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デジタルコーディネーター:感動を生み出す仕事を熱望し、アルバイト契約で入社したエンジニアが描くキャリアパスとは? | Cocotame(ココタメ) – ソニーミュージックグループ
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技術者たち ~エンタメ業界が求めるエンジニアの力~

デジタルコーディネーター:感動を生み出す仕事を熱望し、アルバイト契約で入社したエンジニアが描くキャリアパスとは?

2025.11.25

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さまざまなエンタテインメントビジネスを手がけるソニーミュージックグループで、専門的な知識とスキルを持って働く技術者(エンジニア)に話を聞く連載企画。

第23回は、ソニー・ミュージックソリューションズ(以下、SMS)でアミューズメント施設や展示会におけるロケーションベースエンタテイメント(以下、LBE)の進行管理に携わる小関太一に話を聞いた。

  • 小関太一プロフィール画像

    小関太一

    Koseki Taichi

    ソニー・ミュージックソリューションズ

デジタルの知識もスキルもゼロで入社——大事なことはほかにあった

──小関さんは、エンタテインメントのソリューションビジネスを手がけるSMSのクロステックオフィスに在籍していますが、この部署でどのような業務に携わっていますか?

クロステックオフィスは、エンタテインメントとデジタル技術をかけ合わせることによって、新たな体験価値を生み出していくことを目的に設立された部署です。私は、そのなかでアミューズメント施設や展覧会など、物理的な場所と紐づいたエンタテインメント体験を提供するLBEの開発に取り組むチームに在籍しています。

チーム内では、クライアントと開発エンジニアをつなぐハブの役割を担っていて、クライアントからの“デジタルとリアルを融合した、こんな体験を導入したい”といった依頼や要望に対して、それを具現化するための企画を立て、開発エンジニアと協力しながら最終的に納品するまでの進行管理を行なうというのが主な業務になります。

笑顔で語る小関太一

──具体的には、どのような案件を手がけているのでしょうか。

例えば、ソニーグループの先端技術もいくつか盛り込まれている、東急歌舞伎町タワーの屋内体験型アトラクション施設「THE TOKYO MATRIX」には、私たちのチームがさまざまな形で携わりました。ソニーグループと協力して新たな技術やプロダクトを生み出す、エンタテインメントのR&D(Research and Development:研究開発)的な側面も担っています。

関連記事はこちら:『THE TOKYO MATRIX』が完全リニューアル! 運動不足に効く歌舞伎町の新アトラクションを徹底解説

──クライアントとエンジニアの意思疎通を円滑にさせるためには、小関さんのようなハブとなる存在が欠かせないと思います。かつ、両者と会話できるだけの幅広い知識や見解も必要になりますよね。

確かに知識は必要になります。ただ、私自身は、デジタルの知識もスキルもゼロの状態で入社していて、仕事をやるなかで覚えていきました。だから、“デジタルに関する専門的な知識がないと、手を挙げてはいけない仕事”というわけではありません。

ただ、入社時から“なんでも吸収しよう”という意識は持っていたので、それが今につながっているという実感はあります。あとは、好奇心が旺盛というのも大事なことだと思っています。

“音楽に携わる仕事がしたい”という夢を叶えるためにアルバイト契約で入社

──入社後に知識を身につけたとのことですが、学生時代はどんなことを学んでいましたか?

もともと機械いじりが好きなメカニック気質なところがあって、大学は工学系に進み、卒業後は飛行機の格納庫で機器を整備する会社に新卒入社しました。ただ学生時代からの“いつか音楽に携わる仕事がしたい”という夢が忘れられなくて……。

なかでも、大学にはソニーミュージックグループの市ヶ谷ビルの前を通って通学していたので、ここには特別な思い入れもありました。なので、ソニーミュージックグループのアルバイト採用の求人を見つけたときは、「チャンスだ!」と思い、即エントリーしましたね。

──アルバイト契約での入社だったんですね。

一般論で言えば、正社員として働いていた会社を辞めてアルバイト契約の仕事に転職するというのは、それなりに勇気がいることだと思いますが、当時の自分には何の迷いもありませんでした。それくらい“やりたい”という気持ちが強かったんです。

