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JP7502267B2 - ケイ素-ケイ素結合を有する材料を含む研磨対象物の研磨方法 - Google Patents
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JP7502267B2 - ケイ素-ケイ素結合を有する材料を含む研磨対象物の研磨方法 - Google Patents

ケイ素-ケイ素結合を有する材料を含む研磨対象物の研磨方法 Download PDF

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Description

本発明は、ケイ素-ケイ素結合を有する材料を含む研磨対象物の研磨方法に関する。
シリコンウェーハ等のケイ素-ケイ素結合を有する材料を含む研磨対象物は、半導体分野等に幅広く使用されている。近年、集積回路の高度集積化などに伴い半導体装置の微細化が進み、ケイ素-ケイ素結合を有する材料を含む研磨対象物についてもより表面品質への要求レベルがより高まっており、表面品質の向上を目的とした研磨用組成物や研磨方法に関する技術が種々提案されている。
かような技術として、特開2015-124231号公報には、砥粒と、特定の物性を有するヒドロキシエチルセルロースと、水とを含む研磨用組成物によって、研磨対象物であるウェーハの濡れ性を高めるとともに、表面欠陥を低減しうることが開示されている。
特開2015-124231号公報に係る技術は、研磨用組成物に対してヒドロキシエチルセルロース等の濡れ剤として機能する水溶性高分子を添加した際に生じる、欠陥数やヘイズの増加等の表面品質の低下を抑制するものである。
しかしながら、特開2015-124231号公報に係る技術では、近年の要求を満たす高いレベルの表面品質の実現については、特に欠陥数の低減の観点から効果が十分ではないという問題がある。
そこで本発明は、ケイ素-ケイ素結合を有する材料を含む研磨対象物の研磨方法において、研磨後の当該研磨対象物における、欠陥数およびヘイズの低減を高いレベルで両立しうる手段を提供することを目的とする。
上記課題は、以下の手段によって解決されうる;
ケイ素-ケイ素結合を有する材料を含む研磨対象物の研磨方法であって、
仕上げ研磨工程Pを有し、
前記仕上げ研磨工程Pは、複数の研磨段を有し、
前記複数の研磨段は同一の研磨定盤において連続して行われ、
前記複数の研磨段における最後の研磨段は研磨用組成物Sffを用いて研磨する研磨段Pffであり、
前記複数の研磨段における前記研磨段Pffより前に設けられる研磨段は研磨用組成物Sfpを用いて研磨する研磨段Pfpであり、
前記研磨用組成物Sffは、下記条件(A)および下記条件(B)の少なくとも一方の条件を満たす、研磨方法:
条件(A):前記研磨用組成物Sffの後述する標準試験1で得られるヘイズパラメータの値は、前記研磨用組成物Sfpの標準試験1で得られるヘイズパラメータの値よりも小さい、
条件(B):前記研磨用組成物Sffは、砥粒Affと、塩基性化合物Bffと、ヒドロキシエチルセルロースとを含む。
また、上記課題は、以下の手段によっても解決されうる;
仕上げ研磨工程Pにおける最後の研磨段Pffで用いられる研磨用組成物Sffまたはその濃縮液と、
前記研磨段Pffより前に設けられる研磨段Pfpで用いられる研磨用組成物Sfpまたはその濃縮液と、
を含む、研磨用組成物セットであって、
前記研磨用組成物Sffまたはその濃縮液は、下記条件(A)および下記条件(B)の少なくとも一方を満たす、研磨用組成物セット:
条件(A):前記研磨用組成物Sffの後述する標準試験1で得られるヘイズパラメータの値は、前記研磨用組成物Sfpの標準試験1で得られるヘイズパラメータの値よりも小さい、
条件(B):前記研磨用組成物Sffまたはその濃縮液は、砥粒Affと、塩基性化合物Bffと、ヒドロキシエチルセルロースとを含む。
ここで、前記標準試験1とは、
前記研磨対象物を、BET法による平均一次粒子径35nmのコロイダルシリカの含有量が0.95重量%、水酸化カリウムの含有量が0.065重量%となるよう、脱イオン水中で混合することにより調製された研磨用組成物Cを使用して、不織布の基材にポリウレタンの樹脂を含浸させた研磨パッドを用いて、研磨荷重19kPa、プラテン回転数32rpm、ヘッド回転数30rpm、前記研磨用組成物Cの供給速度1.0L/分、研磨時間160秒、定盤冷却水の温度20℃、前記研磨用組成物Cの保持温度20℃であって、かつ、前記研磨用組成物Cが連続的に供給されるとの条件にて片面研磨をする、前研磨工程による研磨処理を行い、
前記前研磨工程による研磨処理後の前記研磨対象物を、前記研磨用組成物Sfpおよび前記研磨用組成物Sffを使用して、それぞれ、前記前研磨工程の研磨定盤とは異なる研磨定盤上で、スウェードタイプの研磨パッドを用いて、研磨荷重16kPa、プラテンおよびヘッド回転数30rpm、前記研磨用組成物Sfpおよび前記研磨用組成物Sffの供給速度2.0L/分、研磨時間160秒、定盤冷却水の温度20℃、前記研磨用組成物Sfpおよび前記研磨用組成物Sffの保持温度20℃であって、かつ、前記研磨用組成物Sfpおよび前記研磨用組成物Sffがそれぞれ連続的に供給されるとの条件にて片面研磨をする、後研磨工程による研磨処理を行い、
