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JP3577474B2 - 連続鋳造用鋳型および連続鋳造方法 - Google Patents
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JP3577474B2 - 連続鋳造用鋳型および連続鋳造方法 - Google Patents

連続鋳造用鋳型および連続鋳造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、連続鋳造用鋳型および連続鋳造方法に関し、特に周囲に電磁コイルを有する連続鋳造用鋳型およびこの鋳型内に供給した溶融金属に電磁力を印加して連続鋳造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
溶融金属の連続鋳造技術において、溶融金属の湯面の安定化、連続鋳造した鋳片表面の平滑化、および鋳造速度の高速化を達成するために、近年、鋳造時に電磁力を利用する技術が開発されている。特開昭52−32824号公報には、図12に示すように、鋳型31を包囲するように配置され、耐火物で絶縁された通電コイル35に交流電流を供給して、溶融金属32のメニスカス部を湾曲させ、パウダー34の流入を促すとともに、初期凝固における鋳型と鋳片との接触圧を軽減することにより、表面性状の向上を図ることが開示されている。
【0003】
この電磁力を利用する技術においては、電磁コイルによって付与される交流磁場により、鋳型を構成する冷却銅板に誘導電流が誘起され、その表面効果によって鋳型内の溶融金属に付与さるべき磁場が減衰することがあり、これを抑制し、且つ強度的に優れた鋳型の開発も行われている。
【0004】
特開2000−246397号公報では、図11に示すように、連続鋳造鋳型内の溶融金属のメニスカス初期凝固部付近の金属に前記鋳型壁に直角な方向に電磁力を印加させる溶融金属の連続鋳造装置において、前記鋳型31の外周面に交流電流を通電する電磁コイル35と、1対の第1の冷却銅板39と、この銅板と組み合わされる非磁性のステンレス鋼からなるバックプレート41、および1対の第2の冷却銅板40と、この銅板と組み合わされる非磁性のステンレス鋼からなるバックプレート42、および絶縁物46を含む複数の分割冷却部からなり、それぞれの前記第1の冷却銅板と前記第2の冷却銅板とは、鋳造面と反対側の面に少なくとも1つの溝を有し、それぞれの前記第1および第2の冷却銅板と組み合わされるバックプレートで、前記第1および第2の冷却銅板の前記溝を有する面側を密閉固定することにより、前記溝は冷却通路43を形成し、前記第1の冷却銅板と前記第2の冷却銅板とは、絶縁物46を介して電気的に絶縁されており、前記第1冷却銅板と組み合わされるバックプレートと前記第2の冷却銅板と組み合わされるバックプレートとは、電気的に互いに絶縁された状態で締結されている鋳型とを備えることが開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記特開2000−246397号公報に開示された連続鋳造装置の鋳型では、電磁力のロスを低減できるとともに、鋳型の各辺の全長を単位として分割することによって、加工精度、組み立て精度を確保できるという利点がある。
【0006】
