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JP6114063B2 - 複合基板 - Google Patents
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JP6114063B2 - 複合基板 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体層を有する複合基板に関する。
近年、半導体素子の性能向上を図るべく、寄生容量を減らす技術の開発が進められている。この寄生容量を減らす技術として、SOS(Silicon On Sapphire)構造がある。こ
のSOS構造を形成する方法として、例えば特許文献1に記載された技術がある。また、異種材料からなる基板を接合する方法として、例えば特許文献2に記載された技術がある。
特開2003−31781号公報 特開2004−343369号公報
しかし、特許文献1に記載された技術では、サファイアが含有する微量の金属が半導体素子の機能層となるシリコン側に拡散し、半導体素子の動作に悪影響を及ぼすおそれがあった。また、特許文献2に記載された技術では、接合面を活性化させるためにイオンビームは中性ビームを照射した際に、接合装置のチャンバー内に浮遊する金属が接合界面に金属が混入するおそれがある。このため、SOS構造を形成する際に特許文献2に記載された技術を適用したとしても、半導体素子の機能層となるシリコン側に金属が拡散し、半導体素子の動作に悪影響を及ぼすおそれがあった。
本発明は、上述の事情のもとで考え出されたものであって、半導体層への金属の混入を抑制した複合基板を提供することを目的とする。
本発明の複合基板の実施形態では、絶縁性の酸化物からなる支持基板と、一主面が前記支持基板上に重ね合わされた単結晶からなる半導体層と、前記支持基板と前記半導体層との間に位置した、前記支持基板を構成する元素と前記半導体層を構成する元素とが互いに単独で存在し、酸素濃度が厚み方向において前記半導体層側に向かうにつれて減少している、酸素混入層と、を有するものである。
本発明によれば、金属拡散を抑制した半導体層を有する複合基板を提供することができる。
(a)は本発明の1つの実施形態に係る複合基板の概略構成を示す平面図であり、(b)は複合基板を斜視した部分断面図である。 (a)〜(c)は図1に示す複合基板の製造方法の製造工程の一例を示す断面図である。 (a),(b)は図2の後の製造工程を示す断面図である。 (a),(b)は図3の後の製造工程を示す断面図である。 複合基板1の深さ方向と元素存在量との相関を示す線図である。 図5に示す各深さ位置における化学結合状態を測定した図である。 (a),(b)はそれぞれ、酸素混入層30Aを含む基板の深さ方向と元素存在量との相関を示す線図および、深さ位置3におけるFeの化学結合状態を測定した図である。
本発明の複合基板の実施形態の一例について、図面を参照しつつ、説明する。
図1(a)は本発明の実施形態の一つに係る複合基板1の例を示す模式的な平面図であり、(b)は複合基板1を斜視した部分断面図である。
複合基板1は、支持基板10と半導体層20と酸素混入層30とを含んで構成される。
支持基板10は、その上部に位置する半導体層20を支持するものであり、強度、平坦度を有し、酸素を含有するものであれば、結晶性等は限定されず自由に選択することができる。支持基板10を構成する材料としては、酸化アルミニウム単結晶(サファイア),石英,ニオブ酸リチウム単結晶,樹脂基板などを用いることができる。本実施形態では、支持基板10としてサファイアを採用する。
この支持基板10の厚みとしては、例えば、400〜800〔μm〕の範囲が挙げられる。
半導体層20は、一主面20bを支持基板10の一主面10a上に重ね合わせている。そして、半導体層20の材料としては、単結晶の半導体材料であればよく、例えば、SiやGe,GaAs,ZnTe,GaN,有機物半導体単結晶などを用いることができる。本実施形態では、半導体層20としてSi単結晶を用いている。
