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JP5122165B2 - 半導体装置とその製造方法 - Google Patents
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Description

本発明は、窒化物半導体結晶を用いた半導体装置に関する。
特許文献1に、窒化物半導体結晶を用いた半導体装置が開示されている。この半導体装置は、窒化物半導体結晶と、その窒化物半導体結晶の上側表面に絶縁層を介して対向するゲート電極を有している。窒化物半導体結晶は、第1種類の窒化物半導体(窒化ガリウム)で構成された第1層と、第1層の上側に積層されているとともに第2種類の窒化物半導体(窒化ガリウム・アルミニウム)で構成された第2層を有している。第1層と第2層はバンドギャップが互いに異なることから、両者の境界面はヘテロ接合面となっている。第1層と第2層とのヘテロ接合面の一部には、ゲート電極が一方側から対向している。特許文献1の半導体装置は、ヘテロ接合面をチャネルに用いる横型の電界効果トランジスタであり、いわゆるヘテロ接合電界効果トランジスタと称されるものである。
ヘテロ接合電界効果トランジスタでは、チャネルとなるヘテロ接合面を(0001)結晶面上に形成すると、自発分極及びピエゾ分極に起因する内部電界の発生によって、ヘテロ接合面に高密度の2次元電子ガス層が形成される。ヘテロ接合面に高密度の2次元電子ガス層が形成されると、ゲート電極に電圧を印加していない時でも、ヘテロ接合面は多数の電子が走行可能な状態となる。従って、チャネルとなるヘテロ接合面を(0001)結晶面上に形成した半導体装置は、ノーマリオン型の挙動を示すこととなる。
それに対して、特許文献1の半導体装置では、チャネルとなるヘテロ接合面を(11−20)結晶面上に形成している。(11−20)結晶面は、厚み方向に極性が変化しない無極性面である。そのことから、(11−20)結晶面上に形成したヘテロ接合面では、それに垂直な自発分極及びピエゾ分極が発生せず、2次元電子ガス層の密度は比較的に低くなる。その結果、ゲート電極に電圧を印加しない状態では、ヘテロ接合面における電子の走行が抑制される。特許文献1によれば、しきい値電圧は−0.4Vに上昇し、ほぼノーマリオフ型の動作特性を得ることができるという。
ここで、(11−20)という表記の「2」の前に付された「−」は、一般に「2」の上部に付すべき「バー」を示すものである。本願の明細書及び特許請求の範囲では、結晶面や結晶軸の表記を同様に行う。また、特に言及しない限り、例えば(10−10)結晶面という表記は、(10−10)結晶面とそれに等価な結晶面を含むものとする。同様に、例えば<10−10>結晶軸という表記は、<10−10>結晶軸とそれに等価な結晶軸を含むものとする。
特開2006−324465号公報
特許文献1の半導体装置は、しきい値電圧が依然として負の値のままであり、安定したノーマリオフ動作を実現するには不十分といえる。安定したノーマリオフ動作を実現するためには、ゲート電極に電圧を印加しない状態で、ヘテロ接合面における電子の走行をより強く禁止する必要がある。
本発明は、上記の課題を解決する。本発明は、ヘテロ接合面をチャネルに用いる半導体装置において、安定したノーマリオフ動作を可能とする技術を提供する。
本発明によって具現化される半導体装置は、窒化物半導体結晶と、前記窒化物半導体結晶の上側表面に絶縁層を介して対向するゲート電極を備えている。前記窒化物半導体結晶は、第1種類の窒化物半導体で構成された第1層と、前記第1層の上方に積層されているとともに第2種類の窒化物半導体で構成された第2層を備えている。前記第1層と前記第2層との境界に形成されたヘテロ接合面は、(0001)結晶面に垂直な結晶面上に位置している。前記第1層には、p型の不純物を含むp型半導体領域が、前記へテロ接合面を介して前記ゲート電極の少なくとも一部に対向する位置に形成されている。そして、前記p型半導体領域の側方境界面は、前記へテロ接合面に垂直であるとともに(0001)結晶面と角度を成す結晶面上に形成されていることを特徴とする。
