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JP4821147B2 - 燃料電池及び燃料電池システム - Google Patents
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JP4821147B2 - 燃料電池及び燃料電池システム - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池及び燃料電池システムに関し、特に、発電性能の低下を抑制しつつ耐久性を向上させることが可能な燃料電池及び燃料電池システムに関する。
燃料電池は、電解質と、当該電解質の両側に配置される電極(カソード及びアノード)とを備える膜電極接合体(以下において、「MEA(Membrane Electrode Assembly)」と記述する。)における電気化学反応により発生した電気エネルギーを、MEAの両側に配設されるセパレータを介して外部に取り出している。燃料電池の中でも、家庭用コージェネレーション・システムや自動車等に使用される固体高分子型燃料電池(以下において、「PEFC(Polymer Electrolyte Fuel Cell)」と記述する。)は、低温領域での運転が可能であり、80〜100℃の運転温度で使用されるのが一般的である。また、PEFCは、30〜40%の高いエネルギー変換効率を示し、起動時間が短く、かつシステムが小型軽量であることから、電気自動車や携帯用電源の最適な動力源として注目されている。
PEFCのユニットセルは、電解質膜、少なくとも電極層を備えるカソード及びアノード、並びに、セパレータを含み、その理論起電力は1.23Vである。しかし、かかる低起電力では電気自動車等の動力源として不十分であるため、通常は、ユニットセルを直列に積層した積層体の積層方向両端にエンドプレート等を配置して構成されるスタック形態の燃料電池が使用されている。
他方、燃料電池の発電時にユニットセル内で過酸化水素が生成され、この過酸化水素に起因するOHラジカルが起点となってMEAの高分子電解質を劣化させていることが明らかになりつつある。かかる劣化は、燃料電池の発電性能低下の一因となるため、MEA内の過酸化水素を低減することで上記劣化を抑制し、燃料電池の耐久性及び発電性能を向上させることが望まれている。
燃料電池の発電性能向上を目的とした技術は、これまでにいくつか開示されてきている。例えば、特許文献1には、酸素極にセリウム含有酸化物が備えられることを特徴とする固体高分子型燃料電池用電解質膜電極接合体に関する技術が開示されており、かかる構成とすることで、長時間運転した場合でも電池性能の低下が少ない固体高分子型燃料電池を提供することが可能になるとしている。また、特許文献2には、Ptを担持した担体にCeOを担持させて成ることを特徴とする燃料電池用カソード触媒に関する技術が開示されており、かかる触媒を用いることで、カソードにおける酸素の還元反応速度を上昇させることが可能になるとしている。さらに、特許文献3には、貴金属微粒子と少なくとも1種類以上の希土類酸化物微粒子との混合物である触媒を導電性担体に担持して形成される電極触媒に関する技術が開示されており、かかる触媒を用いることで、燃料電池の出力を向上させることができるとしている。
特開2004−327074号公報 特開2003−100308号公報 特開2004−197130号公報
しかし、特許文献1に開示されている技術により、PEFCのカソードにセリウム含有酸化物を含有させたとしても、特に、PEFCに炭化水素系の電解質膜(以下において、「HC膜」と記述することがある。)が備えられる場合には、性能低下抑制効果を長時間に亘って維持することは困難であるという問題があった。これは、HC膜が過酸化水素に起因するOHラジカルによって損傷されやすく、カソード内のセリウム含有酸化物のみでは、十分な過酸化水素分解効果が得られ難いためであると考えられる。また、特許文献2に開示されている技術により、CeOを備える触媒が混入されていれば、燃料電池の耐久性を向上させることが可能になるとも考えられる。しかし、かかる技術により、CeOを備える触媒を単に電極層へ混入させると、CeOから解離したCe4+が電解質膜中の電解質成分と塩を形成するため、電解質膜のプロトン伝導性能が低下する虞があるという問題があった。さらに、特許文献3に開示されている技術によっても、発電性能の低下を抑制しつつ燃料電池の耐久性を向上させることは困難であるという問題があった。
そこで本発明は、発電性能の低下を抑制しつつ耐久性を向上させることが可能な燃料電池、及び、当該燃料電池を備える燃料電池システムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段をとる。すなわち、
請求項1に記載の発明は、電解質膜及び当該電解質膜の両側に配設される電極層を備える電解質・電極構造体を具備する燃料電池スタックと、該燃料電池スタックへと供給される流体が流通する流体流路と、を備え、電解質膜は、スルホン酸基と、該スルホン酸基よりも相対的に弱酸性の弱酸性基及び/又は無機粒子とを備えるとともに、流体流路で添加された過酸化水素分解性能を有するイオンが、電解質・電極構造体へと供給されることを特徴とする、燃料電池システムにより、上記課題を解決する。
