JP4503133B2 - 揮発性有機物質の室外排気方法および除去方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建材や接着剤などの建築材料から発生するアルデヒド類などの揮発性有機物質を室内から除去する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、新築マンションや戸建住宅では、建築施工後客先に引き渡された後、建材や接着剤などの建築材料から揮発性有機物質が室内に自然放出され、かかる揮発性有機物質のために居住者が吐き気や、目眩、その他の不定愁訴に悩まされる場合があることが問題となってきた。
【0003】
かかる問題に対処するため、建築施工後、客先に引き渡す前に、室内の窓やドアなどの開口部を長期間開けて自然換気を行い、揮発性有機物質を室外に極力放出しておくことにより、客先引き渡し後の室内における揮発性有機物質の発生濃度の低減化を図る処置がとられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の自然換気による方法では、長期間にわたり窓やドアを開けておかなければならず、天候状況によっては、屋外の塵などが室内に入り込んで室内を汚す虞れがある。特に、風や雨が強い悪天候の場合には、窓やドアを開け放すことができない場合もある。このように自然換気による方法では、天候や、季節などによりその実施が大きく左右され、場合によっては、客先への引き渡しまで十分な自然換気が行えない場合も発生する。
【0005】
また、上記自然換気の方法では、揮発性有機物質の建築材料からの発生を強制的に行わせる効果は少なく、十分に揮発性有機物質を除去するためには、かなりの長期間が必要となる。施工から客先への引き渡しまで十分に期間をとれない場合も多く、かかる場合には、上記従来の自然換気による方法では、十分な揮発性有機物質の除去は期待できない。短期間で、揮発性有機物質の除去が行える技術開発が強く求められている。
【0006】
本発明の目的は、揮発性有機物質の建築材料からの発生を強制し、且つ発生した揮発性有機物質を強制的に室内から排気できるようにして、短期間で揮発性有機物質の除去を行えるようにすることにある。
【0007】
本発明の他の目的は、揮発性有機物質の建築材料からの発生を強制し、且つ発生した揮発性有機物質を強制的に室内から排気することなく、短期間で揮発性有機物質の除去を行えるようにすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、建築材料あるいは建築に際して使用された接着剤から発生する揮発性有機物質を室外へ排気する排気方法であって、室温を上げて前記揮発性有機物質の室内への発生を強制する室内加温工程と、前記室内の前記揮発性有機物質を室外に強制排気する強制排気工程とを有し、前記室内加温工程と前記強制排気工程とを組み合わせて構成する換気工程を複数回繰り返すとともに、前記室内加温工程では、室内の湿度を上げて水に可溶な前記揮発性有機物質の発生量を増加させるとともに前記揮発性有機物質の発生に影響を及ぼす程に室温低下をきたさない範囲で開口部を通した室内の微小換気を行うことを特徴とする。
【0009】
前記室内加温工程では、室内において揮発性物質を捕捉することを特徴とする。前記捕捉は、前記室内加温工程で発生させた前記揮発性有機物質を、空気清浄器および/または脱臭剤で捕捉することを特徴とする。
【0010】
前記室内加温工程では、室内の空気循環を行うことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
本発明は、図1に示すように、室内の温度を上げて、建築材料に含まれる揮発性有機物質を強制的に室内に発生させ、発生させた揮発性有機物質を強制的に室外に排気することにより、施工後客先に引き渡した後での健康被害をもたらす虞のある揮発性有機物質の室内への発生を抑制、あるいは防止しようとするものである。
【0014】
なお、本明細書では、建築材料とは、建材に限定することなく、建材、および建築施工に際して使用される接着剤、塗料など広く建築に際して使用される材料を意味するものとする。また、室温を上げて、建築材料からの揮発性有機物質の発生を促し、発生した揮発性有機物質を室外に強制排気することを、以下、簡単にベイクアウトと表現する場合がある。