前記後研磨工程による研磨処理後の前記研磨対象物を、超音波発振器を作動させた状態において、29重量%濃度のアンモニア水:31重量%濃度の過酸化水素水:脱イオン水=2:5.4:20の体積比となるよう混合して調製した、40℃以上80℃以下の洗浄液に6分間浸漬し洗浄し、超音波発振器を作動させた状態において脱イオン水に浸漬した後、乾燥する、洗浄処理を行い、
前記洗浄処理後の前記研磨対象物のヘイズパラメータを評価する試験を表す。標準試験1で得られるヘイズパラメータの詳細は後述する。
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。また、本明細書において、範囲を示す「X~Y」は「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作及び物性等の測定は室温(20℃以上25℃以下の範囲)/相対湿度40%RH以上50%RH以下の条件で測定する。
<研磨方法>
本発明の一形態は、
ケイ素-ケイ素結合を有する材料を含む研磨対象物の研磨方法であって、
仕上げ研磨工程Pを有し、
前記仕上げ研磨工程Pは、複数の研磨段を有し、
前記複数の研磨段は同一の研磨定盤において連続して行われ、
前記複数の研磨段における最後の研磨段は研磨用組成物Sffを用いて研磨する研磨段Pffであり、
前記複数の研磨段における前記研磨段Pffより前に設けられる研磨段は研磨用組成物Sfpを用いて研磨する研磨段Pfpであり、
前記研磨用組成物Sffの標準試験1で得られるヘイズパラメータの値は、前記研磨用組成物Sfpの標準試験1で得られるヘイズパラメータの値よりも小さい(すなわち、上記の条件(A)を満たす)、研磨方法、
に関する。本発明の一形態によれば、ケイ素-ケイ素結合を有する材料を含む研磨対象物の研磨方法において、研磨後の当該研磨対象物における、欠陥数およびヘイズの低減を高いレベルで両立しうる手段が提供される。
本発明者らは、当該形態によって上記課題が解決されうるメカニズムを以下のように推測している。
本発明の一形態では、仕上げ研磨工程Pの最後の研磨段Pffにおいて用いられる研磨用組成物のヘイズパラメータの値が、仕上げ研磨工程Pの研磨段Pffより前に設けられる研磨段Pfpで使用する研磨用組成物のヘイズパラメータの値よりも小さいことでヘイズを低減する。ここで、ヘイズパラメータの値が小さい研磨用組成物は、一般的に、添加成分の砥粒への吸着や、添加成分の研磨対象物への吸着によって研磨対象物の表面全体としての研磨効果の均一性を向上させヘイズを低減させる。よって、ヘイズパラメータの値が小さい研磨用組成物を用いた研磨工程の研磨時間を一定以下とすることで、低い欠陥数を維持しつつ、ヘイズ低減効果を得ることができる。
なお、ヘイズパラメータの値は標準試験1で得られるものである。また、上記メカニズムは推測に基づくものであり、その正誤が本発明の技術的範囲に影響を及ぼすものではない。
また、本発明の一形態は、
ケイ素-ケイ素結合を有する材料を含む研磨対象物の研磨方法であって、
仕上げ研磨工程Pを有し、
前記仕上げ研磨工程Pは、複数の研磨段を有し、
前記複数の研磨段は同一の研磨定盤において連続して行われ、
前記複数の研磨段における最後の研磨段は研磨用組成物Sffを用いて研磨する研磨段Pffであり、
前記複数の研磨段における前記研磨段Pffより前に設けられる研磨段は研磨用組成物Sfpを用いて研磨する研磨段Pfpであり、
前記研磨用組成物Sffは、砥粒Affと、塩基性化合物Bffと、ヒドロキシエチルセルロースとを含む(すなわち、上記の条件(B)を満たす)、研磨方法、
に関する。本発明の一形態によれば、ケイ素-ケイ素結合を有する材料を含む研磨対象物の研磨方法において、研磨後の当該研磨対象物における、欠陥数およびヘイズの低減を高いレベルで両立しうる手段が提供される。
本発明者らは、当該形態によって上記課題が解決されうるメカニズムを以下のように推測している。
ヒドロキシエチルセルロースは、研磨用組成物中で濡れ剤として機能し、研磨用組成物のエッチングによる化学的作用や砥粒の衝突による機械的作用を緩和することから、研磨対象物の表面全体としての研磨効果の均一性を向上させ、研磨済研磨対象物のヘイズ低減に寄与する。しかしながら、ヒドロキシエチルセルロースは、研磨対象物の表面全体としての均一性を向上させヘイズを低減しうるものの、局所的な表面品質の低下である欠陥数を低下することができない場合がある。
一方、本発明の一形態では、仕上げ研磨工程Pが複数の研磨段を有し、当該複数の研磨段は同一の研磨定盤において連続して行われる。そして、当該複数の研磨段における最後の研磨段Pffにおいて、砥粒Affと、塩基性化合物Bffと、ヒドロキシエチルセルロースとを含む研磨用組成物Sffを用いて研磨対象物を研磨する。これより、仕上げ研磨工程P以前の研磨工程、または当該複数の研磨段における最後の研磨段Pff以前の研磨段Pfpによって低い欠陥数を達成しつつ、ヘイズ低減効果を得ることができる。
なお、上記メカニズムは推測に基づくものであり、その正誤が本発明の技術的範囲に影響を及ぼすものではない。
なお、本発明の一形態に係る研磨方法は、上記の条件(A)および上記の条件(B)の両方を満たすことが好ましい。
本発明の一形態に係る研磨方法は、複数の研磨工程を含む。ここで、研磨工程の数は、特に制限されず、研磨対象物の種類、目的とする表面品質、使用する研磨装置や研磨条件等に応じて適宜設定しうる。