そして入社後、最初に配属されたのがSMSのテクノロジーを活用したイベントの企画、制作を行なうチームでした。そこで出会った教育担当の先輩がデジタルを活用した面白い企画を発想する方で、必然的に私もデジタルに触れる機会が増えることに。今思えば、これが現在に至るすべての原点ということになりますね。

ステップアップするため必死になって取り組んだこと

──デジタルの知識がゼロの状態から周りの先輩たちに追いつくのは、大変だったのではないですか。

そうですね。最初は右も左もわからない状態だったので、とにかく必死に食らいついていくしかなかったです。ただ、先輩の皆さんは何かと目をかけてくれる人たちばかりで、環境に恵まれたなと思います。

あとは、当然ながら皆さんに頼ってばかりではダメなので、休日を独学の時間に充てていました。用途の異なるケーブルの種類を調べてノートにまとめるなど、今思えばかなりアナログな勉強の仕方をしていましたね(笑)。

──でも、そういう時間の積み重ねがあって、正社員登用試験に推薦され、突破したわけですよね。

はい。周りの方々がちゃんと見ていてくれたんだなと、改めて思います。

少し照れ臭そうに話す小関太一

初めてマネージャーを任されたプロジェクトで得たもの

──過去に携わったプロジェクトで、特に印象に残っているものを教えてください。

初めてプロジェクトマネージャーとして携わった、音声対話サービスを大型商業施設に導入するプロジェクトですね。

このサービスは画面に向かって話しかけた人の言葉を機械が理解し、キャラクターが適切な回答を返してくれるアプリケーションで、ソニーの音声認識技術やシナリオ対話ツールなど、当時はまだ世に出ていなかった技術を採用していました。

──登場するキャラクターの沢村碧は、キャラクターボイスを寿美菜子さんが担当し、キャラクターデザインは『ソードアート・オンライン』などの足立慎吾さんが手がけたことでも注目を集めましたね。

沢村碧の表情や声の表現も豊かなので、キャラクターとおしゃべりすること自体を楽しんでもらえるコンテンツになっていました。

また、このサービスを発表した2022年11月は、まだ新型コロナウイルスが猛威を奮っていたことから、非接触の案内サービスが求められており、さらには人手不足を解消するサービスとしてもクライアントから期待を寄せていただき、大型商業施設でお客様をご案内するコンシェルジュとして採用されたという経緯があります。

──プロジェクトにどのような手応えを感じましたか。

ユーザーの生活に根づかせるために、まだやれることはあったなと思っています。というのも、回答の精度が人間のコンシェルジュのレベルにまで達することができなかったからです。

キャラクターが間違った対応をしても演出によっては、クスッと笑いを起こさせるなど、“エンタテインメントの楽しさ”として成立させることはできたかもしれません。しかし、このサービスが使用されるのは、商業施設の案内などの社会インフラ的な場面です。“楽しさ”よりも“確実性”を担保する必要がありました。

──“まだやれることがあった”とのことですが、具体的にはどのような課題がありましたか。

音声認識とネットワーク環境の課題が大きかったですね。商業施設はいろいろな音が交わる環境なので、音声を拾いやすいマイクの選定や、話しかける人の声だけを正確に拾うための技術など、できる限りのチューニングは重ねました。また、広大な商業施設というネットワーク環境での安定的な動作保証や保守体制の調整にも注力しましたが、満点には届かなかったです。

──コロナ禍という特殊な環境が生み出したサービスであり、そこにはまだ高い壁があったということですね。

はい。初年度は実証実験として、2~3年目は正規サービスとして導入させていただきましたが、コロナ禍も収束したことから商業施設での活用はひとまず終了となりました。開発当時は、なかなか上手くいかず、苦労したこともありましたが、LBEをテーマに活動しているチームの一員として、不特定多数のユーザーがさまざまな目的で訪れるロケーションにいかに対応していくかなど、学びの多いプロジェクトだったと感じています。

当時の音を思い返しながら真剣な表情で語る小関太一

エンタテインメントは人の感情に直接アクセスできる魔法

──“音楽に携わりたい”という動機で入社して10年ほど経った今、エンタメ企業のテクノロジー領域で働くやりがいや喜びをどのように感じていますか?

