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JP6065545B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents
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本発明は、半導体装置およびその製造方法に関する。
半導体装置(半導体デバイス、半導体素子)としては、P型半導体層の上にN型半導体層を積層した窒化ガリウム(GaN)系の半導体装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。GaN系の半導体装置におけるP型半導体層は、窒化ガリウム(GaN)から主になり、マグネシウム(Mg)をアクセプタ(ドーパント、不純物)として含有する。GaN系の半導体装置におけるN型半導体層は、窒化ガリウム(GaN)から主になり、ケイ素(Si)をドナー(ドーパント、不純物)として含有する。
一般的に、GaN系の半導体装置は、有機金属気相成長法(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)によって製造される。MOCVDでは、原料ガスを用いた結晶成長によって各半導体層が形成され、原料ガスには、各半導体層に応じたドーパントが混合される。GaN系の半導体層の形成に用いられる原料ガスには、ガリウム(Ga)の元であるIII族原料としてトリメチルガリウム(TMGa)と、窒素原子(N)の元であるV族原料としてアンモニア(NH3)とを含有するものが知られている。このような原料ガスにおけるIII族原料に対するV族原料のモル比(V/III比)は、一般的に1500程度である。
アンモニアを含有する原料ガスをGaN系のP型半導体層の形成に用いる場合、アンモニアに由来する水素原子(H)がP型半導体層に残留することによって、P型半導体層におけるアクセプタであるMgの機能が抑制されてしまう。特許文献2には、水素原子が残留するP型半導体層におけるアクセプタを活性化させるために、P型半導体層に対して加熱処理(アニール処理)を行うことによって、P型半導体層から水素原子を離脱させることが記載されている。また、特許文献2には、V族原料としてアンモニアに代えてヒドラジン誘導体を含有する原料ガスを用いることや、V族原料としてアンモニアに加えヒドラジン誘導体を含有する原料ガスを用いることが記載されている。特許文献2における原料ガスのV/III比は、360〜3000程度である。
特開2008−192701号公報 特開2009−16452号公報
特許文献1におけるGaN系の半導体装置では、P型半導体層の上にN型半導体層が積層されているため、加熱処理(アニール処理)を行ったとしても、P型半導体層からの水素原子の離脱がN型半導体層によって阻害され、P型半導体層のアクセプタが十分に活性化しないという問題があった。また、GaN系の半導体装置に対して加熱処理(アニール処理)を行う場合、窒素原子(N)の離脱によって半導体層が劣化するという問題があった。特許文献2の製造方法では、ヒドラジン誘導体を含有する原料ガスを用いるため、炭素原子(C)がP型半導体層に取り込まれ、P型半導体層の電気的特性が劣化するという問題があった。
そのため、P型半導体層にN型半導体層を積層したGaN系の半導体装置において電気的特性を向上させることが可能な技術が望まれていた。そのほか、半導体装置においては、微細化や、低コスト化、省資源化、製造の容易化、使い勝手の向上、耐久性の向上などが望まれていた。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
本発明の一形態によれば、窒化ガリウム(GaN)から主に成るP型半導体層に、窒化ガリウム(GaN)から主に成るN型半導体層を積層した半導体装置を製造する、半導体装置の製造方法が提供される。この製造方法は、前記P型半導体層の全域におけるマグネシウム(Mg)の平均濃度に対する水素原子(H)の平均濃度の割合が35%以下となるように、III族原料に対するV族原料のモル比が100〜350である原料ガスであって、前記III族原料がトリメチルガリウム(TMGa)から成るとともに、前記V族原料がアンモニア(NH3)から成り、水素(H )を含む原料ガスを用いた結晶成長によって、前記P型半導体層を形成し;前記P型半導体層を形成した後、アニール処理を行うことなく連続して前記N型半導体層を前記P型半導体層の上に形成する。
