- 1125/10/14(火) 22:51:15
- 2二次元好きの匿名さん25/10/14(火) 23:00:45
このレスは削除されています
- 3二次元好きの匿名さん25/10/14(火) 23:01:17
ほう……
七囚人よりも確定でヤバそうだな…続けてください! - 4二次元好きの匿名さん25/10/14(火) 23:02:33
このレスは削除されています
- 5二次元好きの匿名さん25/10/14(火) 23:03:11
このレスは削除されています
- 6二次元好きの匿名さん25/10/14(火) 23:03:56
これ先生と会ったら先生の心が
- 7125/10/14(火) 23:04:23
- 8二次元好きの匿名さん25/10/14(火) 23:05:07
すぐ倒れそうな持久力
- 9二次元好きの匿名さん25/10/14(火) 23:05:37
耐久力はキヴォトストップクラスなのに持久力で台無しである
- 10二次元好きの匿名さん25/10/14(火) 23:05:49
機動力に対して持久力が
- 11125/10/14(火) 23:06:08
おかげでちゃんと振れました、有難うございます
- 12二次元好きの匿名さん25/10/14(火) 23:08:44
このレスは削除されています
- 13125/10/14(火) 23:11:08
それでは性格対してのステータスを決めていきましょう
・殺しに対してのスタンス(小さいほど拒否反応大、大きいほど無沈着、ないしは悦を感じるレベル)
dice1d100=28 (28)
・依頼の成功率
dice1d100=40 (40)
・明るさ(小さいほど暗め、大きいほど明るめ)
dice1d100=78 (78)
- 14二次元好きの匿名さん25/10/14(火) 23:12:34
君向いてないよ
- 15二次元好きの匿名さん25/10/14(火) 23:13:07
殺し屋向いてねえ!
- 16二次元好きの匿名さん25/10/14(火) 23:14:27
明るくて殺しに忌避感を抱いていると
さては殺さなきゃ生きれないタイプか? - 17二次元好きの匿名さん25/10/14(火) 23:16:01
こっから殺しに慣れて最終的にシリアルキラーになるかもしれない
- 18125/10/14(火) 23:19:25
一回のSS毎に成長点を入れてみるのも良さそうですね
それでは容姿について決めてみましょうか
髪の色dice1d8=6 (6)
1 茶 2金 3白 4青 5緑 6赤 7紫 8黒
目の色dice1d8=7 (7)
1 茶 2金 3白 4青 5緑 6赤 7紫 8黒
髪の長さdice1d100=85 (85)
低いほど短く、大きいほど長い
体型dice1d100
低いほど平坦、大きいほど凹凸あり
- 19125/10/14(火) 23:20:54
- 20125/10/14(火) 23:22:01
持久力がなくて高耐久なの、原因これじゃない?
- 21二次元好きの匿名さん25/10/14(火) 23:23:53
まぁ……激しく動くと痛そうだしな
- 22125/10/14(火) 23:37:04
本日最後に武器を決めて終わりますか
dice1d13=12 (12)
1.AR 2.SR 3.HG 4.SMG 5.MG 6.SG
7.GL 8.MT 9.RG 10.RL 11.FT
12.複数持ち 13.その他(安価)
- 23二次元好きの匿名さん25/10/14(火) 23:38:24
複数持ちか……うーん、殺し屋には向いてるかな?
跡から単独犯とは割り出しにくいし - 24二次元好きの匿名さん25/10/14(火) 23:39:27
いっぱい持つから重くて持久無いのでは……
- 25125/10/14(火) 23:39:27
どんな組み合わせになるんでしょう?
dice2d12=2 4 (6)
1.AR 2.SR 3.HG 4.SMG 5.MG 6.SG
7.GL 8.MT 9.RG 10.RL 11.FT 12.その他(安価)
- 26125/10/14(火) 23:40:27
なんかすごい堅実な組み合わせになりましたね……
遠距離にはSR、近距離のSMGで使い分けられそうです - 27125/10/14(火) 23:44:51
では、他の設定は明日決めさせていただきます
それでは - 28125/10/15(水) 06:31:48
保守です
ホスト規制されてたらすいません - 29二次元好きの匿名さん25/10/15(水) 12:22:46
SR持ちでSMGも使う暗殺者って
シモ・ヘイヘみたいだな・・・ - 30125/10/15(水) 20:50:47
復帰します
- 31125/10/15(水) 20:52:59
仕事中ちょくちょく書き込もうと思いましたが、ホスト規制に遭い書き込めず、少し不安でした……
無事戻ってこれてよかったです
というわけで、続いて名前について安価で決めたいと思います。
40レス目の名前を採用したいと思います。 - 32二次元好きの匿名さん25/10/15(水) 22:00:23
加速
- 33二次元好きの匿名さん25/10/15(水) 22:30:16
ksk
- 34二次元好きの匿名さん25/10/15(水) 22:33:29
この暗殺者のSR
ジャッカルの日の狙撃銃みたいな特注品なのか
それともゴルゴ13のように既存のライフルを極限にカスタムしてるのか・・・ - 35二次元好きの匿名さん25/10/15(水) 23:12:40
加速
- 36二次元好きの匿名さん25/10/15(水) 23:21:26
加速
- 37125/10/16(木) 06:27:56
保守兼ねて加速します
- 38二次元好きの匿名さん25/10/16(木) 06:39:42
お前ほんとに1か?
- 39二次元好きの匿名さん25/10/16(木) 06:42:00
1ちょっとトリップ付けてくれないか、見分けがつかない
- 40二次元好きの匿名さん25/10/16(木) 07:02:32
救災(きゅうさい) ヒジリ
- 41二次元好きの匿名さん25/10/16(木) 07:06:20
決まりましたな
- 42◆uorq7ead4s25/10/16(木) 07:28:30
- 43二次元好きの匿名さん25/10/16(木) 07:31:38
いいと思うよ、多分だけど>>31このレスを見てなかったんじゃないか?
- 44二次元好きの匿名さん25/10/16(木) 14:20:32
このレスは削除されています
- 45二次元好きの匿名さん25/10/16(木) 16:22:50
- 46◆uorq7ead4s25/10/16(木) 22:04:13
- 47◆uorq7ead4s25/10/16(木) 22:14:33
- 48◆uorq7ead4s25/10/16(木) 22:16:36
ダイス振りなおし
依頼人
dice1d2=1 (1)
ネームドの場合 dice1d200=43 (43)
標的
dice1d2=2 (2)
ネームドの場合 dice1d200
- 49◆uorq7ead4s25/10/16(木) 22:17:36
何度もすいません……
標的はネームドの dice1d200=93 (93)
- 50◆uorq7ead4s25/10/16(木) 22:20:47
画像の解像度がクソなのであれですが、標的はフブキですね
それではちょっとSSを書いてみましょう
とはいえ、まずは結末が分からないと話になりませんので
暗殺成功?(40%以下で成功)
dice1d100=16 (16)
- 51◆uorq7ead4s25/10/16(木) 22:31:21
依頼人が顔を出す。
ヒジリ「どうもー。殺し屋のキュウサイと申しまーす!……それで、今日はどういったご要件でー?」
依頼人の獣人は面食らったかのような顔を浮かべて、警戒心を剥き出しにしながら話を進める。
依頼人「お前、本当に殺し屋なんだよな……?」
ヒジリ「はいっ!貴方の気に入らない人、邪魔な人を排除する、貴方の頼れるパートナーこと、キュウサイちゃんですよー!」
依頼人「……もう少し怖い感じかと思ったよ」
ヒジリ「やだなー、殺し屋って、なんか堅苦しいイメージあるじゃないですか、だから少しでもフランクに接しようっていう、企業努力ってやつですー」
依頼人「まぁいい。お前にはコイツを壊してもらいたい」
依頼人の手渡した顔写真には、気怠そうな顔でドーナツを頬張る、合歓垣フブキの姿があった。 - 52◆uorq7ead4s25/10/16(木) 22:39:18
ヒジリ「あ、あのー……『輪っか砕き』にはそれなりの出費がかかるってことは、ご存知ですか?しかもこの人、制服をみる限りヴァルキューレです、よね?」
依頼人「だからこそお前に頼んでいるんだ、殺し屋キュウサイ。コイツのせいで、俺は、俺達のグループは、破滅寸前なんだよ!」
ヒジリ「……なるほどです、詳しく話を聞きますよ」
依頼人の話は要約するとこうだった。
依頼人の率いるグループは、そこそこ名の知れる窃盗団だった。
しかし、ある事件によってグループの一人が逮捕されてから、内輪揉めやその他ゴタゴタが重なり、窃盗団は壊滅寸前となっていた。
その時、逮捕したヴァルキューレの生徒の一人が、合歓垣フブキであった。 - 53◆uorq7ead4s25/10/16(木) 22:46:41
逆恨みにも程がある、くだらない動機。
それでも、その依頼人の目は真剣そのものであった。
ヒジリは一呼吸入れた上で、再度依頼人に問いかける
ヒジリ「……わかりました。再度の確認ですが、『輪っか壊し』にかかる費用は……」
依頼人「くどいぞ、ここに用意してある」
依頼人から大量の札束の入ったブリーフケースを手渡される。
ヒジリ「それでは……合歓垣フブキの『輪っか壊し』をさせてもらいます」
依頼人「そうこなくちゃな。殺し屋に任せた甲斐がないってもんだ」 - 54◆uorq7ead4s25/10/16(木) 22:50:55
輪っか壊し→輪っか砕きでした……
ヒジリ「では、『輪っか砕き』にあたって、ご要望はありますか?」
依頼人「要望、だと?」
ヒジリ「はい。過去のお客さんで、極力苦しむ姿を見た上で殺してやりたいーってお客さんもいまして。いかがなさいます?」
依頼人「 dice1d2=2 (2) 」
(1.殺せれば何でもいい、2.苦しませた上で殺してやりたい)
- 55◆uorq7ead4s25/10/16(木) 23:08:02
一瞬、ヒジリの表情が暗くなったが、直ぐにヘラヘラとした営業トークを始める。
まるで自身の感情すら、押し殺すかのように。
ヒジリ「あっ、はーいわかりました。それでは拉致した上で殺しますね?」
依頼人「それで頼む。……そうでもしないと、俺の気が晴れないからな」
依頼人は代金だけその場に残し、姿を消した。
残されたのは、大きなため息をつく、救災ヒジリだけであった。
「……あーあ、どうしよ。一番めんどいやつじゃん……」
その翌日から、ヒジリの徹底的な調査が始まった。
生活リズム、 - 56◆uorq7ead4s25/10/16(木) 23:24:59
ヴァルキューレでの勤務内容、果ては趣味趣向まで。
結果、ヒジリがフブキの暗殺の決行までにかかった準備時間は、一カ月にも及んだ。
ヒジリ「……いよいよ今日だね。11時にあの店へ向かう道、でやろうか」
ヒジリは今までの自分の成果である、びっしりと書かれたメモ帳に目を通していた。
一方。ヴァルキューレ 生活安全課にて
フブキ「んじゃー巡回行ってくるねー」
キリノ「はい!……ってあれ?フブキってこの時間巡回でしたっけ?というかそもそもフブキが自分から巡回行くって言うのも珍しいような……」
フブキ「まぁ細かいことは気にしないーってことで。行ってきまーす」
キリノ「……フブキが自分からやる気を持ってそう言うのなら、私は止めないけど。最近物騒だから気をつけてー!」
フブキ「ヴァルキューレにそれ言うの……?」 - 57◆uorq7ead4s25/10/16(木) 23:33:03
フブキとキリノの口調合ってるかな……
フブキが自分からパトロールを買って出た理由はひとつ。
穴場として目をつけていた裏路地のとあるドーナツ屋、その新商品をいち早く手に入れるためであった。
勿論、まともにパトロールする気などない。
フブキ「ドーナツっ♪ドーナツっ〜♪」
直ぐ側に、命を狙う者がいるとも知らずに。
鼻歌を歌っていたフブキの背後を取り、ヒジリはフブキを拘束する。
フブキ「え、ちょっと、何、何なの!?」
ヒジリ「いやぁ、すいませーん。ちょっとだけ寝ててくださいねー」
ヒジリは麻酔の入った注射器を、強引にフブキのうなじに突き刺す。
フブキ「ちょっと……何すんだおま……」
負け惜しみを吐きながら、フブキは静かに寝息を立てる。
ヒジリ「……やっぱり、これの効き目すごいなー」
崩れ込むフブキを抱え、ヒジリはとある場所へと向かうのであった。 - 58◆uorq7ead4s25/10/16(木) 23:42:59
ヒジリ「依頼人さーん、お待たせ、しましたっと!」
依頼人「ほう、時間をかけた甲斐があったようだな。それで、これからどうするよ」
フブキはパイプ椅子にガチガチに拘束され、未だに寝息を立てていた。
ヒジリ「……苦しむ姿を、見たいんですよね?」
依頼人「前に言ったろ?苦しませて、殺してやりたいって」
ヒジリ「……わかりました」
ヒジリは右手に棍棒、左手に注射器を構え、まず注射器を先程の要領で突き刺し、薬剤を注入する。
すると、先程まで寝息を立てていたフブキが、ハッと目を覚ます。 - 59◆uorq7ead4s25/10/16(木) 23:46:40
フブキ「……何これ、どういう状況なわけ?」
ヒジリ「すいませんね、合歓垣フブキさん。私、殺し屋のキュウサイって言います」
フブキ「殺し屋……まさか、ホントに……タチの悪い冗談じゃ、無さそうか」
ヒジリ「はい。今から貴方のことを、殺させてもらいます」
フブキ「話が通じる相手じゃ、ないってこと……!……う、身体が……」
ヒジリ「この拘束具、特注品なんですよ。キヴォトスにはたくさん強い人達がいるから、そんな人達でも簡単には抜け出せないように、ね?」 - 60◆uorq7ead4s25/10/16(木) 23:50:36
フブキ「全く、私なんか殺して何になるのやら」
そう、フブキが言葉を発そうとした瞬間であった。
ヒジリの右手の棍棒が、フブキの顎にめり込んでいた。
骨の砕ける音、口の中が切れ、鈍い鉄の匂いが漂い始めていた。
フブキ「……い、いきなりひどいね」
その言葉も。
発そうとしたタイミングでまた鈍い音が鳴る。
次も。
その次も。
その次の次も。
フブキが話始めるタイミングで、棍棒は何の慈悲もなく振られ、フブキの顔面を歪める。 - 61◆uorq7ead4s25/10/16(木) 23:57:50
……どれだけ棍棒を振りかざしたのだろう。
ヒジリの目の前には、最早顔の原型を留めていない、血塗れの肉塊が、尚も生き続けていた。
「たす……け……て……き……りの……、せんせ……い……」
ごつっ。
「ゆる……し……」
ごつっ。
目があったであろうところから、血の雫がぽたぽたと垂れていく。
ヒジリ「……依頼人さん、これで満足ですか?」
そう、ヒジリは笑顔で依頼人に問いかける。
思えば、フブキの『輪っか砕き』を始めてから、ずっとヒジリは笑顔であった。
依頼人「……あ、あぁ……も、もういい。もういい。もういいからやめてくれ」