しかしながら、この鋳型は、冷却銅板を組み合わせた鋳型のコーナー部を拡大した水平断面の概略図である図10に示すように、冷却銅板を電気的に絶縁する絶縁物46は、その合わせ面48のみにしか配置されておらず、鋳型の繰り返し使用により合せ面が磨耗して生じた隙間に溶融金属が浸入したり、鋳造中の溶融金属のスプラッシュが鋳型壁のコーナー部近傍に付着するなどして、鋳型の冷却銅板やパックプレートの合わせ面、鋳型のコーナー部近傍において絶縁性が低下することは避けられない。このような場合、鋳型の周囲に配置された電磁コイルにより冷却銅板内に浸透した磁場により鋳型の冷却銅板に誘導電流が流れ、その表面効果により鋳型内の溶融金属に付与されるべき誘導磁場が減衰するほか、鋳型の発熱が大きくなると溶融金属の凝固シェルの形成にも影響を与えるという問題がある。
【0007】
連続鋳造法においては、従来から凝固シェルの形成制御およびその鋳片品質への影響を制御する技術に関して多くの提案がなされてきた。例えば、凝固シェルの破壊により鋳型内の溶融金属が流出するブレークアウトの発生に対して、特開平5−57412号公報には、図13に示すように、連続鋳造設備の鋳型壁31に、互いに異なる位置に埋設された複数の温度検出手段36によって検出される各位置の温度を監視し、拘束性ブレークアウトを予知する方法において、温度検出手段の各々の検出温度をサンプリングし、各検出時刻における温度勾配の標準偏差を計算し、この標準偏差に所定の係数αを乗じた値を拘束性ブレークアウト時に発生する凝固シェル破断を判定する閾値とするブレークアウトの予知方法が開示されている。
【0008】
また、鋳片品質との関係において、特許第3093586号には、連続鋳造鋳片の縦割れの発生を早期に予知し、防止対策に適切に反映させるための予知方法が提案されている。これは、図14に示すように、連続鋳造機の鋳型31の幅方向に設置された鋳型の鋳造方向に複数個の温度検出点50a、50bをもつ温度検出列51a、51bに現れる鋳型壁の温度の時系列変化に基づき、一次遅れと共分散値とを用いて鋳造欠陥の指標を指数化し、その大小により縦割れ核52の発生を判定する方法である。
【0009】
これらの、ブレークアウト、縦割れ検出方法については、鋳型に複数の温度検出手段が設けられているが、凝固シェルの状態の反映としての鋳型温度を測定することを狙いとしており、いずれも鋳型の凝固面に対応する面を中心に配置されている。電磁コイルによって溶融金属に電磁力を付与しつつ連続鋳造する際において、上述の問題点を解決し、操業を安定化させ、かつ良質の鋳片をうるための技術は、提案されていない。
【0010】
本発明は、電磁コイルを有する連続鋳造装置において、鋳型の絶縁性の低下を操業中においても的確に検知できる連続鋳造用鋳型を提供するとともに、安定した操業を可能にし、磁場強度の低下に伴う鋳片品質への影響を最小限にすることのできる連続鋳造方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を要旨とするものである。
【0012】
(1)電磁コイルを有する連続鋳造装置の連続鋳造用鋳型において、該鋳型は、1対の第1の冷却銅板が1対の第2の冷却銅板にはさまれ、前記第1の冷却銅板と前記第2の冷却銅板との合わせ面は、絶縁物を介して電気的に互いに絶縁されており、さらに、前記冷却銅板のコーナー部で、かつその前記電磁コイルの設置高さに対応する高さ方向±100mmの範囲内に、温度測定素子が設置されていることを特徴とする連続鋳造用鋳型。
【0013】
(2)前記温度測定素子が、熱電対、測温抵抗体又は、光ファイバー温度計であることを特徴とする(1)記載の連続鋳造用鋳型。
【0014】
(3)(1)又は(2)記載の連続鋳造用鋳型の周囲に設けた電磁コイルに通電し、前記鋳型内に浸漬ノズルから供給した溶融金属に電磁力を印加しつつ連続鋳造する方法において、前記温度測定素子の温度測定値あるいは温度測定値の上昇速度が、所定値以上になったとき、電磁コイルへの通電を停止、或いは電流値を下げることを特徴とする連続鋳造方法。
【0015】
