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JP4197503B2 - 連続鋳造用鋳型 - Google Patents
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JP4197503B2 - 連続鋳造用鋳型 - Google Patents

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本発明は、連続鋳造用鋳型に関し、より詳しくは、電磁コイルを有し、鋳型内の溶融金属に電磁力を印加可能な連続鋳造用鋳型に関する。
溶融金属の連続鋳造技術において、溶融金属の湯面の安定化、連続鋳造した鋳片表面の平滑化、及び鋳造速度の高速化を達成するために、鋳造時に電磁力を利用する技術が開発されている。
例えば、特許文献1には、図9に示すように、電磁コイル160が配置された連続鋳造用鋳型110が開示されている。電磁コイル160に交流電流を供給することによって交流磁場を発生させ、溶融金属170のメニスカス部172を、図示するように湾曲させ、パウダー174の流入を促進する。また、初期凝固における鋳型と鋳片との接触圧を軽減することにより、製造される鋳型の表面性状の向上が図られる。しかしながら、この方法では、電磁コイル160によって発生する交流磁場により、鋳型を構成する冷却銅板に誘導電流が誘起され、鋳型内の溶融金属170に付与される磁場が減衰する問題があった。
溶融金属に付与される磁場の減衰を抑制し、電磁効果を向上させる技術としては、図8に示す、スリット180が形成された鋳型111が提案されている(特許文献2参照)。鋳型111は、鋳造方向に平行な方向に形成された複数のスリット180によって、セグメント部分185に分割されており、必要に応じて、鋳型111には、セグメント部分185を連結する複数の桁(図示せず)が配置される。鋳型の中央部には、溶融金属を供給するための、浸漬ノズル190が配置される。溶融金属に磁場を作用させるための電磁コイル160は、鋳型のセグメント部分185を周回するように配置される。スリット180によって、溶融金属に効率よくピンチ力を作用させることができる。しかしながら、このようなスリットを設けた鋳型は、バックプレートなどで補強することができないため剛性が劣り、鋳型に熱変形が生じやすい。このため、スラブなどの大断面を有する鋳片の製造に適用することが困難であった。
これらの問題を解決するために、図7に示す、複数の部位から構成された鋳型が提案されている(特許文献3参照)。この連続鋳造用鋳型112は、1対の第1冷却銅板120、1対の非磁性ステンレス鋼からなる第1バックプレート125、1対の第2冷却銅板130、1対の非磁性ステンレス鋼からなる第2バックプレート135、および絶縁物140から構成され、外周面には交流電流を通電する電磁コイル160が配置されている。第1冷却銅板120と第1バックプレート125との接合面、および第2冷却銅板130と第2バックプレート135との接合面には、少なくとも1つの溝が形成されており、この溝によって、冷却通路138が形成される。鋳型の中央部には、溶融金属を供給するための、浸漬ノズル190が配置される。
第1冷却銅板120と第2冷却銅板130とは、絶縁物140を介して電気的に絶縁されている。また、第1バックプレート125と第2バックプレート135とは、電気的に互いに絶縁された状態で締結されている。このように鋳型を複数の部材から構成し、部材間を絶縁することによって、電磁力のロスを低減可能である。また、鋳型の各辺の全長を単位として分割することによって、加工精度、組み立て精度を確保できる利点がある。
しかしながら、第1冷却銅板120をスライドさせて製造される鋳片の幅を変更すると、摩擦や異物のかみこみによって、絶縁物140が損傷したり脱落したりする可能性がある。つまり、鋳造において、幅変更などの操業を繰り返すと、絶縁能力が低下し、所定の電磁力を印加できなくなる問題が懸念される。