あまりの痛ましさに、あれ程血の気の立っていた依頼人ですら、最早懇願に近いような、捻り出した声が漏れた。
ヒジリ「はい、わかりました」
ヒジリは棍棒を置き、そして。 - 62◆uorq7ead4s25/10/17(金) 00:05:25
ヒジリ「では依頼人さん、貴方の世界はこれで救われました。」
構えたサブマシンガンから、一発、弾丸を放つ。
フブキの掠れていたヘイローが、青い亀裂に侵蝕され、その亀裂がどんどん広がり、限界を迎え。
『砕け散った』
ヒジリ「合歓垣フブキさんのいない世界を、どうか楽しんでください」
依頼人「……お、おい!な、何もこんなのって、こんなのはないだろ!」
ヒジリ「え?何を言ってるんです?」
依頼人「俺はもう気が済んだから、もう離してやれって意味で……」
ヒジリ「嫌だなぁー、依頼人さん。私は殺し屋ですよ?合歓垣フブキさんの死を願ったのは、他でもない貴方じゃないですか」
依頼人「……こ、この化け物女!そ、そうやってニタニタしながら、何人も殺して来たんだろ!」
ヒジリ「えぇ、そうですね」
私は化け物。
引き金は何よりも軽く。
人命は何よりも重い。
そんなキヴォトスでの禁忌を破る、殺し屋ですもん。 - 63◆uorq7ead4s25/10/17(金) 00:11:52
─合歓垣フブキの死後、不審に思ったキリノはフブキの捜索に出るものの、手がかりのひとつも出なかった。
シャーレの先生にも協力を要請したものの、未だに手がかりと呼べるものは、見つかっていない。
やがて合歓垣フブキの捜索願がキヴォトス全域に届けられたものの、合歓垣フブキは未だに、行方不明のままであった……
というわけで初SSでした。
こんな感じで依頼人と標的を決め、キヴォトスの殺し屋である救災ヒジリちゃんを取り巻くSSを書いていこうと思います。
文才はそんなある方じゃないですが、お付き合い頂けますと有り難いです。
また、やはり日中はホスト規制がかかるようですので、保守していただけますと大変助かります。 - 64二次元好きの匿名さん25/10/17(金) 00:26:07
- 65二次元好きの匿名さん25/10/17(金) 04:27:42
よる保守
- 66◆uorq7ead4s25/10/17(金) 06:32:51
- 67二次元好きの匿名さん25/10/17(金) 14:35:02
昼の保守
ネームド含めてどんどん犠牲者が出てくるからどういう着地を見せるか分からないのも込みで期待です - 68二次元好きの匿名さん25/10/17(金) 16:13:30
この手のネタ、大抵二人目くらい死なせたあたりでネタ切れor飽きてエタってパターン腐るほど見たから予想を超えてきて欲しい
- 69二次元好きの匿名さん25/10/17(金) 18:33:02
思ったよりエグいことしてんなぁ…
次の依頼はどうなるのやら… - 70◆uorq7ead4s25/10/17(金) 21:15:08
- 71◆uorq7ead4s25/10/17(金) 21:18:40
どっちもモブですね
折角なので、どのタイプのモブなのか決めましょうか
依頼人(1.ロボット、2.獣人、3.生徒)
dice1d3=1 (1)
標的(1.ロボット、2.獣人、3.生徒)
dice1d3=1 (1)
- 72◆uorq7ead4s25/10/17(金) 21:33:44
コツ……コツ……
しんと静まり返った廃墟に、一人のロボットが歩く音だけが、響いていた。
オドオドとした姿、持ち慣れていない銃からは、戦いには不慣れなことが窺える。
依頼人「えっと……確かここでいいん……だったよな」
ヒジリ「どうかしました?こんなところに来るなんて、物好きなんですね」
依頼人「えっ……う、うわぁ!誰だお前!」
ヒジリ「誰だーっ、て私も言いたいセリフではありますけど……うん、どうやらお客さんみたいですね」
依頼人「お客さんってお前が……殺し屋キュウサイか?」
ヒジリ「そーですとも!私が貴方の気に入らない人、邪魔な人を排除する、貴方の頼れるパートナーこと、キュウサイちゃんですー!」
ヒジリ「お、おう、そうなんだな……」 - 73◆uorq7ead4s25/10/17(金) 21:45:35
最後のやつ誤字です……
依頼人「お、おう、そうなんだな……」が正です
ヒジリ「それで、私に誰を殺してほしいんですか?」
依頼人「あっ……その、そうだそうだ。話に来たんじゃないんだ、僕はお前に、この男を殺してもらいたいんだ」
依頼人から手渡された写真には、恰幅のある高級そうなスーツを着こなしたロボットが写されていた。
ヒジリ「ふぅーん……見たところ企業のお偉いさんか、はたまたマフィアの幹部、と言ったところですが、依頼人さんとはどのようなご関係で?」
依頼人「……この男に、僕は人生を狂わされたんだ」
数年前。
依頼人は当時親友であった標的と共に、とある会社を立ち上げた。
ずっと苦楽を共にし、二人三脚で日々の喧騒を駆け抜けていった。
結果として、事業は成功した。
二人で目指していた栄光の階段を、また共に昇っていく……
はず、だった。
依頼人は親友からの裏切りに遭い、会社の中での立場を追われ、挙句の果てに恋人すら奪われた。
人生の全てを会社に、親友であった標的に注ぎ込んでいた依頼人に、残されたものは何も、なかった。 - 74◆uorq7ead4s25/10/17(金) 21:51:01
依頼人「だから……どうか……頼む……」
経緯を話している内に、依頼人の目からは薄っすらと涙の雫が滲み出ていた。
ヒジリ「……なるほど、わかりました。では、依頼を引き受けましょう。大丈夫です、任せてください!」
そう、ヒジリは依頼人に笑いかける。
依頼人「ありがとう……ありがとう、ございます……!」
依頼人は号泣しながら、ヒジリに縋り付いた。
ヒジリ「あ、そうだ。これは依頼人さんの要望次第ではあるんですけど、サクッとやっちゃうか、それともジワジワと嬲るか、どうしますか?」
依頼人「 dice1d2=1 (1) 」
- 75◆uorq7ead4s25/10/17(金) 21:59:14
あ、すいません
1でサクッと、2で嬲る、でした
少し落ち着いたのか、はたまたヒジリの言葉で、今迄の恨みが再燃したのか、依頼人は冷酷な声で返した。
依頼人「……もうアイツが何を考えているかとか、そんなことはどうでもいい。とにかく早く、アイツを殺してくれ」
ヒジリ「……わかりました。ところで、その。これはあくまで興味本位で聞くんですけど、標的さんを殺した後、依頼人さんはどうするつもりなんですか?」
依頼人「どうする、って、何を?」
ヒジリ「あ、いやー、例えば逆に標的の会社をまた乗っ取ったり、とか全てを捨てて新天地デビュー、とか……」
依頼人「……今はそんなこと考えたくない。とりあえずアイツが消えてから、ゆっくり考えさせてもらう」
ヒジリ「そ、そうですよねー!ごめんなさい変なこと聞いちゃって!そ、それじゃあ標的の暗殺、頑張りますね!」
ヒジリはいつもの笑顔で依頼人を見送った後、呆然とただ、前を見つめる。
ヒジリ「……らしくないこと、聞いちゃったな」 - 76◆uorq7ead4s25/10/17(金) 22:09:14
某日、とあるビルの一室にて。
ここ数日で標的の行動パターンは大方掴めた。
この時間帯になると、必ず決まって標的は社長室の椅子で仮眠する。
仕事から離れたいが為か、社長室には誰一人として入れていない。
「狙うなら今、だよね」
大丈夫。
前日に入念にメンテナンスした。
愛銃のマカブル(SR)は絶対にジャムを引き起こさない。
大丈夫。
今日は雲ひとつない快晴。
その上この場所は立地に恵まれて、ビル風が殆ど吹かない。
大丈夫。
私ならきっと。
「あの人を、殺せるから」
そして、笑う。
標的(あの人)に、最大限の敬意と哀悼を込めて。
引き金を、弾いた。
暗殺成功?(40以下で成功)
dice1d100=47 (47)
- 77◆uorq7ead4s25/10/17(金) 22:18:27
しかし。
ヒジリが引き金を弾く直前、社長室の机に飾られた、とある写真立てがスコープの中に入ってしまう。
その中では、標的と依頼人とが、仲睦まじく笑顔で語らい合っていた。
ヒジリ「……っ」
その一瞬の気の迷いが、放たれた弾丸にも現れてしまった。
弾丸は社長室の窓ガラスを突き破り、その写真立てを貫いた。
ガラスが割れた音で標的は飛び起き、社長室からバタバタと逃げ去っていった。
ヒジリ「……失敗、か」
ヒジリはその一言だけ零し、ビルを後にした。 - 78◆uorq7ead4s25/10/17(金) 22:27:11
数日後
ヒジリ「あーあ、しくじっちゃったー」
ヒジリの手元には札束の詰まったブリーフケースが。
依頼に失敗してしまったため、依頼人から前払いで受け取った報酬金、そして謝礼金としてその倍の金額が、その中には入っていた。
ヒジリ「えーっと、依頼人さんのご自宅は……多分ここかな」
メモを頼りにヒジリが辿り着いたのは、廃墟と言っても過言ではないような集合住宅であった。
ヒジリ「うぅー……依頼人さんにしこたま怒られちゃいそうだなー……うん、怒られ準備、完了!」
意を決したヒジリは、依頼人の住居の戸を叩く。
ヒジリ「すいませーん、依頼人さーん?依頼人さーん?私です、貴方のパートナーのキュウサイですー、もしもーし?」
いくら呼びかけても、返答は来ない。
ヒジリ「あれ?おっかしーな……」
ふと、ヒジリの脳裏に、嫌な予感が、嫌な光景が過ぎる。
ドアノブに手をかけ、回そうとする。
ヒジリ(お願い……、開かないで……)
しかし。
ドアは空いてしまった。
そしてそこには。
首元のコードを自分で切り裂いたであろう、壊れたロボットの姿があった。 - 79◆uorq7ead4s25/10/17(金) 22:38:09
ヒジリ「そ……んな……依頼人さん、依頼人さん!!」
ヒジリが呼びかけても、埃の被った瓦落多は何も答えない。
答えるはずもない。
死んでいるのだから。
ヒジリ「……なんで、なんでなの?私が、私が依頼に、失敗したから……?」
ふと、瓦落多の側に置かれた書き置きに目がいく。
ヒジリはたまらず、その書き置きを読み始める。
ヒジリ「すまない、友よ。僕は絶望のあまり、一時の感情に任せて君の死を望んでしまった。もう、僕に生きている資格はない。どうかこれが、君の目に触れないことを、切に祈る」
ヒジリは立ち尽くす。
ヒジリ「……ざけるなよ」
そして、書き置きをビリビリに破いて。
ヒジリ「ふざけるなよ!何が友だ!何が絶望だ!それなら最初から殺すなんて思うんじゃない!殺すって、命を奪うってどんなことか分かってないのに、私を使うんじゃない!あの時の決意は、気持ちは!なんだったの!」
そのまま、怒りに任せてブリーフケースで物言わぬ瓦落多を殴り続ける。
ヒジリ「どうして……、どうして!」
どうして私に、誰かを殺させようとしたの…… - 80◆uorq7ead4s25/10/17(金) 22:43:02
というわけで、これにてSS終わりです
ヒジリの行動原理について触れてみるような内容にしました
ヒジリ本人も言っていましたが、ヒジリは一度依頼を受けた以上、依頼に失敗しない限りは、標的を殺そうとするでしょう
そこには、依頼人が「殺しを真剣に考えていることへの願い」と「自らの罪悪感を薄める為の現実逃避(自分は悪くない、殺しを命じたのは依頼人だ)」があるのです - 81◆uorq7ead4s25/10/17(金) 22:55:13
- 82二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 08:20:40
- 83◆uorq7ead4s25/10/18(土) 13:42:05
- 84二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 18:03:54
加速
- 85二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 18:06:05
加速
- 86二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 18:07:53
スレは加速する
- 87二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 18:08:08
加速
- 88二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 18:11:56
加速
- 89二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 18:16:09
別の殺し屋
- 90二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 18:16:12
- 91二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 18:21:55
世も末だな
- 92◆uorq7ead4s25/10/18(土) 20:17:27
えっ……どうしよこれ
- 93二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 21:48:30
いいか?こういう時はモモフレンズを使うんだ。
ペロロがやられちゃった!だから助けて!ペロロを倒した〇〇(悪役の名前)を倒して!
とかな - 94二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 21:52:00
ももフレの敵
- 95二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 21:52:15
- 96二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 21:53:40
最近うすい本で読んだ気がする
- 97二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 21:54:33
アウトー!
- 98二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 21:58:10
加速
- 99二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 21:59:25
シュンが襲われて無理やり薬の依存症にされた
- 100二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 21:59:27
- 101二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 22:03:26
ココナーー!!救護してあげて下さい!
- 102二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 22:04:09
別の意味の閲覧注意が追加されちゃった。あの薄い本かな
- 103二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 22:09:02
これじゃ
可哀想が過ぎるじゃないですかぁ!
うわぁーん!
もう終わりです!
ここでココナちゃんと梅花園の未来は終わりですぅ!
シュンは何やってるんですかぁ!
