JP7497014B2 - アシロキシシランの製造方法 - Google Patents
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Description
アシロキシシラン類の製造方法として、クロロシランを原料とする方法が知られている。具体的には、(A)クロロシランとカルボン酸を直接あるいは塩基存在下で反応させる方法(特許文献1、2)、(B)クロロシランとカルボン酸金属塩を反応させる方法(特許文献3)、(C)クロロシランとカルボン酸無水物を反応させる方法(特許文献4)等が検討されている。
一方、原料としてシラノールを用いる方法として、(D)トリエチルシラノールと無水酢酸を、無触媒の条件下、スチームバス上で12時間反応させた後、分別蒸留を行ってアセトキシトリエチルシランを得た反応例(非特許文献1)が報告されている。
一方、シラノールを原料とする方法では、腐食性の塩化水素の発生等の問題はないものの、高温で長時間反応させる必要があるなど、反応の効率が低い(方法D)、という問題があった。
<1>
Si-OH結合を有するシラノールに、触媒存在下で、カルボン酸無水物を反応させる反応工程を含む、Si-OCO結合(OCOは、オキシカルボニル基のO-C(=O)を示す。)を有するアシロキシシランを製造する方法であって、
前記触媒が、次の(1)および(2)より選ばれる酸性触媒であるアシロキシシランの製造方法。
(1)周期表で第3族~第15族元素から選ばれる元素の過塩素酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、ビス(トリフルオロメタンスルホニルイミド)塩、ヘキサフルオロリン酸塩、塩化物、もしくは臭化物;無機酸;または有機酸。
(2)無機系または有機系の固体酸化合物。
<2>
前記(1)の酸性触媒が、第8族元素を含む化合物である、<1>に記載の製造方法。<3>
前記第8族元素が、鉄およびルテニウムから選ばれる元素である、<2>に記載の製造方法。
<4>
前記(2)の酸性触媒が、ゼオライト、モンモリロナイト、およびスルホ基含有ポリマーから選ばれる化合物である、<1>に記載の製造方法。
<5>
前記Si-OH結合を有するシラノールが、下記一般式(I)で表されるシラノールである、<1>~<4>の何れかに記載の製造方法。
R1 aR2 bR3 cSi(OH)4-(a+b+c) (I)
(式中、a、b、およびcは、それぞれ独立に0~3の整数であり;a+b+cは、0~3の整数であり;R1、R2、およびR3は、それぞれ独立に炭素数1~24の炭化水素基または水素原子であり、前記炭素数1~24の炭化水素基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよい。)
<6>
前記カルボン酸無水物が、下記一般式(II)で表されるカルボン酸無水物である、<1>~<5>の何れかに記載の製造方法。
(R4CO)2O (II)
(式中、R4は、炭素数1~24の炭化水素基であり、前記炭素数1~24の炭化水素基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよい。)
<7>
前記Si-OH結合を有するシラノールが、下記一般式(I’)で表されるシランモノオールであり、前記カルボン酸無水物が、下記一般式(II)で表されるカルボン酸無水物であり、生成するアシロキシシランが、下記一般式(IIIA)で表されるアシロキシシランである、<1>~<4>の何れかに記載の製造方法。
R1R2R3Si(OH) (I’)
(式中、R1、R2、およびR3は、それぞれ独立に炭素数1~24の炭化水素基または水素原子であり、前記炭素数1~24の炭化水素基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよい。)
(R4CO)2O (II)
(式中、R4は、炭素数1~24の炭化水素基であり、前記炭素数1~24の炭化水素基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよい。)
R1R2R3Si(OCOR4) (IIIA)
(式中、R1、R2、R3、およびR4は、前記と同義である。)
<8>
前記Si-OH結合を有するシラノールが、下記一般式(I’’)で表されるシランジオールであり、前記カルボン酸無水物が、下記一般式(II)で表されるカルボン酸無水物であり、生成するアシロキシシランが、下記一般式(IIIB)で表されるアシロキシシランである、<1>~<4>の何れかに記載の製造方法。
R1R2Si(OH)2 (I’’)