特開昭52−32824号公報 特開平5−15949号公報 特開2000−246397号公報
そこで、本発明の目的は、電磁力を鋳型内の溶融金属に印加可能である連続鋳造用鋳型であって、製造される鋳片の幅を変更可能であり、かつ、長期に亘って良質の鋳片を製造可能である、連続鋳造用鋳型を提供することである。
本発明は、
(1) 対向する1対の第1冷却銅板と、前記1対の第1冷却銅板と共に溶融金属が流通する空間を仕切るように、前記1対の第1冷却銅板を側面から挟むように配置された、対向する1対の第2冷却銅板と、前記第1冷却銅板の外部に、前記第1冷却銅板と電気的に絶縁するように配置された、1対の第1バックプレートと、前記第2冷却銅板の外部に配置された、1対の第2バックプレートと、前記溶融金属が流通する空間に供給された溶融金属に、電磁力を印加可能な電磁コイルと、を有する連続鋳造用鋳型であって、前記第1バックプレートは、前記第2冷却銅板および前記第2バックプレートと非接触または電気的に絶縁されており、前記第1冷却銅板および前記第1バックプレートは、前記溶融金属が流通する空間の大きさを変更可能なように、可動であり、前記第1冷却銅板は、鋳造方向に前記第1冷却銅板を分割する絶縁物によって、前記1対の第2冷却銅板を結ぶ方向に電気的に絶縁されてなり、前記溶融金属が流通する空間に供給された溶融金属の熱によって、前記絶縁物と前記絶縁物によって分割された前記第1冷却銅板との間に隙間が生じることを防止するための、隙間防止手段を有することを特徴とする、連続鋳造用鋳型、
(2) 前記隙間防止手段は、前記第1冷却銅板における、前記溶融金属が流通する空間に供給された溶融金属と接触していない部位を、加熱する手段であることを特徴とする、(1)に記載の連続鋳造用鋳型、
(3) 前記隙間防止手段は、前記第1冷却銅板における、前記溶融金属が流通する空間に供給された溶融金属と接触していない部位を、機械的に保持する手段であることを特徴とする、(1)に記載の連続鋳造用鋳型、
(4) 前記隙間防止手段は、前記第1冷却銅板における、前記溶融金属が流通する空間に供給された溶融金属と接触していない部位を、加熱する手段および機械的に保持する手段であることを特徴とする、(1)に記載の連続鋳造用鋳型、
(5) 前記加熱する手段は、前記第1冷却銅板に配置された、熱電対、または温水、水蒸気もしくは過熱水蒸気が流通する流路であることを特徴とする、(2)または(4)に記載の連続鋳造用鋳型、
(6) 前記機械的に保持する手段は、前記第1冷却銅板を保持するクランプまたはタイボルトであることを特徴とする、(3)または(4)に記載の連続鋳造用鋳型、
である。
本発明の連続鋳造用鋳型は、冷却銅板中に絶縁物が配置されている。その上、本発明の連続鋳造用鋳型は、溶融金属の熱によって鋳型に隙間が発生することを防止する手段が配置されている。これらの部材によって、鋳造される鋳片の幅の変更に伴う絶縁性の低下が防止され、鋳型の絶縁性が長期間に亘って保持される。このため、長期に亘って良質の鋳片を製造することが可能となる。
本発明者らは、絶縁物の損傷や脱落によって絶縁能力が低下する問題は、冷却銅板を溶融金属が送られる方向に分割し、分割された冷却銅板間に絶縁物を配置することによって、解決可能であることを見出した。まず、この発明について、図面を用いて説明する。
図1は、冷却銅板中に絶縁物が配置された連続鋳造用鋳型10の斜視図である。図2は、冷却銅板中に絶縁物が配置された連続鋳造用鋳型10の水平断面の部分概略図である。連続鋳造用鋳型10は、1対の対向する第1冷却銅板20と、第1冷却銅板20を挟む、1対の対向する第2冷却銅板30を有し、1対の第1冷却銅板20と1対の第2冷却銅板30とによって、鋳型壁面が形成されている。第1冷却銅板20は鋳型の短辺側を構成し、可動である。また、第2冷却銅板30は鋳型の長辺を構成し、固定されている。図1および図2に示す態様においては、第2冷却銅板30は固定されているが、場合によっては可動式にしてもよい。第2冷却銅板30が固定されている場合であっても、第2冷却銅板30は、第1冷却銅板20の熱膨張に対応できる程度には、可動であることが好ましい。