【0015】
すなわち、ベイクアウトには、室温を上げて前記揮発性有機物質の室内への発生を強制する室内加温工程と、室内の前記揮発性有機物質を室外に強制排気する強制排気工程とが含まれることとなる。
【0016】
上記建材や接着剤などの建築材料から発生する揮発性有機物質としては、例えば、ホルムアルデヒドやアセトアルデヒドなどのアルデヒド類、アルコール類、トルエンなどの芳香族系化合物類などがあり、これら種々の揮発性有機物質を総称してTVOCと言っている。
【0017】
上記建築材料から揮発性有機物質を強制的に発生させるために室内温度を上げるに際しては、例えば、電熱器、ガスヒーター、ストーブ、ホットカーペット、エアーコンディショナー、床暖房など通常の室内暖房用器具を使用すればよい。しかし、室内温度を上げるために使用する器具は、上記室内用暖房機器具に限定する必要はない。要は、建築材料からの揮発性有機物質の発生を十分に促せる程度に室温、特に揮発性有機物質を含んでいる建築材料の温度を高めるのに有効なものであれば、その器具、装置の如何を問わず使用できる。
【0018】
室内の加温は、窓、ドア、換気口などの開口部を閉鎖した状態で行えばよい。加温時の温度設定は、ベイクアウトの実施に際して、内装材など室内環境に影響を及ぼさない範囲で行えばよい。設定温度は、予想される揮発性有機物質が建築材料から揮発できる程度に、建築材料を加温できる温度に設定すればよい。例えば、約30〜40℃以上に設定すればよい。加温時間としては、厳密には、揮発性有機物質の発生が予想される建築材料の質、使用量などにより異なるが、大まかには設定温度に達してから、最小0.1時間で効果の発揮が確認された場合もあるが、より好ましくは5時間以上行えば、従来より格段に揮発性有機物質の強制発生が行えた。
【0019】
上記要領で強制的に発生させた揮発性有機物質を、その後室内から強制排気する。強制排気の手段としては、室内換気の方法で行えばよい。室内の広さにもよるが、実験では一般的には、少なくとも30分以上行えば好ましい結果が得られることが分かった。
【0020】
換気は、このように室内温度を上げて、揮発性有機物質を十分に室内に発生させた時点で行うが、しかし、室内の加温前に既に室内における揮発性有機物質による臭気が激しい場合には、前記の如く開口部を閉鎖する前にも換気を、例えば、約30分程度行うと、ベイクアウトの効果が向上した。これは、臭気が激しい場合には、相当程度の揮発性有機物質が室内に充満している状態と考えられるが、ベイクアウト開始前に上記換気によりかかる状態を解消しておけば、その後に室内温度を上げて揮発性有機物質を強制発生させるに際して、揮発性有機物質の蒸気密度(空気中の濃度)を小さく抑えておくことができ、十分に揮発性有機物質を発生させることができる。その分ベイクアウト効果の向上が図れる。
【0021】
室内温度を上げて行く状態では、発生する揮発性有機物質の濃度が徐々に高くなり、その分建材などからの揮発性有機物質の放出速度が弱まる。かかる状態を解消するために、例えば、活性炭などの吸着剤をバットなどの容器に広げて配置したり、あるいは空気清浄機を配置したりして、発生した揮発性有機物質を捕捉するようにすると好ましいことが確認された。
【0022】
さらには、かかる室内加温中の揮発性有機物質の空気中濃度が増大するにつれて(すなわち、飽和濃度に近づくにつれて)、その発生が抑制されるのを防止するために、揮発性有機物質の発生に影響を及ぼす程に室温低下をきたさない範囲で、開口部を通して室外に揮発性有機物質を適宜排気するようにすると好ましい。壁やサッシの通気口、レンジフード、換気扇などを通して微小換気を行えばよい。
【0023】
また、室内温度を上げて行く状態では、部屋の間取りなどの関係で、揮発性有機物質の濃度の偏りが発生しやすく、室内空気を、例えば、扇風機などを使用して循環させることにより、間取りなどに関係なく平均的に揮発性有機物質を発生させることができる。室内の間取りなどにより揮発性有機物質の発生に偏りが生ずると、ベイクアウトの効果が不均一となり好ましくない。
