- 1125/09/21(日) 07:55:47
あらすじ(ネタバレを含みます)
ルイスパリッシュ統合学園…今は亡き学び舎にして祝福がありふれていた地
いつしかそこは呪いに満ち、未だ改善の手も不確かな……闇と恐怖に塗り替えられた地で
今日も彼女達は呪いを観察し倒し、そして保護する…学校と人を。忘れられないために…
これは呪われた地で活動する、ルイスパリッシュ観光協会の些細な記録。
と、言う感じのイベスト概念?ssスレです。
前スレ
[オリキャラ・オリ学園]ようこそ先生、呪われた地へ….outfilme|あにまん掲示板あらすじ(ネタバレを含みます)いなくなってしまった友達を探す「夜目」が効くというトリニティの生徒マナ先生と彼女は突如、既に廃校となった呪われた地、ルイスパリッシュ統合学園へと迷い込む謎の異形蔓延るかつ…bbs.animanch.comまとめ
オリキャラ・オリ学園ssスレ ようこそ先生、呪われた地へ… まとめ | Writeningあらすじ# トリニティ総合学園に用事で赴いていた先生は ブラックマーケットに行こうとしているという生徒、日向マナと出会う。 "夜目"が効くという彼女はいなくなってしまったという「友達」を探す…writening.net - 2125/09/21(日) 07:58:35
- 3125/09/21(日) 08:02:01
[ルイスパリッシュ統合学園]
三つの学園、ルイシアン農業校、デルタ商業校、セイブル工業校が
一つに統合されてできた学園で、三大校に匹敵するとも言われていたが
突如現れた異形達により学園が荒廃、尽力及ばず土地ごと閉鎖という
異例の措置をもって閉校となった。
在籍していた生徒たちは例外なく他校へ編入している。
学園では3校時代から、新入生は献杯と呼ばれる葡萄水と祈祷を行う行事があり、
これらを行った生徒たちは"夜目"が効き「暗視」が使えるという。
学園の下地にしたのは元のゲームと同じルイジアナ州
ルイスパリッシュ統合学園では、生徒間によるアルコール類の醸造、流通、消費が行われていたのが
観光協会のメンバーから示唆されている。
[ルイスパリッシュ観光協会]
当時の生徒会メンバーを筆頭に他学園に転入した一部の生徒たちによる連邦生徒会非認可の課外活動組織。
目的は、ルイスパリッシュ統合学園の復興、保護、保全
現在は、学園を忘れてもらわないために歴史や資料の管理
イベントの開催も計画しているが、異形の存在により上手くいっていない。
異形からとれる"証拠"や噂を聞きつけて侵入してくるならず者たちの
取り締まりも行っており、協会員全体の練度は高い。
行政に反していると理解しても活動を行うのは、愛しく懐かしき学園を想う心。ただそれだけである。
デルタ商業高の4番目に大きい駅を協会本部として再利用、活動拠点にしている。 - 4125/09/21(日) 08:05:07
- 5125/09/21(日) 08:06:54
- 6125/09/21(日) 08:08:55
- 7125/09/21(日) 08:12:34
本編は既に終わっておりますが、笛版そしてこれから投下予定のサイドストーリーに
ねじ込めるかもしれないので……もしよろしければ下記を参照して生徒さんを作ってみてください。
こちらのスレの52からの引用です
[オリキャラ・オリ学園]ようこそ先生、呪われた地へ…|あにまん掲示板「…生……、先生…」誰かの声が聞こえる…たしか私は…「先生!」上から強く呼びかける声に私は飛び起きた。呼びかけくれていた彼女は、飛び起きた私に少し驚いていたがホッと胸をなでおろしていた。周りを見渡すと…bbs.animanch.com下記を守っていただければルイスパリッシュの生徒を
想像していただいて構いません。
・1年生はいない。
・現在は他学園の生徒
・武器は1890年代の代物(分かりづらかったら下記のwikiを参照)
武器 - Hunt: Showdown 日本語攻略 Wikiハンターは武器を2つ所持することができ、それぞれの武器はLarge(3マス), Medium(2マス), Small(1マス)の3つのカテゴリに分かれている。 装備できる武器は2丁で計4マス。詳しくは下記のように制限される。 プライマリにLargeの武器を装備 → セカンダリはSmallのみ装備可能。 プライマリにMediumの武器を装備 → セカンダリはMediumかSmallを装備可能。 プラjpngamerswiki.comHunt: Showdown Wikihuntshowdown.fandom.comだいたい、このあたりを守ってもらえれば
お好きに作ったり、協会内での役職とかも
勝手に生やして貰っても大丈夫です。
こちらが物語の下地にしたゲームのsteamページです
Steam:Hunt: Showdown 1896歴史に失われた澱んだ水場で、腐敗生物を狩れ。時を超越した邪悪な存在を相手取り、異形のモンスターたちと血眼で襲いくる他のハンターたちと死闘を繰り広げろ。ソロで、チームで、このハイリスクハイリターン・タクティカルPvPvE FPSを生き残れ。この世界にヒーローはいない。己のすべてを賭け、ハントに飲み込まれてゆけ。store.steampowered.com - 8125/09/21(日) 08:21:48
全然出来上がって無い中のサイドストーリー2スレ目です。
見てくださってる皆さまには申し訳ありませんが、ゆっくりですが設定やあらすじ、ss投下をやっていきます。
todoリスト
・ss[協会結成前夜]
・ルイスパリッシュ制服
・観光協会のキャラデザ(画像メーカー)
必須はこの3つでしょうか……頑張ります。
ターゲット以外の異形のスクショを貼っていなかったので、改めて設定と共に投下します。
画像は英語wikiからの引用です。 - 9125/09/21(日) 08:37:04
[異形]
闇から出づる人ならざる亡者たち
普段は、昼夜問わず学園内を彷徨い音に敏感、見つけると襲い掛かってくる。
倒しても倒しても何処からともなく現れており、調査を行った者たちは
ここはある意味、時間が止まった悪夢と称した。
歩兵
1800年代後半の服装をした男女の異形
腐敗の様なただれた肌とうなり声をあげ、普段はよろよろとした動きで彷徨っているが
生者をみつけると、小走りで近寄って襲い掛かる。
耐久力は低く、拳銃なら2,3発、頭を狙えば素手でも一撃で仕留めることが出来る。
歩兵に限らず、異形の者は総じて耳が良い。不用意に銃を構えるのは得策とは言えない。
装甲兵
丸まった枯れ木の様な固い外皮装甲に覆われた膨れた異形。
動きは遅いが、有り余る堅牢さを持っており頭部も外皮で隠れているため
高い破壊力を持つ武器以外では、正面切って戦闘するのは正気ではない。
肥大した片腕のかぎ爪も特徴。
感染者
胸部から突き破った毒蟲の巣を持つ、女性の異形。
体に毒を持つ虫を巣くわせており、常に周囲を飛んでいる。
感知範囲が広く、見つかると毒蟲をけしかけてくるので非常に厄介。
弱点の頭部も、向き出た巣の影響で、背中側に垂れ下がっており狙いづらい。
本体が倒れれば蟲も息絶える。
- 10125/09/21(日) 08:45:38
肉頭
ぶよぶよと肥え太った頭の無い人型の異形と、周囲を這うヒルにより構成される異形。
異形は頭が無く、高い髄力と脂肪により強固で強い力を持ち相手取るのは非常に厄介である。
周囲のヒルは肉頭の頭部の代わりを担っており、下手にヒルに手を出すと
肉頭に伝わる可能性があるため、手を出すのは避けるのが良い。
猟犬
骨がむき出しのまさに地獄から這い出てきたような猟犬。
常に複数で活動しており、見つかると素早い動きで、鋭利な牙と爪による失血に見舞われる。
歩兵もそうだが、稀に頭部に鉄兜を被っている個体も報告されている。
異常者
常に燃え盛っている痩せこけた人型の異形
見つかると、走って襲い掛かってくるが何より厄介なのが
銃撃を受けると爆発し周囲を燃え上がらせるため非常に厄介。
それ以外では爆発も起きないため、近接であれば比較的安全に処理ができる。
ウォーターデビル
水中に潜む触手の群体の異形
水に入るまで姿を見せないため、視認は難しく水面に浮かぶ小さな飛沫や波紋で確認が可能
触手は鋭利なのか、振り回すそれは肌を切り裂きこちらに絡みつく。
生命の源流ですら呪われてしまったと言うのか…
- 11二次元好きの匿名さん25/09/21(日) 08:59:23
たておつ
- 12二次元好きの匿名さん25/09/21(日) 11:12:10
たて乙ー
まぁまったり行きましょう
主も根詰めすぎない様にね
楽しみにしてるからさ - 13125/09/21(日) 18:18:58
前スレでワイルドハントとの絡みを想像したあらすじを書きましたが
ミヨがまさかの部長だったため没案になりました。
それと、こちらの都合でルイスパリッシュの生徒の詳細な設定を纏めることになったので
出来上がったらこちらにも投下します。
1生徒1レスに収まりきらないと思うので、writening使う予定です。 - 14二次元好きの匿名さん25/09/21(日) 22:55:44
ワイルドハントとの絡みはもっと見てみたかったけど、ゲーム本編の設定と噛み合わなくなるなら仕方ないね
- 15125/09/22(月) 00:35:23
- 16二次元好きの匿名さん25/09/22(月) 00:50:19
のんびり構えていきましょう
イイネタが涌いてくるかもですし - 17二次元好きの匿名さん25/09/22(月) 01:44:57
はい
- 18二次元好きの匿名さん25/09/22(月) 10:05:04
保守
- 19125/09/22(月) 18:05:10
- 20二次元好きの匿名さん25/09/22(月) 20:23:10
かわいい
- 21二次元好きの匿名さん25/09/22(月) 21:15:43
不安そうな感じが実に良いですねえ
- 22二次元好きの匿名さん25/09/22(月) 23:23:03
良いね
- 23二次元好きの匿名さん25/09/23(火) 08:22:14
保守
- 24二次元好きの匿名さん25/09/23(火) 14:27:17
不安そうな表情がいいな
- 25125/09/23(火) 21:54:20
いま、生徒達の設定を纏めています
ようこそ先生(ryって、ネームド8人もいたんですね……
あっ、前スレ埋めてくださった方々ありがとうございます。 - 26二次元好きの匿名さん25/09/23(火) 23:11:47
改めてオリキャラの人数を数えると結構いるね
- 27二次元好きの匿名さん25/09/24(水) 08:12:21
散らばるからねぇ
- 28二次元好きの匿名さん25/09/24(水) 17:02:56
保守
- 29125/09/24(水) 22:13:24
イベントを見てますが、フユとイコを絡ませてみたいですね
カッコつけ(故意)とカッコつけ(天然)……収拾付くでしょうか - 30二次元好きの匿名さん25/09/24(水) 23:49:01
お互いカッコつけキャラならいい感じに意気投合しそうな気もするね
- 31二次元好きの匿名さん25/09/25(木) 08:27:55
お互い細かく語らず良いよね…良い…になってそう
- 32二次元好きの匿名さん25/09/25(木) 15:36:49
読めるなら是非ともお話読みたいなぁ
好きですよ主のお話 - 33二次元好きの匿名さん25/09/25(木) 22:15:03
保守
- 34125/09/26(金) 00:00:22
また、あらすじ的なのを投下します。
タイトル的なのは思いついてないのでまだありません。 - 35125/09/26(金) 00:02:18
ミレニアム農業同好会、科学と叡智の学び舎で基盤と数式とは違い緑溢れる農作物を生育、
研究している部活…ではなく同好会である。
学園の一角、農場と共に備えられた同好会室兼住居では、家主のサヨコはソファに体を沈めながら
どこか上の空でゲーム機を弄っているリコを、哀れみや労りが混じったなんともいえない視線を向けていた。
「はぁ……」
サヨコは知っていた。課外活動の観光協会と現在通っているミレニアムでの農業同好会、
2つの代表を曲がりなりにも務めている
目の前の彼女はその実、人見知りというほど対面に出れないわけでは無く人付き合いが好きという訳でもないが取り繕うことはできる
面倒な性格をしている事を……つまりは、ここ連日の報告や会議、企業の相手から容量限界(キャパオーバー)を
迎えているのだと転校前からの付き合いから見抜いていた。
「はぁ……」
そんな彼女の様子を見て、本日2度目のため息が漏れた。
正直死んだ目で感情も無くゲームをしているのは、大変鬱陶しい……ではなく心配だ。とサヨコは思う。
本音はともかく、こうなると引きこもってゲームをし始めるのはいつもの事だが、不健康極まりないしリコはそういった弱音を
気づかれていたとしても無いように振る舞うのを……やっぱり鬱陶しいな。と考えを改め直したサヨコは
スマホを取り出して何かを操作すると、すぐさま荷造りを始めた。 - 36125/09/26(金) 00:03:43
「かい……リコ先輩。」
「おやぁ?どうしたんだい?」
つい、普段から呼んでいる名称を使いそうになったのを寸でのとこで抑えて、サヨコはリコに先程用意した荷物を突き出した。
「はい。」
「おやぁ?」
サヨコは、スマホを通じて1つのチケットをリコに差し出す。
「これもです。」
「おやぁ?」
そして、未だなんなのか分かっていないリコを駅まで送る。
「じゃ、楽しんできて。リコ先輩。」
「おやぁ?」
あれよあれよと列車に乗せられたリコは、スマホの旅行アプリに表示された「百鬼夜行連合学園1泊2日」のチケットが表示されていた。
「なるほどねぇ…休暇というよりはリフレッシュしてきて。ってとこかねぇ…?
