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JP4348334B2 - 連続鋳造用鋳型 - Google Patents
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JP4348334B2 - 連続鋳造用鋳型 - Google Patents

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Description

本発明は、電磁コイルを有し、安定的に電磁力を鋳型内の溶融金属に印加する連続鋳造装置において、鋳片の幅が可変である連続鋳造用鋳型に関する。
溶融金属の連続鋳造技術において、溶融金属の湯面の安定化、連続鋳造した鋳片表面の平滑化、及び鋳造速度の高速化を達成するために、鋳造時に電磁力を利用する技術が開発されている。
例えば、特開昭52−32824号公報には、図11に示すように、鋳型31を包囲するように配置され、耐火物で絶縁された通電コイル35に交流電流を供給して、溶融金属32のメニスカス部33を湾曲させ、パウダー34の流入を促すとともに、初期凝固における鋳型と鋳片との接触圧を軽減することにより、表面性状の向上を図る方法が開示されている。しかし、この方法では、電磁コイルによって付与される交流磁場により、鋳型を構成する冷却銅板に誘導電流が誘起され、その表面効果によって鋳型内の溶融金属に付与されるべき磁場が減衰するという問題があった。
また、連続鋳造用鋳型内の磁場の減衰を抑制し、電磁効果を更に向上させるために、特開平05−15949号公報には、図10に示すように内部水冷構造の金属製鋳型31と、この鋳型を周回して高周波電流を通す電磁コイル35とを備えた金属の連続鋳造装置が開示されている。この連続鋳造装置において、鋳型31は、(a)鋳型の上部に、鋳型の上端までは達しない、鋳造方向に平行な複数のスリット36により分割された内部冷却可能な構造のセグメント部分37を有するか、あるいは(b)鋳型の上部に、鋳造方向に平行な複数のスリット36により分割された内部冷却可能なセグメント37部分と、このセグメント部分を連結する複数の桁を有するものであり、電磁コイル35がセグメント部分を周回するように配置されている。なお、溶融金属は、浸漬ノズル38から鋳型内に供給される。
しかし、このようなスリットを設けた鋳型では、バックプレートなどで補強することができないため剛性が劣り、鋳型に熱変形が生じやすく、スラブなどの大断面を有する鋳片を鋳造する鋳型には適用することが困難であった。これらの点を解決するために、特開2000−246397号公報には、図9に示すように、連続鋳造鋳型内のメニスカス初期凝固部付近の溶融金属に前記鋳型壁に直角な方向に電磁力を印加させる溶融金属の連続鋳造装置が開示されている。
この連続鋳造用鋳型31は、外周面に交流電流を通電する電磁コイル35、1対の第1の冷却銅板39と非磁性のステンレス鋼からなる第1のバックプレート41、1対の第2の冷却銅板40と非磁性のステンレス鋼からなる第2のバックプレート42、及び絶縁物46を含む複数の分割冷却部からなる。それぞれの第1の冷却銅板39と第2の冷却銅板40は、鋳造面49と反対側の面に少なくとも1つの溝を有し、それぞれの第1バックプレート41及び第2のバックプレート42によって溝を有する面側を締結ボルト44を用いて密閉固定している。なお、冷却銅板とバックプレートの間にはシール物47が介装されている。これにより、冷却銅板の溝とバックプレートは冷却通路43を形成する。
また、第1の冷却銅板39と第2の冷却銅板40とは、絶縁物46を介して電気的に絶縁されており、第1のバックプレート41と第2のバックプレート42とは、絶縁締結ボルト45により電気的に互いに絶縁された状態で締結されている。この方法により、電磁力のロスを低減できるとともに、鋳型の各辺の全長を単位として分割することによって、加工精度、組み立て精度を確保できるという利点がある。
