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JP6708341B2 - 磁性ナノ粒子固定化含窒素複素環カルベン−金(i)錯体 - Google Patents
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JP6708341B2 - 磁性ナノ粒子固定化含窒素複素環カルベン−金(i)錯体 - Google Patents

磁性ナノ粒子固定化含窒素複素環カルベン−金(i)錯体 Download PDF

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本発明は、新規な磁性ナノ粒子固定化含窒素複素環カルベン−金(I)錯体、このものを製造する方法、及びこのものから成る炭素−炭素多重結合への付加反応用触媒に関するものである。
従来の有機合成反応は液相反応が中心であるが、液相反応では、触媒は反応溶液に溶解しているため、触媒の回収、再利用(リサイクル)が容易でなく、触媒のリサイクルを図るには、反応後の抽出などの後処理、さらには精製などの操作が必要とされる。また触媒の多くは金属を含有し、これが反応処理液に混入してくるため、そのままでは排出できず、環境保全の面からも問題がある。そこで触媒の回収、再利用が容易で、環境にも優しい新規固定化触媒やそれを用いる新しい合成手法が求められている。
最近触媒の回収、再利用を行うべく、固相固定化触媒やフルオラスタグを導入した触媒等が種々開発されている。しかしこれらを用いた場合も濾別による回収操作やフルオラス溶媒を用いた抽出操作が必要とされる(非特許文献1、2参照)。
近年四酸化三鉄(マグネタイト)等の磁性ナノ粒子(非特許文献3)に触媒機能性部位を固定化した磁性ナノ粒子固定化触媒の合成プロセスにおける有用性が報告されている。反応後に磁石を反応容器に近づけると触媒は引き寄せられるので、デカンテーションにより反応生成物を含む反応溶液を取り出すことができ、さらに触媒が残った反応容器に反応溶媒と反応基質を加えることにより、触媒を再利用でき、触媒のリサイクルの操作が簡便である(非特許文献4、5、6参照)。
例えば、これまでに磁性ナノ粒子固定化パラジウム触媒や銅触媒などが報告されている。これらは対応するポリスチレン樹脂固定化触媒よりも触媒活性は高く、またリサイクルを4,5回程度行っても収率の低下は殆どない(非特許文献7、8参照)。
一方、近年炭素−炭素多重結合への付加反応に有効な含窒素複素環カルベン−金(I)錯体構造を有する、リサイクルが可能な新規固定化含窒素複素環カルベン−金(I)錯体触媒が開発されている。しかしこれまでに報告されている支持体はシリカやデンドリマー等であり、磁性ナノ粒子への固定化は報告されていない(非特許文献9、10、特許文献1参照)。
特開2014−169237号公報
「固定化触媒のルネッサンス」、2007年、p.1(シーエムシー出版) 「グリーンケミストリー・アンド・キャタリシス(Green Chemistry and Catalysis)」、2006年、p.309(WILEY−VCH) 「ジャーナル・オブ・マグネティズム・アンド・マグネティック・マテリアルズ(J.Magn.Magn.Mater.)」、2004年、第270巻、p.1 「ニュー・ジャーナル・オブ・ケミストリー(New J.Chem.)」、2003年、第27巻、p.227 「アドバンスト・シンセシス・アンド・キャタリシス(Adv.Synth.Catal.)」、2007年、第349巻、p.2431 「ケミカル・コミュニケーション(Chem.Commun.)」、2007年、p.3404 「ケミカル・コミュニケーション(Chem.Commun.)」、2005年、p.4435 「ケミカル・コミュニケーション(Chem.Commun.)」、2007年、p.4809 「アドバンスト・シンセシス・アンド・キャタリシス(Adv.Synth.Catal.)」、2006年、第348巻、p.1899 「テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron.Lett.)」、2014年、第55巻、p.3013
本発明は、このような事情のもとでなされたものであり、磁性ナノ粒子固定化触媒として、炭素−炭素多重結合への付加反応に用いられる新規な固定化含窒素複素環カルベン−金(I)錯体を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記した磁性ナノ粒子固定化含窒素複素環カルベン−金(I)錯体について鋭意研究を重ねた結果、溶媒中において磁性ナノ粒子と含窒素複素環カルベン−金(I)錯体構造を有するケイ素化合物とを反応させると、新規な磁性ナノ粒子固定化含窒素複素環カルベン−金(I)錯体が容易に得られること、そしてこの磁性ナノ粒子固定化含窒素複素環カルベン−金(I)錯体は、炭素−炭素多重結合への付加反応を効率的に促進させ、さらに反応終了後磁石を近づけることにより引き寄せられ、回収、再利用可能な固定化含窒素複素環カルベン−金(I)錯体触媒として有用であることを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、この出願は以下の発明を提供するものである。
(1)一般式(I)
Figure 0006708341
(式中、Rは炭素数が1〜4のアルキル基、Rは炭素数が1〜20の炭化水素基である。nは1〜30のいずれかの整数、Lはハロゲン化物イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ヘキサフルオロアンチモネートイオン、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)炭素酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、有機カルボン酸イオン、硝酸イオン、硫酸水素イオン、テトラクロロ鉄(III)酸イオン、テトラブロモ鉄(III)酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、チオシアン酸イオン、シアン化物イオン、アジ化物イオン、又はビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミデートイオンである。)
