概要
「嘘吐きは泥棒の始まり」と、幼い頃、かあちゃんによく言われた。
人生は嘘で回っている。
*本作は、犯罪を肯定するものではありません。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!嘘のオンパレードなのに不思議と心暖まる物語。
主人公の「俺」は根っからの嘘つきで、人生のほとんどを嘘で構成させてきた人物。
最初このあらすじを見たときは「いったいどんなクソ野郎なんだ」と思ってしまいましたが、本作を読むとその印象がガラリと180°変わってしまいます。
――家族とは何か。絆とは何か。
そんな太古の昔からの普遍的なテーマを「嘘」という観点から捉え直す作品です。「絆」や「嘘」というのは手垢がつきまくったテーマかもしれませんが、不思議とデジャブを感じさせないのは作者の描写力と構成力の賜物だと思います。
また、一文あたりの文字数が抑えられているので非常に読みやすかったです。リーダビリティーにも気を遣われているのか…続きを読む - ★★★ Excellent!!!嘘の裏に隠れていたのは――
主人公であり、作中の語り手である二十歳の大学生のマサナオくん。彼の名前を漢字にすると、「正直」なのですが、そんな彼はその名前とは反対に嘘つきの青年です。
母子家庭で育った彼は子どもの頃から嘘をつく子供どもでした。
そのせいで、小学生の時にクラスメイトの通学バッグを隠した犯人として疑われたことも。(のちに隠されたと言っていた子の自作自演だと判明)
そんなある日、お母さんが倒れて病院に運ばれてしまいます。
手術は成功しますが、後遺症は残ってしまうかもしれない。
マサナオくんは帰宅後、入院するお母さんのために必要なものを準備しようと押し入れを探します。
そこであるものを見つ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!あなたがいなければ人生は存在していないも同じ
親子の情愛を描いた作品。ときけば、人は感動ドラマを想い浮かべる。
抱き合って号泣するような。
それも悪くないのであるが、本作はその路線をうまく避けている。それが出来たのは、世の中をなめた主人公のひねた性格のおかげである。
「嘘が無ければ人生は存在していないも同じ」
『No Music, No Life.』みたいに気楽に云ってんじゃねえよと云いたくなるが、これを信条とした主人公はとにかくよく嘘をつく。
嘘をつく必要あるかな? という局面でもすらすらと嘘をついて、ちょっとした責任逃れとお得を得ている。
人は誰でも嘘をつく。
「わたしは絶対に嘘をつかない清く正しい人間だ! 嘘は犯罪…続きを読む - ★★★ Excellent!!!『存在証明』
わたしが小さいころ、悪さをすると、母親が決まって言ったセリフ。
『あんたは、山田川の橋の下から拾ってきた子だ!』
山田川は近所の川の名前。
けど、わたしは父にも、母にもよく似ている。
子ども心に、嘘つきめ!
と思っていた。
ある日、また悪さをして、母親にこっぴどく怒られた。
こんなウチ出てってやる!
飛び出した小さなわたし。
行くとこもなく、気づけば、山田川の橋の下に来ていた。
幼心がアイデンティティを求めたのだろうか?
そこで、わたしは捨てられていた仔ネコを発見😳!😺
連れて帰り、また、怒られた。
何の話😓?
そう、アイデンティティだ。
人は自分のルーツを気にする。
『存在証明』
自分…続きを読む - ★★★ Excellent!!!その嘘は罪でしょうか?
嘘とは悪いこと。
それは例えどんなことであっても、ついた側も、つかれた側も気持ちの良いものではないでしょう。
それでも、そのことで誰かが救われる。そんなこともあるかもしれません。
「のーらい・のーらいふ」
タイトルにあるこの言葉は、果たして物語においての誰の為のものなのでしょうか?
作者が意図している者。
読者がそう理解した者。
この二つは読む人によって変わってくるかもしれません。
「嘘なくして人生はない」
この人生とは?
途中で押し寄せる切ないまでの親子愛。
そして読み終わってから感じるミステリーの読後のような気持ち。
物語の構成と秀逸すぎるタイトル!
本当に皆さんに読んでいただきたい作…続きを読む