(4)(1)又は(2)記載の連続鋳造用鋳型の周囲に設けた電磁コイルに通電し、前記鋳型内に浸漬ノズルから供給した溶融金属に電磁力を印加しつつ連続鋳造する方法において、前記温度測定素子の温度測定値あるいは温度測定値の上昇速度が所定値以上になったとき、鋳造速度を低下させ、あるいは鋳造を停止することを特徴とする連続鋳造方法。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を実施例の図面に従って詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の連続鋳造用鋳型の組立概念を示す斜視図であり、図2は、このようにして組み立てられた本発明の連続鋳造用鋳型の水平断面概略図である。図1、図2において、本発明の連続鋳造用鋳型は、第1の対向する冷却銅板1,1(通常、鋳型の短辺側)と、これを挟んで対向する第2の冷却銅板2,2(通常、鋳型の長辺側)とから鋳型壁面が構成され、さらに、これらの冷却銅板の背面、すなわち冷却銅板の溶鋼と接する側と反対側の面、には第1の冷却銅板1,1と組み合わされてこれを支持する一対の第1のバックプレート5,5と、第2の冷却銅板2,2と組み合われされてこれを支持する一対の第2のバックプレート6,6が設けられる。さらに、第1の冷却銅板とこれを挟んで配置される第2の冷却銅板との合わせ面12は、絶縁物3,4により電気的に絶縁されると共に、バックプレート5,5とこれを挟むバックプレート6、6とは電気的に絶縁されて締結されている。
【0018】
バックプレートは、好適には非磁性のステンレス鋼で構成されており、バックプレート5とこれと組み合わされるバックプレート6とは、間隙13をもっており、締結ボルト9により電気的に絶縁されて締結固定される。すなわち、締結ボルト9の頭部および軸部とバックプレート6の外周面およびボルト穴の内面との間には、絶縁ワッシャ10および絶縁スリーブ11が介在しており、これにより電気的に絶縁されて締結固定される。
【0019】
このように構成された鋳型の外周には、鋳造時に鋳型内の溶融金属に磁場を与えるための電流を流す電磁コイル8が設けられる。なお、本発明において、絶縁物とは、電気的絶縁物を指すものとする。
【0020】
図3は、本発明の連続鋳造用鋳型を構成する冷却銅板のコーナー部を示す斜視図である。図3に示すように、第1の冷却銅板1と冷却銅板2,2とで形成されるコーナー部(斜線で示す)の1つ以上に、温度測定素子7が複数設けられている。
【0021】
図4は、図3のコーナー部の水平断面図である。温度測定素子7が設置される冷却銅板のコーナー部とは、図4に示すように、鋳型を構成した際、他の冷却銅板1を挟み込む側(通常、長辺側)の冷却銅板2の長さ方向の仮想線15a,15bと、挟み込まれる側の冷却銅板1の長さ方向の仮想線14a,14bとが交叉して形成される冷却銅板上の矩形の範囲(斜線で示す)であり、水冷銅板の合わせ面の形状により、図4のように、一方の冷却銅板のみが含まれる場合と、図5(a)〜(d)のように、双方の冷却銅板が含まれる場合とがあり、本発明はその双方を含むものである。
【0022】
したがって、温度測定素子は、コーナー部を構成する冷却銅板1または2の少なくとも一方に設ければよい。
【0023】
上述のように、このコーナー部は、第1の冷却銅板と、第2の冷却銅板との合わせ面が少なくとも含まれており、絶縁物によって電気的に絶縁されている。しかし、図10に示したように、冷却銅板の合わせ面48の摩耗、冷却銅板への溶融金属スプラッシュの付着などにより短絡したり、或いは何らかの原因で過大な誘導電流が流れた場合に、この合わせ面での発熱が大きくなりやすく、誘導電流の変化による温度変化が現れやすい箇所である。また、コーナー部であれば、溶融金属の凝固状態の変動などによる鋳型の温度変化の影響を他の部分に比べて受けにくく、誘導電流による発熱をより的確に検知するのに好適である。本発明において、温度測定素子をこのコーナー部に設けるのは、このような理由からである。