で表される含窒素複素環カルベン−金(I)錯体が、当該一般式中のSiに結合する3つのR−O−基の少なくとも1つが磁性ナノ粒子中の酸素原子と置き換わることにより、当該磁性ナノ粒子に固定化された構造を含有する、磁性ナノ粒子固定化含窒素複素環カルベン−金(I)錯体からなる炭素−炭素多重結合のヒドロアミノ化反応用触媒。(2)磁性ナノ粒子が、M(II)Fe(式中、M(II)は、Fe2+、Co2+、Ni2+、Mn2+、Zn2+、Mg2+またはCu2+であり、単独でも複数が組み合わされて含まれてもよい。)で表される組成のフェライトを主成分とすることを特徴とする、(1)に記載の磁性ナノ粒子固定化含窒素複素環カルベン−金(I)錯体からなる炭素−炭素多重結合のヒドロアミノ化反応用触媒
(3)下記の一般式(II)、
Figure 0006708341
下記の一般式(III)
Figure 0006708341
及び/又は、下記の一般式(IV)
Figure 0006708341
(これらの式中、M(II)は、Fe2+、Co2+、Ni2+、Mn2+、Zn2+、Mg2+またはCu2+であり、単独でも複数が組み合わされて含まれてもよい。Rは炭素数が1〜4のアルキル基、Rは炭素数が1〜20の炭化水素基である。nは1〜30のいずれかの整数、Lはハロゲン化物イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ヘキサフルオロアンチモネートイオン、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)炭素酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、有機カルボン酸イオン、硝酸イオン、硫酸水素イオン、テトラクロロ鉄(III)酸イオン、テトラブロモ鉄(III)酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、チオシアン酸イオン、シアン化物イオン、アジ化物イオン、又はビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミデートイオンである。)
で表される磁性ナノ粒子固定化含窒素複素環カルベン−金(I)錯体構造を含有する、(2)に記載の磁性ナノ粒子固定化含窒素複素環カルベン−金(I)錯体からなる炭素−炭素多重結合のヒドロアミノ化反応用触媒
(4)一般式(V)
Figure 0006708341
(式中、Rは炭素数が1〜4のアルキル基、Rは炭素数が1〜20の炭化水素基である。nは1〜30のいずれかの整数、Lはハロゲン化物イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ヘキサフルオロアンチモネートイオン、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)炭素酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、有機カルボン酸イオン、硝酸イオン、硫酸水素イオン、テトラクロロ鉄(III)酸イオン、テトラブロモ鉄(III)酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、チオシアン酸イオン、シアン化物イオン、アジ化物イオン、又はビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミデートイオンである。)
で表される構造を有する含窒素複素環カルベン−金(I)錯体と、磁性ナノ粒子とを、溶媒中で反応させることを特徴とする、(1)に記載の磁性ナノ粒子固定化含窒素複素環カルベン−金(I)錯体からなる炭素−炭素多重結合のヒドロアミノ化反応用触媒の製造方法。
(5)磁性ナノ粒子が、M(II)Fe(式中、M(II)は、Fe2+、Co2+、Ni2+、Mn2+、Zn2+、Mg2+またはCu2+であり、単独でも複数が組み合わされて含まれてもよい。)で表される組成のフェライトを主成分とすることを特徴とする、(4)に記載の、磁性ナノ粒子固定化含窒素複素環カルベン−金(I)錯体からなる炭素−炭素多重結合のヒドロアミノ化反応用触媒の製造方法。
(6)下記の一般式(II)、
Figure 0006708341
下記の一般式(III)
Figure 0006708341
及び/又は、下記の一般式(IV)
Figure 0006708341
(これらの式中、M(II)は、Fe2+、Co2+、Ni2+、Mn2+、Zn2+、Mg2+またはCu2+であり、単独でも複数が組み合わされて含まれてもよい。Rは炭素数が1〜4のアルキル基、Rは炭素数が1〜20の炭化水素基である。nは1〜30のいずれかの整数、Lはハロゲン化物イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ヘキサフルオロアンチモネートイオン、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)炭素酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、有機カルボン酸イオン、硝酸イオン、硫酸水素イオン、テトラクロロ鉄(III)酸イオン、テトラブロモ鉄(III)酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、チオシアン酸イオン、シアン化物イオン、アジ化物イオン、又はビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミデートイオンである。)
で表される磁性ナノ粒子固定化含窒素複素環カルベン−金(I)錯体構造を含有する、(4)に記載の、磁性ナノ粒子固定化含窒素複素環カルベン−金(I)錯体からなる炭素−炭素多重結合のヒドロアミノ化反応用触媒の製造方法。
(7)(1)ないし(3)のいずれかに記載の炭素−炭素多重結合のヒドロアミノ化反応用触媒と、助触媒としてトリフルオロメタンスルホン酸を用いる、炭素−炭素多重結合をヒドロアミノ化する触媒反応方法