ここで、窒化物半導体結晶の上側表面とは、鉛直上方に位置する表面を意図するものではなく、半導体装置の各構成の位置関係を明確にするために便宜上定めるものである。本明細書および特許請求の範囲では、窒化物半導体結晶の複数の表面のうち、ゲート電極が配設された表面を上側表面と定め、上側表面に対向する表面を下側表面と定める。そして、下側表面から上側表面に向かう方向を上方と表現し、上側表面から下側表面に向かう方向を下方と表現し、上側表面及び下側表面に平行な方向を側方と表現する。
この半導体装置では、チャネルとなるヘテロ接合面が、(0001)結晶面に垂直な結晶面上に形成されている。(0001)結晶面に垂直な結晶面は、厚み方向に極性が変化しない無極性面である。そのことから、(0001)結晶面に垂直な結晶面上に形成されたヘテロ接合面では、ヘテロ接合面に垂直な方向に自発分極及びピエゾ分極が発生せず、2次元電子ガス層の密度は比較的に低くなる。
上記に加えて、この半導体装置では、p型の不純物を含むp型半導体領域が、チャネルとなるヘテロ接合面に対向している。それにより、ゲート電極に電圧を印加していない状態では、p型半導体領域から伸びる空乏層によって、ヘテロ接合面における2次元電子ガス層の形成が抑制される。
以上により、ゲート電極に電圧を印加していない状態では、ヘテロ接合面における2次元電子ガス層の形成が十分に抑制され、ヘテロ接合面における電子の走行を禁止することができる。この半導体装置は、安定したノーマリオフ動作が可能である。
上記した半導体装置は、p型半導体領域を含む窒化物半導体結晶を必要とする。このような窒化物半導体結晶は、結晶成長を利用して製造することができる。窒化物半導体結晶を結晶成長させる場合、結晶を成長させる表面に(0001)結晶面が含まれていると、均質な結晶の成長が困難となる。それに対して、上記した半導体装置では、p型半導体領域の側方境界面が、前記へテロ接合面に垂直であるとともに(0001)結晶面と角度を成す結晶面上に形成されている。それにより、結晶成長を利用して製造する際に、(0001)結晶面からの結晶成長が必要とされず、より均質な結晶を容易に成長させることができる。均質な結晶を得やすい構造を有していることから、製造上の品質変動が少なく、安定したノーマリオフ動作を期待することができる。
上記の半導体装置では、前記へテロ接合面が(1−210)結晶面上に位置していることが好ましい。この場合、前記p型半導体領域の側方境界面は、(10−10)結晶面又は(10−12)結晶面上に形成されていることが好ましい。
(1−210)結晶面は(0001)結晶面に垂直な結晶面である。また、(10−10)結晶面と(10−12)結晶面は、(1−210)結晶面に垂直であるとともに(0001)結晶面と角度を成す結晶面である。これらの結晶面上にヘテロ接合面やp型半導体領域の側方境界面が位置することにより、半導体装置は安定したノーマリオフ動作を実現することができる。
上記の半導体装置では、前記p型半導体領域が六角柱形状の領域であることが好ましい。この場合、その6つの側方境界面が(10−10)結晶面又は(10−12)結晶面上に形成されていることが好ましい。
p型半導体領域が六角柱形状の領域であると、窒化物半導体結晶内にp型半導体領域を効果的に配置することが可能となる。そして、p型半導体領域を六角柱形状の領域とした場合、その6つの側方境界面を(10−10)結晶面又は(10−12)結晶面上に形成することによって、半導体装置は安定したノーマリオフ動作を実現することができる。
あるいは、上記の半導体装置において、前記へテロ接合面が(10−10)結晶面上に位置することも好ましい。この場合、前記p型半導体領域の側方境界面は、(1−210)結晶面又は(1−212)結晶面上に形成されていることが好ましい。
