JP3860079B2 - シャー切断性に優れた切削仕上げした棒鋼および該棒鋼の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
シャー切断性に優れた棒鋼であって熱延あるいは熱処理などにより発生した黒皮肌の除去、表面キズ保証、脱炭保証あるいは寸法精度保証のために切削仕上げした棒鋼に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
熱間、温間あるいは冷間による鍛造用の棒鋼は、ユーザーにて切断し、その後所定の処理をして鍛造される場合が多い。この切断方法としては、シャー切断あるいは鋸切断が主として採用されている。ところで、例えばφ90以上の特に太いサイズの棒鋼を除けば、シャー切断されるのが通常である。従来、棒鋼は熱間圧延仕上げ、あるいは熱間圧延後に焼きなましなどの熱処理を施した黒皮肌の棒鋼が使用されており、特に表面キズ保証、脱炭保証あるいは寸法精度保証の厳しい用途に対してはバーターニング(ピーリング、ターニング)等の切削による皮むき仕上げした棒鋼が使用されていた。
【0003】
このような従来の技術において、最近は、鍛造歩留りの向上や、鍛造仕上げ寸法精度の向上等のニーズが強くなってきている。それに伴い素材である棒鋼に対しては、シャー切断後の棒鋼の重量管理のシビアー化に対応するため、みがき棒鋼並の寸法精度が求められてきており、また、シャー切断後のTPのダレ防止等の寸法精度向上のために切断機ガイドのクリアランスが小さくなってきている。さらに、鍛造仕上げ寸法精度向上に伴い、鍛造品の表面欠陥は極端に嫌われるようになり、それの原因となる素材の表面欠陥もあってはならず、たとえ錆び的なものでも嫌われる。従って、素材の防錆処理も重要となってきている。
【0004】
棒鋼のシャー切断に関する従来の技術としては、切断方法に関するものとして特開昭57−61412号公報、特開昭59−166408号公報、特開昭63−34013号公報など、良好な切断を実現するための材料の組織制御、硬さ制御等に関するものとして特開平10−60594号公報、特開平10−60595号公報、特開平11−199927号公報など、切断装置に関するものとして特開平3−294104号公報、特開平7−314238号公報などが開示されているが、いずれもシャー切断用棒鋼の表面粗さ、防錆油の粘度には言及していない。
【0005】
以上の従来技術において、上記した黒皮肌の棒鋼では、その寸法精度向上のニーズには応えきれていないため、シャー切断棒鋼のシビアーな重量管理が実現できていない。さらに、切断機ガイドでのクリアランスが良好に保てないため、ガイドでの詰まりが生じ、また、切断棒鋼のダレなどのため、良好な寸法精度が確保できていない。また、従来の切削によるピーリング仕上げ棒鋼は表面が平滑であって、かつ、防錆油が塗布されているため、シャー切断時に滑りを起こし、このため切断棒鋼の切断面が斜め(いわゆる「倒れ」)になり、これがその後の鍛造でキズの原因になる。さらに、切断時に滑るため、切断棒鋼のシビアーな重量管理も実現できていない、などの種々の問題点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、熱延仕上げや熱延後の焼きなましなどの熱処理後に発生した黒皮肌の除去、表面キズ保証および脱炭保証のための切削仕上げした棒鋼において、棒鋼表面の粗さと、その後に塗布される防錆油の粘度を適正に制御することにより、切断用母材(鋼材)の寸法精度を、通常幅で、例えば0.1〜0.2mmとするが、ユーザーのニーズに応じた仕様に確保して、良好なシャー切断作業性、切断棒鋼の寸法精度およびシビアーな重量管理を実現する方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための本発明の手段は、請求項1の発明では、棒鋼の黒皮肌の表面粗さRzを2.9〜8.8μmとして切削仕上げした棒鋼表面に粘度5〜14(Poise)の防錆油を防錆および鋼材同士の擦れキズ防止のため塗布したことを特徴とするシャー切断性に優れた切削仕上げ棒鋼である。
【0008】
請求項2の発明では、棒鋼の黒皮肌の切削仕上げにおいて、表面粗さ:Rzを2.9〜8.8μmとして切削仕上げを行い、この切削仕上げした棒鋼の表面に粘度5〜14(Poise)の防錆油を防錆および鋼材同士の擦れキズ防止のため塗布することを特徴とするシャー切断性に優れた切削仕上げ棒鋼の製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を以下に示す実施例の発明例と比較例および従来例を通じて説明する。先ず、説明に先立って、本発明の作用および本発明の手段の限定理由を述べると、本発明は良好なシャー切断作業性と切断棒鋼の寸法精度、シビアーな重量管理を実現できるもので、その手段の限定理由を説明すると以下のとおりである。