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立に炭素数1~24の炭化水素基または水素原子であり、前記炭素数1~24の炭化水素基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよい。)
(R4CO)2O (II)
(式中、R4は、炭素数1~24の炭化水素基であり、前記炭素数1~24の炭化水素基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよい。)
(R4CO)O(SiR1R2O)m(COR4) (IIIB)
(式中、R1、R2、およびR4は、前記と同義であり;mは、1~20の整数である。)
<9>
前記反応がマイクロ波照射下で行われる、<1>~<8>の何れかに記載の製造方法。<10>
<1>~<9>の何れかに記載の製造方法によりアシロキシシランを製造するアシロキシシラン製造工程、および
前記アシロキシシランに下記一般式(IV)で表されるアルコールを反応させて、前記アシロキシシランのアシロキシ基をアルコキシ基に変換する修飾工程を含む、アルコキシシランの製造方法。
R5OH (IV)
(式中、R5は、炭素数1~6のアルキル基である。)
(1)原料および触媒が入手し易く、取り扱いが容易で安全性も高い。
(2)腐食性の塩化水素が副生しない。
(3)温和な反応条件下、短時間で反応が終了する。
(4)固体酸触媒を使用する反応系では、触媒の分離、回収等も容易である。
(5)マイクロ波照射により、反応を促進することができる。
本発明の製造方法は、製造プロセスの低コスト化、高効率化を可能にするもので、従来技術に比べて経済性、環境負荷等の面で大きな利点を有すると考える。
本発明の一実施態様に係るアシロキシシランの製造方法は、シラノールを、触媒の存在下で、カルボン酸無水物と反応させる反応工程を含むことを特徴とする。
R1 aR2 bR3 cSi(OH)4-(a+b+c) (I)
で表される。
炭化水素基の具体例としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基等が挙げられる。
反応に関与しない基で置換されていてもよいアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基、2-メトキシエチル基、3-エトキシプロピル基、2-メトキシカルボニルエチル基、2-ジメチルアミノエチル基、2-シアノエチル基、トリフルオロメチル基、3-クロロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、1H,1H,2H,2H-トリデカフルオロオクチル基、1H,1H,2H,2H-ヘプタデカフルオロデシル基等が挙げられる。
アリール基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよい。反応に関与しない基の具体例としては、上記のアルキル基の場合に示したもの等を挙げることができる。また、その他の反応に関与しない基として、環上の2つの炭素原子を結合させる2価の基であるオキシエチレン基、オキシエチレンオキシ基等が挙げられる。それらの基等を有するアリール基の具体例としては、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ブトキシフェニル基、オクトキシフェニル基、メチル(メトキシ)フェニル基、フルオロ(メチル)フェニル基、クロロ(メトキシ)フェニル基、ブロモ(メトキシ)フェニル基、2,3-ジヒドロベンゾフラニル基、1,4-ベンゾジオキサニル基等が挙げられる。
反応に関与しない基の具体例としては、上記のアルキル基の場合について示したもの等を挙げることができる。
反応に関与しない基で置換されていてもよいアラルキル基の具体例としては、ベンジル基、フェネチル基、2-ナフチルメチル基、9-アントリルメチル基、(4-クロロフェニル)メチル基、1-(4-メトキシフェニル)エチル基等が挙げられる。
反応に関与しない基の具体例としては、上記のアルキル基の場合について示したもの等の他、上記に示したアリール基等を挙げることができる。
反応に関与しない基で置換されていてもよいアルケニル基の具体例としては、ビニル基、2-プロペニル基、3-ブテニル基、5-ヘキセニル基、9-デセニル基、2-フェニルエテニル基、2-(メトキシフェニル)エテニル基、2-ナフチルエテニル基、2-アントリルエテニル基等が挙げられる。
(R4CO)2O (II)
それら炭化水素基の具体例としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基等が挙げられる。また、反応に関与しない基の具体例としては、上記の一般式(I)のR1、R2、またはR3の説明において示したもの等を挙げることができる。