(10−10)結晶面は(0001)結晶面に垂直な結晶面である。また、(1−210)結晶面と(1−212)結晶面は、(10−10)結晶面に垂直であるとともに(0001)結晶面と角度を成す結晶面である。これらの結晶面上にヘテロ接合面やp型半導体領域の側方境界面が位置することにより、半導体装置は安定したノーマリオフ動作を実現することができる。
この半導体装置においても、前記p型半導体領域を六角柱形状の領域とすることができる。この場合、その6つの側方境界面を、(1−210)結晶面又は(1−212)結晶面上に形成することが好ましい。
上記した窒化物半導体装置は、前記第1種類の窒化物半導体を窒化ガリウムとし、前記第2種類の窒化物半導体を窒化ガリウム・アルミニウムとすることが好ましい。
これらの材料の組み合わせであると、適度なバンドギャップの差異によって、チャネルに適したヘテロ接合面が形成される。
本発明の技術は、新規で有用な半導体装置の製造方法を提供する。この製造方法は、主材料が第1種類の窒化物半導体であり、表面が(0001)結晶面に垂直な結晶面であり、p型の不純物を含むp型半導体層を有する窒化物半導体結晶を用意する工程と、前記窒化物半導体結晶の一部を除去し、前記p型半導体層の他の一部をその側面が(0001)結晶面と角度を成すように突出させる除去工程と、少なくとも前記除去工程でp型半導体層を除去した領域に、第1種類の窒化物半導体を結晶成長させる第1結晶成長工程と、第1結晶成長工程後の窒化物半導体結晶の表面に、第2種類の窒化物半導体を結晶成長させる第2結晶成長工程と、第2結晶成長工程後の窒化物半導体結晶の表面に、前記p型半導体層の少なくとも一部に対向するゲート電極を、ゲート絶縁膜を介在させて形成する工程とを備える。
この製造方法は、先に説明した半導体装置を好適に製造することができる。この製造方法では、窒化物半導体結晶を結晶成長させる際に、(0001)結晶面からの結晶成長が禁止される。それにより、結晶成長が不均一に進行することが防止され、均質な結晶を得ることができる。
この製造方法によると、本発明に係る半導体装置を良好に製造することができる。
上記した製造方法において、前記除去工程では、前記p型半導体層の一部を、6つの側面が(10−10)結晶面又は(10−12)結晶面上に位置する六角柱状に突出させることが好ましい。
この製造方法によると、窒化物半導体結晶内にp型半導体領域を効果的に形成することが可能となる。
本発明により、ヘテロ接合面をチャネルに用いる半導体装置において、安定したノーマリオフ動作を実現することが可能となる。高いオフ耐圧と低いオン抵抗を有するノーマリオフ型の半導体装置を具現化することが可能となる。
最初に、以下に説明する実施例の主要な特徴を列記する。
(特徴1) 窒化物半導体結晶の上側表面は、(0001)結晶面に垂直な結晶面であり、例えば(1−210)結晶面又は(10−10)結晶面である。
(特徴2) 窒化物半導体結晶は、第1低濃度半導体領域を備えている。第1低濃度半導体領域は、n型の不純物を比較的に低濃度に含むn型の半導体領域である。第1低濃度半導体領域は、第1種類の窒化物半導体で構成された第1層の最上層部に位置しており、ヘテロ接合面とp型半導体領域の間に介在している。
(特徴3) 窒化物半導体結晶は、ドレイン領域を備えている。ドレイン領域は、n型の不純物を比較的に高濃度に含むn型の半導体領域である。ドレイン領域は、第1種類の窒化物半導体で構成された第1層の最下層部に形成されており、窒化物半導体結晶の下側表面に露出している。ドレイン領域には、ドレイン電極がオーミック接触している。
(特徴4) 窒化物半導体結晶は、ソース領域を備えている。ソース領域は、n型の不純物を比較的に高濃度に含むn型の半導体領域である。ソース領域は、第1種類の窒化物半導体で構成された第1層と第2種類の窒化物半導体で構成された第2層の両層に亘って形成されており、両層の境界面であるヘテロ接合面が通過している。ソース領域は、窒化物半導体結晶の上側表面に露出しており、ソース電極がオーミック接触している。