しかし、短辺側である第1の冷却銅板が、長辺側である第2の冷却銅板に挟まれ、冷却銅板1と冷却銅板2の合わせ面48に絶縁物を有する鋳型において、冷却銅板1をスライドさせて鋳片の幅を変更すると、合わせ面での摩擦、異物のかみこみにより、絶縁物が損傷、脱落する可能性がある。従って、鋳造の初期は絶縁を保つことが可能であるが、幅変更等の操業を繰り返すと、絶縁能力が低下し、所定の電磁力を印加できなくなるという問題が懸念される。
一般的な幅変更可能な鋳型においては、銅板間に擦り傷防止のために、テフロン(登録商標)等の絶縁物を挟み込む場合もあるが、絶縁が目的ではなく、電気的には銅板が部分的に接触しており、この部位の絶縁抵抗だけでは、所定の電磁力を印加するのは難しい。
本発明は、電磁コイルを有し、安定的に電磁力を鋳型内の溶融金属に印加する連続鋳造装置において、鋳片の幅が可変であり、長期にわたり良質の鋳片を得ることができる連続鋳造用鋳型を提供するものである。
本発明は、上記課題に鑑み、移動可能な冷却銅板とそれを挟み込む冷却銅板との間は電気的に導通させ、移動可能な冷却銅板を移動させて鋳片の幅を変更する際に、連続鋳造用鋳型の周方向における絶縁能力の低下を防止するものであり、その要旨は、以下のとおりである。
(1)連続鋳造鋳型内の溶融金属のメニスカス近傍において、溶融金属に前記鋳型内壁に直角な方向の電磁力を印加させる電磁コイルを有し、1対の第1の冷却銅板には1対の第1のバックプレートが、1対の第2の冷却銅板には1対の第2のバックプレートがそれぞれ組み合わされ、1対の第1の冷却銅板と第1のバックプレートが、1対の第2の冷却銅板と第2のバックプレートに移動可能に挟まれて構成される連続鋳造用鋳型において、
1対の第1の冷却銅板が、1対の第2の冷却銅板に電気的に絶縁されず導通した状態で挟まれていることを特徴とする連続鋳造用鋳型。
(2)前記1対の第1の冷却銅板および1対の第2の冷却銅板のいずれか一方または双方が、板幅方向に2つ以上に分割され、かつ分割部が電気的に絶縁されて接触することを特徴とする(1)に記載の連続鋳造用鋳型。
(3)前記2つ以上に分割された冷却銅板と組み合わされたバックプレートは、2つ以上に分割された冷却銅板とは非接触または電気的に絶縁されていることを特徴とする(2)記載の連続鋳造用鋳型。
(4)前記冷却銅板が、鋳造方向に平行に分割されたことを特徴とする(2)または(3)記載の連続鋳造用鋳型。
(5)前記冷却銅板が、鋳造方向から5°以下傾斜して分割されたことを特徴とする(2)または(3)に記載の連続鋳造用鋳型。
(6)前記冷却銅板の分割部に、厚みが10μm〜1mmの絶縁物を設けることを特徴とする(2)または(3)に記載の連続鋳造用鋳型。
(7)前記冷却銅板の分割部に、電気絶縁性のセラミックスプレート又はコーティングにより形成されたセラミックスからなる絶縁物を設けることを特徴とする(2)または(3)に記載の連続鋳造用鋳型。
(8)前記冷却銅板の分割部に、酸化物系セラミックス、マイカ板、セラミックスファイバー成形体、樹脂の何れか1以上からなる絶縁物を設けることを特徴とする(2)または(3)に記載の連続鋳造用鋳型。
(9)前記分割された冷却銅板とそれと組み合わされるバックプレートとの間に、電気絶縁性のセラミックスプレート又はコーティングにより形成されたセラミックスからなる絶縁物を設けることを特徴とする(3)に記載の連続鋳造用鋳型。
(10)前記分割された冷却銅板とそれと組み合わされるバックプレートとの間に、酸化物系セラミックス、マイカ板、セラミックスファイバー成形体、樹脂の何れか1以上からなる絶縁物を設けることを特徴とする(3)に記載の連続鋳造用鋳型。
(11)前記第1のバックプレートがステンレス鋼、銅、銅合金の何れか1つからなることを特徴とする(1)〜(3)の何れか1項に記載の連続鋳造用鋳型。