ここに、本発明において、電極層とは、燃料電池のMEAで起こる電気化学反応に寄与する触媒を備える層を意味し、具体的には、水素の酸化反応を生じさせるアノード電極層、及び、酸素の還元反応を生じさせるカソード電極層を意味している。また、電解質・電極構造体とは、上記MEAを意味している。さらに、本発明において、「スルホン酸基よりも相対的に弱酸性の弱酸性基を備える」とは、弱酸性基自体のほか、当該弱酸性基がH及びイオン(以下において、「A」と記述することがある。)に解離して生じるA が備えられる形態をも含む概念である。すなわち、例えば、上記弱酸性基がホスホン酸基である場合、スルホン酸基と弱酸性基とが備えられるとは、スルホン酸基と、−PO及び/又は−PO 2−とが備えられることを意味している。なお、電極層の酸化劣化を防ぐ等の観点から、当該弱酸性基は、電解質膜中に固定化されていることが好ましい。ここで、弱酸性基を固定化する方法の具体例としては、弱酸性基を固定化させたポリマと電解質成分とを混錬して電解質膜を作製する等の方法を挙げることができる。
さらに、本発明にかかる燃料電池システムに備えられ得る無機粒子(「弱酸性基を持つ無機粒子」のこと。以下において同じ。)の具体例としては、BPO、Zr(HPO、C60(OH)等を挙げることができる。加えて、過酸化水素分解性能を有するイオンの具体例としては、遷移金属イオン・希土類金属イオン等を挙げることができる。当該イオンを生じ得る物質としては、Sc、Mn、Fe、Pt、Pd、Ni、Cr、Cu、Ce、Rb、Co、Ir、Ag、Au、Rh、Ti、Zr、Al、Hf、Ta、Nb、Os等からなる単体及び上記元素を含む化合物を挙げることができる。また、本発明において、過酸化水素分解性能を有するイオンが電解質・電極構造体へと供給されていれば、その供給形態は特に限定されるものではない。当該供給形態の具体例としては、イオンを供給する手段を介して上記イオンが電解質・電極構造体へと供給される形態や、上記イオンを含有する液体燃料が電解質・電極構造体へと供給される形態等を挙げることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の燃料電池システムにおいて、弱酸性基が、ホスホン酸基、及び/又は、カルボン酸基であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の燃料電池システムにおいて、弱酸性基がカルボン酸基である場合、該カルボン酸基がキレート性を有することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池システムにおいて、過酸化水素分解性能を有するイオンが、セリウムイオンであることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、電解質膜に、スルホン酸基よりも弱酸性の弱酸性基及び/又は無機粒子が備えられている。そのため、過酸化水素分解性能を有するイオン(以下において、「分解イオン」と記述する。)と上記弱酸性基からなる塩を形成させること、及び/又は、無機粒子により分解イオンを固定化することが可能になり、かかる分解イオンと塩を形成するスルホン酸基を低減することが可能になる。すなわち、上記構成とすることで、電解質膜のプロトン伝導性能の低下を抑制することが可能になる。一方、請求項1に記載の発明によれば、分解イオンが電解質・電極構造体へと供給されると、この分解イオンは、スルホン酸基と塩をほとんど形成することなく、弱酸性基及び/又は無機粒子により電解質膜中に固定されるため、電解質膜のプロトン伝導性能低下を抑制することが可能なる。また、上記分解イオンは、過酸化水素分解性能を有しているため、かかる構成とすることで、燃料電池システムの耐久性を向上させることが可能になる。さらに、上記分解イオンは弱酸性基及び/又は無機粒子により固定され、燃料電池外への溶出が抑制される。したがって、請求項1に記載の発明によれば、発電性能の低下を抑制しつつ耐久性を向上させることが可能な、燃料電池システムを提供することが可能になる。
請求項2に記載の発明によれば、弱酸性基として、ホスホン酸基、及び/又は、カルボン酸基が備えられている。これらの弱酸性基は電解質膜中に固定しやすい。そのため、請求項2に記載の発明によれば、発電性能の低下を抑制しつつ耐久性を向上させることが可能な燃料電池システムを、容易に提供することが可能になる。
請求項3に記載の発明によれば、弱酸性基がキレート性を有するカルボン酸基である。かかる形態の弱酸性基が電解質膜に備えられていれば、分解イオンを容易に取り込むことが可能になる。したがって、請求項3に記載の発明によれば、耐久性を向上させることが容易になる。
請求項4に記載の発明によれば、過酸化水素分解性能を有するセリウムイオンが備えられている。セリウムイオンは、良好な過酸化水素分解性能を有するため、かかる構成とすることで、発電性能の低下を抑制しつつ効果的に耐久性を向上させることが可能な燃料電池システムを提供することが可能になる。