それだったら部屋に籠らせて欲しいものだけど……折角の厚意、ほんと申し訳ないねぇ。」
リコは衣服が入った荷物を網棚に置いて、長方形のハードケースを自身の横に立てて座席に腰を下ろすと、
暫し車窓から流れる景色を楽しむことにした。 - 37125/09/26(金) 00:05:19
列車に多少揺られ、宿に荷物を置いたころにはお腹と背中がくっつく程ではないが、体が栄養を求めている。
座席に張っていた根を剥がすのも込めてリコはハードケースを背負い、周辺を散策することにした。
暫く百鬼夜行の風光明媚なミレニアムと真逆で、かつての母校とはまた違う自然との融和をしている学園内を
感心と共に歩いていると、香ばしい脂とたれが焼けこげる匂いが漂ってきた。
焼き鳥屋がパフォーマンスも兼ねて軒先で串を炭火で炙っている光景は、一瞬にしてそれなりだった食欲を呼び起こし
考える間もなく、リコはここで食事をしようと店員さんに話しかけた。
「ごめんなさい、ただいま満席でして…」
なんとも残念なことにお店は繁盛中、リコは仕方なく持ち帰りで食べようか。と言おうとした瞬間、
店内から別の店員さんが出てきてリコに提案した。
「相席でよろしいのでしたら、お1人様ご用意できます。」
「お相手さんがよろしかったら、ぼくは構わないよぉ。」
リコが了承したのを聞き、すぐさま席に案内される。店内は百鬼夜行の生徒やご飯を食べに来た大人で溢れていてどこのテーブルも
焼き鳥が盛られた皿が重なっていることから、当たりのお店を引けた。と期待が高まる。
「こちらになります。すいませんナグサさん、相席ありがとうございます。」
「うん……私は大丈夫。」
案内された座席には、藍色の羽織をかけた新雪のように白く陶器のように均整の取れた美しい少女
百花繚乱紛争調停委員会委員長、御稜ナグサが逆手に持ったねぎま串を口から外し、
既に積み上がっている串の山の標高を伸ばしていた。 - 38125/09/26(金) 00:06:41
「お茶でも飲んだら、水やりするか…」
リコを半ば無理矢理送り出したサヨコは、同好会室に戻ってお茶を入れようとしたところテーブルの上にある物を見てしまい一瞬動きが止まる。
無造作に置かれていたそれ、ルイスパリッシュの外…ミレニアムでリコが使用している半自動拳銃P50が
無骨な存在感を放ちながらも静かに佇んでいた。
「……水やりしちゃうか。」
サヨコは銃を渡し忘れていたことに文字通り目を背け、スマホで散水ドローンに指示を飛ばしながら農場へ出るため室内を後にした。 - 39125/09/26(金) 00:10:15
自称お飾り会長と自称コスプレ女を絡ませたいなと本編書いてる時から思っていたので形にしてみました。
難点は、百花繚乱とナグサが普段何してるか分からないというのが……特にナグサ
あと水着イベで、割とボケる面白い人だと判明したのでエミュの難度も高いのが…… - 40二次元好きの匿名さん25/09/26(金) 08:27:19
焼き鳥女か
良いよね愉快で - 41二次元好きの匿名さん25/09/26(金) 10:13:24
愉快な人と愉快な人が出会った
それだけでもう面白いこと間違いないですよ - 42二次元好きの匿名さん25/09/26(金) 19:33:16
ほしゅ!
- 43125/09/26(金) 22:34:33
- 44二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 06:24:21
良い女は
皆愉快なんですよ
知らんけど - 45125/09/27(土) 14:50:17
- 46125/09/27(土) 15:57:48
- 47二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 23:17:51
かわいい
- 48二次元好きの匿名さん25/09/27(土) 23:29:37
どれも中々にかわいいですねえ
- 49二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 07:21:06
色んなマナが見られていいね
- 50二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 14:28:56
動機はともかく先輩を旅行に送り出すサヨコ優しい
- 51二次元好きの匿名さん25/09/28(日) 21:33:26
保守
- 52125/09/28(日) 21:41:27
進捗報告です。協会結成前夜冒頭までは書けました。
どうでもいいことですが、画像メーカーは4番目のを使おうと考えてます。
雰囲気は1番目がいいとは思うのですが、パーツが4番目は多いので…
おそらく明日改めてマナの画像とプロフを投下できると思います。
スレ画描いてくれた人に申し訳ないですね今更ながら…… - 53二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 05:45:04
はい
- 54二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 12:01:14
新しいマナの画像も楽しみだけど、書いてもらったイラストもまとめておけると良さそう
- 55二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 12:08:47
お待ちしてます。
- 56125/09/29(月) 18:06:07
マナとクシロの設定もといプロフィールを纏めてきました。
ちょっと変更点や足りない項目があったりしますがご容赦ください。
日向マナ
日向マナ | Writening学校:トリニティ総合学園 学年:1年 所属:無所属→ルイスパリッシュ観光協会 名前:日向(ひむかい)マナ 身長:149 体重:軽い 髪形:肩くらいのセミロング(亜麻色) 目の色:青 年齢:15 服装:トリニティの制服にストロ…writening.net三木クシロ
三木クシロ | Writening学校:なし 学年:なし 所属:無所属→ルイスパリッシュ観光協会 名前:三木(みき)クシロ 身長:161 体重:痩せたかも 髪形:無造作に伸びたレイヤーぽいショート(黒もしくは紺) 目の色:銀 年齢:15 服装:つんつるてん…writening.net - 57二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 18:50:18
ひぃっ!
クシロちゃん生気がない!? - 58二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 23:23:04
妖怪みたいになってる…
- 59二次元好きの匿名さん25/09/29(月) 23:38:27
- 60二次元好きの匿名さん25/09/30(火) 08:14:34
保守
- 61125/09/30(火) 11:35:32
申し訳ありませんが、諸事情で明日の夜まで保守しに来ることが出来ません。
- 62二次元好きの匿名さん25/09/30(火) 13:03:31
時間迫ってきたら保守を手伝いますよ
- 63125/09/30(火) 13:48:58
- 64二次元好きの匿名さん25/09/30(火) 16:12:29
あら可愛い
これはこれで - 65二次元好きの匿名さん25/09/30(火) 22:40:52
耳可愛いね
- 66二次元好きの匿名さん25/10/01(水) 06:58:24
このレスは削除されています
- 67二次元好きの匿名さん25/10/01(水) 14:46:37
思った通りにキャラの雰囲気を出すのは難しいね
- 68二次元好きの匿名さん25/10/01(水) 16:23:26
オリキャラを出力するのって難しいよね
髪型一つだけで苦労する - 69二次元好きの匿名さん25/10/01(水) 22:24:33
保守
- 70二次元好きの匿名さん25/10/02(木) 07:06:13
保守
- 71125/10/02(木) 11:18:08
保守してくださり、ありがとうございます。
また少し変更点等ございますが、リリとスズの設定を纏めてきました。
山城リリ
山城リリ | Writening学校:ゲヘナ学園 学年:2年 所属:ゲヘナ鉄道同好会/ルイスパリッシュ観光協会 名前:山城(やましろ)リリ 身長:159 体重:乙女の秘密っ!! 髪形:シルバーブロンドのロング 目の色:赤 年齢:16 服装:ゲヘナの制服、…writening.net桂城スズ
桂城スズ | Writening学校:ゲヘナ学園 学年:2年 所属:ゲヘナ鉄道同好会/ルイスパリッシュ観光協会 名前:桂城(かつらぎ)スズ 身長:180 体重:変わりなし 髪形:黒髪のショートボブ 目の色:緑 年齢:16 服装:ゲヘナの制服/ルイスパリッ…writening.net - 72二次元好きの匿名さん25/10/02(木) 12:08:59
乙ですよ!
これでまた戦える… - 73二次元好きの匿名さん25/10/02(木) 19:49:45
リリとスズの設定もいいねぇ
- 74二次元好きの匿名さん25/10/02(木) 23:28:04
料理上手なスズのメニューを食べるリリはカロリーを気にしてるみたいだけど、鉄道の運行で結構運動してそうだから平気な気もするね
- 75二次元好きの匿名さん25/10/03(金) 08:20:06
保守
- 76二次元好きの匿名さん25/10/03(金) 14:35:16
汗かくからねえ、汽車の運転は
- 77二次元好きの匿名さん25/10/03(金) 15:39:37
このレスは削除されています
- 78125/10/03(金) 19:14:24
先に謝罪しておきます。画力が本当に終わってるのをご容赦ください。
ルイスパリッシュ統合学園の制服のデザインです
生徒会等の学園運営に携わるものは専用のループタイ、ベスト以外にニット素材のカーディガンは別にある
指定のローファーがあるが、商業科普通科以外の新入生は1ヵ月もすると
自腹で購入したブーツを履くようになる(舗装されてない道ですぐ汚れてしまうため)
観光協会は基本的にルイスパリッシュの制服に各々何かしらアレンジした着こなしをしている
リコ:シャツとベスト、上着ににロングコート、ブーツ、スカートもしくはパンツ
サヨコ:ブレザーとシャツ、上着にコート、タイは無し、ロングブーツ
ニィナ:ブレザー、シャツ、ベスト、帽子、厚手のトレッキングシューズ
リリ:裾を結んだへそ出しシャツ、タイは直接首に巻いてチョーカー風、スズとお揃いのジャケット、ロングブーツ
スズ:ブレザー、シャツ、上着にリリとお揃いのジャケット、ブーツ
イコ:ブレザー、シャツ、ベスト、ループタイ、ブーツ
クシロ:拾い物のケープ、左右違いの拾ったブーツ
- 79二次元好きの匿名さん25/10/03(金) 23:56:21
お疲れ様!
画力は…コツコツ積み重ねないとどうしようも無いよねぇ - 80二次元好きの匿名さん25/10/04(土) 08:11:48
ルイスパリッシュ保守委員会!