大事な人達がとんでもない事になっちゃってますよ!? - 104二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 22:12:47
殺し屋が商売してるくらいに治安が終わってる気ヴォトスだからね
- 105◆uorq7ead4s25/10/18(土) 22:15:24
薄い本の元ネタ……もうちょい詳しく
ある日の夕方、依頼人からの連絡を受けたヒジリは、とある山海経の公園を訪れていた。
ヒジリ「依頼人さんとの待ち合わせ場所はここだけど、それっぽい人は来てないなー。第一、普通だったらこんな場所、待ち合わせには使わないんだけどなー」
ヒジリがそうぼやきながらスマホを弄りだしていると、袖をクイクイと引っ張られる感覚が。
スマホから目を外し、目をやった先には涙目の梅花園の園児が立っていた。
ヒジリ「あ、あのー、お姉さんになんのようかな?」
依頼人「おねがいです……ココナちゃんを……ココナちゃんをたすけて……」
依頼人の手には、ぎゅっと握りしめられた硬貨があった。
殺しの相場からすれば、当然とてもじゃないが足りない額である。
それでも、目の前の童女の姿に、ヒジリは真正面から向かわざるを得なかった。
ヒジリ「……依頼人さん、私は殺し屋です。こういう話は私よりも適任な……いいえ、ヴァルキューレや他の人達にも、頼めないような話、なんですね」
依頼人はさらに目をウルウルとさせ、ゆっくり頷いた。
ヒジリ「……では、話を聞きましょう。標的とその理由について」 - 106二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 22:17:58
ダル・ゾデサデハーイさんとこ
- 107二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 22:27:00
助け出したとして無事?違法薬物の売人に酷い目に合わされた上にさらわれてるけど
- 108◆uorq7ead4s25/10/18(土) 22:31:11
途中、ぐずつく依頼人を宥めながら、ヒジリが聞き出した話はこうであった。
事の発端は、今日の昼下がり頃まで遡る。
梅花園近くの某所、とある公園にて。
依頼人「かくれんぼする人よっといでー!」
園児たち「「はーい!!!」」
梅花園の散歩の時間も兼ねて、ココナ率いる一団は公園を訪れていた。
依頼人「ココナちゃんはかくれんぼしないのー?」
ココナ「しません。今日はシュン姉さんが不在だから、監督責任は私にあるんです。それに、私は大人のレディーだからかくれんぼなんてししません」
園児A「えぇー、ココナちゃんが一緒にやってくれたほうが面白いよー」
園児B「ねぇ、ココナちゃん、おねがーい!」
ココナ「だめなものはだめなんです!」
園児C「わっ……!ふえぇぇぇぇぇん、ココナちゃんが怒ったぁー……」
ココナ「えっ、あの、その……」
園児C「ココナちゃんがかくれんぼやってくれないのやだー……ひぃぃぃぃぃん」
ココナ「……んもう、今回だけ特別ですよ」
園児たち「「わぁい!!」」
泣いていたはずの園児は、途端に泣き止んだ。
なんだか一杯食わされた気分のココナであった。 - 109◆uorq7ead4s25/10/18(土) 22:52:48
かくれんぼの鬼はココナが、それ以外の園児たちが公園のあちこちに隠れた。
ココナ「……9、10。もういいかい?」
園児たち「「もういいよ!」」
ココナ「さて……探していきましょっか」
ココナは隠れていた園児たちを探しに行く。
とはいえ、そこは梅花園の教官であるココナ、次々と園児たちを見つけていく。
しかし、かくれんぼはすぐ終わると思われていたが、依頼人だけはどうしても見つからなかった。
ココナ「あれー?ナツナちゃーん(依頼人)?どこですかー?ねぇ、ナツナちゃんがどこに隠れたか、皆さんご存知です?」
園児B「駄目だよー、言ったらナツナちゃんがどこに隠れてるかわかっちゃうじゃん」
園児C「ココナちゃん、そろそろ降参?」
ココナ「こ、降参なんてしません!」
ムキになってきたココナは、いよいよ本気を出す。
遊具だけでなく、植え込みの中やトイレの中まで。
そして、公園近くの林に足を踏み入れる。
探し続けること数分後、ココナは異様な光景を目にする事になってしまう。
依頼人「んんー……、んんー……!」
売人A「……まさかこんなガキに、俺らの取引を見られちまうとはな」
売人B「どうするよ、始末するっつっても、コイツ輪っかつきだぜ?ここで殺すのめんどくせーぞ」
売人A「殺し屋雇うのも金かかるしなー、そうだ、コイツ売るか」
売人B「おっ、それ賛成。それじゃ、早速っと」
売人A「おいおい、お前そんな趣味あったのかよ」
売人B「ねぇけど、初ものは味わっとかないと、だろ?」
売人A「おー、一理あるじゃねぇか」
ココナ「貴方達、そこで何してるんです!?」
襲われそうになっていた寸前に、ココナが制止する。
構えられたARは、怪しい獣人たちの頭を撃ち抜くことを躊躇しないであろう勢いであった。
売人A「ほら、お前がチンタラしてるからじゃねぇかよ」
売人B「チッ、邪魔が入りやがったか」
ココナ「今すぐその子から離れてください!離れないと……撃ちます!」
売人A「おーおー怖いねぇ。お姉ちゃんはちっちゃいお友達のために頑張るってわけだ」 - 110◆uorq7ead4s25/10/18(土) 23:12:31
売人B「でもよ、お前アホだな」
ココナ「何を言ってるのかよくわかりませんが、早く」
売人A「怪しい人がいるところには近寄るなって、学校の先生に習わなかったのか?」
売人B「こういうとこにはな、怪しい人はわんさかいるんだよ」
瞬間、ココナの後頭部に鈍い音と衝撃が走る。
後頭部から血がじんわりと溢れ出て、ココナは地に伏せる。
依頼人「んー!!……んー!!」
売人C「なんだ、よろしくやろうとしてたところか。俺は邪魔だったみてぇだな」
売人A「いや、なんだかんだで助かったよ」
売人C「それじゃ、今度‘タコヤキ‘まけろよな」
売人A「チッ……余計なこと言うんじゃなかった」
売人B「はぁ、運び出すヤツがもう一人増えたか」
そう、売人達が油断しきっていた時だった。
ARの発砲音が鳴り響き、売人達に命中していく。
そこには、意識が朦朧としながらも、大切な園児を守ろうと立ち上がる梅花園の教官、春原ココナがいた。
ココナ「……撃つって、言いましたよね」
売人A「このクソガキ!よくも撃ちやがったな!」
売人B「大人を舐めるとどうなるか、教えてやるよ!」
売人C「痛い目見ないとわからないみたいだな!」
売人達の意識が一気にココナへと向いた。
そしてココナは目で依頼人に合図する、ここからすぐ逃げろ、と。
依頼人は腰が抜けてしまったせいかうまく動けなかったが、ゆっくり、ゆっくりとその場を離れ始める。
その間、ココナへの理不尽な暴力は続く。
ARを撃って応戦するものの、ふらふらな状態では碌に照準も合うわけがなく、一方的な展開が続いていた。 - 111◆uorq7ead4s25/10/18(土) 23:14:05
売人B「あーあ、綺麗な顔がぐちゃぐちゃだなぁ。……っと、あー」
売人A「おい、まさかお前、ホントにそういう趣味あるのか?」
売人C「うわー引くわ、コイツガキで欲情するとか終わってるな」
売人B「うるっせぇな、後でヤるっつっても、わけてやんねぇからな?」
ココナ「な、なんでいきなり……ズボンを……」
売人B「英才教育は大事だからな、今のうちに、たっぷりと仕込んどかないとな」
ココナ「……やめて、やめて!」
ココナは本能的に何が起こるのか悟ったが、度重なる暴力で、既に抵抗する気力も、体力もなくなっていた。
そこからは、無惨そのものであった。
三人の汚らしい獣人に、ココナの純潔はあまりにも惨めに砕かれた。
その一部始終を、依頼人は見ていた。
恐怖ゆえに、目をそらすことすらできなかった。
涙と血、そして白濁とした液体に塗れたココナを眼下に、尚も獣人達は下衆に嗤う。
ココナ「あ……、あ……」
売人A「ふぅースッキリした。コイツがハマるのも分かるかもな」
売人B「だろ?てかコイツ思いの外高く売れそうだ」
売人C「思わぬ収穫……そういえばお前たちが元々とっ捕まえてたガキ、何処行った?」
売人A「……あっ、おいお前目を離すなって言ったよな!」
売人B「うるせぇんなこと聞いてねぇぞ!」
売人C「バカ、うるせぇのはお前らだ。……それに、コイツより小さい年端も行かねぇガキの言うことなんざ、誰も信じねぇよ。放っといても何もならねぇよ」
売人A、B「「まぁ、それもそうか」」
売人A「ハモらせんなっての」
売人B「うるせぇ、そんじゃ、とっととこのガキ連れてズラかるか」
こうして売人達は、林を後にした。
一方、依頼人は何も喋ることが出来なかった。
周りの園児たちに、ココナの居場所を聞かれても、言葉が出せなかった。
恐怖で、あの時言われた「ガキの言うことなんて誰も信じてくれない」という歪められた真実で。 - 112◆uorq7ead4s25/10/18(土) 23:18:12
そして、何の因果か町中をトボトボと歩いているうちに見つけた、殺し屋キュウサイの張り紙を見て、今に至るとのことであった。
ヒジリ「……うん、任せて。私が悪い人をやっつけて、そのココナちゃんを助けてあげる」
ヒジリは優しく笑いかけるものの、隠した左手の拳は硬く握られていた。
依頼人「おねがい……お姉ちゃん……」
ヒジリ「……あっ、そうだ。もしかしたら依頼人さんに連絡するかもしれないから、私からの連絡にすぐに気付けるようにしておいて」
依頼人「……うん、わかった」
依頼人が帰った後、ヒジリは踵を返して、とある場所へと向かった。
依頼人「……高く付くけど、まぁ、あー言われちゃうと引き下がれないな、私」 - 113二次元好きの匿名さん25/10/18(土) 23:20:30
助けても無事とは言えなさそう
- 114◆uorq7ead4s25/10/18(土) 23:38:53
D.U.シラトリ区の一角、とある会員制バー。
ヒジリはそこのカウンターにいた。
マスター「……ご注文は」
ヒジリ「ノンアルコールのアブサン、それにエンジェルダストを」
マスター「……畏まりました」
ヒジリの元に翡翠色の液体と、白い粉、そしてアパートのものと思われる鍵が渡された。
ヒジリ「……ご馳走様」
マスター「またのお越しを」
時刻は19時頃、とあるアパートの一室に、ヒジリは入室した。
内装は薄暗い、如何にも悪の組織のボスのような部屋の真ん中に、ソイツは何時ものように座っていた。
「毎度ー、殺し屋キュウサイこと、救災ヒジリちゃん。今日はワイに何のようで来たんやー?」
阿修羅のように複数ある腕、古めかしいスーツに、何より目を引くのは顔の部位の映った無数のディスプレイのついた顔と真ん中にある拡声器だろう。
目に見てわかる異形、キヴォトスにおける「外から来た大人」であった。
ヒジリ「どうも、スミスさん。今日は色々と買いたい物があって来ました」
ガン•スミス。
いつキヴォトスに来たかもわからない、正体不明の大人。
わかることは、金に応じて情報、武器、戸籍、何でも売るということであった。
スミス「ほっほー?ワイのところにあまり来たがらんあんたがここに来たちゅうことは、おっきい仕事が入ったちゅうことかなぁ?さぞ、羽振りがいいもんで」
ヒジリ「……買いたいものは、山海経付近で活動している薬物売買グループの情報、それから特殊爆薬、そして……」
スミス「ふぅむ。そうなると……うん、このぐらいかなぁ」
ヒジリ「丸がいち、に、さん……げっ、ボッテませんこれ?」
スミス「ボッテるもなにも、ヒジリちゃんめっちゃせいてせやったし、その分のサービス料も含めてっちゅうこって。助けたいんやろ?春原ココナを」
ヒジリ「……っ!はぁ……わかりました。背に腹は代えられません」
スミス「決まり、やなぁ。代金は何時ものように振り込んどいてー」
ヒジリ「……ありがとうごさいました」
スミス「まいどありー、今後ともご贔屓に」 - 115◆uorq7ead4s25/10/18(土) 23:53:23
夜11時。
ヒジリは薬物売買グループ「章鱼党」の人身売買取引現場となる、とある倉庫にいた。
というより、そこが人身売買の現場となるように、スミスに操作してもらった、と言ったほうが正しいが。
怪しい男「商品は」
売人A「ほらよ」
全身を拘束され、あちこち傷だらけなココナが、地面に乱雑に叩きつけられる。
怪しい男「……確認した」
売人B「そ、それで金は?」
怪しい男「……ガキが」
金の入ったブリーフケースが宙を舞い、それを売人Cがキャッチする。
怪しい男「交渉は成立した。これで……」
瞬間、銃声が何発か響くと、倉庫に吊られていた照明が落ち、ガシャンと大きな音を立てる。
売人A「な、何の音だ!」
売人B「クソッ、誰かが嗅ぎつけやがったのか!」
ヒジリ(この人達は外道だ。力無い女の子に暴力を振るい、酷い目に遭わせた。それでも、私は彼らに敬意を払おう。敬意と殺意を以て、向き合おう)
暗殺成功?
dice1d100=78 (78)
- 116◆uorq7ead4s25/10/19(日) 00:08:25
ダン、ダン、ダン!