燃料電池の発電時には、電極層で過酸化水素が生じることが知られており、この過酸化水素に起因するOHラジカルによって、MEAを構成する電解質成分(例えば、スルホン酸基を含むNafion等。Nafionは米国デュポン社の登録商標。)が劣化する。これまでに、過酸化水素分解性能を有するイオンを溶出させる化合物(例えば、CeO、CePO等)をMEA内に含む構成の燃料電池に関する技術が開示されているが、従来技術における当該化合物の適用は、多くの場合、カソードにおける反応性向上を目的としたものに留まっている。一方、上記CeOやCePO等を備える構成とすれば、過酸化水素に起因する劣化を抑制し、燃料電池の耐久性を向上させることが可能になると考えられる。しかし、上記CeOやCePO等から溶出したイオンは、電解質成分のスルホン酸基と塩を形成するため、MEAのプロトン伝導性能が低下する虞がある。そのため、単に上記CeOやCePO等を備える構成とするのみでは、燃料電池の耐久性を向上させることが可能になる反面、発電性能が低下する虞がある。
本発明はかかる観点からなされたものであり、その要旨は、燃料電池の電解質膜を、スルホン酸基と、当該スルホン酸基よりも弱酸性の弱酸性基、及び/又は、無機粒子とを備える構成とすることにある。かかる構成とすることで、上記弱酸性基、及び/又は、無機粒子により過酸化水素分解性能を有するイオンを電解質膜に固定化することが可能になり、発電性能の低下を抑制しつつ耐久性を向上させ得る燃料電池、及び、燃料電池システムを提供することが可能になる。
以下に図面を参照しつつ、本発明の燃料電池、及び、燃料電池システムについてさらに具体的に説明する。
まず、本発明の特徴を明確にするため、従来の燃料電池に備えられるMEAについて、概説する。
図7は、従来の燃料電池に備えられるMEAの一部、及び、従来の燃料電池を示す概略図である。図7(A)及び(B)は、MEAの一部を拡大して概略的に示す断面図であり、図7(C)は、従来の燃料電池を概略的に示す断面図である。なお、図7(A)及び(B)では、カソード電極層にリン酸セリウムが備えられる場合を示している。
図7(A)に示すように、従来の燃料電池に備えられるMEA90は、含フッ素イオン交換樹脂(例えば、Nafion等)を含む電解質膜91と、当該電解質膜91の両側に配設されるアノード電極層92及びカソード電極層93とを備えている。そして、かかるMEA90の両側に、さらにアノード拡散層16a、カソード拡散層16b、セパレータ17、17が配設されることにより、燃料電池900が構成される(図7(C)参照)。燃料電池900のセパレータ17、17には、アノード拡散層16aと対向すべき面にアノード反応ガス流路18a、18a、…が、カソード拡散層16bと対向すべき面にカソード反応ガス流路18b、18b、…が形成され、さらに、冷却媒体流路19、19、…が形成されている。
カソード電極層93に供給されるカソード反応ガス(以下において、「空気」と記述する。)は加湿されている一方、当該カソード電極層93では電気化学反応(酸素の還元反応)により水(水蒸気)が生成されるため、カソード電極層93には水が存在し得る。したがって、当該カソード電極層93に存在するリン酸セリウム(以下において、「CePO」と記述する。)は、Ce3+とPO 3−とに解離し得る(図7(A)参照)。一方、電解質膜91は、プロトン伝導性能を発現させるため含水されている。かかる電解質膜91には、スルホン酸基−SOHが備えられており、スルホン酸基は、水の存在下で、Hと−SO とに解離し得る(図7(A)参照)。カソード電極層93に存在する上記Ce3+は、当該カソード電極層93にて発生した過酸化水素を分解し、電解質成分の劣化(酸化劣化)を抑制する一方、このCe3+は水の存在下で容易に移動可能であるため、電解質膜91へと移動する。また、同様にして、上記Hもカソード電極層93へと移動する。そして、Ce3+が電解質膜91へ、Hが電解質膜91へ、それぞれ移動すると、電解質膜91に含まれる−SO とCe3+とが塩を形成する一方、カソード電極層93へと移動したHは、当該カソード電極層93に含まれるPO 3−と結合し、リン酸が生成される(図7(B)参照)。
このようにして、−SO とCe3+とからなる塩が形成されると、電解質膜91のプロトン伝導性能が低下するため、燃料電池900の発電性能が低下する。すなわち、従来の技術によれば、耐久性を向上させるためにCe3+等の分解イオンを導入すると、燃料電池の発電性能が低下する虞があるという問題があった。さらに、カソード電極層93においてリン酸が生成されると、このリン酸は液体であることから系外へと排出されやすい。すなわち、従来の燃料電池では、酸性の液体であるリン酸(以下において、「酸性廃液」と記述する。)が排出されやすいため、環境上好ましくないという問題があった。
他方、かかる問題を改善するため、スルホン酸基よりも弱酸性の弱酸性基(例えば、ホスホン酸基等。)をアノード電極層及び/又はカソード電極層へ添加し、当該弱酸性基と分解イオンとからなる塩を形成させることで、スルホン酸基と塩を形成し得る分解イオンを低減することも考えられる。しかし、単にホスホン酸基等を添加するのみでは、当該ホスホン酸基により電極が被毒するため、かかる手段によっても、発電性能の低下を抑制しつつ耐久性を向上させることは困難である。そこで、本発明では、スルホン酸基よりも弱酸性の弱酸性基及び/又は無機粒子を電解質膜中に固定させることで、発電性能の低下を抑制しつつ耐久性を向上させることが可能な、燃料電池、及び、燃料電池システムを提供する。
1.燃料電池の構成
1.1.第1実施形態