(実施例1)
図1は、実施例1の半導体装置10を上方から平面視した構造を模式的に示している。図2は、図1中のII−II線における断面図を示している。図1は、半導体装置10の特徴的な構造を模式的に示すものであり、実際には同様の構造が図面の上下左右方向に多数形成されている。
半導体装置10は、窒化物半導体結晶20と、ソース電極28と、ドレイン電極30と、ゲート電極32を備えている。ソース電極28は、窒化物半導体結晶20の上側表面20aに形成されている。ドレイン電極30は、窒化物半導体結晶20の下側表面20bに形成されている。ゲート電極32は、窒化物半導体結晶20の上側表面20aにゲート絶縁膜34を介して形成されている。図1に示すように、ソース電極28は、上方から平面視した形状が略正六角形となっている。ゲート電極32は、上方から平面視した形状がハニカム状の網目形状となっている。
ソース電極28とドレイン電極30とゲート電極32を構成する材料は特に限定されず、例えば金属を用いて構成することができる。本実施例では、ソース電極28とドレイン電極30を、チタン(Ti)とアルミニウム(Al)が積層された積層体によって構成している。また、ゲート電極32を、主にチタン(Ti)を用いて構成している。なお、ゲート絶縁膜34は、酸化シリコン(SiO)を用いて構成している。ソース電極28とドレイン電極30はオーミック電極であり、窒化物半導体結晶20の上下の表面20a、20bにそれぞれオーミック接触している。
窒化物半導体結晶20は、六方晶の構造を有する結晶体である。窒化物半導体結晶20の上側表面20aは、(0001)結晶面に垂直な(1−210)結晶面である。窒化物半導体結晶20は、窒化ガリウム(GaN)で構成されたGaN層22(第1層)と、窒化ガリウム・アルミニウム(Al0.3Ga0.7N)で構成されたAlGaN層24(第2層)を備えている。AlGaN層24は、GaN層22の上側に積層されている。窒化ガリウムと窒化ガリウム・アルミニウムのバンドギャップは互いに異なることから、GaN層22とAlGaN層24との境界にヘテロ接合面26が形成されている。なお、窒化ガリウムのバンドギャップは、窒化ガリウム・アルミニウムのバンドギャップよりも狭い。ヘテロ接合面26は、窒化物半導体結晶20の上側表面20aに平行であり、(0001)結晶面に垂直な(1−210)結晶面上に位置している。ヘテロ接合面26の一部には、ゲート電極32がゲート絶縁膜34及びAlGaN層24を介して対向している。
GaN層22は、導入した不純物の種類や濃度に応じて、ドレイン領域42と、低濃度半導体領域44、48、50と、p型半導体領域46と、ソース領域54に区分することができる。同様に、AlGaN層24は、i型半導体領域52とソース領域54に区分することができる。ソース領域54は、GaN層22とAlGaN層24に亘って形成されており、その内部をヘテロ接合面が26通過している。また、低濃度半導体領域44、48、50は、窒化物半導体結晶20の上下方向(厚み方向)に関して、p型半導体領域46よりも上方に位置する第1低濃度半導体領域50と、p型半導体領域46の側方(上下位置が等しい)に位置する第2低濃度半導体領域48と、p型半導体領域46よりも下方に位置する第3低濃度半導体領域44に区分することができる。
ドレイン領域42は、窒化ガリウムを主材料とする領域であり、n型の不純物を比較的に高濃度に含むn型の半導体領域である。n型の不純物にはシリコン(Si)が用いられており、その濃度は約3×1018cm−3に調整されている。ドレイン領域42は、GaN層22の最下層部に形成されている。ドレイン領域42には、ドレイン電極30がオーミック接触している。