半導体層20の厚みとしては、例えば30nm〜200nmの範囲が挙げられる。また、半導体層20のドーパント濃度としては、例えば、相対的に低濃度のpおよびnのドーパント濃度、ならびにノンドープのいずれか1つとなるように形成される。pのドーパント濃度としては、1×1016〔atoms/cm〕以下の範囲が挙げられる。nのドーパント濃度としては、5×1015〔atoms/cm〕以下の範囲が挙げられる。ここで「ノンドープのシリコン」としているものは、単に不純物を意図してドープしないシリコンであって、不純物を含まない真性シリコンに限られるものではない。そして、半導体層20中の酸素濃度は、後述する酸素混入層30の半導体層20側の界面の酸素濃度以下であることが好ましく、詳しくは後述するが、1×1018〔atoms/cm〕未満であることが好ましい。
酸素混入層30は、支持基板10と半導体層20との間に位置する。酸素混入層30の一方主面は支持基板10に直接接合され、他方主面は半導体層20に直接接合されている。そして、この酸素混入層30は、支持基板10と半導体層20との互いの結晶構造が乱れた状態となっている。言い換えると、支持基板10を構成する主成分の元素、すなわちアルミナ(Al,O)と、半導体層20を構成する元素、すなわちSiと、が互いに単独で存在している。すなわち、支持基板10を構成する元素と半導体層20を構成する元素とは化学的に結合していない。
酸素混入層30と支持基板10との境界は、結晶構造の違いにより判断できる。すなわち、単結晶となっている領域までが支持基板10であり、結晶構造が乱れる領域からが酸素混入層30となる。酸素混入層30と半導体層20との境界も同様に判断できる。
すなわち、酸素混入層30は、その結晶性が支持基板10,半導体層20に比べ低くなっている。この例では、単結晶とは異なり、支持基板10を構成する結晶構造と半導体層20を構成する結晶構造とが入り混じった、いわば、二種類の結晶構造からなる擬似的な多結晶体となっている。このような結晶性の違い,結晶構造の違いは、例えば、収束イオンビーム(FIB)加工により断面加工した後に透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、観察したり、電子線回折を行なったりして確認すればよい。また、ラザーフォード後方散乱(RBS)により測定してもよい。単位体積当たりの格子欠陥数により評価してもよい。
このような構成とすることにより、支持基板10を構成する元素と半導体層20を構成する元素とは化学的に結合していない場合であっても、支持基板10と半導体層20とを接合することができる。なお、支持基板10を構成する元素および半導体層20を構成する元素は、いずれも支持基板10を構成する元素および半導体層20を構成する元素以外の元素とも結合していない。このことからも、一般的な中間層を介して両者を接合する手法とも異なるものとなる。
そして、この酸素混入層30は、厚み方向において、半導体層20に近づくにつれ酸素濃度が減少するような酸素濃度分布を有している。酸素混入層30における酸素濃度分布の状態は特に限定されないが、半導体層20との界面において、半導体層20の酸素濃度と同等となるように傾斜させればよい。また、酸素混入層30の厚みは50nm以下が好ましい。酸素混入層30の厚みは、より好ましくは、5〜10nmとする。このような厚みとすることにより、たとえ酸素を含有する、単結晶以外の層であっても、寄生容量や熱伝導の面で悪影響を及ぼすことがないからである。
なお、このような酸素混入層30において、支持基板10を構成する元素および半導体層20を構成する元素を除く、その他の副成分の割合は1質量%以下であるものとする。言い換えると、酸素混入層30の純度は非常に高く、いわゆるガラス材料とは異なるものである。
複合基板1をこのような構成とすることにより、半導体層20に不純物が拡散したり、析出したりすることを抑制することができる。その理由について以下に詳述する。
複合基板1は、支持基板10と半導体層20とを接合するときに接合界面に金属などの不純物が混入したり、支持基板10に微量添加されている金属などの不純物が半導体層20側に拡散・析出したりするおそれがある。このような金属の存在は、半導体層20に半導体素子として機能する素子機能部を構成するときに、誤動作を発生させるおそれがある。そこで、たとえ金属などの不純物が存在する場合であっても、半導体層20に金属を拡散・析出させないことが重要である。