(1)本発明の一形態によれば、窒化ガリウム(GaN)から主に成るP型半導体層に、窒化ガリウム(GaN)から主に成るN型半導体層を積層した半導体装置を製造する、半導体装置の製造方法が提供される。この半導体装置の製造方法は、III族原料に対するV族原料のモル比が100〜350である原料ガスであって、前記III族原料がトリメチルガリウム(TMGa)から成るとともに、前記V族原料がアンモニア(NH3)から成る原料ガスを用いた結晶成長によって、前記P型半導体層を形成し;前記P型半導体層を形成した後、前記N型半導体層を前記P型半導体層の上に形成する。この形態における半導体装置の製造方法によれば、P型半導体層を形成する際にP型半導体層に残留する水素原子(H)が抑制されることによって、加熱処理(アニール処理)を行うことなく、P型半導体層におけるアクセプタを十分に機能させることができる。その結果、P型半導体層にN型半導体層を積層した窒化ガリウム(GaN)系の半導体装置において電気的特性を向上させることができる。
(2)上記形態における半導体装置の製造方法において、窒化ガリウム(GaN)から主に成る半導体層の上に、前記原料ガスを用いた前記結晶成長によって前記P型半導体層を形成してもよい。この形態における半導体装置の製造方法によれば、P型半導体層を構成する結晶の品質を十分に確保することができる。
(3)本発明の一形態によれば、上記形態における半導体装置の製造方法を用いて製造された半導体装置が提供される。この形態の半導体装置によれば、電気的特性を向上させることができる。
(4)本発明の一形態によれば、半導体装置が提供される。この半導体装置は、窒化ガリウム(GaN)から主に成るP型半導体層と;窒化ガリウム(GaN)から主に成り、前記P型半導体層に積層されたN型半導体層とを備え、前記P型半導体層の全域におけるマグネシウム(Mg)の平均濃度に対する水素原子(H)の平均濃度の割合は、35%以下である。この形態の半導体装置によれば、電気的特性を向上させることができる。
本発明は、半導体装置およびその製造方法以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、本願発明は、上記形態の半導体装置が組み込まれた電気機器、上記形態の半導体装置を製造する製造装置などの形態で実現することができる。
半導体装置の構成を模式的に示す断面図である。 半導体装置の製造方法を示す工程図である。 原料ガスのV/III比とP型半導体層のH/Mg割合との関係を示すグラフである。
A.実施形態:
図1は、半導体装置10の構成を模式的に示す断面図である。半導体装置10は、窒化ガリウム(GaN)を用いて形成されたGaN系の半導体装置である。本実施形態では、半導体装置10は、電力制御に用いられ、パワーデバイスとも呼ばれる。
半導体装置10は、基板110と、第1のN型半導体層120と、P型半導体層130と、第2のN型半導体層140とを備える。半導体装置10は、NPN型の半導体装置であり、第1のN型半導体層120と、P型半導体層130と、第2のN型半導体層140とが順に接合した構造を有する。
半導体装置10の基板110には、有機金属気相成長法(MOCVD)を利用した結晶成長によって、第1のN型半導体層120と、P型半導体層130と、第2のN型半導体層140とが順に積層した状態で形成されている。他の実施形態では、基板110と第1のN型半導体層120と間に真性半導体層(アンドープ半導体層)が形成されてもよいし、第1のN型半導体層120とP型半導体層130との間に真性半導体層が形成されてもよい。
図1には、相互に直交するXYZ軸が図示されている。図1のXYZ軸のうち、X軸は、基板110に対して第1のN型半導体層120が積層する積層方向に沿った軸である。X軸に沿ったX軸方向のうち、+X軸方向は、基板110から第1のN型半導体層120に向かう方向であり、−X軸方向は、+X軸方向に対向する方向である。図1のXYZ軸のうち、Y軸およびZ軸は、Z軸に直交すると共に相互に直交する軸である。Y軸に沿ったY軸方向のうち、+Y軸方向は、図1の紙面左から紙面右に向かう方向であり、−Y軸方向は、+Y軸方向に対向する方向である。Z軸に沿ったZ軸方向のうち、+Z軸方向は、図1の紙面奥から紙面手前に向かう方向であり、−Z軸方向は、+Z軸方向に対向する方向である。