本発明に係る磁性ナノ粒子固定化含窒素複素環カルベン−金(I)錯体は、炭素−炭素多重結合への付加反応における触媒として有効であり、反応終了後磁石に引き寄せることにより容易に回収でき、また再利用も可能である。
本発明の新規な磁性ナノ粒子固定化含窒素複素環カルベン−金(I)錯体は、下記の一般式(I)
Figure 0006708341
(式中、R1は炭素数が1〜4のアルキル基、R2は炭素数が1〜20の炭化水素基である。nは1〜30のいずれかの整数、Lはハロゲン化物イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ヘキサフルオロアンチモネートイオン、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)炭素酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、有機カルボン酸イオン、硝酸イオン、硫酸水素イオン、テトラクロロ鉄(III)酸イオン、テトラブロモ鉄(III)酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、チオシアン酸イオン、シアン化物イオン、アジ化物イオン、又はビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミデートイオンである。)
で表される含窒素複素環カルベン−金(I)錯体が、当該一般式中のSiに結合する3つのR1−O−基の少なくとも1つが磁性ナノ粒子中の酸素原子と置き換わることにより、当該磁性ナノ粒子に固定化された構造を含有する、磁性ナノ粒子固定化含窒素複素環カルベン−金(I)錯体である。
この磁性ナノ粒子固定化含窒素複素環カルベン−金(I)錯体について、前記式中の置換基における各符号等で示される内容を具体的に説明することにより、それらの構造をさらに明らかにする。
(1)R1は炭素数が1〜4のアルキル基を表し、直鎖状、分岐鎖状の何れであってもよい。具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチルなどの基を挙げることができる。
(2)R2は炭素数が1〜20の炭化水素基を表し、炭化水素基は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基の中から選ばれる基である。アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状のいずれであってもよい。具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、t−ペンチル、へキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デカニルなどの基を挙げることができる。
シクロアルキル基は、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル基等を挙げることができる。
アリール基は、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基である。
芳香族炭化水素としては、ベンゼン、ビフェニル、テルフェニル、ナフタレン、アントラセン等を挙げることができる。置換基としてはアルキル基等が挙げられ、また2以上の置換基を有していて差し支えない。アルキル基としては炭素数1から3のアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基を挙げることができる。
アラルキル基は、側鎖としてアルキル基を持つ芳香族炭化水素の側鎖から1個の水素原子が失われた構造であり、ベンジル基、フェネチル基、アントラセニルメチル基等である。
(3)nは1〜30のいずれかの整数で、好ましくは1〜12である。
(4)Lはハロゲン化物イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ヘキサフルオロアンチモネートイオン、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)炭素酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、有機カルボン酸イオン、硝酸イオン、硫酸水素イオン、テトラクロロ鉄(III)酸イオン、テトラブロモ鉄(III)酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、チオシアン酸イオン、シアン化物イオン、アジ化物イオン、又はビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミデートイオンである。
支持体の磁性ナノ粒子としては、当該磁性ナノ粒子中の酸素原子が、上述の一般式(I)で表される含窒素複素環カルベン−金(I)錯体中のSiに結合する3つのR1−O−基の少なくとも1つと置き換わることにより、該錯体が前記磁性ナノ粒子に固定化されるものであれば、どのような化合物や組成のものでもよい。例えば、マグへマイト(γ−Fe23)等の磁性鉄化合物ナノ粒子などを挙げることができるが、好適には、M(II)Fe24を組成とするフェライトナノ粒子(より好適には、マグネタイトFe34)、又は、該フェライトを主成分(50wt%以上)とする磁性ナノ粒子を用いることができる。M(II)としては、Fe2+、Co2+、Ni2+、Mn2+、Zn2+、Mg2+及びCu2+が挙げられ、これらが単独でも複数が組み合わされて含まれてもよい。磁性ナノ粒子は、磁力による回収に悪影響のない程度(例えば、50wt%未満)の非磁性部分(例えば、シリカ(SiO2)の被覆)を有していてもよい。
以下に、磁性ナノ粒子としてフェライトを用いた場合を例にとって、磁性ナノ粒子支持体への有機基の固定化の形態を説明する。固定化の主な形態として、一般式(II)が挙げられる。
Figure 0006708341