これに対して、複合基板1では、酸素混入層30を設けている。金属は半導体層20を構成する元素との結合エネルギーに比べ、酸素と結合する結合エネルギーの方が小さい。例えば、半導体層20を構成するSiと金属の一例であるFeとを例にすると、Si−Feの共晶温度は660度であり、これらの結合には加熱が必要であるのに対して、Fe−Oの結合は常温下でも進行する。このため、金属は、半導体層20側に拡散することなく、酸素混入層30の酸素と結合し、酸素混入層30の内部に保持されることとなる。さらに、この酸素混入層30も酸素濃度が、半導体層20側に近づくに連れて減少することから、半導体層20と酸素混入層30との界面に金属が残存することなく、酸素混入層30の厚み方向において支持基板10側において金属を保持することができる。
また、酸素混入層30の結晶構造は乱れているのに対して、半導体層20は単結晶であ
り、この点からも金属を、拡散・固溶しやすい酸素混入層30に取り込むことができる。
さらに、半導体層20の酸素濃度は1×1018〔atoms/cm〕未満としている。このような構成により、半導体層20中に金属が拡散・固溶・析出することを抑制している。特に、金属がFeである場合には、OSF欠陥の発生を抑制することができる。
そして、酸素混入層30は、支持基板10に接する側から半導体層20に近づくにつれて酸素濃度が低下し、半導体層20と接する側の面では、半導体層20と同程度の酸素濃度となっていることが好ましい。このような構成からも、酸素混入層30側から半導体層20側へ酸素が供給されることもなく、確実にOSF欠陥を抑制することができる。
以上のように、複合基板1によれば、半導体層20に金属等の不純物が拡散することを抑制した、高品質の半導体層20を有するものを提供することができる。
(複合基板の変形例)
上述の酸素混入層30に代えて、単体で存在する金属元素を更に含有する酸素混入層30Aとしてもよい。
金属元素としては、Fe,Cr,Ni,Cu,Zn等を例示することができる。ただし、支持基板10,半導体層20を構成する主成分の元素は除くものとする。含有量としては、例えば、1×1015〔atoms/cm〕未満とすればよい。このような金属を単体で含有させることが重要である。すなわち、金属元素は支持基板10および半導体層20を構成する元素と結合することなく、金属元素は支持基板10および半導体層20を構成する元素の結晶が乱れた領域に保持されていることが重要である。
このような構成とすることにより、金属元素が結合に直接関与していないため、半導体層20側の界面に層状に存在することなく、その結果、半導体層20への拡散を抑制することができる。また、半導体素子を形成するための熱処理等により金属原子が新たな反応や拡散等をおこしたとしても、結合強度に影響がでず、半導体層20の剥離を抑制でき、信頼性の高いものとすることができる。さらに、金属元素を単体で、かつ酸素混入層30Aの内部に存在させることにより、半導体素子を形成するための熱処理等を行なっても新たな反応および拡散等の現象を酸素混入層30Aの内部に留めることができる。つまり、酸素混入層30Aの厚み方向における酸素濃度が支持基板10側にかけて増大する構成となっているため、後の熱処理等により金属元素は支持基板10側に移動させることができる。また、酸素混入層30A中においては、厚み方向に金属元素の濃度分布があってもよく、支持基板10から離れるにつれて濃度が低くなることが好ましい。
このように、複合基板1によれば、後の熱処理に対しても半導体層20の特性が劣化しない、信頼性の優れたものとすることができる。
また、金属元素が支持基板10及び半導体層20と結合していないことから、仮に複合基板1に加えられる熱履歴等により歪が発生したとしても、金属元素がそれを緩和させるように移動することができる。
(複合基板の製造方法)
次に、図1に示す複合基板1の製造方法について図面を用いて説明する。
