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JP4123416B2 - 印刷インキの製造方法 - Google Patents
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JP4123416B2 - 印刷インキの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は粗製銅フタロシアニンの乾式粉砕物から、β型銅フタロシアニン顔料の粉体の形態を経由せずに、直接印刷インキを製造することができる印刷インキの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
粗製銅フタロシアニンを乾式粉砕した後にそのまま印刷インキ用樹脂および印刷インキ用溶剤中で加熱処理することで直接印刷インキを製造する方法が知られている。
【0003】
この方法は、安価なβ型銅フタロシアニン顔料インキを供給する上で非常に有効な手段であるが、粗製銅フタロシアニンを乾式粉砕して得られる粉砕物は非常に強い凝集体である上、α型結晶とβ型結晶との混合物であってα型結晶を多量に含むために、この粉砕物のインキ中での分散、α型結晶のβ型への結晶変換は芳香族有機溶剤量が少ないオフセット印刷インキではスムーズではなく、また芳香族成分が微量な溶剤(AFソルベント等)中では非常に困難である。
【0004】
上記欠点を改良した技術として、特開平9−272833号公報や特開平11−35841号公報には、粗製銅フタロシアニンを乾式粉砕する際に軟化点が160℃のロジン変性フェノール樹脂等の印刷インキ用樹脂を質量換算で20〜80%添加する方法が記載されている。
【0005】
これらの方法は、添加した樹脂の効果により銅フタロシアニン粒子の凝集を防止する意味と添加した樹脂が後に使用する印刷インキ用樹脂と同じものを使用できる点で非常に有効であり、アスペクト比が1に近く、色相が緑味鮮明で高着色力のβ型銅フタロシアニン顔料が得られるものの、目的とする印刷インキ特性を付与するために必要な樹脂の添加量が多く、最終印刷インキを調整する段階において樹脂等の各種添加剤の添加量の自由度が制限される。
【0006】
また特開平2−294365号公報には、粗製銅フタロシアニンを乾式粉砕する際にロジン変性フェノール樹脂等の印刷インキ用樹脂を質量換算で0.50〜10%添加する方法が記載されている。
【0007】
この方法も、添加した印刷インキ用樹脂の効果により上記特開平9−272833号公報と同様な点で非常に有効な方法といえるが、用いる印刷インキ用樹脂についてその種類は記載されているが、どの様な特性を有するものが好適なのかについては示唆されていない。しかも、粉砕後の粉砕物はインキ特性を付与するために必要な樹脂の添加量が少ないために一部に凝集体を形成し、印刷インキ用ワニス中に分散する工程で多くのエネルギーを必要とし、従来の乾燥顔料の印刷インキ製造工程より劣る。
【0008】
いずれにしても、従来の技術においては、乾式粉砕の際に用いる印刷インキ用樹脂として、どの様な特性を有するものが好適かは全く知られていなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、色相が緑味鮮明で、印刷インキ用ワニスへ容易に分散し、工業的にも経済性に優れ、且つ安全性の高い印刷インキ用銅フタロシアニン顔料組成物および該顔料組成物の印刷インキを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記実状の鑑みて鋭意検討したところ、従来よりも高い軟化点を有する印刷インキ用樹脂の存在下で粗製銅フタロシアニンを乾式粉砕することで、上記課題を解決出来ることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち本発明は、粗製銅フタロシアニンを、軟化点が165℃以上である印刷インキ用樹脂と共に乾式粉砕することを特徴とする印刷インキ用銅フタロシアニン顔料組成物の製造方法に関する。