【0024】
室内温度を上げて行く状態では、例えば加湿器などを使用して室内湿度を上げると、ホルムアルデヒドやアセトアルデヒド、アルコール類などの水に可溶な揮発性有機物質の建材などからの発生量を上昇させることができる。空気中の水滴に上記ホルムアルデヒドなどが溶けて捕捉されるため、建築材料からの発生が抑制されず、その分、ベイクアウト効果を向上させることができるものと推定される。
【0025】
このようにして、揮発性有機物質を建材などから放出させて、その後にかかる揮発性有機物質を室外に強制排気した後には、屋外からの水蒸気、および温度上昇による水蒸気を除去するために、例えば除湿器などを使用して室内の除湿を行えばよい。
【0026】
以下、上記本発明の揮発性有機物質の室外排気方法を、新築マンションの各部屋に適用して、その効果を検証した。検証に際して使用したマンションの各部屋の仕様などは、表1に示す通りである。
【0027】
【表1】
【0028】
表1に示すように、本発明の方法は、部屋Aには適用せず、ベイクアウト適用の有無の試験項目欄にベイクアウト有りと明記した部屋Bに対して適用した。部屋Bに適用するベイクアウトの内容は、室内加温工程における加熱時間を、1日8時間として、これを3日間行った。室内加温工程中における室温は、平均30℃とした。加温に際しては、電気ストーブ2台を使用し、すべての建具の扉を開放状態にし、窓およびドアは閉じた。
【0029】
加温工程後に発生した揮発性有機物質を室外に強制的に排気する強制排気工程では、すべての建具の扉、窓、ドアを開ける。開放時間は、30分とした。その結果を表2に示した。表2では、ホルムアルデヒドおよびTVOCの測定結果を示す。ホルムアルデヒドの測定値は、JIS K3030に準拠した分析に基づく値である。TVOCは、ポータブル型TVOC検知器(新コスモス電機社製)による簡易式測定方法に基づく値である。
【0030】
【表2】
【0031】
表2から、部屋Bでは、当初0.087ppmあったホルムアルデヒドが、上記要領のベイクアウトを行った後では、0.070ppmに低下していることがわかる。すなわち、約20%程度ホルムアルデヒドの低減効果が認められた。部屋Bでは、表1に示すように、ホルムアルデヒドの発生が強く抑制されたノンホルマリン仕様を採用しており、部屋Aに比べて当初より約16%程度ホルムアルデヒドの値が低いにもかかわらず、上記低減効果を示している。当然に、ノンホルマリン処理を施さない場合でも、かかる低減効果を発揮することが期待される。
【0032】
なお、低ホルマリン処理を施した家具などの場合でも、TVOC検知器を近づけると、数値が上昇して、ホルムアルデヒドの発生量が多いことが確認された。このため、かかる家具などが狭い1LDKに配置されている部屋Bの方が当初のTVOC濃度が高くなっていた。
【0033】
TVOCに関しては、部屋Bでは、当初25.0ppmのTVOCが、7.0ppmに大きく低減していることがわかる。72%という大きな低減効果を示している。なお、かかるTVOCの値は、トルエンの換算量として示した値である。かかる結果から、TVOCについても、本発明に係るベイクアウトを適用することにより室内空気中のTVOCによる汚染を低減することができることが分かる。
【0034】
次に、上記実験とは異なる条件でベイクアウトを複数回繰り返した場合におけるサイクル回数の揮発性有機物質の低減効果に及ぼす影響と、室内加温工程での室内湿度を高めるベイクアウト効果に及ぼす影響について検証した。かかる結果を表3に示した。
【0035】
【表3】
【0036】
本実験では、ベイクアウトを以下の要領で行った。加温時間、室内温度の設定、換気、開口部の閉鎖状況などは、前記表2に示す試験で行ったと同様とした。本実験では、2台の電気ストーブと、室内空気を循環させるために、扇風機1台を使用した。かかる構成のベイクアウトを、以下ベイクアウト1とする。さらに、ベイクアウト1の構成中、室内加温工程で加湿器を1台使用する構成を、以下、ベイクアウト2とする。
【0037】
本試験での1サイクルは、前記試験とは異なり、1日1回、ベイクアウト開始前の30分間換気を行い、その後上記構成の室内加温工程を7時間行い、さらにその後換気を60分行うものとした。