まず、図2(a)に示したように、シリコン(Si)で形成された第1基板20Xを準備する。この第1基板20Xは単結晶シリコン基板20Xaの上面(図のD2方向)にSiをエピタキシャル成長させたSi膜20Xbを形成して成る。このSi膜20Xbの一
部が後の半導体層20となる。このエピタキシャル成長の方法としては、単結晶シリコン基板20Xaを加熱しながら、当該単結晶シリコン基板20Xaの表面に気体状のシリコン化合物を通過させて熱分解させて成長させる熱化学気相成長法(熱CVD法)などの種々の方法を採用できる。このSi膜20Xbは、シリコン基板の上にエピタキシャル成長させているので、サファイア基板の上にエピタキシャル成長させた場合に比べて格子欠陥を少なくすることができる。また、真空中においてエピタキシャル成長させるため、その膜中の酸素含有量をCZ法で形成したシリコン基板に比べて極めて低く抑えることができる。具体的には、酸素濃度を1018〔atoms/cm〕未満とすることができる。この酸素濃度は、CZ法で形成したシリコン基板に比べて1/10以下の値となっている。実際には、酸素濃度を3×1017〔atoms/cm〕未満とすることができることを確認している。
ここで、Si膜20Xbのドーパント濃度は、特に限定はされないが、例えば、相対的に低濃度のpおよびnのドーパント濃度、ならびにノンドープのいずれか1つとなるように形成される。pのドーパント濃度としては、1×1016〔atoms/cm〕以下の範囲が挙げられる。nのドーパント濃度としては、5×1015〔atoms/cm〕以下の範囲が挙げられる。Si膜20Xbのドーパント濃度は単結晶シリコン基板20Xaから離れるにつれて減少し、単結晶シリコン基板20Xaと接する側と反対側の表面においては、完全空乏層となるようなドーパント濃度となっている。
また、Si膜20Xbの厚みは、特に限定されないが、例えば2μm程度とすればよい。
次に、図2(b)に示すように、酸化アルミニウム単結晶(サファイア)からなる絶縁性の支持基板10を準備する。
次に、支持基板10と、第1基板20XのD1方向の主面(単結晶シリコン基板20Xaと反対側に位置する主面)とを貼り合わせる。すなわち、支持基板10とSi膜20Xbの主面とを貼り合わせる。貼り合わせの方法としては、図2(c)に示したように、貼り合わせる面の表面を活性化して接合する方法が挙げられる。表面の活性化する方法としては、真空中でイオンビームや中性子ビームを照射して表面をエッチングして活性化する
法が挙げられる。
そして、図3(a)に示すように、この活性化した状態で加圧することにより、支持基板1とSi膜20Xbとの界面の一部の結晶を乱した状態で酸素混入層30を形成することができる。イオンビームや中性子ビームの出力による表面の活性化の程度と加重を調整することにより、酸素混入層30の厚みや支持基板10を構成する元素の割合とSi膜20Xbを構成する元素の割合とを制御することができる。ここで、接合面に接合層として金属を介在させないよう、接合装置内に金属が浮遊しないようにする。例えば、金属発生源をセラミックスからなるカバー部材で覆ったり、接合装置内をクリーニングにしたり、真空度を確保したりする。この接合を常温下で行ってもよい。なお、この接合は、樹脂系などの接着剤を使用しない方法によるものである。
接合時に加熱することなく、かつ、接合層を形成するだけの金属も存在しないことから、意図せぬ各元素間の結合形成を抑制できる。
この接合方法によって接合する場合、Si膜20Xbおよび支持基板10は、接合する面の面粗さが小さいことが好ましい。この面粗さは、例えば算術平均粗さRa,二乗平均平方根Rqで表される。この算術平均粗さRaの範囲としては、10nm未満が挙げられ
る。二乗平均平方根Rqの範囲としては3nm未満が挙げられる。算術平均粗さおよび二乗平均平方根を小さくすることによって、互いに接合する際に加える圧力を小さくすることができる。
ここまでの工程を経ることによって、支持基板10と単結晶シリコン基板20Xaとの間に、酸素混入層30、Si膜20Xbを有する中間製造物ができる。