ヒジリのSRが火を吹くが、狙いが悪かったのか全員、致命傷とはならなかった。
売人A「あぁぁぁぁがぁぁぁぁ痛えええええ!!!何処の……どいつだぁぁぁぁ!」
売人C「あ、あっちだ……!あのSR持ってるガキだ!」
売人B「……ううっ、あのガキ、必ずぶっ殺してやる!」
怪しい男「チッ……」
ヒジリ「……外したか。仕方ない、サブプランで行こう」
ヒジリはスマホを少し操作した後、逃走の体制を取る。
ヒジリは足が速いが、体格的な問題と装備上の問題から、そこまで長く走ることは得意ではない。
ヒジリ「あれが……ココナちゃんね!」
ヒジリは全力疾走し、ココナを無理矢理倉庫の外へぶん投げる。
でも、逃走に使う分の余力は、ヒジリにはなかった。
売人A「よぉ……よくもやってくれたなクソガキ。もうてめぇなんぞ売るのも面倒くせぇ、このまま殺してやるよ」
ヒジリ「へぇ、そうですか」
ヒジリは笑う。
殺しを行う時の、あの笑顔で。
ヒジリ「時に売人さん達、私をどうやって殺すおつもりですか?」
売人A「んなもん知るかよ、気が済むまでぶん殴って、後は犬の餌にでもしてやるよ……!」
ヒジリ「そうですか。私のおすすめは」
ヒジリ「ここでみんな仲良く、爆死するっていうのはどうですか?」
ヒジリは掲げたスマホの起爆ボタンを押し、倉庫は轟音とともに一瞬で爆発した。
倉庫の外に放り投げられたココナは無事であったが、中にいた売人達、そして怪しい男は爆発四散した。
そして、ヒジリは。
ヒジリ「いったたたたたた……やっぱり、このサブプラン、ちょっと無茶しすぎちゃったかな……?あー、でも逃げないと……」
全身ボロボロではあったが、ヒジリは生きていた。
元々、身体は頑丈であり、ヒジリはそのことを熟知していたが故の、自爆という名のサブプランであった。 - 117◆uorq7ead4s25/10/19(日) 00:12:17
というわけでダメージ計算となります。
1d50のダメージを振り、そこから防御(89%)分のダメージを減らします。(小数点以下切り上げ)
dice1d50=14 (14)
- 118◆uorq7ead4s25/10/19(日) 00:27:16
というわけで14×0.11で2ダメージです。
受けたダメージは時間経過では回復せず、治療行為を受けることで回復します。
HP94→92
では、SSの続きをどうぞ。
ヒジリ「さて、そしたら逃げる前に……ココナちゃーん、ちょっとお注射しますよ?」
ヒジリの手が触れると、何が起こるのかわからずもがくココナであったが、ヒジリはサッと注射を終え、その場を後にするのであった。
ヒジリが注射したのはスミスの元から購入した混合薬である。
効能は3つあり1つ目は治癒力向上、2つ目は望まぬ妊娠を避ける避妊、そして3つ目は12時間以内にあった記憶を忘れる薬であった。
ヒジリ「……じゃあね、ココナちゃん。あとはお巡りさん達が助けてくれるよ」
……遠くからパトカーのサイレンの音が聞こえてくる。
暗殺に失敗した際に、依頼人さんにヴァルキューレに通報するよう言っておいたけど、よかった、ちゃんと来てくれた。
まぁ、あれだけド派手に爆発させたんだもん。
気付かないほうがおかしいか。
……ココナちゃんに薬を打ったのは、私のワガママ。
そりゃ、とっても高くついたし、しばらくはちょっと節約しないとって感じではあるけど、それでも。
あのまま辛い思い出を、誰にも話せないような辛い記憶を持ったまま生き続けるほうが、死ぬよりも残酷だ。
辛い思い出を抱えて生きるのは、私くらいできっといいんだ。
数日後
あの時のココナの怪我は、倉庫の爆発によって怪我していたものだと、ヴァルキューレは結論づけたらしい。
とはいえ、爆発沙汰の多いキヴォトスのことで、新聞にはほんのちょっぴりだけしか載らなかった。
そして、ヒジリは山海経にいた。
SRのスコープから、梅花園をちらりと覗く。
そこには、笑顔のココナとナツナが、仲睦まじく過ごしていた。
ヒジリ「……お代は頂いたよ、依頼人さん」
それだけ残して。
ヒジリはまた闇へと消えていった。 - 119◆uorq7ead4s25/10/19(日) 00:32:31
SSは以上です。
なんだかちょっと爽やかな終わり方になりましたね、強引だけど。
さて、殺しの仕事を何回かこなす内に、ヒジリの精神性と殺し屋の技術に変化があったようです。
・殺しに対してのスタンス(小さいほど拒否反応大、大きいほど無沈着、ないしは悦を感じるレベル)
現在の値(28)
増加?減少?(1d2:1で増加、2で減少)
dice1d2=1 (1)
dice1d10=10 (10)
・依頼の成功率(増加のみ)
現在の値(40)
dice1d10=7 (7)
- 120◆uorq7ead4s25/10/19(日) 00:41:54
- 121◆uorq7ead4s25/10/19(日) 08:35:10
気付けば100を切ってましたね
ご愛読していただいている読者の方々、有難うございます - 122◆uorq7ead4s25/10/19(日) 17:04:33
- 123◆uorq7ead4s25/10/19(日) 17:10:28
前々回と同じだったら笑うんですけど
依頼人(1.ロボット、2.獣人、3.生徒)
dice1d3=2 (2)
標的(1.ロボット、2.獣人、3.生徒)
dice1d3=2 (2)
- 124◆uorq7ead4s25/10/19(日) 22:14:20
依頼人「……というわけだ。コイツを殺さなければ、俺の首が飛んじまう」
ヒジリ「ふぅーむ。組織間の抗争でこの方を殺さないといけないと。よくある話ですねー」
依頼人「いいか、この依頼が失敗すれば、俺だけじゃなくてお前も始末される。よく覚えておけよ、殺し屋」
ヒジリ「わかっていますとも」
キヴォトスには無数の反社会的勢力が存在する。
各勢力は日々鎬を削り、キヴォトスの闇はその分深まっていく。
今回殺し屋キュウサイに依頼が来たのは、ブラックマーケットの流通の一部を牛耳る大型組織「犬雄会(けんゆうかい)」の幹部の暗殺であった。
依頼人は、犬雄会傘下組織である「猟犬組」の若衆であった。
猟犬組は、虎視眈々と犬雄会を追い越す機会を狙っていた。
そして猟犬組は、犬雄会の会長が病に倒れ、犬雄会の体制自体が崩れる危機にあるという情報を、独自のルートでつかんだのであった。
機会は今しかない。
病に倒れた会長を殺し、犬雄会を瓦解させる。
それが、依頼人の目的でもあり、猟犬組の目的でもあった。 - 125◆uorq7ead4s25/10/19(日) 22:44:35
ヒジリ「それでは依頼人さん、殺し屋キュウサイではサービスの一環で……」
依頼人「殺し方の希望があれば、それに従う。そうだろう?」
ヒジリ「……よくご存じですね」
依頼人「まぁな。お前が傘下組織のガキどもを派手に爆破してくれたお陰だ」
ヒジリ「ふぅん……。そういうこと、でしたか。なら私にとってこれは、断れない依頼でもあるわけですね」
依頼人「よくわかっていて何よりだ。そして要望だが dice1d2=2 (2) で頼む。また、殺しの日時も指定させてもらおう」
ヒジリ「わかりました。引き受けましょうか」
- 126◆uorq7ead4s25/10/19(日) 23:22:18
そして、指定された日付となった。
指定された日付は、なんと犬雄会会長の誕生日であった。
犬雄会総出で会長の生誕を祝う、犬雄会にとっては一大イベントとなっていた。
それ故に、標的は病床に伏しているわけにもいかず、表に出てくる。
そこを暗殺する、というのが狙いだ。
ヒジリは標的の誕生パーティー会場に潜入し、あちこちに細工を施していた。
ヒジリ「にしても、誕生日に殺してほしい、だなんてやっぱりこの業界の人達、趣味悪いなー。……さて、仕込みとしてはこんな感じかな。流石にこれだけ警備が厳重だと、下手には動けないから、基本的な仕込みがものを言う、そんな仕事になりそうだね」
程なくして、ヒジリの仕込みは終わり、犬雄会会長の誕生パーティーが始まった。
様々な傘下組織のメンバーが一堂にパーティー会場に集結し、中にはカイザーグループの役員と思われる人物すらその場に参加していた。
そしてそこには、依頼人とその主である、猟犬組組長の姿もあった。
そして、パーティーが始まる。
「この度、犬雄会会長の誕生パーティーに参加していただいた皆様方、誠に有難うございます」
司会からパーティー開始の宣言がなされたと同時に、ヒジリは行動を開始した。
ヒジリが今回標的を暗殺するのに用いた手段は「毒殺」。
依頼人からの要望に応えるため、一度で大量の毒を盛るのではなく、少量の毒を何度も盛ることで、段階的に苦しめ、死に至らせる、というのがヒジリの狙いであった。
しかも、元々病床の標的が、例え毒を盛られたとしても、なかなか気づきにくいであろう、というところまで図っての策であった。
標的「……では、乾杯」
標的が乾杯の音頭を取り、酒を口に含む。
ヒジリ「1杯目」
標的の動きは変わらない。ヒジリの計算では、標的が毒の入った酒をあと5杯飲めば、標的は死に至る。
ヒジリは護衛に変装し、標的の動きを観察し続けた。
そして、パーティーは続いていき、標的は5杯まで酒を飲みほした。
ヒジリ(脂汗に、呼吸が荒くなってきている……必死に我慢して表には出さないようにしているけれど、うん、毒は順調に効いているみたい。計算通り、あと1杯ってところかな)
そして、最後の1杯に。
人生最後の1杯に、標的は口を付ける。
暗殺成功?(47以下で成功)
dice1d100=6 (6)
- 127◆uorq7ead4s25/10/19(日) 23:45:45
そして、依頼人は最後の一杯を飲み干した。
酒を飲み干してから暫くして、標的は抑えきれなくなったのか、呻きを上げ始める。
標的「う、うぅぅぅぅぅ……」
護衛「会長……?会長!」
標的「あ、あああああ……だ、だ……」
そしてそのまま、標的は椅子に座り込み、静かに絶命した。
厳かな雰囲気に包まれていたパーティー会場が、一瞬にして混乱の渦に攫われる。
護衛「おい、すぐに医者を呼べ!」
幹部「まさか、あんなに限界だったなんて……やはりパーティーを開いたのは失策だったか」
混乱の最中、一人静かに。
「これで犬雄会の権威も、失墜だな」
静かに、勝利の笑みを浮かべる者がいた。
パーティーがご破算になってから数時間後、ヒジリと依頼人はとある埠頭で合流することとなった。
理由は、本来前払いである代金を、依頼人からの要望で後払いにしていた為の、代金の引き渡しであった。
なお、場所の指定は依頼人側からの要望であった。
ヒジリ「依頼完了です、貴方の世界はこれで救われました」
依頼人「……よくやった」
ヒジリ「……浮かない顔ですね。折角貴方の邪魔者をこの世界からなくしたというのに」
依頼人「邪魔者なら、もう一人いるさ」
ヒジリ「そんなことだろうと、思いましたよ。依頼を受けたあの時から」
代金の引き渡しに来ていたのは、依頼人一人だけでなかった。
ぞろぞろと、猟犬組の構成員たちが、銃を構えてヒジリに殺意を向ける。
猟犬組構成員「さぁ、お前ら。あそこにいるのは犬雄会会長を毒殺した暗殺者だ。容赦はいらねぇ、ぶっ殺せ!」
ヒジリ「はぁ……本来であれば、殺し以外で他人に銃を向けるのは、私あんまり好きじゃないんですけどね。……仕方がありません」
ヒジリ「殺し屋キュウサイを侮り、裏切った罰、その痛みで償ってもらいましょうか……!」 - 128◆uorq7ead4s25/10/19(日) 23:53:37
というわけで、戦闘です。
1ターンの流れとしては100面ダイスを振り、ヒジリの攻撃(52)を上回れば、敵の攻撃、以下であればヒジリが攻撃します。
攻撃を受ける際の計算式は、ダイス値とヒジリの攻撃との差が基本的な威力となり、そこから防御の割合分だけダメージを減算します。
なお、今回は初回ということもあって1がこのルールで果たして戦闘がうまくこなせるかを特に考えられていないこと、極端な戦闘のグダりを抑止することを目的に、敵の体力、防御の最大値は50とします。
というわけで、猟犬組構成員たちのステータス
体力 dice1d50=32 (32)
防御 dice1d50=20 (20)
- 129◆uorq7ead4s25/10/19(日) 23:54:39
では、第1ターン。
まずは攻防を決定しましょうか。
dice1d100=4 (4)
- 130◆uorq7ead4s25/10/20(月) 00:04:12
ヒジリの攻撃ですね。
基礎攻撃値は52-4ですので、48となります。
そこから20%減算となりますので、39ダメージとなります。
……あれ?猟犬組、弱くしすぎた?でもブルアカの雑魚キャラもそのぐらい弱いし……こんなもんか!
ヒジリはSMGを構え、猟犬組の構成員を掃討していく。
幸い、ここには構成員たちが移動のために乗ってきた車が、大量の遮蔽物がある。
持ち前の俊敏さを生かし、影から影へ移動し、細かい間隔で射撃する。
構成員「クソっ、隠れてないで出てこい!」
ヒジリ「もう隠れてませんよ」
構成員「なっ……!」
ダダダダダダ!
ヒジリ「安心してください、使っているの、貴方達を殺せない弾ですから」
闇に隠れ、敵を撃ち、また闇へと隠れる。
殺し屋としてヒジリが戦ってきて培ってきた技に、猟犬組の構成員たちはなすすべなく、一人、また一人と倒れていく。
ヒジリ「……さて、後はあなた一人みたいですね、依頼人さん」
構成員「こんのガキが……チョロチョロ動き回りやがって……。それに、俺がここでお前を逃しても、猟犬組はお前を追いかけるぞ。お前の喉笛を嚙み切るまで……!」
それでは第2ターン
dice1d100=62 (62)
- 131◆uorq7ead4s25/10/20(月) 00:09:07
62-52で差が10、ヒジリの防御が89なので、89%減算で……2ダメージ。
ヒジリの固さがここに来て光りますね……。
構成員「コイツをくらえっ!」
構成員の放った拳銃からの弾丸が、ヒジリの脇腹あたりに命中する。
ヒジリ「あぅ、いった!依頼人さん酷いですよ!」
が、ヒジリは見ての通りピンピンとしていた。
構成員「ば、化け物かよ……」
ヒジリ「はい、よくそう言われますよ。どうです?化け物と戦ってみて」
構成員「……調子に乗るんじゃねぇ!!!」
第3ターン
dice1d100=98 (98)
- 132◆uorq7ead4s25/10/20(月) 00:14:43
98-52で46、そこから89%減算で5.06、小数点以下切り上げで6ダメージ
なかなかやりますね、依頼人さん。でもヒジリの防御はこれじゃ崩せなさそうです
ヒジリ「うぅつっ……!さっきより狙い、良くなってないですか依頼人さん!」
構成員「うるせぇ、大人を舐めてバカにしやがったテメェは、絶対にぶっ殺して、この湾の魚の餌にしてやらぁ!」
ヒジリ「……この辺りで手打ちにしませんか、私、依頼人さんのプライバシーは絶対に守りますし、墓の下まで持っていくつもりです。ですから」
構成員「上から目線で話してんじゃねぇ!」
ヒジリ「……もう何を言っても駄目そうですね」
第4ターン
dice1d100=28 (28)
- 133◆uorq7ead4s25/10/20(月) 00:25:03
はい、もともと体力1だったので、これで戦闘終了ですね。
てかあれ?体力設定32じゃん!
……>>131 ~ >>132まで、無駄な戦闘してたってことです!?