(研磨対象物)
本発明の一形態に係る研磨用組成物を用いて研磨する研磨対象物は、ケイ素-ケイ素結合を有する材料を含む研磨対象物(本明細書では、単に「研磨対象物」とも称する)である。
ケイ素-ケイ素結合を有する材料を含む研磨対象物の態様としては、特に制限されないが、平板状部材である層が好ましく、当該層を含む基板がより好ましく、半導体基板がさらに好ましい。例えば、単一層から構成される基板や、研磨対象となる層と、他の層(例えば、支持層や他の機能層)とを含む基板等が挙げられる。
ケイ素-ケイ素結合を有する材料としては、特に制限されないが、例えば、ポリシリコン、アモルファスシリコン、単結晶シリコン、n型ドープ単結晶シリコン、p型ドープ単結晶シリコン、SiGe等のSi系合金等が挙げられる。これらの中でも、本発明の効果をより顕著に得ることができるとの観点から、ポリシリコン、アモルファスシリコン、単結晶シリコン、n型ドープ単結晶シリコンまたはp型ドープ単結晶シリコンであることが好ましく、ポリシリコン、単結晶シリコン、n型ドープ単結晶シリコンまたはp型ドープ単結晶シリコンであることがより好ましく、単結晶シリコン、n型ドープ単結晶シリコン、p型ドープ単結晶シリコンであることがさらに好ましい。これらケイ素-ケイ素結合を有する材料は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
シリコン材料を含む研磨対象物がシリコン以外の材料を含む場合、当該材料は、特に制限されないが、例えば、アルミニウム、ニッケル、タングステン、鋼、タンタル、チタン、ステンレス鋼等の金属もしくは半金属、またはこれらの合金;石英ガラス、アルミノシリケー卜ガラス、ガラス状カーボン等のガラス状物質;アルミナ、シリカ、サファイア、窒化ケイ素、窒化タンタル、炭化チタン等のセラミック材料;炭化ケイ素、窒化ガリウム、ヒ化ガリウム等の化合物半導体基板材料;ポリイミド樹脂等の樹脂材料;等から選択される1種以上が挙げられる。
これらの中でも、ケイ素-ケイ素結合を有する材料を含む研磨対象物は、ケイ素-ケイ素結合を有する材料のみからなる研磨対象物であることが好ましい。これより、好ましい研磨対象物としては、シリコン基板(シリコンウェーハ)が挙げられ、特に好ましい研磨対象物は単結晶シリコン基板(単結晶シリコンウェーハ)である。
(仕上げ研磨工程P
本発明の一形態に係る研磨方法は、仕上げ研磨工程Pを有する。ここで、仕上げ研磨工程Pは、複数の研磨段を有し、複数の研磨段は同一の研磨定盤において連続して行われる。また、複数の研磨段における最後の研磨段は研磨用組成物Sffを用いて研磨する研磨段Pffであり、複数の研磨段における研磨段Pffより前に設けられる研磨段は研磨用組成物Sfpを用いて研磨する研磨段Pfpである。そして、研磨用組成物Sffは、下記条件(A)および下記条件(B)の少なくとも一方の条件を満たす:
条件(A):前記研磨用組成物Sffの標準試験1で得られるヘイズパラメータの値は、研磨用組成物Sfpの標準試験1で得られるヘイズパラメータの値よりも小さい、
条件(B):前記研磨用組成物Sffは、砥粒Affと、塩基性化合物Bffと、ヒドロキシエチルセルロースとを含む。
仕上げ研磨工程Pは、後述する標準試験2で得られる研磨レートが0nm/分超50nm/分未満である研磨用組成物Sfpおよび研磨用組成物Sffを用いて研磨を行う工程であることが好ましいが、これに限定されるものではない。
ここで、前記標準試験2とは、
ケイ素-ケイ素結合を有する材料を含む研磨対象物について、研磨前の重量を測定した後、2重量%のフッ化水素水溶液に30秒間浸漬し、脱イオン水でリンスを行うことで、前処理を行い、
前記前処理後の前記研磨対象物を、研磨レートを求める研磨用組成物を使用して、スウェードタイプの研磨パッドを用いて、研磨荷重15kPa、プラテンおよびヘッド回転数30rpm、前記研磨レートを求める研磨用組成物の供給速度0.4L/分、研磨時間600秒、定盤冷却水の温度20℃、前記研磨レートを求める研磨用組成物の保持温度20℃であって、かつ、前記研磨レートを求める研磨用組成物が連続的に供給されるとの条件にて片面研磨する、標準研磨工程による研磨処理後を行い、
前記標準研磨工程による研磨処理後の前記研磨対象物を、29重量%濃度のアンモニア水:31重量%濃度の過酸化水素水:脱イオン水=1:1:12の体積比となるよう混合して調製した、40℃以上80℃以下の洗浄液に6分間浸漬し洗浄し、超音波発振器を作動させた状態において脱イオン水に浸漬した後、乾燥する、洗浄処理を行い、
前記洗浄処理後の前記研磨対象物について、研磨後の重量を測定した後、前記研磨対象物の研磨前後の重量差、前記研磨対象物の研磨面の面積、および前記研磨対象物の比重から、研磨レートを算出する試験を表す。標準試験2で得られる研磨レートの詳細は後述する。
[研磨段Pffより前に設けられる研磨段Pfp
本発明の一形態に係る研磨方法は、仕上げ研磨工程Pを有し、仕上げ研磨工程Pは、複数の研磨段を有し、複数の研磨段における最後の研磨段Pffより前に設けられる研磨段Pfpは、研磨用組成物Sfpを用いて研磨する研磨段である。研磨段Pfpは、研磨対象物表面の欠陥数を低減する作用をする。