- 81125/10/04(土) 14:10:12
イコとニィナの設定を纏めてきました。
一五呂イコ
一五呂イコ | Writening学校:トリニティ総合学園 学年:3年 所属:ルイスパリッシュ観光協会 名前:一五呂(いちごろ)イコ 身長:150 体重:知りたいですか? 髪形:濃いピンクのロング 目の色:赤紫 年齢:17 服装:トリニティの制服/ルイスパ…writening.net籔島ニィナ
籔島ニィナ | Writening学校:ヴァルキューレ警察学校 学年:2年 所属:生活安全局/ルイスパリッシュ観光協会 名前:籔島(やぶしま)ニィナ 身長:164 体重:んー? 髪形:ミディアムボブ(蒼髪) 目の色:青(もしくはオレンジ) 年齢:16 服装:生…writening.net - 82二次元好きの匿名さん25/10/04(土) 22:06:08
イコは含みを持たせた発言をするから広報としての活動が振るわなかったけど、マナの協力で改善されたのはいいね
- 83二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 07:10:17
保守
- 84二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 14:53:28
ニィナちゃんかわよ
- 85二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 16:14:22
イコちゃんの
「ああ、趣味嗜好からなんとなくそう言う感じ」
って分かるぜつみょうな表情がなんとも
ニィナちゃんの「んべ。」って感じに出されてる舌先が
彼女の退屈な事は嫌いだよ
って言う自己主張に感じるね - 86二次元好きの匿名さん25/10/05(日) 21:33:51
最近はキャラのイメージ出しやすくなってありがたいね
- 87125/10/05(日) 23:07:51
- 88二次元好きの匿名さん25/10/06(月) 06:30:17
はい
- 89二次元好きの匿名さん25/10/06(月) 12:22:19
- 90二次元好きの匿名さん25/10/06(月) 12:23:58
待ちますよ
- 91125/10/06(月) 13:13:47
また多少変更等ありますが、サヨコとリコの設定を纏めてきました。
木ノ下サヨコ
木ノ下サヨコ | Writening学校:ミレニアムサイエンススクール 学年:2年 所属:ミレニアム農業同好会/ルイスパリッシュ観光協会 名前:木ノ下(きのもと)サヨコ 身長:170 体重:最近少し増えた 髪形:オリーブがかった黒髪に編み込みが入った…writening.net周藤リコ
周藤リコ | Writening学校:ミレニアムサイエンススクール 学年:3年 所属:ミレニアム農業同好会/ルイスパリッシュ観光協会 名前:周藤(周藤)リコ 身長:167 体重:覚えていない 髪形:暗銀の髪色に肩から胸にかけた1つ結び 目の色:灰っ…writening.net - 92二次元好きの匿名さん25/10/06(月) 20:27:07
サヨコちゃんが実に苦労人気質な顔立ち…
リコ会長は「ぇ~」ってしてないで仕事してください! - 93二次元好きの匿名さん25/10/07(火) 00:02:41
サヨコちゃんのパサッとしたポニテ良いな
- 94二次元好きの匿名さん25/10/07(火) 08:47:33
かわいい
- 95二次元好きの匿名さん25/10/07(火) 16:50:18
サヨコとリコはかなり身長高かったんだね
- 96125/10/07(火) 21:51:39
- 97二次元好きの匿名さん25/10/07(火) 22:37:46
このレスは削除されています
- 98二次元好きの匿名さん25/10/08(水) 06:31:27
朝保守パリッシュ
- 99125/10/08(水) 11:22:55
- 100二次元好きの匿名さん25/10/08(水) 19:21:27
クシロは近未来的な銃を使ってたんだね
- 101二次元好きの匿名さん25/10/08(水) 20:14:33
こんなSFなビジュアルなのに実在する銃なんだから世の中怖いねえ…
- 102二次元好きの匿名さん25/10/08(水) 22:49:47
なんというか…シュッとしてんなぁ
- 103125/10/08(水) 23:37:38
いちおう、クシロの銃を説明させて頂くと、Pistllo 77°というチェコの企業が開発した
9mm口径のピストルカービンです。銃全体が77°で構成された直線的なデザインに各所に配置された
ハンドルやボタン類というユニークさと実用性を合わせた銃になっています。
ダイスとは言え、私が候補に挙げたのが当たるのは本末転倒な気が……除外しなかったのが悪いですね
観光協会のssではありませんが、ss書いてきたので投下します。
- 104125/10/08(水) 23:43:14
[blind the bright]
「ねぇ、クシロ…どれがいいと思う?」
「んー……気に入ったのでいいよ、マナが。」
大小色々な銃がケースや壁に立ち並ぶガンショップ。私とクシロは、進学に合わせて新しくする銃を選びに来ていた。
正直、どれがいいかはよく分からない。
練習で使っていた銃ですら私には大きかったから、小さいのがいいのかな……拳銃とか?
それともクシロと同じのにする?隣で棚に掛けられている銃を眺めているクシロの肩には、
どこか直線的な見た目の銃が下げられてる。
2人そろって商品棚を眺めていると、初老の犬の店員さんがカウンターの向こうから声をかけてきた。
「お嬢ちゃんたち、何かお探しかな?」
「あっ、え…えっとその……銃を…」
わたわたと言葉を紡いでいると、クシロが私の代わりに答えてくれた。
「…銃が欲しいけど、どれか分からない。この子、マナの。」
「あぁ、なるほど…新入生かな?ふむ……」
店員さんは私を頭から爪先まで、視線を動かすと手を見せて欲しいと頼み込んだ。
少し不安に感じたけど、クシロが寄り添うように私の隣にいてくれてるのを衣擦れ合う肩から感じた。
私はおずおずと手のひらを向けてカウンターに腕を置く。店員さんは測るように私の手から腕を品定めすると、
うん。と、ひと言だけ呟いて手を戻すように言った。 - 105125/10/08(水) 23:45:44
「少し古いが…これとかどうかな?軽くて扱いやすい…君の小さな手にもしっくり来る筈だ。」
カウンターの上に置かれたのは、銀色の回転式拳銃。店員さんが言うには新品だけど古いモデルらしく
通常よりもお安く提供できると言われた。
許可を貰って手に取ってみた……確かにクシロにさえ小さいと言われる私の手でもしっかり握れる。重さもそれほど…
これにしちゃおうかな…?けど、銃弾がいくつ入るかも考えた方がいいかもしれない……
「ねぇ、クシロは……」
「…なに?」
思わずクシロにも意見を求めようとして…やめた。私が決めなきゃいけないから……
うーん、でも……悩んでいると店員さんが察したのかもう一つ銃を出した。
「なら、少し高くなるがこれも付けよう…単発式の散弾銃だ。
リボルバーだけじゃ不安なんだろう?これがあれば下手な腕でも関係ない、"お守り"だよ。」
「お守り……」
銃の腕には自信が無いし、持っておいて損はない……かな?
値段もそれなり、むしろお得かもしれない。うーん……私はクシロに意見を求めようとして、止めた。
クシロはいつも私の意思を汲んでくれる、私のお願いを支えてくれる……けど、それだけじゃ駄目だから…
「マナ……」
名前が呼ばれた気がしたけど、気づかずに私は購入の手続きを進めた。 - 106125/10/08(水) 23:47:38
「どう?クシロ。」
「いいと思う。」
腰と背中に差した2丁の銃をアピールするように歩きながら、その場でクルリと回る。
ふわりと舞うスカートと共に被っていた麦わら帽子が目の前に落ちてくる。
塞がる視界ともつれる足をクシロは受け止めてくれた。
「大丈夫?」
「ごめん、ありがとうクシロ。」
私より大きな腕に抱かれて、彼女の髪からふわっと石鹸の様な香りが鼻をくすぐる。
クシロ……シャンプーとかに頓着しないのかな?今度お気に入りの勧めてみよう。
姿勢と帽子を直して立ち上がると、目の前にはアクセサリーを売っている露店が見えた。
私は、そのままクシロの手を引いて露店を覗きにいった。
「いらっしゃい。」
妙齢の猫の店員さんが低い軒先から顔を出して、好きに見ていって。と促す。
チェーンやネックレス、アンクルにキーホールダーが煌びやかな装飾や彩色を施されて並んでて
まるで露店1つが作品の様に思えた。
綺麗だなぁ、可愛いなぁ。と思わず呟きながら品々を見ていると商品の値札が見えてしまい、
さっきまで感じていた感嘆とした気持ちは、どこかへ消えてしまった……。
もしかして、この装飾は本物……クシロにあまり触らないように注意しておこう。
「ねぇ、クシロ。この商品……クシロ?」 - 107125/10/08(水) 23:52:07
クシロは1つのアクセサリーを手に取って、じっとそれを眺めている。目を奪われるというのが正しいのかも…
彼女が眺めている物は、すべすべとした質感の装飾が付いた小さな十字(ロザリオ)
「気に入った?」
「えっ……あっ、あの…」
「ふふっ、なんでそんな安物がここに紛れてるか気になるでしょ。」
店員さんの発言に、ロザリオの値札を見ると「¥1,000」と書かれてる。他の商品の1/5程しか無かった。
全然そんなことに気づかなかったけど、私はコクっと頷く。
「それに使われてるのはね、真鍮とビーチグラス。ただのガラス片なの。」
「こ…こんなに、き…綺麗なのに……ですか?」
「えぇ、素敵でしょ。」
店員さんに言われなければ、この綺麗な装飾も本物の宝石かと思っていた。
それくらいに綺麗だから……たぶんクシロもそう思っている。
店員さんは視線を私からクシロに向けて、口を開いた。 - 108125/10/08(水) 23:53:47
「ここに並んでいる装飾と比べたらそれは偽物でしょうね。
けど……それを見て綺麗と思った感情は何よりも本物なの。」
「あの……私……」
クシロは十字を見ながら口ごもる。横目で私を見る彼女と目が合った。
私はクシロの手を取ると店員さんに言った。
「あ、あの…これ、くだ……さい。2つ。」
「マナ……うん…ください、これ。」
「ふふっ、毎度。2つで2千円ね。」
帰路についてる最中、露店で買ったロザリオを空にかざしてみる。赤いグラスと真鍮色の十字…うん、良い。
クシロも大切な物を見つけたように、静かに十字を見つめてる。
「クシロ、お揃いだね。」
「……うん、お揃い。…マナと。」 - 109125/10/08(水) 23:55:36
暫くして、私とクシロは進学予定のルイスパリッシュ統合学園に体験入学に来ていた。
広大な学園に4つの科、観光地の様に巡ったオリエンテーションもいよいよ終盤。
この学園で新入生になると行うイベントの疑似体験が行えると私達参加者は、校舎の前に集められていた。
「イベントって何だろう?」
「"献杯"って書いてあった…パンフレット」
「献杯?」
「持ってきたよぉ…献杯用の葡萄水。」
「お、ありがとうございます副会長。」
「ぼくは会長のとこに行くからここは任せていいかい?」
「おっけ。向こうお願いしまーす。」
副会長と呼ばれた人が案内を担当してくれてる人に緑色に焼けた瓶を手渡していなくなった。
瓶から赤い液体が紙コップに注がれて参加者全員に渡される。
担当してくれてる生徒曰、入学したら祈祷と共にこれを飲むのが習わしと説明された。
今回は簡単に行くからねー。の掛け声のあとに鈴が2度3度鳴らされて、飲むように促される。
うッ……し、渋い…
「けほっ……ク、クシロ…これ渋くない?
……クシロ?」
「……あっ、うん。そうだね…」
クシロ、上の空……なにかあったのかな?