うわぁ、一番ガバガバなの、どうやら私の頭の中だったみたいですね……すいません。
構成員「しねぁやああああああ!!!!!」
ヒジリ「殺しの時、一番の悪手って知ってます?」
構成員から放たれた弾丸を車のドアでガードし、ヒジリは懐へとスライディングで移動する。
ヒジリ「今のあなたのように、怒りに任せて、その時の感情に任せて……」
構成員「くたばりやが……はっ!」
ヒジリ「真正面から突っ込むことです。ほら、私がここにいることすら、直前まで気付かない」
SMGが火を噴き、構成員の体が少しだけ宙に浮く。
ヒジリ「……ふぅ。これで終わりか。ちょっと体に痣出来ちゃいそうだけど、まぁいっか」
ヒジリ「お腹空いたし、久しぶりにラーメンでも食べようかな……あっ、そうだ。お代」
というわけで、ヒジリは仕事の代金を受け取ろうと車の中を漁ったが……それらしきものは一切なかった。
ヒジリ「えっ……まさかこれって、た、タダ働き!?」
ヒジリ「最悪だーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」
- 134◆uorq7ead4s25/10/20(月) 00:33:30
というわけで、SSは以上です。
ヒジリにとってはちょっと踏んだり蹴ったりな依頼でしたね。
また明日も夜にSSを上げたいと思います。
何かご要望あれば、保守がてら書いていただけると助かります。 - 135◆uorq7ead4s25/10/20(月) 06:56:32
朝の保守です
日中の保守はお願いします - 136二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 16:06:27
草生える
- 137◆uorq7ead4s25/10/20(月) 21:23:49
- 138二次元好きの匿名さん25/10/20(月) 21:25:48
今更ながら171当てたらどうするんだろう
- 139◆uorq7ead4s25/10/20(月) 22:09:15
久しぶりにネームド標的だ……さて、どう料理したものか
百鬼夜行連合学院が治める自治区の郊外、人里離れたとある料亭に、ヒジリは招待されていた。
ヒジリの目の前には、一流の板前が拵えた懐石の品々が並べられ、対面には身なりの整った威圧感のあるロボットが座っていた。
当然、ヒジリはこんなに立派な料理など食べたことはなく、らしくなく依頼人の前で緊張していた。
ヒジリ「あ、あのー依頼人さん、殺しの依頼自体は受けますけど、それでもこんな立派なご飯まで頂いちゃっていいんですか?……最近金欠気味でもやしばっかりの生活だったからありがたいと言えばありがたいですけど」
依頼人「……いいや、これは私からの少しばかりの誠意というものだ。私の愚息がしでかした後始末を頼めるのは、君のような殺し屋ぐらいしかいない」
ヒジリ「は、はぁ。……それで、標的は誰なんですか?」
依頼人「……君も聞いたことがあるだろう。百鬼夜行連合学院の実質的な生徒会組織である、陰陽部を」
ヒジリ「はい。確か部長が天地ニヤっていう昼行燈の皮を被った策士、そしてそれを支える副部長桑上カホと、宣伝塔の和楽チセ、その三人が中心で動いている部活だと、聞いています」
依頼人「であれば話が早い。今回君に殺してもらいたいのは、副部長の桑上カホだ」
ヒジリ「なるほど。ということはこれは……」
依頼人「あぁ。輪っか砕きの依頼だ」
ヒジリ「……わかりました。詳しい理由をお聞きしても?先程、息子さんの尻拭いとおっしゃってましたが……」
依頼人は深いため息をついた後、淡々と話を始めた。
依頼人の息子は、様々な犯罪を日々犯していた。
強盗、誘拐、性犯罪、暴行、薬物の乱用・密売……数えだせばキリがないほどに。
それを依頼人は必死に根回しし、表沙汰にならないようにしてきた。自身の権威を守るために。
しかし、つい先日起きた薬物取引の折、決定的な証拠となる取引帳簿を紛失し、回りまわって陰陽部のカホの手元に回ってしまった。
今はまだカホは帳簿の存在には気づいていない。
しかし、気付かれれば息子が逮捕され、さらには依頼人本人の信頼の失墜にも繋がる、というわけであった。 - 140◆uorq7ead4s25/10/20(月) 22:10:17
ヒジリ「……なるほど、わかりました。でもそれなら、その取引帳簿を手に入れればいいのではないのでしょうか?」
依頼人「私は何事にも万全を期す、というのを信条にしていてね。桑上カホがすでに取引帳簿を見てしまった可能性も考えている」
ヒジリ「でもそれなら、今頃大ごとになっているんじゃ……」
依頼人「見ていた場合でも、今は動けないように私が手を引いている。取引帳簿の入手にも、もう算段が付いている。君に依頼するのは、本当に保険でしかないのだよ」
ヒジリ「……そうでしたか。色々とまくし立ててすいません」
依頼人「構わんよ。むしろ君が様々な懸念を抱いてくれている方が、むしろ信用に足るよ」
ヒジリ「は、はい。えーとそれでは、殺し屋キュウサイのサービスとして、殺し方についてサクッと殺すか、じわじわといたぶって殺すか、選ぶことができますが、どうしますか?」
依頼人「ふむ…… dice1d2=1 (1) 」
- 141◆uorq7ead4s25/10/20(月) 22:44:24
ネームドやるの楽しいけどうまくシミュできてるか不安……
依頼人「当然、できるだけ迅速に頼むよ。早く私が安心して眠れるようにしてくれ」
ヒジリ「……承知しました。それでは、桑上カホさんの『輪っか砕き』、成功させてみせます」
依頼人と別れてからの帰り道、ヒジリはふと呟く。
「……あの人には、何の罪もないのに。……それを言ったら、今更か」
そして、ヒジリは一人、静かに笑うのであった。
月の光が、その顔を怪しく照らしていた。
ヒジリはそれから徹底的に視察を行い、狙撃ポイント、タイミング、その他諸々を伺った。
ヒジリ「どうしても一人にならないな……どーしよ……」
しかし、思いのほか依頼は難航した。
カホは陰陽部としての活動もさることながら、百鬼夜行の観光文化産業広報支援部戦略リーダーも担っている。
その為、日中はおろか酷い時には夜中まで人がつきっきりになってしまう。
依頼人ががんじがらめの状態にしている、というのも却って逆効果であった。
ヒジリ「うーん……少なくとも一人にできれば……」
そんなときであった。
カホ「はぁ……はぁ……書類を片付けても片付けてもキリがありません……はぁ……チセちゃん成分……チセちゃん成分が欲しいです……」
チセ「時雨落つ 御山の空は 狐雨~」
カホ「ちちちちちチセちゃん成分がフル充填されました!!あああああありがたやありがたや!!!」
チセ「カホ、私、神様?」
カホ「チセちゃんは当然神様です!はいそうですとも!!」
ヒジリ「……これだ。引っかかるかは微妙だけど、これで誘き出そうか」
その日の夜、カホは日中チセ成分を補給したのはいいものの、それを上回る激務で疲労困憊となっていた。
カホ「はへぇー……疲れ、ました……い、いえいえ、弱音を吐いてはいけませんね、がんばら……ないと……」
「カホ~こっち~」
カホ「はっ、これは忘れもしません、チセちゃんの声に違いない!待っててくださいチセちゃん、今そっちに行きますからねー!」
カホは疲労故か冷静な思考力すらなくなっていた。
そして、とある裏路地にて。
カホ「チッセちゃーん♪……あれ、いつの間にこんなところに。というかチセちゃんは?近頃色々と物騒だというのに……。チセちゃーん、どこですかー?」 - 142◆uorq7ead4s25/10/20(月) 22:46:15
ヘイロー破壊弾、装填、よし。
照準、特に問題なし。
笑顔も、うん、バッチリ。
……もう、あの時のような失態はしない。
引き金を引くのを、恐れたりはしない。
そして、裏路地の物陰から、銃口がゆっくりと現れる。
暗殺成功?(成功値47)
dice1d100=74 (74)
- 143◆uorq7ead4s25/10/20(月) 23:01:31
カホが完全にこちらに背を向けたタイミングで、ヒジリは射撃体勢に入った。
ヒジリ「今っ……!」
カホ「……どなたですか!」
ヒジリ「……なっ!」
カホ「そこの怪しい人、止まりなさい!」
カホはくるりと即座に銃を構えると、ヒジリに照準を合わせる。
ヒジリ(どうして……?なぜ気付かれた……?)
カホ「貴方が誰かはわかりませんし、私にどのような私怨を持っているのかはわかりませんが、私を誘き出すのに、チセちゃんの声を使ったのは、悪手でしたね。録音した音声なんて、すぐにわかりますよ」
ヒジリ「耳が……いいんですね、桑上カホさん」
カホ「……貴方が何者かはわかりませんが、これだけはわかります。あなたはここで、百鬼夜行で何かよからぬことを企んでいる……であれば、私が許す道理は、ありません!」
膠着。
どちらか片方が引き金を引けば、それは戦いの始まりを意味する。
しばらくの沈黙の後、最初に口火を切ったのはヒジリであった。
ヒジリ「……それは、残念です!」
そしてヒジリの取った手段は、逃走であった。
カホ「あっ、ちょっと、待ちなさい!」
ヒジリ(完全にしくじった……!くぅーただでさえ金欠だっていうのに、これじゃあ私の貯金尽きちゃうよー!)
カホは必死に追いかけたが、途中でヒジリを見失った。
カホ「はぁ……はぁ……いったいどこに……」
ヒジリ「……依頼失敗、か」
必死にヒジリを探すカホを、路地裏の屋根から見下ろし、ヒジリはその場を後にするのであった。 - 144◆uorq7ead4s25/10/20(月) 23:17:03
カホ「……というわけです。昨晩、不審者に襲われかけました」
ニヤ「いやぁ~大変でしたね。まぁカホがいなくなったら私が色々とやらなきゃいけなくなるわけだから、よかったよかったー」
カホ「……あのですねニヤ様。仮にも私が一人だけの状況を作り出したうえで、背後から襲ってくるような輩が百鬼夜行に潜伏しているのかもしれないのですよ。しかもよりにもよって、この仕事が集中しているときに……。誰かさんがやってくれれば、幾分か楽になるかとは思いますが」
ニヤ「にゃはーっ、ですってチセちゃん」
チセ「んー?折り紙する?」
カホ「チセちゃんは大丈夫です、この場にいる、という大事な仕事をしてくれているので……って、話をそらそうとしないでください」
ニヤ「うーん、でもどうにも引っかかるんですよねぇーっと」
カホ「何が、ですか?」
ニヤ「いやー、普通だったら恨みとかそういうの持っている人でしたら、逃げるなんて手とるのかなーって。むしろバチクソやったるぞー!ってなるのが普通じゃないです?」
カホ「……確かに。相手の武装としても十分に武器を持っていてもおかしくはなさそうでしたね」
ニヤ「ま、とりあえずだけどさー、カホ」
ニヤ「今回の件、先生に連絡してくれます?コレ絶対百鬼夜行内の騒ぎで収まる気がしないんですよぉ~」
ニヤ「いや、むしろもう、事件は始まっている、のかもしれませんねぇ」 - 145◆uorq7ead4s25/10/20(月) 23:20:14
というわけで、本日のSSは以上です。
ちょっと先生フラグを立ててみました。
次回は皆様の声を少し聞かせていただき、依頼以外の物語も書いてみたいと思います。
皆様の要望次第で、どんな話を書くか決めたいと思います。
期限は明日の20:00までとさせていただきます。保守がてら書き込んでってください。
特に要望がなければ、また依頼のSSを書いていきます。 - 146◆uorq7ead4s25/10/21(火) 04:35:13
いつもよりすごい早いですが朝保守です
どうか……落ちないようにご協力願います - 147二次元好きの匿名さん25/10/21(火) 12:25:30
待ちます
- 148◆uorq7ead4s25/10/21(火) 20:40:55
- 149◆uorq7ead4s25/10/21(火) 21:20:42
おや、依頼人がネームドなのは初めてのパターンですね。
桑上カホの暗殺失敗から数日後、殺し屋キュウサイへの依頼数は急に減っていった。
前回の依頼失敗による違約金も相当な額であったため、ヒジリは非常に困窮していた。
ヒジリ「……ただでさえ金欠なのに、ここのところ何故か依頼が急に来なくなったな……。食い扶持がもう後少ししかないし、本当にどうしよう……。傭兵のバイトでも始めてみるしか……いや、それはないな。そんなことがあっちゃ、いけないんだ……」
空っぽになりかけの財布と通帳を眺めても、何の解決策も浮かばなかった。
ヒジリ「……仕方ない、今日も寝よう」
空腹を紛らわせるように、ヒジリはゆっくりと目を閉じる。
そんなときであった。ヒジリのスマホに通知音が鳴る。
殺し屋キュウサイへの依頼は、最終的には特殊な方法で保護されたメールで通達される。
ヒジリ「……依頼か」
寝ようとしていたヒジリは、ゆっくりと身体を起こし、依頼人の元へと向かうのであった。
アユム「……貴方が殺し屋キュウサイさんですか?」
ヒジリ「あ、どうもー、こんにちは!貴方の気に入らない人、邪魔な人を排除する、貴方の頼れるパートナー、殺し屋キュウサイでーす!」
アユム「そうなんですね、もっと怖いお姿をされている者と思ってました」
ヒジリ「あっはは、よく言われます~。でもご安心ください、正真正銘本物、ですよ?」
アユム「そう、でしたか……」
ヒジリ「では、依頼について……」
ヒジリがいつもの笑顔で、いつもの話をしようとしたタイミングで、都合悪くヒジリの腹の虫が鳴く。
思わず笑顔が別の意味で崩れてしまいそうになったが、表情を変えないようにヒジリは努力する。
ヒジリ「……あの、その、えっと。き、気にしないでください!」
アユム「お腹、空いていらっしゃるんですか?それなら、どこか喫茶店で……」
ヒジリ「すいませんが、さすがにそれだと誰に聞かれるのかわからないので……。わ、私のことは気にせずに、お話、聞かせてもらってもよろしいでしょうか?」 - 150◆uorq7ead4s25/10/21(火) 22:14:58
アユム「は、はい。この人なんですけれど……」
ヒジリ「この人って……」
アユム「はい、ゲヘナ学園の風紀委員会に所属している、天雨アコさんです」
ヒジリ「……ですよねー」
アユム「あの、どうしました?」
ヒジリ「あ、いえ。お気になさらず……それで、どういった理由で依頼を?」
アユム「……あっ、そそ、その。私は連邦生徒会に所属しているんですけど、天雨アコさんに、予算をあえて多く見積もった分を横流ししていたんです。ですけど、その要求がどんどんエスカレートしていって……」
ヒジリ「このままだと連邦生徒会にもばれて、依頼人さんの立場がなくなってしまうと、そんなところでしょうか?」
アユム「は、はい……!引き受けていただけますか?」
ヒジリ「はい、いいですよ。……でも、それだとこの額だと足りませんね」
アユム「えっ、そうですか?傭兵の方々への依頼金並みには用意していましたが……」
ヒジリ「貴方が依頼しようとしているのは『輪っか砕き』にあたります。……それにですけど、相手はあのゲヘナの風紀委員です。もう少しいただけないと、天雨アコさんを殺すことはできません」
アユム「そ、そんな……」
ヒジリ「……とはいえ、急に用意するのは難しいと思います。足りない分は依頼達成後でも、問題ないですよ。そのあたりは、そのー……うまくやりくりするんで!」
困窮しているヒジリにとっては、今は一つでも依頼を完遂して、報酬を手に入れることが先決であった。
アユム「そ、それではよろしくお願いします」
ヒジリ「あ、最後に。殺しの要望は何かありますか?」
アユム「要望、ですか?」
ヒジリ「殺し屋キュウサイのサービスの一環として、すぐに殺してほしいのか、それとも相手を苦しませながら殺してほしいのか、そのご要望にお応えするって感じです」
アユム「あ、あの、では…… dice1d2=2 (2) 」
- 151◆uorq7ead4s25/10/21(火) 22:30:13
アユム「その……できるだけ苦しませてください。今までやってきたことを、その、悔いてほしいので……」
ヒジリ「わかりました。それでは天雨アコさんの依頼、引き受けました」
アユム「あ、あの、よろしくお願いします……」
アユムが去ってから、一人ヒジリは頭を抱える。
「最悪、あの空崎ヒナと戦うことになるんだね……。覚悟は、しとかないと……」
そして、シャーレにて。
アユム「……ふぅ、緊張しました」
先生”お疲れ様、アユム。慣れないことをさせてごめん”
アユム「いいんです、先生。普段から助けていただいているので、私にできることだったら」
先生"そしてアコ、ごめんね。被害者役やらせちゃって"
アコ「まぁ、それはいいんですけど。なんで私なんです!?もうちょっと適任な人がいたんじゃないんですか!」
先生"まぁ……なんとなく、かな”
アコ「はああああっ~!?なんとなくで、なんとなくで危ない目に遭わせるんですか!?」
先生"冗談だよ。アコのそばなら、ヒナがいるからね。護衛役としてもバッチリだと思って"
ヒナ「そういうこと。アコ、暫くの間ずっと一緒にいさせてもらうわ」
アコ「……そういうことなら、まぁ許してあげます。ずっと委員長と一緒……ずっと委員長と一緒……はぁ、幸せ……」
ヒナ「アコ、命を狙われているのは貴方だってこと、忘れないでね」
アユム「そ、それで、写真もこっそり撮ってきました。こんな方だったんですが……いかがでしょうか、カホさん」
カホ「薄暗がりでしたし、そこまで詳しくは見れていませんでしたが……確かに、このような姿だったかと思います」
カホの襲撃があってから、シャーレはその犯人の特定に力を注いでいた。
様々なネットワークを駆使し、ニヤの狙い通り百鬼夜行以外の場所でも、不審な襲撃情報がないかを調査した。
すると、とある企業の社長が襲撃された事件へと行きついた。
