閉鎖的な従来の体質
基本、従来の俳句結社は、結社の同人誌を買う所から師弟関係が始まる、金銭契約的な徒弟制度とでも呼ぶべきものであり、自然と閉鎖的な構造を内に抱え込んでしまう傾向にあった。他の結社との交流をほとんど行わないところすら存在する始末で、俳句に熱心な県と思われている愛媛県においてすら、今世紀に至るまで県内各結社同士の仲は極めて険悪であった(そのため、かつてNHK松山で収録され、NHKBSで放送されていた「俳句王国」という番組の収録においては、結社同士を取り扱う上で上下関係が発生しないようにするなど、番組製作者の村重氏はかなり難渋な条件を強いられたという。同番組にかかわった夏井いつき氏らの証言はこちら)。
俳句甲子園について
これでは俳句を気軽に楽しめず、俳句人口も増えない。だが、その当の愛媛県で、とあるイベントが始まる。何とか若い人も俳句を気軽に楽しめるようにならないかという夏井いつき氏の長らくの懸案と、俳句関係でイベントをやりたいと思っていた松山青年会議所との思惑が一致、1998年に松山市において、第一回俳句甲子園が開催される。最初こそ参加校も少なかったが、この句合わせの競技形式を面白く思った人々が、次第に参加し始める。そしてついには神野紗希や佐藤文香の両氏など、この大会出身者のうちから本格的な俳人になる人たちも出始めてきた。
金銭契約や内閉的な結社に関係なく誰もが俳句を楽しめ、また上達できるようになるための俳句環境を作ったという点で、間違いなく俳句甲子園および夏井氏、松山青年会議所の功績は出色である。(だが、それを認めたくない向きも松山市内には潜伏していた。それについては、項目「俳句」の過去記事(リンク)や「海南タイムズ」で検索して出てくる諸々の記事でご確認を)
「プレバト」に出演を始めた夏井いつき氏による俳句ブーム
2014年、TBS系列局の番組「プレバト」において、出演者が作った俳句を添削するコーナーが生まれる。その添削担当となったのが、前述の夏井いつき氏である。
元々、南海放送での氏の番組「一句一遊」や松山市の俳句投稿サイト「俳句ポスト365」にて、毎週数千句を超える大量の句を選句していただけはあり、その添削に際しての説明の的確さに感銘を受けた視聴者は、かなりの数に上った模様。
(よく夏井氏を指して毒舌と評されることがあるが実はこれでもかなりまるくなったほうで、開始間もない頃の「一句一遊」はもう容赦ない口ぶりで駄句の数々を切って捨てていたという)
夏井氏の添削が俳句の一つの楽しみ方、俳句にまつわる一つの芸として多くの人に受け入れられたことは、既述の俳句甲子園も含め、いかに句を解釈し、また鑑賞するかということ自体が一つの催し物、娯楽となりうる可能性の大きさを示している。
また夏井氏のみならず、堀本裕樹・千野帽子氏らの「東京マッハ」においても、句評を一つの芸として見せようという試みが行われている。
俳句界隈の閉鎖的な在り方は、俳人らの思想傾向にもある程度表れている。短歌であれば右派の雑誌「正論」にも記事を掲載していた福島泰樹氏が右派的な歌人として存在するが、こと俳句に関しては、右派的な立ち位置を示す俳人はネット上で確認する限り、絶無である。
逆に、左傾的な立ち位置を示す俳人は枚挙にいとまがない。東京新聞でいとうせいこう氏と集団的自衛権について反対の主張を示す俳句企画を行っていた金子兜太氏しかり、ネット上で俳句記事を連載する週刊俳句連載者の関悦史氏も集団的自衛権を、戦争惹起と絡めて語る典型的な左派の論法で語っていたことがあった。またその件の週刊俳句関係者の中にも、左派的な人物がいる模様である。百歳越えの俳人・金原まさ子さんのインタビューにかこつけ、自分の個人名を週刊俳句の看板に隠しつつ左派的な言説を当然の如く語ることも、自然に行われる始末。
ほかにも、反戦の名を借りて自らの句集などで日本の防衛環境の充実を危惧する俳人は少なくないが、どの人々も、昨今の中国の軍事拡大には、奇妙に全く反対の声明をお出しにならない。俳句にまつわる関係者全員が申し合わせてこんなことになっているわけではなかろうが、これは俳壇の不思議である。
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