低濃度半導体領域44、48、50は、窒化ガリウムを主材料とする領域であり、n型の不純物を比較的に低濃度に含むn型の半導体領域である。n型の不純物にはシリコン(Si)が用いられており、その濃度は約1×1016cm−3に調整されている。
第1低濃度半導体領域50は、ヘテロ接合面26の下側に形成されており、その一部がヘテロ接合面26とp型半導体領域46の間に介在している。
第2低濃度半導体領域48は、第1低濃度半導体領域50と第3低濃度半導体領域44の間に形成されている。第2低濃度半導体領域48は、ゲート電極32の中間部の下方に形成されている。
第3低濃度半導体領域44は、ドレイン領域42の上側に形成されており、その一部がドレイン領域42とp型半導体領域46の間に介在している。低濃度半導体領域44、48、50は、ゲート電極32の中間部の下方に、ヘテロ接合面26からドレイン領域42まで伸びる一連のn領域を形成している。
p型半導体領域46は、窒化ガリウムを主材料とする領域であり、p型の不純物を含むp型の半導体領域である。p型の不純物にはマグネシウム(Mg)が用いられており、その濃度は約5×1019cm−3に調整されている。
図3は、図1と同じ視点からp型半導体領域46の配列を平面視した図である。図2、3に示すように、それぞれのp型半導体領域46は、上下方向に伸びる六角柱形状の領域であり、各ソース電極28の下方に位置している。p型半導体領域46は、上方から平面視したときにソース電極28よりも広い範囲に形成されており、p型半導体領域46の周縁部がゲート電極32の下方まで伸びている。
p型半導体領域46の6つの側面46a、46bは、窒化物半導体結晶20の上側表面20aに垂直であるとともに、(0001)結晶面と角度を成す(平行でない)結晶面上に位置している。詳しくは、図中左右方向に対向する2つの側面46aは、(0001)結晶面に垂直な(10−10)結晶面上に位置している。そして、他の4つの側面46bは、(0001)結晶面と略30度の角度を成す(10−12)結晶面上に位置している。
図2に示すように、ゲート電極32の中間部の下方には、p型半導体領域46が形成されておらず、第2低濃度半導体領域48が形成されている。図2、図3に示すように、第2低濃度半導体領域48は、六角柱形状をした複数のp型半導体領域46の間隙に位置しており、ハニカム状の領域となっている。ゲート電極32の中央部の下方には、低濃度半導体領域44、48、50及びドレイン領域42によって、ヘテロ接合面26からp型半導体領域46の側方を通過して窒化物半導体結晶20の下側表面20bに到る一連のn型の半導体領域が形成されている。この一連のn型の半導体領域42、44、48、50は、ゲート電極32に電圧が印加されたときに、電子が走行するチャネルの一部を構成する。
ソース領域54は、GaN層22とAlGaN層24に亘って形成されており、窒化物半導体結晶20の上側表面20aに露出している。ソース領域54は、n型の不純物を比較的に高濃度に含むn型の領域である。n型の不純物にはシリコン(Si)が用いられており、その濃度は約3×1018cm−3に調整されている。ソース領域54は、ソース電極28の下に形成されており、ゲート電極32の端部に対向する位置まで伸びている。
i型半導体領域52は、窒化ガリウム・アルミニウムを主材料とする領域であり、不純物が導入されていないi型の半導体領域である。i型半導体領域52は、ゲート電極32の中央部と第1低濃度半導体領域50の間に位置している。i型半導体領域52と上部低濃度半導体領域50の境界に形成されたヘテロ接合面26の一部には、ゲート電極32が上方から対向しているとともに、p型半導体領域46が下方から対向している。なお、i型半導体領域52は、n型の不純物を導入することによってn型の半導体領域とすることもできる。