第1冷却銅板20および第2冷却銅板30の外側、即ち第1冷却銅板20および第2冷却銅板30に関して溶融金属と接する側と反対側には、第1冷却銅板20を支持する一対の第1バックプレート25と、第2冷却銅板30を支持する第2バックプレート35が設けられる。短辺側の第1冷却銅板20と第1バックプレート25とは、絶縁物40(図1には図示せず)を介して絶縁されている。第1冷却銅板20と第1バックプレート25との締結部も、絶縁スリーブと絶縁ワッシャーにより絶縁されている。また、第1バックプレート25は、第2冷却銅板30および第2バックプレート35とは、非接触または絶縁物を介して電気的に絶縁されている。
そして、図1および図2に示す連続鋳造用鋳型の特徴として、第1冷却銅板は鋳造方向に分割されており、分割面には絶縁物45が配置される。つまり、第1冷却銅板20は、鋳造方向に第1冷却銅板20を分割する絶縁物45によって、1対の第2冷却銅板30を結ぶ方向に電気的に絶縁されている。「鋳造方向」とは、図1に示すように、溶融金属が移動する方向を意味する。「1対の第2冷却銅板30を結ぶ方向に絶縁されている」とは、一方の第2冷却銅板30から、もう一方の第2冷却銅板30へ、第1冷却銅板20を通じて電気が流れないようになっていることを意味する。このような絶縁物45を冷却銅板中に配置した場合、冷却銅板を流れる誘導電流によって磁場が減衰する問題が解決できる。その上、第1冷却銅板20を移動させて製造される鋳片の大きさを変更する場合における、絶縁物の損傷や脱落が防止される。
第1バックプレート25の外側には、鋳片の幅を変更するためのシリンダー50が取り付けられている。シリンダー50は、鋳造中にオンラインで幅を自由に変更出来る方式が望ましく、油圧式の制御機構を有する構造が好ましい。更に、第1冷却銅板および第1バックプレート25からなる短辺の傾きを自在に変更可能とするためには、図示するように、鋳造方向に2本のシリンダーを取り付けるのが好ましい。
鋳型の外周には、鋳造時に鋳型内の溶融金属に交流磁場を与えるために、交流電流が流される電磁コイル60が配置される。
図1および図2に示す連続鋳造用鋳型の構成部材について、より詳細に説明する。ただし、以下において説明する態様に、本発明の連続鋳造用鋳型が限定されるわけではなく、特許文献3に記載の技術など、既に得られている知見に基づいた改良が施されてもよい。また、新たに見出された改良が施されてもよい。
第1冷却銅板20および第2冷却銅板30は、鋳造される溶融金属を保持し、冷却するために用いられる。第1冷却銅板20および第2冷却銅板は、それぞれ、対向するように配置され、第1冷却銅板20および第2冷却銅板30の4枚の板によって、溶融金属が流通する空間が仕切られる。即ち、向かい合う1対の第1冷却銅板20と、向かい合う1対の第2冷却銅板30とによって、溶融金属が流通する空間が仕切られる。1対の第2冷却銅板30は、1対の第1冷却銅板20を側面から挟むように配置される。即ち、図示するように、各第1冷却銅板20は、対向する2つの側面において、1対の第2冷却銅板30の溶融金属が供給される側の面と接触している。
第1冷却銅板20および第2冷却銅板の主成分は銅であるが、Cr、Zr、Alなどの元素を含む銅合金であることが好ましい。Cr、Zr、Alなどの元素を含む銅合金は、電磁力の浸透性に優れ、電気伝導度が小さいため、第1冷却銅板20および第2冷却銅板30として好適である。第1冷却銅板20および第2冷却銅板30は、同一の材料からなっていてもよいし、場合によっては異なる材料から構成されてもよい。
第1冷却銅板20および第2冷却銅板の厚みは、特に限定されないが、電磁力浸透性を向上させる観点からは薄い方が好ましい。ただし、第1バックプレート25または第2バックプレート35とボルトで締結するには、10mm以上の厚みがあることが好ましい。冷却銅板の厚さの上限は、研削代を考慮すると、60mm以下であることが好ましい。