次に、中間製造物を矢印D1方向側(単結晶シリコン基板20Xa側)から加工して、図3(b)に示したように単結晶シリコン基板20Xaを除去してSi膜20Xbを露出させる。この単結晶シリコン基板20Xaを除去する加工方法としては、例えば砥粒研磨、化学エッチング、イオンビームエッチングなど種々のものが採用でき、複数の方法を組み合わせてもよい。単結晶シリコン基板20Xaとして高濃度でドーパントを有するものとして、ドーパント濃度が高いときにエッチングレートが高くなる選択エッチングを行なってもよい。このとき、単結晶シリコン基板20Xaとともに、厚み方向においてSi膜20Xbの一部が除去されてもよい。
そして、Si膜20XbのD1方向の上面を精密研磨して、厚みの均一性を向上させることができる。この精密エッチングに用いるエッチング手段としては、例えばドライエッチングが挙げられる。このドライエッチングには、化学的な反応によるものと、物理的な衝突によるものとが含まれる。化学的な反応を利用するものとしては、反応性の気体(ガス)、イオンおよびイオンビーム、ならびにラジカルを利用するものなどが挙げられる。この反応性イオンに使われるエッチングガスとしては、六フッ化硫黄(SF)、四フッ化炭素(CF)などが挙げられる。また、物理的な衝突によるものとしては、イオンビームを利用するものが挙げられる。このイオンビームを利用するものには、ガス・クラスタ・イオンビーム(Gas Cluster Ion Beam;GCIB)を用いた方法が含まれている。これらのエッチング手段を用いて狭い領域をエッチングしながら、可動ステージで基板を走査することで、大面積の素材基板であっても良好に精密エッチングをすることができる。
このような工程を経てSi膜20Xbの残った部分を半導体層20とする。上述の全工程を経ることにより、支持基板10上に酸素混入層30、半導体層20が順に積層された複合基板1を得ることができる。
このような工程を経ることにより、エピタキシャル成長で形成した半導体層20の支持基板10側の面はノンドープの空乏層となっており、かつ、酸素濃度も低いものとなっている。つまり、半導体層20の支持基板10側の面は、歪が極めて小さくなっている。このような構成とすることにより、支持基板10との接合側の面において意図せぬ歪による応力等が付加されることがないので好ましい。
さらに、上述のような工程を経て形成された複合基板1は、支持基板10と半導体層20との間のうち、特に半導体層20側には従来のSOI基板のようなSiOx層(酸化物層)が存在しない。すなわち、酸素を主成分とする層と半導体層20とが接することなく、支持基板10との接合を実現することができる。このことからも、半導体層20には、SiOx層を形成するために必要な意図せぬ応力の発生や、格子間Si等の発生を抑制することができ、半導体層20の品質を高めることができる。
上述の工程では、基板等を洗浄する工程を明記していないが、必要に応じて基板の洗浄をしてもよい。基板の洗浄方法としては、超音波を用いた洗浄、有機溶媒を用いた洗浄、化学薬品を用いた洗浄、およびOアッシングを用いた洗浄などの種々の方法が挙げられる。これらの洗浄方法は、組み合わせて採用してもよい。
(変形例1:酸素混入層30A)
酸素混入層30Aにおいて、金属元素の支持基板10側の面の近傍領域における単位表面積辺りの密度を1012atoms/cm以下とすることが好ましい。このような存在密度とすることにより、金属元素は、支持基板10の一主面,半導体層20の一主面を覆わず、支持基板10の一主面,半導体層20の一主面を構成する元素の原子配列が露出するものとなる。
ここで、金属原子の密度は、単位表面積当たりの原子数をさす。実際には、ICP−MS(Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry;誘導結合プラズマ質量分析装置)により、支持基板10上の酸素混入層30A,半導体層20の一部を一定体積エッチング液に溶解させ、金属原子の量を測定し、その全量が界面から厚み5nm以内に存在するものと仮定し、面方向における密度を求める。このような仮定は、本実施形態により得た複合基板の複数について厚み方向における金属原子の分布状態を観察・測定した結果、最も金属量が多い場合でも、酸素混入層30Aのうち、支持基板10側の5nm以内の領域に存在し、それよりも半導体層20側には殆ど拡散していないことを確認したことによる。