【0024】
図6は、図2に示した本発明の鋳型のA−A視の垂直断面概略図である。図6に示すように、温度測定素子7は、冷却銅板のコーナー部でかつ、冷却銅板の電磁コイルの設置高さに対応する高さ方向±100mmの範囲内に設けられている。これは、誘導電流の発生が、電磁コイルの高さ中心位置でもっとも強く、これより上下に離れるに従って減少するからである。温度測定素子7の設置高さがコイルの設置高さの±100mmの範囲を超えると誘導電流の変化による温度変動が現われにくくなるので上記の範囲内に限定する。磁場の強さを監視するには、誘導電流の変化がもっとも感度よく検知できるこのような位置に設置するのが好ましく、温度測定素子は、図6に示すように、冷却銅板のコーナー部でかつ、鋳型の高さ方向で、電磁コイルの設置高さに対応する位置の範囲内で、好ましくは、電磁コイルの高さ中心位置に対応する位置を含んで、適切な間隔をもって、高さ方向に複数設けることが好ましい。電磁コイルの高さ中心位置に設置するのは誘導電流が最も流れやすく、その部位で短絡した場合、温度上昇が大きい点で好ましいからである。高さ方向に複数設置するのはコイル近傍での短絡をすべて検知する点で好ましいからである。温度測定素子は、鋳型の全てのコーナー部にも設けてコーナー部の温度変化を監視するのが好ましいが、1つのコーナー部に設けたものでもよい。
【0025】
温度測定素子は、熱起電力を利用した熱電対、或いは、抵抗の温度変化を利用したサーミスタや白金抵抗温度計などの測温抵抗体などを好適に使用できる。或いはまた、屈折率を利用した光ファイバー温度計を利用することも好ましい。
【0026】
これらの温度測定素子は、冷却銅板の上記コーナー部でかつその電磁コイルの設置高さに対応する高さ方向±100mmの範囲内に、孔を設けて上記温度測定素子を埋め込むことによって設けることができる。なお、光ファイバーの場合は、複数設置ではなく、一本の光ファイバーを一筆書きで4つのコーナーに設けることにより、4コーナーすべてを計測できる。
【0027】
上述のように、本発明の鋳型においては第1の冷却銅板1とこれを挟んで配置される第2の冷却銅板2との合わせ面12には、絶縁物が設けられ、電気的に絶縁されるが、この絶縁物は冷却銅板1および冷却銅板2のいずれか一方または双方の面に配置される。すなわち、図7は、図2に示した本発明の連続鋳造用鋳型のコーナー部の冷却銅板の合わせ面近傍の水平断面概略図であるが、図2に示す例においては、図7(a)のように、第1の冷却銅板1とこれを挟んで配置される第2の冷却銅板2の合わせ面12の双方に、絶縁物3及び4が設けられているが、この合わせ面の絶縁物は、図7(b)、(c)のように、冷却銅板1および冷却銅板2のいずれかの面に設けても良い。
【0028】
また、合わせ面に設ける絶縁物は、耐熱性を備える電気絶縁性材料であれば良いが、耐磨耗性にも優れた電気絶縁性セラミックスが好ましい。このようなセラミックスとしては、アルミナ系セラミック、ジルコニア系セラミックス等を適用できる。冷却銅板の合わせ面に絶縁物を設けるには、絶縁物、例えばアルミナや、ジルコニアなどのセラミック板を、冷却銅板の所定の部分に接着剤(セラミック系)、耐熱性無機接着剤などにより接着する方法、あるいは、絶縁物の粉末をプラズマあるいはガス溶射法にて銅板の表面に溶射して形成する方法など適宜採用することができる。
【0029】