図1は、第1実施形態にかかる本発明の燃料電池に備えられるMEAの一部、及び、本発明の燃料電池を示す概略図である。図1(A)は、MEAの一部を拡大して概略的に示す断面図であり、図1(B)は、本発明の燃料電池を概略的に示す断面図である。なお、第1実施形態にかかる本発明の燃料電池において、従来の燃料電池と同様の構成を採る部材には、図7にて使用した符号と同符号を付し、その説明を適宜省略する。
図1(A)に示すように、第1実施形態にかかるMEA10は、スルホン酸基−SOH及びホスホン酸セリウム基−(POCeを備える電解質膜11と、当該電解質膜11の両側に配設されるアノード電極層12及びカソード電極層13とを備えている。そして、かかるMEA10の両側に、さらにアノード拡散層16a、カソード拡散層16b、セパレータ17、17が配設されることにより、本発明の燃料電池100が構成される(図1(B)参照)。燃料電池100の運転時には、加湿された反応ガスがMEA10へと供給されると共に、当該MEA10にて起こる電気化学反応により水が生成されるため、MEA10には水が存在している。なお、本実施形態において、電解質膜11に備えられるホスホン酸セリウム基は、電解質膜11に備えられるポリマ上に固定化されている。
本発明にかかるMEA10には水が存在するため、電解質膜11に含まれるスルホン酸基は、−SO とHとに解離し得るとともに、同ホスホン酸セリウム基は、−(PO 2−とCe4+とに解離し得る。ここで、かかるCe4+は過酸化水素分解性能を有している。そのため、Ce4+がカソード触媒層93等で発生した過酸化水素を分解することで、電解質成分の劣化が抑制されるため、燃料電池の耐久性を向上させることが可能になる。
電解質膜11に備えられるCe4+は、塩の形態で存在可能である一方、当該電解質膜11には−SO と−(PO 2−とが備えられるため、Ce4+はこれらと結合し得る。ここで、かかる結合反応は平衡反応になると考えられるが、Ce4+は、弱酸性基から解離して生じる−(PO 2−と選択的に結合する。すなわち、上記構成とすることで、Ce4+が電解質膜11中に存在しても、当該Ce4+と−SO とによる塩の形成を抑制することが可能になるため、本発明によれば、プロトン伝導性低下に起因する発電性能の低下を抑制することが可能になる。
また、本発明によれば、ホスホン酸基が電解質膜内のポリマ又は無機粒子上に固定化されているため、当該ホスホン酸基の電解質膜外への排出を抑制することが可能になる。したがって、かかる形態とすれば、酸性廃液の発生を抑制することが可能になり、かつ、電極の被毒を防止することが可能になる。
他方、上述のように、本実施形態にかかる電解質膜11には、ホスホン酸セリウム基が備えられ、このホスホン酸セリウム基は、耐熱性向上性能をも備えている。そのため、かかる構成とすることで、上記効果に加え、耐熱性を向上させることが可能な燃料電池を提供することが可能になる。
1.2.第2実施形態
図2は、第2実施形態にかかる本発明の燃料電池に備えられるMEAの一部、及び、本発明の燃料電池を示す概略図である。図2(A)は、MEAの一部を拡大して概略的に示す断面図であり、図2(B)は、本発明の燃料電池を概略的に示す断面図である。なお、第2実施形態にかかる本発明の燃料電池において、上記第1実施形態にかかる燃料電池と同様の構成を採る部位には、図1にて使用した符号と同符号を付し、その説明を適宜省略する。
図2(A)に示すように、第2実施形態にかかるMEA20は、スルホン酸基−SOH及びホスホン酸基−POを備える電解質膜21と、当該電解質膜21の両側に配設されるアノード電極層22及びカソード電極層23とを備え、カソード電極層23には、ホスホン酸セリウムCe(POが予め備えられている。そして、かかるMEA20の両側に、さらにアノード拡散層16a、カソード拡散層16b、セパレータ17、17が配設されることにより、本発明の燃料電池200が構成される(図2(B)参照)。なお、本実施形態において、電解質膜21に備えられるホスホン酸基は、電解質膜21内に備えられるポリマ上に固定化されている。
上記第1実施形態の場合と同様に、本実施形態にかかるMEA20には水が存在するため、電解質膜21に含まれるスルホン酸基は、−SO とHとに解離し得るとともに、ホスホン酸基は、−(PO 2−)とHとに解離し得る。他方、第2実施形態にかかるMEA20では、カソード電極層23にホスホン酸セリウムが備えられており、このホスホン酸セリウムは、水の存在下でCe4+とPO 2−とに解離し得るため、カソード電極層23でCe4+が発生する。
上記の通り、カソード電極層23で発生したCe4+は、電解質膜21へと移動可能であり、電解質膜21へと移動してきたCe4+は、イオン−(PO 2−)と選択的に塩を形成し、イオン−SO とはほとんど塩を形成しない。すなわち、かかる形態とすれば、電解質膜のプロトン伝導性能を維持することが可能になる。したがって、第2実施形態によれば、耐久性を向上させつつ発電性能の低下を抑制し得る、燃料電池を提供することが可能になる。
以上、第1実施形態及び第2実施形態にかかる説明では、便宜上、スルホン酸基よりも相対的に弱酸性の弱酸性基が備えられる形態について記述したが、本発明は当該形態に限定されるものではなく、無機粒子が備えられる形態であっても良い。無機粒子が備えられていれば、当該無機粒子は弱酸性基を有しているため、例えば上記Ce4+を無機粒子によって固定化することが可能になる。すなわち、本発明は、無機粒子の形態であるか否かを問わず、上記弱酸性基が備えられる形態であれば良い。したがって、かかる形態であっても、プロトン伝導性低下に起因する発電性能の低下を抑制し得る燃料電池を提供することが可能になる。