【0012】
更に本発明は、上記製造方法により得られる顔料組成物を印刷インキ用溶剤および印刷インキ用樹脂と混合し、分散処理する印刷インキの製造方法に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明における乾式粉砕により得られる粉砕物は、β型銅フタロシアニンのみからなる顔料組成物と、β型銅フタロシアニンを主成分としてα型銅フタロシアニンを少量含む顔料組成物との両方を包含する。顔料組成物中のα型結晶含有率は、公知慣用の方法により定めることが出来るが、例えば粉末X線回折分析による回折図における特異ブラッグ角2θが6.8゜±0.2゜のピーク高さ(Lα)と9.2゜±0.2゜のピークの高さ(Lβ)の比(Lα/Lβ)に着眼して行うことが出来る。
【0014】
本発明で用いる粗製銅フタロシアニンは、公知慣用のものがいずれも使用できる。その製造方法には特に制限はないが、例えば以下の通りに製造することが出来る。
(1)フタロジニトリルと銅及び/又はその化合物を、有機溶剤中又はその不存在下において、180〜300℃で常圧又は加圧下で加熱反応させる。
(2)無水フタル酸及び/又はその誘導体、銅及び/又はその化合物、尿素及び/又はその誘導体を、触媒の存在下、有機溶剤中又はその不存在下において、180〜300℃で常圧又は加圧下で加熱反応させる。
【0015】
上記いずれの場合でも、例えば有機溶剤を使用した場合には溶剤を留去し、無機及び有機不純物を除去するために、アルカリ水溶液及び/又は酸性水溶液中に分散し、濾過・洗浄し、乾燥して製造することが出来る。
【0016】
本発明の顔料組成物および該顔料組成物を用いた印刷インキを得るに当り、粗製銅フタロシアニンは、上記アルカリ水溶液及び/又は酸水溶液中に分散し、不純物を除去した後、濾過し、充分に湯洗浄し、乾燥して製造された純度の高いものを使用することが好ましい。なかでも、粗製銅フタロシアニンとしては、アルカリ水溶液及び/又は酸水溶液を併用して洗浄し、有機・無機両方の不純物がいずれも除去された純度97〜99%の粗製銅フタロシアニンを用いると、本発明の効果がいかんなく発揮される。
【0017】
本発明の乾式粉砕時において用いる印刷インキ用樹脂は、軟化点165℃以上の印刷インキ用樹脂である。本発明において軟化点とは、米国材料・試験協会の定めるASTM E 28(環球法)に基づいて測定されるものを言う。軟化点165℃以上の印刷インキ用樹脂としては、例えばロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、石油樹脂、アルキド樹脂等が挙げられ、これらは任意に単独または2種類以上を組み合わせて使用できる。
【0018】
乾式粉砕時に用いる印刷インキ用樹脂の軟化点は、165℃以上であればよいが、なかでも適量で優れた分散性を示す点で、165〜185℃の範囲のものが好ましい。軟化点が低い印刷インキ用樹脂を使用すると、乾式粉砕中に、その摩擦熱で乾式粉砕装置の内温が軟化点以上に上昇して樹脂が溶融し、装置内壁に付着、固着現象を引き起こし、異常加熱による発火を誘引する危険がある。
【0019】
この印刷インキ用樹脂として、金属塩を官能基として含まないロジン変性樹脂を使用すると、顔料表面を被覆した印刷インキ用樹脂が印刷インキ用溶剤に容易に溶解しやすくなることから、顔料粒子のワニス中への分散の進行が促進され容易にβ型への結晶変換もなされるので好ましい。
【0020】
さらに、ロジン変性樹脂は、同じ高軟化点での比較においては、樹脂の酸価が小さいほど、印刷インキ用溶剤に対する樹脂の溶解性が高くなり分散性に優れた最終印刷インキが得られる。本発明における酸価とは、印刷インキ用樹脂の1gを中和するのに必要な水酸化カリウム(KOH)のmg数をいう。
【0021】
従ってロジン変性樹脂としては、酸価0〜35のロジン変性樹脂が好ましく、なかでも、金属塩を官能基として有さず酸価0〜35であるロジン変性樹脂が特に好ましい。
【0022】