第1冷却銅板20は、鋳造方向に第1冷却銅板20を分割する絶縁物45によって、1対の第2冷却銅板30を結ぶ方向に電気的に絶縁されている。絶縁物45による第1冷却銅板20の分割の態様は、所望する絶縁性能が得られるのであれば特に限定されない。つまり、鋳造方向に関して、第1冷却銅板20の上面から第1冷却銅板20の下面にかけて絶縁物45が存在し、第1冷却銅板20が絶縁されていればよい。図1には、第1冷却銅板20が絶縁物45によって2枚に分割されている実施形態が示されているが、場合によっては、2枚以上の絶縁物45によって、3枚以上に第1冷却銅板20が分割されてもよい。
また、本実施形態の特徴として、絶縁物45は、第1冷却銅板20と第2冷却銅板30との接触面に存在しない。接触面に絶縁物45を配置しないことによって、摩擦や異物のかみこみによる、絶縁物45の損傷や脱落が防止される。
分割の具体的態様としては、鋳造方向に平行に第1冷却銅板20を分割する態様が挙げられる。ただし、鋳造方向に平行に絶縁物45を配置した場合、絶縁物45を設けた部位の温度が高くなり、その部分のスラブの凝固が不十分になる虞がある。これを回避するには、第1冷却銅板20を鋳造方向に傾斜して分割することが有効である。具体的には、第1冷却銅板20の分割の方向と鋳造方向との角度θが、
Figure 0004197503
を満足することが好ましい。ここで、Aは絶縁物の厚みを100mmで除した値である。これは、メニスカス近傍の、鋳造方向に100mm程度の範囲で、凝固の不均一が鋳片の割れ等に最も影響を及ぼすためである。即ち、鋳造方向の100mmを通過する際に、絶縁層から外れない部分を無くすことが好ましいためである。
また、第1冷却銅板20の分割の方向と鋳造方向との角度の上限は、第1冷却銅板20と第1バックプレート25とを締結するボルトの鋳造方向ピッチで規定されるが、通常の鋳型のボルトピッチ以内で傾きをつけた場合の最大角度が5°となる。
本願において絶縁物とは、電気的に絶縁するものをいう。絶縁物は、特に限定されないが、電気絶縁性のセラミックスプレート、溶射により形成されたセラミックス、アルミナ系セラミックス、ジルコニア系セラミックス、マイカ板、セラミックスファイバー成形体、ポリテトラフルオロエチレンなどが好適である。
絶縁物45の厚みは、絶縁性を確保する観点からは、0.1mm以上とすることが好ましい。また、絶縁物45の厚みは、鋳造初期の溶融金属のさしこみを抑える観点からは、1mm以下にするのが好ましい。
第1バックプレート25は、第1冷却銅板20の外部に、第1冷却銅板20と電気的に絶縁するように配置される。また、第2バックプレート35は、第2冷却銅板30の外部に配置される。
バックプレートの材質によって、印加される電磁場は変化する。バックプレートを非磁性のステンレス鋼とした場合は鋳型内の電磁場の減衰が小さい。即ち、鋳型での磁場減衰を抑えたい場合は、バックプレートを非磁性のステンレス鋼とすることが好ましく、例えば、SUS304系、SUS316系、SUS310系などが好適である。一方、バックプレートを導電率の高い銅あるいは銅合金とすると鋳型内の電磁場が減衰する。これは、電気が流れやすい金属がコイルの内部に設置された場合は、そこに磁場を打ち消す方向に誘導電流が多く流れるためである。従って、冷却銅板近傍の磁場を減衰させたい場合は、バックプレートを導電率の高い銅又は銅合金とすることが好ましい。
第1バックプレート25および第2バックプレート35の厚みは、鋳造中の冷却銅板の変形を抑えるため、剛性を考慮して決定されることが好ましい。例えば、長辺側の幅が1m以上であるスラブを鋳造する鋳型においては、厚みを40mm以上とすることが好ましい。また、厚みが70mm超では、バックプレートでの誘導電流による磁場の損失が大きくなるため、70mm以下とすることが好ましい。