2.燃料電池システムの構成
図3は、本発明の燃料電池システムに備えられるMEAの一部、及び、本発明の燃料電池システムに備えられる燃料電池の形態例を示す概略図であり、図3(A)は、MEAの一部を拡大して概略的に示す断面図、図3(B)は、本発明の燃料電池システムに備えられる燃料電池の形態例を示す断面図である。一方、図4は、本発明の燃料電池システムに備えられる燃料電池スタックの一部、及び、本発明の燃料電池システムの形態例を示す概略図であり、図4(A)は、燃料電池スタックの一部を拡大して概略的に示す断面図、図4(B)は、本発明の燃料電池システムの形態例を概略的に示す図である。図3及び図4において、第2実施形態にかかる燃料電池と同様の構成を採る部材には、図2にて使用した符号と同符号を付し、その説明を適宜省略する。以下、図3及び図4を参照しつつ、本発明の燃料電池システムについて説明する。
図3(A)に示すように、本実施形態にかかるMEA30は、スルホン酸基−SOH及びホスホン酸基−POを備える電解質膜21と、当該電解質膜21の両側に配設されるアノード電極層32及びカソード電極層33とを備えている。そして、かかるMEA30の両側に、さらにアノード拡散層16a、カソード拡散層16b、セパレータ17、17が配設されることにより、本実施形態にかかる燃料電池300が構成される(図3(B)参照)。
一方、図4(A)に示すように、本発明の燃料電池システムに備えられる燃料電池300、300、…は、積層されることにより燃料電池スタック350を構成している。そして、図4(B)に示すように、本発明の燃料電池システム1000は、燃料電池スタック350と、水素含有物質(以下において、「水素」と記述する。)が循環供給される循環系のアノードライン510と、酸素含有物質(以下において、「空気」と記述する。)が供給される循環系のカソードライン520とを備え、アノードライン510には、イオン添加手段590が備えられている。本実施形態にかかるイオン添加手段590は、内周面全体にCeコートが施された、アノードライン510の一部を構成する配管であり、当該イオン添加手段590(以下において、「配管590」と記述することがある。)は、循環系のアノードライン510における上流側の一部を構成している。当該配管590のCeコートは、重力方向下方(例えば、配管590の重力方向下半分等)に位置する部位に多く施されており、燃料電池の発電時にFCスタック内の電解質膜から溶出する酸(例えば、硫酸等)が上記配管590の内周面に施されたCeコートと接触することにより、過酸化水素分解性能を有するCe4+が溶出する。そして、配管590の内周面から溶出したCe4+が、循環系のアノードライン510を介してFCスタック350の各MEA30、30、…へと供給されることで、MEA30、30、…内の過酸化水素を分解し、電解質膜の劣化を抑制している。なお、図4(B)において、矢印は、MEA30、30、…へと供給される物質、及び、MEA30、30、…から排出される物質の進行方向を概略的に示している。
本発明の燃料電池システム1000において、上記形態でMEA30、30、…へと供給されたCe4+は、スルホン酸基−SOH及びホスホン酸基−POを備える電解質膜21へと達する。そうすると、上記第2実施形態にかかる燃料電池の場合と同様にして、Ce4+は−(PO 2−)と選択的に塩を形成する反面、−SO とはほとんど塩を形成しないため、各燃料電池300、300、…に備えられる電解質膜21、21、…のプロトン伝導性能を維持することが可能になる。したがって、本実施形態によれば、耐久性を向上させつつ発電性能の低下を抑制し得る、燃料電池を提供することが可能になる。
なお、第3実施形態にかかる上記説明では、スルホン酸基よりも相対的に弱酸性の弱酸性基が備えられる形態について記述したが、本発明は当該形態に限定されるものではなく、無機粒子が備えられる形態であっても良い。無機粒子が備えられていれば、当該無機粒子は弱酸性基を有しているため、例えば上記Ce4+を無機粒子によって固定化することが可能になる。したがって、かかる形態であっても、プロトン伝導性低下に起因する発電性能の低下を抑制し得る燃料電池を提供することが可能になる。
便宜上、本発明の燃料電池システムに関する説明では、循環系のアノードライン及びカソードラインが備えられている形態について記述したが、本発明の燃料電池システムが採り得る形態は当該形態に限定されるものではない。他の形態例としては、いずれか一方のみが循環系とされている形態や、非循環系のアノードライン及びカソードラインが備えられている形態等を挙げることができる。また、上記説明では、イオン添加手段がアノードラインの上流側にのみ備えられている形態について記述したが、本発明にかかるイオン添加手段が循環系のラインに備えられる場合には、その配置は当該ラインの下流側であっても良く、さらに、アノードライン及びカソードラインにイオン添加手段が備えられる形態であっても良い。なお、イオン添加手段が非循環系のラインに備えられる場合には、MEAへ効果的に分解イオンを供給可能とする観点から、当該ラインの上流側に配置することが好ましい。