半導体装置10の基板110は、Y軸およびZ軸に沿って広がる板状をなす。本実施形態では、基板110は、窒化ガリウム(GaN)から主に成ると共に、第1のN型半導体層120よりも高い濃度でケイ素(Si)をドナーとして含有する。本実施形態では、基板110の全域におけるSiの平均濃度は、1.0×1018cm-3以上である。基板110は、半導体装置10の各半導体層を定着および支持可能に構成された部位であればよく、他の実施形態では、例えば、ケイ素(Si)から主に成る部位であってもよい。
基板110は、界面111と、界面112とを有する。基板110の界面111は、Y軸およびZ軸に平行かつ−X軸方向を向いた面である。基板110の界面112は、Y軸およびZ軸に平行かつ+X軸方向を向いた面であり、界面111に背向する。界面112は、第1のN型半導体層120に隣接する。
基板110の厚さは、界面111と界面112との間におけるX軸方向に沿った距離であり、本実施形態では、320μm(マイクロメートル)である。他の実施形態では、基板110の厚さは、300μm〜1mm(ミリメートル)の範囲から選択される他の値であってもよい。
本実施形態では、基板110の界面111には、ドレイン電極とも呼ばれる電極210が形成されている。本実施形態では、電極210は、チタン(Ti)から成る層にアルミニウム(Al)から成る層を積層した構造を有する電極である。他の実施形態では、電極210は、TiおよびAlの他、白金(Pt)、Co(コバルト)、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、金(Au)等の導電性材料の少なくとも1つから成る電極であってもよい。
半導体装置10における第1のN型半導体層120は、基板110に積層した状態で形成され、Y軸およびZ軸に沿って広がる層をなす。第1のN型半導体層120は、窒化ガリウム(GaN)から主に成ると共に、第2のN型半導体層140よりも低い濃度でケイ素(Si)をドナーとして含有する。本実施形態では、第1のN型半導体層120の全域におけるSiの平均濃度は、1.0×1016cm-3以下である。第1のN型半導体層120は、「n-−GaN」とも呼ばれる。
第1のN型半導体層120は、界面121と、界面122とを有する。第1のN型半導体層120における界面121は、Y軸およびZ軸に平行かつ−X軸方向を向いた面である。界面121は、基板110に隣接する。第1のN型半導体層120における界面122は、Y軸およびZ軸に平行かつ+X軸方向を向いた面であり、界面121に背向する。界面122は、P型半導体層130に隣接する。
第1のN型半導体層120の厚さは、界面121と界面122との間におけるX軸方向に沿った距離であり、本実施形態では、10μmである。他の実施形態では、第1のN型半導体層120の厚さは、5〜15μmの範囲から選択される他の値であってもよい。
半導体装置10のP型半導体層130は、第1のN型半導体層120に積層した状態で形成され、Y軸およびZ軸に沿って広がる層をなす。P型半導体層130は、窒化ガリウム(GaN)から主に成ると共に、マグネシウム(Mg)をアクセプタとして含有する。本実施形態では、P型半導体層130の全域におけるMgの平均濃度は、1.0×1018cm-3以上1.0×1020cm-3以下である。P型半導体層130は、「p−GaN」とも呼ばれる。
P型半導体層130は、III族原料に対するV族原料のモル比(V/III比)が100〜350である原料ガスを用いて形成される。P型半導体層130の形成に用いられる原料ガスに含まれるIII族原料は、トリメチルガリウム(TMGa:Tri-Methyl-Gallium)から成る。P型半導体層130の形成に用いられる原料ガスに含まれるV族原料は、アンモニア(NH3)から成る。このような原料ガスを用いて形成されたP型半導体層130では、P型半導体層130の全域におけるH/Mg割合は、P型半導体層としての電気的特性の実現に必要とされる35%以下となる。H/Mg割合は、P型半導体層130におけるマグネシウム(Mg)の平均濃度に対する水素原子(H)の平均濃度の比率である。