研磨段Pfpは、1つの研磨段のみを備えていても(1つの研磨段のみを含んでいても)、連続する複数の研磨段を備えていてもよい(連続する複数の研磨段の集合を含んでいてもよい)。研磨段Pfpの数は特に制限されないが、生産効率の観点から、1以上5以下であることが好ましく、1以上3以下であることがより好ましく、1または2であることがさらに好ましく、1であることが特に好ましい。
研磨段Pfpでは、研磨用組成物Sfpは、特に制限されないが、研磨段Pfpが1つの研磨段のみを備える場合、研磨用組成物Sfpは、砥粒Afpを含むことが好ましい。また、研磨用組成物Sfpは、特に制限されないが、塩基性化合物Bfpを含むことが好ましい。これより、研磨用組成物Sfpの好ましい一例としては、砥粒Afpと、塩基性化合物Bfpとを含む研磨用組成物が挙げられる。また、研磨用組成物Sfpは、特に制限されないが、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)を実質的に含有しないことが好ましい。これより、研磨用組成物Sfpの好ましい一例としては、砥粒Afpと、塩基性化合物Bfpを含み、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)を実質的に含有しない研磨用組成物が挙げられる。
また、研磨段Pfpが複数の研磨段を備える(複数の研磨段の集合を含む)場合、少なくとも1つの研磨段で用いられる研磨用組成物Sfpは、上記のいずれかの好ましい研磨用組成物であることが好ましく、砥粒Afpと、塩基性化合物Bfpを含み、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)を実質的に含有しない研磨用組成物であることがより好ましい。そして、この場合、全ての研磨段で用いられる研磨用組成物Sfpは、上記のいずれかの好ましい研磨用組成物であることが好ましく、砥粒Afpと、塩基性化合物Bfpを含み、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)を実質的に含有しない研磨用組成物であることがより好ましい。かような研磨用組成物Sfpを用いることで、研磨対象物表面の欠陥数をより低減することができる。なお、砥粒Afpおよび塩基性化合物Bfpの詳細は後述する。
なお、本明細書において、「ヒドロキシエチルセルロースを実質的に含有しない」とは、研磨用組成物の総重量に対して、ヒドロキシエチルセルロースの含有量が0.00001重量%以下である場合をいう。
研磨段Pfpで使用される研磨用組成物Sfpは、R1fp/R2fpが1.25以下であることが好ましい。ここで、R1fpは、研磨用組成物Sfp中に存在する粒子のD90(nm)であり、R2fpは、水酸化カリウムを用いて研磨用組成物SfpのpHを12.5に調整し、30分撹拌した後の、研磨用組成物中に存在する粒子のD90(nm)である。D90(nm)は、動的光散乱法により求められる体積基準粒度分布(体積基準粒子径分布)において、小粒子径側からの累積粒子径分布が90%に達するときの粒子の直径を示すものである。すなわち、研磨用組成物Sfp中に存在する粒子の動的光散乱法によって測定されたD90をR1fpとし、水酸化カリウムを用いてpHを12.5に調整し、30分撹拌した後の、研磨用組成物Sfp中に存在する粒子の動的光散乱法によって測定されたD90をR2fpとしたとき、R1fp/R2fpが1.25以下であることが好ましい。
例えば、研磨用組成物Sfpが砥粒を含有する場合では、研磨用組成物Sfp中に存在する粒子は、主に砥粒である。よって、この場合、R1fpは、研磨用組成物Sfp中の存在状態における砥粒のD90を表す。また、研磨用組成物のpHを、水酸化カリウムを用いて12.5に調整することによって、研磨用組成物の状態において砥粒に吸着した成分を砥粒から離すことができる。よって、R2fpは、研磨用組成物Sfp中の砥粒以外の成分の影響が少ない状態、すなわち、分散媒中における砥粒自体の分散状態に近い状態における砥粒のD90を表す。これより、R1fp/R2fpは、砥粒のみを分散媒中に分散させた状態の粒度に対する、研磨用組成物Sfpの状態の粒度の変化率を表す。
粒度変化率R1fp/R2fpが1.25以下であると、欠陥数をより低減することができる。この理由は、詳細は不明であるが、研磨用組成物Sfp中の砥粒以外の成分の砥粒への吸着が抑制され、各砥粒の研磨対象物への衝突エネルギーの不均一化を抑制し、研磨対象物の表面における局所的な傷の発生を抑制するからであると推測される。同様の観点から、粒度変化率R1fp/R2fpは、1.23以下であることがより好ましく、1.2以下であることがさらに好ましい。また、粒度変化率R1fp/R2fpの下限値は、特に制限されないが、通常、1以上であることが好ましい。この範囲であると、研磨用組成物Sfp中において砥粒の分解による劣化等が生じていないことを表すと考えられるからである。
また、研磨段Pfpが複数の研磨段を備える(複数の研磨段の集合を含む)場合、少なくとも1つの研磨段で用いられる研磨用組成物Sfpは、粒度変化率R1fp/R2fpが上記範囲を満たすことが好ましい。そして、この場合、全ての研磨段で用いられる研磨用組成物Sfpは、粒度変化率R1fp/R2fpが上記範囲を満たすことがより好ましい。かような研磨用組成物Sfpを用いることで、研磨対象物表面の欠陥数をより低減することができる。
ただし、研磨用組成物Sfpは、これらの粒度変化率の値を有するものに限定されるものではない。