また、この様な印刷インキ用樹脂としては、ロジン変性樹脂が好ましく、なかでも、ロジン変性フェノール樹脂が特に好ましい。ロジン変性フェノール樹脂としては、例えばアルキルフェノールとホルムアルデヒドとを縮合反応して得られたフェノール樹脂とロジンとを反応させて得られたものを主成分とし、更に多価アルコールを樹脂の構成成分としたものが使用できる。この際に用いることの出来るアルキルフェノールとしては、例えばp−第3ブチルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール等が挙げられる。
【0023】
この様な好適な印刷インキ用樹脂としては、例えばハリマ化成株式会社製ハリフェノール P−222、ハリフェノール T3120、ハリフェノール P−160、ハリフェノール G2900、ハリフェノール S−420等が挙げられる。
【0024】
印刷インキ用樹脂として、この様に軟化点が高い印刷インキ用樹脂を使用することにより、乾式粉砕時の温度を高く設定でき、α型結晶のより少ない乾式粉砕物が得られる。このことは、印刷インキを製造する工程である、印刷インキ用溶剤と印刷インキ用樹脂とを混合し分散処理する工程において、印刷インキの単位時間当たりの生産性を高め、その製造に要するエネルギー等も削減できることに繋がる。
【0025】
粗製銅フタロシアニンと共に乾式粉砕する印刷インキ用樹脂の添加量は、粗製銅フタロシアニンに対して、質量換算で10%を越えて20%未満であることが好ましい。
【0026】
樹脂の添加量が、粗製銅フタロシアニンに対して10%以下だと、印刷インキ用溶剤および印刷インキ用樹脂他と混合した場合の粉砕物の分散性、印刷インキとしての練肉性が悪くなる傾向があるので好ましくない。一方、樹脂の添加量が、粗製銅フタロシアニンに対して20%以上だと、乾式粉砕装置内部での樹脂の付着、固着が生じる危険性がより高くなる。しかも、最終印刷インキを調整する段階において樹脂等の各種添加剤の添加量の自由度が制限されるので好ましくない。
【0027】
本発明の製造方法における、乾式粉砕は、乾式粉砕装置中、粉砕メディアの存在下で粗製銅フタロシアニンを粉砕するものである。即ちこの粉砕は、実質的に液状物質は介在させないし、介在もしない。印刷インキ用樹脂が溶解や溶融しない条件で粉砕が行われる。
【0028】
尚、粗製銅フタロシアニンは、下記の乾式粉砕装置に印刷インキ用樹脂と共に加えて乾式粉砕される。粗製銅フタロシアニンと印刷インキ用樹脂とはそれぞれをこの装置に加えても、予め粗製銅フタロシアニンと印刷インキ用樹脂とを混合してこの混合物を下記の乾式粉砕装置に加えるようにしてもよい。
【0029】
乾式粉砕の温度は、通常60〜180℃で行い、粉砕物のα型結晶含有率をより低くして、よりβ型への結晶変換を短時間のうちに促進するには、より高温での粉砕が望ましく、軟化点165℃以上の印刷インキ用樹脂が溶融しない出来るだけ高い温度で行うのが好ましい。
【0030】
粉砕物は、α型結晶含有率が高いほど、引き続き行われる印刷インキ用溶剤の存在下でβ型へ結晶変換する際、過剰のα型結晶が顔料粒子を針状に結晶成長させるため、顔料の色特性は赤味色相で流動性や分散性が低下する等の問題が生じるので好ましくない。
【0031】
従って乾式粉砕は、粉砕物中のα型結晶含有率が出来るだけ少なくなる様に行うのが好ましい。粉砕物のα型結晶含有率は、用いる粉砕装置の選定を含め粉砕時間を除く粉砕条件を一定に固定して、粉砕物を経過した粉砕時間毎に適量サンプリングし、その試料についてのX線回折測定によりα型結晶含有率−粉砕時間との検量線を作製し、それから求めることが出来る。具体的には、この乾式粉砕はα型結晶含有率が35〜65%の範囲内となる様に行うことが好ましい。
【0032】
また乾式粉砕は、粉砕物の一次粒子径が0.001〜0.1μmとなるように行うのが好ましい。一次粒子径がこの範囲にあると、一次粒子の強固な凝集体を印刷インキ用溶剤および印刷インキ用樹脂と混合することで容易に解凝集が行われ、着色力、分散性等に優れたβ型銅フタロシアニン顔料を含む印刷インキが容易に得られる。
【0033】
