民主党ハリス候補が勝てなかった3つの理由
アメリカ大統領選挙の結果、ドナルド・トランプ前大統領が4年ぶりに返り咲く。これからアメリカは暗黒の時代を迎えることになる。
まず今回の選挙戦を振り返ろう。当初はそれぞれ予備選挙を勝ち上がった民主党候補のジョー・バイデン大統領と共和党候補のトランプ前大統領との争いだった。しかし、テレビ討論会が終わった後になって失言とフレイルな挙動で人気が急落したバイデン氏が撤退を表明。8月にカマラ・ハリス副大統領が新たな民主党候補になり、一時は追い風に乗った。バイデン氏が大統領を降りていればハリス氏はアメリカ史上初の女性大統領としてまた違った展開になったと思われる。そうした事情の中でトランプ氏が盛り返して迎えた11月の大統領選。接戦が予想されていたが、結果はトランプ氏が獲得した選挙人投票数は312人、ハリス氏は226人で、トランプ氏の圧勝だった。
大差がついたのは、接戦州であるスイングステートをことごとくトランプ氏が制したからだ。ほぼ毎回、民主党候補が勝つ州をブルーステート、共和党候補が勝つ州をレッドステートと呼ぶが、それ以外のスイングステート――ペンシルベニア、ネバタなど――の多くが今回は赤に染まった。真っ赤になったアメリカを見て、共和党が民主党より支持を集めたと考えるのは早計だ。実は大統領選と同時に行われた連邦議会選挙でも、今回は共和党が過半数を獲得。ただ下院では共和党220議席、民主党215議席とかなりの接戦。上院も共和党53議席、民主党(無所属含む)47議席と、下院ほどではないが、比較的僅差での勝利。今回のトランプ氏の勝利は、政党の支持とは別に考えるべきだ。
では、なぜアメリカ国民はトランプ氏を選んだのか。1つ目の要因は、バイデン大統領が大統領選から撤退したタイミングだ。7月の撤退では再び予備選をやる時間的余裕はない。結局、バイデン大統領がハリス氏を後継者に指名して民主党代議士による投票で選出されたが、予備選を経ていないために党員の支持を固めきれなかった。