エンタメ企業が生み出しているのは、音楽やアニメといったプロダクト以前に、楽しさや感動といった人の感情に直接アクセスする“何か”だと私は思っています。そうした目に見えないものを生み出すのはまるで魔法のようで、それが音楽に携わる仕事を熱望した理由でもあります。

デジタルの進歩によって使える魔法はさらに増えていますし、もしかしたらこれまで誰も味わったことのない感情にもアクセスできるかもしれません。だから、デジタルを通して人間の感情を揺さぶりたいという想いがある方だったら、エンタメ企業は絶対に楽しいと思いますね。また、最先端技術にいち早く触れることもできるので、そういった志向を持っている方にとっても、やりがいのある仕事だと思います。

──SMSのITエンジニアには、どんな人が多いのでしょうか?

熱心に黙々と作業に没頭するスペシャリストなタイプが多いです。加えて、エンタメ企業特有の“面白がりながら真面目にやる”といった柔軟さもあるのが、SMSのITエンジニアの特徴だと思います。

例えば、アニメ関連の案件では、アニメ好きなエンジニアから“原作をいかして、こういう演出を盛り込んでみたら面白いのでは”といった提案が企画にいきることがあります。ジャンルはさまざまですが、好きなものへのこだわりが強い人が多いですね。

──小関さんにもいわゆる“オタク”な側面はありますか?

私は広く浅く手を広げるタイプなので、オタク的なリテラシーは低いかもしれませんが、音楽やライブはもちろん、エンタテインメントならなんでも好きです。また、LBEに携わる前から展覧会に行くのが趣味で、今年は音楽とアート、デジタルが融合した展覧会にもちょくちょく足を運んでいます。

手で表現しながら語る小関太一

キャリアは個人に蓄積するよりも、継承してこそ価値がある

──エンタメ業界のITエンジニアとして働きたいと考えている人に、入社前に学んでおいた方がいいスキルなど、アドバイスはありますか?

これはエンタメ業界やITエンジニアという職種に限った話ではないのですが、“自分の仕事がどのような流れで利益を生み出しているのか”という視点を、常に意識しておくようにすることですね。

仕事に没頭するあまり、“今、なぜこの仕事をしているのか?”が見えなくなってしまうことってよくあると思うんです。そして、やっていることの意味が見えなくなってくると、中長期のビジョンが見通せなくなり、モチベーションの低下につながることもあります。

そういう状況に陥らないために、もしくは立ち返るために、“自分の仕事がどのような流れで利益を生み出しているのか”という視点をひとつの指標として持っておくといいのかなと。これは学生のアルバイトなどでもちょっと意識するだけで見えてくるものなので、「アルバイトの自分には関係ない」と思わず、ぜひ試していただきたいですね。

──小関さんは、今後のキャリアをどのように捉えていますか?

私にとって、キャリアは次の世代に継承していくために積むものだと思っています。これはアルバイト時代にいちから仕事を教えてくれた先輩の影響で、そう考えるようになりました。仕事が俗人化してくると、やってる当人は気持ちいいのですが、結局、ひとりでできることには限界があります。

しかも、ひとりでやるより、チームで動いて取り組んだほうが、断然効率がいいし生み出すものも確実に増えるわけです。だから、自分が得た知見や経験は、次の世代の人たちにどんどん伝えていきたいですね。

それと、これから入社する新しい仲間からもいろいろなことを教わりたいです。たくさんの学びや持っている知識、知見を共有し、互いを高め合える、そんな仲間たちと働くのが、私にとっての理想のキャリアパスです。

四角形の影が壁に映し出される中、腕を組むポーズをとる小関太一

文・取材:児玉澄子
撮影:干川 修

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