(式中、M(II)は前記と同じ意味を示す。R2は炭素数が1〜20の炭化水素基である。nは1〜30のいずれかの整数、Lはハロゲン化物イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ヘキサフルオロアンチモネートイオン、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)炭素酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、有機カルボン酸イオン、硝酸イオン、硫酸水素イオン、テトラクロロ鉄(III)酸イオン、テトラブロモ鉄(III)酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、チオシアン酸イオン、シアン化物イオン、アジ化物イオン、又はビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミデートイオンである。)
上記の構造は鉄酸化物の表面の3個の酸素原子とケイ素が結合し、固定化されている。しかしこの場合、必ずしも酸素3原子の3箇所で固定化している必要はなく、酸素2原子での2箇所や酸素1原子での1箇所での固定化もあり得る。またSi−O−Si結合により形成されたケイ素化合物のオリゴマーが鉄酸化物に固定化された構造もあり得る。固定化の様式は問わず、フェライトを主成分とする磁性ナノ粒子の表面に固定化されていればよい。酸素原子2個で固定化した構造とケイ素化合物の二量体が固定化した構造の一例をそれぞれ一般式(III)及び一般式(IV)に示す。
Figure 0006708341
(式中、R1は炭素数が1〜4のアルキル基を表す。M(II)、R2、n、Lは前記と同じ意味を示す。)
Figure 0006708341
(式中、M(II)、R1、R2、n、Lは前記と同じ意味を示す。)
本発明の磁性ナノ粒子固定化含窒素複素環カルベン−金(I)錯体に導入される金の含有量は、0.001〜5.0mmol/g、好ましくは、0.01〜2.0mmol/gである。
また、磁性ナノ粒子固定化含窒素複素環カルベン−金(I)錯体の一次粒子の粒径は、0.5〜1000nm、好ましくは5〜100nmであるが、一般に凝集していることが多い。
また、磁性ナノ粒子固定化含窒素複素環カルベン−金(I)錯体は、この凝集を解くために、磁性ナノ粒子の表面が、オクタノール等の長鎖アルコールやオレイン酸等の長鎖カルボン酸等の界面活性剤で覆われていてもよい。
本発明の磁性ナノ粒子固定化含窒素複素環カルベン−金(I)錯体は、下記の一般式(V)
Figure 0006708341
(式中、R1は炭素数が1〜4のアルキル基、R2は炭素数が1〜20の炭化水素基である。nは1〜30のいずれかの整数、Lはハロゲン化物イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ヘキサフルオロアンチモネートイオン、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)炭素酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、有機カルボン酸イオン、硝酸イオン、硫酸水素イオン、テトラクロロ鉄(III)酸イオン、テトラブロモ鉄(III)酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、チオシアン酸イオン、シアン化物イオン、アジ化物イオン、又はビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミデートイオンである。)
で表される構造を有する含窒素複素環カルベン−金(I)錯体が、当該一般式中のSiに結合する3つのR1−O−基の少なくとも1つが磁性ナノ粒子中の酸素原子と置き換わることにより、当該磁性ナノ粒子に固定化された構造を含有する、磁性ナノ粒子固定化含窒素複素環カルベン−金(I)錯体は、一般式(V)
Figure 0006708341
(式中、R1、R2、n、Lは前記と同じ意味を示す。)
で表される、ケイ素を含有する含窒素複素環カルベン−金(I)錯体と、磁性ナノ粒子とを、溶媒中加熱することにより製造することができる。
この反応に用いられる溶媒としては、ケイ素を含有する含窒素複素環カルベン−金(I)錯体を溶解し得るものであればよく、特に制限されない。例えば、トルエン、ベンゼン、キシレン等の炭化水素、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノール等のアルコール等が好ましく挙げられる。また少量の水を添加することにより、Si−O−Si結合により形成されたケイ素を含有する含窒素複素環カルベン−金(I)錯体のオリゴマーが生成し固定化することもあるので、導入される金の含有量の向上が見込まれる。
加熱温度は、通常室温から200℃の範囲で選ばれるが、50℃から120℃が好ましい。溶媒の沸点によっては還流することが望ましい。また、反応中、反応液は攪拌するのがよい。また反応時間は、反応温度及び使用する溶媒等その他の条件により異なり一概に定めることはできないが、好ましくは5〜50時間程度である。
また、ケイ素を含有する含窒素複素環カルベン−金(I)錯体の使用量については、必ずしも限定する必要はないが、一般的には、原料の磁性ナノ粒子1グラムあたり0.01〜1グラム、好ましくは0.1〜0.5グラムの範囲の、ケイ素を含有する含窒素複素環カルベン−金(I)錯体が用いられる。また原料の磁性ナノ粒子は調製後、反応溶媒に含浸して保存されたものを用いてもよい。
原料物質として用いられる、一般式(V)で表される構造を有する含窒素複素環カルベン−金(I)錯体は、下記の一般式(VI)
Figure 0006708341
(式中、R1は炭素数が1〜4のアルキル基、R2は炭素数が1〜20の炭化水素基である。nは1〜30のいずれかの整数、Xはハロゲン原子である。)
で表される、ケイ素を含有するイミダゾリウム塩と酸化銀(I)とを溶媒中で反応させることにより得られる、ケイ素を含有する含窒素複素環カルベンの溶液と下記の式(VII)、

AuL[S(CH3)2] (VII)