R1fpおよびR2fpは、日機装株式会社製の「ナノトラック(登録商標)UPA-UT151」を用いた動的光散乱法によって測定することができる。なお、R1fpおよびR2fpの測定方法の詳細は実施例に記載する。
なお、R1fpは、主に砥粒の種類および添加量、研磨用組成物中の砥粒以外の成分の種類および添加量、ならびにこれらの組み合わせの種類等により、R2fpは、主に砥粒の種類および添加量等により制御することができる。
R1fp/R2fpについては、例えば、研磨用組成物Sfpがヒドロキシエチルセルロースを含有する際にその含有量が減少する場合や、または実質的に含有しない場合に、R1fp/R2fpは小さくなる。
研磨用組成物Sfpの好ましい一例としては、砥粒Afpと、塩基性化合物Bfpとを含み、R1fp/R2fpが1.25以下であるものが挙げられる。
研磨段Pfp(複数の研磨段を備える(複数の研磨段の集合を含む)場合はその全て)の研磨時間は、0秒超であれば特に制限されないが、20秒以上であることが好ましく、80秒以上であることがより好ましく、140秒以上であることがさらに好ましい。上記範囲であると、欠陥数の低減効果がより向上する。また、当該研磨時間は、特に制限されないが、450秒以下であることが好ましく、350秒以下であることが好ましく、300秒以下であることがさらに好ましい。上記範囲であると、生産効率がより向上する。これより、研磨段Pfpの研磨時間の好ましい一例は、20秒以上450秒以下である。
[最後の研磨段である研磨段Pff
本発明の一形態に係る研磨方法は、仕上げ研磨工程Pを有し、仕上げ研磨工程Pは、複数の研磨段を有し、複数の研磨段における最後の研磨段Pffは、複数の研磨段における最後の研磨段は研磨用組成物Sffを用いて研磨する研磨段である。最後の研磨段Pffは、研磨対象物表面の欠陥数を増加させず、ヘイズを低減する作用をする。
研磨段Pffは、1つの研磨段のみから構成される。
上記の条件(A)は、研磨段Pffで使用される研磨用組成物Sffのヘイズパラメータの値は、研磨用組成物Sfpのヘイズパラメータの値よりも小さいとの条件である。条件(A)において、研磨用組成物Sffのヘイズパラメータの値は、研磨用組成物Sfpのヘイズパラメータの値よりも小さければ特に制限されず、小さいほど好ましい。ここで、研磨用組成物Sffのヘイズパラメータの値は、99以下であることが好ましく、95以下であることがより好ましい(下限0)。
条件(A)において、研磨段Pfpが複数の研磨段を備える場合、研磨用組成物Sffのヘイズパラメータの値は、全ての研磨段で用いられる研磨用組成物Sfpのヘイズパラメータの値よりも小さくなる。なお、上述と同様、ヘイズパラメータの値は以下に示す標準試験1で得られるものである。
[標準試験1]
研磨用組成物のヘイズパラメータを求める標準試験1は、より詳細には、下記の1-1.~1-4.を順次行う試験である。
1-1.前研磨工程による研磨処理
対象とする研磨対象物と同じ材質の試験片を準備する。ここで、試験片としては、特に制限されないが、例えば、円形のウェーハや、四角形に切断したチップ等が挙げられる。そして、準備した試験片を、BET法による平均一次粒子径35nmのコロイダルシリカの含有量(濃度)が0.95重量%、水酸化カリウム(KOH)の含有量(濃度)が0.065重量%となるよう、脱イオン水(DIW)中で混合することにより調製された研磨用組成物Cを使用して、研磨パッドとして、不織布の基材にポリウレタンの樹脂を含浸させたパッド(例えば、厚さ1.27mm、硬度60(AskerC)、圧縮率9.4%)(かような市販品としては、例えば、ニッタ・ハース株式会社製の「SUBA400」が挙げられる)を用いて、研磨荷重19kPa、プラテン(研磨定盤)回転数32rpm、ヘッド(キャリア)回転数30rpm、研磨用組成物Cの供給速度1.0L/分、研磨時間160秒、定盤冷却水の温度20℃、研磨用組成物Cの保持温度20℃の条件にて片面研磨する。ここで、研磨機としては、片面研磨が可能なものであれば特に制限されないが、株式会社岡本工作機械製作所製の枚葉研磨機「PNX-332B」を用いることができる。なお、研磨用組成物Cの供給方法は、ポンプ等で連続的に供給する供給方法(掛け流し)を適用する。
1-2.後研磨工程による研磨処理
上記前研磨工程による研磨処理後の試験片を、ヘイズパラメータを確認する研磨用組成物(例えば、研磨用組成物Sfpおよび研磨用組成物Sff)を使用して、それぞれ、上記前研磨工程の研磨定盤とは異なる研磨定盤上で、研磨パッドとして、スウェードタイプの研磨パッド(例えば、厚さ約1.5mm、密度約0.4g/cm、圧縮率約20%、圧縮弾性率約90%、硬度約40°(ショアA(Durometer A型))、平均開孔径約45μm、開孔率約25%)(かような市販品としては、例えば、フジボウ愛媛株式会社製の「POLYPAS(登録商標)27NX」が挙げられる)を用いて、研磨荷重16kPa、プラテン(研磨定盤)およびヘッド(キャリア)回転数30rpm、研磨用組成物の供給速度2.0L/分、研磨時間160秒、定盤冷却水の温度20℃、研磨用組成物の保持温度20℃の条件にて片面研磨する。ここで、研磨機としては、片面研磨が可能なものであれば特に制限されないが、株式会社岡本工作機械製作所製の枚葉研磨機「PNX-332B」を用いることができる。なお、研磨用組成物の供給方法は、ポンプ等で連続的に供給する供給方法(掛け流し)を適用する。