炭化水素基中の炭素数に関しては、炭化水素基がアルキル基の場合には、好ましくは1~20、より好ましくは1~18、さらに好ましくは1~12、特に好ましくは1~6であり;アリール基の場合には、好ましくは4~20、より好ましくは4~18、さらに好ましくは4~10であり;アラルキル基の場合には、好ましくは5~21、より好ましくは5~19であり;アルケニル基の場合には、好ましくは2~20、より好ましくは2~18である。
それらの基の具体例としては、上記の一般式(I)のR1、R2、またはR3の説明において示したもの等を挙げることができる。
る。
R1R2R3Si(OH) (I’)
R1R2R3Si(OCOR4) (IIIA)
一般式(I’)中、R1、R2、およびR3は、一般式(I)中のR1、R2、およびR3と同義である。すなわち、一般式(I’)で表されるシランモノオールは、一般式(I)で表されるシラノールにおいて、a=b=c=1の態様である。
一般式(IIIA)中、R1、R2、R3、およびR4は、前記と同義である。
R1R2Si(OH)2 (I’’)
(R4CO)O(SiR1R2O)m(COR4) (IIIB)
一般式(I’’)中、R1およびR2は、一般式(I)中のR1およびR2と同義である。すなわち、一般式(I’’)で表されるシランジオールは、一般式(I)で表されるシラノールにおいて、a=b=1かつc=0の態様である。
一般式(IIIB)中、R1、R2、およびR4は、前記と同義である。
また、mは1~20の整数であり、好ましくは1~18、より好ましくは1~16、さらに好ましくは1~12、特に好ましくは1~6である。
に対するカルボン酸無水物による求核的置換反応を伴う反応工程と考えられる。
したがって、前記一般式(II)のカルボン酸無水物を用いた場合、本実施態様における反応はカルボン酸の脱離を伴う反応となり、その反応工程は、たとえば、前記一般式(I)で表されるシラノールが、前記一般式(I’)で表されるシランモノオールである場合の反応では、下記スキーム1に示すように、カルボン酸の脱離を伴って、前記一般式(IIIA)のアシロキシシランが生成する。
(1)周期表で第3族~第15族元素から選ばれる元素の過塩素酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、ビス(トリフルオロメタンスルホニルイミド)塩、ヘキサフルオロリン酸塩、塩化物、もしくは臭化物;無機酸;または有機酸。
(2)無機系または有機系の固体酸化合物
第3族~第15族元素の具体例としては、スカンジウム、イットリウム、セリウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、ルテニウム、オスニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、亜鉛、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ケイ素、スズ、リン、アンチモン、ビスマス等を挙げることができる。
それらの元素の中では、触媒活性等の観点から、第3族、第8族、または第12族~第14族の元素が好ましく、第8族、第13族、または第14族の元素がより好ましく、第8族の元素がさらに好ましい。
また、第8族の元素の中では、鉄またはルテニウムが好ましい。
それらの触媒の具体例としては、過塩素酸鉄(III)、過塩素酸アルミニウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸鉄
(III)、トリフルオロメタンスルホン酸アルミニウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸ガリウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸インジウム(III)、トリフルオロメタンスルホン酸スズ(II)、トリフルオロメタンスルホン酸ビスマス(III)、ビス
(トリフルオロメタンスルホニルイミド)スカンジウム(III)、ビス(トリフルオロメ
タンスルホニルイミド)鉄(III)、ビス(トリフルオロメタンスルホニルイミド)イン
ジウム(III)、塩化スカンジウム(III)、塩化イットリウム(III)、塩化チタン(IIIまたはIV)、ヘキサフルオロリン酸鉄(III)、ヘキサフルオロリン酸アルミニウム(III)、塩化鉄(III)、臭化鉄(III)、塩化ルテニウム(III)、塩化亜鉛(II)、フッ化ホ
ウ素(III)、塩化ホウ素(III)、塩化アルミニウム(III)、臭化アルミニウム(III)、塩化ガリウム(III)、塩化インジウム(III)、塩化スズ(IV)、塩化ビスマス(III)
等が挙げられる。それらの化合物は、水和物の形態で使用してもよい。