一株の不安を胸中に残して体験入学はつつがなく終わった。
その後、この不安は私に起きた1つの変化とともに起こってしまった。 - 110125/10/08(水) 23:56:55
それはたまたま、勉強途中に椅子に座ったまま伸びをしたとき
両手を前に突き出したら、目の前が夜みたいに真っ暗になってその奥に微かな光が見えた。
最初は何が何だか分からなくて椅子から転げ落ちたけど……見えるだけで特に害は無い
怖かったけど何度か試してみて、これは探してる物を見えるようにするのと夜が少し身近になると分かった。
言葉にしづらいけど、あえて言うなら私は"夜目"が効くようになった……このことをクシロには言えていない
心配させちゃうと思ったから。
いよいよ進学先を明確に決めなければいけなくなる時期に2つの報せが私を襲った。
ルイスパリッシュ統合学園の廃校と三木クシロの失踪…
夜目が効くことに、少しばかり自信の様な物が出来上がりつつあった私の目は真っ暗に染まっていった。
それから、私はトリニティ総合学園へと進路を変えた。
荘厳で壮大なこの大きな学園は私をちっぽけにひとりぼっちになった現状をありありと写している。
それくらいこの学園に圧倒されていた。でも、そんなのはすぐに気にならなくなった…
彼女をクシロを探さなくちゃいけないから……
最初はヴァルキューレに捜索願を出した。だけど、証拠も目撃証言も少なくて
消えたとしか言いようのない状況に捜査は難航してるって聞いた。
受験も進学も終わり、捜査も頭打ちを過ぎた頃、連邦生徒会長の失踪が起こって……
クシロの捜査は有耶無耶になった。
ネットでも聞き込みも人と上手に話せない私には情報を集めるなんて難しい……光が見えるまでは… - 111125/10/08(水) 23:58:56
ある時、学校の知り合いの探し物を見つけた時に気づいた。
"夜目"を使えばクシロの場所が分かるんじゃ……すぐに夜を覗いた。真っ暗闇の中に見える微かな光
確信が持てたあの光にクシロがいる。だって……私が最初に見たのと同じクシロがいることを示す炎(橙)の揺らめき。
すぐに、その方向を調べた。場所はブラックマーケット、近づかないように言われている犯罪の温床……
クシロに会うには行くしかない。
「これで何度目っすか……」
「あ、あの…わ、私、ちょっと友達に…」
「嘘つけブラックマーケットに行こうとしてたでしょ!」
「ほら、これ以上やると牢屋か一時停学にしなきゃいけないから。大人しくね。」
何度もブラックマーケットに向かおうとしても、近場や学園内で正義実現委員会や
怪しまれた自警団に連れ戻されたのが続いた。
停学になるとブラックマーケットに行けなくなる…クシロに会えなくなる……それだけはいやだ。
力づくでここから逃げる…?けど、私にそんな力無い……ぐるぐると夢物語な打開策を講じていると
私を囲んでいる正実の後ろから"大人"の人の声が聞こえてくる。
やがて、正実の糸目の人と何か話した後、危険な事しないように。と言葉を残して正実の方々は去っていった。
少しの間、私と大人の人は見つめ合う…この妙な空気を変えるようにその人は口を開いた。
"とりあえず、シャーレに行こう。ここだと話したいことも話しにくいと思う。
君の名前は……"
「ひ、日向マナ…です。」
シャーレの先生……この人とならクシロに会いに行けるのかな…。
blind the bright fin. - 112125/10/09(木) 02:38:26
[In search of closed-off light]
光が差し込んでるかも分からない……墨汁を撒き散らした半紙のような闇の中
マズルフラッシュが化物を写し出し倒れた……私の目の前で
「はぁ…はぁ……はぁぁ…」
良く分からない化物は、ずっと湧いて出てくる…惰性のように持ってる銃が軽くなっているのが伝わる。
ザリっ。と土を踏みしめる音が背後から聞こえた。
振り向くと丸く大きい体の化物がかぎ爪を振るおうとしている。銃を構えてコッキングハンドルを引く……その場からピクリとも動かなかった。
「あれ…壊れた……!?」
爪が振り下ろされる。すぐさま後ろに下がって躱した。
引き金を引いてみても銃は何とも言わない……なら…こうする。
ストック側を掴んでバットの様に垂直に構える……そして、振り下ろす。目一杯、何度も何度もなんども…
「はぁ…はぁ……」
気づいた。化物が動かなくなった時に銃にお揃いのアクセサリーを付けていたのを……
最近こういうのを忘れるのが増えたような気がする。今が何時なのか…時間とかも分からないけど……
奇跡的に汚れが付いていない青いビーチグラスの装飾のロザリオを引きちぎってポケットに入れた。ここなら安全……
そよ風に紛れて聞こえてきた、息遣いが疲れた体を急がせる。私は静かに、この夜を歩き出した。
いつ折れてもおかしくない銃を肩に構えて……
囚われてる…?いつの間にか、私はずっと夜が明けない場所を彷徨ってる…… - 113125/10/09(木) 02:40:22
「ねぇ、クシロ…どれがいいと思う?」
「んー……気に入ったのでいいよ、マナが。」
昔から私と一緒にいる友達マナ。今日は彼女に誘われて新しい銃を買いに来ていた。
お互い銃にそこまで詳しくない…けど、ここ(キヴォトス)では必要。
真剣に悩んでる……マナなりに…。私はどうしよう……新しいのに変える…分からない。
これを使い続ける…いつまで?
気が付けば、マナは店員さんにたじたじとしている。代わりに挨拶をすると店員さんは必要な銃を見繕い始めた。
マナがいる…肩が触れる近さに。銃が置かれた、カウンターに…マナは手に持って確認している
彼女の小さい手でもしっかりと保持出来てる。それでも悩むマナを見て店員さんはもう一つ銃を出した。
目が揺れてる……いつもだったら私に助けを求めてくる。クシロはどれがいい?って……
マナの好きなように。いつも私が言う言葉……本当に彼女が好きな物を?分からない。
そして、マナは……私に目を合わせなかった。自分で決めた。
マナみたいに自分で決めれたのかな……?自分で銃を選ぶことになったら…
ショッピングモールでオススメされたのをそのまま買った私の銃。
なんだか重かった……いつもは軽さも重さもどうでもよかった。この肩に掛かる銃が…
「あれ…?ここ、どこ……」
夢遊病の様に彷徨う事が増えた。気が付くと化物が目の前にいてビックリする。
そのときは銃で撃つか刺す。壊れたから……自分で直して使ってる。ここに落ちているのを拾って
靴も汚れてはけなくなっちゃったから、左右同じじゃないけどちゃんと履いてる。 - 114125/10/09(木) 02:41:54
ここは肌寒い気がして、上着も拾った。背伸びをしたら、おへそが見えちゃうから……
それと、付ける気にはなれなかった。お揃いのアクセサリーはポケットに入れたまま…
未だに自分の好きが分からない。けど、マナに誘われた露店でこのロザリオを見た時
目が離せなかった……なんでだろう…
「ここに並んでいる装飾と比べたらそれは偽物でしょうね。
けど……それを見て綺麗と思った感情は何よりも本物なの。」
「あの……私……」
店員さんの言葉を聞いて、私は何かを言おうとした。何を言おうとしたんだろう
分かってる。これをください。たったそれだけ……なのにマナみたいに言葉が詰まって…
「あ、あの…これ、くだ……さい。2つ。」
言わせちゃった…言わなきゃいけないことを
私は何をしているんだろう……
「クシロ、お揃いだね。」
「……うん、お揃い。…マナと。」
本当に…?帰り路、綺麗な十字は私に圧し掛かるように問いかけた。 - 115125/10/09(木) 02:45:47
夜の中でも光が見える……両手を目の前にかざすと揺らめきが映る
これが何かはわからない。いや、1個だけ分かる。
この夜を見ていたらここにいたんだ。私は……
マナが進学先に選んでいたルイスパリッシュ統合学園の体験入学
そこで飲んだ、"献杯"……
「けほっ……ク、クシロ…これ渋くない?
……クシロ?」
「……あっ、うん。そうだね…」
違ったみたい。マナは……
そうだね。って返したけど、私は美味しかったよ……
それ以降、闇とそこに揺らめく光が見えるようになった。この光が何か分からないけど
マナに繋がっていることは初めから分かっていた。何故か……
でも、私は広がる闇に透き通るような孤独と安心を感じていた気がする。宵闇に身を預けて……
気が付いたら、夜と闇が入れ替わっていた。 - 116125/10/09(木) 02:52:50
無意識の内に歩いてるんだよね……夢遊病って
言葉にするのは変だと思うけど、そのとき止まり木のように安らかで体に穴が開いたように寒くて安らぐ……
歩く場所が私が分からなくなるくらい。それでいイ……
駄目。そう思っちゃ……なんデ?
前はそんなこと思わなかったのに、淋しくて肌寒くて上着を抑えて光を求めて歩く。
虫みたい…白熱電球に惹かれてるみたいに。そして光に手を伸ばす、マナがいる気がして…
何かを掴んだ温かさが掌に広がるけどすぐに冷えていく……
マナに会いたい光に向かわないと…大丈夫、気が付いたら光を掴んでいルかラ…
あれ…?起きてるよね、私…
ここ、どこだっけ……光探さないと、なんで?人がいるかラ…?
違う。マナが見えるから……また掴み損ねル?じゃあ、もう一回……まだ手を翳せば光が見える…
だから…
もっと、もっと、もッと、モッと……モット光を……!!
……ほんとうに?
In search of closed-off light fin. - 117125/10/09(木) 02:57:00
本編中にやっておけば良かった。マナとクシロの掘下げssです。
前スレはそうでしたが、スレ画の人物出てこない状態はこれで回避できたはず……
クシロのssは抽象的主観的過ぎて読みづらいかもしれません。申し訳ないです。 - 118二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 10:22:30
本編開始前のマナとクシロの性格や関係が分かっていいね
- 119二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 17:39:54
保守パリッシュ!
- 120二次元好きの匿名さん25/10/09(木) 22:26:40
うへぇかなりヤバい感じに
- 121二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 00:34:34
いいねえ、この感じ…
上手く言えないんですが
年頃の女の子の進学のイベントのソワソワ感とか
大事な友達とペアのグッズ買って喜んじゃったりとか
フワフワと遠いところに行っちゃう感じとか
伝われ!この感想! - 122二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 08:38:28
保守
- 123二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 16:41:58
マナはクシロを探すためにブラックマーケットに行こうとするのはかなり行動力あるよね
- 124二次元好きの匿名さん25/10/10(金) 22:44:45
悪党が蔓延ってるのにねえ
- 125二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 05:26:24
ほしゅ
- 126二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 13:45:20
このレスは削除されています
- 127125/10/11(土) 20:03:44
感想ありがとうございます。
なんとかssを投下してこのスレで最後にできるようにします。 - 128二次元好きの匿名さん25/10/11(土) 23:32:54
ほしゅ
- 129二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 07:08:43
保守
- 130二次元好きの匿名さん25/10/12(日) 14:59:54
楽しみにしてます
- 131125/10/12(日) 20:20:40
早めの保守…だけでは味気ないので自分語りお許しください。
笛に届いた感想含めて、下地にさせて頂いたHunt Showdownを知っている方から
設定の落とし込みが上手いとお褒めの言葉を頂き、とても嬉しかったです。
この作品は、他作品の設定だけを借りてクロスオーバーでオリキャラという
箇条書きにすると、かなり好き嫌い別れる部類の作品なので好意的な感想は本当にありがたいですし
いまこうして付き合って下さってる皆様にも感謝しております。 - 132二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 06:02:56
こちらこそ
- 133二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 13:17:52
このレスは削除されています
- 134二次元好きの匿名さん25/10/13(月) 21:22:29
面白かったからええんやで
- 135二次元好きの匿名さん25/10/14(火) 04:35:24
保守
- 136二次元好きの匿名さん25/10/14(火) 12:23:45
好き
- 137二次元好きの匿名さん25/10/14(火) 19:52:06
このレスは削除されています
- 138二次元好きの匿名さん25/10/15(水) 00:08:03
待つよ
- 139125/10/15(水) 00:45:38
- 140二次元好きの匿名さん25/10/15(水) 08:49:11
- 141二次元好きの匿名さん25/10/15(水) 09:30:52
- 142二次元好きの匿名さん25/10/15(水) 17:52:42
観光協会は人手が多いわけじゃないから、会長が色々動かないといけないのも仕方ないかな?
- 143125/10/15(水) 20:58:54
こちらのオリキャラのヘイローを描くスレで
ヘイローを描きたい|あにまん掲示板なんでもいいからヘイローを描きたいので使っていいオリキャラとかいい感じの設定とか欲しいスレ画はとあるスレで沢山書いてたやつbbs.animanch.comリコ、サヨコ、ニィナ、マナの4人のヘイローを描いて貰いました
スレの方ではヘイローのモチーフを説明して下さってるので
他の方々のヘイロー共々覗いてみてください。
- 144二次元好きの匿名さん25/10/15(水) 23:11:49
モチーフやイメージを考えてヘイロー描いてくれたのはすごいですね!
- 145二次元好きの匿名さん25/10/16(木) 02:30:00
- 146二次元好きの匿名さん25/10/16(木) 10:00:25
かわいい
- 147二次元好きの匿名さん25/10/16(木) 17:20:28
ほしゅ!
- 148二次元好きの匿名さん25/10/16(木) 22:08:01
ここ( https://bbs.animanch.com/board/5738489/?res=46 )ですね。
……ところで、三木クシロのヘイローは闇堕ち前後で形とか色とかが変わってるんでしたっけ?
- 149125/10/16(木) 22:15:08
- 150二次元好きの匿名さん25/10/17(金) 04:10:49
生徒の状態の変化でヘイローが変質するのは良い演出だと思いますねえ
- 151二次元好きの匿名さん25/10/17(金) 11:24:49
保守
- 152二次元好きの匿名さん25/10/17(金) 18:31:58
ほしゅ
- 153二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 02:05:53
そういえばマナが暗視を使えるようになったのは体験入学で献杯用の葡萄水を飲んだのが理由だけど、他の参加者も使えるようになった人いるのかな?
- 154125/10/18(土) 09:48:12
- 155二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 16:25:11
何か他にもストーリー作れそうですね
暗視を手に入れた生徒が - 156二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 01:18:14
疑問に答えてくれてありがとうございます
- 157二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 09:58:25
保守パリッシュ!