本発明の連続鋳造鋳型における誘導電流の異常、たとえば絶縁性低下、の検知効果を確認するために、内寸法が1500mm×250mm、高さが800mmのサイズの水冷構造の鋳型を20mm厚さの銅板により構成し、その背面に50mm厚さの非磁性ステンレス鋼製のバックプレートを設けて、この鋳型の外周にコイル高さ120mmの電磁コイルを設置し、水平断面形状が図2のような鋳型とした。但し、合わせ面の絶縁は、図7(b)のように、第1の冷却銅板1の合わせ面にジルコニア系セラミックスを溶射し、厚さ0.5mm×幅20mm×高さ800mmの絶縁物3を形成したものとした。
【0030】
また、第2のバックプレート6の外面およびボルト穴の内面と締結ボルト9の頭部および軸部との接触面には、絶縁ワッシャ10および絶縁スリーブ11を設けてバックプレート同士を絶縁した。
【0031】
また、温度測定素子7として熱電対を、第2の冷却銅板のコーナー端面からの深さ10mm、外周面からの深さ10mmの位置で、且つ、電磁コイルの設置設高さ中心位置および電磁コイルの下端から上端までの間を20mmピッチで合計7箇所とし、それぞれ4つのコーナーに設けた。
【0032】
この鋳型の第1の冷却銅板と第2の冷却銅板との合わせ部の外周面で、且つ電磁コイルの高さ中心位置に対応する位置に、厚さ1mm、幅5mm、長さ5mmの鉄の板を溶接して鋳型の冷却銅板を短絡させ、鋳型の絶縁レベルを短絡なし、2面短絡、4面短絡の3水準に変化させた。
【0033】
電磁コイル8に100Hzの交流電流を通電した状態とし、コーナー各点における温度を測定すると共に、電磁コイル設置高さ中心位置に対応する位置、かつ鋳型幅、厚さの中心位置での磁場強度を測定し、各時点での磁場強度と初期状態での磁場強度との比、すなわち、相対磁場強度を調査した。鋳型の絶縁レベルとコイルの高さ中心位置に相当する点の温度および相対磁場強度との関係を図8に示す。
【0034】
図8から判るように、2面短絡、4面短絡と鋳型の絶縁レベルが低下するに従って、相対磁場強度が低下し、鋳型の冷却銅板の4コーナー×7点のモニター点の中の最高温度が上昇している。このことから、コーナー部の温度を監視することによって、絶縁性の低下、その他の理由による鋳型に流れる誘導電流の異常、すなわち磁場強度の減衰を検知することができることが判る。
【0035】
なお、本発明の鋳型において、冷却銅板を冷却する方法は、特開2000−246397号公報に開示されたような銅板とバックプレートとで水冷通路を設けるようにしても良いし、銅板内に冷却水路を設けるようにするなど、周知の方法を採用することができる。
【0036】
このように、本発明の連続鋳造用鋳型には、これを構成する冷却銅板のコーナー部で、且つ電磁コイルの設置高さに対応する位置の近傍に、温度測定素子を設けられており、これによって、鋳型の温度を測定し、その変化を検知することができる。
【0037】
すなわち、この温度変化を検知することは、鋳型の周囲に設置された通電コイルにより鋳型に誘起される誘導電流に起因する発熱の変化を検知することであり、従って、鋳型の絶縁の低下、電磁コイルの異常などを早期に検知し、鋳型内の溶融金属に付与すべき電磁力の減衰を的確に把握することができる。
【0038】
したがって、上述のような本発明の連続鋳造用鋳型を用いて、これに浸漬ノズルより溶融金属を供給すると共に、電磁コイルに通電しつつ、連続鋳造する際に、鋳型の冷却銅板のコーナー部に設けた温度測定素子による温度測定値を監視し、温度測定値が一定値を超える、あるいは温度測定値の上昇速度(温度の上昇速度)が一定値を超えるなどの変化があった場合には、溶融金属へ付加される電磁力の減衰とともに、鋳型の局部的な発熱による凝固の遅れなどの異常を想定し、適切な対策を採ることができる。温度測定値は同一測定箇所の温度データを用いることもできるし、同一コーナー部の最大温度データ、又は測定全箇所の温度データを用いることもできる。
【0039】
