概要
ひらがなだって、それぞれちゃんと生きている。
『あ』と『お』が喧嘩したから仲裁してほしいと、ひらがな国から調停官の『な』がやってきた。
助けを求められたのは、五歳になる息子、右際(うきわ)。
どうやら以前、『れ』と『わ』を仲直りさせた実績を買われたらしいのだが―――。
…………うん。
どういうことだかさっぱりわからん!
助けを求められたのは、五歳になる息子、右際(うきわ)。
どうやら以前、『れ』と『わ』を仲直りさせた実績を買われたらしいのだが―――。
…………うん。
どういうことだかさっぱりわからん!
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おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!発想のユニークさと、優しい余韻が光る作品
ひらがなたちが本気で喧嘩して、本気で仲直りする――そんな発想がまず素晴らしい!
ユーモアの中に温かさがあって、読んでいるうちに自然と笑顔になれる作品です。
ひらがな一文字一文字に個性が与えられていて、まるで小さな生き物たちが息づいているよう。
特に、調停官の「な」と、五歳の少年・右際との掛け合いがとても愛らしく、読者も一緒に“ひらがな国”の世界に引き込まれます。
単なる言葉遊びではなく、“ことば”そのものへの愛情や、人と人との関係を映す寓話としても秀逸。
子どもはもちろん、大人が読んでも「なるほど」と唸ってしまう深みがあります。 - ★★★ Excellent!!!再出発
どこか温かい余韻の残る締めくくりになっていました。
『な』との別れのシーンは、少し切ないのに不思議と優しさを感じます。右際との関係も、親としての目線がしっかり描かれていて、読んでいてほっとしました。
帰ってきた日常のドタバタもリアルで笑えました。非日常から日常に戻るギャップがうまく表現されていて、「ああ、本当に帰ってきたんだな」と思わせてくれます。
ラストの「小説家になるよ」という宣言も爽やかで、物語全体を通して主人公の成長と再出発を感じられました。
全体的に、奇妙さと温かさがうまく同居した話でした。読後に心がほんのりあたたかくなる、素敵な締めくくりだと思います。