それらの塩の中では、触媒活性等の観点から、過塩素酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、ビス(トリフルオロメタンスルホニルイミド)塩、塩化物、または臭化物が好ましく、過塩素酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、ビス(トリフルオロメタンスルホニルイミド)塩、または塩化物がより好ましい。
また、塩化物または臭化物に、過塩素酸銀等を添加し、塩化物または臭化物を過塩素酸塩等に変換して使用することも、好ましい方法である。
無機酸の具体例としては、硝酸、塩酸、硫酸等が挙げられる。
一方、有機酸の具体例としては、スルホン酸、スルホニルイミド、カルボン酸等のプロトン性水素原子を有する化合物を挙げることができる。それらの具体例としては、トリフルオロメタンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸、メタンスルホン酸、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリフルオロ酢酸、酢酸等が挙げられる。
また、有機酸としては、トリ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素のようなルイス酸性化合物も使用できる。
無機系と有機系の酸は、それらを複数組み合わせて使用することもできる。
無機系の固体酸触媒の具体例としては、不溶性の金属塩、金属酸化物等の固体無機物等が挙げられ、より具体的に示せば、プロトン性水素原子あるいは周期表で第3族~第15族元素を有する、ゼオライト、メソポーラスシリカ、モンモリロナイトなどのほか、シリカゲル、ヘテロポリ酸、カーボン系素材等を担体とする無機系固体酸が挙げられる。
それらの固体酸中の第3族~第15族元素の種類に制限はなく、第3族~第15族の元素の具体例としては、前記で示したもの等が挙げられる。それらの中では、第3族、第8族、または第12族~第14族元素が好ましく、第8族、第13族、または第14族の元素がより好ましい。また、それらの元素の中では、鉄、アルミニウム、インジウム、またはスズが好ましく、鉄、アルミニウム、またはスズがより好ましい。
用される。
無機系固体酸の規則的細孔および/または層状構造の種類にとくに制限はないが、反応する分子または生成する分子の拡散のしやすさを考慮すると、細孔構造を有する固体酸触媒では、細孔径は、通常0.2~20nm、好ましくは、0.3~15nm、より好ましくは0.3~10nmである。また、層状構造を有する固体酸触媒では、層間距離は、通常0.2~20nm、好ましくは、0.3~15nm、より好ましくは0.3~10nmである。
さらに、ゼオライトのシリカ/アルミナ比(物質量比)については、反応条件に応じて各種の比を選択できるが、通常は3~1000であり、好ましくは3~800、より好ましくは5~600、さらに好ましくは5~400である。
さらに、シリカ等の無機物にナフィオン等の有機系固体酸を担持した触媒(たとえば、ナフィオンSAC-13等)を用いることもでき、無機系固体酸と有機系固体酸を複数組み合わせて使用することもできる。
反応温度は、通常は-20℃以上、好ましくは-10~300℃、より好ましくは、-10~200℃である。また、カルボン酸無水物の反応性を制御するために、室温で反応を行う場合には、室温の温度範囲としては、通常は0~40℃、好ましくは5~40℃、より好ましくは10~35℃である。
さらに、反応圧力は、通常は0.1~100気圧で、好ましくは0.1~50気圧、より好ましくは0.1~10気圧である。
反応時間は、原料の量、触媒量、反応温度、反応装置の形態等に依存するが、生産性および生産効率を考慮すると、通常は0.1~1200分、好ましくは0.1~600分、より好ましくは0.1~300分程度、さらに好ましくは5~200分、特に好ましくは5~120分である。
任意に決めることができる。マイクロ波の周波数としては、通常、0.3~30GHzである。その中で好ましいのは、産業、科学、または医療分野で使用するために割り当てられたIMS周波数帯で、さらにその中でも、2.45GHz帯、5.8GHz帯等がより好ましい。
また、生成したアシロキシシランの精製も、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の有機化学上通常用いられる手段により容易に達せられる。
アルコールとしては、たとえば、下記一般式(IV)で表されるアルコールが挙げられ、当該アルコールとの反応により、アシロキシ基は下記一般式(V)で表されるアルコキシ基に変換される。
R5OH (IV)
-OR5 (V)