- 158125/10/19(日) 15:08:13
今日明日中に書き終えれるか分かりませんが、
とりあえず、協会結成前夜前半投下します。 - 159125/10/19(日) 15:12:57
[結成前夜 side:a]
高層ビルの摩天楼が立ち並び、その下では日夜、新たな技術と研究が進められている叡智の学び舎
ミレニアムサイエンススクール
本校舎や部活棟からも外れにあるその一角、人工物の海とは真逆の緑と土色の牧歌的な景色が作られていた。
ミレニアム農業同好会。寂しき別れと新たな出会いが待ち受ける時期にとある事情で
他校から編入してきた生徒2人が運営している
新進気鋭とも言える勢力だがミレニアムは研究、発展そして限りある財源の為に部活動設立には厳格な規定が設けられている
故に、彼女達は同好会という後ろ盾の少ない立場を獲得し最近になって下地や基盤を作り上げた。
かつての母校の種や息吹を再び芽吹かせるという思惑と共に……だが、どこか違う顔を浮かべる
母校と同じ青い空を見上げる同好会の1人
サヨコの胸中は、自然農法を謳って実らせた作物の様に歪な心模様が巣食っていた。
「久しぶりー、サヨー」
「ニィナ…」
雲が風によって形を崩し流れ始めたと同時に、あの日以来聞いていなかった抑揚の無い平坦な声がオレを呼び止めた。
振り返ると、いつ見ても変わらない表情で最後に会った時と変わった制服の旧友。
どう生きてたら、あの顔でへらへらとした雰囲気を出せるのか……久々に会うと
そんな気にもならなかったことを考えてしまう。それにしても……
「あなた、本当にヴァルキューレいったんだ。」
「そうだよー、似合うー?」
帽子を片手で抑えながらその場でくるりと回って白い制服をアピールしてくる
適当に、似合ってるんじゃない?と煽てていると、不意に今の…このミレニアムの制服が
似合ってるか何故か気になった。
変な事考えるな。と、被りを振る前にニィナの声がオレの思考を切り替わらせる。 - 160125/10/19(日) 15:16:18
「ねー、アレってリコさんー?」
「そうだけど…アレってあなた……」
彼女の言い方に気を取られてる時には、既に遅かった。
漂う火薬の香りと目の前で頭を仰け反らしているリコ先輩……
目線を横にずらすと白煙を吐いている銃を構えているニィナがいた。
「ニィナ!な、なにを…!?」
遅いと分かっていながら次弾を撃たせないようにシリンダーごとニィナのリボルバーを握りこむ。
突然発砲してどうしたんだ!という気持ちが喉元迄でせり上がっているのに、彼女の表情を見たらそこで押し留まる
見慣れている筈の何を考えているか分からない変わらない表情なのに、とても冷たい物を見る目をしていた。
「久しぶりー、リコさんー」
「おやぁ?何かと思えば…久しぶりだねぇニィナ。今日はどうしたんだい?」
「んー…顔を見に来ただけ―。」
握った銃を簡単に手放す。するりとオレの前を横切ってリコ先輩と何気ない会話を始める2人に
自分だけ切り取られたフィルムの様に置いて行かれる不思議な浮遊感がオレを支配する……
意味が分からない、なんなのこれ…?
いつの間にか会話を終わらせたニィナが帰るねー。とオレの横を過ぎ去る瞬間耳元で囁いた。
「このままじゃ、リコ先輩死んじゃうかもねー」
「は?」 - 161125/10/19(日) 15:17:34
「じゃあねー…サヨー、リコさん-」
ニィナはオレの手から銃を抜き取ると、こちらを振り返ることも無く去っていった……ってそんなことより
「リコ先輩!大丈夫ですか?」
「ん?うん大丈夫だよぉ…いやぁ、びっくりしたねぇ。」
前髪をかき上げて撃たれた痕を見せ大丈夫とアピールしてるけど薄っすらと赤くなっている額を見て
ひとまず冷やすよう伝えてリコ先輩を部室に戻らせた。
いや、違う…戻らせたのは半分正解で半分間違いだ。ニィナの言ったことがずっと反芻してる…
リコ先輩の顔を見ると余計に酷く……
考えを改めるように手の中のカサカサとした違和感を開く。どうせニィナが銃を持ってく時に同時に仕込んだんだ…
「ほらね…」
折り目も合わせられてない杜撰に畳まれた紙を広げる。
『電話』
思わず口から笑いが漏れた。お願いみたいな命令……ニィナからしたらオレがこの後電話することは分かっているんだ。
深呼吸して空を見上げる……あの場所と同じ空。だけど、どうして違うという感情が生まれるのか…
分からないでいた。 - 162125/10/19(日) 15:19:15
最初は、モモトークに上げられた1つの写真からだった。
実習中の生徒が撮ったであろう木々が写ったありふれたルイスパリッシュの風景、そこに紛れていた1つの人影…
タイムラインに埋もれていったそれは同じ人影を見たという口伝と合わせて瞬く間に目撃件数の増加と合わせて
再び噂の頂点に押し上げられた。それが事実になるその日まで……
次に起きたのは野生動物の死骸、熊や狼に襲われたのとは違って貪られたというより
襲われたと言うのが正しい損壊具合だった
いま思い返すとこの時から鳥や虫の鳴き声が少なく静かになっていった気がする。
広がる噂、不安というには余りにも濃く大きくなっていく影……そしてルイシアンの森の中、それは現れた。
ボロボロの衣服に蕩けた目、青く変色した肌と本来見えてはいけない露出した肉……後に歩兵と呼ばれる異形が
生徒を襲ったと報せが入ったのは、秋風が刺すような冬の息吹に変わり始めた頃だった。
以後、少なくない異形との接触情報に歩兵以外の異形の出現……肌を撫でる夜風の様にいつの間にか伸びている影のように
オレ達のルイスパリッシュの安寧をゆっくりと侵食していった。
「ひっ……!?あ、ありがとう副会長。」
「大丈夫かい?」
体液を滴らせながら異形の頭から刀がずるりと引き抜かれた。
巡回調査に来ていたオレとリコ先輩の前で異形に追われていた生徒をリコ先輩は音もなく助けた。
異形は総じて音に敏感だ、最初は銃で対応していたが気づけば何処からともなく忍び寄ってくる
だから手が震えても目を背けたくても近づく必要があった。
近づいてきた闇に、次は自分たちが近づく必要を駆られているみたいで
対抗策があってもそれを良しと考えるものはオレの知る限りではいなかったと思う。
だって、それよりも早く心は限界を迎えてしまうから…… - 163125/10/19(日) 15:22:04
「また1人此処を去ったな…サヨコ。」
「…そうですね、会長。」
まだ朱肉が乾ききっていない認め印が押された編入届を、遠くを思うかのように生徒会長は眺めている。
異形が現れて少なくない時間が流れた。対処は出来ても進展はしない、徐々に安全圏を奪われているのが現状だ
例え異形の化物でも人に近い何かを害するのは、勇気を削り恐怖が巣食う。そうまでして得るものは、ろうそくみたいな一時の安心。
事実、屋内に潜む大型の異形の出没に加えて激しい暴雨に晒されたかのように劣化する街並み……
影が濃くなり萎縮するしかない状況を目に写し続けたらどう思うかなんて簡単なことだ。
昨日までは安全圏であることを教えてくれた、スマホの右上に表示されているアンテナは今日の時点で1本。
3つの地区のだいたい中心部にある新校舎、その生徒会室にいるオレと生徒会長の安全の担保は何処にもなくなっている証だった
調整していた得物の槍から手を離して闇を覗く。デルタ地区方面にある大きな光が消えた。
白い雷……浄化が始まったな。
暗視と呼ばれるオレ達生徒に宿った祝福は、今やルイスパリッシュを蝕む異形が"強く"見える事から祝福では無く
"呪い"だったのではないか…と、まことしやかに噂されている。暗視を解いた瞬間、見計らってたのか会長が話しかけた。
「サヨコは、次どうするか決めた?」
「えぇ…オレはミレニアムを考えてます。あそこなら農業やれそうなので。」
「考えてるってことは……まだ編入届とかは書いてないんだな。」
はい。とも、これから。とも答えられなかった。
在籍する生徒は減っていっても統合学園であるここが新校舎しか機能していなくても、まだ…と言う諦め(希望)があった
学園も生徒もシロアリに喰われた木のように気丈に振る舞っているだけだとしても……
「リコもさ…ミレニアムらしいんだ。後輩に先輩を頼む…って言うのもおかしな話だけどさ
アイツは1人にすると抱えた物の重さを知らないまま沈んでいってしまうような奴だ。
だから、まぁ…挨拶するだけの付き合いでいいから繋がりを持っていて欲しい。」
そうお願いされた時、なんだか不快な気持ちを持った気がする。なんだったかな……
会長は言い終えると椅子を回転させて体ごと窓を向いた。頭の羽が顔を隠して何を考えて感じているか分からなかった。
あっ、思い出した……気に喰わないんだ。 - 164125/10/19(日) 15:23:49
「ブモォ」
「おっと……ごめんね、ベニテング。心配させた。」
過去に引きずられ過ぎて、ブラッシングがおざなりになっていたのを注意される。
怒ってるわけじゃなくて良かった。と安堵しつつ丁寧にブラシで彼女の肌を撫でる。尻尾はゆらゆら気持ちよさそうに揺れていた。
ルイスパリッシュから連れてきた畜産動物の内の1匹、ジャージー種の乳牛ベニテング
1年生だった時、3年生がルイシアンの森から突如連れてきたはぐれ牛。親や兄弟と思われる仲間も見つからず
そのまま農業科で飼育される事が決まった。そういえばニィナに初めて会ったのもベニテングが農業科に来たとき
今日みたいにふらっと現れては、まだ名前が無かった彼女の名付け親じゃんけんに自然に混ざった上に一人だけチョキを出して
オレ達が呆気に取られている間に、ベニテングと名付けたら形ばかり頭を下げて去って行った。これがニィナとの初邂逅。
それからもベニテングに会いに来ては可愛がってたから愛着は合ったんだと思う。
そうでなきゃ普通科がわざわざ牛舎まで来ない。と思いたい…
「モー」
ベニテングがこちらを見て鳴いた。どうかしたか?と目を合わせると、その目は私の手……
ニィナがメッセージを残した手を見ていた。どうかしているのはオレの方なのかもしれない。
ブラッシングを終えて牛舎の外、壁に寄り掛かってスマホの電話帳をニィナに合わせる。
軽く息を吐いて受話器をタップ。ワンコール…ツーコール……スリーコールが始まる瞬間繋がった。
『遅いー』
「こっちにもやることがあるんだ。少しくらい気を長く持って欲しい
あなた、今はお巡りさんでしょ。」
『えー、わがままー』
「なにが我儘なんだよ…」
「ねぇ、リコ先輩が死ぬ。ってどういうこと?」
適当なやりとりも程々に本題に入る。 - 165125/10/19(日) 15:25:20
『んー?そのままの意味、いつものリコさんだったら不意打ちは避けるか弾いてたー
それにー、なんだか沈んでいきそう。どうでもいいみたいにー』
「っ!?」
ニィナの言葉に、あの時の生徒会長とのやりとりが浮上した。
オレはリコ先輩を繋ぎとめれてない……いや、自分の機嫌くらい自分で取って欲しい。それが難しくても…
でも、それだとオレがリコ先輩と一緒にいる理由は無いんじゃない……自縛していたものに気づきかけた瞬間
ニィナがオレの後ろ髪を引っ張った。
『壊したいくらい嫌いなんだよねー、退屈でつまらないことー』
あなたがそういう主義なのは嫌というくらい知ってる。だから、ヴァルキューレを選んだんじゃないの…
『ヴァルキューレはさー、つまんなくないけど"退屈"でー、退屈ではないけど"つまんない"ー
ルイスパリッシュだけだったんだー…"退屈じゃなくてつまんなくもない"のはー。』
「ニィナ……」
『だから復活させる、ルイスパリッシュ』
「は?」
『詳しいことはイコ先輩に聞いてー。じゃあねー、サヨー。』
「えっ、ちょっと…!ニィナ!?」
無情にも言いたいことだけ言ってニィナは通話を切った。
ルイスパリッシュを復活?何を言ってるんだ?また、いつもの如く適当を言ってるのではないか、そう思っても
電波という雲よりも薄い壁を通した彼女の言葉を頭から否定できる力がオレには無かった。
それに……ニィナの嫌な事は良く知ってる。オレはモモトークを開いて、イコ先輩にメッセージを送った。 - 166125/10/19(日) 15:29:55
牧歌的なルイスパリッシュとも無機質なビルが立ち並ぶミレニアムとも違う。目に入る全てが舞台のセットみたい……
そういえば始めてかな、トリニティに来るのは……スマホに指示された地図の通りに街を歩いていると
まだ寒さが残るというのにテラス席でティーカップに口づけている小柄なピンク髪が1人…
「久しぶりです、イコ先輩」
「変わりないようですね、サヨコ。」
毎日のように会っていたのに、どうしてか続く言葉が出てこない。それを察したのかイコ先輩は目で座るように促した。
「制服に着られてますね。」
「イコ先輩は、似合ってますよトリニティの制服。」
「コツは折り合いをつける事ですよ。サヨコはまず折り目を正すところからでしょうか?」
相変わらず回りくどい表現をするな、この人……でも、そのらしさがオレを安心させる
店員さんがオレの前に紅茶を運んできた。紅い色と湯気と共に昇る甘い香りがさらに胸中を解した。
「さて、ニィナから聞いてきたのでしょう?」
「うん…ルイスパリッシュを復活させるって聞いた。
ニィナの事だから既に動いてるんでしょう……イコ先輩、どうすればルイスパリッシュを復活できる?