次に、半導体装置10の動作を説明する。半導体装置10では、ヘテロ接合面26が(1−210)結晶面上に形成されている。(1−210)結晶面は、その垂直方向に極性が変化しない無極性面である。そのことから、ヘテロ接合面26に垂直な方向には、自発分極及びピエゾ分極が生じない。さらに、ヘテロ接合面26の一部には、p型半導体領域46が第2低濃度半導体領域50を介して対向している。それにより、ゲート電極32に電圧を印加していない状態では、低濃度半導体領域44、48、50に空乏層が形成され、その空乏層はヘテロ接合面26まで伸びている。その結果、ゲート電極32に電圧を印加していない状態では、低濃度半導体領域44、48、50が空乏化されるとともに、ヘテロ接合面26における2次元電子ガス層の形成が禁止される。半導体装置10では、ゲート電極32に電圧が印加されていない状態で、ソース電極28とドレイン電極30の間の通電が禁止される。
一方、ゲート電極32に正の電圧を印加した状態では、低濃度半導体領域44、48、50に形成されていた空乏層が縮小するとともに、ヘテロ接合面26に2次元電子ガス層が形成される。換言すれば、低濃度半導体領域44、48、50に形成されていた空乏層を縮小させ、ヘテロ接合面26に2次元電子ガス層を形成させるためには、ゲート電極32に比較的に大きな正の電圧を印加する必要がある。ゲート電極32に正の電圧を印加すると、ヘテロ接合面26や低濃度半導体領域44、48、50は多数の電子が走行可能な状態となり、ソース電極28とドレイン電極30の間が通電可能な状態となる。このように、半導体装置10は、安定したノーマリオフ動作を実現することができる。
半導体装置10のしきい値電圧(オンするのに要するゲート電圧)は、低濃度半導体領域44、48、50の不純物濃度、p型半導体領域48の不純物濃度、第1低濃度半導体領域50の厚みt(図2参照)等によって変化する。あるいは、i型半導体領域52に例えばn型の不純物を導入することによっても変化する。従って、これらの設定を適宜変更することによって、所望のしきい値電圧を有する半導体装置10を具現化することができる。
ヘテロ接合面26は、特定の(1−210)結晶面上に限られず、(1−210)結晶面に等価な結晶面に形成することができる。あるいは、ヘテロ接合面26は、例えば(10−10)結晶面等のように、(0001)結晶面に垂直な他の結晶面上に形成してもよい。(0001)結晶面に垂直な結晶面は、その垂直方向に極性が変化しない無極性面である。そのことから、ヘテロ接合面26を、(0001)結晶面上は避け、(0001)結晶面に垂直な結晶面上に形成することによって、ヘテロ接合面26に垂直な方向の自発分極及びピエゾ分極の発生を抑制することができる。それにより、ヘテロ接合面26に発生する二次元電子ガスの密度を適度に抑制することができる。
なお、ヘテロ接合面26を(10−10)結晶面上に形成する場合、p型半導体領域46の6つの側方境界面は(1−210)結晶面又は(1−212)結晶面上に形成することが好ましい。
(半導体装置10の製造方法)
次に半導体装置10の製造方法を説明する。
先ず、図4に示すように、n型の窒化ガリウムを主材料とするとともに、その主表面が(1−210)結晶面である半導体基板42(後にドレイン領域42となる)を用意する。次に、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法を利用して、半導体基板42上にn型の窒化ガリウム層44(後に第3低濃度半導体領域44となる)を結晶成長させる。次に、MOCVD法を利用して、n型の窒化ガリウム層44上に、p型の窒化ガリウム層46(後にp型半導体領域46となる)を結晶成長させる。
次に、図5に示すように、リソグラフィー技術とRIE技術を利用して、p型の窒化ガリウム層46を貫通し、n型の窒化ガリウム層44に達する溝47を形成する。溝47の形状は、後の工程で第2低濃度半導体領域48を結晶成長させる領域の形状に等しく、即ち、平面視した形状がハニカム状となるように形成する(図3参照)。その結果、p型の窒化ガリウム層46は六角柱状に突出する複数の領域に分割され、その側面47aは(10−10)結晶面又は(10−12)結晶面上に位置するものとなる。