このように酸素混入層30Aにおける近傍領域とは、支持基板10に接する側の面から5nm程度の厚みの領域をさす。
そして、金属元素の存在密度を1012atoms/cm以下とすることにより、初めて、接合を維持しつつ、界面に金属元素の析出部が発生することを抑制することができる。このメカニズムについて詳述する。金属元素の存在密度を低く制御するためには、活性化する工程において中性子ビーム(FAB)ガンを用いたり、接合する際の雰囲気を高真空にしたり、真空中の構成物を絶縁物で被覆したりすることで調整することができる。
支持基板10と半導体層20との間に金属元素が凝集している場合には、半導体層20に半導体素子を作りこむときに、半導体素子の動作に悪影響を生じるおそれがあった。このような金属元素の凝集は、界面において金属元素が層状または島状に設けられる場合には(例えば、界面における金属元素の密度が約3.0×1016atoms/cm以上)、当然に想定される問題であるが、約3.0×1016atoms/cm未満であっても1012atoms/cmを超える場合には、接合時には接合面内に分散していてその存在を確認できなくても、半導体素子を作りこむための熱処理を加えていく過程で金属元素が凝集してしまう。しかしながら、1012atoms/cm以下とすることにより、複合基板1に熱処理を加えても金属元素が凝集することを防止できる。
これは、メカニズムは明らかではないが、金属元素の半導体層20または支持基板10を構成する元素に対する固溶度が関係するものと考えられる。すなわち、金属元素の存在密度を1010atoms/cm以上1012atoms/cm以下とすることで、互いに接触し凝集体を形成するような密度ではなく、かつ常温では移動度も低いため、接合時において凝集体を形成することはない。それに加え、熱処理を加え移動度が高まったとしても、このような存在密度とした場合には金属元素は固溶度の10倍程度しか存在しないこととなり、この状態においても凝集体を形成することはないものと考えられる。
さらに、金属元素のうち大多数は半導体層20または支持基板10を構成する元素に固溶されており、残る金属元素も半導体層20における拡散を促進するような量が存在しない。
また、半導体層20がSiからなり、金属元素としてFeを含む場合には、その密度が1012atoms/cmよりも多くなると、この値を境としてOSF欠陥が急激に増加する。OSF欠陥の一因として格子欠陥があり、この欠陥を足掛かりとしてFeとOと
の化合物が表面に移動・析出してOSF欠陥となる可能性がある。このOSF欠陥が生じるFeの存在量の閾値と、本実施形態における金属元素の密度の上限値とが一致している。
OSF欠陥と金属元素の凝集とは直接的な関係はないが、金属元素が半導体層内を移動・凝集・析出するという現象に着目すると両者の間には共通項がある。そこで、OSF欠陥の発生要因である、欠陥の存在及び金属(Fe)と酸素との結合という要素について検討すると、本実施形態の複合基板1は、半導体層20と支持基板10とを、互いの接合面を活性化し、ダングリングボンドを形成して直接接合していることから、接合界面にはダングリングボンドが欠陥として残存している可能性がある。また、接合後に半導体素子を形成するために熱処理を行なうことに起因して、接合界面に金属元素と半導体層20または支持基板10を構成する元素とが金属間化合物を形成する可能性がある。この2つの仮定、すなわち、界面における欠陥と金属間化合物を形成した金属元素とが界面に同時に存在することは、OSF欠陥の発生要因を二つとも具備していることとなる。このことから、本実施形態の複合基板1は、欠陥を足掛かりにFeが移動・析出することにより発生するOSF欠陥の場合と同様に、金属元素が界面の欠陥を足掛かりとして移動・析出する可能性を示唆している。以上より、金属元素の密度を、OSF欠陥が生じる閾値以下とすることにより、金属元素の拡散・凝集を抑制できるものと推察される。