は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リン酸カリウム等を挙げることができる。
修飾工程では、反応工程で生成するアシロキシシランを単離精製する必要はなく、反応工程と連続して、ワンポットの操作で行うこともできる。
たとえば、表面処理剤に関しては、ガラス等の固体材料に対して、室温で数分程度の温和な条件下で迅速に表面処理を行うことが可能で、使用するアシロキシシラン類の種類に応じて、固体材料表面の親水性または疎水性を容易に制御することができる。
また、本実施態様に係る製造方法により製造されるアシロキシシランは、1種単独で表面処理剤として使用してもよく、2種以上を組み合わせて表面処理剤として使用してもよい。
さらに、本実施態様に係るアシロキシシランの製造方法では、さまざまなアシロキシシランを温和な条件下で簡便に製造できるため、アシロキシシランを含む反応液を、精製せずにそのまま表面処理剤として使用することができる点も、本実施態様に係る製造方法の特長である。
アシロキシシランを表面処理剤として用いる場合は、必要に応じて、トルエン、ヘキサン等のアシロキシシランと反応しない有機溶剤で希釈して用いることもできる。
アシロキシシランを含有する表面処理剤を用いた固体材料の表面処理方法としては、ディップ法(浸漬法)、キャスト法、スピンコート法、スプレーコート法等、従来公知の各種の方法を挙げることができる。
なお、以下の実施例で使用した主な分析装置等は、以下の通りである。
・核磁気共鳴スペクトル分析(以下、NMRと称する場合がある。):ブルカー製 AVANCE III HD 600MHz(クライオプローブ装着)
・ガスクロマトグラフ分析(以下、GCと称する場合がある。):島津製作所製 GC-2014
・ガスクロマトグラフ質量分析(以下、GC-MSと称する場合がある。):島津製作所製 GCMS-QP2010Plus
・マイクロ波照射反応:バイオタージ社製 Initiator8
トリメチルシラノール(Me3SiOH) 1mmol、無水酢酸(Ac2O) 2mmol、過塩素酸鉄(III)6水和物(Fe(ClO4)3・6H2O) 0.005m
molを反応容器に入れ、約25℃(室温)で、10分攪拌した。生成物を、GC、GC-MS、およびNMRで分析し、生成物の収率をNMRで測定した結果、(アセトキシ)
トリメチルシラン(Me3SiOAc)が、≧99%の収率で生成したことがわかった(表1-1参照)。
反応条件(原料、触媒、温度、時間等)を変えて、実施例1と同様に反応および分析を行い、生成物の収率をNMRで測定した結果を表1-1~表1-3に示す。
1) Me3SiOH:トリメチルシラノール
Et3SiOH:トリエチルシラノール
Ph2Si(OH)2:ジフェニルシランジオール
2) Ac2O:無水酢酸、
(EtCO)2O:プロピオン酸無水物
(PhCO)2O:安息香酸無水物
3) Fe(ClO4)3・6H2O:過塩素酸鉄(III)6水和物
FeCl3:塩化鉄(III)
FeBr3:臭化鉄(III)
RuCl3・H2O:塩化ルテニウム(III)水和物
CBV780:USY系ゼオライト(ゼオリスト社製)
Sn4+-mont:Sn4+イオン含有モンモリロナイト(水中で、Na+イオン含有モンモリロナ
イト(クニミネ工業社製クニピアF)に、SnCl4を添加し、陽イオンを交換させて調製したもの)
Amberlyst 15:H+型陽イオン交換樹脂(ダウ・ケミカル社製)
4) 単位は、触媒が均一系触媒(Fe(ClO4)3・6H2O、FeCl3、FeBr3、RuCl3・H2O)の場合はmmol、触媒が不均一系触媒(固体酸触媒、CBV780、Sn4+-mont、Amberlyst 15)の場合はmg。
5) DCB:1,2-ジクロロベンゼン。
6) 25℃は、室温での反応を示す。室温より高い温度での反応では、オイルバス(理工科
学社製MH-5D)を使用した。
7) Me3SiOAc:アセトキシトリメチルシラン
Me3SiOCOEt:トリメチル(プロピオニルオキシ)シラン
Et3SiOAc:アセトキシトリエチルシラン
Me3SiOCOPh:(ベンゾイルオキシ)トリメチルシラン
AcO(SiPh2O)mAc (m=1):ジアセトキシジフェニルシラン
AcO(SiPh2O)mAc (m=2):1,3-ジアセトキシ-1,1,3,3-テトラフェニルジシロキサン
AcO(SiPh2O)mAc (m=3):1,5-ジアセトキシ-1,1,3,3,5,5-ヘキサフェニルトリシロキサン
AcO(SiPh2O)mAc (m=4):1,7-ジアセトキシ-1,1,3,3,5,5,7,7-オクタフェニルテトラシロキサン
8) NMRによる収率(シラノールに対するアシロキシシラン生成物の収率)
9) マイクロ波照射装置(バイオタージ社製Initiator8)を使用した