どうすれば、リコ先輩を死なせずに済むのか教えて欲しい。」
不明慮な希望と期待が無意識と言っていいくらいに口を突いて出る。
何故だかミレニアムで感じていた違う。という違和感は何処にもいなかった。
「えっ、無理ですよ。」
「……は?」
結成前夜 side:a fin. - 167二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 15:46:40
おぉぉ…
良いですねぇ、この物語が始まる前の
雷鳴がゴロゴロ鳴いてる様な曇り空の様な感覚
ここから強い雨が降って雷が光って晴れ間に変わるんですよね!
期待して待ってます! - 168二次元好きの匿名さん25/10/19(日) 22:55:19
そんなにアッサリ…
- 169二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 07:53:03
人間関係って難しいね
- 170二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 15:40:06
ほしゅほしゅ
- 171125/10/20(月) 21:39:18
申し訳ありません。後半今日中は無理でした…
近日中には投下できるようにします。 - 172二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 04:20:00
無理しなくて良いんですよ
- 173二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 11:11:24
待ちますよ
- 174二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 18:14:48
保守は欠かさないよ!(弾を込めて)
- 175二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 23:32:12
保守
- 176125/10/22(水) 07:48:11
保守券進捗報告です
後半5,000文字越えました
おかしい…もっと早く終わるはずだったのに…… - 177二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 16:30:14
すごい
- 178保守がてら質問25/10/22(水) 19:06:29
- 179二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 00:03:16
リコ本人はお飾り会長を自称してるけど、ルイスパリッシュが閉校して観光協会が結成される前は精神的にかなり危なかったのね…
- 180125/10/23(木) 08:11:29
劇中では屋内戦闘は無いと想定したためルベルを持っていきました。
結果窓枠に銃を引っかけて尻餅をつく羽目に…
メタい理由だと、モブにどれ使わせるか悩んだ末、浪漫と格好いい方を選びました。
ssの後半は、次のスレ落ち時刻前には投下できそうです。
レス数足りるか不安…
- 181125/10/23(木) 15:07:20
[結成前夜 side:b]
今、この人はなんて言った…?無理?
「ふふっ、面白いくらいに目が揺れてますね。」
「いや、イコ先輩…その、もうちょっと何かあるとは思うんですが……」
くつくつと喉を鳴らしながら彼女は笑う。失礼と咳ばらいをすると、イコ先輩は人差し指を立てて説明を始めた。
「まず、学園と自治区を維持するのに必要なのは、土地、資金、生徒です。
この内生徒に関しては、私やサヨコのように最後まで残っていた生徒が一定数いるのでクリアできるかもしれません。
噂によるとアビドス自治区は在校3名ながら未だに学園が存続していると聞きます。」
「問題は…」
「はい、土地と資金です。土地は言わずもがな連邦生徒会によって接収、立ち入り禁止区域に設定されています。
それに加えて異形の存在、駆除することも敵わない解決不可能な要因も1つ。そして資金、学園と自治区を運営できる額を
最低限所持している事と長期に活動できる定期的な財源が必要になります。ですが、人がいないので財源になる産業は壊滅的
学園を維持する資産も少しはあったと記憶しています…残念ながら廃校と共にこちらもおそらく接収、凍結されていることでしょう。」
「その、オレも生徒会の一員でしたけど…詳しいんですね。」
イコ先輩の知識に舌を巻く。この人、普段の様子とは考えきれないくらいに思慮深い…いや、オレが見くびっていたんだ。
問題行動を起こしながらも生徒会に属していたのは伊達ではないことを思い知る。
「私は書記の身でしたが、それゆえに各種書類に触れる事は多かったので……それに私は商業科だぜ?
数字を見ればある程度は情報を見れます。……話を戻しましょう。」
「さっきの話だと学園に必要なのは3つですよね?」
「確かに先程話したのは、学園と自治区に必要な3要素に違いありません。
同時にルイスパリッシュが復活するのが不可能ということを表す3要因でもあります。」
復活が不可能という言葉に手に力がこもる。 - 182125/10/23(木) 15:09:06
「そしてもう一つ復活に必要な要素があります……噂です。」
「噂?」
イコ先輩はスマホを取り出して操作すると、画面を表にしてテーブルの上に置いた。
スマホに表示されるタイムラインには、現在のルイスパリッシュに対する率直なコメントが並んでいた。
心霊スポット、幽霊の目撃、廃校の本当の理由、ルイスパリッシュには一攫千金が眠っている……
眉唾と胡乱が十把一絡げになったタイムラインをスワイプする。真相を知っているのはテーブルに着いているオレとイコ先輩だけ。
「今のルイスパリッシュがどう思われてるかは分かったけど……あっ。」
最初に言っていた要素はそもそも学園ありきの物、廃校になっている今は動かしようがない
けど噂は違う……
「気づきましたか?噂は流動します、どのような形であれ生きている情報と言えるでしょう。
そしてそれは消すことも無くすことも不可能に近い。」
「ルイスパリッシュを学園じゃなくて別な形で生き永らさせる……」
「えぇ、そういうことです。廃校からの復活という大義名分はあくまで名目です。
あとは、あの阿保をどうするかですよ。」
阿保と自然に言い放つイコ先輩に目を丸くする。アホって……リコ先輩の事だよな…
「アホって…その……」
「阿保ですよ。消化できるわけでもないのに1人で飲み込んで、気落ちして…周りを振り回す阿保です。」
「もしかしてイコ先輩…リコ先輩のこと嫌いだったり……?」
「まさか……憎いと思うくらいには好きですよ。アイツのことは。」
意外よりも新鮮という感情が頭を満たした。ここまで口調を崩したイコ先輩をオレは知らないし
口ぶりからして同学年の彼女の方が、リコ先輩の事を知っている。それでもオレに任せた…… - 183125/10/23(木) 15:10:46
冷たくなってしまったけど、折角奢ってもらった紅茶を最後に頂いて席を立つと
背中を見せるオレにイコ先輩は1つ質問をした。
「そういえば、ライフルはどうしたんですか?」
「まだ持ってるけど、ミレニアムに合わせて変えました。今はこれです。」
振り向きながら、制服の内ポケットに入れていたハンドガンを取り出して外に晒す。
何故か全身を舐める視線を感じる…
「なるほど…慣れると思いますよ。」
「はぁ…そうだといいかもしれませんね。」
銃を仕舞って再び背中を彼女に向ける。イコ先輩から遠ざかるほどオレの思考は先程の話を俯瞰し始めた。
……やっぱり、なんか気に喰わないな。 - 184125/10/23(木) 15:12:38
異形が全ての地区で確認されて、葛のように根を蔦をルイスパリッシュ中に伸ばし始めた。
原因不明の電波障害にゴーストタウンの様に風化していく地区の街並み。塗り絵か陣取りゲームみたいにじわじわと……
調査対象を目前に、この前作ったばかりの槍を握り直す。異形は対処できない相手では無いけど、銃はうるさすぎる
危険を承知でも斬りかかった方が異形を呼び寄せるよりはマシだ。
暗視で見つけた光を辿った先には崩れてしまいそうと思うほど、汚れ草臥れた石造りの建物…
「ブランレイク蒸留所…」
ルイスパリッシュで古くから続くライウィスキーが有名な数ある蒸留所の1つ
見えた光はターゲットか…?いや、違う気がする。穂先を正中に構えて慎重にドアを開ける。
左右と一応背後を確認して暗視で中に他の反応があるかを見つめるけど見当たらない。それでも、なにが起こるか分からない。
煤けた壁と窓に強盗にでも踏み荒らされたような室内を音を鳴らさないように足に意識を集中して光に向かった。
「ここだよね…」
蒸留所内の一室、扉の前に掛けられたネームプレートは擦れてるから判別が難しい。テイスティ…試飲室?
違うそっちじゃない、まずはこの部屋に何があるかを調べるが、人かもしれない事を考慮して小さくノックをした。
「誰だ!?誰かいるのか…答えないというのなら……」
「ルイスパリッシュ生徒会です!大丈夫、安心して!」
怯えが混ざった低い声が扉を貫通する。相手が銃を持っていたら撃たれていた上に異形を呼び寄せる、それだけは避けたい。
静まり返る緊張の中、扉の向こうから足音が近づいてきて蝶番が鳴き声を上げながら内側に扉を開く。
目の前には、水平二連の散弾銃を構えた初老の黒い犬の獣人が立っていた。
「本当に人か。はぁ…肝が冷えたよ。」
「こちらこそ、信じてくれて助かりました。オレは生徒会庶務のサヨコです。」
お互いに得物を下ろして胸を撫でおろした。 - 185125/10/23(木) 15:14:10
彼を先導する形で蒸留所内の倉庫を回っている。この周辺は異形の影響が顕著に出始めている
生徒会から警告が出ていてもここにいたのは、ディスティラー(蒸留責任者)としての矜持なんだろう
とは言っても、本人の口からは役職以外はちゃんと聞けてはいない。
幾つもの棚を回ってボトルの有無と一部の回収を終える。暗視で再び安全を確認してから薄暗い倉庫の中で
樽をテーブル代わりにして持っていたランタン型のLEDライトを置いた……少し休憩。
「あんた、うちのウィスキー飲んだことあるか。」
「ここのウィスキーですか…はい、クラシックパウダーのブラックは愛飲してた。」
「"してた"…か……そうだよな。いや、ありがとうな。飲んでくれて嬉しいよ。」
突然聞かれた質問に実は少し驚いているけど、言ったことは本心だ。
ブランレイクの主力商品"クラシックパウダー"のブラックとホワイト。果実のような香りとは裏腹に香辛料のようなピリっとくる風味に
カラメルの様なコクと度数44のキレが癖になるウィスキー。基本炭酸割にするオレもこれはストレートで飲むときもある程お気に入りだ。
「なぁ、サヨコさん。聞きたいんだがどれくらい残っているんだ。」
どれくらい残っている……沈む様な声色はそれがどういう意味の質問かを分かりやすく示していた。
「先日は生徒が数人編入届を提出、企業や酒蔵も殆どが撤退もしくは準備を始めてる
連邦生徒会の監査も既に……」
「そうか、なに古巣の知り合いもすでに離れたって連絡を貰ってな。
……うちは、三校時代から続く蒸留所でな。私含め代々この地で上質なウィスキーを造り続けてきた。
色んな生徒を見送った、どんな生徒も私達の酒を喜んだ。キヴォトスじゃ酒や煙草の嗜好品はあんたらの手に届かないようになっている。
そんな中、ルイスパリッシュで酒を造り共に交わすことが私達の喜びと血肉になった……それが私達のこの地での生き方だった。
今や腐臭に満ちた化物がこの地を跋扈して何処とも知らぬ輩がそいつらを追ってるらしいじゃないか!