(式中、Lはハロゲン化物イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ヘキサフルオロアンチモネートイオン、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)炭素酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、有機カルボン酸イオン、硝酸イオン、硫酸水素イオン、テトラクロロ鉄(III)酸イオン、テトラブロモ鉄(III)酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、チオシアン酸イオン、シアン化物イオン、アジ化物イオン、又はビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミデートイオンを示す)
の組成で表される金(I)化合物を混合し溶媒中で反応させ、反応混合物を所定の手段により濾過することにより反応生成物を得ることができる。
まず、酸化銀(I)との反応により、ケイ素を含有する含窒素複素環カルベンが得られる。
反応溶媒としては、ケイ素を含有するイミダゾリウム塩を程よく溶解できるものであり、かつ反応に関与しないものが用いられる。具体的には1,2−ジクロロエタン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、アセトン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等が好ましく、これらの溶媒は単独又は混合溶媒の形で使用される。その中でも好ましい反応溶媒としては、1,2−ジクロロエタンが挙げられる。
また、用いる酸化銀(I)の使用量については、必ずしも限定する必要はないが、一般的には、ケイ素を含有するイミダゾリウム塩1モルあたり0.5〜4モル、好ましくは0.5〜2モルの範囲の酸化銀(I)が用いられる。
この溶媒を用いてケイ素を含有するイミダゾリウム塩と酸化銀(I)との反応を行うに際しては、好ましくは、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、ケイ素を含有するイミダゾリウム塩を溶媒に添加して得られる溶液に必要量の酸化銀(I)を加えた後、十分に攪拌しながら反応させる。
反応条件については、反応温度は好ましくは室温ないし160℃の範囲であるが、それぞれの溶媒の沸点により上限が異なる。また反応時間は、反応温度及び使用する溶媒等のその他の条件により異なり一概に定めることはできないが、好ましくは2〜50時間程度である。
反応溶液を一部取り出し、この1H NMR測定より、イミダゾリウム塩がなくなり含窒素複素環カルベンが生成したことが確認される。
含窒素複素環カルベンの生成を確認後、この溶液に金(I)化合物を加えることにより、ジメチルスルフィドが解離するとともに、含窒素複素環カルベン−金(I)錯体が生成される。
用いる金(I)化合物の使用量については、必ずしも限定する必要はないが、一般的には、ケイ素を含有する含窒素複素環カルベン1モルあたり1〜4モル、好ましくは1〜1.5モルの範囲の金(I)化合物が用いられる。
このケイ素を含有する含窒素複素環カルベンと金(I)化合物との反応を行うに際しては、好ましくは、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、ケイ素を含有する含窒素複素環カルベン溶液に必要量の金(I)化合物を加えた後、十分に攪拌しながら反応させる。
反応条件については、反応温度は好ましくは室温ないし80℃の範囲であるが、室温程度で十分進行する。また反応時間は、反応温度及び使用する溶媒等のその他の条件により異なり一概に定めることはできないが、好ましくは1〜20時間程度である。
反応溶液を一部取り出し、この1H NMR測定より、ケイ素を含有する含窒素複素環カルベン−金(I)錯体が生成したことが確認される。
反応終了後、アルゴン雰囲気下セライト濾過により、銀化合物や過剰の金(I)化合物などが分離除去され、減圧留去により目的物が得られ、1H NMR測定よりケイ素を含有する含窒素複素環カルベン−金(I)錯体の生成が確認される。
一般式(VI)で表されるケイ素を含有するイミダゾリウム塩は、
一般式(VIII)
Figure 0006708341
(式中、R2は炭素数が1〜20の炭化水素基である。)
で表されるN−置換イミダゾールと、一般式(IX)
Figure 0006708341
(式中、R1は炭素数が1〜4のアルキル基である。nは1〜30のいずれかの整数、Xはハロゲン原子である。)
で表される、ケイ素・ハロゲンを含有する化合物を、溶媒中で反応させることにより製造することができる。
これらの製法では、N−置換イミダゾールの、アルキル基を有しない窒素原子が、ハロゲン原子に隣接する炭素原子上に求核攻撃するため、N−アルキル化が進行し、ケイ素を含有するイミダゾリウム塩が製造される。
反応溶媒としてはN−置換イミダゾールとケイ素・ハロゲンを含有する化合物を程よく溶解できるものであり、かつ反応に関与しないものが用いられる。具体的にはN,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、アセトン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルやジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素等が好ましく、これらの溶媒は単独又は混合溶媒の形で使用される。その中でも好ましい反応溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミドやアセトニトリルやこれらの混合溶媒が挙げられる。
この溶媒を用いてN−置換イミダゾールとケイ素・ハロゲンを含有する化合物との反応を行うに際しては、好ましくは、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、N−置換イミダゾールとケイ素・ハロゲンを含有する化合物とを溶媒に添加して得られる溶液を十分に攪拌しながら反応させる。
反応条件については、反応温度は好ましくは室温ないし160℃の範囲であるが、それぞれの溶媒の沸点により上限が異なる。また反応時間は、反応温度及び使用する溶媒等のその他の条件により異なり一概に定めることはできないが、好ましくは2〜50時間程度である。
また、ケイ素・ハロゲンを含有する化合物の使用量については、必ずしも限定する必要はないが、一般的には、N−置換イミダゾール1モルあたり1〜3モル、好ましくは1〜1.3モルの範囲のケイ素・ハロゲンを含有する化合物が用いられる。