1-3.洗浄処理
上記後研磨工程による研磨処理後の試験片を、超音波発振器を作動させた状態において、29重量%濃度のアンモニア水:31重量%濃度の過酸化水素水:脱イオン水(DIW)=2:5.4:20の体積比となるよう混合して調製した洗浄液に6分間浸漬し洗浄する。洗浄液は、40℃以上80℃以下の範囲とする。その後、試験片を、超音波発振器を作動させた状態において脱イオン水(DIW)に浸漬した後、乾燥する。
1-4.ヘイズパラメータの算出
上記洗浄処理後の試験片について、ヘイズ(%)を、ケーエルエー・テンコール社製「Surfscan SP2XP」を用いて、DWOモードによって測定する。なお、ヘイズパラメータは、研磨用組成物Sfpによる研磨後のシリコンウェーハのヘイズ(%)を100とした相対値で評価する。研磨用組成物Sfpが複数存在する場合は、ヘイズが一番良好な研磨用組成物Sfpのヘイズ(%)を100とする。
ヘイズパラメータは、研磨用組成物Sffおよび研磨用組成物Sfpの組成によって制御することができる。例えば、研磨用組成物Sffがヒドロキシエチルセルロースを含有する場合や、その含有量が増加する場合、ヘイズパラメータは減少する傾向がある。また、研磨用組成物Sfpがヒドロキシエチルセルロースを含有する際にヒドロキシエチルセルロースの含有量が減少する場合や、ヒドロキシエチルセルロースを実質的に含有しない場合、ヘイズパラメータは減少する傾向がある。
条件(A)において、研磨段Pffで使用される研磨用組成物Sffは、上記の標準試験1で得られるヘイズパラメータの値を有するものであれば特に制限されないが、砥粒Affを含むことが好ましい。また、研磨用組成物Sffは、特に制限されないが、塩基性化合物Bffを含むことが好ましい。これより、研磨用組成物Sffの好ましい一例としては、砥粒Affと、塩基性化合物Bffとを含む研磨用組成物が挙げられる。そして、研磨用組成物Sffは、特に制限されないが、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)を含有することが好ましい。これより、研磨用組成物Sffの好ましい一例としては、砥粒Affと、塩基性化合物Bffと、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)と含有する研磨用組成物が挙げられる。なお、砥粒Aff、塩基性化合物Bffおよびヒドロキシエチルセルロースの詳細は後述する。
上記の条件(B)は、研磨段Pffで使用される研磨用組成物Sffは、砥粒Affと、塩基性化合物Bffと、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)とを含むとの条件である。なお、砥粒Aff、塩基性化合物Bffおよびヒドロキシエチルセルロースの詳細は後述する。
研磨段Pffで使用される研磨用組成物Sffは、R1ff/R2ffが1.25超であることが好ましい。ここで、R1ffは、研磨用組成物Sff中に存在する粒子のD90(nm)であり、R2ffは、水酸化カリウムを用いて研磨用組成物SffのpHを12.5に調整し、30分撹拌した後の、研磨用組成物中に存在する粒子のD90(nm)である。D90(nm)は、動的光散乱法により求められる体積基準粒度分布において、小粒子径側からの累積粒子径分布が90%に達するときの粒子の直径を示すものである。すなわち、研磨用組成物Sff中に存在する粒子の動的光散乱法によって測定されたD90をR1ffとし、水酸化カリウムを用いてpHを12.5に調整し、30分撹拌した後の、研磨用組成物Sff中に存在する粒子の動的光散乱法によって測定されたD90をR2ffとしたとき、R1ff/R2ffが1.25超であることが好ましい。
例えば、研磨用組成物Sffが砥粒を含有する場合では、研磨用組成物Sff中に存在する粒子は、主に砥粒である。よって、この場合、R1ffは、研磨用組成物Sff中の存在状態における砥粒のD90を表す。また、研磨用組成物のpHを、水酸化カリウムを用いて12.5に調整することによって、研磨用組成物の状態において砥粒に吸着した成分を砥粒から離すことができる。よって、R2ffは、研磨用組成物Sff中の砥粒以外の成分の影響が少ない状態、すなわち、分散媒中における砥粒自体の分散状態に近い状態における砥粒のD90を表す。これより、R1ff/R2ffは、砥粒のみを分散媒中に分散させた状態の粒度に対する、研磨用組成物Sffの状態の粒度の変化率を表す。
上記粒度変化率R1ff/R2ffが1.25超であると、研磨段Pffにおけるヘイズ低減効果がより向上する。この理由は、詳細は不明であるが、添加成分の砥粒への吸着や、添加成分の研磨対象物への吸着によって、研磨対象物の表面全体としての研磨効果の均一性が向上するからであると推測される。また、上記粒度変化率R1ff/R2ffは、特に制限されないが、1.5以下であることが好ましい。
R1ffおよびR2ffの測定方法および制御方法は、上記R1fpおよびR2fpで述べたものと同様である。なお、R1ffおよびR2ffの測定方法の詳細は実施例に記載する。
ただし、研磨用組成物Sffは、これらの粒度変化率の値を有するものに限定されるものではない。
研磨用組成物Sffの好ましい一例としては、砥粒Affを含み、R1ff/R2ffが1.25超であるものが挙げられる。