なぁ、サヨコさん……我々が何をしたというのだろうな。」
懺悔の様な義憤の様な、どうにもならない理不尽な現状への嘆きが沈痛な面持ちを伴ってオレの胸の内を絞めつける。
誰かにぶつけたかったであろう八つ当たりをオレは黙って受け止める事しかできなかった。 - 186125/10/23(木) 15:15:53
「後は1人で大丈夫だ。付き合わせてすまなかったな。」
「遠慮しないで欲しい、異形からの保護も業務の内だから……」
目が合った。これ以上余計な事を言わせないで欲しいと最後の情けを伝えていた。
「分かりました。無線機置いておきます…何かあったら連絡を。」
「すまないな……ありがとう。」
明かりはそのままに、オレはその場を離れる。倉庫から出る前に見た彼の横顔は望郷の念を感じ取っているようだった。
翌日、無線機からの連絡が無いまま再び蒸留所の倉庫に訪れると昨日と同じ樽の上に無線機とボトルが2本、そしてその下に便箋が1枚。
『長年この地には世話になった。
ここに残っていた物は退職金代わりに貰っていくことにした。餞別として私達が造り上げた魂(血肉)を置いておく。
ルイスパリッシュの夜がいつか明けることを祈って、Slainte mhor!(乾杯)』
倉庫に眠っていたハープーンガンを改造して作った槍は、射出機構も含めてそれなりの重量がある……でも
こんなものより、便箋1枚が腕を下ろしてしまいたくなるくらいに重かった。
振り払われたヘッドが装甲兵を吹き飛ばす。途中で拾ったレイルロードハンマーは固い外皮ごと異形を叩けるが
横なぎで振るのは失敗…余計な遠心力に対して無理に力を入れてしまい体力を消費する。
もういいや…と諦め気味にハンドガンで目の前の歩兵の頭2つを撃ち抜いた。
ブランレイク蒸留所……4度目の訪問。あの時と同じであの時よりも古びてカビ臭くなった樽が置いてある倉庫の一角
ゴミの様に連なった木箱と樽の集合体をどかす。埃が被っていただけの長方形のケースを開ける。
ミレニアムに編入する前に使うことはないと決めてここに隠したオレの得物、ボムランスが2つに畳まれた状態で鎮座していた。
「久々にルイスパリッシュに入ったけど、結構覚えてるね…」
異形が近づく前にケースを閉めて、オレは自身の得物をミレニアムに持ち帰った。
これ……バレないよね? - 187125/10/23(木) 15:18:30
「頼みます。もう少しだけ期日を伸ばしていただけませんか。」
「これ以上は了承しかねます。既に幾度も期日を伸ばしているうえに、事態に進展が見られるどころか
在籍人数は減り自治区としての維持も困難な状況が続いている。
正直、我々が書類を用意して持ってきてる間に学園としての体制が整わなくなるのも時間の問題です。」
生徒会室で何度も交わされた連邦生徒会役員とのルイスパリッシュの進退を決める会議
そういえば聞こえはいいけど、要は廃校処置の是非を決めるだけの押し問答。
連邦生徒会に呪いが露呈したのは至極当たり前のことで、モモトークから流れていった写真がルイスパリッシュ外の生徒に見つかって補足された
ただそれだけ……最初の監査時はここまで影響が無かったのと異形が現れることが無かったから要観察で済んだけど、時間が経つにつれてこの通りだ。
彼女の言う通りインフラ維持すらも出来ていない、手が届く範囲の生活圏を維持するのが関の山いつ危険が手前に来るかも分からない
それでも学園の存続を打診し続けているのには2つ理由があった。1つはオレ達在校生が3年生にルイスパリッシュで卒業をして欲しいから
もう1つは憶測だけど、3年生がルイスパリッシュを次代に残すため。
似て非なる理由…でも、ルイスパリッシュを残したいという意見は一致している。どんな事情でも目の前の役員を納得させることは叶わない
そして、この2つの相違がオレ達の状況を硬化させている原因の一部で言い訳だった。
「とにかくこれ以上は我々も貴方達にも、手に負える範疇を超えています。」
早口気味に役員が譲渡は不可能と告げる。だんまりを決め込むのは簡単だ。
それだけじゃ何も動かないのは分かっている……けど、動けない。生徒会長も表情は変わらないが雰囲気は依然として悪い。
無言の牽制が続く中、静かにそれは訪れた。
「はい。これでいいかい?」
焦りも何もない落ち着いた声色がこの空気を切り裂いた。
ルイスパリッシュ生徒会の副会長、リコ先輩が押印された書類を役員に渡していた。 - 188125/10/23(木) 15:21:05
「リコ!おまえ……なにしてるんだ。」
「おやぁ?なにって見ての通りだよぉ。」
生徒会長がリコ先輩に詰め寄った。
「まだ…まだ、どうにか出来るかもしれないだろ
それに、リコは副会長だ。生徒会の……学園の権限は私にある。」
「うん、知ってるよぉ……でも、本来ならきみの任期はとっくに過ぎてる
いまこの時期に生徒会としての権限を保持出来てるのは特異な事情に依るものだねぇ。」
「だったら…!」
「だったら答えは出たのかい?学園を統治する生徒会なら、生徒や自治区の安全を確保するのも務めのはずだよぉ。
会長、きみはそのエゴのために生徒を呪いに導くのかねぇ。」
「違う……リコ、私は…」
「……部外者は、立ち入り禁止だよぉ。」
もしこの場で誰かが異を唱えていれば、まだ回避が出来たのかもしれない。
でも、できなかった。リコ先輩の主張が暴論だとしても答えも策も無いオレ達に言葉を発する権利なんてない。
役員は押印された書類を確認すると自らも署名をする……廃校の可決。それを持って彼女は生徒会室から去っていった。
呆然自失とする会長と表情の見えないリコ先輩、向き合っている2人だけどお互いの目線が合っていないのはこの場にいる誰もが感じていた。
凍り付いた空気を壊すように扉が勢いよく開いた。外で聞き耳を立てていたとしか思えない生徒達が生徒会室に入り込む。 - 189125/10/23(木) 15:22:33
「会長!廃校を決めたって本当ですか!?」
「嘘ですよね…まだ、大丈夫ですよね?」
「本当だよぉ。」
誰も答えられない中、リコ先輩が淡々と告げた。
「なんで、なんで合意したんですか!?副会長。」
「それしか取るべき択は無かったからねぇ…」
「それしか無いってなんですか!?」
「私達。まだ頑張れます!なのに……!」
胸を掴まれても詰める言葉に晒されても合意したという事実以外、リコ先輩は口を開かない。
その態度が事実と憤りを加速させる。詰問から糾弾へと熱が上がりそうな光景にオレ達と詰め寄ってない生徒との間に差異が出来始めた。
流石にこのままでは不味いと入り口近くにいたスズが目配せをしてくる……だが、それも遅かった。
反響する音に硝煙の匂いが生徒会室の空気を再び凍らせる。
猫耳の生徒が震えながらライフルを構えている、銃口の狙いはリコ先輩を撃ち捉えていた。
「ど…どうして……どうして!そんな勝手な事をしたんですか!!」
オレを含め室内の全員がその生徒を見る。目に涙をためて感情のままに叫んだ彼女の呼吸は次第に荒くなっていく…
同時に自分がしたことが分かったのか口を結ぶと勢いよく部屋から走り去る。隣にいた友達と思われる生徒が慌ただしく一礼をして追いかけていった。
静まり返る室内に合わせてこの場にいる全員が水をかけられたように冷静になる。そんなことよりもオレと会長は見てしまった。
撃たれた時に見えた。色の無い抜け落ちた表情と諦めと決意が混ざった焦点が合ってないのに定まった目と
なにも出来なかったオレと会長の目が交差した。 - 190125/10/23(木) 15:25:12
……気に喰わないな。
頭を曇らす感情をハーブティーで流す。ルイスパリッシュ復活に乗ったからか、仕方ないとはいえ
過去を思い出しては色々かき乱されてるなと思う…
イコ先輩とのモモトークを開けば準備はできたとメッセージが飛んできていた。部室の外、窓からは
耕したばかりの畑の傍でしゃがんでぼんやりと空を眺めているリコ先輩。カップを置いて外に行くために扉に手をかけた。
「リコ先輩。」
「おやぁ?どうしたんだいサヨコ。」
「編入して腰も落ち着いてきたし、同窓会……しない?」
「同窓会…ねぇ。そう呼ぶには時間が早すぎる気がするけど……うん、いいよぉ。」
イコ先輩からのメッセージが頭の中で展開された。
『リコはあの時の事に負い目を感じている筈です。誘いを断る可能性は低いと思われます。』
「予想はしていたけど……それよりも遥かに鬱蒼としてるねぇ。」
立ち入り禁止の柵を避けて、手入れがされていない草木を抜けてデルタ地区に入っていく。
廃校措置を取られてから流れている噂と合わさって、怪しい奴以外はここには近づきもしない。
簡単に侵入できるくらいしか処置がされてないのはどうかとは思うけど……
いちおう懐中電灯を掲げて進んでいるけど、慣れた道に加えて異形や暗視で鍛えられた夜の感覚は
前を照らす明かりを転ばぬ先の杖くらいの安易な予防と化していた。それに今日は雲がかかっているけど星が良く見える。 - 191125/10/23(木) 15:28:18
「来ましたね2人とも。」
「こんばんはイコ先輩。この前はありがとう。」
「久しぶりだねぇ……イコ。」
ぎこちなさも無く2人は挨拶を交わした。リリが手を振ってきているので振り返す。
多分、この場に見えていない人含めて既にイコ先輩以外のみんなも集まっているんだろう。
オレとリコ先輩の後ろから平坦な声が聞こえてきた。
「どうもー。こんばんはー、サヨーリコさんー」
ニィナが来た。これで全員……
リコ先輩はニィナに挨拶すると目で辺りを見回し始める。気づいたか…
「同窓会と聞いたけど、本当は何かなぁ?