反応溶液を一部取り出し、この1H NMR測定より、N−置換イミダゾールがなくなりイミダゾリウム塩が生成したことが確認される。反応溶液の減圧留去により、ケイ素を含有するイミダゾリウム塩が得られた。
磁性ナノ粒子固定化含窒素複素環カルベン−金(I)錯体を用いることにより、炭素−炭素多重結合への付加反応が進行することから、本磁性ナノ粒子固定化含窒素複素環カルベン−金(I)錯体は、付加反応用新規触媒として有用である。
本発明の磁性ナノ粒子固定化含窒素複素環カルベン−金(I)錯体をこのような付加反応用触媒として用いた反応の1例について、以下に説明する。
前記触媒として磁性ナノ粒子固定化含窒素複素環カルベン−金(I)錯体の存在下に、一般式(X)
Figure 0006708341
(式中、R3は、炭化水素基を示す。炭化水素基の場合、これらの炭化水素基にはアルコキシ基、水酸基やカルボキシル基等の置換基を有していてもよい。)
で表されるアルキンと、一般式(XI)
Figure 0006708341
(式中、R4は、炭化水素基を示す。炭化水素基の場合、これらの炭化水素基にはアルコキシ基、水酸基やカルボキシル基等の置換基を有していてもよい。)
で表されるアミンを反応させ、一般式(XII)
Figure 0006708341
(式中、R3及びR4は前記と同じ意味を示す)
及び一般式(XIII)
Figure 0006708341
(式中、R3及びR4は前記と同じ意味を示す)
で表されるイミンを製造することができる。この場合、アルキンによっては片方のみ生成する場合もある。
上記炭化水素基は特に限定されず、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。
この反応は、通常溶媒を用いないで行われるが、用いてもよい。溶媒を用いる場合、原料物質と反応しないジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、トルエン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド等が用いられる。
また反応は加熱するのが好ましく、通常60−120℃で行われる。反応中、反応液は攪拌するのがよい。また助触媒としてトリフルオロメタンスルホン酸等のプロトン酸を添加することにより、反応は加速される。
磁性ナノ粒子固定化含窒素複素環カルベン−金(I)錯体の使用量については、必ずしも限定する必要はないが、一般的には、アミンまたはアルキンのうち、使用量が少ない方の基質1モルあたり0.001〜0.2モル、好ましくは0.005〜0.05モルの範囲の磁性ナノ粒子固定化含窒素複素環カルベン−金(I)錯体が用いられる。
反応終了後、磁石を反応容器に近づけ磁性ナノ粒子固定化含窒素複素環カルベン−金(I)錯体を引き寄せ、デカンテーションにより反応溶液を取り出すことにより、磁性ナノ粒子固定化含窒素複素環カルベン−金(I)錯体触媒を回収できる。そして再度反応容器に反応基質等を添加することにより、触媒の再利用が可能である。また取り出した反応溶液を濃縮しカラムクロマトグラフィー等による分離精製により目的物質を得ることができる。
従来、含窒素複素環カルベン−金(I)錯体触媒の回収・再利用(リサイクル)には、濾過操作や分液操作等が必要であったが、本磁性ナノ粒子固定化含窒素複素環カルベン−金(I)錯体触媒を用いた場合、触媒を磁石に引き寄せ、反応溶液をデカンテーションするだけで回収でき、再度反応容器に反応基質等を添加することにより再利用が可能であり、容易にリサイクルが実現される点が本触媒の利点といえる。
このように、本発明の磁性ナノ粒子固定化含窒素複素環カルベン−金(I)錯体は、炭素−炭素多重結合への付加反応用新規触媒として有用であり、これを用いることにより効率的に炭素−炭素多重結合への付加反応を促進させることができる。
次に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例により何ら限定されるものではない。
なお、以下の実施例では磁性ナノ粒子として、マグネタイト(Fe34)を用いた。マグネタイトは、上述の非特許文献3に記載の方法に従い合成した。
また、磁性ナノ粒子に固定化するケイ素を含有する含窒素複素環カルベン−金(I)錯体は、上述の非特許文献9に記載された合成方法に準じて行った。
また、磁性ナノ粒子に対するケイ素を含有する含窒素複素環カルベン−金(I)錯体の固定化は、上述の非特許文献6に記載された有機基の固定化方法に準じて行った。
マグネタイト固定化含窒素複素環カルベン−金(I)錯体の合成例を、原料のケイ素を含有する含窒素複素環カルベン−金(I)錯体の調製も含め(参考例)以下に記載する。
[参考例1]
アルゴン雰囲気下、以下の構造式(XIV)
Figure 0006708341
で表されるケイ素・ハロゲンを含有する化合物(726.5mg)と以下の構造式(XV)
Figure 0006708341
で表されるN−置換イミダゾール(387.5mg)の脱水N,N−ジメチルホルムアミド溶液(1.5mL)を90℃で3時間攪拌した後、溶媒を真空留去し、以下の構造式(XVI)
Figure 0006708341
で表されるケイ素を含有するイミダゾリウム塩を得た。
次にアルゴン雰囲気下、調製したケイ素を含有するイミダゾリウム塩を1,2−ジクロロエタン(40mL)に溶解させ、酸化銀(I)(471.6mg)を加え、遮光し室温で18時間攪拌した後、クロロ(ジメチルスルフィド)金(I)(615.9mg)を加え、遮光し室温で4時間攪拌した。1,2−ジクロロエタンを用い反応液のセライト濾過により、銀塩を除去した。濾液の真空留去により、目的物を得た(淡紫色油状 1.0334g)。
このものの1H NMRと13C NMRの結果は次のとおりである。
1H NMR(400MHz;CDCl3)δ7.20(d,J=1.9Hz,1H),6.95(s,2H),6.87(d,J=1.9Hz,1H),4.29(t,J=7.1Hz,2H),3.84(q,J=7.0Hz,6H),2.32(s,3H),2.09−2.03(m,2H),2.00(s,6H),1.24(t,J=7.0Hz,9H),0.65(t,J=8.2Hz,2H).