加えて、本発明の燃料電池システムにかかる上記説明では、イオン添加手段がアノードラインの一部を構成する配管である形態について記述したが、本発明においてMEAへ分解イオンを添加すべきイオン添加手段は、当該形態に限定されるものではない。他の形態の具体例としては、分解イオンを含む液体をアノードライン内及び/又はカソードライン内へ噴射することにより分解イオンの供給を可能にする形態等を挙げることができる。また、本発明にかかるイオン添加手段は、各燃料電池300、300、…へと接続されるアノードライン及び/又はカソードラインを解して分解イオンを供給する形態に限定されるものではなく、例えば、セパレータ17、17のMEA30側の表面に、Ceコートが施され、かかるCeコートに酸性液が接触して溶出されるCe4+がMEA30、30、…へと供給される形態等であっても良い。なお、本発明において、MEA30、30、…へセリウムイオンが供給される場合、当該セリウムイオンの価数は4に限定されるものではなく、価数が3のCe3+が供給される形態であっても良い。
3.電解質膜の製造方法
本発明にかかる電解質膜は、スルホン酸基と、スルホン酸基よりも弱酸性の弱酸性基及び/又は無機粒子とを備え、さらに、分解イオンを備えることが可能である。かかる電解質膜は、以下のようにして製造することが可能である。
まず、プロパノールと、水又は極性有機溶媒(ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等)との混合物等により構成される有機溶媒と、スルホン酸基を備える電解質成分とを混ぜて溶融状態の電解質成分を調製する。そして、本発明にかかる燃料電池に、スルホン酸基及び上記弱酸性基が備えられる場合には、かかる溶融状態の電解質成分に、例えばホスホン酸セリウムの粉末、及び/又は、ホスホン酸基を有するポリマを分散させる等の方法により、本発明にかかる電解質膜を製造することが可能である。
一方で、本発明にかかる燃料電池に、スルホン酸基及び無機粒子が備えられる場合には、上記溶融状態の電解質成分に、BPO等の無機粒子を分散させる等の方法により、本発明にかかる電解質膜を製造することが可能になる。
上記説明では、便宜上、スルホン酸基よりも弱酸性の弱酸性基としてホスホン酸基が備えられる形態について記述したが、本発明にかかる弱酸性基はホスホン酸に限定されるものではなく、スルホン酸基よりも弱酸性であり、かつ、電解質膜中に固定化可能なものであれば、他の弱酸性基であっても良い。本発明にかかる電解質膜に備えられ得る弱酸性基の他の具体例としては、カルボン酸基やボロン酸基等を挙げることができる。ただし、塩の形成のしやすさ、及び、電解質膜中への固定化が容易である等の観点から、本発明にかかる電解質膜は、ホスホン酸基及び/又はカルボン酸基を備える形態であることが好ましい。
ここで、本発明にかかる弱酸性基としてカルボン酸基を活用する場合、分解イオンを捕捉しやすい電解質膜とする観点から、キレート性を有するカルボン酸基であることが好ましい。カルボン酸基がキレート性を有していれば、分解イオンを挟み込む、又は、抱え込む形態で当該分解イオンを捕捉することが可能になるため、電解質膜内に分解イオンを留まらせることが可能になり、当該分解イオンによる耐久性向上効果を長期間に亘って発揮させることが可能になる。
また、本発明の燃料電池に関する上記説明では、分解イオンが電解質膜に備えられている形態、及び、当該分解イオンがカソード電極層に備えられている形態について記述したが、本発明の燃料電池は当該形態に限定されるものではなく、他の形態であっても良い。当該他の形態の具体例としては、アノード電極層に備えられる形態、アノード拡散層に備えられる形態、カソード拡散層に備えられる形態、電解質膜とアノード電極層との間に備えられる形態、電解質膜とカソード電極層との間に備えられる形態、アノード電極層とアノード拡散層との間に備えられる形態、カソード電極層とカソード拡散層との間に備えられる形態、アノード拡散層とセパレータとの間に備えられる形態、カソード拡散層とセパレータとの間に備えられる形態、及び、これら2以上の部位に備えられる形態等を挙げることができる。
さらに、上記説明では、分解イオンがCeイオン(Ce3+、Ce4+)である場合について記述したが、本発明において過酸化水素分解性能を発現し得るイオンはこれらのイオンに限定されるものではなく、他のイオンであっても良い。過酸化水素分解性能を有するイオンの具体例としては、遷移金属イオン・希土類金属イオン等を挙げることができ、当該イオンを生じ得る物質としては、Sc、Mn、Fe、Pt、Pd、Ni、Cr、Cu、Ce、Rb、Co、Ir、Ag、Au、Rh、Ti、Zr、Al、Hf、Ta、Nb、Os等からなる単体及びこれらの元素を含む化合物を挙げることができる。ただし、過酸化水素分解性能を効果的に発現可能とする観点から、本発明にかかる燃料電池及び燃料電池システムには、Ce単体、Ce化合物、及び/又は、Ceイオンが備えられることが好ましい。
加えて、上記説明では、含フッ素イオン交換樹脂を含む電解質膜が備えられる形態の燃料電池について記述したが、本発明にかかる燃料電池に備えられる電解質膜はこれに限定されるものではなく、HC膜であっても好適に使用することが可能である。本発明によれば、HC膜中に分解イオンを固定化することが可能になるため、HC膜を備える燃料電池であっても、耐久性を効果的に向上させることが可能になる。
