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JP3704540B2 - 分包シートのシール部における被包装物の噛込検査装置および方法 - Google Patents
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JP3704540B2 - 分包シートのシール部における被包装物の噛込検査装置および方法 - Google Patents

分包シートのシール部における被包装物の噛込検査装置および方法 Download PDF

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Description

【0001】
【技術分野】
この発明は,分包シートにおいて粉状,細粒状,顆粒状等の被包装物がそのシール部に噛込まれているかどうかを検査する噛込検査装置および方法に関する。
【0002】
【従来技術とその問題点】
一般に,粉状,細粒状,顆粒状等の薬品は所定量ずつ分包される。この薬品を分包したシートは次のようにして製造される。薬品を充填するポケットを形成するために,重ね合わされた2枚のフィルムのポケット部の下部とその両側部に相当する3箇所が圧着装置によってシールされる。この形成されたポケット部に薬品が落下シュートから所定量落下させることにより充填される。その後ポケット部の上部に相当する一部分でフィルムがシールされる。このような動作が繰返し行われることにより分包シートが連続して形成されていく。
【0003】
しかしながら,ポケット部を形成するシール工程,またはポケット部の上部をシールする工程で,落下シュートに堆積した薬品の一部が落下し,シール部に薬品が噛込まれることがある。このようなシール部における薬品の噛込の有無を検査する装置が,特開平3-85206 号公報に記載されている。この分包シートのシート部における被包装物の噛み込み検査装置は,光を透過するフィルムを用いて製造された分包シートを被検査対象としており,分包シートを透過した光に基づいて噛込の有無を検出しているので,不透明なフィルムを用いた分包シートについて噛込の検査を行うことができない。
【0004】
【発明の開示】
この発明は,不透明なフィルムを用いて形成された分包シートについても,シール部における被包装物の噛込を検出できるようにするものである。
【0005】
この発明による噛込検査装置は,ポケット部に被包装物が充填され,かつ上記ポケット部の周囲が圧着されたシール部をもつ分包シートについて,上記シール部における上記被包装物の噛込を検査する装置であり,上記分包シートを撮像し,この撮像により得られる画像信号を出力する撮像手段,上記撮像手段から出力される近接する少なくとも2つの走査ラインに沿う画像信号の差を画像信号から減算して得られる前処理済画像信号を生成する前処理手段,および上記前処理手段により生成された前処理済画像信号をあらかじめ設定された閾値で閾値処理することによって,上記分包シートのシール部に被包装物の噛込があるかどうかを判定する噛込判定手段を備えている。
【0006】
この発明による噛込検査方法は,ポケット部に被包装物が充填され,かつ上記ポケット部の周囲が圧着されたシール部をもつ分包シートについて,上記シール部における上記被包装物の噛込を検査する方法であり,上記分包シートを撮像することにより画像信号を得,撮像により得られた近接する少なくとも2つの走査ラインに沿う画像信号の差を画像信号から減算して得られる前処理済画像信号を生成し,生成された前処理済画像信号をあらかじめ設定された閾値で閾値処理することによって,上記分包シートのシール部に被包装物の噛込があるかどうかを判定するものである。
【0007】
この発明によると,分包シートが撮像手段によって撮像され,この撮像により得られた画像信号が撮像手段から出力される。
【0008】
撮像手段から出力される近接する少なくとも2つの走査ラインに沿う画像信号の差が画像信号から減算され,前処理済画像信号が得られる。
【0009】
被包装物を噛込んだ部分を表わす画像信号はランダム性の強い波形を示す。
【0010】
画像信号の他の部分は一般的にはランダム性が強くなく,一定値を示すかまたは規則的に変化する波形となる。近接する2つの走査ラインに沿う画像信号において,噛込のある部分では相関が弱いのでそれらの差をとっても零とはならず,ある程度のレベルを示す。噛込の無い部分では相関が強いので2つの画像信号の差をとるとその結果は零または零に近い値となる。
【0011】
一般に噛込のある部分は暗いからその画像信号成分のレベルは低くなる(暗い部分を表わす信号レベルを低くとった場合)。このような画像信号から上記の2つの画像信号の差を表わす信号を減算すると,噛込を示す低いレベルが一層強調されることになる。
【0012】
このようにして得られた前処理済画像信号は噛込を強調したレベルをもつものとなる。
【0013】
この前処理済画像信号をあらかじめ設定された閾値で閾値処理することによって,分包シートのシール部に噛込があるかどうかが判定される。
【0014】
したがって,噛込がある部分が際だった前処理済画像信号について閾値処理を行なうので,高精度に噛込を検出できる。特に,皺,その他の近接する2つの走査ライン間で相関の強い外乱成分があっても正確な噛込検出が可能となる。また分包シートを撮像することによって得られる画像信号を用いているので不透明な分包シートについても噛込を検査することができる。
【0015】
好ましくは,近接する4つの走査ラインに沿う画像信号のうち,いずれか2つの画像信号の差と,他の2つの画像信号の差との和を求めることにより強調差信号を得る。このようにして,噛込の存在が一層強調される。さらに好ましくは,上記4つの画像信号の平均をとることにより平均画像信号を得,平均画像信号から強調差信号を減算することにより前処理済画像信号を得る。4つの画像信号の平均をとっているので,分包シートの撮像開始位置のずれ,分包シートの若干の傾斜,照明の照度の変動,等に強い安定した噛込の検出が可能となる。
【0016】
分包シートには,ミシン目,Iノッチ等が形成されることがあり,また製品名,製品番号,含有量,内容量等の文字,記号等が印刷されることがある。これらを表わす前処理済画像信号の信号レベルが噛込と同様に低くなることがある。このため,それらが噛込と判定されることが起こりうる。
【0017】
この発明の一実施態様においては,上記噛込判定手段は,あらかじめ設定された分包シートのマスク領域以外の領域を表わす前処理済画像信号について噛込の判定を行う。マスク領域は,ミシン目等が形成されている領域,文字等が印刷されている領域である。
【0018】