13C NMR(100MHz;CDCl3)δ171.8,139.6,134.84,134.77,129.4,121.9,120.7,58.6,53.5,25.0,21.1,18.3,17.8,7.3.
これらの分析結果より、この生成物は以下の構造式(XVII)
Figure 0006708341
で表されるケイ素を含有する含窒素複素環カルベン−金(I)錯体と同定された。
[実施例1]
アルゴン雰囲気下、マグネタイト(3.3317g)と参考例1で調製した含窒素複素環カルベン−金(I)錯体(1.0334g)を脱気したエタノール(60mL)に加え、さらに超純水(424μL)を加え、1分間超音波をかけた後、メカニカルスターラーを用いて攪拌しながら18時間加熱還流した。反応終了後、磁石を近づけることにより、生成物を壁面に引き寄せ、反応溶液をデカンテーションし、さらに脱気したエタノールで8回洗浄した。その後40℃で真空乾燥し、目的物を得た(黒色粉末、3.0408g)。
このもののIR分析と元素分析の結果は次の通りである。
IR:3086,2916,1651,1558,1512,1458,1042,949,903,856cm-1
元素分析:C 2.87%、H 0.45%、N 0.34%、Cl 0.93%、Au 5.76%
これらの分析結果より、この生成物は以下の構造式(XVIII)で代表される、マグネタイトに有機基が固定化されたマグネタイト固定化含窒素複素環カルベン−金(I)錯体と同定された。なお、以下の構造式は、マグネタイトに対する有機基の固定化の主な形態である、マグネタイト中の鉄酸化物の表面の3個の酸素原子と有機基のケイ素が結合する形態で記載されているが、[0017]において述べたように、有機基の磁性ナノ粒子に対する結合形態はこれに限られるものではない。
Figure 0006708341
[実施例2]
アルゴン雰囲気下、実施例1で得られたマグネタイト固定化含窒素複素環カルベン−金(I)錯体(0.20mmol/g)299.8mg(アミンとしてのアニリンに対し2mol%)、アニリン278.6mg、エチニルベンゼン919.5mgと助触媒としてトリフルオロメタンスルホン酸9mg(アミンとしてのアニリンに対し2mol%)を加え、100℃にて24時間メカニカルスターラーを用いて攪拌し、反応させた。
反応終了後、磁石を反応容器に近づけデカンテーションした。さらに触媒を少量のエチニルベンゼンで3回洗浄し反応液と合わせ、この溶液に内部標準として4−t−ブチルトルエンを添加し、1H NMRより以下の構造式(XIX)
Figure 0006708341
で表されるイミンの生成を確認した(収率70.2%)。
[実施例3]
アルゴン雰囲気下、実施例1で得られたマグネタイト固定化含窒素複素環カルベン−金(I)錯体(0.20mmol/g)299.7mg(アミンとしての4−ブロモアニリンに対し2mol%)、4−ブロモアニリン516.2mg、4−t−ブチルエチニルベンゼン1.4229gと助触媒としてトリフルオロメタンスルホン酸9mg(アミンとしての4−ブロモアニリンに対し2mol%)を加え、100℃にて24時間メカニカルスターラーを用いて攪拌し、反応させた。
反応終了後、磁石を反応容器に近づけデカンテーションした。さらに触媒を少量の4−t−ブチルエチニルベンゼンで3回洗浄し反応液と合わせ、この溶液に内部標準として4−t−ブチルトルエンを添加し、1H NMRより以下の構造式(XX)
Figure 0006708341
で表されるイミンの生成を確認した(収率71.7%)。
[実施例4]
アルゴン雰囲気下、実施例1で得られたマグネタイト固定化含窒素複素環カルベン−金(I)錯体(0.20mmol/g)300.4mg(アミンとしての4−ブロモアニリンに対し2mol%)、4−ブロモアニリン515.8mg、オクチン992.4mgと助触媒としてトリフルオロメタンスルホン酸9mg(アミンとしての4−ブロモアニリンに対し2mol%)を加え、100℃にて24時間メカニカルスターラーを用いて攪拌し、反応させた。
反応終了後、磁石を反応容器に近づけデカンテーションした。さらに触媒を少量のオクチンで3回洗浄し反応液と合わせ、この溶液に内部標準として4−t−ブチルトルエンを添加し、1H NMRより以下の構造式(XXI)
Figure 0006708341
及び(XXII)
Figure 0006708341
で表されるイミンの生成を確認した(収率 XXI:56.5%、XXII:18.6%)。

Claims (7)

  1. 一般式(I)
    Figure 0006708341
    (式中、Rは炭素数が1〜4のアルキル基、Rは炭素数が1〜20の炭化水素基である。nは1〜30のいずれかの整数、Lはハロゲン化物イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ヘキサフルオロアンチモネートイオン、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)炭素酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、有機カルボン酸イオン、硝酸イオン、硫酸水素イオン、テトラクロロ鉄(III)酸イオン、テトラブロモ鉄(III)酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、チオシアン酸イオン、シアン化物イオン、アジ化物イオン、又はビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミデートイオンである。)
    で表される含窒素複素環カルベン−金(I)錯体が、当該一般式中のSiに結合する3つのR−O−基の少なくとも1つが磁性ナノ粒子中の酸素原子と置き換わることにより、当該磁性ナノ粒子に固定化された構造を含有する、磁性ナノ粒子固定化含窒素複素環カルベン−金(I)錯体からなる炭素−炭素多重結合のヒドロアミノ化反応用触媒