第1バックプレート25は、第1冷却銅板20と電気的に絶縁されるが、絶縁するには、例えば、第1バックプレート25と第1冷却銅板20との間に、絶縁物40を介在させればよい。絶縁物40は、特に限定されないが、電気絶縁性のセラミックスプレート、溶射により形成されたセラミックス、アルミナ系セラミックス、ジルコニア系セラミックス、マイカ板、セラミックスファイバー成形体、ポリテトラフルオロエチレンなどが好適である。
第1バックプレート25は、第2冷却銅板30および第2バックプレート35と非接触または電気的に絶縁される。電気的に絶縁する場合には、前述の絶縁物が用いられうる。ただし、鋳造される鋳片の大きさを変更するために第1バックプレートを移動させる際に、摩擦によって絶縁物が剥離する可能性もあるため、好ましくは非接触とされる。
第1冷却銅板20および第1バックプレート25は可動式であり、溶融金属が流通する空間の大きさを変更し、鋳造される鋳片の大きさを変更可能である。第1冷却銅板20および第1バックプレート25を可動する手段については特に限定されない。例えば、図示するようなシリンダー50が取り付けられる。
鋳型の外周に配置される電磁コイル60の態様についても、鋳造時に鋳型内の溶融金属に交流磁場を印加可能であれば、特に限定されない。
本発明者らは、図1および図2に示す連続鋳造用鋳型の性能を、より向上させる手段について検討した結果、溶融金属からの熱による、冷却銅板の熱膨張の差によって、連続鋳造用鋳型の寿命が低下する可能性があることを見出した。これについて、図3を用いて説明する。図3は、溶融金属が流通する空間側の、第1冷却銅板20の表面の概略図である。図3Aは、第1冷却銅板が膨張する前の概略図であり、図3Bは、第1冷却銅板が膨張した後の概略図である。鋳造過程においては、第1冷却銅板および第2冷却銅板によって仕切られた空間に、溶融金属が供給される。そして、所定の位置に溶融金属の湯面が存在する(図3A)。この湯面より下に存在する第1冷却銅板20は、高温の溶融金属によって直接加熱され、冷却銅板の温度が上昇する。温度上昇に伴う熱膨張によって、第1冷却銅板20の体積は増加し、第1冷却銅板20は横方向に延伸する(図3B)。第1冷却銅板20は、第2冷却銅板30によって挟まれているが、連続鋳造用鋳型は、通常、このような熱膨張に対応できるよう、バネなどの機構により、第2冷却銅板30が多少は広がるように設計されている。
一方、湯面より上に存在する第1冷却銅板20は、熱伝導などによって、溶融金属から間接的には加熱されるものの、溶融金属と接している部位に比べると温度上昇は少ない。一般に、温度上昇は、湯面から遠ざかるほど少なくなる。その結果、湯面より上に存在する第1冷却銅板20の熱膨張による横方向への延伸は、湯面から遠ざかるに従って少なくなり、第1冷却銅板20を分割する絶縁物45周辺において隙間が生じる(図3B)。この隙間に、鋳造に使用されるパウダーが侵入すると、隙間に侵入したパウダーが絶縁物45に悪影響を及ぼし、鋳型の寿命を低下させる可能性がある。
このような問題は、溶融金属が流通する空間に供給された溶融金属の熱によって、絶縁物45と絶縁物45によって分割された第1冷却銅板20との間に隙間が生じることを防止するための、隙間防止手段を設けることによって解決可能である。
隙間防止手段としては、第1冷却銅板20の湯面より上の部位の熱膨張と、湯面より下の部位の熱膨張とを近づける手段、および隙間の発生を物理的手段によって強制的に防止する手段が挙げられる。これらの手段について順に説明する。
湯面上下の熱膨張を近づける手段としては、第1冷却銅板20における、溶融金属が流通する空間に供給された溶融金属と接触していない部位を、加熱する手段が挙げられる。つまり、第1冷却銅板20の湯面より上の部位を加熱して、湯面より下の部位の熱膨張に近づけて、隙間が生じることを防止手段である。加熱手段によって加熱される第1冷却銅板20は、熱伝導性に優れる銅または銅合金であるため、加熱手段周辺の温度を速やかに所望する温度に上昇させることが可能である。
