関税で産業が復活した成功例はない
トランプ政権が関税政策で世界を混乱に陥れている。ヴァンス副大統領は関税措置について「グローバリスト経済への解毒剤」と言う始末。世界中で読まれている『ボーダレス・ワールド』の著者で“元祖グローバリスト”の私としては捨て置けない発言であり、今回は関税政策の愚かさを徹底的に解説する。
4月5日、トランプ大統領はすべての国や地域を対象に一律10%の関税を発動。さらに9日からは貿易赤字額が大きい国や地域に相互関税の上乗せをすると発表したものの、直前になって報復措置を取らない国や地域には相互関税の発動を90日間停止すると方針転換した。
中国は停止措置の対象外で、トランプ大統領は中国に対する関税を145%まで引き上げて屈服させようとした。しかし中国は徹底抗戦の構えで、翌日に対米125%の関税措置を発表。トランプ大統領は腰砕けになり、中国依存が大きいスマートフォンなどの電子機器を相互関税の対象から外した。5月9日には、トランプ大統領は「中国には80%が妥当かもしれない」などと口から出まかせを言い始めている。
トランプ大統領がチキンレースから降りた理由の一つは、中国には米国債の売却という次の一手があることだ。今年2月時点で、中国は米国債を7843億ドル持っている。保有額は世界第2位で、中国が米国債を投げ売りしたら金利が上昇して大変なことになる。
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