P型半導体層130は、界面131と、界面132とを有する。P型半導体層130の界面131は、Y軸およびZ軸に平行かつ−X軸方向を向いた面である。界面131は、第1のN型半導体層120に隣接する。P型半導体層130の界面132は、Y軸およびZ軸に平行かつ+X軸方向を向いた面であり、界面131に背向する。界面132は、第2のN型半導体層140に隣接する。
P型半導体層130の厚さは、界面131と界面132との間におけるX軸方向に沿った距離であり、本実施形態では、1μmである。他の実施形態では、P型半導体層130の厚さは、0.3〜2μmの範囲から選択される他の値であってもよい。
本実施形態では、P型半導体層130の界面132には、第2のN型半導体層140に加え、Pボディ電極とも呼ばれる電極230が形成されている。本実施形態では、電極230は、ニッケル(Ni)から成る層に金(Au)から成る層を積層した構造を有する電極である。他の実施形態では、電極230は、NiおよびAuの他、白金(Pt)、Co(コバルト)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、パラジウム(Pd)などの導電性材料の少なくとも1つから成る電極であってもよい。
半導体装置10における第2のN型半導体層140は、P型半導体層130に積層した状態で形成され、Y軸およびZ軸に沿って広がる層をなす。第2のN型半導体層140は、窒化ガリウム(GaN)から主に成ると共に、第1のN型半導体層120よりも高い濃度でケイ素(Si)をドナーとして含有する。本実施形態では、第2のN型半導体層140の全域におけるSiの平均濃度は、1.0×1018cm-3以上である。第2のN型半導体層140は、「n+−GaN」とも呼ばれる。
第2のN型半導体層140は、界面141と、界面142とを有する。第2のN型半導体層140における界面141は、Y軸およびZ軸に平行かつ−X軸方向を向いた面である。界面141は、P型半導体層130に隣接する。第2のN型半導体層140における界面142は、Y軸およびZ軸に平行かつ+X軸方向を向いた面であり、界面141に背向する。
第2のN型半導体層140の厚さは、界面141と界面142との間におけるX軸方向に沿った距離であり、本実施形態では、0.2μmである。他の実施形態では、第2のN型半導体層140の厚さは、0.1〜0.5μmの範囲から選択される他の値であってもよい。
本実施形態では、第2のN型半導体層140の界面142には、ソース電極とも呼ばれる電極240が形成されている。本実施形態では、電極240は、チタン(Ti)から成る層にアルミニウム(Al)から成る層を積層した構造を有する電極である。他の実施形態では、電極210は、TiおよびAlの他、白金(Pt)、Co(コバルト)、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、金(Au)などの導電性材料の少なくとも1つから成る電極であってもよい。
本実施形態では、第1のN型半導体層120とP型半導体層130との各表面にわたって絶縁膜330が形成され、第1のN型半導体層120とP型半導体層130と第2のN型半導体層140との各表面にわたって絶縁膜340が形成されている。本実施形態では、絶縁膜330,340は、酸化アルミニウム(Al23)から成る層である。他の実施形態では、絶縁膜330,340は、アルミニウム(Al)のシリケート化合物から成る層であってもよいし、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)などの各酸化物、または、これらのシリケート化合物から成る層であってもよい。本実施形態では、絶縁膜330を形成する物質と、絶縁膜340を形成する物質とは、同じ物質であるが、他の実施形態では、相互に異なる物質であってもよい。
本実施形態では、ゲート電極とも呼ばれる電極250が、第1のN型半導体層120とP型半導体層130と第2のN型半導体層140との各表面にわたって、絶縁膜340を間に挟む状態で形成されている。本実施形態では、電極250は、ニッケル(Ni)から成る層に金(Au)から成る層を積層した構造を有する電極である。他の実施形態では、電極250は、NiおよびAuの他、白金(Pt)、Co(コバルト)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、パラジウム(Pd)、ポリシリコンなどの導電性材料の少なくとも1つから成る電極であってもよい。