社長の近辺を洗ったところ、かつて社長の友人で会った男が、とある殺し屋に依頼をしていたことが判明した。
殺し屋の名は、『殺し屋キュウサイ』。その正体を突き止めるために、シャーレは偽の依頼をでっち上げた。
当然リスクの高い作戦ではあったが、一番確実かつ、先生、そして空崎ヒナという切り札が、シャーレにはあった。 - 152◆uorq7ead4s25/10/21(火) 22:58:26
一方、ヒジリはガン・スミスの元にいた。
ヒジリ「……というわけなので、これらのリストにあるものを全部ください」
スミス「ははぁ、まさかヒジリちゃんがあの空崎ヒナとやりあうってのか。いやぁたまげたね!」
ヒジリ「あと、これはすごく言いにくいことなんですけど……」
スミス「ツケ払い、かな?」
ヒジリ「……どうしてそれを」
スミス「最近、タダ働きはするは、依頼にヘタ打つわなんてことは、耳に入ってきとるさかい。まぁ今回の依頼で貰ったっていう前払い金?いったんその全額でええわ。後足りん分はちゃんと金が入ってきたら払ってなー。これでも温情ある方やと思うけどね」
ヒジリ「……ありがとうございます」
そして、シャーレと殺し屋キュウサイによる我慢比べが始まった。
シャーレ側は殺し屋キュウサイに関する情報収集、並びに不審者の探索にあたっていた。
殺し屋キュウサイこと、ヒジリはアコを拉致する隙を伺っていたが、下手に手出しは出来なかった。
状況は拮抗し、アユムがヒジリに依頼をしてから1カ月が経過した。
ヒナがずっとアコにつきっきりという状況は、風紀委員会にとっては痛手そのものであった。
本来ヒナとアコが並行でやれていたが業務ができなくなり、風紀委員会の業務は大きく停滞した。
それを見計らってなのか、ゲヘナ各地での問題児たちの活動は日に日に増していくばかりであった。
シャーレの先生の支援をもってしても、カバーしきれないほどに……。
風紀委員モブ「委員長、いくら何でもこれ以上業務が停滞すると、ゲヘナの治安維持が危うくなります!」
アコ「そんなことわかってますよ!私も委員長の仕事を手伝ってますし、効率を上げてやっていますよ!」
風紀委員モブ「そうはいっても、もう現場も事務作業も限界に近いです!ただでさえ風紀委員の活動は前々からカツカツだったのに……規則違反者どもめ」
ヒナ「わかっているわ、こちらもできる限りやってみる。貴方も根を詰めすぎないで。自分を追い込みすぎると……いい結果にはきっとならないだろうから」
イオリ「委員長、私ももっと頑張るよ。だから……」
ヒナ「えぇ、アコは絶対に私が守るわ」
アコ「委員長……!」
風紀委員モブ「……電話だ、はい。……はぁ、まただ。次から次へと……!」
ヒナ「場所を教えて、私が行くわ。アコ、車お願いできる?」
アコ「はい、委員長!お任せください!」 - 153◆uorq7ead4s25/10/21(火) 23:01:54
とあるビル、不良たちの一団が、大挙して1フロアを占拠していた。
ヒナ「そこまでよ。アコ、サポートお願い」
アコ「わかりました、委員長。とっとと片付けましょう」
程なくして、不良たちはたった二人にあっという間に殲滅された。
ヒジリ「……かかった」
拉致成功?(47以下で成功)
dice1d100=37 (37)
- 154◆uorq7ead4s25/10/21(火) 23:14:06
突如として、フロア全体の防火シャッターが下ろされる。
ヒナ「……まさか!アコ、逃げて!」
アコ「い、委員長!?」
しかし、遅かった。
ダクトから突如としてとてつもない量のガスが室内に送り込まれ、アコはその場でパタリと倒れ込んでしまう。
ヒナ「……ア、コ……」
ヒジリ「……それでも立っているなんて、やっぱり流石だなー、風紀委員長は」
ヒナ「……貴方が、殺し屋……キュウサイ」
白煙の中で姿は見えなかったが、ガスマスクをつけたヒジリの影を、ヒナは睨みつける。
ヒジリ「ご名答ですー。いやぁ、よく効く薬のはずなんですけどね、コレ。それで立っていられるなんて、貴方何者なんです?ホント」
ヒナ「……アコは、私が……守る!」
ヒジリ「それでもね、空崎ヒナさん。私だってただ無策で貴方に挑もうとしたわけじゃないんですよ。この一か月、様々な機会を狙いました。ほぼ寝ずで監視してましたし、そしてゲヘナで活動する様々なテロリストの方への資金援助と、おまけに輪っか付きに対して抜群の効果をもたらすこの睡眠剤……おかげで私の財布はすっからかんになりましたけど、すべてはこの時の為でした」
ヒナ「それが、何……?それでアコを、殺す気、なの……?」
ヒジリ「はい、それが仕事なので。というわけで空崎ヒナさん」
「しばらくの間寝ていてください。安心してください、貴方に落ち度は、たぶんなかったと思います」
ヒナは銃を振り回し抵抗するが、首元に冷たい感触がした後、意識が急に遠のいてしまう。
ヒナ「ア……コ……ごめ……な……」
ヒジリ「……ようやく、この仕事も終わりか」 - 155◆uorq7ead4s25/10/21(火) 23:45:18
ヒジリの襲撃から数時間後、突如、先生宛にヒナから電話がかかる。
先生"ヒナ!?アコは、アコは無事な……"
ヒジリ「あーどうも、貴方が黒幕でしたか」
先生"……お前が殺し屋キュウサイか"
ヒジリ「いかにも。殺し屋キュウサイちゃんとは私のことですっ。妙だとは思っていましたよ。いくら何でも、空崎ヒナさんがずっと天雨アコさんにべったりなもんだから。依頼人さんの態度もなんかおかしいし、絶対だれか裏で手を引いているなーと思い」
先生"……今すぐアコを解放しろ"
ヒジリ「嫌です、というか無理です。だって私は殺し屋ですよ?わざわざ罠にかかった獲物を、野に放つ狩人がいますか?あ、あと一応この電話はうまーいこと細工して、逆探知はさせないようにさせているので」
先生"依頼人、アユムは殺しを望んでいない。今すぐ殺すのをやめるんだ"
ヒジリ「……あのですね、その場に依頼人さんもいるかと思うんで言いますけど、それだったらそもそも殺し屋に何か仕事を依頼すること自体が間違いなんですよ。その時点で、依頼人さんは殺意を持った。私はその殺意を叶えているだけ。文句を言いたいのなら、依頼人さんか、そもそも依頼人さんに指示をした、貴方自身の判断を恨むべきなんじゃないんですか?中途半端な殺意で、殺し屋なんか使うのが間違いですし、私を炙り出したいのなら、もっと別の方法を使うべきだったんですよ」
先生"それは、自分は悪くないって言いたいのか?殺しの責任は、全部依頼人にあるって"
ヒジリ「まぁ、半分当たりで、半分外れです。殺しの責任自体は、私も負っているつもりでいます。……だから、確実に殺すんです。殺さないといけないんです」 - 156◆uorq7ead4s25/10/21(火) 23:48:48
ヒジリ「ま、そんなことはどうでもいいんです。今から天雨アコさんを殺しますので。こうでもしないと私が捕まってしまうので、電話口の対応となってしまい、恐縮でーす」
先生"……やめろ……やめてくれ!それだけは、それだけはやめてくれ!"
アコは椅子に固定され、とある廃ビルの中にて目隠し、口枷、耳栓をされていた。
ヒジリ「それじゃ、天雨アコさん、今口枷と耳栓を外しますね」
アコ「……先生、私なら大丈夫です。だから早くこのクソ女を懲らしめてください!」
ヒジリ「いい信頼関係ですね。うーん、苦しませて殺す、というのが依頼人さんの要望ですので、ここは一番苦しんで殺す方法にしましょうか」
アコ「はっ、どんな方法だろうと、私は貴方になんて屈したりはしません!誇りある風紀委員として、どんな苦痛にも耐えて見せますよ」
ヒジリ「……そうですか」
ヒジリは笑う。
アコの耳には、トポトポと何かが注がれる音が入ってくる。
ヒジリ「本当だったら、依頼人さんに見てもらうべきだとは思うんですけど、しょうがないですね。それじゃ、オン、ファイヤーっと!」
ヒジリがマッチを擦り、アコの元へと投げ込む。
投げ込まれた火は、油へと引火し、大きく火柱を上げる。
アコの体が炎に包まれ、体を焼いていく。
アコ「あああああああああああ、熱い!熱い!たすけて!たすけて!いいんちょう!せんせい!たすけて!!!!」
ヒジリ「うーん、よく燃えていますねー。どうです、黒幕さん。貴方が望んでいた、天雨アコさんの苦しむ姿です」
先生"私が、私が悪かった……だからアコを、アコを助けてくれ、なんでも、なんでもするから!"
先生は涙すら流して訴える。が、ヒジリからの回答は冷ややかなものであった。
ヒジリ「助けて、ですか。それは天雨アコさんの苦しむ姿が見れたから、もう満足だ、という意味ですか?」
アコ「ゆるして!ゆるしてください!!!!たすけて!!!!!あつい!!!!!!あああああっ!!!!!」
先生"アコを、アコを助けてくれ……!お願いだ……"
ヒジリ「……では、わかりました」
ヒジリ「では黒幕さん、貴方の世界はこれで救われました。」
構えたSMGから、一発、弾丸を放つ。
アコのヘイローが、青い亀裂に侵蝕され、その亀裂がどんどん広がり、限界を迎え。
『砕け散った』
ヒジリ「天雨アコさんのいない世界を、どうか楽しんでください」 - 157◆uorq7ead4s25/10/21(火) 23:55:38
銃声の後、電話は途切れた。
アユム「ごめんなさい……ごめんなさい……私のせいで、私の、せいで……」
シャーレにはただ、涙を流すしかないアユムと、絶望故に言葉を失い、涙すら流せなくなっていた、先生がいた……。
ヒジリ「あは……あははははははははは!!!私ったらバカみたい!なんで、なんで殺しちゃったんだろう!なんの、得にも、ならないのに!!!あはははははははははははは!!!!!これで満足か!救災ヒジリ!!!とうとうお前は自分の心情の為だけに人を殺したぞ!!!!!!あはははははははははははは!!!!!何が殺し屋だ!!!何が標的にも敬意をだ!!!!!くだらない、お前はただの薄汚れた人殺しだ!!!!!!他の連中と同じ、殺すことの重みを何もわかっていない、タダの屑野郎だ!!!!!!あはははははははははははは!!!!!」
ヒジリは笑う。
嗤うことしかできない。
嗤うことでしか、もう、正気を保っていられる気がしないから。
……でも、なんで。
なんで私、涙なんか流しているんだろう。
こんなに、こんなに笑っているのに。 - 158◆uorq7ead4s25/10/21(火) 23:59:47
本日のSSは以上です。
もう、戻れない。
では、そこそこ依頼をこなしたので、また成長となります。
・殺しに対してのスタンス(小さいほど拒否反応大、大きいほど無沈着、ないしは悦を感じるレベル)
現在の値(38)
増加?減少?(1d2:1で増加、2で減少→減少?なんで減る必要なんかあるの?)
dice1d1=1 (1)
dice1d10=10 (10)
・依頼の成功率(増加のみ)
現在の値(47)
dice1d10=4 (4)
- 159二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 00:02:39
ひたすら先生が無能でなんか主人公が脈絡なく悟りを開いた回
まあダイス進行だからこんなもんか - 160◆uorq7ead4s25/10/22(水) 06:25:47
朝保守です
- 161二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 14:38:43
素晴らしい…待たねばな!(保守)
- 162二次元好きの匿名さん25/10/22(水) 16:01:28
というか作中時間少なくとも1カ月は経過してるのにフブキとココナの件は騒ぎになってないんだな
キリノとかシュン経由で先生に一報入りそうなものだが
それともこれから描写してくのかな - 163◆uorq7ead4s25/10/22(水) 20:38:04
- 164◆uorq7ead4s25/10/22(水) 21:09:33
しとしとと、延々と降り続けるような、弱い雨が降っていた。
……雨は嫌いだ。
昔のことを思い出すから。降るなら、もっと体に突き刺さるぐらい苛烈に降ってほしい。
いつも、雨の日には碌なことが起こらない。きっと今日も……。
殺し屋キュウサイの天雨アコ襲撃から数日。
殺し屋キュウサイは、キヴォトス全域で指名手配され、各校の治安維持組織を中心に、血眼の捜索が行われていた。
各地のならず者たちも、かけられた懸賞金目当てに『殺し屋狩り』という名目で暴れまわる。
一つの襲撃事件が、キヴォトス全域を揺るがす大事件と化していた。
スミス「こんなゴミ溜めにワイを出向かせやがって。手間かけさせんといて、ホンマに」
ヒジリ「……な、んだ。ちがう、か……」
スミス「違うも何もあらへん。ワイにつけてた金、貰いに来たわ」
ヒジリ「……おかね?」
スミス「金や金。お前さんがド派手に天雨アコをぶっ殺したときの、ツケ」
ヒジリ「……そんなの、ないよ」
スミス「だろうなぁ。見た感じ数日、下手すれば1カ月飯食ってない感じやろなぁ。でも、餓えには勝てんくて残飯でも漁ろうと、ここに来た。けど体も動かんくなっちまった。……違うか?」
ヒジリ「……こわいね、ほんとに。なんでも、しってる」
スミス「んなこんはどうでもええわ。はよ金出せや」
ヒジリ「……だから……そんなの」
スミス「持ってないなら、稼いでもらわなアカンな。ほれ、前金だ」
スミスはそのまま強引にヒジリの口に経口ゼリーを突っ込み、無理やり注ぎ込む。
ヒジリ「んぐっ……!んっ……、んっ……げほっ、げほげほ……」
スミス「食ったな?食ったからには、ワイの元で仕事してもらいますわ。少なくとも、ワイへの借金が返せるまでは。幸いなことに、殺し屋キュウサイはあの事件で良くも悪くも名を上げてなぁ、裏じゃあ依頼をしたいってちょっとした有名人になっとるわ」
ヒジリ「……だから?」
スミス「それに今のお前、いい目をしているわ、ホンマ。適度に世界に絶望して、適度に自分に絶望している」
ヒジリ「……私は、ただの人殺しだよ」
スミス「だからなんや?……今も昔も、お前はそうして生きてきた。今更、何を抜かしとるんや。それで、殺した相手が帰ってくるとでも?お前の罪が消えるとでも?んな甘いことないのは、お前が一番わかってるんとちゃうん?」 - 165◆uorq7ead4s25/10/22(水) 21:37:27
ヒジリ「……かったよ」
スミス「あーん?小さくてよぅききとれんかったわ。なんて?」
ヒジリ「……わかったよわかったよ!また殺せばいいんでしょ、また人殺しになればいいんでしょ!」
スミス「おーその意気その意気。どちらにしろお前は『殺し』の性から逃げられない。んじゃ、わかったらとっとと行くで」
ヒジリ「行くって……どこに行くの」
スミス「どこって、当然、今回の依頼人のところに」
某所、秘匿されたとあるオフィスの一角にて。
久々の依頼の場面に、どうやって依頼人と話していたのかと一瞬不安になったヒジリだったが、身に沁みついていた癖はなかなか抜けないようで、すらすらと言葉は出てくれた。
ヒジリ「……それでえっと、貴方が依頼人さん、です?」
ケイ「はい。ここではAとお呼びください」
ヒジリ「はぁ、Aさんですか。わかりましたKさん。それで貴方の依頼は?」
ケイ「この生徒の抹殺をお願いします」
ヒジリ「この方は?着こんでいるところを見るに、レッドウインターあたりの生徒かと思いますが……」
ケイ「はい。レッドウインターに在籍している秋泉モミジという生徒です」
ヒジリ「秋泉モミジさん、ですね。わかりました、では依頼を受領します」
ケイ「……情報によるとこの後依頼の理由を聞かれる、という話でしたが」
ヒジリ「あぁー……もういいんです。……もう理由を聞く必要もないかなって。心境の変化ってやつです」
ケイ「そうですか。貴女が不要と言うのであれば、私はこれ以上は言及しません。それでは、依頼は頼みました」 - 166◆uorq7ead4s25/10/22(水) 22:42:24
そう言うとケイは足早にその場を去っていった。
ヒジリ「……あっ、しまった。どう殺してほしいのか聞きそびれちゃった」
やっちまった、という顔をしているヒジリの携帯に、着信が鳴る。
非通知だが、今のヒジリに電話をかける人物など限られていた。
ヒジリ「はいもしもし」
スミス「大方、あの依頼人の態度的にはどんな殺し方でもええと思うけどなあ。ま、お前が好きに決めれば?」
ヒジリ「……スミスさん、貴方本当にどこから話聞いているんです?」
それだけスミスは話すとぷつんと電話は切れてしまった。
ヒジリ「はぁ……。まぁいいや、どっちでもいいならサクッとやっちゃおう。弾とか薬品も節約しないと、だし……」
レッドウインター。
ヒジリが万年冬のこの学園に来るのは、初めてのことであった。
幸いなことに、殺し屋キュウサイを探す手はそこまで厳重ではなかった。
レッドウインターの図書館が見える、とある雪山山中にて。スコープを除きながら、ヒジリは思案する。
ヒジリ「さっ、寒っ……。着こまないと普通に凍死しちゃいそうなんだけど、コレ……。で、えーと標的は……あの図書館で本を読んでる子か。あの中暖かそー……ここから狙撃できないことはないけど……どうやらキヴォトス全域で有名人になっちゃったらしいから、その対策であのガラス自体が防弾になっているかもだし……。へくしっ!」
どうやって、と思案している内に、モミジは席を立ち、いつの間にか帰宅してしまった。
ヒジリ「うーんと……うーん……あ、えっ!?うそー、もう帰っちゃってるし……。やっぱり色々と制約が出来ちゃうと、不便だなー……ううっ、もう夜で冷えるし……ばれないように雪を被ってると眠く……いや寝ちゃダメ寝ちゃダメ。寝たら死んじゃう……あっ、これだ」 - 167◆uorq7ead4s25/10/22(水) 23:00:16
ヒジリはその翌日から、モミジの行動パターンの把握に入った。
ヒジリ(殺し屋って、やっぱりこういう地道な仕事が一番多いんだよなー、ええっと……?)