したがって,噛込判定手段は,ミシン目等があるマスク領域について噛込の判定を行なわないので,それらを噛込と判定することがなくなる,または少なくなる。
【0019】
分包シートにマスクをかけて噛込を判定する代わりに,噛込と判定した箇所をミシン目等でないかを再判定してもよい。この再判定を行う噛込検査装置には,上記前処理手段により生成された前処理済画像信号を画像データに変換するA/D変換手段,上記A/D変換手段によって変換された画像データを記憶する画像メモリ,上記噛込判定手段によって噛込があると判定された画像データの位置を表わすステータス・データを記憶するステータス・メモリ,上記ステータス・メモリに記憶されたステータス・データに基づいて噛込があると判定された位置を含む判定領域を決定し,この判定領域内に含まれる画像データを,上記画像メモリから読出すデータ抽出手段,上記データ抽出手段によって読出された判定領域内の画像データを入力とし,この画像データによって表される画像パターンが,あらかじめ設定された1または複数の所定の画像パターンの一に一致または類似するかどうかを判定する画像パターン判定手段,ならびに上記画像パターン判定手段が上記一または複数の所定の画像パターンの少なくとも一に一致または類似しないと判定したときに,上記分包シートのシール部に被包装物の噛込があると判定し,上記噛込判定手段が噛込があると判定しなかったとき,および上記画像パターン判定手段が上記一または複数の所定の画像パターンの少なくとも一に一致または類似するとの判定したときに,上記分包シートのシール部に被包装物の噛込がないと判定する総合判定手段がさらに設けられる。
【0020】
この実施態様において好ましくは,上記画像パターン判定手段は,上記1または複数の所定の画像パターンをあらかじめ学習したニューラル・ネットワークによって構成される。一または複数の所定の画像パターンは,ミシン目,Iノッチ等を表す画像パターン,製品番号,内容量等の文字,記号等を表す画像パターンである。
【0021】
前処理済画像信号が画像データにA/D変換され,このA/D変換された画像データは画像メモリに記憶される。
【0022】
前処理済画像信号が閾値処理されることによって,噛込があると判定された画像データの位置を表わすステータス・データがステータス・メモリに記憶される。
【0023】
ステータス・メモリを参照して,噛込があると判定された画像データの位置を表わすステータス・データが記憶されていないときには,分包シートのシール部に噛込がないと総合判定手段によって判定される。
【0024】
ステータス・データがステータス・メモリに記憶されていると,このステータス・データに基づいて噛込があると判定された画像データの位置を含む判定領域内に含まれる画像データが,画像メモリから画像パターン判定手段に転送され,一または複数の所定の画像パターンの少なくとも一に一致または類似するかどうかが画像パターン判定手段によって判定される。
【0025】
判定領域内に含まれる画像データによって表される画像パターンが,あらかじめ設定された一または複数の所定の画像パターンの少なくとも一に一致または類似すると画像パターン判定手段によって判定されると,判定領域内の画像パターンは噛込でないと総合判定手段によって判定される。
【0026】
判定領域の画像パターンが所定の画像パターンの一に一致または類似しないと画像パターン判定手段によって判定されると,分包シートのシール部に被包装物の噛込があると総合判定手段によって分包シートのシール部に噛込があると判定される。
【0027】
このように,噛込と判定した箇所をミシン目等でないか再判定することによって,噛込検査装置はミシン目等を噛込と判定することがなくなる,または少なくなる。
【0028】
分包シートには帯状の印刷がされていることがある。この帯状の印刷の色によっては前処理済画像信号の信号レベルが,噛込を判定する閾値よりも低くなることがある。このため,帯状の印刷がされた噛込でない箇所を,噛込と判定することが起こりうる。
【0029】
この発明のさらに好ましい実施態様においては,上記噛込判定手段は,上記分包シートの所定領域における走査ラインの前処理済画像信号を,あらかじめ設定された補正値を用いて補正し,この補正画像信号について噛込の判定を行う。所定の領域とは,上述の帯状の印刷がされた部分である。補正値は,帯状の印刷がある部分と,帯状の印刷がない部分とにおける前処理済画像信号に基づいてあらかじめ算出される。
【0030】
この実施態様によると,帯状の印刷の部分において,前処理済画像信号が補正値を用いて補正された補正画像信号について噛込の判定が行なわれるので,帯状の印刷がされた噛込のない箇所を,噛込と判定することがなくなる,または少なくなる。
【0031】
【実施例】
図1は分包シートの一例を示している。
【0032】
3つの分包が1シートに形成された分包シートObが示されている。各分包の周囲が加熱圧着され(この加熱圧着された部分をヒート・シール部Hという),中央部に中空のポケット部Pが形成されている。一定量の粉状,細粒状または顆粒状の被包装物がポケット部Pに充填されている。被包装物はたとえば医薬品等である。
【0033】
分包シートObには,隣合う2つの分包のヒート・シール部Hの中央に,利用者が分包を容易に分離できるようにミシン目Mが形成されている。また,利用者が分包を容易に裂き被包装物を取出すことができるようにするためのIノッチNがミシン目M上にそれと直交して形成されている。
【0034】
分包シートObには,被包装物の内容を示す「26X」の文字列が分包ごとに印刷されている。また分包シートObの中央部には帯状の印刷BPが施されている(ハッチングで示す)(以下,この帯状の印刷を帯印刷という)。
【0035】
分包シートObはたとえば次のようにして形成される。二枚のフィルムが重ね合わされた,分包の底部と両側部に相当する部分が圧着装置(図示路)によって加熱圧着されることにより,分包の上部に相当する部分に口のあいた3つのポケット部Pが形成される。この形成されたポケット部Pに被包装物が所定量充填される。その後,ポケット部Pの上部の口が圧着装置によって加熱圧着される。さらにミシン目MとIノッチNとが形成される。最後に,3つの分包もつ分包シートObがフィルムから切離される。
【0036】
ヒート・シール部Hを形成するときに,ヒート・シール部Hに被包装物が噛込まれることがある。この噛込がある分包シートは不良品である。噛込の有無を検出し,噛込が検出された分包シートを生産ラインから取除く必要がある。
【0037】