図2は、半導体装置10の製造方法を示す工程図である。半導体装置10を製造する際には、製造者は、まず、有機金属気相成長法(MOCVD)を実現するMOCVD装置を用意し、MOCVD装置の反応室に基板110を配置する(工程P122)。
反応室に基板110を配置した後(工程P122)、MOCVD装置は、製造者の操作に基づいて、ケイ素(Si)を混合した原料ガスを用いた結晶成長によって、基板110上に第1のN型半導体層120を形成する(工程P124)。本実施形態では、原料ガスは、トリメチルガリウム(TMGa)と、アンモニア(NH3)と、水素(H2)とを含有するガスであり、MOCVD装置の配管を通じて反応室に供給される。工程P124において、MOCVD装置は、反応室に供給される前の原料ガスに対してSiを混合する。
基板110上に第1のN型半導体層120を形成した後(工程P124)、MOCVD装置は、製造者の操作に基づいて、マグネシウム(Mg)を混合した原料ガスを用いた結晶成長によって、第1のN型半導体層120上にP型半導体層130を形成する(工程P126)。工程P126において、MOCVD装置は、反応室に供給される前の原料ガスに対してMgを混合する。
工程P126においてP型半導体層130を形成する間、MOCVD装置は、原料ガスのV/III比が100〜350となるように、原料ガスに含まれるIII族原料の量とV族原料の量とを調整する。P型半導体層130の形成に用いられる原料ガスに含まれるIII族原料は、トリメチルガリウム(TMGa)から成る。P型半導体層130の形成に用いられる原料ガスに含まれるV族原料は、アンモニア(NH3)から成る。このような原料ガスを用いて形成されたP型半導体層130では、P型半導体層130の全域におけるH/Mg割合は、P型半導体層としての電気的特性の実現に必要とされる35%以下となる。
P型半導体層130を形成した後(工程P126)、MOCVD装置は、製造者の操作に基づいて、ケイ素(Si)を混合した原料ガスを用いた結晶成長によって、P型半導体層130上に第2のN型半導体層140を形成する(工程P128)。工程P128において、MOCVD装置は、反応室に供給される前の原料ガスに対してSiを混合する。工程P128において、MOCVD装置は、第2のN型半導体層140におけるSiの濃度が第1のN型半導体層120よりも高くなるように、原料ガスに混合されるSiの量を調整する。
第2のN型半導体層140を形成した後(工程P128)、製造者は、半導体装置10の中間製品をMOCVD装置から取り出し、この中間製品に電極を形成する(工程P150)。本実施形態では、工程P150において、電極210,230,240,250、および絶縁膜330,340が、それぞれ形成される。電極を形成した後(工程P150)、半導体装置10が完成する。
図3は、原料ガスのV/III比とP型半導体層のH/Mg割合との関係を示すグラフである。発明者は、図3のグラフを得るために、V/III比が異なる複数の原料ガスを用いて、P型半導体層130に相当するP型半導体層を形成することによって、複数のサンプルを作製した。これらのサンプルにおけるP型半導体層は、第1のN型半導体層120に相当する基板上に形成されており、各P型半導体層の上には他の導体層は形成されていない。各原料ガスに含まれるIII族原料は、トリメチルガリウム(TMGa)から成り、各原料ガスに含まれるV族原料は、アンモニア(NH3)から成る。
発明者は、複数のサンプルのうち第1グループのサンプルに対しては、加熱処理(アニール処理)を行わずに、二次イオン質量分析計(SIMS:Secondary Ion-microprobe Mass Spectrometer)を用いて、各サンプルのH/Mg割合を計測した。発明者は、複数のサンプルのうち第2グループのサンプルに対しては、加熱処理を行うことによって各サンプルにおけるP型半導体層のMgを活性化させた後、SIMSを用いて各サンプルのH/Mg割合を計測した。これによって、発明者は、図3のグラフを得た。