ヒジリのメモが一日、また一日を重ねるたびに増えていく。
そして、暗殺決行前日。
ヒジリ(殺しの前に寝れなくなるなんて、久しぶりだな……。でも、今の私にはこれしか残されていないから……。だから、ごめんねとは言わないよ。どうか恨んで。いつか私を殺すほどに。秋泉モミジさん)
翌日。
その日のレッドウインターは、晴れていた。
秋泉モミジは、いつものように図書館へと向かっていた。
吐く息はいつものように白く曇り、それが空へと昇っていった。
暗殺成功?(51以下で成功)
dice1d100=22 (22)
- 168◆uorq7ead4s25/10/22(水) 23:11:14
突如として、物陰からヒジリが飛び出し、モミジを拘束する。
ヒジリ「どうも、殺し屋キュウサイです。とある方の依頼で、貴方を殺しに来ました」
モミジの顔が引きつり、必死に抵抗しようとする。
しかし、ヒジリが注射針をうなじに刺す方が、早かった。
暫くするとモミジの意識が遠のいていき、最終的に眠ってしまった。
ヒジリ「よし、後は……」
極力足跡を辿られないよう、ヒジリは物陰を伝い、そして人里離れたとある雪山に到着する。
そして、モミジを裸にひん剥いた後で、ロープでがちがちに拘束し、雪の中に埋めた。
数日間、ヒジリは近場に誰かが寄り付かないか、監視をした。
ヒジリ「……もう、大丈夫かな」
埋めたモミジを掘り返し、様子を確認する。
ヘイローは、ない。体温も完全になくなり、全身凍傷まみれだった。
ヒジリ「念のため、撃っておこう。……さよなら、秋泉モミジさん。今度はどうか、私のいない世界で生きてね」
SMGが小さく火花を上げる。
既に死んでいたのか、それともこれで完全に死亡したのか、それはヒジリにはわからなかった。
しかし、ヒジリが経験した中で、一番静かな『殺し』であった。
ヒジリ「……終わったんだ。殺し。久しぶりに殺したのに、なんか、これと言って感想も思い浮かばないなー」
ヒジリが心の中で感じた、僅かな空白。
それが意味するものが何なのかを、まだヒジリは知らない。 - 169◆uorq7ead4s25/10/22(水) 23:12:18
というわけで、本日のSSは以上です。
もうそろそろ次スレとか考えた方がいいんでしょうか、わかりません……。 - 170◆uorq7ead4s25/10/23(木) 06:46:19
朝保守です。
- 171二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 09:26:06
モミジのエミュ放棄した感
まあアコ編に大分力入れてたし燃え尽きたかな
次はしっかりしたの期待 - 172二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 10:13:46
疲れてるなら無理せず1日くらい休載してもいいのですよ?
- 173二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 10:50:29
既存キャラの殺しってセンシティブな題材扱うんだからある程度しっかり書いてくれないと思うところはあるわな
今回なんか描写がおざなり過ぎて最悪モミジの名前他のレッドウィンター生に置き換えてもそのままお出しできるじゃん、そのうえ主人公の掘り下げも薄くて何だったのこれ?って気持ちが拭えない
ダイスだけ振って一日しっかり話練ってから投稿とかでもこっちは全然待てるよ? - 174二次元好きの匿名さん25/10/23(木) 20:13:53
どうして「Aさん」と「Kさん」で表記揺れするんですか?(電話猫)
- 175◆uorq7ead4s25/10/23(木) 20:20:56
こんばんは。
色々と昨日の話を皆様から頂き、少し反省しました。
というわけで、一日充電期間をいただきます。
依頼に関するダイスだけ振って、今日は終わります。
保守などお手数をおかけしますが、なにとぞよろしくお願いします。
依頼人
dice1d2=1 (1)
モブの場合 dice1d3=1 (1)
ネームドの場合 dice1d200=173 (173)
標的
dice1d2=1 (1)
モブの場合 dice1d3=1 (1)
ネームドの場合 dice1d200=68 (68)
殺し方
dice1d2=2 (2)
依頼の成功・失敗(51以下で成功)
dice1d100=43 (43)
- 176二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 05:58:25
このレスは削除されています
- 177二次元好きの匿名さん25/10/24(金) 15:44:04
個人的には嫌いじゃないから
待つよ - 178◆uorq7ead4s25/10/24(金) 20:38:51
こんばんは。
色々とご心配おかけして申し訳ございません。
皆様のご期待に沿えるものが書けているか、はわかりませんが、また投稿していきたいと思います。
あくる日、ヒジリはレッドウインターでの依頼のことを考えていた。
なぜあの時、あれ程までに人を殺すことに対して何も感じなかったのか。
引き金を引いた瞬間に訪れた、あの妙な心の空白はなんだったのか。
このまま殺し屋をしていていいのか。
そもそも私にとって殺すことって何だったのか。
ごちゃごちゃと考えるうちに、何もわかんなくなる。
もっと前を掘り返そうと思いはするけど、少し振り返っただけでなんだか気分が悪くなってくるから、やめておく。
結論なんて出ないまま、机の上のコーヒーは冷めていく。
ヒジリ「はぁーあ……」
今出るのは、精々大きめのため息くらいだった。
……けれど。
現実は私に人を殺せと、命じている。
震えるスマホを取り、私はまた依頼をこなす。
今は、前に進むしかない。
ヒジリ「……で、貴方が今回の依頼人さんですね?」
依頼人「はい。お初にお目にかかります。私は……」
ヒジリ「あーそんなにかしこまらなくってもいいですって!」
応接室にてヒジリの目の前座るのは、生真面目という文字が擬人化したらどうなるか、というぐらいのロボットであった。
ヒジリ「にしても、よく私に依頼しようと思いましたね。今やキヴォトスの全域で指名手配犯なのに」
依頼人「いえ、だからこそですね。悪逆非道、残虐にして狡猾、そんな噂のある貴方なら、ぜひこの依頼を達成していただけいると思いまして」
ヒジリ(……私の世間のイメージ、そんな感じなんだ。まぁ当然と言えば当然、か)
ヒジリ「そ……それで依頼人さん、今回の依頼について」
依頼人「はい。私はこの殺し屋を、殺し屋キュウサイさんに殺していただきたいのです」 - 179◆uorq7ead4s25/10/24(金) 21:48:57
依頼人の差し出した写真には、依頼人とは対照的な、人相の悪い粗暴そうなロボットが写っていた。
ヒジリ「殺し屋、ですか。この人が」
依頼人「はい、通り名では『燃ゆる瞳のジャヴァ』と呼ばれている殺し屋です」
ヒジリ「そうですか。では……」
依頼人「私はジャヴァに、両親を殺されました」
ヒジリ(……なんか勝手に話し始めちゃったよ、この人)
話を要約すると。
元々裕福に育てられてきた依頼人は、何不自由なく暮らしてきた。
しかし、ジャヴァによって突然両親が殺された。
殺しの依頼ではない、ジャヴァのただの『暇つぶし』の為だけに殺されたのだ。
それから、依頼人はジャヴァへの復讐の為だけに生きてきた。
しかし、ジャヴァに関する情報は全く見つからず、途方に暮れていた。
そこに流れてきたのが、殺し屋キュウサイの噂であった。
依頼人「というわけです。奴には生きたことを後悔させるほど苦しませてやりたいのです。何卒よろしくお願いします」
ヒジリ「わ、わかりました……」
依頼人が立ち去ってから、ヒジリは一人テーブルに突っ伏す。
ヒジリ「ううっ、かれこれ一時間話し込んでたよ、あの人……まぁあの話を聞けばさ、誰でもジャヴァって人がクソってことはわっかるけどさー……」
ヒジリ「ま、仕事だし、きちんとやらないと……」
翌日から、ヒジリの情報収集が始まる。
いかんせん、情報が全くないところからのスタートであり、調査は難航を極めた。
ガン・スミスから情報を買う、という手段もあったが、これ以上彼への借金をするわけにもいかず、ヒジリは地道に調査していくのであった。
ジャヴァが出没したという噂のある場所、かつて殺したとされる相手の情報、殺し方。
ヒジリ「……成程です、ありがとうございます」
店主「それじゃあ、約束通りウチの仕事、手伝ってもらうから」
ヒジリ「はい。約束ですもんね。……ていうかこれ本当に着なきゃダメなんですか?」
店主「うちの店はそういうコンセプトだからね」
ヒジリ「ううっ……」 - 180◆uorq7ead4s25/10/24(金) 22:20:04
とある裏路地のバー、ジャヴァらしき人物が訪れるというこのバーに、ヒジリは来ていた。
ここの店主は、情報提供と引き換えに、ヒジリに店の手伝いをさせていた。
暗がりのネオン灯に、バニーガール姿のヒジリが照らされていた。
スタイルが良いヒジリは、当然客からの注目を浴びる。
これだけの視線が集まることは、殺し屋として活動してきてそうそうなかったので、ヒジリはただモジモジしていた。
ヒジリ「い、いらっしゃいませー!」
照れ隠しと言わんばかりに、ヒジリは声を張り上げて接客する。目はテンパったまま。
客「おぉ、姉ちゃん可愛いね、新人さん?」
ヒジリ「あ、まぁそんな感じです!臨時のヘルプと言いますか、なんというかで……」
客「そうかい、この酒もう一杯!そんでついでにチップだ」
客はヒジリの谷間に雑に札を突っ込むと、ついでにと言わんばかりに満足そうな顔で胸を揉む。
ヒジリ「あ、どどどうもー……。店主さーん、もう一杯お願いしまーす!」
ヒジリ(な、なんで私こんなことされてるのー!?いやいやこのお店お触り厳禁なんですけどーお客さーん!てか私そもそも、殺し屋なんですけどー!?)