図2(A) は図1に示す分包シートObの一部を拡大して示すものである。この図はヒート・シール部Hに噛込Bがあり,ポケット部Pに皺Wがある例を示している。ヒート・シール部Hには多数の小さな方形の凸部が縦,横に規則的に配列されかつそれらの間に直線状の溝が形成されてなるパターン(以下シール・パターンという)が現われている。このシール・パターンは分包シートを加熱圧着するときに圧着装置の圧着部材の表面の模様が転写されてできるもので,圧着部材によって異なる形状となる。シール・パターンにおける方形模様の縦方向のピッチをλ1 ,横方向のピッチをλ2 (この実施例ではλ2 =λ1 )とする。
【0038】
図2(B) は図2(A) に示す走査ラインLk-2 上における画像信号の波形を示している。この図については後に説明する。
【0039】
図3は分包シートにおける噛込の有無を検査する噛込検査システムの構成の概要を示すものである。
【0040】
分包シートObが一定間隔(たとえば 243mm間隔)でコンベア1上の中央に載せられ,一定速度(たとえば 300mm/sec)で搬送される。噛込の有無検査は,分包シートObが上記一定間隔を搬送される間に行なわれる。分包シートObは,その長手方向がコンベア1の搬送方向に直交するように配置される。分包シートObはコンベア1上に単に載せておくだけでもよいが,分包シートObが動かないように爪等を用いてコンベア1に固定するのが好ましい。
【0041】
コンベア1の搬送速度が回転エンコーダ2によって検出される。コンベア1の搬送速度に応じた周波数をもつパルス信号がエンコーダ2から出力され,PLL(Phase Lock Loop) 回路3に与えられる。回転エンコーダ2からのパルス信号に基づいて,分包シートObを撮像するタイミングを表す同期信号がPLL回路3によって生成される。生成された同期信号は,PLL回路3からCCDライン・イメージ・センサ5および噛込検査装置10に与えられる。
【0042】
同期信号は,CCDライン・イメージ・センサ5が図2(A) に示すシール・パターンの縦方向(搬送方向)の1ピッチλ1 を複数回(たとえば4回)にわたって走査するに充分な周波数をもつパルス信号である。
【0043】
コンベア1によって搬送される分包シートObはCCDライン・イメージ・センサ5によって撮像される位置において照明装置4によって一定の明るさで照らされる。照明装置4はシートの全体を均一に照らすようにコンベア1の上方に配置される。
【0044】
CCDライン・イメージ・センサ5は,コンベア1の搬送方向に直交する方向に,かつ分包シートObの全長を上方から撮像するように配置される。CCDライン・イメージ・センサ5は一列に配列された2048個の光電変換素子を含む。CCDライン・イメージ・センサ5に代えて,分包シートObを2次元的に撮像するCCDカメラ等を用いてもよい。
【0045】
PLL回路3から与えられる同期信号に応答して分包シートObがCCDライン・イメージ・センサ5によって一ラインずつ撮像される。この撮像により得られる画像信号(アナログ信号)は噛込検査装置10に与えられる。
【0046】
噛込検査装置10はCCDライン・イメージ・センサ5から入力する画像信号に基づいてヒート・シール部Hにおける噛込Bの有無を検出するものである。噛込の有無の判定結果は噛込検査装置10から不良品排出装置6に与えられる。
【0047】
不良品排出装置6は噛込検査装置10からの判定結果が噛込有を示しているときに,その不良品をコンベア1上から取除くものである。
【0048】
図2(A) および(B) を参照して,ヒート・シール部Hにおいては規則的なシール・パターンが形成されているから,噛込Bの部分を除いて画像信号は正弦波状を示す。
【0049】
一方,被包装物は一般にシール・パターンのピッチに比して細かい粉状,細粒または顆粒状のものである。この被包装物を噛込んだ部分Bではフィルムの表面がシール・パターンに比べて細かい凸凹を示す。噛込Bでは細かな凸凹によって光が乱反射されるため,その部分は暗くなる。したがって,噛込Bの部分を表わす画像信号は信号レベルが低く,かつ不規則で周期の短い波形を示す。
【0050】
またポケット部Pは一般に明るいので,ポケット部Pを表わす画像信号は,皺Wの部分を除いて,ヒート・シール部Hよりも大きい信号レベルをもつ。しかし,皺Wの部分は暗い。皺Wにおける凹凸のピッチは一般にシール・パターンよりも大きい。したがって,皺Wの部分を表わす画像信号は比較的長い周期で変化し,かつ信号レベルの極小ピークは,噛込Bを表わす画像信号の信号レベルと同程度に低い。皺Wを表わす画像信号の極小ピーク・レベルは噛込Bをレベル弁別するための噛込判定レベルよりも低くなることがある。
【0051】
噛込検査装置10は噛込Bを含むヒート・シール部Hにおける画像信号の信号レベルがポケット部Pの皺Wにおける画像信号の信号レベルに比べて細かく変動することを利用して噛込Bと皺Wを区別する。
【0052】
図4に,図2(A) に示す走査ラインLk ,Lk-1 ,Lk-2 およびLk-3 に沿う走査によって得られる画像信号がそれぞれ,画像信号A,B,CおよびDとして示されている。画像信号Cは図2(B) に示すものと同じものである。
【0053】
画像信号Aは,ヒート・シール部Hの直線溝を通る走査ラインLk に沿う画像信号であるから,噛込Bを除くヒート・シール部Hにおいてその信号レベルは低くかつ一定である。この直線溝(走査ラインLk )から1/2ピッチ離れた方形凸部の中央を通る走査ラインLk-2 上における画像信号Cは,上述のように正弦波状になり,かつその振幅も最大値を示す。ポケット部Pにおいては,画像信号AおよびCのいずれにおいても,皺Wの部分で信号レベルが低くなる。
【0054】
これらの画像信号AとCの差の絶対値(|A−C|)を表す信号(以下,差信号という)が信号Eで示されている。噛込Bの部分を除くヒート・シール部Hにおいて,差信号Eは正弦波状の信号から一定レベルの信号を差引いた波形を表わすから正弦波状となり,かつそのレベルは他の差信号(後述するD−Bなど)と比べて大きく,最大値を示す。噛込Bの部分においては画像信号AおよびCともに信号レベルが不規則であるから,差信号Eのレベルは零にはならず,ある程度のレベルの不規則な波形を示す。
【0055】
一方,ポケット部Pにおいては,皺Wの部分を除くと,差信号Eのレベルは零ないしはほぼ零となる。皺Wの部分においては,皺Wの位置がずれていることに起因する信号成分が差信号Eに現れる。皺Wを表わす画像信号の極小ピーク・レベルの位置においては,差信号Eの信号レベルが零ないしほぼ零となる。
【0056】