次に、図6に示すように、MOCVD法を利用して、n型の窒化ガリウム層44及びp型の窒化ガリウム層46の上に、n型の窒化ガリウム層48、50(後に第2低濃度半導体領域48と第1低濃度半導体領域50となる)を結晶成長させる。このとき、溝47の内部では、p型の窒化ガリウム層46の側面47aのそれぞれから結晶成長が進行する。先に説明したように、p型の窒化ガリウム層46の側面47aは、(0001)結晶面に垂直な(10−10)結晶面又は(10−12)結晶面である。そのことから、結晶成長がそれぞれの側面47aから略等しい速度で進行する。それぞれの側面47aから結晶成長が略等しい速度で進行することにより、溝47の内部にn型の窒化ガリウム層48を均質に形成することができる。
上記に対して、p型の窒化ガリウム層46の6つの側面47aに(0001)結晶面が含まれる場合、その側面47aとそれに溝47を挟んで対向する側面47aの一方はガリウム原子のみが存在する(0001)結晶面となり、他方の側面47aは窒素原子のみが存在する(0001)結晶面となる。ガリウム原子のみが存在する(0001)結晶面からの結晶成長は、窒素原子のみが存在する(0001)結晶面からの結晶成長よりも、その進行速度が顕著に遅くなる。そのことから、p型の窒化ガリウム層46の側面47aに(0001)結晶面が含まれると、溝47の内部における結晶成長に非対称性が生じ、溝47の内部にn型の窒化ガリウム層48を均質に形成することができなってしまう。
次に、図7に示すように、MOCVD法を利用して、n型の窒化ガリウム層50の上に、i型の窒化ガリウム・アルミニウム層52(後にi型半導体領域52となる)を結晶成長させる。
次に、図8に示すように、イオン注入を実施してソース領域54を形成する。このイオン注入時には、i型の窒化ガリウム・アルミニウム層52の上側表面に、ソース領域54の形成範囲に開口が形成されたマスク(図示省略)を形成する。
以上までの工程によって、半導体装置10の窒化物半導体結晶20の成形が完了する。成形が完了した窒化物半導体結晶20は、必要に応じて表面に保護層を形成した後、アニール処理が実施される。
次に、図9に示すように、CVD法を利用して、i型の窒化ガリウム・アルミニウム層52の上に、酸化シリコン層34(後にゲート絶縁膜34となる)を成膜する。
次に、図10に示すように、リソグラフィー技術とエッチング技術を利用して、酸化シリコン層34の一部を除去し、ソース領域54の一部を露出させる。
次いで、ソース電極28とドレイン電極30とゲート電極32を形成する。ソース電極28はドレイン領域54の上に形成し、ドレイン電極30はドレイン領域42の下に形成し、ゲート電極32はゲート絶縁膜34の上に形成する。以上の工程によって、図1に示す半導体装置10を製造することができる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組み合わせに限定されるものではない。
本明細書または図面に例示した技術は複数の目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
半導体装置を平面視した構成を示す模式図。 図1中のII−II線断面図。 p型半導体領域の配列を平面視して示す図。 半導体装置の第1の製造過程を示す図。 半導体装置の第2の製造過程を示す図。 半導体装置の第3の製造過程を示す図。 半導体装置の第4の製造過程を示す図。 半導体装置の第5の製造過程を示す図。 半導体装置の第6の製造過程を示す図。 半導体装置の第7の製造過程を示す図。
符号の説明
・10:半導体装置
・20:窒化物半導体結晶
・22:GaN層(第1層)
・24:AlGaN層(第2層)
・26:ヘテロ接合面
・28:ソース電極