乾式粉砕は、例えば粉砕メディア同士、あるいは粉砕メディアと粉砕装置内壁との衝突による衝撃力、せん断力等を利用して行うことが出来る。乾式粉砕装置としては、例えばアトライター、ボールミル、振動ミル、ハンマーミル等の公知慣用の装置を用いることができる。メディアとしては、各種の素材で種種の大きさのビーズやロッドが使用できる。
【0034】
また乾式粉砕は、空気中で行うことが出来るが、乾式粉砕装置内に必要に応じて窒素ガスやヘリウムガス等の不活性ガスを流通させ、装置内部を脱酸素雰囲気下として乾式粉砕を行ってもよい。この方法は、安全性の面からも有効である。
【0035】
乾式粉砕時における粉砕時間は、粉砕温度や用いる装置によって、または希望する粉砕物の粒子径、乾式粉砕後の粉砕物からなる顔料組成物或いはその顔料組成物を用いた最終印刷インキの目標インキ特性に応じて適宜調整される。この粉砕時間は、上記した粉砕温度において、通常、30分〜5時間である。
【0036】
尚、乾式粉砕時には、必要であれば、印刷インキ用樹脂と共にさらに銅フタロシアニン顔料誘導体を併用してもよい。この様な銅フタロシアニン顔料誘導体としては、例えば銅フタロシアニンの4個のベンゼン核の1個以上に置換基を有し、置換基としては例えばハロゲン原子、スルホン酸基、カルボン酸基又はその金属塩、アンモニウム塩及びカチオン性界面活性剤との塩類が挙げられ、また、メチレン基、カルボニル基、スルホニル基、イミノ基等を介した各種誘導体も用いられる。銅フタロシアニン顔料誘導体の使用量は、特に制限されないが粗製銅フタロシアニンの質量換算100部当たり、0.1〜20部である。
【0037】
こうして得られた粉砕物からなる顔料組成物は、印刷インキ用溶剤および印刷インキ用樹脂と混合し分散処理することにより、完全にβ型へと結晶変換し、容易に印刷インキを得ることができる。
【0038】
本発明の製造方法では、印刷インキ用樹脂の存在下に乾式粉砕を行った粉砕物を顔料組成物として使用するので、印刷インキの調製工程における銅フタロシアニン粉砕物のβ型への結晶変換がより容易となる。顔料組成物中の樹脂が印刷インキ用溶剤に溶解することで顔料粒子の分散が促進されるために、例えば芳香族成分を含まないような印刷インキ用溶剤中で分散処理しても、容易に銅フタロシアニンをβ型へ結晶変換できる。
【0039】
この際の印刷インキ用溶剤としては、例えば高沸点石油系溶剤、脂肪族炭化水素溶剤、芳香族炭化水素溶剤、高級アルコール系溶剤等が挙げられ、具体的には、例えばn−パラフィン、イソパラフィン、アロマティック、ナフテン、α−オレフィン等がある。これらは、単独あるいは2種類以上の組み合わせで任意に使用できる。
【0040】
印刷インキ用溶剤としては、環境負荷の影響が少ない点で、ナフテン系成分やパラフィン系成分等の脂肪族炭化水素において、芳香族化合物成分が1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下の有機溶剤が、好適な印刷インキ用溶剤として使用できる。この芳香族化合物の含有率は、例えばアニリン点により推定できる。本発明で好適に用いられる印刷インキ用溶剤は、アニリン点が65〜100℃の範囲のものである。
【0041】
この様な印刷インキ用溶剤としては、例えば日本石油株式会社製のAFソルベント4号(芳香族成分含有量0.1質量%)、AFソルベント5号(同0.2質量%)、AFソルベント6号(同0.2質量%)、AFソルベント7号(同0.3質量%)等が挙げられる。
【0042】
印刷インキの調製時に用いる印刷インキ用樹脂としては、乾式粉砕時に用いることが出来る軟化点165℃以上の印刷インキ用樹脂の他、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、石油樹脂、アルキッド樹脂又はこれら乾性油変性樹脂等の樹脂が挙げられる。しかしながら、この印刷インキ調製時に用いる印刷インキ用樹脂としては、上記乾式粉砕時に用いたものとの相溶性に優れるものを用いることが好ましい。また印刷インキ調製時に用いる印刷インキ用樹脂は、それと、乾式粉砕時に用いた印刷インキ用樹脂との混合物が、印刷インキとした時の被印刷物への定着性に優れたものとなる様に選択される。