図4は、加熱手段が設けられた第1冷却銅板20の一実施形態の概略図である。第1冷却銅板20の上方に、第1冷却銅板20を加熱するための加熱手段21が設けられている。加熱手段としては、第1冷却銅板20に配置された、熱電対、または温水、水蒸気もしくは過熱水蒸気が流通する流路などが挙げられる。加熱手段として熱電対を用いる場合には、熱電対と第1冷却銅板との間には絶縁物を介在させて、絶縁することが好ましい。作業性や加熱効率を考慮すると、加熱手段21は、水蒸気または過熱水蒸気が流通する流路であることが好ましい。
加熱手段21の配置箇所、形態、個数などについては特に限定されない。連続鋳造用鋳型の大きさ、第1冷却銅板の熱膨張係数、供給される溶融金属の温度などに応じて決定されればよい。多様な鋳造条件に対応するためには、複数の加熱手段21を、鋳造方向に配置してもよいし、広い温度範囲に制御可能な熱電対を設置してもよいし、流通する水蒸気や過熱水蒸気の温度を制御してもよい。例えば、複数の加熱手段21を、鋳造方向に配置した場合には、湯面の高さの変更に適切に対処可能である。具体的には、湯面が高い場合には、第1冷却銅板20の上部にある加熱手段21を稼動させ、第1冷却銅板20の下部にある加熱手段21は停止させる。湯面が低い場合には、第1冷却銅板20の上部にある加熱手段21、および第1冷却銅板20の下部にある加熱手段21の双方を稼動させる。
加熱手段21は、第1冷却銅板20の温度を、経時的に観察して、それに応じて制御されてもよいし、経験則に則って制御されてもよい。経時的に温度を観察する方法としては、第1冷却銅板20に、鋳造方向に複数の温度測定装置を配置して、鋳造方向の温度分布を観察する方法が挙げられる。経験則を用いる場合には、コンピュータシミュレーションや、テストサンプルにおける、第1冷却銅板20の膨張度合いを考慮して、加熱手段21を制御すればよい。
隙間の発生を物理的手段によって強制的に防止する手段としては、第1冷却銅板20における、溶融金属が流通する空間に供給された溶融金属と接触していない部位を、機械的に保持する手段が挙げられる。つまり、第1冷却銅板20の湯面より上の部位を、物理的な力によって、強制的に保持する手段である。
図5は、保持手段としてクランプ22aが設けられた第1冷却銅板20の一実施形態の概略図である。第1冷却銅板20の上方に、絶縁物45周辺に隙間が生じることを防止するためのクランプ22aが設置されている。また、図6は、保持手段としてタイボルト22bが設けられた第1冷却銅板20の一実施形態の概略図である。第1冷却銅板20の上方に、絶縁物45周辺に隙間が生じることを防止するためのタイボルト22bが、第1冷却銅板20の内部に設置されている。図5および図6に示すように、保持手段を設置することによって、絶縁物45周辺に隙間が生じることが防止される。
クランプ22aやタイボルト22bは、隙間が生じることを防止するのに充分な強度を有していれば、材料については特に限定されない。例えば、鋼製のクランプおよびタイボルトが使用される。また、隙間が生じることを防止できれば、クランプやタイボルトの形状についても、特に限定されない。なお、クランプやタイボルトなどの保持手段を用いる場合、保持手段と冷却銅板とは絶縁することが好ましい。
保持手段を用いて、強制的に絶縁物45周辺における隙間の発生を防止した場合、絶縁物45周辺における隙間の発生は防止されるが、湯面の上部と下部とで膨張が異なるため、第1冷却銅板20と第2冷却銅板30との間には、隙間が生じる。ただし、絶縁物45周辺に生じる隙間に比べて、第1冷却銅板20と第2冷却銅板30との間に生じた隙間は、寿命低下などの問題を引き起こしにくい。
図4および図5に、2種の隙間防止手段を示したが、これらは併用されてもよい。即ち、隙間防止手段として、第1冷却銅板20における、溶融金属が流通する空間に供給された溶融金属と接触していない部位を、加熱する手段21および機械的に保持する手段の双方が配置されてもよい。