・30:ドレイン電極
・32:ゲート電極
・34:ゲート絶縁膜
・42:ドレイン領域
・44、48、50:低濃度半導体領域
・46:p型半導体領域
・52:i型半導体領域
・54:ソース領域

Claims (7)

  1. 窒化物半導体結晶と、前記窒化物半導体結晶の上側表面に絶縁層を介して対向するゲート電極を備え、
    前記窒化物半導体結晶は、第1種類の窒化物半導体で構成された第1層と、前記第1層の上方に積層されているとともに第2種類の窒化物半導体で構成された第2層を備えており、
    前記第1層と前記第2層との境界に形成されたヘテロ接合面は、(0001)結晶面に垂直な(1−210)結晶面上に位置しており、
    前記第1層には、p型の不純物を含むp型半導体領域が、前記へテロ接合面を介して前記ゲート電極の少なくとも一部に対向する位置に形成されており、
    前記p型半導体領域の側方境界面は、前記へテロ接合面に垂直であるとともに(0001)結晶面と角度を成す(10−10)結晶面又は(10−12)結晶面上に形成されていることを特徴とする半導体装置。
  2. 前記p型半導体領域は、六角柱形状の領域であり、その6つの側方境界面が(10−10)結晶面又は(10−12)結晶面上に形成されていることを特徴とする請求項に記載の半導体装置。
  3. 窒化物半導体結晶と、前記窒化物半導体結晶の上側表面に絶縁層を介して対向するゲート電極を備え、
    前記窒化物半導体結晶は、第1種類の窒化物半導体で構成された第1層と、前記第1層の上方に積層されているとともに第2種類の窒化物半導体で構成された第2層を備えており、
    前記第1層と前記第2層との境界に形成されたヘテロ接合面は、(0001)結晶面に垂直な(10−10)結晶面上に位置しており、
    前記第1層には、p型の不純物を含むp型半導体領域が、前記へテロ接合面を介して前記ゲート電極の少なくとも一部に対向する位置に形成されており、
    前記p型半導体領域の側方境界面は、前記へテロ接合面に垂直であるとともに(0001)結晶面と角度を成す(1−210)結晶面又は(1−212)結晶面上に形成されていることを特徴とする半導体装置。
  4. 前記p型半導体領域は、六角柱形状の領域であり、その6つの側方境界面が(1−210)結晶面又は(1−212)結晶面上に形成されていることを特徴とする請求項に記載の半導体装置。
  5. 前記第1種類の窒化物半導体は窒化ガリウムであり、前記第2種類の窒化物半導体は窒化ガリウム・アルミニウムであることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の半導体装置。
  6. 半導体装置の製造方法であって、
    主材料が第1種類の窒化物半導体であり、表面が(0001)結晶面に垂直な結晶面であり、p型の不純物を含むp型半導体層を有する窒化物半導体結晶を用意する工程と、
    前記窒化物半導体結晶の一部を除去し、前記p型半導体層の他の一部をその側面が(0001)結晶面と角度を成すように突出させる除去工程と、
    少なくとも前記除去工程でp型半導体層を除去した領域に、第1種類の窒化物半導体を結晶成長させる第1結晶成長工程と、
    第1結晶成長工程後の窒化物半導体結晶の表面に、第2種類の窒化物半導体を結晶成長させる第2結晶成長工程と、
    第2結晶成長工程後の窒化物半導体結晶の表面に、前記p型半導体層の少なくとも一部に対向するゲート電極を、ゲート絶縁膜を介在させて形成する工程と、
    を備える半導体装置の製造方法。
  7. 前記除去工程では、前記p型半導体層の一部を、6つの側面が(10−10)結晶面又は(10−12)結晶面上に位置する六角柱状に突出させることを特徴とする請求項に記載の半導体装置の製造方法。
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