【0038】
試験では、部屋Cに対しては、上記構成のベイクアウト1を10サイクル繰り返した。10サイクルとは、加温工程と強制排気工程とからなる上記構成のベイクアウト1を、1日1回行ずつ10日間繰り返すことである。部屋Dに対しては、ベイクアウトを一切行わず、表中無処理と表示した。
【0039】
なお、本試験では、表1、2とは異なり、フローリング床を水拭き後、ワックスをかけ、併せて、サッシ、窓をトルエン、キシレンなどの溶剤を用いて拭き取りする、所謂クリーニングを施した。かかるクリーニングの後に、上記構成のベイクアウトを施した。
【0040】
表3により、部屋Cと部屋Fとの結果を比べると、TVOC(表中の上段の数値)は、ベイクアウト1を10サイクル施した方が試験開始前より試験開始後の方が低減しており、5サイクル繰り返した場合には、その詳細な機構は不明であるが、増大していることが分かる。
【0041】
かかる点に関してはその詳細は不明であるが、ベイクアウトを行うことにより、建材などから発生する揮発性有機物質は効果的に室外に排出されるものと思われるが、但し、ベイクアウトはかかる揮発性有機物質の自然放出を待つのではなく、強制的に放出を促しているため、中途半端なサイクルでは、逆に放出が促進された揮発性有機物質が室内に溜まることとなり、上記結果が得られたのではないかと推測される。
【0042】
かかる考察から、ベイクアウトの構成内容、適用対象などで一概に論ずることは難しいものの、ベイクアウトなどの条件に適した最小サイクルがあるのではないかと推定される。
【0043】
なお、表3では、ホルムアルデヒド(表中の下段の数値)は、両者とも微増している。
【0044】
部屋Dの無処理の場合には、TVOC、ホルムアルデヒド双方共に10サイクル相当期間経過後には、それぞれ増大していることが分かる。部屋Dの結果と、上記部屋Cの結果とを比較すれば、明らかに、少なくともベイクアウト1を10回繰り返す方が揮発性有機物質の室内からの除去効果を有していることが分かる。
【0045】
ベイクアウト2を10サイクル施した部屋Eでは、TVOCに関しては、1.10倍の増加傾向を示すものの、ホルムアルデヒドにおいては、0.71倍に低減していることが分かる。ホルムアルデヒドに関しては、ベイクアウト終了後の増加傾向を示す部屋Cに対して施したベイクアウト1とは異なり、大きな低減効果が確認される。これは、室内の加温により発生したホルムアルデヒドが、加湿により室内に発生させらた水蒸気の水滴に溶け込み捕集されるため、室内のホルムアルデヒドの蒸気密度が飽和にならず、その分建材などからの発生が抑制されないため、十分に建材からホルムアルデヒドが除去されていることを示すものと推察される。
【0046】
【表4】
【0047】
次に、新築のマンションにおける同じ間取りの各戸について、図2に示すように、強制排気工程を設けない構成の本発明の揮発性有機物質の他の除去方法について、その有効性を実験を通して、強制排気工程を設けた揮発性有機物質の室外排気方法と比較しながら検証した。
【0048】
実験は、上記表4に示す6.0畳の洋室と9.0畳のLDKとからなる同様の間取りを有する複数の各戸で行った。洋室の使用は、床をF1フローリング、下地EO仕上げとし、壁はノンホルマリン接着剤を使用してSV規格の壁紙による仕上げとした。収納家具としては、EOパーティクルボード仕様のクローゼットを1個設けた。かかる構成の洋室における室内加温工程時の加温手段は、2台の電気ストーブとした。
【0049】
一方、LDKでは、表4に示すように、床をF1フローリング、下地EO仕上げとし、壁はノンホルマリン接着剤を使用してSV規格の壁紙による仕上げとした。収納家具としては、EOパーティクルボード仕様のシステムキッチンを設けた。室内加温工程時の加温手段には、床暖房を使用した。
【0050】
【表5】
【0051】
かかる構成の各戸について、表5に示すように、加温方法、局所排気の有無、空気清浄器使用の有無、脱臭剤使用の有無、加湿器使用の有無をそれぞれ組み合わせて、種々の条件を設定することにより、各条件下における揮発性有機物質の除去効果について検討した。その結果を、表6に示す。