冷却銅板中に絶縁物が配置された連続鋳造用鋳型の斜視図である。 冷却銅板中に絶縁物が配置された連続鋳造用鋳型の水平断面の部分概略図である。 溶融金属が流通する空間側の、第1冷却銅板の表面の概略図である。図3Aは、第1冷却銅板が膨張する前の概略図であり、図3Bは、第1冷却銅板が膨張した後の概略図である。 加熱手段が設けられた第1冷却銅板の一実施形態の概略図である。 保持手段としてクランプが設けられた第1冷却銅板の一実施形態の概略図である。 保持手段としてタイボルトが設けられた第1冷却銅板20の一実施形態の概略図である。 複数の部位から構成された、従来の連続鋳造用鋳型の水平断面図である。 スリットが形成された、従来の連続鋳造用鋳型の水平断面図である。 電磁コイルによって電磁力を付与する連続鋳造技術を示す模式図である。
符号の説明
10…連続鋳造用鋳型、20…第1冷却銅板、21…加熱手段、22a…クランプ、22b…タイボルト、25…第1バックプレート、30…第2冷却銅板、35…第2バックプレート、40,45…絶縁物、50…シリンダー、60…電磁コイル、110,111,112…連続鋳造用鋳型、120…第1冷却銅板、125…第1バックプレート、130…第2冷却銅板、135…第2バックプレート、138…冷却通路、140…絶縁物、160…電磁コイル、170…溶融金属、172…メニスカス部、174…パウダー、180…スリット、185…セグメント部分、190…浸漬ノズル。

Claims (6)

  1. 対向する1対の第1冷却銅板と、
    前記1対の第1冷却銅板と共に溶融金属が流通する空間を仕切るように、前記1対の第1冷却銅板を側面から挟むように配置された、対向する1対の第2冷却銅板と、
    前記第1冷却銅板の外部に、前記第1冷却銅板と電気的に絶縁するように配置された、1対の第1バックプレートと、
    前記第2冷却銅板の外部に配置された、1対の第2バックプレートと、
    前記溶融金属が流通する空間に供給された溶融金属に、電磁力を印加可能な電磁コイルと、を有する連続鋳造用鋳型であって、
    前記第1バックプレートは、前記第2冷却銅板および前記第2バックプレートと非接触または電気的に絶縁されており、
    前記第1冷却銅板および前記第1バックプレートは、前記溶融金属が流通する空間の大きさを変更可能なように、可動であり、
    前記第1冷却銅板は、鋳造方向に前記第1冷却銅板を分割する絶縁物によって、前記1対の第2冷却銅板を結ぶ方向に電気的に絶縁されてなり、
    前記溶融金属が流通する空間に供給された溶融金属の熱によって、前記絶縁物と前記絶縁物によって分割された前記第1冷却銅板との間に隙間が生じることを防止するための、隙間防止手段を有することを特徴とする、連続鋳造用鋳型。
  2. 前記隙間防止手段は、前記第1冷却銅板における、前記溶融金属が流通する空間に供給された溶融金属と接触していない部位を、加熱する手段であることを特徴とする、請求項1に記載の連続鋳造用鋳型。
  3. 前記隙間防止手段は、前記第1冷却銅板における、前記溶融金属が流通する空間に供給された溶融金属と接触していない部位を、機械的に保持する手段であることを特徴とする、請求項1に記載の連続鋳造用鋳型。
  4. 前記隙間防止手段は、前記第1冷却銅板における、前記溶融金属が流通する空間に供給された溶融金属と接触していない部位を、加熱する手段および機械的に保持する手段であることを特徴とする、請求項1に記載の連続鋳造用鋳型。
  5. 前記加熱する手段は、前記第1冷却銅板に配置された、熱電対、または温水、水蒸気もしくは過熱水蒸気が流通する流路であることを特徴とする、請求項2または4に記載の連続鋳造用鋳型。
  6. 前記機械的に保持する手段は、前記第1冷却銅板を保持するクランプまたはタイボルトであることを特徴とする、請求項3または4に記載の連続鋳造用鋳型。
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