もちろん、みんなに会えたのは嬉しいよぉ。」
返事の代わりにそよ風がこの場を撫でる。オレとニィナはリコ先輩の前に立つ
区分けの様にリコ先輩とオレ達で二分された。
「ま、感づかれるよね。ふぅ……リコ先輩、ルイスパリッシュを復活させませんか?」
「冗談にしてはギリギリのネタだねぇ。」
「リコ、気持ちは分かりますが真面目な提案を冗談と言うのは良くありませんよ。」
「おやぁ?廃校が既に執行されてる以上、それを真面目と捉えるのは難しいと思うけどねぇ。」
「同感です。ですが、少なくともここにいるあなた以外はそうは考えていないぜ?無論…私も。」
明かりが少なく微かな星の明かりだけでもリコ先輩の目が見える。あの時と変わらない色の瞳を…
「副会長、廃校をどうにかする手段は分からないけど…あーしはルイスパリッシュを諦めたくない。」
「右に同じ。無くなって理解るなんて感傷な事を言うつもりはないが、もう一度立ち上がれるならやぶさかじゃない。」 - 192125/10/23(木) 15:30:03
リリとスズが想いを口にする。例え無理だとしてもみんなルイスパリッシュが大切で好きだった。で、終わらせたくない
思い出になるにはまだ早いから、廃校になっても呪いに覆われてもこの人達はもう一度目を向けた。
あとはリコ先輩とそして……オレの…
リコ先輩は足元に置いていた長方形のトランクを掴むと、改めて拒否を口にした。
「ここはもう廃校で立ち入り禁止、きみ達も別な学校に編入を済ませてる。
それでもルイスパリッシュを再びと……考えるのかい?」
「えぇ…賢くない選択というのは承知です。納得ができない、それも十分な理由になります。
リコはどう思っているのですか?」
「それを選ばせなかったんだよぉ。ぼくは……」
唇だけが動いてたのが分かる。声は聞き取れないがリコ先輩が何を言っていたか分かる気がした。
「平行線ですか、リコ先輩。」
彼女の片足が外へ向いていることが答えだ。
イコ先輩が目配せをする。ここからはありきたりでシンプルな交渉術……
闇の中から発砲音が響き、合わせるようにリコ先輩は横に体をずらした。
「避けるんだ…」
「なるほどねぇ……」
リコ先輩の視線が着弾位置に向いてる隙に、囲むように配置につかせる。
耳に嵌めた無線を確認。オレが司令塔か……以前、生徒会長が言っていたことを思い出す。
『指揮は信頼をすることと信じすぎない事。誰かに命令することも誰かを庇うことも
信頼することで余裕が生まれて、信じすぎれば負担を強いる。
私は自分で戦えないから、みんなを信じる事しかできないんだ。』 - 193125/10/23(木) 15:32:35
雲間が切れる瞬間、リコ先輩がマシンピストルを構えると同時に銃声が2つその手を捉える。
彼女は構えようとした勢いのまま体を回転させ前にステップして銃弾を避けた。
闇に紛れて姿を現したスズが散弾を浴びせるが盾のように構えられたトランクケースに銃弾が吸われる。
動きが止まっている今のうちにライフル弾を当てるよう指示を出す前に1人撃ち抜かれ、リコ先輩はシールドチャージの要領で
スズにトランクを押し当てる。スズはすぐさま後ろにバックするが、トランクの影から顔を出したリコ先輩の蹴りがショットガンを弾き飛ばす。
「リリ!」
スズの背後からリリが飛び出して、2丁のリボルバーが2人の眼前を照らす。
振り上げた足と反対に下りたトランクとの重心の偏りを利用したのか側転をして銃弾を回避した。
リコ先輩は連続で側転を繰り返し距離を取って闇に隠れる。ルイスパリッシュの生徒にとって闇は良き隣人で恐れを忘れてはいけない存在
暗視で場所が分かるとはいえ驕っては思うつぼだ。
『サヨコ撃つか。』
「いや、まだ撃たないでいい。あなたたち狙撃手を優先的に狙うかもしれない。」
『分かった。』
両手を前にかざして闇を覗き見る、心なしか星明りよりもこちらの方が明るいと錯覚しかけるがオレの目に写った光が警鐘を表した。
「リリ、後ろにいる!」
「ッ!?りょーっかい!」
リリが背後に銃を向けると同時に、リコ先輩が銃口の横を這うようにリリと背中合わせの形になる。
「へっ…」
銃弾が撃ちだされる瞬間にリリに添わせた腕が射線と銃を弄る、無線の向こうでひとりふたりと狙撃手が倒れた。
この状態だとリリは実質人質だ。迂闊に撃つこともできないが、彼女はそれを対処できないほど軟ではないしスズもいる。
リリは振り払うように腕と体を回してリコ先輩を内側に巻き取る。何かを察したのかリリの腕から離れて下がった。
その隙を逃さず射線が十字になるようにスズが膨らみながら側面に回り込む。サブアームのリボルバーを叩きこむが再度トランクに阻まれる。 - 194125/10/23(木) 15:34:11
リコ先輩は態勢を低くして正面を射撃、側面をトランクで防御するがどちらも時間の問題。スズは地面を踏みつけて加速した数秒後散弾の咆哮に砕け散る音が混ざる。
スズが手をかける瞬間、体を90度回転させて持っていた銃を投げつけた。想定していたとばかりに腕で銃を払ったが、黒い何かが彼女の顔と胴を打ち殴り飛ばす。
『トランクの中身やっぱりあれでしたか。』
無線機からの報告にとうとう来た。と、息を飲む。
鞘に収まった刀でスズを殴り飛ばしたリコ先輩はリリに向き直って走る。リリも狙いをつけて引き金を引くがマズルフラッシュが周囲を照らすごとに
リコ先輩が健在である事を知らされる。銃声の回数からしてリリの銃は残り4発…無線機からは仕留める可能性を上げる提案が流れてきた。
『このまま捕まえる。』
起き上がったスズはリリと距離が縮まりつつあるリコ先輩を追う。ハンデがあるがスズの身体は即座にリコ先輩を捉えた。
腕が彼女にあと少しで触れる瞬間、リコ先輩は体を反転させてスズの腕を掴むと背中から地面に倒れ込む。
スズとリコ先輩の体が重なるときリコ先輩の足がスズの腹を押すように蹴って投げ飛ばした。
「うわッ!?」
飛んできたスズを彼女と比べて小さな体でリリは受け止める。次の瞬間、それよりも強い衝撃が伝わり2人纏めて倒れ伏した。
空中で横一文字になった刀でリーチを伸ばしたリコ先輩の蹴りがスズの胸に突き刺さった。
『刀を握りましたよ。さて、リコに向けてスピーチのカンペは必要ですか?』
「そんなもの用意してないので、ここからはアドリブ。」
『了解しました。』
『サヨコ、これからの援護は期待しないでくれ。結構寄ってきたから対処が必要になった。』
「了解。イコ先輩、ニィナ不意打ち頼んだ。」
事前に用意して貰ったオレのライフルを足元の木箱から取り出して正面に狙いを付ける。
銃身下部のポンプを何度もコッキングする、排莢した薬莢と同じ数の弾がリコ先輩に放たれた……やっぱ当たんないか
予定通りオレに注視しているリコ先輩の横っ面を小柄な影が強襲した。その隙にもう一つの得物を用意して回り込む。 - 195125/10/23(木) 15:37:28
「随分、銃の扱いが上手くなりましたね。半年程前に触ったのが初めてでしたのに……いまのリコの目は初めて会った時と同じですが。」
「きみがそういう言い方をするときは何か企んでるような気がしてならないよぉ。」
「心外ですね。正解ですよ。」
振るわれるバットを体を反らして避けるリコ先輩、大振りの一撃を回避して無防備になった得物を斬ろうと鞘から
小さな星の光さえも反射する刀身が振り抜かれたのをほぼゼロ距離の拳が受け止めた。
「こわー。」
ナックルダスターを嵌めたニィナの拳が刀を受け止めた。甲高い金属同士の衝突音が鳴りやむ前に重なった異なる発砲音
ニィナが早撃ちの如く片手で銃を取り出したと同時にイコ先輩もショットガンを構える。
リコ先輩は姿勢を低くしながら回転し、鞘でニィナの手を打ち反らす。散弾はリコ先輩に当たりはすれど直撃を免れリボルバーはイコ先輩を撃つ。
姿勢を低くしたまま足払いをしてニィナを倒すと同時にリコ先輩は立ち上がる。オレは暗闇から飛び出して、展開したボムランスを振り下ろした。
「おやぁ……危ないねぇ。」
穂先と刀身が切り結ぶ。キリキリと異音を立てて拮抗するオレとリコ先輩の得物……あと1か2撃、それ以上はオレがやられる
冷汗が伝う感触と共に切っ先を翻して胴を突く。リコ先輩は刀を一瞬手放すと回転して槍を避ける……気づくとオレの首に刃が添えられていた。
いつの間にか鞘を手放していた左手で離した刀を掴んでいたんだ。
「へぇ…」
リコ先輩の心臓の位置に密着させられた45口径の銃口……ニィナの真似事、槍を避けられた瞬間に抜いた"今"の得物。
目が合う……あの時と変わっていない色の目。でもそれは、オレも同じだったのかもしれない。
「……気に喰わない。ずっとそう思ってました。自覚したのは最近ですけど……」
「廃校にかい?」
「それもです。この状況も呪いもあの時もあなたもなにもかも気に喰わない!
なにより…なにも出来なかった癖に、前を向こうと欺瞞を肯定してるオレが気に喰わない。」
「サヨコが思いつめる事じゃないよぉ。ぼくもきみもどうすることも出来なかったんだからねぇ…」 - 196125/10/23(木) 15:41:07
「それが気に喰わないって言ってるんだ!既に終わった事なら、なんであなたはまだ刀を握ってる!?
以前のように銃を持っていなかった訳でもない!それにこの話に乗らずに帰ることも出来たはず、なのにしなかったのは
思うことがあったからじゃないんですか?」
「それは……きみも同じじゃないのかねぇ。」
「そうですよ。編入して農業を新たにできる土壌を用意しても忘れられなかった
前を向いた振りをして未練に縋ってた……あなたと同じ…」
「同じじゃないよぉ……ぼくとサヨコは…」
「そんなのはどうでもいい!未練と後悔も懺悔も、今のルイスパリッシュに捧げればいい!あなたが今日、その手に握っていたのはなんなのか!」
リコ先輩の目が見開かれた。その手に持った刀、投げ捨てたマシンピストル。
オレの手に握られた槍と彼女の胸に突きつけられたままのハンドガン。リコ先輩は自嘲のように苦笑を漏らした。
「無茶苦茶言ってるよぉ…サヨコ」
「承知の上……いや、自覚すると恥ずかしいな。呪われてしまったとしてもルイスパリッシュはまだ死んでない。
もう一度、ルイスパリッシュを再興しましょう……会長。」
「会長?ぼくが…?」
リコ先輩が呆気にとられた声を返す。
「えぇ、順当に行ってれば生徒会もあなたが会長職に就いていたでしょうし妥当だと思いますよ。」
「ぼくは会長って性質じゃないよぉ。」
「知ってますよ。では、廃校にした責任を取れ。とでもいいましょうか?」
「そう言われると返す言葉もないねぇ…」
「半分は冗談ですよ。リコ、あの時は申し訳ございません。
あなたの決断は間違っているものではなかった。私達の中で正しくなかっただけで……
なにより、廃校という選択を、責任を……あなた1人に背負わせてしまった。ごめんなさい。」
イコ先輩が頭を下げると続けて数人が頭を下げた。弱弱しく謝る必要はないよぉ。とリコ先輩が彼女達に頭を下げる。
いつのまにかオレもリコ先輩も武器を下ろしていたことに気づくことはなかった。 - 197125/10/23(木) 15:43:17
「異形が出ないと思っていたけど…やっぱり待機していたんだねぇ。」
有耶無耶では無いけど、自然といつもの感じに戻っていたオレ達はルイスパリッシュ復活に賛成したメンバーと
懐かしの地で休息の時間を噛み締めていた。危険地帯とは言え勝手知ったるにも程があるような…オレが言えたことじゃないけど。
「それでルイスパリッシュを復活させるのは、なにか案があるのかい?」
「えぇ、正確には復活ではなく存続……ルイスパリッシュを忘れさせないために活動していくことになります。」
「そうなると、新しい名前が必要になるな?保護機構とかか。」
「えー、スズちゃんそれは固すぎるよ。なんか怪しいし…」
「同感です。ですが、今はここも"証拠"を求めて侵入者がいたりと荒れ果てていますからね。
保護機構でも間違いではありませんが……」
「あっ!じゃあ、"協会"ってどう?協力する会で"協会"。
教える会だと説教臭いし、あーし達みんなで力を合わせて盛り上げていくんだから良いと思うな!」
「いいな、それ。そうなると拠点はどうしようか?私達同じ学校行った子もいるけど、基本バラバラだし…」
「セイブルにある工場とかどう?」
「ルイシアンの農業倉庫や比較的影響の少ないデルタの校舎や施設という手もある。」
「あっ、私いまのルイスパリッシュ少しマッピングしてるよ。」
リコ先輩そっちのけで、今後の展望や必要な事で盛り上がっていく。とうとう会話に入ることを諦めて少し項垂れているけど、
その表情は夜空の星を写すかのように色づいていると柄にもなく思ってしまった。
「はぁ……とんだお飾り会長だねぇ。ぼくは…」
喧騒を離れて1人夜空を見上げているニィナに声をかける。生憎今は星が雲に隠れていた。
「いつから仕込んでたの?」
「なんのことー。」
「オレに会った時には全部準備していたんでしょ。そうじゃなきゃイコ先輩とコンタクト取ってここまでとんとん拍子に進まない。」
「さー、どうだろうねー。」 - 198125/10/23(木) 15:48:12
相変わらず変わらない表情の平坦な声で答える。あっ、そういえば忘れてた。
声に出ていたらしく、なにー?とニィナが聞いてくる。オレはバックの中からボトル用保冷ケースを付けた1本の瓶を取り出した。
「あげる。やっと環境に慣れたみたいでさ。」
「これってもしかして、ベニテングのおっぱいー。」
「わざと?その言い方。」
ルイスパリッシュにいた頃に、ニィナが愛情?を注いでなおかつよく口にしていたベニテングの牛乳。
ミレニアムの環境にも慣れて乳が出るようになったけど……やっぱり環境やストレスで色々変わる。
ニィナは遠慮なく蓋を開けて牛乳を流し込む。変わらない表情がすこし不安だ…
「んー…なんか昔飲んだのと違うー」
「あぁ…そっか。」
「でもー、この味も好きー。」
この味も…か。上を見上げると雲が晴れて夜空を飾る星と月が淡く光を放っている。
ミレニアムで見る空とは少し違うのかもしれない…でも、同じ空に浮かぶ星と月。違和感は感じなかった。
オレはひとつの確信を持ってニィナに聞いた。
「ニィナ、なんでルイスパリッシュを復活させようと考えたんだ。」
「サヨー、分かってるよねー。そんなの…」
「「退屈でつまらないのが嫌い(ー)」」
夜空に照らされた変わらない表情が、柔らかく微笑んだ。
「正解ー。」
結成前夜 side:b fin. - 199125/10/23(木) 16:02:24
観光協会結成前夜ssこれにて完結です。
2スレに渡り長々と付き合っていただきありがとうございました。
想定よりだいぶ待たせてしまいましたし、ssも長くなってしまいましたが皆様に保守等支えて貰ったお陰でやりたいことをやれました。
諸事情(冬コミ原稿)とスレを重ねてしまったのが最大の敗因です…申し訳ありません。
他にも、ssの案とか考えていましたがさすがに厳しいので掲示板ではこのスレが最後になります。
思いついたのがあれば笛に投稿させて頂きます。リンクは前スレをご参照ください。
改めて、ようこそ先生、呪われた地へ…を見てくださってありがとうございました。 - 200 not作者25/10/23(木) 16:48:25