研磨段Pffの研磨時間は、特に制限されないが、80秒以下であることが好ましく、60秒以下であることがより好ましく、30秒以下であることがさらに好ましく、20秒以下であることがよりさらに好ましく、10秒以下であることが特に好ましい。上記範囲であると、欠陥数の増加をより抑制することができる。また、研磨段Pffの研磨時間は、0秒超であれば特に制限されないが、1秒以上であることが好ましく、3秒以上であることがより好ましく、5秒以上であることがさらに好ましい。上記範囲であると、ヘイズ低減効果がより向上する。これより、研磨段Pffの研磨時間の好ましい一例は、0秒超80秒以下である。
最後の研磨段Pff、及び研磨段Pfpの研磨時間の関係は、特に制限されないが、研磨段Pfpの研磨時間(複数有する場合は合計の研磨時間)をTfp(秒)とし、研磨段Pffの研磨時間をTff(秒)としたとき、下記式(1)を満たすことが好ましい。
上記式の左辺で算出される、研磨段Pffの研磨時間の割合が上記範囲であると、欠陥数の低減効果が向上する。同様の観点から、研磨段Pffの研磨時間の割合の上限は、25%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。また、研磨段Pffの割合の下限は、0%超であれば特に制限されないが、1%以上であることが好ましく、5%以上であることがより好ましい。この範囲であると、ヘイズの低減効果がより向上する。
(予備研磨工程P
本発明の好ましい一形態は、上記の仕上げ研磨工程Pの前に、予備研磨工程Pを有する。本形態では、予備研磨工程Pは、標準試験2で得られる研磨レートが50nm/分以上である研磨用組成物Sを用いて研磨を行う工程であり、仕上げ研磨工程Pは、標準試験2で得られる研磨レートが0nm/分超50nm/分未満である研磨用組成物Sを用いて研磨を行う工程となる。ここで、上記の研磨用組成物Sffおよび上記の研磨用組成物Sfpは、共に研磨用組成物Sに該当することとなる。標準試験2の詳細は後述する。
予備研磨工程Pと、仕上げ研磨工程Pとは、異なる研磨定盤において行われることが好ましい。
表面品質に特に大きな影響を与える仕上げ研磨工程Pが主に欠陥数の低減を目的とする研磨段Pfp、および主にヘイズの低減を目的とする研磨段Pffを備えるため、研磨レートの高い予備研磨工程Pを有することで、高い生産効率をはじめとする所望の研磨性能を実現しつつ、より優れた欠陥数およびより高いヘイズの低減効果が奏されることとなる。
予備研磨工程Pは、標準試験2で得られる研磨レートが50nm/分以上である研磨用組成物Sが使用され、当該研磨用組成物を使用する研磨段が連続して設けられる限りにおいて、2以上の研磨段を含みうる。すなわち、予備研磨工程Pは、1つのみの研磨段から構成されていても、また複数の研磨段から構成されていてもよい。予備研磨工程Pを構成する研磨段の数は特に制限されないが、生産効率の観点から、1以上5以下であることが好ましく、1以上3以下であることがより好ましく、1または2であることがさらに好ましく、1であることが特に好ましい。
予備研磨工程Pを有する場合、仕上げ研磨工程Pで用いられる研磨用組成物Sは、標準試験2で得られる研磨レートが0nm/分超50nm/分未満である研磨用組成物Sである。すなわち、この場合、仕上げ研磨工程Pが有する複数の研磨段における最後のPffで用いられる研磨用組成物Sff、および複数の研磨段における研磨段Pffより前に設けられる研磨段Pfpで用いられる研磨用組成物Sfpは、共に、研磨レートが0nm/分超50nm/分未満である研磨用組成物Sとなる。
予備研磨工程P(予備研磨工程を複数有する場合は、最後の予備研磨工程P)の配置位置は、特に制限されないが、仕上げ研磨工程Pの直前に配置されることが好ましい。
このように、ある研磨工程が、予備研磨工程P、仕上げ研磨工程P、後述する中間研磨工程Pまたはその他の研磨工程のいずれに該当するかは、後述する標準試験2で得られる研磨レート、およびこれらに含まれる研磨工程の配置位置から判断することができる。
予備研磨工程Pにおいて使用する研磨用組成物Sの標準試験2で得られる研磨レートの下限は、50nm/分以上であれば特に制限されないが、100nm/分以上であることが好ましく、150nm/分以上であることがさらに好ましい。この範囲であると、生産効率がより向上する。また、予備研磨工程Pにおいて使用する研磨用組成物Sの標準試験2で得られる研磨レートの上限は、特に制限されないが、1000nm/分以下であることが好ましく、500nm/分以下であることがより好ましく、300nm/分以下であることがさらに好ましい。この範囲であると、仕上げ研磨工程Pによる研磨後の研磨対象物において、欠陥数がより少なく、ヘイズがより低くなる。
仕上げ研磨工程Pにおいて使用する研磨用組成物S(SfpおよびSff)の標準試験2で得られる研磨レートの下限は、0nm/分超であれば特に制限されないが、5nm/分以上であることが好ましく、10nm/分以上であることがさらに好ましい。この範囲であると、生産効率がより向上する。また、仕上げ研磨工程Pにおいて使用する研磨用組成物S(SfpおよびSff)の標準試験2で得られる研磨レートの上限は、50nm/分未満であれば特に制限されないが、30nm/分以下であることが好ましく、20nm/分以下であることがより好ましい。この範囲であると、欠陥数およびヘイズの低減効果が向上する。
[標準試験2]