つまり、電磁コイルへの通電を停止、或いは電流値を下げるなどの通電制御を行うことによって、鋳型の温度上昇を抑えて凝固への影響を小さくし、鋳造を続行できるようにするか、或いは、鋳造速度を下げて凝固の進行を確保するなどの対応を採用したり、温度変化が急速且つ大きい場合は、鋳造を中断するなど鋳造条件を制御する対応を講じることも可能である。
【0040】
【実施例】
内寸法が1500mm×250mm、高さが800mmのサイズの水冷構造の鋳型を20mm厚さの銅板により構成し、その背面に50mm厚さの非磁性ステンレス鋼製のバックプレートを設けて鋳型を構成し、この鋳型の外周にコイル高さ120mmの電磁コイルを設置し、水平断面形状が図2のような鋳型とした。但し、冷却銅板の絶縁は、図7(b)に示すように、第1の冷却銅板1の合わせ面に、ジルコニア系セラミックスを溶射し、厚さ0.5mm×幅20mm×高さ800mmの絶縁物3を形成した。
【0041】
また、第2のバックプレート6の外面およびボルト穴の内面と締結ボルト9の頭部および軸部との接触面には絶縁ワッシャ10および絶縁スリーブ11を設けてバックプレ―ト同士を絶縁した。
【0042】
また、温度測定素子7として熱電対を、第2の冷却銅板のコーナー端面からの深さ10mm、外周面からの深さ10mmの位置で、且つ、電磁コイルの設置高さ中心位置に対応する位置および電磁コイルの下端から上端までに対応する間を20mmピッチで合計7箇所とし、それぞれ4つのコーナーに設けた。
【0043】
この鋳型内に、浸漬ノズルより(図示しない)S45Cの溶鋼を供給し、電磁コイル8に100Hzの交流電流を通電して鋳造を行った。
【0044】
コーナー各点における温度を測定し、各点の温度の変化を監視した。鋳造初期の各点の温度は40〜60℃であった。図9に鋳造中の異常発生点近傍の温度履歴を示す。図9の100秒位置で磁場印加したが、温度が急上昇(+50℃)したので、直ちに電流を停止して鋳造を継続し、当該チャージの溶鋼の鋳造を完了した。この鋳型により、他のチャージの溶鋼について電磁コイルに通電して鋳造を繰返したところ、合計で約100時間鋳造後に異常が発生し、全測定点中の温度測定素子の最高温度が105℃と急激に上昇したため、電磁コイルへの電流を止め、鋳造速度を2.0m/分から1.0m/分に下げて鋳造を続行し、鋳造を完了した。
【0045】
鋳造完了後、鋳型の冷却銅板を確認したところ、温度異常箇所近傍のコーナー部の鋳造方向に10mmの範囲で絶縁部が地金付着で短絡し、絶縁が不良となっていた。
【0046】
このように、コーナー部の温度を監視することによって、絶縁性の低下を事前に検知することができ、安定した鋳造をすることができることが確認された。
【0047】
【発明の効果】
本発明の連続鋳造用鋳型には、これを構成する冷却銅板のコーナー部で、且つ、その電磁コイルの設置高さに対応する位置の近傍に、複数の温度測定素子が設けられており、これによって、鋳型の温度を測定し、その変化を検知することができる。すなわち、鋳型の周囲に設置された電磁コイルにより鋳型内に誘起される誘導電流に起因する発熱の変化を検知することができる。これにより、鋳型の絶縁の低下、電磁コイルの異常などを早期に検知し、通電コイルへの電流制御、鋳造速度の調整など、適切な処置を採ることができ、鋳型の絶縁性を安定して確保し、長期にわたって良質な鋳片を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の連続鋳造用鋳型の組み立て概念図。
【図2】本発明の連続鋳造用鋳型の水平断面概略図。
【図3】本発明の連続鋳造用鋳型の冷却銅板で構成されるコーナー部の斜視図。
【図4】本発明の連続鋳造用鋳型の冷却銅板で構成されるコーナー部への温度測定素子の配置状況を示す水平断面概略図。