(12)前記1対の第1のバックプレートと、前記1対の第2の冷却銅板および1対の第2のバックプレートとは非接触または電気的に絶縁されていることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の連続鋳造鋳型。
(13)前記1対の第2のバックプレートは、互いに非接触または電気的に絶縁されていることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の連続鋳造鋳型。
(14)前記冷却銅板の分割部が、該冷却銅板の鋳造方向の上端から下端のまでの間の一部分であることを特徴とする(2)または(3)に記載の連続鋳造用鋳型。
図1は、本発明の連続鋳造用鋳型を模式的に示した斜視図である。
図2は、本発明の連続鋳造用鋳型を模式的に示した水平断面図である。
図3は、本発明の連続鋳造鋳型の絶縁状態計測方法を示す図である。
図4は、本発明の連続鋳造鋳型における鋳造時間と絶縁抵抗値との関係を示す図である。
図5は、本発明の連続鋳造鋳型における第1の冷却銅板の分割部の絶縁物厚みと第1の冷却銅板の中央部の凝固遅れ率との関係を示す図である。
図6は、本発明の連続鋳造鋳型における第1の冷却銅板の分割部が鋳造方向に対して非平行に設置された鋳型の模式図である。
図7(a)は、冷却銅板の分割部が冷却銅板の鋳造方向の上端部から下端部まで設けられている例を示す模式図である。
図7(b)は、冷却銅板の分割部が冷却銅板の鋳造方向の下端部bを残して上端部から設けられている例を示す模式図である。
図7(c)は、冷却銅板の分割部が冷却銅板の鋳造方向の上端部aを残して下端部まで設けられている例を示す模式図である。
図7(d)は、冷却銅板の分割部が冷却銅板の鋳造方向の上端部aおよび下端部bを残して中間部に設けられている例を示す模式図である。
図8は、本発明の連続鋳造鋳型における第1の冷却銅板の変形による分割部の隙間を示す模式図である。
図9は、分割部に絶縁物を設けた従来の連続鋳造用鋳型の水平断面図である。
図10は、上部にスリットを有する従来の連続鋳造用鋳型の水平断面図である。
図11は、電磁力を付与する連続鋳造技術を示す模式図である。
図1は、本発明の連続鋳造用鋳型の組立概念を模式的に示す斜視図であり、図2は、本発明の連続鋳造用鋳型を模式的に示した水平断面の概略図である。図1及び2において、本発明の連続鋳造用鋳型は、一対の対向する第1の冷却銅板1と、これを挟んで対向する一対の第2の冷却銅板2により鋳型壁面が構成されている。第1の冷却銅板1は鋳型の短辺側であり、第2の冷却銅板の間を移動可能である。また、第2の冷却銅板2は鋳型の長辺側であり、固定されている。この鋳型の周囲には、鋳型内の溶融金属のメニスカス近傍において、溶融金属に鋳型内壁に直角な方向の電磁力を印加するための電磁コイル8が設けられている。
さらに、第1の冷却銅板1と第2の冷却銅板2は金属接触し、電気的には導通している。これは、第1の冷却銅板と第2の冷却銅板との接触部分が絶縁されたり導通したりと変化する場合、銅板に流れる誘導電流が変化し、溶鋼に印加される電磁力が不安定になる。これによってメニスカス形状が不安定になり、ブレークアウト等の危険性も考えられる。したがって、この部分は鋳造中に完全に絶縁されているか完全に導通しているかのいずれかでなければならない。この接触部分を絶縁しようとした場合、その絶縁皮膜は第1の冷却銅板と第1のバックプレートの移動に伴う摩耗や異物のかみこみによって破損が免れず、導通か絶縁かが安定しない。逆に、第1の冷却銅板と第2の冷却銅板との接触面積は電気的に導通させるためには十分広いので導通させた方が鋳造が安定する。
更に、これらの冷却銅板の外側、即ち冷却銅板の溶鋼と接する側と反対側には、第1の冷却銅板1と組み合わされてこれを支持する一対のバックプレート3と、第2の冷却銅板2と組み合わされて、これを支持する第2のバックプレート4が設けられる。更に、第1の冷却銅板1は板幅方向に2分割され、分割面には絶縁物5が設けられるのが好ましい。
