は李さんが役員を務めるイベント会社が添田氏に起こした別訴訟に対する「反感」などから行われた可能性があり、公益性がないと指摘。「一般の読者が読めば李さんが北朝鮮の非合法活動に関わっているのではないかという印象を抱かせ、プライバシー情報や顔写真をみだりに公表されない利益を侵害した」と判断した。
「個人攻撃を誘発する危険」
「在日コリアンという属性に着目した投稿とはいえない」としたものの、添田氏のXのフォロワーが数万人にのぼることから「一定の政治思想を持つ者による個人攻撃を誘発する危険を含み、精神的苦痛は小さくない」と認定。3件の投稿のうち2件はすぐに削除されたことも踏まえ、賠償額を算出した。
判決後に会見した李さんは「こういうことはいけないと、社会に問いかけをすることが大事と思ってやってきた。全てに声を上げるのは難しいと思うが、私の周りに起きることについてはノーと言いたい」と話した。
添田氏は「今回の判決では明確に、私の投稿が民族的・種族的な出身に基づく攻撃であるという原告主張は前提を欠くという旨、判示されました。もっとも、言論活動としても行き過ぎたところがあったということですから、真摯(しんし)に受け止め今後の政治活動にいかしていければと考えております」とコメントした。
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