特に、酸化物層30A中の酸素濃度は半導体層20に近づくにつれて減少し半導体層20の酸素濃度である1018atoms/cm未満まで低下していく。このため、拡散・移動を促進させるために酸素と結合することが困難となり、より確実に半導体層20側への金属の拡散を抑制することができる。これにより、複合基板1に半導体素子を作りこんだときに、OSFの欠陥がなく、信頼性の高い半導体層20を有する複合基板1を提供することができる。
なお、金属元素の密度の下限値は、特に限定されないが、支持基板10と半導体層20とを常温接合するために必要な量とする。具体的には接合時に金属元素の密度が1010atoms/cm以上のときには特許第4162094号公報に倣って金属量の多い状態で接合した場合と同等の接合強度を確保できていることを確認している。
以上より、本変形例によれば、金属拡散を抑制した半導体層20を有し、かつ十分な支持基板10と半導体層20との接合強度を有する複合基板1を提供することができる。
(変形例2:酸素混入層30B)
酸素混入層30Aは、金属元素が、支持基板10を構成する元素及び半導体層20を構成する元素と結合することなく単独で存在する場合について説明したが、このような酸素混入層30Aを含む複合基板1に対して熱処理を加えることにより、単独で存在していた金属元素を、金属シリサイドや金属オキサイドを形成させ、酸素混入層30Bとしてもよい。たとえば、SiFeOx、AlFeOx等を例示できる。
金属元素を構成する金属原子を金属シリサイドや金属オキサイドなどの金属間化合物として存在させるためには、接合工程および半導体層20の薄層化の後に、500℃以上の熱処理を0.5時間以上行なうことにより、半導体層20を構成する元素または支持基板10を構成する元素と結合することにより生成される。
ここで、複合基板1は、酸素混入層30Aと支持基板10との接合界面に存在する金属量(酸素混入層30Aの近傍領域における金属量)を1012atoms/cm以下としているときには、金属原子の拡散・凝集を抑制できる。このため、金属元素が金属間化合物として存在しても、酸素混入層30Bとなっても、酸素混入層30Bと支持基板10
との接合界面に留まる。そして、金属元素が金属間化合物を形成するときに、その周囲には半導体層20を構成する元素が金属元素との結合に供給されたことによる空孔、支持基板10を構成する元素が金属元素との結合に供給されたことによる空孔が生じる。この空孔が欠陥となり、新たな不純物が界面に存在するときに、その不純物をゲッタリングし、半導体層20への拡散を抑制することができる。そして、このような効果は、酸素混入層30Aにおいて、金属元素が結合に寄与していないからこそ初めて成り立つものである。
(変形例3:支持基板10)
支持基板10としてサファイア基板のR面を用いることが好ましい。R面を用いることにより、酸素混入層30,30A側に金属原子であるAlを多く露出させることができる
。これにより、酸素混入層30,30Aに意図せず酸素の供給を抑制すると共に、後の加熱工程等により、金属原子であるAlとSiとの結合の割合を高めることができ、より強固な接合を実現することができる。
(電子部品)
なお、上述の実施形態及びその変形例の複合基板1に、複数の素子部を形成し、少なくとも1つの素子部を含むように複合基板1を分割して電子部品を形成してもよい。
具体的には、図4(a)に示すように、得られた複合基板1の半導体層20の上面側から素子部23を形成する。この素子部23としては、種々の半導体素子構造が挙げられる。
次に、図4(b)に示すように、素子部23が形成された複合基板1を分けて、電子部品2を製造する。この複合基板1を電子部品2に分けるのに際して、少なくとも1つの素子部23が1つの電子部品2に含まれるようにする。言い換えると、1つの電子部品2に複数の素子部23が含まれていてもよい。
以上のようにして、素子部23を有する電子部品2を製造することができる。
上述の製造方法により支持基板10と半導体層20との間に5nmの厚みの酸素混入層を形成した複合基板1を製造した。この複合基板1について、酸素混入層30を含む断面を収束イオンビーム(FIB)加工により形成し、半導体層20側から、酸素混入層30、支持基板10までの組成をEDSで分析した。さらに、電子エネルギー損失分光法(EELS)で、半導体層20側から、酸素混入層30、支持基板10までのライン分析を行なった。その結果を図5に示す。図5は、深さ方向に対する酸素、アルミニウム、シリコンの存在量の変化の様子を表す線図である。縦軸は規格化した各元素の測定強度を示し、横軸は半導体層20側からの深さ〔nm〕を示す。図中で線が太い側から順に、酸素強度、アルミニウム強度、シリコン強度を示す。