これは冷却銅板に流れる誘導電流が少なくなり、磁場の減衰が小さくなるためである。冷却銅板を分割する場合、第2の冷却銅板も分割しても良いが、第2の冷却銅板(長辺側)を分割した場合、鋳片に凝固不均一と鋳型拘束に伴う割れが発生しやすく、鋳型の剛性も低下する。そこで、以下の説明では、鋳型の短辺側である第1の冷却銅板を分割した例を示すが、鋳型の長辺側である第2の冷却銅板を分割した場合も同様である。
第1の冷却銅板1は、鋳造方向に平行に分割しても良いが、分割して絶縁物を設けた部位の温度が高くなり、その部分のスラブの凝固が不十分になる。これを回避するには、鋳型を鋳造方向に傾斜して分割することが有効であり、鋳型の分割の方向と鋳造方向との角度θが、
θ>tan−1
を満足することが好ましい。ここで、Aは絶縁物の厚みを100mmで除した値である。これは、メニスカス近傍の、鋳造方向に100mm程度の範囲で、凝固の不均一が鋳片の割れ等に最も影響を及ぼすためである。即ち、鋳片が鋳造方向の100mmを通過する際に、絶縁物から外れない部分を無くすこと、すなわち、鋳片が鋳造方向に100mm進む間に、絶縁物の上しか通らないような鋳片上の点をなくすことが好ましいためである。
また、鋳型の分割の方向と鋳造方向との角度の上限は、第1の冷却銅板1と第1のバックプレート3を締結するボルトの板幅方向ピッチで規定される。通常の鋳型のボルトピッチ以内で傾きをつけた場合の最大角度が5°となる。
図7(a)〜図7(d)は、冷却銅板の分割部の形成例を示す模式図であり、図7(a)は、分割部が冷却銅板の鋳造方向の上端部から下端部まで設けられている例を、図7(b)は、分割部が冷却銅板の鋳造方向の下端部bを残して上端部から設けられている例を、図7(c)は、分割部が冷却銅板の鋳造方向の上端部aを残して下端部まで設けられている例を、図7(d)は、分割部が冷却銅板の鋳造方向の上端部aおよび下端部bを残して中間部に設けられている例を、それぞれ示している。
冷却銅板を分割する場合、分割部は、冷却銅板の鋳造方向の上端から下端まで完全に分割する(図7(a))ことが好ましいが、鋳造方向の一部分だけを分割した場合でも電磁力の減衰を抑制することが出来る。その際には、図7に示すように、鋳型の下端から長さBの下端部だけ残しその上部を分割する方法(図7(b))、鋳型の上端から長さAの上端部だけ残し、その下部を分割する方法(図11(c))、鋳型の上端から長さAの上端部、下端から長さBの下端部残し、分割部を長さCの中間部とする方法(図7(d))などがある。コイル設置位置±200mm程度の範囲で冷却銅板が分割されていれば、磁場の減衰は小さく抑えることが可能である。冷却銅板の上端から下端まで完全に分割すると、鋳型の剛性が低下するが、一部分を分割せず結合されたままで残すことで、冷却銅板の熱変形に対する強度を高めることが可能である。さらに、下端部のみを残す方法(図7(b))の利点は、鋳型の下端部は鋳造使用により鋳片との接触で摩耗するが、この部位に分割部を設けないことにより、摩耗の偏りが生じた場合でも分割部に段差が生じるのを避けることができることである。上端部のみを分割しない残す方法(図7(c))は、鋳造中に溶鋼に盛られたパウダーが分割部に侵入しにくくする利点がある。図7(d)の上端部と下端部を残す方法では、この両者の利点を生かすことが出来る。
磁場の減衰を抑制するために更に、短辺側の第1のバックプレート3と第1の冷却銅板1は、絶縁物6を介して絶縁され、第1のバックプレート3と第1の冷却銅板1とのボルトによる締結部も絶縁スリーブと絶縁ワッシャーにより絶縁されているのが好ましい。
これは、第1の冷却銅板1と第1のバックプレート3とを電気的に絶縁されずに組み合わされると、冷却銅板を流れた誘導電流がバックプレートを介して流れることになり、磁場が減衰する可能性があるためである。