なお、便宜上、上記説明では、MEA側に反応ガス供給路が形成されている形態のセパレータを備える燃料電池について記述したが、本発明にかかる燃料電池が備え得るセパレータは当該形態に限定されるものではなく、例えば、MEA側に反応ガス供給路が形成されていないフラットタイプのセパレータであっても良い。かかる形態の燃料電池とする場合には、セパレータと当接すべき層(第1及び第2実施形態にかかる燃料電池ではアノード拡散層及びカソード拡散層)を、めっき法や発泡法等により製造されるステンレス鋼、チタン又はニッケル等の発泡金属、あるいは焼結金属等の多孔体により形成し、当該層に反応ガスが供給される形態の燃料電池とすれば良い。
さらに、上記説明では、アノード拡散層及びカソード拡散層が備えられている形態の燃料電池について記述したが、アノード拡散層及び/又はカソード拡散層が備えられていなくとも良好な発電性能が得られる場合には、本発明にかかる燃料電池は、アノード拡散層及び/又はカソード拡散層が備えられていない形態であっても良い。
1.試験用MEAの作製
1.1.電極層の作製
白金含有量45質量%の白金担持カーボン2.0gと、酸化セリウム(セリウム−ジルコニウム複合酸化物)0.1gと、水3gと、含フッ素イオン交換樹脂を10質量%含有するNafion溶液9gと、エタノール9gとを混合し、超音波ホモジナイザーで分散させることにより、触媒インクAを調整した。一方、酸化セリウム(セリウム−ジルコニウム複合酸化物)を含まない触媒インクBについても、上記と同様の方法により作製した。
1.2.電解質膜の作製
Udel社製のポリエーテルスルホンを50%スルホン化したスルホン化ポリエーテルスルホン10gを、N−メチル−2−ピロリドン90gに溶解し、かかる溶液を50℃・大気圧下で3日間放置した後、さらに24時間の真空乾燥を施すことにより、酸化防止剤を含まない電解質膜Xを作製した。
一方、Udel社製のポリエーテルスルホンを50%スルホン化したスルホン化ポリエーテルスルホン10g及び総質量に対する比率が10質量%となる量のリン系酸化防止剤を、N−メチル−2−ピロリドン90gに溶解し、かかる溶液を50℃・大気圧下で3日間放置した後、さらに24時間の真空乾燥を施すことにより、酸化防止剤を含む電解質膜Yを作製した。なお、電解質膜Yに備えられるリン系酸化防止剤には、スルホン酸基よりも相対的に弱酸性なホスホン酸基が含まれていた。
1.3.MEAの作製
上記電解質膜Xの両面に触媒インクBをスプレー塗布することにより比較例1にかかるMEAを、上記電解質膜Xの両面に触媒インクAをスプレー塗布することにより比較例2にかかるMEAを、上記電解質膜Yの両面に触媒インクBをスプレー塗布することにより比較例3にかかるMEAを、それぞれ作製する一方、上記電解質膜Yの両面に触媒インクAをスプレー塗布することにより実施例にかかるMEAを作製した。なお、実施例、比較例1、比較例2、及び、比較例3にかかる各MEAにおいて、アノードの白金担持比率は0.2mg/cmとし、カソードの白金担持比率は0.5mg/cmとした。
2.発電性能評価試験
上記実施例にかかるMEA、及び、比較例1にかかるMEAを用いて、発電性能評価試験を実施した。結果を図5にあわせて示す。なお、図5において、縦軸は電圧E(V)、横軸は電流密度I(A/cm)である。
図5より、比較例1にかかるMEA(以下において、「比較例1」と記述する。)の発電性能低下形態と、実施例にかかるMEA(以下において、「実施例」と記述する。)の発電性能低下形態との間に、大差はなかった。すなわち、酸化セリウム及び酸化防止剤を含む本発明の構成とすれば、これらを加えることに起因する発電性能の低下を抑制可能であることが確認された。
3.リーク量測定試験
上記条件にて作製した各MEAの両面にカーボンクロスからなる拡散層を配設し、さらに、当該拡散層を狭持する形態で焼成カーボン製のセパレータを配設することにより作製した単セルを用いて、リーク量測定試験を行った。当該試験の条件を表1に示す。
Figure 0004821147

ここで、測定1は拡散によるリーク量の測定を目的とする一方、測定2は拡散と漏れによるリーク量の測定を目的としている。そして、測定1及び測定2のそれぞれの条件下で、0.3V、0.5V、0.7Vの電圧を単セルに印加した。
測定1及び測定2から漏れによるリーク量を導出する過程を、以下に説明する。
測定1及び測定2の各電圧に対する電流値を測定し、電圧と電流値との関係をプロットすることにより、下記関係式1におけるbを導出する。
I=aE+b (式1)
ここで、Iは電流(A)、Eは電圧(V)、aは直線の傾きを表す係数であり、bはリークしたガスによって生じる値(A)であると仮定する。
このようにして、測定1及び測定2によって求められるbを導出し、これらを下記式2のbへ代入すると、測定1におけるリーク量m1(mol)及び測定2におけるリーク量m2(mol)が算出される。
b×s=m×F×z (式2)
ここで、sは時間(sec)、mはリークしたガスのモル数(mol)、Fはファラデー定数、zは価数(H→2H+2eよりz=2)であり、s=60とした。