  2. 磁性ナノ粒子が、M(II)Fe(式中、M(II)は、Fe2+、Co2+、Ni2+、Mn2+、Zn2+、Mg2+またはCu2+であり、単独でも複数が組み合わされて含まれてもよい。)で表される組成のフェライトを主成分とすることを特徴とする、請求項1に記載の磁性ナノ粒子固定化含窒素複素環カルベン−金(I)錯体からなる炭素−炭素多重結合のヒドロアミノ化反応用触媒
  3. 下記の一般式(II)、
    Figure 0006708341
    下記の一般式(III)
    Figure 0006708341
    及び/又は、下記の一般式(IV)
    Figure 0006708341
    (これらの式中、M(II)は、Fe2+、Co2+、Ni2+、Mn2+、Zn2+、Mg2+またはCu2+であり、単独でも複数が組み合わされて含まれてもよい。Rは炭素数が1〜4のアルキル基、Rは炭素数が1〜20の炭化水素基である。nは1〜30のいずれかの整数、Lはハロゲン化物イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ヘキサフルオロアンチモネートイオン、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)炭素酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、有機カルボン酸イオン、硝酸イオン、硫酸水素イオン、テトラクロロ鉄(III)酸イオン、テトラブロモ鉄(III)酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、チオシアン酸イオン、シアン化物イオン、アジ化物イオン、又はビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミデートイオンである。)
    で表される磁性ナノ粒子固定化含窒素複素環カルベン−金(I)錯体構造を含有する、請求項2に記載の磁性ナノ粒子固定化含窒素複素環カルベン−金(I)錯体からなる炭素−炭素多重結合のヒドロアミノ化反応用触媒
  4. 一般式(V)
    Figure 0006708341
    (式中、Rは炭素数が1〜4のアルキル基、Rは炭素数が1〜20の炭化水素基である。nは1〜30のいずれかの整数、Lはハロゲン化物イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ヘキサフルオロアンチモネートイオン、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)炭素酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、有機カルボン酸イオン、硝酸イオン、硫酸水素イオン、テトラクロロ鉄(III)酸イオン、テトラブロモ鉄(III)酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、チオシアン酸イオン、シアン化物イオン、アジ化物イオン、又はビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミデートイオンである。)
    で表される構造を有する含窒素複素環カルベン−金(I)錯体と、磁性ナノ粒子とを、溶媒中で反応させることを特徴とする、請求項1に記載の磁性ナノ粒子固定化含窒素複素環カルベン−金(I)錯体からなる炭素−炭素多重結合のヒドロアミノ化反応用触媒の製造方法。
  5. 磁性ナノ粒子が、M(II)Fe(式中、M(II)は、Fe2+、Co2+、Ni2+、Mn2+、Zn2+、Mg2+またはCu2+であり、単独でも複数が組み合わされて含まれてもよい。)で表される組成のフェライトを主成分とすることを特徴とする、請求項4に記載の、磁性ナノ粒子固定化含窒素複素環カルベン−金(I)錯体からなる炭素−炭素多重結合のヒドロアミノ化反応用触媒の製造方法。
  6. 下記の一般式(II)、
    Figure 0006708341
    下記の一般式(III)
    Figure 0006708341
    及び/又は、下記の一般式(IV)
    Figure 0006708341
    (これらの式中、M(II)は、Fe2+、Co2+、Ni2+、Mn2+、Zn2+、Mg2+またはCu2+であり、単独でも複数が組み合わされて含まれてもよい。Rは炭素数が1〜4のアルキル基、Rは炭素数が1〜20の炭化水素基である。nは1〜30のいずれかの整数、Lはハロゲン化物イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ヘキサフルオロアンチモネートイオン、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)炭素酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、有機カルボン酸イオン、硝酸イオン、硫酸水素イオン、テトラクロロ鉄(III)酸イオン、テトラブロモ鉄(III)酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、チオシアン酸イオン、シアン化物イオン、アジ化物イオン、又はビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミデートイオンである。)
    で表される磁性ナノ粒子固定化含窒素複素環カルベン−金(I)錯体構造を含有する、請求項4に記載の、磁性ナノ粒子固定化含窒素複素環カルベン−金(I)錯体からなる炭素−炭素多重結合のヒドロアミノ化反応用触媒の製造方法。
  7. 請求項1ないし3のいずれかに記載の炭素−炭素多重結合のヒドロアミノ化反応用触媒と、助触媒としてトリフルオロメタンスルホン酸を用いる、炭素−炭素多重結合をヒドロアミノ化する触媒反応方法
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