【0052】
なお、局所排気とは、室内加温工程中に行う換気で、建材などから発生する揮発性有機物質が飽和状態に近づくことによりその発生が抑制されるのを防止するために行う排気である。室内加温時間は、本実験では、1日8時間行った。局所排気の開始、排気時間は、各室の室内加温工程中における揮発性有機物質の濃度状態(各室の広さ、揮発性有機物質の発生量などにより影響を受ける。)に合わせて行えばよいが、平均的には30分以上を行うことが好ましかった。
【0053】
また、室内加温工程においては、前述の如く、室内のすべての建具の扉を開放状態にし、窓およびドアは閉じて室内の加温を行い、建材などからの揮発性有機物質の発生を促した。加温温度も、本実験を適用する室内の建材などからの揮発性有機物質の発生を十分に促すことができる温度に設定すればよい。
【0054】
さらに揮発性有機物質の臭気が激しい場合には、室内加温工程に入る前に、窓などの開口部を閉鎖する前にも換気を例えば、30分以上、臭気が感じられなくなる程度に行うことが好ましい。
【0055】
【表6】
【0056】
表5に示すように、部屋Gでは、室内加温工程で、6.0畳の洋室で換気扇、9.0畳のLDKでレンジフードをそれぞれ用い局所換気を1日につき30分行った。空気清浄器、脱臭剤、加湿器は使用しなかった。かかる方法では、表6に示すように、洋室、LDKの各室で試験前には20.0ppm、18.0ppmであった揮発性有機物質の濃度(TVOC濃度として、揮発性有機物質の総量をトルエン換算で表示)が、48時間経過後には、30%、39%にそれぞれ減少し、さらに96時間経過後には15%、19%に減少した。なお、表6のTVOC濃度は、簡易式TVOC検知器(新コスモス電気社製)で測定した値である。
【0057】
部屋Hでは、部屋Gとは異なり、室内加温工程における局所換気を行わなかった。その代わりに、空気清浄器を各室にそれぞれ2台設け、実験中連続稼働させておいた。かかる方法では、表6に示すように、洋室、LDKの各室で試験前にはそれぞれ19.0ppmあった揮発性有機物質の濃度(TVOC濃度して、揮発性有機物質の総量をトルエン換算で表示)が、48時間経過後には、34%、29%にそれぞれ減少し、さらに96時間経過後には11%、8%にまで減少した。
【0058】
部屋Iでは、室内加温工程における局所換気を行わず、実験中各室に吸着剤として脱臭剤をバットなどの容器に広げて放置した。表6に示すように、洋室、LDKの各室で試験前にはそれぞれ18.5ppm、18.0ppmあった揮発性有機物質の濃度(TVOC濃度して、揮発性有機物質の総量をトルエン換算で表示)が、48時間経過後には、24%、28%にそれぞれ減少し、さらに96時間経過後には5%、8%にまで減少した。
【0059】
上記脱臭剤としては、本実験では、前述の活性炭よりも脱臭能力の高い脱臭剤のセミアV(商品名、旭化成工業会社製)を使用した。実験によれば、セミアV以外にも、例えば、セミア(商品名、旭化成工業会社製)、ホルマスク(商品名、大王加工紙株式会社製)、YH−A、HG、Y−4(商品名、北越炭素株式会社製)などを使用してもよいことが確認された。
【0060】
部屋Jでは、室内加温工程で、6.0畳の洋室で換気扇、9.0畳のLDKでレンジフードをそれぞれ用い局所換気を1日につき30分行った。実験中は、各室に脱臭剤をバットに広げて放置しておいた。かかる方法では、洋室、LDKの各室で試験前には20.0ppm、20.5ppmであった揮発性有機物質の濃度(TVOC濃度して、揮発性有機物質の総量をトルエン換算で表示)が、48時間経過後には、20%にそれぞれ減少し、さらに96時間経過後には4%、5%に減少した。
【0061】
部屋Kでは、室内加温工程で、6.0畳の洋室で換気扇、9.0畳のLDKでレンジフードをそれぞれ用い局所換気を1日につき30分行った。空気清浄器、脱臭剤は使用しなかった。各室には、加湿器をそれぞれ1台ずつ配置し、実験中連続的に稼働させておいた。かかる方法では、洋室、LDKの各室で試験前には、それぞれ19.5ppmであった揮発性有機物質の濃度(TVOC濃度して、揮発性有機物質の総量をトルエン換算で表示)が、48時間経過後には、28%、31%にそれぞれ減少し、さらに96時間経過後にはそれぞれ13%に減少した。