そして、上記式2より算出されるm1及びm2を下記式3へ代入することにより、リーク量M(mol)が算出される。
M=m2−m1 (式3)
上記各MEAを備える単セルを用いたリーク量測定試験におけるリーク測定結果を、図6にあわせて示す。図6において、縦軸は水素リーク量(nmol/sec/cm)、横軸は時間(h)である。なお、水素リーク量は、上記式3により算出されるMを、時間(sec)及び電解質膜の面積(cm)で除することにより算出した。
図6より、比較例1にかかるMEAを備える単セルは、酸化セリウム及びホスホン酸基を含んでいなかったため、試験中に発生した過酸化水素によって電解質膜が損傷した(酸化劣化した)結果、100時間経過時における水素リーク量が16.8nmol/sec/cmとなった。これに対し、比較例2にかかるMEAを備える単セルは、ホスホン酸基が含まれない反面、酸化セリウムが含まれていたため、電解質膜の損傷が抑制された結果、100時間経過時における水素リーク量は8.9nmol/sec/cmと低減した。しかし、比較例2にかかるMEAを備える単セルでは、酸化セリウムを固定化し得る物質が備えられていないため、酸化セリウムの消費に伴い化学的安定性が低下し、酸化劣化抑制効果は不十分であった。一方、比較例3にかかるMEAを備える単セルは、酸化セリウムが含まれない反面、ホスホン酸基が含まれていたため、ホスホン酸基が有する酸化劣化抑制効果が発現された結果、150時間経過時における水素リーク量が0.18nmol/sec/cmまで低下した。
他方、実施例にかかるMEAを備える単セルには酸化セリウム及びホスホン酸基が含まれていたため、330時間経過時における水素リーク量が0.0011nmol/sec/cmであり、330時間経過しても初期リーク量と比べて変化が見られなかった。これは、電極層に添加した酸化セリウムがカソードで生成される過酸化水素を分解してOHラジカルの生成を抑制するとともに、電解質膜内にホスホン酸基が含まれていたため、セリウムイオンの系外への溶出が抑制され、長期間に亘って過酸化水素分解性能が維持されたためであると考えられる。ここで、上述のように、実施例にかかる単セルの電解質膜に含まれるホスホン酸基は、酸化劣化抑制効果を有している。すなわち、実施例にかかるMEAを備える単セルでは、酸化セリウムによる酸化劣化抑制効果と、ホスホン酸基が有する酸化劣化抑制効果とが重畳的に作用することで、電解質膜の損傷が効果的に防止され、水素リークを低減することが可能になったものと考えられる。
したがって、上記リーク量測定試験から、本発明によれば、電解質膜の損傷を防止することで、長期間に亘って耐久性を向上させ得る燃料電池を提供可能であることが確認された。
上記発電性能評価試験及びリーク量測定試験より、本発明によれば、発電性能の低下を抑制しつつ耐久性を向上させることが可能な燃料電池を提供することが可能である。そして、かかる燃料電池を備える構成とすることで、発電性能の低下を抑制しつつ耐久性を向上させることが可能な燃料電池システムを提供することが可能になる。
第1実施形態にかかる本発明の燃料電池に備えられるMEAの一部、及び、本発明の燃料電池を示す概略図である。 第2実施形態にかかる本発明の燃料電池に備えられるMEAの一部、及び、本発明の燃料電池を示す概略図である。 本発明の燃料電池システムに備えられるMEAの一部、及び、本発明の燃料電池システムに備えられる燃料電池の形態例を示す概略図である。 本発明の燃料電池システムに備えられる燃料電池スタックの一部、及び、本発明の燃料電池システムの形態例を示す概略図である。 発電性能評価試験結果を示す図である。 リーク量測定試験結果を示す図である。 従来の燃料電池に備えられるMEAの一部、及び、従来の燃料電池を示す概略図である。
符号の説明
10、20、30 電解質・電極構造体(MEA)
11、21 電解質膜
12、22、32 電極層(アノード電極層)
13、23、33 電極層(カソード電極層)
16a アノード拡散層
16b カソード拡散層
17 セパレータ
100、200、300 燃料電池
350 燃料電池スタック
1000 燃料電池システム

Claims (4)

  1. 電解質膜及び該電解質膜の両側に配設される電極層を備える電解質・電極構造体を具備する燃料電池スタックと、該燃料電池スタックへと供給される流体が流通する流体流路と、を備え、
    前記電解質膜は、スルホン酸基と、該スルホン酸基よりも相対的に弱酸性の弱酸性基及び/又は無機粒子とを備えるとともに、
    前記流体流路で添加された過酸化水素分解性能を有するイオンが、前記電解質・電極構造体へと供給されることを特徴とする、燃料電池システム
  2. 前記弱酸性基が、ホスホン酸基、及び/又は、カルボン酸基であることを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池システム
  3. 前記弱酸性基がカルボン酸基である場合、該カルボン酸基がキレート性を有することを特徴とする、請求項2に記載の燃料電池システム
  4. 前記過酸化水素分解性能を有するイオンが、セリウムイオンであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池システム
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