画像信号BとDはいずれも,ヒート・シール部Hにおける方形凸部の中央よりも直線溝に近い位置を通る走査ラインLk-1 とLk-3 に沿う画像信号であるから,噛込Bを除くヒート・シール部Hにおいて,正弦波状を示し,その振幅は画像信号Cの振幅の1/2程度になる。画像信号BとDにおける噛込Bの部分を表わす信号成分は,画像信号AまたはCのそれと同様であり,すなわち,信号レベルが低くかつ不規則である。画像信号BとDにおいて,皺Wの部分を含めてポケット部Pを表わす信号成分も画像信号AとCのそれとほぼ同形である。皺Wの位置ずれの分だけ極小ピーク・レベル位置がずれている。
【0057】
これらの画像信号BとDの差の絶対値(|B−C|)を表わす差信号が信号Fとして示されている。差信号Fは噛込Bおよび皺Wの部分を除いて信号レベルが零またはほぼ零である。差信号Eと同じように,噛込Bの部分において,差信号Fは不規則な信号成分を持つ。皺Wの部分においては,皺Wがずれている分だけそれを表わす信号成分が差信号Fに現われるが,皺Wの極小ピーク・レベルの位置においては差信号Fのレベルは零またはほぼ零となる。
【0058】
これらの2つの差信号EとFの和を表わす信号(以下,強調差信号という)が信号Gとして示されている(この信号Gは後述するようにローパスフィルタによって平滑化される)。
【0059】
4つの画像信号A,B,CおよびDの信号レベルの平均値を表す信号(以下,平均信号という)が信号H(鎖線で示す)として示されている(後述するように,ローパスフィルタによって平滑化される)。
【0060】
平均信号Hから強調差信号Gを差引いた信号(以下,前処理済画像信号という)が信号Iとして示されている。噛込Bの部分を含むヒート・シール部Hにおける強調差信号Gのレベルは零ではなく,この強調差信号Gが平均信号Hから差引かれるからヒート・シール部Hにおける前処理済画像信号Iの信号レベルは全体的に低くなる。
【0061】
これに対して,強調差信号Gにおいてポケット部Pの皺Wの部分を表わす信号成分の極小ピーク・レベルは零またはほぼ零であるから前処理済画像信号Iの皺Wを表わす信号成分の極小ピーク・レベルはこの減算処理(H−G)によっても殆ど変わらない。
【0062】
このように,前処理済画像信号Iでは,噛込Bを表わす信号レベルが皺Wを表わす成分の極小ピーク・レベルよりも低くなるから,これらの2つのレベルの間に噛込判定レベルを設定することによって噛込Bを皺Wから区別することができる。また,前処理済画像信号Iにおいて,ヒート・シール部Hのシール・パターンに起因する正弦波状の信号成分(ウェーブ)がかなり除去されている(ウェーブ・キャンセル)。
【0063】
噛込Bを表わす画像信号成分はランダムな波形成分を含むので,近接する2つの走査ライン間(上述した走査ラインLk とLk-2 ,またはLk-1 とLk-3 )で相関が比較的小さい。皺Wにおける凹凸の変化は噛込Bにおける凹凸変化よりも緩慢である。したがって,皺Wを表わす画像信号成分は近接する2つの走査ライン間で相関が比較的大きい。
【0064】
したがって,近接する2つの走査ラインに沿う画像信号の差(好ましくはその絶対値)をとった場合に,この差信号の噛込Bを表わす部分のレベルは零ではなく有る程度の値をもつが,皺Wを表わす部分のレベル(特にその極小ピーク・レベル)は零またはそれに近い値となる。
【0065】
ある走査ラインに沿う画像信号から上記差信号を減算すれば,減算結果を表わす画像信号において,噛込Bの部分のレベルは低下し,皺Wを表わす部分のレベルは殆ど変化しない。このようにして,噛込Bを表わす部分と皺Wを表わす部分とをその画像信号のレベル上で区別することが可能となる。
【0066】
噛込Bを表わす部分と皺Wを表わす部分とを区別するためには近接する少なくとも2つの走査ライン(好ましくはピッチλ1 の範囲内に入る)に沿う画像信号があればよい。
【0067】
上記実施例では,ピッチλ1 の範囲内に4本の走査ラインを設定し,それらのうちの2つの画像信号間の差の和(強調差信号)を用いているので,噛込Bと皺Wとの区別が一層しやすくなっている。また,4つの画像信号の平均信号を得,この平均信号から強調差信号を減算しているので,分包シートの撮像開始位置のずれ,分包シートの若干の傾斜,照明装置4の照度の変動,等に強いものとなっている。
【0068】
噛込検査装置10の詳細について図5を参照して説明する。
【0069】
噛込検査装置10は,センサ5からの画像信号を用いて上述した前処理済画像信号Iを生成し,この前処理済画像信号Iについて閾値処理を行うことによって,分包シートObのヒート・シール部Hにおける噛込を検出する。噛込検査装置10はまた,閾値処理により噛込と判定した箇所がミシン目M,ノッチN,印刷文字等でないことを確認して最終判定結果を得る。
【0070】
センサ5からの画像信号はシート検出回路12およびウェーブ・キャンセル回路20に与えられる。PLL回路3からの同期信号はクロック生成回路11および噛込判定回路40に与えられる。
【0071】
クロック発生回路11は,入力する同期信号に応答して,センサ5からの画像信号を画素ごとにサンプリングするためのクロック・パルス信号を生成するものである。クロック・パルス信号が画像信号とともにセンサ5から出力される場合には,センサ5からのクロック・パルス信号を用いてもよい。センサ5は一走査ライン当たり2048画素を含むから,クロック生成回路11は同期信号の一周期の間に,2048個のクロック・パルス信号を出力する。
【0072】
このクロック・パルス信号は,ウェーブ・キャンセル回路20,シート検出回路12,画像メモリ14のアドレス・カウンタ13および噛込判定回路40に与えられる。
【0073】
コンベア1を撮像することにより得られる画像信号の信号レベルは,分包シートObを撮像することにより得られる信号レベルよりもはるかに低く,噛込Bや皺Wを表わす信号レベルよりも低い。噛込Bや皺Wを表わす信号レベルよりも低いレベルに設定された分包シートObを検出するためのしきい値レベル(これをダーク・レベルという,図2(B) 参照)を用いて,シート検出回路12はコンベア1上を搬送される分包シートObがセンサ5によって撮像されていることを検出する。
【0074】
シート検出回路12において,クロック・パルス信号に同期して(画素ごとに),センサ5からの画像信号があらかじめ設定された(または制御回路17から与えられた)ダーク・レベルと比較される。画像信号がダーク・レベルを超えた画素数がシート検出回路12において計数される。この計数値があらかじめ設定された(または制御回路17から与えられた)分包シートObの全長に相当する(全長よりも少し短い)画素数を超えたとき,またはその画素数を中心とする一定範囲内に収まったとき,判定開始信号がシート検出回路12から出力され,噛込判定回路40およびアドレス・カウンタ13に与えられる。
【0075】