長辺側の第2の冷却銅板2は、電磁力の浸透性に優れる電気伝導度を小さくしたCr,Zr,Alを添加した銅合金からなることが好ましい。また、冷却銅板の銅合金の厚みを薄くすることで電磁力浸透性を向上させることが可能であるが、バックプレートとボルトで締結するには、冷却銅板の厚みを10mm以上にすることが必要である。また、冷却銅板の銅合金の厚みの上限は、研削代を考慮すると、60mm以下であることが好ましい。
短辺側の第1の冷却銅板1は、分割構造とした場合、冷却構造および鋳型の剛性を考慮して、長辺側の第2の冷却銅板2よりも厚みを厚くしても良い。また、短辺側の第1の冷却銅板1は、厚みを厚くしても、磁場の減衰は小さい。
第1のバックプレート3は、第2の冷却銅板2および第2のバックプレート4と非接触あるいは、絶縁物を介して電気的に絶縁されているのが好ましい。
第1の冷却銅板1と第1のバックプレート3は、第2の冷却銅板2に挟まれて移動する際、第1の冷却銅板のみが第2の冷却銅板と接触していることが一般的であり、第1のバックプレート3は、長辺側の冷却銅板2およびバックプレート4と非接触であることが多い。
第2のバックプレート4は鋳造中の冷却銅板の変形を抑えるため、剛性を考慮する必要があり、例えば長辺側の幅が1m以上であるスラブを鋳造する鋳型においては、厚みを40mm以上とすることが好ましい。また、厚みが70mm超では、バックプレートでの誘導電流による磁場の損失が大きくなるため、70mm以下とすることが好ましい。
また、第1の冷却銅板1および第1のバックプレート3を第2の冷却銅板2および第2のバックプレート4で挟み込むために、第2のバックプレート4同士をクランプボルト等で締結する場合があるが、その際は、バックプレート間にクランプボルトを介して誘導電流が流れることを防止するために、クランプボルトを絶縁するのが好ましい。つまり、第2のバックプレート4同士は非接触あるいはボルト等で締結される際には電気的に絶縁されていることが好ましい。同様に、第1の冷却銅板1と組み合わされる第1のバックプレート3は、誘導電流が流れないように、第2の冷却銅板2および第2の冷却銅板と組み合わされる第2のバックプレート4とは非接触あるいは電気的に絶縁されていることが好ましい。
なお、本発明において、絶縁物とは、電気的に絶縁するものをいう。絶縁物は、特に電気絶縁性のセラミックスプレート、コーティングにより形成されたセラミックス、酸化物系セラミックス、マイカ板、セラミックスファイバー成形体、樹脂などが好適である。
コーティングの方法としては、溶射、CVD(Chemical Vapor Deposition)、イオンプレーティング、スパッタリング等が好適である。酸化物系のセラミックスとしては、アルミナ系、ジルコニア系、イットリア系、マグネシア系のセラミックス等が好適である。樹脂の場合は、ナイロン、テフロン(登録商標)、ポリイミド等が好適である。
この絶縁物は、冷却銅板の分割部及び分割された冷却銅板とその分割された冷却銅板と組み合わされるバックプレートとの接触部に設けるものである。第1のバックプレートと第2の冷却銅板が接触する場合には、この絶縁物を設けることが好ましいが、第1のバックプレートの移動により剥離する可能性もあるため、非接触とすることが好ましい。
冷却銅板の分割部の絶縁物の厚みは、絶縁性を確保するためには、10μm以上とすることが好ましく、鋳造初期の溶鋼のさしこみを抑えるために、1mm以下にするのが好ましい。冷却銅板の分割部の絶縁物としてコーティングを用いる場合は、分割面の冷却銅板の片側あるいは両側に絶縁物をコーティングし、絶縁物の総厚みが1mm以下の場合は、さらに他の絶縁物を挟み込むことも可能である。
分割された冷却銅板とそれと組み合わされるバックプレートとの間の絶縁物の厚みは、絶縁性を確保するためにも冷却銅板の分割部と同様に、10μm以上とすることが好ましい。分割された冷却銅板をバックプレートに水平に段差なく取り付けるためには、間に設置する絶縁物が組み立て時に大きく変形しないことが好ましく、絶縁物が弾性体で大きく変形する場合は厚みを薄くするのが良い。