図5に示すように、酸素混入層30において酸素強度が支持基板10から半導体層20側に向かうにつれて減少していく様子を確認することができた。これにより、酸素混入層30において酸素濃度が支持基板10から半導体層20側に向かうにつれて減少していることが確認できた。
同様にFIB加工により作成した断面を、TEM観察した結果、酸素混入層30の結晶性が支持基板10、半導体層20に比べて低いことが確認できた。
同様にFIB加工により作成した断面の図5中に示す1〜6の深さ位置において、EELSで測定した。その結果を図6に示す。測定結合エネルギーから結合状態を確認した結
果、Si−Si,Al−O以外の結合は確認できなかった。以上より、酸素混入層30において、支持基板10を構成する元素および半導体層20を構成する元素は、互いに単独で存在していることを確認できた。
さらに、複合基板1の引張り試験をQUADGROUP社製のロミュラスを用いて行なった。その結果、複合基板1の接合強度は14.7MPa以上となっており、酸素混入層30を介する構成の複合基板が良好に接合されていることを確認できた。なお、このような複合基板1は、その後の研磨、加熱・切断等を伴う半導体素子加工等の種々のプロセスを経ても接合状態を保持しており、十分な接合強度を持っている事が確認された。
また、酸素混入層30に代えて、Feを含む酸素混入層30Aを備える複合基板も製造し、同様に測定を行った。その結果を図7に示す。図7(a)は、EELSで半導体層20側から、酸素混入層30A、支持基板10までの組成につきライン分析を行なった結果を示す線図である。図7(b)は、図7(a)中に図示する深さ位置のうち3の深さ位置において、Feの結合状態をEELSにて詳細に確認した線図である。その結果、接合界面に若干のFeを主とする金属が存在していたが、これらの金属はAl,Si,Oのいずれとも結合しておらず、かつ、半導体層20への拡散も確認されなかった。また、FeはSiやAl,Oと結合していることは確認できず、単独で存在していることが確認できた。なお、図示は省略するが、図7(a)の各深さ位置においてEELSにてSi,Al,Oについて状態分析を行なった結果、Si−Si,Al−O以外の結合は確認できなかった。
10・・・支持基板
20・・・半導体層
30・・・酸素混入層

Claims (5)

  1. サファイアからなる支持基板と、
    一主面が前記支持基板上に重ね合わされたシリコン単結晶からなる半導体層と、
    前記支持基板と前記半導体層との間に位置し、前記支持基板および前記半導体層の互いの結晶構造が乱れて入り混じった状態で構成される酸素混入層と、を含み、
    前記酸素混入層において、
    前記支持基板を構成する元素と前記半導体層を構成する元素とが化学結合しておらず
    酸素濃度が厚み方向において前記半導体層側に向かうにつれて減少している、
    複合基板。
  2. 前記半導体層は、酸素濃度が1018atoms/cm未満である、請求項1記載の複合基板。
  3. 前記酸素混入層は、単体で存在する、前記支持基板を構成する元素及び前記半導体層を構成する元素を除く金属元素をさらに含有する、請求項1または2記載の複合基板。
  4. 前記酸素混入層において、前記金属元素は、前記支持基板側の面の近傍領域における存在密度が1×1012atoms/cm以下である、請求項3に記載の複合基板。
  5. 前記酸素混入層において、前記支持基板を構成する元素及び前記半導体層を構成する元素を除く金属元素を含み、前記金属元素は前記支持基板を構成する元素または前記半導体層を構成する元素と結合して金属間化合物を形成している、請求項1に記載の複合基板。
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