分包シートがセンサ5の撮像装置に至るごとに,コンベア1の駆動制御装置(図示略)からトリガ信号が出力される場合には,シート検出回路12の判定開始信号の代わりに,このトリガ信号を用いることができる。
【0076】
ウェーブ・キャンセル回路20は,センサ5からの画像信号から上述の前処理済画像信号Iを生成するものである。ウェーブ・キャンセル回路20の詳細な構成が図6に示されている。
【0077】
クロック・パルス信号はA/D変換回路21,1ライン遅延回路22,23,24およびD/A変換回路25,26,27,28に与えられ,これらの回路はクロック・パルス信号に同期して動作する。
【0078】
センサ5からの画像信号(アナログ信号)は,クロック生成回路11からのクロック・パルス信号に応答して(画素ごとに),A/D変換回路21によってグレイ・レベル・ディジタル・データ(画像データ)に変換される。画像データはたとえば画像信号の信号レベル(輝度)を 256階調で表す8ビット・データである。
【0079】
A/D変換回路21から出力される画像データは,1ライン遅延回路22によって1ライン遅延される。1ライン遅延回路22の出力画像データは1ライン遅延回路23によって1ライン遅延される。さらに1ライン遅延回路23の出力画像データは1ライン遅延回路24によって1ライン遅延される。
【0080】
1ライン遅延回路22,23および24はそれぞれ,1走査ライン(2048画素)分の画像データを記憶し,クロック・パルス信号に応答して,これらの記憶した画像データをシフトするものである。1ライン遅延回路はたとえば,FIFO(First In First Out)バッファ,シフトレジスタ等によって実現される。
【0081】
A/D変換回路21から出力される画像データ,ならびに遅延回路22,23および24からそれぞれ出力される画像データはそれぞれ,D/A変換回路25,ならびにD/A変換回路26,27および28によって画像信号(アナログ信号)に変換される。
【0082】
これらのD/A変換回路25,26,27および28から出力される画像信号の一例は,上述した走査ラインLk ,Lk-1 ,Lk-2 およびLk-3 (図2(A) 参照)に沿うものであり,画像信号A,B,CおよびDである。
【0083】
D/A変換回路25から出力される画像信号Aと,D/A変換回路27から出力される画像信号Cとが差動増幅回路29に与えられる。この差動増幅回路29から出力されるこれらの画像信号AとCの差を表す信号が全波整流回路31によって全波整流される。全波整流回路31の出力信号が図4に示す差信号Eである。
【0084】
同様に,D/A変換回路26から出力される画像信号Bと,D/A変換回路28から出力される画像信号Dとが差動増幅回路30に与えられる。この差動増幅回路30から出力されるこれらの画像信号BとDとの差を表す信号が全波整流回路32によって全波整流される。全波整流回路32の出力信号が図4に示す差信号Fである。
【0085】
全波整流回路31と32によってそれぞれ全波整流された2つの差信号EとFは,加算/平滑化回路34によって加算され,かつ平滑化(ロウパス・フィルタリング)される。加算/平滑化回路33の出力信号が図4に示す強調差信号Gである。平滑化はヒート・シール部Hの方形凸部による正弦波状の信号レベルの変動を減衰させ,安定な強調差信号Gを得るためである。
【0086】
一方,D/A変換回路25,26,27および28によってアナログ信号に変換された4つの画像信号は,平均/平滑化回路34によって平均され,かつ平滑化(ロウパス・フィルタリング)される。平均/平滑化回路34の出力信号が図4に示す平均信号Hである。
【0087】
平均/平滑化回路34の出力信号Hから,加算/平滑化回路33の出力信号Gが差動増幅回路35によって減算される。差動増幅回路35の出力信号が図4に示す前処理済画像信号Iである。
【0088】
1ライン遅延回路として,画像信号をアナログ信号で画素ごとに保持(記憶)し,かつそれらの保持したアナログ信号をクロック・パルス信号に応答してシフトできるものを用いることもできる。
【0089】
差動増幅回路29,30および35,全波整流回路31および32,加算/平滑化回路33,ならびに平均/平滑化回路34をすべてディジタル回路によって構成することもできる。またこれらの回路29〜35の機能をプログラムされたコンピュータによって実現することもできる。
【0090】
再び図5を参照して,ウェーブ・キャンセル回路20の差動増幅回路35の出力信号(処理済画像信号)は,噛込判定回路40およびA/D変換回路18に与えられる。
【0091】
前処理済画像信号は,クロック生成回路11からのクロック・パルス信号に応答して,A/D変換回路18によって画像データ(8ビット・データ)に変換され,アドレス・カウンタ13から生成されるアドレス信号によって指定される画像メモリ13の記憶場所に記憶される。アドレス・カウンタ13はシート検出回路12から出力される判定開始信号に応答してアドレス信号発生動作を開始する。また,画像メモリ14およびステータス・メモリ15はシート検出回路12から出力される判定開始信号によりクリアされる。したがって,画像メモリ14には最後に撮像された1つの分包シートを表わすすべての画像データが記憶されることになる。
【0092】
アドレス・カウンタ13は判定開始信号が入力した時点から動作を開始し,クロック生成回路11からのクロック・パルス信号を計数することによって,画像データを記憶する画像メモリ14のアドレス信号を生成する。アドレス・カウンタ13の計数値(アドレス信号)は,シート検出回路12からの判定開始信号によって,アドレス信号発生動作を開始する前に,クリアされる。
【0093】
噛込判定回路40は,噛込Bを表わす信号レベルよりも高く,かつ皺Wを表わす信号の極小ピーク・レベルよりも低いレベルに設定された上記噛込判定レベルを用いて,噛込の有無を判定するものである。
【0094】
噛込判定回路40はシート検出回路12から判定開始信号が与えられ,その後PLL回路3から同期信号が入力すると,噛込の有無の判定動作を開始する。
【0095】
ウェーブ・キャンセル回路20から与えられる1ライン分の前処理済画像信号を考えると,この画像信号の中央の大部分は分包シートの画像を表わしているが,その両端部はコンベア1の表面を表わしており,かなり低いレベル(ダーク・レベル以下)である。
【0096】
噛込判定回路40は各走査ラインごとに前処理済画像信号がダーク・レベルを超えたところからこの画像信号が再びダーク・レベル以下になる直前までの間において,制御回路17から与えられる噛込判定レベルを用いて,クロック生成回路11からのクロック・パルス信号に応答して(画素ごとに),閾値処理を行う。この閾値処理は,分包シートObの全幅(搬送方向の幅)にわたるすべての走査ラインについて行なわれる。