客「あー、今日はアイツが来ていないから、静かに飲めてラッキーだわい」
ヒジリ「……アイツ、と言うと」
客「いかれたロボット野郎だよ。横柄ななりして、酔っぱらえば暴れ回って、女の子はケガさせるわ、店は滅茶苦茶にするわで、碌なことがねぇ……チクショーっ!誰かアイツをギタンギタンにしてくれねぇかなぁ!」
ヒジリ「ふーん、お客さんがやっちゃえばどうです?かっこいいとこ見てみた―い!あは、な、なんちゃって……(自分で言ってて恥ずかしくなっちゃった……)」
客「そうもいかねぇんだわ姉ちゃん。アイツ噂によると、殺し屋って話でねぇ。今キヴォトスを騒がせてる、えと、なんつったけな……殺し屋」
ヒジリ「殺し屋キュウサイ、ですか?」
客「そうそう、そいつかもしれねぇわけでよ、皆怖くて手が出せねぇんだよ……」
ヒジリ「へぇ……」
大体店長さんの言っていた通りだったな。
燃ゆる瞳のジャヴァさん。見た目通り、普段から素行は悪くて、周りからの評判は最悪。
でも殺し屋としての腕は確かみたいで、若干金額は割高だけど、その分の仕事はしてくれるって噂。
特に、痛ぶってから殺すのが好きみたいで、見る人が見ればすぐにジャヴァさんの仕業だってわかるみたい。 - 181◆uorq7ead4s25/10/24(金) 22:40:43
人を痛ぶって殺す……私も仕事でやることはあるけど、あの人は趣味でそうしているんだろう。
……燃ゆる瞳のジャヴァさん、貴方は人を殺すときに何を感じているんだろう。
「えちゃん、姉ちゃん!」
ヒジリ「えっ、あっはっ……はい!」
客「しーっ……あんまりでかい声出さない方がいいぞ、ほれ見ろ、噂をすれば、なんとやらだ……」
ヒジリが声を潜め、客が指さす方向を見るとそこには、依頼人があの時見せた写真と同じ、粗暴そうなロボットが見えた。
既に酒を飲んで酔っ払っているせいか、足取りそのものはふらふらしているものの、隙のようなものはあまり晒していないように見えた。
ジャヴァ「おい、この店は相変わらずこんな安酒をこんな高値吹っ掛けて売ってるのか、あぁん!?」
店主「こ、こちらも利益を出さなければなりませんので、原価通りに売るわけにはいかないのです……」
ジャヴァ「うっせえんだよ、殺されてぇか。殺されたくなかったらなぁ、とっとと酒もってこい!」
木製のカウンターを勢いよく叩き、店主を威圧する。
店主「……こちらでよろしいでしょうか」
ジャヴァ「ケッ、最初からそうしろってんだ……」
客「あーあ……姉ちゃんもアイツにかかわるのはやめとけ。台風なんかと同じで、過ぎ去るのを待つだけだ……」
ジャヴァ「誰が台風だと、おう!?」
カウンターから不意にまだ中身の入っている酒瓶が投げ込まれ、客の顔面にヒットする。
客「がっ、あっ!お、おりゃそんなこと言ってねぇ……」
ジャヴァ「嘘こくんじゃねぇぞクソ野郎が!」
そのまま殴り掛かられそうなところを、ヒジリが制止する。
ヒジリ「まぁまぁお客さん、落ち着いてくださいよ。弱い者いじめは、カッコ悪いですよ」
ジャヴァ「誰だぁこのアマ……。俺が何者かも知らねぇのに、よくそんな口が利けるな……」
ヒジリ「えぇ、このお店で働くのは今日が初めてなので、お客さんがどんな人か、全く知らないんです」
会話していく中で、ヒジリはジャヴァをよく観察する。
短時間とはいえ、ここまで近くで標的を見れれば、武装、行動の癖など重要なことがいくつも分かる。
ヒジリ(メインは……腰に下げたHG。胸ポケットが膨らんでいる、入っているのは折り畳みナイフか、メリケンサックってところかな……。酔っぱらってても、手はすぐに銃を抜けるようにしてる……よっぽど早撃ちに自信があるみたい) - 182◆uorq7ead4s25/10/24(金) 23:08:56
ジャヴァ「おう、お前名前は?」
ヒジリ「臨時ヘルプのサリでーす、どうです、一杯いかがで……」
ヒジリがその言葉を言い切る前に、ジャヴァは左手でヒジリの顔面を歪める。
殴られたヒジリはその場に倒れ、殴られた頬をなぞる。
ヒジリ「……最低ですね、女の子に暴力振るうなんて」
ジャヴァ「へぇ、さっきの俺への態度と言い、サリちゃんよぉ、俺はお前を気に入ったよ。とことんまで虐め倒してやりたくなったわ……おい、来い!」
ヒジリ「っつ!……そんな強引に引っ張らないでください!……やだ、離して!」
ジャヴァはヒジリを強引に引きずりながら、店の外へと消えていった。
路地裏の奥、光すら当たらない闇の中で、丸腰のヒジリはジャヴァに追い詰められていた。
辺りには薄っすらと鉄の臭いが充満し、物言わぬ屍たちはみな同じ表情をしていた。
ここはジャヴァの狩場。
哀れな被害者たちが行き着く、墓場。
ジャヴァ「よぉ……もうただの女のフリはやめろや、『殺し屋キュウサイ』」
ヒジリ「……やだなぁ、私があの殺し屋キュウサイだなんて。私はただのサリですよ」
ジャヴァ「なぁ、俺は割と女には寛大な方なんだ、お前のその目、その手つき。隠そうとしたってわかるさ、同業者のそれだってよ。それによ、俺はある情報屋から、キュウサイの人相書きを手に入れてるんだわ。……どうだ、言い訳する気はなくなったか?」
ヒジリ「そう、ですか。……それで私をどうするおつもりで?」
ジャヴァ「そりゃあ当然よ。殺し屋がこんなに人気のない場所に人を連れ込んだんだ。……やることは一つだ」
ジャヴァは右手でHGを抜き始めるが、その動きをヒジリはすぐに制止する。
ジャヴァ「……コイツっ!」
ヒジリ「早撃ちは得意みたいですが、どこに手が動くか、がわかってれば対処は可能です。私が殺し屋だって気付いているなら、あんなに近づいたのは迂闊としか言えませんね」
ジャヴァ「そうかい、だが、コイツはどうだ!くたばりやがれ、キュウサイ!」
左手は胸ポケットのふくらみをまさぐり、折り畳みナイフをヒジリに突き立てようとする。
ヒジリは逆にジャヴァへと突っ込み、思い切り頭突きをして怯ませた隙に距離をとる。
しかし、依然としてヒジリは丸腰、相手はHGとナイフと武装しており、不利なことには変わりなかった。 - 183◆uorq7ead4s25/10/24(金) 23:33:51
ジャヴァ「へへっ……キュウサイ、お前が名を上げたせいで、最近仕事が減っちまってよぉ……迷惑してるんだわ……死んでくれやぁ!」
HGを発砲し、ヒジリの頬を掠める。
ヒジリ「……流石、お見事ですね」
ジャヴァ「ちょこまかと……いいか、お前はここから生きて帰れねぇんだわ、俺のコレクションにしてくれて、一生可愛がってやるよ」
ヒジリ「この、無惨な死体のことを、コレクションと言っているんです?」
ジャヴァ「あぁ、俺は殺し屋だ。だったら殺した時のトロフィーぐらいは、とっときたくなるもんだろ?記念ってやつだよ記念。キュウサイを殺した記念、いいコレクションになりそうだ……」
ヒジリ「……私も殺し屋なんで貴方のことを否定する道理はありませんが、悪趣味ですね、貴方」
ジャヴァ「残虐非道な殺し屋キュウサイにそこまで言ってもらえるなんざ……俺も鼻が高いよ!」
ジャヴァは立て続けにHGを発砲し、ヒジリはそれを必死に避ける。
しかし、腐ってもプロの殺し屋、何発かはヒジリに命中してしまう。
ヒジリ「……いっつ。」
ジャヴァ「輪っか砕きはいいよなぁ、だって他の連中より長く呻き声が聞けるんだからなぁ……!俺を飽きさせるなよ、キュウサイ!!」
ヒジリ「……そうですか」
避ける。避け続ける。
避け切れない弾は、一番被弾しても痛くないところに、あえて当てる。
血は流れるし、痛いけど。
そうすれば。
ジャヴァ「……チッ!」
ヒジリ「必ず、マグチェンジの隙は生まれる……!」
ヒジリは隙を逃さずジャヴァに急接近し、ハイキックで右手のHGを弾き飛ばす。
ヒジリ「……へぇー、意外と動きやすいんだ、この服」
ジャヴァ「よくも俺の相棒を蹴り飛ばしてくれたな、クソがっ!」
だが、ヒジリの動きは止まらない。
ヒジリ「蹴り飛ばしただけじゃ、ないですよ!」
弾き飛ばし、宙に浮いたHGを掴むと、HGのグリップでジャヴァの顎を強打する。
ジャヴァ「があつっ!」
更に怯んだ隙に、胸ポケットを掴むと、背負い投げの要領で投げ飛ばす。
しかし、投げ飛ばされる際に、腰へと左手のナイフが突き刺さる。 - 184◆uorq7ead4s25/10/24(金) 23:50:38
ヒジリの腰に刺さったナイフから、ポタポタと血が垂れていく。
ジャヴァ「痛えじゃねぇか……痛えじゃねぇか!!絶対に殺す!絶対にお前を殺してコレクションに飾ってやる!」
ヒジリ「……そんなに、殺し、殺し何て言いますけど、ジャヴァさんは人を殺すときにどんなことを思っているんです?」
ジャヴァ「そりゃ当然、楽しさだけしかねぇだろ!悲鳴、懇願の声、そして血の匂い、俺はそれが好きで好きでたまんねぇから殺し屋やってんだよ!」
ヒジリ「そういう考え方も……あるんですね」
ジャヴァ「わかったらよぉ、俺を楽しませてくれよ……!」
ヒジリ「……残念ですけど、もう、それは叶いませんよ」
ヒジリは腰に刺さったナイフを抜き取り、ジャヴァに構える。
抜いた箇所から鮮血が吹き出て、ヒジリの額に油を含んだ汗が流れる。
ヒジリ「うぐっ……!」
ジャヴァ「強がり言う女は嫌いじゃねぇけどよ……いい加減俺に殺される覚悟、しといたほうがいいぜ?言っとくけどよ、俺には……」
ジャヴァは両手を前に突き出すと、腕から無数の仕込み銃が展開される。
ロボットであるジャヴァだからこそできる芸当であった。
ジャヴァ「こんな奥の手があるんだからなぁ!」
ヒジリ「……わかってますよ。だからこそ、私ももう手を打っているんです」
ジャヴァ「は?何わけわかんねぇ出まかせ言ってるんだ?あーもういいや、殺す」
ジャヴァは仕込み銃を作動させようとするが、動かない。
ジャヴァ「おい、どういうことだよ……なんで、なんで動かねぇんだ!」
ヒジリ「ほら、これで終わりです」
動揺しているジャヴァの隙を、ヒジリは見逃さなかった。
構えたナイフで、立ちどころに関節部の送電コードを切断し、ジャヴァの四肢はそのまま動作を停止した。
ジャヴァ「お、お前……何をした……」
ヒジリ「簡単なことです。貴方が隙をさらした間に、こっそり仕込ませて貰ったんです」
ヒジリはそう言うと、奥歯をかみしめ自身が負った銃創から、ジャヴァが撃った弾丸を取り出す。
ヒジリ「貴方の仕込み銃に、この弾丸を。気付かれないように銃弾抜くの、結構きつかったんですよ?いくら私の体が頑丈だからって」
ジャヴァ「や、野郎……!」
ヒジリ「それじゃ、燃ゆる瞳のジャヴァさん。一旦おやすみなさい」
そう言うとヒジリは視覚センサー類のコードを切断した。 - 185◆uorq7ead4s25/10/25(土) 00:13:17
死闘の末、ヒジリはジャヴァの拘束に成功した。
そして、それから数時間後、とある廃墟にて。
ヒジリ「……というわけで、貴方のご要望通り、燃ゆる瞳のジャヴァさんを連れてきましたよ、依頼人さん」
依頼人「ありがとうございます、殺し屋キュウサイさん。……酷い怪我までされて、ご苦労様です」
ヒジリ「あー……まぁ、いつものことです。気にしないでください。……それじゃ、再度各種センサーコードを繋ぎますね」
依頼人「はい、お願いします」
ジャヴァ「……はっ、今すぐ殺してやる!キュウサイ、キュウサイイイイイッ!!!!」
ヒジリ「そんなカリカリしなくても、私はここにいますよーっと。そして申し訳ないですけど、貴方の腕と足、もいじゃいましたんで」
ジャヴァ「……は?な、えっあっ……」
ジャヴァはヒジリの言葉を信じられず、手足を動かそうとするが、ない。
そして目で見て、ヒジリの言っている言葉が真実であると、嫌でも認めざるを得なかった。
ジャヴァ「……おい、どうなってるんだ、どうなってるんだよ!」
ヒジリ「見てわかる通りですよ、今から貴方は、私に殺されるんです」
ジャヴァ「はーっ、はーっ……俺が、お前に?なぁ、悪い冗談だ、悪い冗談だろ!?は、はは、いや、これはきっと夢だ、夢に違いねぇ!」
ヒジリ「……見てられませんね。それじゃ、夢じゃない証拠を教えてあげますよ」
ヒジリがそう言うと取り出したのは、電気工作用のニッパーであった。
そして、ジャヴァの脇腹あたりにあるコードを、ぷつん、と切断した。
ジャヴァ「ひ、ひぎゃあああああああああああっ!!!!!!な、なんで!!!!!」
ヒジリ「なんでこんなに、痛いんだって話ですか?そりゃあ、貴方が寝ている間に、痛覚信号を増幅する、特殊な回路を貴方の頭の中に埋め込ませてもらいましたから」
ジャヴァ「ふ、ふざけるな!なんだって、なんだってこんなことしやがる!!!!」
ヒジリ「……貴方、私は殺し屋ですよ?殺し屋だったら、依頼人から依頼されたら、標的を殺すのが仕事じゃないですか」
ジャヴァ「ひ、ひいいいっ!!!」
ヒジリ「おやおや、怖がっちゃって。でも、これからもっと怖いことになるんで、覚悟してください、ね?」
切断したコードの断面をヒジリがなぞると、ジャヴァは痛みで悶え始める。 - 186◆uorq7ead4s25/10/25(土) 00:26:35
そんな地獄のような光景が、30分ほど続いたころだろうか。
ジャヴァ「ひてくれ……」
ヒジリ「はい?聞こえません。何て言っているんですか?」
ジャヴァ「もう、ほろひてふれ……おねがい……ひまふ……」
ヒジリ「……殺してほしい、ですか。依頼人さん、どうしますか?」
依頼人は少し思案に暮れた後、意を決したように話し出す。
依頼人「キュウサイさん、ありがとうございます。……正直なところ、この男をもう許してもいいのか、と思ってしまいました」
ジャヴァ「……ほ、ほうは……ゆるひ……ゆるひて……」
依頼人「……ですが、やはりこの男は、殺さなくてはならない。そうでないと、私は、私の人生を取り戻せない。そこでキュウサイさん、一つお願いがあるのですが、いいですか?」
ヒジリ「……何でしょう、依頼人さん」
依頼人「とどめは、私に刺させてください……。今までの人生と、決別しきる為にも」
ヒジリ「……依頼人さんが、望むのなら。喉元から赤いコードが見えると思います。そこを、このナイフで断ち切ってください」
ヒジリはナイフを依頼人に渡すと、依頼人は震えた手でジャヴァへと向かう。
ジャヴァ「はふへて……おねはい……ひまふ……」
命乞いの声は、弱弱しく依頼人の耳に入ってくる。
依頼人の手の震えが、大きくなる。
依頼人「う、う……うわああああああああっ!!!!!」
依頼人は、声にならない叫び声を上げながら、ジャヴァの喉元のコードを、断ち切った。
がくりとジャヴァは項垂れ、物言わぬ鉄屑に姿を変えた。
ヒジリ「……依頼人さん、大丈夫ですか?」
依頼人「キュウサイさん……人を殺すって、こんなに、こんなに……辛いことなんですね。わかっているつもりでした。人を殺すということの意味を……。でも、この手を汚して、ようやくわかったんです……あぁ……あぁ……」
依頼人はそのままうずくまり、泣き出してしまった。
そんな姿を、ヒジリはただ見ていることしかできなかった。 - 187◆uorq7ead4s25/10/25(土) 00:31:55
人を殺すことが、この人は辛いことだと言った。
私は、人を殺すとき、どんなことを思っていたのだろうか。
……きっと、目の前の人と、同じことを思っていたような気がする。
命の重さと、罪の重さに耐えきれなくて、きっと同じように泣いていた、そんな気がする。
……いつから私は、人を殺すときに何も感じなくなってしまったのだろう。
ふと、胸の中に空いた空白が、不意に怖くなる。この空白が、私自身を飲み込んでしまいそうで。
私が、私でなくなってしまうような気がして。
そして、私の元には現れるのだろうか。
この人のような、私にとっての死神が。
私に終わりをもたらすものが。
でも、どうか。
どうか終わらせてほしい、私が私でなくなってしまう前に……。
それか、こんな都合のいい話はないだろうけど、誰か助けてほしい。
この空白が、私を殺しきってしまう前に……。 - 188◆uorq7ead4s25/10/25(土) 00:35:50
というわけで今日のSSは以上です。
一日時間をいただけたお陰で、そこそこ自分の書きたいものにも、気付くことができたような気がします。
さて、もう190レスも後少し、そろそろ真面目に次スレ建てを考えた方が良い気がしますね……以前宣言した通り、ヒジリの物語が終わりを迎えるまでは続けるつもりなので。
また、やっぱり一日寝かせて考えた方がいい、ということはわかりましたので、SSは一日おきの更新になるかと思います。
最後になりますが、保守していただいた皆様、誠に有難うございました。 - 189二次元好きの匿名さん25/10/25(土) 09:48:46
- 190◆uorq7ead4s25/10/25(土) 10:15:11
- 191◆uorq7ead4s25/10/25(土) 19:21:27
こんばんは。
少し早いですが、こちらでスレ立てしました。
新スレでもよろしくお願いします。
【閲覧注意・🎲・⚓️】キヴォトスの殺し屋 #2|あにまん掲示板キヴォトスにて殺しを稼業とする生徒、救済ヒジリの物語を綴るスレです。以下、基本設定と注意事項です・ダイスもしくは安価で、殺しの依頼人と標的、依頼の成功、失敗を決め、SSを書いていきます・物語の都合上、…bbs.animanch.com - 192二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 03:11:10
立て乙
- 193二次元好きの匿名さん25/10/26(日) 12:03:39
まだ生きてたのか……てっきり爆速で荒れるかと思ってた