【0062】
部屋Lでは、室内加温工程で、6.0畳の洋室、9.0畳のLDKで窓開けによる局所換気を一日につき1時間行った。空気清浄器、脱臭剤、加湿器は使用しなかった。かかる方法では、洋室、LDKの各室で試験前には、それぞれ18.5ppm、19.0ppmであった揮発性有機物質の濃度(TVOC濃度して、揮発性有機物質の総量をトルエン換算で表示)が、48時間経過後でも、89%、95%も残留し、さらに96時間経過後でも、それぞれ87%、97%も残留していた。すなわち、室内の揮発性有機物質は、僅かにしか減少しなかった。
【0063】
部屋Mでは、室内加温工程を設けることなく、締め切り状態にして、揮発性有機物質の除去処置を何ら施さない場合について検討した。かかる場合では、洋室、LDKの各室で試験前には、それぞれ18.5ppm、19.5ppmであった揮発性有機物質の濃度(TVOC濃度して、揮発性有機物質の総量をトルエン換算で表示)が、48時間経過後には、108%、110%にそれぞれ増加し、さらに96時間経過後では、それぞれ119%、126%にまでも上昇する結果となった。
【0064】
すなわち、室内加温工程を施した後の揮発性有機物質の除去工程を適切に行わないと、かなりの高濃度の揮発性有機物質が室内に滞留する状態となることが分かる。このことからも、室内加温工程を含む揮発性有機物質の除去方法では、室内加温後の除去工程が極めて重要で、中途半端な除去方法では、逆に室内の揮発性有機物質の高濃度を招来する虞があることが確認できる。
【0065】
表6の以上の結果を総合的に判断すると、各室G〜Mにおける各々の洋室、LDKで測定されたそれぞれのTVOC濃度の残留率(%)を平均し、得られた平均残留率(%)で、各室G〜Mに適用した方法の有効性を比較すると次のようになる。
【0066】
すなわち、適用した揮発性有機物質の除去方法の有効性が高い順に各室を並べると、J(4.5%)>I(6.5%)>H(9.5%)>K(13%)>G(17%)>L(92%)>M(123%)の順になることが分かる。
【0067】
かかる結果から、脱臭剤を使用し、且つ局所換気を併用した部屋Jに適用する除去方法が、試験開始後96時間経過後のTVOC濃度(トルエン換算量)が平均4.5%と一番少なく、優れていることが分かる。局所換気を併用せずに、脱臭剤を使用した部屋Iに適用の除去方法が、TVOC濃度6.5%と低く、次いで優れていることが分かる。
【0068】
脱臭剤を使用することなく、空気清浄器を単独使用する場合には、TVOC濃度が9.5%となり、有効性は脱臭剤を使用する場合よりは低いものの、脱臭剤、空気清浄器のいずれをも使用しない場合(部屋H、Kに適用した方法)よりも優れていることが分かる。
【0069】
このように、本実験からは、表6の各項目に示す条件を、脱臭剤+局所換気、あるいは脱臭剤の単独使用、あるいは空気清浄器の単独使用に構成した除去方法は、強制排気工程を使用することなく、試験開始後96時間経過後のTVOC濃度を一桁のオーダーにまで抑制させることができる極めて有効な揮発性有機物質の除去方法であることが確認できた。
【0070】
かかる構成では、窓や扉などの開口部を必要時間開け放しておく強制換気工程を省くことができるため、天候などによりその実施が左右されることなく、必要に応じて随時実施することができる。そのため、天候などの条件により強制排気工程の実施に手間取り、施工後の客先引き渡し時期を遅らすなどの納期障害の発生を防止することができる。
【0071】
本発明は前記の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更しても構わない。
【0072】
上記説明では、除去方法を脱臭剤+局所換気、脱臭剤単独使用、空気清浄器単独使用に構成した場合の方が、局所排気単独使用、局所換気+加湿器、窓開け換気に構成した場合よりも有効であることを検証したが、脱臭剤+空気清浄器、脱臭剤+局所換気+空気清浄器の構成にしても有効に使用できる。
【0073】
さらには、脱臭剤+局所換気+加湿器、脱臭剤+加湿器、空気清浄器+加湿器、脱臭剤+空気清浄器+加湿器、脱臭剤+局所換気+空気清浄器+加湿器に構成しても揮発性有機物質の有効な除去方法として使用できる。