【0097】
分包シートObの全領域を表わす画像データが複数のブロックに分割される。各ブロックは横方向(ライン走査方向)に64画素,縦方向に64ラインから構成される。各ブロックに含まれる画素の画像信号のうち少なくとも1画素について噛込判定レベルを下まわるものがあれば,そのブロックに噛込フラグが立てられる。噛込判定回路40は,この噛込フラグに基づいて,噛込の有無を表わすステータス・データをブロックごとに作成し,このステータス・データをステータス・メモリ15に記憶する(噛込フラグが立っているブロックには噛込有のステータス・データが作成される)。
【0098】
噛込判定回路40は,噛込判定の開始後,同期信号を計数することによって得られるライン数が,分包シートObの幅(搬送方向の長さ)に相当するライン数に達すると,一の分包シートについて噛込判定を終了する。一の分包シートについて噛込判定が終了すると,判定終了信号が噛込判定回路40から制御回路17に与えられる。制御回路17はこの判定終了信号が入力すると,ニューラル・ネットワーク16を用いて最終判定の処理を行う。
【0099】
ウェーブ・キャンセル回路20の平滑化回路33および34において,強調差信号Gおよび平均信号Hが平滑化されているから,噛込判定回路40がインパルス・ノイズ等を噛込と誤判定することがなくなる,または少なくなる。
【0100】
分包シートObには,上述したようにミシン目M,IノッチNが形成され,品名,型番,含有量,内容量等の文字列,記号,帯印刷BP等が印刷されている。これらを表わす画像信号も噛込判定レベル以下になることがありうるので,噛込判定回路40が噛込フラグを立ててしまうことがありうる。ニューラル・ネットワーク16は噛込判定回路40が噛込有と判定したブロックについて再判定するものである。このニューラル・ネットワーク16の判定結果に基づいて,制御回路17が噛込の有無についての最終判定を行う。
【0101】
制御回路17は,ステータス・メモリ15にアクセスしてステータス・データを参照し,噛込があると判定されたブロックを検索する。該当するブロックがなければ,当該分包シートObは噛込がない旨の最終判定結果が制御回路17から出力され,不良品排出装置6に与えられる。
【0102】
噛込有と判定されたブロックがある場合,制御回路17は当該ブロック内において,ニューラル・ネットワーク16に再判定を行わせるパターン判定領域を決定する。パターン判定領域は16画素×16ラインの正方領域であり,最も輝度レベルが小さい画素位置を中心として定められる。パターン判定領域の中心位置はその他の種々方法により決定することができる。たとえば噛込判定レベルより小さい値をもつ画像データと,これらの画像データの画素位置とに基づいて算出される重心を中心位置としてもよい。パターン判定領域の大きさは上記に限られないのはいうまでもない。
【0103】
決定されたパターン判定領域に含まれる画像データが,制御回路17によって画像メモリ14からニューラル・ネットワーク16に転送される。
【0104】
図7はニューラル・ネットワーク16の構造を示している。ニューラル・ネットワーク16は入力層,中間層および出力層からなる。ニューラル・ネットワーク16には,たとえば公知のニューラル・ネットワークのエミュレーション用プロセッサが用いられる。
【0105】
入力層におけるユニット(ニューロン)の数は,入力される画像データ数に応じて決まる。パターン判定領域が16ライン×16画素であるから,入力層には 256ユニット設けられている。
【0106】
中間層のユニット数は学習能力と判定速度とを考慮して,最適な個数を選ぶ。この例では中間層は32ユニットある。中間層は複数層設けてもよい。
【0107】
出力層には「OK」と「NG」とをそれぞれ出力する2つのユニットが設けられる。入力画像データによって表わされるパターンが,あらかじめ学習されたパターン(噛込以外のパターン)と一致または類似しているときに「OK」出力を発生する。ニューラル・ネットワーク16は噛込と,それ以外のパターンとを区別するものであるから,出力層はユニット「OK」だけでもよい。
【0108】
ニューラル・ネットワーク16においては多量の浮動小数点演算が行われ,図7に示すニューラル・ネットワーク構造では1回のパターンの判定(複数のパターンを同時に判定することも可能)のために 33236回の浮動小数点演算が行われる。
【0109】
エミュレーション用プロセッサとして動作周波数が100MHZのPowerPC601を用いると,ニューラル・ネットワーク16における1回のパターン判定のための演算時間は,約3msecとなる。上述した構成(特に図3)においては一の分包シートObについて,噛込の判定のために許容される時間(1分包シートが243mm の間隔を搬送されるのに要する時間)は810msec であるから,この許容時間の間に270 箇所のパターンについて再判定を行うことができる。再判定箇所が270 箇所を超えることがありうる場合,またはより高速の処理が要求される場合には,ニューラル・ネットワークを複数設け,各ニューラル・ネットワークに並列的に再判定を行なわせればよい。
【0110】
ニューラル・ネットワーク16にあらかじめ学習させておくパターンの例が図8に示されている。図8(A) および(C) はミシン目を表わすパターン例である。図8(B) はミシン目に交差して形成されたIノッチのパターンの例である。図8(D) は品名,形式,含有量,内容量等を示す文字,記号等を表すパターンの一例であり,ここでは数字「2」が示されている。
【0111】
このように,分包シートの表面に表わされており,噛込と間違いやすいパターンについてニューラル・ネットワーク16は前もって学習しておく。この学習においても,ウェーブ・キャンセル回路20によって前処理された前処理済画像信号から得られる画像データが用いられる。出力層ユニット「OK」が「1」となり,出力層ユニット「NG」が「0」となるように,パターンごとに学習が行われる。
【0112】
制御回路17によって決定されたパターン判定領域内の画像データが画像メモリ14からニューラル・ネットワーク16に転送されると,ニューラル・ネットワーク16においてその画像データに基づいて出力層のユニット「OK」および「NG」の出力が演算される(Forward Propagation) 。出力層ユニット「OK」の出力がニューラル・ネットワーク16の判定結果として制御回路17に与えられる。
【0113】
パターン判定領域に含まれる画像データによって表される画像が,あらかじめ学習されたパターンと一致または類似しているときには,出力層ユニット「OK」から「1」が出力されることになる。