また、バックプレートの材質の違いで、磁場は変化し、バックプレートを非磁性のステンレスとした場合は鋳型内の電磁場の減衰が小さい。即ち、鋳型での磁場減衰を抑えたい場合は、バックプレートを非磁性のステンレス鋼とすること好ましく、例えば、SUS304系、SUS316系、SUS310系などが好適である。
一方、第1のバックプレート3を導電率の高い銅あるいは銅合金とすると鋳型内の電磁場が減衰する。これは、電気が流れやすい金属がコイルの内部に設置された場合は、そこに磁場を打ち消す方向に誘導電流が多く流れるためである。従って、短辺側である第1の冷却銅板近傍の磁場を減衰させたい場合は、第1のバックプレート3を導電率の高い銅又は銅合金とすることが好ましい。
また、第1のバックプレート3の厚みを厚くすることで電磁場を減衰させることも可能である。
更に、第1のバックプレート3の外側には、鋳片の幅を変更するためのシリンダー7が取り付けられている。
シリンダーは、鋳造中にオンラインで幅を自由に変更出来る方式が望ましく、油圧式の制御機構を有する構造が好ましい。更に、短辺の傾きを自在に変更出来る機構を有するためには、鋳造方向に2本のシリンダーを取り付けるのが好ましい。
このように構成された鋳型の外周には、鋳造時に鋳型内の溶融金属に交流磁場を与えるための交流電流を流すためのコイル8が設けられる。
第2の冷却銅板の板幅が1200mm、第1の冷却銅板の板幅が250mmであり、第1の冷却銅板を板幅中央部で2分割した鋳型を製作し、鋳造による絶縁低下を計測した。この鋳型には、絶縁状態の確認を目的として、交流コイルを設置せずに、鋳造後に第1の冷却銅板に図3に示したようにテスター9を用いて、2分割された冷却銅板間の電気抵抗を計測した。
鋳型の分割面の絶縁については、絶縁物の挟み込み、第1の冷却銅板を分割した界面の片側又は両面への絶縁膜の溶射、更に溶射と絶縁物の挟み込みを行い、各種の条件で計測した。絶縁物の厚みは、すべてのケースで、0.3mmとした。絶縁物は、セラミックスプレート、マイカ板、セラミックスファイバー成形体、テフロン(登録商標)の挟み込み、アルミナ系、ジルコニア系、イットリア系、マグネシア系セラミックスの溶射を単独又は適宜組み合わせて行った。
抵抗値の経時変化の一例を図4に示す。図4の横軸は、鋳造時間を積算したものであり、鋳造の積算時間が短い鋳造初期の段階で、絶縁抵抗がやや低下するが、その後定常となり、1MΩ程度の抵抗値となった。また、絶縁物の種類や組合せの条件などによる絶縁抵抗の低下の傾向に違いは見られず、絶縁能力は鋳造時間20時間で、1MΩ程度であった。
更に、冷却銅板1を鋳造方向に平行に分割した鋳型と、図6に示したように、分割部を鋳造方向に対して1°傾斜させた鋳型を作成し、絶縁物の厚みを変化させて同様の鋳造試験を行った。
結果を図5に示す。ここで、第1の冷却銅板の中央部の凝固遅れ率は、第1の冷却銅板の板幅方向の中央部の下端でのシェル厚とその部分を除く板幅方向の周辺のシェル厚との差を該周辺のシェル厚で除した値を百分率で示したものである。この第1の冷却銅板の板幅方向の中央部の凝固遅れ率が大きいほど、凝固遅れの程度が大きいことを示す。絶縁物の厚みが増し、1mmを超えると、凝固遅れの程度が顕著になり、割れが生じた。この結果から、絶縁物の厚みは1mm以下が好ましいことがわかる。また、分割部を鋳造方向と非平行とし、1°傾斜させた場合、絶縁物の厚みが2mm程度でも、凝固遅れが改善した。
更に、分割部の冷却銅板変形についても計測し、合わせ面すなわち、冷却銅板の分割面および第1の冷却銅板と第2の冷却銅板の接触面、の開き量の経時変化を調査した。第1の冷却銅板の鋳造中の熱膨張を第2の冷却銅板で挟み込んで完全に拘束すると、図8に示す開き変形10が生じることが分かった。第1の冷却銅板の挟み込みを両長辺間に設置したバネ構造付きのクランプボルト方式とした一般的なスラブ鋳型の場合、冷却銅板の塑性変形は軽減され、鋳造後の合わせ面の開き変形はほとんど生じなかった。
更に、前記鋳型に交流コイルを設置した鋳造試験も行った。電流印加中にメニスカス部が不安定になることはなく、ブレークアウトも生じなかった。