【0043】
尚、印刷インキ用溶剤と印刷インキ用樹脂とを必須成分として含む混合物は、印刷インキワニスとして各種のものが市販されている。本発明では、この市販の印刷インキワニスを用いることも出来るし、予め印刷インキ用溶剤と印刷インキ用樹脂とを混合して印刷インキワニスを調製してそれを用いる様にしても良い。また、上記粉砕物からなる顔料組成物と印刷インキ用溶剤と印刷インキ用樹脂とを同時に混合して分散することも出来る。
【0044】
印刷インキ用溶剤には、揮発性有機化合物を極力低減する目的で、アマニ油、桐油、大豆油等の乾性油、半乾性油等の植物油を併用することも出来る。必要ならば乾性油や半乾性油に不乾性油を更に併用することも出来る。
【0045】
印刷インキワニスを調製する際の印刷インキ用樹脂と植物油と印刷インキ用溶剤との混合割合は、質量換算で、樹脂:植物油:溶剤=20〜50部:0〜30部:10〜60部の範囲とするの好ましい。
【0046】
乾式粉砕により得られる粉砕物からなる顔料組成物と、印刷インキ用溶剤と、印刷インキ用樹脂とを混合し分散する際の条件は、特に制限されるものではないが、前記顔料組成物中の銅フタロシアニンの完全なβ型への結晶変換と安定な分散を達成するためには、例えば60〜180℃で10分〜4時間行うことが好ましい。
【0047】
本発明の印刷インキの製造方法においては、最終的に使用に供される印刷インキ(最終印刷インキという)に必要な顔料濃度となる様に、上記した印刷インキ用樹脂と印刷インキ用溶剤と用いて一段階で最終印刷インキを調製しても良いし、予め最終印刷インキより顔料濃度が高い濃厚印刷インキ(プレミックスインキという)を一旦調製し、これを更に印刷インキ用樹脂と印刷インキ用溶剤で希釈するという多段階で最終印刷インキを調製しても良い。
【0048】
この分散処理については、公知の分散機等が使用される。混練に使用される分散機としては、公知慣用のものがいずれも使用できるが、例えばディスパー、ホモミキサー、ビーズミル、ボールミル、ビーズミル、2本ロール、3本ロール、ニーダー等の公知の分散機が挙げられる。勿論これらを組み合わせて使用することも出来る。
【0049】
本発明の印刷インキの製造方法では、前段の顔料組成物の製造工程において、予め印刷インキ用樹脂が銅フタロシアニン表面を被覆しているので、後段の印刷インキの製造方法に係るこの分散処理は、従来よりもより緩やかな攪拌による混練により行うことが出来る。従って上記した分散機中、弱い応力で混練する分散機でも、この分散処理を行うことが出来る。しかしながら、分散時間短縮を希望する場合は、強い応力で混練が行われる分散機を用いて分散処理することで、その時間をより短縮することが可能である。
【0050】
多段階の工程を経て最終印刷インキを調製する場合において、上記の様にしてプレミックスインキを得て、それに更に印刷インキ用樹脂や印刷インキ用溶剤とを併用して、これらを10〜60℃の2本ロールや3本ロールで1〜5回練肉することで最終印刷インキとすることもできる。
【0051】
本発明の印刷インキの製造方法においては、その任意の工程において、必要に応じて印刷インキ用樹脂の硬化促進剤(ドライヤー)、離型剤(ワックス)等の各種添加剤を含めることが出来る。
【0052】
こうして本発明では粗製銅フタロシアニンの乾式粉砕物から、β型銅フタロシアニン顔料の粉体の形態を経由せずに、直接印刷インキを製造することができる。
【0053】
【実施例】
以下、本発明を製造例、実施例、比較例により詳細に説明する。尚、特に断りのない限り、「%」及び「部」は質量基準である。
【0054】
以下、本実施例の印刷インキワニスとしては、乾式粉砕時に用いたのとは異なるがそれとの相溶性に優れた市販ロジン変性フェノール樹脂47%、AFソルベント7号(日本石油株式会社製)47%、アマニ油6%から構成されるものを用いた。
【0055】
[製造例1](粗製銅フタロシアニンの製造)