【0114】
出力層ユニット「OK」および「NG」の両方が同時に「1」を出力すること,または同時に「0」を出力することが起こりうる。噛込検査装置10は,明らかに噛込を含む分包シートObを不良品として検出できればよいので,出力層ユニット「OK」から「1」が出力されたときのみ,パターン判定領域に含まれる画像データによって表されるパターンはミシン目,Iノッチ,印刷文字等の噛込以外のものであると判定すれば足りる。
【0115】
したがって,出力層ユニット「OK」が「0」を出力したとき,パターン判定領域に含まれる画像データによって表されるパターンは,あらかじめニューラル・ネットワーク16に学習されたパターンではなく,噛込であると判定される。
【0116】
噛込判定回路20が噛込フラグを立てたすべてのブロックについて,ニューラル・ネットワーク16によるパターンの判定が行われる。制御回路17は少なくとも1つのブロックに関してニューラル・ネットワーク16の出力層ユニット「OK」から「0」が出力されたとき,分包シートObには噛込があると最終的に判定する。この最終判定結果は制御回路17から出力され,不良品排出装置6に与えられる。
【0117】
このようにして,コンベア1によって搬送されてくる各分包シートObについてそのヒート・シール部Hに噛込があるかどうかが検査される。
【0118】
図9(B) は,図9(A) に示す分包シートObについて,帯印刷BPのない表面を通る走査ラインL1 上に沿う画像信号の波形(L1 で示す)と,帯印刷BPがある部分を通る走査ラインL2 に沿う画像信号の波形(L2 で示す)を示している。帯印刷BPがある走査ラインL2 上の画像信号の信号レベルは,帯印刷BPがない走査ラインL1 上における画像信号の信号レベルに比べて全体的に低くなる。帯印刷BP上を通る走査ラインL2 の画像信号の信号レベルは,ヒート・シール部Hにおいて噛込がないにも関わらず噛込判定レベル以下になることがありうる。
【0119】
この実施例の噛込判定回路40は,帯印刷BPが印刷された部分の走査ライン上の信号レベルを帯印刷BPがない部分の走査ライン上における信号レベルと同程度のレベルになるように補正している。
【0120】
帯印刷BPが印刷されている表面上の走査ラインに沿う信号レベルと,帯印刷BPが印刷されていない表面上の走査ラインに沿う信号レベルとが比較され,その差に基づいて補正値があらかじめ算出される。この補正値は噛込判定回路40にあらかじめ設定される(または制御回路17から与えられる)。補正値の算出において,複数個の分包シートにおける平均値を求めてもよい。
【0121】
噛込判定回路40はたとえば次のようにして,ウェーブ・キャンセル回路20から与えられる前処理済画像信号を,補正値を用いて補正する。分包シートObの帯印刷BPの上端までの幅をh2 とし,帯印刷BPの下端までの幅をh1 とする(h1 ,h2 はこの幅を走査する走査ライン数で表わされる)。判定開始信号が与えられた後,噛込判定回路40は同期信号の数を計数する。同期信号は1ライン当たり1パルス出力される。この計数値がh2 に達した時点からh1 に達するまで噛込判定回路40は,ウェーブ・キャンセル回路20からの前処理済画像信号に上記補正値に相当するレベルを加算し,この加算された画像信号について噛込判定を行う。噛込判定レベルから補正値に相当するレベルを差引くことによって得られる補正された噛込判定レベルを用いて,ウェーブ・キャンセル回路20からの画像信号について,噛込判定を行うようにしてもよい。
【0122】
このようにして,帯印刷BPが印刷された部分の走査ライン上の画像信号の信号レベルが低いことに起因する噛込の設定が防止される。
【0123】
上記実施例では,ミシン目,Iノッチ,文字,記号等を噛込と区別するためにニューラル・ネットワーク16が用いられている。ニューラル・ネットワーク16を用いる代わりに,噛込と区別すべきミシン目,Iノッチ,文字等がある領域をマスクしてもよい。噛込判定回路40はマスクした領域について噛込判定を行わないようにする。
【0124】
図10に分包シートObの画像にマスクする領域の一例が示されている。
【0125】
ミシン目Mに関してマスクする領域は,分包シートObの長さ方向について,マスクの中心位置(画素位置)がm1 ,m2 によってそれぞれ規定され,マスクの幅(画素数)がmw によって規定される。
【0126】
IノッチNに関してマスクする領域は,分包シートObの長さ方向について,上記のマスクの中心位置m1 ,m2 によってそれぞれ規定され,マスクの幅(画素数)がiw によって規定される。分包シートObの幅方向について,マスクの開始位置(ライン)がip によって規定され,マスクの幅がih によって規定される。
【0127】
帯印刷BPをマスクする領域は,分包シートObの幅方向について,マスクの開始位置(ライン)がh2 によって規定され,マスクの終了位置(ライン)がh1 によって規定される。帯印刷BPについては,上述したレベル補正を行えばマスクしなくてもよい。
【0128】
内容を表す文字列「26X」をマスクする領域は,分包シートObの長さ方向に関して,マスクの開始位置(画素位置)がn1 ,n2 ,n3 によってそれぞれ規定され,マスクの幅(画素数)がnw によって規定される。分包シートObの幅方向に関しては,マスクの開始位置(ライン)が帯印刷BPのマスクの終了位置h1 からの幅np によって規定され,マスクの幅(ライン数)がnh によって規定される。
【0129】
これらのマスクに関するパラメータは,分包シートObの形状に応じて,分包シートの種類ごとに制御回路17に設定される。噛込判定回路40は,制御回路17に設定されたパラメータを参照して,分包シートObの画像にマスクをした上で噛込判定を行う。
【0130】
画素数によって規定されるパラメータ(m1 ,m2 ,mw ,iw ,n1 ,n2 ,n3 ,nw )と,クロック信号を計数して得られる画素数とを比較するすることによって,長さ方向のマスク領域の開始位置と終了位置とが決定される。ライン数に関するパラメータ(ip ,ih ,h1 ,h2 ,np ,nh )と,同期信号を計数して得られる計数値とを比較することによって,幅方向のマスク領域の開始位置と終了位置とが決定される。
【0131】
噛込検査システムの検査対象は,上述の3分包1シートに限られず,1または複数の分包が形成されたシート等でもよいのはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】分包シートの一例を示す。
【図2】 (A)は分包シートの一部を拡大して示すものであり,ヒート・シール部に噛込があり,ポケット部に皺がある例を示している。(B) は(A) に示す走査ラインLk-2 に沿う画像信号の波形を示す。