【0010】
本発明における棒鋼はφ90以下の例えばφ22.5〜44.5の棒鋼であって、切削仕上げ棒鋼の表面粗さRzを2.9〜8.8μmとする理由は、表面粗さRzが小さいと、シャー切断時にホルダーとの「噛み合い」が弱いため棒鋼が滑るので、この滑りを防止するためにRz2.9μm以上が必要である。表面粗さRzが大きすぎるとシャー切断時に切断部近傍でクラックが生じ易くなり、その後の鍛造でキズの原因になる可能性が高くなるので、このクラックの発生を防止するためにRzの上限を8.8μmとする必要がある。そこで、切削仕上げ棒鋼の表面粗さRzを2.9〜8.8μmとする。
【0011】
防錆油の粘度:5〜14(Poise)とする理由は、防錆油の粘度が小さすぎると、鋼材搬送中に鋼材同士の擦れキズが発生し、また防錆効果も小さくなるために粘度の下限を5(Poise)とする。防錆油の粘度が大きすぎると、シャー切断時に鋼材とシャー切断ホルダーの間に防錆油が残留し易くなり、そのため鋼材とシャー切断ホルダーとの「噛み合い」が弱くなり滑るので、粘度の上限を14(Poise)とする。そこで、防錆油の粘度を5〜14(Poise)とする。
【0012】
【実施例】
熱間圧延仕上げして得られた黒皮肌を有するφ24〜φ46の棒鋼をピーリング機により黒皮を除去する切削仕上げし、防錆油を塗布し、それらの棒鋼の9種を得た。それらをシャー切断してその切断性で評価した。表1に示すように、これら9種は、それぞれ切削仕上げ棒鋼の表面粗さRz、防錆油の粘度が本発明の範囲にあるものを本発明例として4種と、一つでも本発明の範囲外のものを比較例の3種と従来例の2種として、それぞれシャー切断性は、切断作業能率および切断棒鋼の寸法精度で判断し、シャー切断性の良好なものを○、切断できたが問題のあるものを△、切断不良のものを×で評価した。なお、寸法精度については、切断面の形状が良好なもの、すなわち切断面が斜めにならず、いわゆる「倒れ」が発生せず、かつ、切断部近傍でクラックが発生しないものを○とした。
【0013】
【表1】
【0014】
表1に見られるように、表面粗さRzおよび防錆油の粘度が共に本発明の範囲にあるものはいずれもシャー切断性は良好で問題はなかった。これに対し比較例のNo.5のものは表面粗さRzが本発明の上限を超えており、この場合は鍛造品にシャー切断部近傍で発生したクラックが起因の鍛造キズの発生が見られた。比較例のNo.6のものは表面粗さRzは本発明の範囲にあるが、防錆油の粘度が本発明の下限未満であり、この場合は素材擦れキズの発生が見られた。さらに、比較例のNo.7のものは表面粗さRzは本発明の範囲を満足するが、防錆油の粘度が本発明の上限を超えるものであり、この場合は滑りが発生して切断が不良で×であった。従来例のNo.8のものは、黒皮品であり、鋼材(切断用母材)の寸法公差、真円度などの寸法精度保証ができておらず、そのため詰まりを発生して満足にシャー切断出来なかった。さらに、従来例のNo.9のものは表面粗さRzが本発明の下限値に満たなかったもので、防錆油は本発明の範囲に入る粘度のものであったが、滑りが発生して満足にシャー切断出来なかった。
【0015】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、熱間圧延仕上げや熱間圧延後焼きなましした黒皮肌の棒鋼を、例えばピーリングなどにより切削仕上げ棒鋼とする際に、その切削仕上げ粗さおよび切削仕上げ後塗布する防錆油の粘度を最適化することにより、シャー切断の噛み合いが良好で、切断寸法精度が良好で有るなど極めて優れたシャー切断性を有する棒鋼に製造できる優れた効果を有するものである。
Claims (2)
- 棒鋼の黒皮肌の表面粗さをRz2.9〜8.8μmとして切削仕上げした棒鋼表面に粘度5〜14(Poise)の防錆油を防錆および鋼材同士の擦れキズ防止のため塗布したことを特徴とするシャー切断性に優れた切削仕上げ棒鋼。
- 棒鋼の黒皮肌の切削仕上げにおいて、表面粗さ:Rzを2.9〜8.8μmとして切削仕上げを行い、この切削仕上げした棒鋼の表面に粘度5〜14(Poise)の防錆油を防錆および鋼材同士の擦れキズ防止のため塗布することを特徴とするシャー切断性に優れた切削仕上げ棒鋼の製造方法。
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