無水フタル酸1218部、尿素1540部、無水塩化第一銅200部、モリブデン酸アンモニウム5部及び溶媒として炭素原子数5〜8個のアルキル基を有するアルキルベンゼンの混合物4000部を反応器に仕込み、攪拌しながら加熱して200℃まで昇温させた後、同温度で2.5時間反応させた。
反応終了後、減圧下で溶媒を留去し、残った反応生成物を2%水酸化ナトリウム水溶液8000部中に加え、70℃で1時間攪拌した後、吸引濾過してケーキを得た。引き続き、得られたケーキを2%塩酸(水溶液)8000部中に加え、70℃で1時間攪拌した後、中和し吸引濾過した。このようにして得られたケーキを80℃の温水で充分洗浄した後、乾燥させて粗製銅フタロシアニン(純度98%)を得た。
【0056】
[実施例1](銅フタロシアニン乾式粉砕物の製造および最終印刷インキの製造)
上記粗製銅フタロシアニン500部及び「ハリフェノール P−222」(ハリマ化成株式会社製、ロジン変性フェノール樹脂、軟化点172℃、酸価22.1、重量平均分子量Mw=10459。金属塩からなる官能基を有さない。)75部を内容積5リットルのアトライター(直径3/8インチのスチールボール 13Kgを含む)を用いて、回転数300rpm、内温90〜110℃で60分間粉砕して、乾式粉砕物568部を得た。この粉砕物は、銅フタロシアニンのα型結晶59%及びβ型結晶41%から構成されるものであった。尚、このα型結晶含有率は、株式会社リガク製粉末X線回折装置 LINT1100を用いて、特開平10−101955号公報に記載された方法に準じてLα/Lβを求めて決定した(以下同様。)。
次に、この粉砕物175部、上記印刷インキワニス230部およびAFソルベント7号95部に加え、120℃にて2時間撹拌し、プレミックスインキを得た。
さらに、得られたプレミックスインキ27部に上記印刷インキワニス19部およびAFソルベント7号4部を加え撹拌・調整した後、40℃の3本ロールで2回練肉して最終印刷インキを得た。
【0057】
[実施例2](銅フタロシアニン乾式粉砕物の製造および最終印刷インキの製造)
「ハリフェノール P−222」に代えて、「ハリフェノール T3120」(ハリマ化成株式会社製、ロジン変性フェノール樹脂、軟化点170℃、酸価30.4、重量平均分子量Mw=65000。金属塩からなる官能基を有さない。)を用いる以外は実施例1と同様の操作を行い、565部の乾式粉砕物を得た。この粉砕物は、銅フタロシアニンのα型結晶52%及びβ型結晶48%から構成されるものであった。この粉砕物を用いて、以下も実施例1と同様な操作を行って、最終印刷インキを得た。
【0058】
[比較例1](銅フタロシアニン乾式粉砕物の製造および最終印刷インキの製造)
「ハリフェノール P−222」に代えて、「ハリフェノール 145G」(ハリマ化成株式会社製、ロジン変性フェノール樹脂、軟化点147℃、酸価12.7)を用いる以外は実施例1と同様の操作を行い、566部の乾式粉砕物を得た。この粉砕物は、銅フタロシアニンのα型結晶63%及びβ型結晶37%から構成されるものであった。この粉砕物を用いて、以下も実施例1と同様な操作を行って、最終印刷インキを得た。
【0059】
[比較例2](銅フタロシアニン乾式粉砕物の製造および最終印刷インキの製造)
「ハリフェノール P−222」に代えて、「ハリマック R−120AH」(ハリマ化成株式会社製、ロジン変性マレイン酸樹脂、軟化点118℃、酸価25.7)を用いる以外は実施例1と同様の操作を行い、547部の乾式粉砕物を得た。この粉砕物は、銅フタロシアニンのα型結晶67%及びβ型結晶33%から構成されるものであった。この粉砕物を用いて、以下も実施例と同様な操作を行って、最終印刷インキを得た。
【0060】
[試験例]
《平版インキ展色試験》
この試験法はJIS K−5101−4 甲法(1985年)に準じて行った。(濃色インキ)
実施例1及び2並びに比較例1及び2で得られた各最終印刷インキを、そのまま濃色インキとして使用した。
【0061】
(淡色インキ)
上記濃色インキ0.20部と白インキ4.00部(大日本インキ化学工業株式会社製 ニューチャンピオンAT白179〔白顔料30%〕)をフーバーマーラーを用いて50lbの荷重のもと50回転を3回繰り返して練肉を行い、平版印刷インキ(淡色インキ)を作成した。