10) カルボン酸無水物に対するシロキサン生成物の収率
11) 2個のアセトキシ基を有する化合物(単量体(m=1)、2量体(m=2)、3量体(m=3)、および4量体(m=4))の混合物。括弧内は、単量体~4量体の化合物の比を示す。また、
収率は、それらの合計収率を示す。
実施例25で得られた、AcO(SiPh2O)mAc(m=1~4、単量体~4量体の化合物の比は、38:51:8:3) 0.12mmol(SiPh2O当たりのモル数)を含む反応液 0.08mLを、重アセトニトリル 0.4mLに溶解し、メタノール 1.2mmolおよびトリエチルアミン 3.6mmolを添加して、室温で約2時間放置した。生成物を、GC、GC-MS、およびNMRで分析し、生成物の収率をNMRで測定した結果、MeO(SiPh2O)mMe(m=1~4、単量体~4量体の化合物の比は、反応前とほぼ同じ)が、≧99%の収率で生成したことがわかった。
1) 各化合物の名称は、表1-1~表1-3の脚注7および以下に記載の通りである。
MeO(SiPh2O)mMe(m=1):ジメトキシジフェニルシラン
MeO(SiPh2O)mMe(m=2):1,3-ジメトキシ-1,1,3,3-テトラフェニルジシロキサン
MeO(SiPh2O)mMe(m=3):1,5-ジメトキシ-1,1,3,3,5,5-ヘキサフェニルトリシロキサン
MeO(SiPh2O)mMe(m=4):1,7-ジメトキシ-1,1,3,3,5,5,7,7-オクタフェニルテトラシロ
キサン
2) 29Si NMRの化学シフト値。NMR溶媒として、C6D6を使用。緩和試薬Cr(acac)3(クロム(III)アセチルアセトナート)を添加して測定。
3) GC-MS:ガスクロマトグラフ質量分析計、EI法:電子衝撃イオン化法(70eV)。
4) NMR溶媒として、CDCl3を使用した。
たとえば、トリメチルシラノール(Me3SiOH)と無水酢酸(Ac2O)の反応では、触媒が存在しない場合、比較例1または2に示すように、25℃で160分または80℃で60分の条件では、アセトキシトリメチルシラン(Me3SiOAc)収率は、それぞれ、0%または1%であり、アシロキシシランはほとんど得られなかった。
一方、触媒を用いる本発明の方法では、実施例1に示すように、触媒量(0.5mol%)のFe(ClO4)3・6H2Oの存在下、25℃で10分の条件で、Me3SiOAcを99%以上の高収率で得ることができた。
これらの結果は、本発明の製造方法により、アシロキシシランを、室温でも短時間で効率よく製造できることを示している。
たとえば、オイルバス加熱装置を用いて反応を行った実施例18では、モル比1:1トリメチルシラノール(Me3SiOH)と安息香酸無水物((PhCO)2O)とを、安息香酸無水物に対して0.5mol%のFe(ClO4)3・6H2Oの存在下で、120℃10分間反応させることで、70%の収率で(ベンゾイルオキシ)トリメチルシラン(Me3SiOCOPh)が得られた。また、トリメチルシラノール(Me3SiOH)と安息香酸無水物((PhCO)2O)とのモル比を1:0.8とし、触媒量を安息香酸無水物に対して0.6mol%とした以外は実施例18と同様に反応を行った実施例20では、72%の収率で(ベンゾイルオキシ)トリメチルシラン(Me3SiOCOPh)が得られた。
一方、実施例19および実施例21において、オイルバス加熱装置の代わりにマイクロ波照射装置を用いた以外は、それぞれ実施例18および実施例20と同じ条件で反応を行ったところ、Me3SiOCOPhの収率は、それぞれ、74%および77%であった。
これらの結果は、本発明の製造方法が、オイルバス加熱等の通常加熱を用いる方法でも効率よく行うことができるが、マイクロ波加熱を用いることによりさらに効率よく行うことができることを示している。
Claims (10)
- Si-OH結合を有するシラノールに、触媒存在下で、カルボン酸無水物を反応させる反応工程を含む、Si-OCO結合(OCOは、オキシカルボニル基のO-C(=O)を示す。)を有するアシロキシシランを製造する方法であって、
前記触媒が、次の(1)および(2)より選ばれる酸性触媒であるアシロキシシランの製造方法。
(1)周期表で第3族~第15族元素から選ばれる元素の過塩素酸塩、ビス(トリフルオロメタンスルホニルイミド)塩、ヘキサフルオロリン酸塩、または臭化物。
(2)ゼオライト。 - 前記(1)の酸性触媒が、第8族元素を含む化合物である、請求項1に記載の製造方法。
- 前記第8族元素が、鉄およびルテニウムから選ばれる元素である、請求項2に記載の製造方法。
- 前記Si-OH結合を有するシラノールが、下記一般式(I)で表されるシラノールである、請求項1~3の何れか1項に記載の製造方法。