【0074】
上記説明では、図2に示すように、室内加温工程、吸着除去工程を有し、室内加温工程と、吸着除去工程とは、両工程が並行して行われる様子を示している。室内加温工程終了後に強制排気工程を行う場合に比べて、両工程を並行して行うことができるため、揮発性有機物質の除去処理時間を短くすることもできる。強制排気工程も室内加温工程と並行して行うことは理論的には可能であるが、実際問題として窓などの開口部を長時間にわたり開放状態にした状態で、室内の建材等をTVOCが発生し得る温度に加温し続けることは、現実的ではない。
【0075】
さらに、強制排気工程によりTVOCを外部に排気する場合に比べて、脱臭剤、空気清浄器で吸着捕捉する除去方法の方が、少しでもTVOCを大気に排気せずに済むため、より大気環境の汚染という観点からは好ましい処理とも言える。
【0076】
【発明の効果】
本発明によれば、従来の自然換気に比べて、建築材料から発生する揮発性有機物質の室外への除去を、短時間で行うことができる。すなわち、従来方法に比べて、換気する時間を短くしても、従来方法を長時間換気を行った場合と同等以上の揮発性有機物質の低減効果が得られる。そのため、不必要に室内を外気に曝さずに済み、室内を外気の埃や塵、あるいは雨などで汚さすことがない。
【0077】
換気する時間が少なくて済むため、外の天候にそれ程左右されないで揮発性有機物質の室外への強制排気が行える。
【0078】
揮発性有機物質の濃度や作業現場の都合によって、サイクルを決めることができる。加温時の温度や加湿器、吸着剤の有無などにより調整が可能である。
【0079】
強制排出により建材そのものの揮発性有機物質の含有量が減るため、揮発性有機物質の発生しない健康的な環境を長期間保持することができる。
【0080】
本発明の揮発性有機物質の除去方法では、室内加温工程で発生した揮発性有機物質を室外に排気することなく、空気清浄器あるいは脱臭剤などの吸着剤で捕捉して、室内に発生させた揮発性有機物質の除去が行える。
【0081】
かかる除去方法では、窓などの開口部を開放して強制排気を行わないため、窓開けなどが行えない天候、環境状況でも実施することができる。室内加温工程と吸着除去工程を並行して行えるため、例えば、室内加温工程と強制排気工程とを並行せずに順に行う場合に比べて、全体の処理時間を短くできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の揮発性有機物質の室外排気方法の各工程を示すフロー図である。
【図2】本発明の揮発性有機物質の他の除去方法の各工程を示すフロー図である。
Claims (4)
- 建材や接着剤などの建築材料から発生する揮発性有機物質を室外へ排気する排気方法であって、
室温を上げて前記揮発性有機物質の室内への発生を強制する室内加温工程と、
前記室内の前記揮発性有機物質を室外に強制排気する強制排気工程とを有し、
前記室内加温工程と前記強制排気工程とを組み合わせて構成する換気工程を複数回繰り返すとともに、
前記室内加温工程では、室内の湿度を上げて水に可溶な前記揮発性有機物質の発生量を増加させるとともに前記揮発性有機物質の発生に影響を及ぼす程に室温低下をきたさない範囲で開口部を通した室内の微小換気を行うことを特徴とする揮発性有機物質の室外排気方法。 - 請求項1記載の揮発性有機物質の室外排気方法において、
前記室内加温工程では、室内において揮発性有機物質の捕捉を行うことを特徴とする揮発性有機物質の室外排気方法。 - 請求項2記載の揮発性有機物質の室外排気方法において、
前記捕捉は、前記室内加温工程で発生させた前記揮発性有機物質を、空気清浄器および/または脱臭剤で捕捉することを特徴とする揮発性有機物質の室外排気方法。 - 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の揮発性有機物質の室外排気方法において、
前記室内加温工程では、室内の空気循環を行うことを特徴とする揮発性有機物質の室外排気方法。
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