【0062】
《色相、彩度、分散性の評価基準》
色相、彩度:上記試験で作成した淡色インキを一般展色紙にヘラ引きで展色し、その上色(肉色)を測色分光器(GRETAG MACBETH社製 SPM50)を用いて測定した。色相はh値、彩度はC*値(L*a*b*表示色系)を指標とし、実施例1及び2並びに比較例1及び2の最終印刷インキの性能を評価した。
【0063】
尚、色相は色相角hで表示した。h値が小さいほど、色相は緑味を呈することを意味する。彩度はC*で表示した。C*値が大きいほど、鮮明であることを意味する。
【0064】
分散性:上記試験の濃色インキを少量ガラス板に擦り付け、光学顕微鏡(株式会社TOPCON製 TMM−100D)により倍率100倍で観察し、粒子の大きい顔料の粒子数が多く観察されたものを分散性が悪く、粒子が細かく又は粒子が見えにくいものを分散性が良好と判定した。以下の表中では、分散性が非常に良いものを○、分散性が良いものを△、分散性が悪いものを×と表示した。
【0065】
上記の実施例1及び2並びに比較例1及び2の各最終印刷インキの色相、彩度、分散性に関する測定結果を表1に示す。
【0066】
【表1】
表1
Figure 0004123416
【0067】
表1の結果から明らかなように、高軟化点の印刷インキ用樹脂の存在下で乾式粉砕をして得た実施例1及び2の銅フタロシアニン粉砕物から得た最終印刷インキは、従来の様な低軟化点の印刷インキ用樹脂を用いて同様に乾式粉砕して得た比較例1及び2の粉砕物から得た最終印刷インキと比較した結果、色相は緑味鮮明、かつ優れた分散性を有していることがわかる。
【0068】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、粗製銅フタロシアニンを、高軟化点の印刷インキ用樹脂と共に乾式粉砕することにより、印刷インキの調製に好適な、より微細化され、過剰な凝集が防止された銅フタロシアニンの一次粒子が得られる。その結果、印刷インキの調製段階で溶剤に対する樹脂の溶解性が高く、易分散ゆえにどの様な溶剤系でもβ型への結晶変換がスムーズとなり、色相がより鮮明で分散性に優れた最終印刷インキが簡便に得られる。
【0069】
さらに、高軟化点の印刷インキ用樹脂を用いるので、乾式粉砕時にそれが装置内で付着することも少なく安全であり、且つ樹脂添加量が最適範囲ゆえに印刷インキ調製時に、顧客毎に要求される個々の目的の特性を付与する許容範囲が広い。
また、一旦顔料のみを製造するという形態を経由せずに粗製銅フタロシアニンから直接印刷インキを製造でき工業的にも生産性にも優れる。
【0070】
すなわち、本発明は色相が緑味鮮明で、易分散、且つ安全性の高い印刷インキ用銅フタロシアニン顔料組成物および印刷インキを従来法より簡便に製造できるという格別顕著な効果を奏する。

Claims (3)

  1. 粗製銅フタロシアニンを、印刷インキ用樹脂と共に乾式粉砕する印刷インキ用銅フタロシアニン顔料組成物を印刷インキ用溶剤および印刷インキ用樹脂と混合し、分散処理する印刷インキの製造方法であって、印刷インキ用銅フタロシアニン顔料組成物における印刷インキ用樹脂が軟化点165℃以上で、かつ添加量が該粗製銅フタロシアニンに対して質量換算で10%を越えて20%未満であることを特徴とする印刷インキの製造方法。
  2. 粗製銅フタロシアニンを、印刷インキ用樹脂と共に乾式粉砕する印刷インキ用銅フタロシアニン顔料組成物に用いる印刷インキ用樹脂が、金属塩を官能基として有さないロジン変性樹脂である請求項1記載の製造方法。
  3. 粗製銅フタロシアニンを、印刷インキ用樹脂と共に乾式粉砕する印刷インキ用銅フタロシアニン顔料組成物に用いる印刷インキ用樹脂が、金属塩を官能基として有さないロジン変性樹脂であり、且つ樹脂の酸化が0〜35である請求項1記載の製造方法。
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