R1 aR2 bR3 cSi(OH)4-(a+b+c) (I)
(式中、a、b、およびcは、それぞれ独立に0~3の整数であり;a+b+cは、0~3の整数であり;R1、R2、およびR3は、それぞれ独立に炭素数1~24の炭化水素基または水素原子であり、前記炭素数1~24の炭化水素基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよい。) - 前記カルボン酸無水物が、下記一般式(II)で表されるカルボン酸無水物である、請求項1~4の何れか1項に記載の製造方法。
(R4CO)2O (II)
(式中、R4は、炭素数1~24の炭化水素基であり、前記炭素数1~24の炭化水素基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されてい
てもよい。) - 前記Si-OH結合を有するシラノールが、下記一般式(I’)で表されるシランモノオールであり、前記カルボン酸無水物が、下記一般式(II)で表されるカルボン酸無水物であり、生成するアシロキシシランが、下記一般式(IIIA)で表されるアシロキシシランである、請求項1~3の何れか1項に記載の製造方法。
R1R2R3Si(OH) (I’)
(式中、R1、R2、およびR3は、それぞれ独立に炭素数1~24の炭化水素基または水素原子であり、前記炭素数1~24の炭化水素基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよい。)
(R4CO)2O (II)
(式中、R4は、炭素数1~24の炭化水素基であり、前記炭素数1~24の炭化水素基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよい。)
R1R2R3Si(OCOR4) (IIIA)
(式中、R1、R2、R3、およびR4は、前記と同義である。) - 前記Si-OH結合を有するシラノールが、下記一般式(I’’)で表されるシランジオールであり、前記カルボン酸無水物が、下記一般式(II)で表されるカルボン酸無水物であり、生成するアシロキシシランが、下記一般式(IIIB)で表されるアシロキシシランである、請求項1~3の何れか1項に記載の製造方法。
R1R2Si(OH)2 (I’’)
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立に炭素数1~24の炭化水素基または水素原子であり、前記炭素数1~24の炭化水素基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよい。)
(R4CO)2O (II)
(式中、R4は、炭素数1~24の炭化水素基であり、前記炭素数1~24の炭化水素基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部は、反応に関与しない基で置換されていてもよい。)
(R4CO)O(SiR1R2O)m(COR4) (IIIB)
(式中、R1、R2、およびR4は、前記と同義であり;mは、1~20の整数である。) - 前記反応がマイクロ波照射下で行われる、請求項1~7の何れか1項に記載の製造方法。
- 請求項1~8の何れか1項に記載の製造方法によりアシロキシシランを製造するアシロキシシラン製造工程、および
前記アシロキシシランに下記一般式(IV)で表されるアルコールを反応させて、前記アシロキシシランのアシロキシ基をアルコキシ基に変換する修飾工程を含む、アルコキシシランの製造方法。
R5OH (IV)
(式中、R5は、炭素数1~6のアルキル基である。) - Si-OH結合を有するシラノールに、触媒存在下で、カルボン酸無水物を反応させる反応工程を含む、Si-OCO結合(OCOは、オキシカルボニル基のO-C(=O)を示す。)を有するアシロキシシランを製造するアシロキシシラン製造工程、および
前記アシロキシシランに下記一般式(IV)で表されるアルコールを反応させて、前記アシロキシシランのアシロキシ基をアルコキシ基に変換する修飾工程を含み、
前記アシロキシシラン製造工程における前記触媒が、次の(1)および(2)より選ば
れる酸性触媒である、アルコキシシランの製造方法。
R 5 OH (IV)
(式中、R 5 は、炭素数1~6のアルキル基である。)
(1)周期表で第3族~第15族元素から選ばれる元素の過塩素酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、ビス(トリフルオロメタンスルホニルイミド)塩、ヘキサフルオロリン酸塩、塩化物、もしくは臭化物;無機酸;または有機酸。
(2)無機系または有機系の固体酸化合物。
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