【図3】噛込検査システムの全体的構成を示している。
【図4】ウェーブ・キャンセル回路における各信号の波形を示すものである。
【図5】噛込検査装置の詳細な構成を示すブロック図である。
【図6】ウェーブ・キャンセル回路の詳細な構成を示すブロック図である。
【図7】ニューラル・ネットワークの構造の一例を示す。
【図8】 (A) ,(B) ,(C) および(D) はそれぞれ,ニューラル・ネットワークに学習されるべきパターンの例を示す。
【図9】 (A) は分包シート上における走査ラインの位置を示し,(B) は走査ラインL1 およびL2 に沿う画像信号の波形を示している。
【図10】分包シートに設定されるマスク領域を示す。
【符号の説明】
1 コンベア
2 エンコーダ
3 PLL回路
4 照明装置
5 CCDライン・イメージ・センサ
6 不良品排出装置
10 噛込検査装置
11 クロック生成回路
12 シート検出回路
13 アドレス・カウンタ
14 画像メモリ
15 ステータス・メモリ
16 ニューラル・ネットワーク
17 制御回路
18,21,A/D変換回路
20 ウェーブ・キャンセル回路
22,23,24 1ライン遅延回路
25,26,27,28 D/A変換回路
29,30,35 差動増幅回路
31,32 両波整流回路
33 加算/平滑化回路
34 平均/平滑化回路
40 噛込判定回路

Claims (9)

  1. ポケット部に被包装物が充填され,かつ上記ポケット部の周囲が圧着されたシール部をもつ分包シートについて,上記シール部における上記被包装物の噛込を検査する装置であり,
    上記分包シートを撮像し,この撮像により得られる画像信号を出力する撮像手段,
    上記撮像手段から出力される近接する少なくとも2つの走査ラインに沿う画像信号の差を画像信号から減算して得られる前処理済画像信号を生成する前処理手段,および
    上記前処理手段により生成された前処理済画像信号をあらかじめ設定された閾値で閾値処理することによって,上記分包シートのシール部に被包装物の噛込があるかどうかを判定する噛込判定手段,
    を備えた噛込検査装置。
  2. 上記前処理手段により生成された前処理済画像信号を画像データに変換するA/D変換手段,
    上記A/D変換手段によって変換された画像データを記憶する画像メモリ,
    上記噛込判定手段によって噛込があると判定された画像データの位置を表わすステータス・データを記憶するステータス・メモリ,
    上記ステータス・メモリに記憶されたステータス・データに基づいて,噛込があると判定された位置を含む判定領域を決定し,この判定領域内に含まれる画像データを,上記画像メモリから読出すデータ抽出手段,
    上記データ抽出手段によって読出された判定領域内の画像データを入力とし,この画像データによって表される画像パターンが,あらかじめ設定された1または複数の所定の画像パターンの一に一致または類似するかどうかを判定する画像パターン判定手段,ならびに
    上記画像パターン判定判定手段が上記一または複数の所定の画像パターンの少なくとも一に一致または類似しないと判定したときに,上記分包シートのシール部に被包装物の噛込があると判定し,上記噛込判定手段が噛込があると判定しなかったとき,および上記画像パターン判定手段が上記一または複数の所定の画像パターンの少なくとも一に一致または類似するとの判定したときに,上記分包シートのシール部に被包装物の噛込がないと判定する総合判定手段,
    をさらに備えた請求項1に記載の噛込検査装置。
  3. 上記前処理手段は,上記少なくとも2つの走査ラインに沿う画像信号の平均から上記画像信号の差を減算するものである,請求項1に記載の噛込検査装置。
  4. 上記前処理手段は,近接する4つの走査ラインに沿う画像信号のうち,いずれか2つの画像信号の差と,他の2つの画像信号の差との和を求めることにより強調差信号を得,上記4つの画像信号の平均をとることにより平均画像信号を得,平均画像信号から強調差信号を減算することにより上記前処理済画像信号を得るものである,請求項1に記載の噛込検査装置。
  5. 上記画像パターン判定手段は,上記1または複数の所定の画像パターンをあらかじめ学習したニューラル・ネットワークによって構成される,請求項2に記載の噛込検査装置。
  6. 上記噛込判定手段は,あらかじめ設定された分包シートのマスク領域以外の領域を表わす前処理済画像信号について噛込の判定を行う,請求項1に記載の噛込検査装置。
  7. 上記噛込判定手段は,上記分包シートの所定領域における走査ラインの前処理済画像信号を,あらかじめ設定された補正値を用いて補正し,この補正画像信号について噛込の判定を行う,請求項1に記載の噛込検査装置。
  8. ポケット部に被包装物が充填され,かつ上記ポケット部の周囲が圧着されたシール部をもつ分包シートについて,上記シール部における上記被包装物の噛込を検査する方法であり,
    上記分包シートを撮像することにより画像信号を得,
    撮像により得られた近接する少なくとも2つの走査ラインに沿う画像信号の差を画像信号から減算して得られる前処理済画像信号を生成し,
    生成された前処理済画像信号をあらかじめ設定された閾値で閾値処理することによって,上記分包シートのシール部に被包装物の噛込があるかどうかを判定する,
    噛込検査方法。
  9. 生成された前処理済画像信号を画像データにA/D変換し,
    A/D変換された画像データを画像メモリに記憶し,
    噛込があると判定された画像データの位置を表わすステータス・データをステータス・メモリに記憶し,
    上記ステータス・メモリに記憶されたステータス・データに基づいて噛込があると判定された位置を含む判定領域を決定し,この判定領域内に含まれる画像データを,上記画像メモリから読出し,
    読出された判定領域内の画像データを入力とし,この画像データによって表される画像パターンが,あらかじめ設定された1または複数の所定の画像パターンの一に一致または類似するかどうかを判定し,
    上記一または複数の所定の画像パターンの少なくとも一に一致または類似しないと判定したときに,上記分包シートのシール部に被包装物の噛込があると判定し,
    噛込があると判定しなかったとき,および上記一または複数の所定の画像パターンの少なくとも一に一致または類似するとの判定したときに,上記分包シートのシール部に被包装物の噛込がないと判定する,
    請求項8に記載の噛込検査方法。
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