【図5】本発明の連続鋳造用鋳型の冷却銅板で構成されるコーナー部への温度測定素子の配置状況の他の例を示す水平断面概略図であり、(a)、(c)は冷却銅板2に、(b)、(d)は、冷却銅板1に、それぞれ温度測定素子を配置した状況を示す。
【図6】図2のA−A視垂直断面概略図。
【図7】本発明の連続鋳造用鋳型の冷却銅板の合わせ面への絶縁物の配置状況を示す水平断面概略図であり、(a)は、合わせ面の双方の面に、(b)は、合わせ面の片方の面に、(c)は、合わせ面の他の片方の面に、それぞれ絶縁物を配置した状況を示す。
【図8】本発明の連続鋳造用鋳型における鋳型の絶縁レベルと相対磁場強度および電磁コイル設置高さ中心位置に対応する位置の測定点の温度との関係を示す図。
【図9】鋳造中に温度異常が発生した異常発生チャージの異常発生時近傍の温度履歴を示す図。
【図10】従来の連続鋳造用鋳型の冷却銅板で構成されるコーナー部の水平断面概略図。
【図11】従来の連続鋳造用鋳型の水平断面図。
【図12】電磁力を付与する連続鋳造技術を示す概念図。
【図13】従来の連続鋳造鋳型におけるブレークアウトを検知するための温度測定点を示す斜視図。
【図14】従来の連続鋳造鋳型における縦割れ核を検知するための温度測定点を示す斜視図。
【符号の説明】
1…第1の冷却銅板
2…第2の冷却銅板
3…第1の冷却銅板の合わせ面の絶縁物
4…第2の冷却銅板の合わせ面の絶縁物
5…第1のバックプレート
6…第2のバックプレート
7…温度測定素子
8…電磁コイル
9…締結ボルト
10…絶縁ワッシャ
11…絶縁スリーブ
12…冷却銅板の合わせ面
13…間隙
14a、14b…第1の冷却銅板の長さ方向の仮想線
15a、15b…第2の冷却銅板の長さ方向の仮想線
31…鋳型
32…溶融金属
33…メニスカス
34…パウダー
35…通電コイル
36…温度検出手段(熱電対)
38…浸漬ノズル
39…第1の冷却銅板
40…第2の冷却銅板
41…第1の冷却銅板と組み合わされるバックプレート
42…第2の冷却銅板と組み合わされるバックプレート
43…冷却水通路
44…締結ボルト
45…絶縁締結ボルト
46…絶縁物
47…シール物
48…合わせ面
49…鋳造面
50a、50b…温度検出点
51a、51b…温度検出列
52…縦割れ核

Claims (4)

  1. 電磁コイルを有する連続鋳造装置の連続鋳造用鋳型において、該鋳型は、1対の第1の冷却銅板が1対の第2の冷却銅板に挟まれ、前記第1の冷却銅板と前記第2の冷却銅板との合わせ面は、絶縁物を介して電気的に互いに絶縁されており、さらに、前記冷却銅板のコーナー部で、かつその前記電磁コイルの設置高さに対応する高さ方向±100mmの範囲内に、温度測定素子が設置されていることを特徴とする連続鋳造用鋳型。
  2. 前記温度測定素子が、熱電対、測温抵抗体又は光ファイバー温度計であることを特徴とする請求項1記載の連続鋳造用鋳型。
  3. 請求項1又は2記載の鋳型の周囲に設けた電磁コイルに通電し、前記鋳型内に浸漬ノズルから供給した溶融金属に電磁力を印加しつつ連続鋳造する方法において、前記温度測定素子の温度測定値あるいは温度測定値の上昇速度が所定値以上になったとき、電磁コイルへの通電を停止、あるいは電流値を下げることを特徴とする連続鋳造方法。
  4. 請求項1又は2記載の鋳型の周囲に設けた電磁コイルに通電し、前記鋳型内に浸漬ノズルから供給した溶融金属に電磁力を印加しつつ連続鋳造する方法において、前記温度測定素子の温度測定値あるいは温度測定値の上昇速度が所定値以上になったとき、鋳造速度を低下させ、あるいは鋳造を停止することを特徴とする連続鋳造方法。
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