本発明の連続鋳造用鋳型は、電磁力を付与して溶融金属を連続鋳造する際、鋳型の繰り返し鋳造幅変更においても、鋳型の絶縁性の低下を防止でき、鋳型の長期使用に際しても、鋳型の絶縁性を安定して確保し、長期にわたって良質な鋳片を得ることができる。

Claims (14)

  1. 連続鋳造鋳型内の溶融金属のメニスカス近傍において、溶融金属に前記鋳型内壁に直角な方向の電磁力を印加させる電磁コイルを有し、1対の第1の冷却銅板には1対の第1のバックプレートが、1対の第2の冷却銅板には1対の第2のバックプレートがそれぞれ組み合わされ、1対の第1の冷却銅板と第1のバックプレートが、1対の第2の冷却銅板と第2のバックプレートに移動可能に挟まれて構成される連続鋳造用鋳型において、
    1対の第1の冷却銅板が、1対の第2の冷却銅板に電気的に絶縁されず導通した状態で挟まれていることを特徴とする連続鋳造用鋳型。
  2. 前記1対の第1の冷却銅板および1対の第2の冷却銅板のいずれか一方または双方が、板幅方向に2つ以上に分割され、かつ分割部が電気的に絶縁されて接触することを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造用鋳型。
  3. 前記2つ以上に分割された冷却銅板と組み合わされたバックプレートは、2つ以上に分割された冷却銅板とは非接触または電気的に絶縁されていることを特徴とする請求項2に記載の連続鋳造用鋳型。
  4. 前記冷却銅板が、鋳造方向に平行に分割されたことを特徴とする請求項2または3に記載の連続鋳造用鋳型。
  5. 前記冷却銅板が、鋳造方向から5°以下傾斜して分割されたことを特徴とする請求項2または3に記載の連続鋳造用鋳型。
  6. 前記冷却銅板の分割部に、厚みが10μm〜1mmの絶縁物を設けることを特徴とする請求項2または3に記載の連続鋳造用鋳型。
  7. 前記冷却銅板の分割部に、電気絶縁性のセラミックスプレート又はコーティングにより形成されたセラミックスからなる絶縁物を設けることを特徴とする請求項2または3に記載の連続鋳造用鋳型。
  8. 前記冷却銅板の分割部に、酸化物系セラミックス、マイカ板、セラミックスファイバー成形体、樹脂の何れか1以上からなる絶縁物を設けることを特徴とする請求項2または3に記載の連続鋳造用鋳型。
  9. 前記分割された冷却銅板とそれと組み合わされるバックプレートとの間に電気絶縁性のセラミックスプレート又はコーティングにより形成されたセラミックスからなる絶縁物を設けることを特徴とする請求項3に記載の連続鋳造用鋳型。
  10. 前記分割された冷却銅板とそれと組み合わされるバックプレートとの間に、酸化物系セラミックス、マイカ板、セラミックスファイバー成形体、樹脂の何れか1以上からなる絶縁物を設けることを特徴とする請求項3に記載の連続鋳造用鋳型。
  11. 第1のバックプレートがステンレス鋼、銅、銅合金の何れか1つからなることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の連続鋳造用鋳型。
  12. 前記1対の第1のバックプレートと、前記1対の第2の冷却銅板および前記1対の第2のバックプレートとは非接触または電気的に絶縁されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の連続鋳造鋳型。
  13. 前記1対の第2のバックプレートは、互いに非接触または電気的に絶縁されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の連続鋳造鋳型。
  14. 前記冷却銅板の分割部が、該冷却銅板の鋳造方向の上端から下端のまでの間の一部分であることを特徴とする請求項2または3に記載の連続鋳造用鋳型。
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