図3のグラフでは、横軸は、原料ガスのV/III比を示し、縦軸は、その原料ガスを用いて形成されたP型半導体層のH/Mg割合を示す。図3に施されたハッチングは、SIMSの検出限界のためにH/Mg割合を計測できなかった範囲を示し、この範囲におけるH/Mg割合は、SIMSを用いて測定された測定値に基づいて推測される推測値である。図3の直線は、加熱処理を施されていない第1グループのサンプルについて、原料ガスのV/III比とP型半導体層のH/Mg割合との関係を示す。図3の一点鎖線は、加熱処理が施された第2グループのサンプルについて、原料ガスのV/III比とP型半導体層のH/Mg割合との関係を示す。
図3に示すように、加熱処理の有無にかかわらず、V/III比が小さくなるに従って、H/Mg割合も小さくなる。加熱処理ありの場合には、1700以下のV/III比によって、35%以下のH/Mg割合を実現可能であり、加熱処理なしの場合には、350以下のV/III比によって、35%以下のH/Mg割合を実現可能である。
P型半導体層を形成する際におけるP型半導体層を構成する結晶の成長率を向上させる観点から、V/III比は小さい方が好ましい。しかしながら、V/III比が100を下回る場合には、P型半導体層を構成する結晶が成長し難くなるため、V/III比は100以上であることが好ましい。
P型半導体層を構成する結晶の品質を向上させる観点から、V/III比は大きい方が好ましい。しかしながら、P型半導体層を構成する結晶の基礎となる下の層がGaN系の半導体層である場合には、V/III比が350以下であっても、P型半導体層を構成する結晶の品質を十分に確保可能である。
したがって、図3のグラフによれば、加熱処理なしでP型半導体層を形成するには、原料ガスのV/III比は、100以上350以下であることが好ましく、100以上300以下であることがより好ましく、100以上250以下であることが更に好ましく、100以上200以下であることが一層好ましい。
以上説明した実施形態によれば、P型半導体層130を形成する際(工程P126)にP型半導体層130に残留する水素原子(H)が抑制されることによって、加熱処理(アニール処理)を行うことなく、P型半導体層130におけるアクセプタであるマグネシウム(Mg)を十分に機能させることができる。その結果、P型半導体層130に第2のN型半導体層140を積層したGaN系の半導体装置10において電気的特性を向上させることができる。また、第1のN型半導体層120の上にP型半導体層130を形成するため(工程P126)、P型半導体層130を構成する結晶の品質を十分に確保することができる。
B.他の実施形態:
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
例えば、P型半導体層が最外層となる半導体装置を製造する際、P型半導体層の形成に図2の工程P126を適用することが可能である。これによって、加熱処理(アニール処理)を行うことなく、P型半導体層のアクセプタを十分に機能させることができる。その結果、製造の容易化を図ることができる。
10…半導体装置
110…基板
111…界面
112…界面
120…第1のN型半導体層
121…界面
122…界面
130…P型半導体層
131…界面
132…界面
140…第2のN型半導体層
141…界面
142…界面
210…電極
230…電極
240…電極
250…電極
330…絶縁膜
340…絶縁膜

Claims (2)

  1. 窒化ガリウム(GaN)から主に成るP型半導体層に、窒化ガリウム(GaN)から主に成るN型半導体層を積層した半導体装置を製造する、半導体装置の製造方法であって、
    前記P型半導体層の全域におけるマグネシウム(Mg)の平均濃度に対する水素原子(H)の平均濃度の割合が35%以下となるように、III族原料に対するV族原料のモル比が100〜350である原料ガスであって、前記III族原料がトリメチルガリウム(TMGa)から成るとともに、前記V族原料がアンモニア(NH3)から成り、水素(H )を含む原料ガスを用いた結晶成長によって、前記P型半導体層を形成し、
    前記P型半導体層を形成した後、アニール処理を行うことなく連続して前記N型半導体層を前記P型半導体層の上に形成する、半導体装置の製造方法。
  2. 窒化ガリウム(GaN)から主に成る半導体層の上に、前記原料ガスを用いた前記結晶成長によって前記P型半導体層を形成する請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
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