研磨用組成物の研磨レートを求める標準試験2は、より詳細には、下記の2-1.~2-4.を順次行う試験である。
2-1.前処理
対象とする研磨対象物と同じ材質の試験片を準備し、研磨前の重量を測定した後、当該試験片を2重量%のHF(フッ化水素)水溶液に30秒間浸漬し、脱イオン水でリンスを行うことで、前処理を行う。ここで、試験片としては、特に制限されないが、例えば、円形のウェーハや、四角形に切断したチップ等が挙げられる。
2-2.標準研磨工程による研磨処理
上記前処理後の試験片を、標準試験に供する研磨用組成物を使用して、研磨パッドとして、スウェードタイプの研磨パッド(例えば、厚さ約1.5mm、密度約0.4g/cm、圧縮率約20%、圧縮弾性率約90%、硬度約40°(ショアA(Durometer A型))、平均開孔径約45μm、開孔率約25%)(かような市販品としては、例えば、フジボウ愛媛株式会社製の「POLYPAS(登録商標)27NX」が挙げられる)を用いて、研磨荷重15kPa、プラテン(研磨定盤)およびヘッド(キャリア)回転数30rpm、研磨用組成物の供給速度0.4L/分、研磨時間600秒、定盤冷却水の温度20℃、研磨用組成物の保持温度20℃の条件にて片面研磨する。ここで、研磨機としては、片面研磨が可能なものであれば特に制限されないが、株式会社岡本工作機械製作所製の枚葉研磨機「PNX-322」を用いることができる。なお、研磨用組成物の供給方法は、ポンプ等で連続的に供給する供給方法(掛け流し)を適用する。
2-3.洗浄処理
上記標準研磨工程による研磨処理後の試験片を、29重量%濃度のアンモニア水:31重量%濃度の過酸化水素水:脱イオン水(DIW)=1:1:12の体積比となるよう混合して調製した洗浄液に6分間浸漬し洗浄する。洗浄液は、40℃以上80℃以下の範囲とする。その後、試験片を、超音波発振器を作動させた状態において脱イオン水(DIW)に浸漬した後、公知の乾燥手段、例えば、スピンドライヤー等にて乾燥する。
2-4.研磨レートの算出
上記洗浄処理後の試験片について、研磨後の重量を測定した後、当該試験片の研磨前後の重量差、試験片の研磨面の面積および試験片の材料(試験片の研磨面の材料)の比重から、研磨レート(nm/分)を算出する。
研磨用組成物Sは上記の標準試験2で得られる研磨レートを有するものであれば特に制限されないが、研磨用組成物Sは、砥粒Aを含むことが好ましい。また、研磨用組成物Sは、特に制限されないが、塩基性化合物Bを含むことが好ましい。これより、研磨用組成物Sの好ましい一例としては、砥粒Aと、塩基性化合物Bとを含む研磨用組成物が挙げられる。また、研磨用組成物Sは、HECを実質的に含有しない研磨用組成物であることがより好ましい。これより、研磨用組成物Sの好ましい一例としては、砥粒Aと、塩基性化合物Bとを含み、HECを実質的に含有しない研磨用組成物が挙げられる。また、予備研磨工程Pが複数の研磨段を備える(複数の研磨段の集合を含む)場合、少なくとも1つの研磨段で用いられる研磨用組成物Sは、上記のいずれかの好ましい研磨用組成物であることが好ましく、砥粒Aと、塩基性化合物Bを含み、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)を実質的に含有しない研磨用組成物あることがより好ましい。そして、この場合、全ての研磨段で用いられる研磨用組成物Sは、上記のいずれかの好ましい研磨用組成物であることが好ましく、砥粒Aと、塩基性化合物Bを含み、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)を実質的に含有しない研磨用組成物あることがより好ましい。かような研磨用組成物Sを用いることで、研磨対象物表面の欠陥数をより低減することができる。なお、砥粒Aおよび塩基性化合物Bの詳細は後述する。
予備研磨工程Pで使用される研磨用組成物Sは、粒度変化率R1/R2が1.25以下であることが好ましい。ここで、R1は、研磨用組成物S中に存在する粒子のD90(nm)であり、R2は、水酸化カリウムを用いて研磨用組成物SのpHを12.5に調整し、30分撹拌した後の、研磨用組成物中に存在する粒子のD90(nm)である。D90(nm)は、動的光散乱法により求められる体積基準粒度分布において、小粒子径側からの累積粒子径分布が90%に達するときの粒子の直径を示すものである。すなわち、研磨用組成物S中に存在する粒子の動的光散乱法によって測定されたD90をR1とし、水酸化カリウムを用いてpHを12.5に調整し、30分撹拌した後の、研磨用組成物S中に存在する粒子の動的光散乱法によって測定されたD90をR2としたとき、R1/R2が1.25以下であることが好ましい。また、粒度変化率R1/R2は、1.23以下であることがより好ましく、1.2以下であることがさらに好ましい。また、粒度変化率R1/R2の下限値は、特に制限されないが、通常、1以上であることが好ましい。
予備研磨工程Pが複数の研磨段を備える(複数研磨段の集合を含む)場合、少なくとも1つの研磨段で用いられる研磨用組成物Sは、粒度変化率R1/R2が上記範囲を満たすことが好ましい。そして、この場合、全ての研磨段で用いられる研磨用組成物Sは、粒度変化率R1/R2が上記範囲を満たすことがより好ましい。これらの範囲及び態様が好ましい理由は、上記粒度変化率R1fp/R2fpで述べたものと同様である。ここで、R1およびR2の測定方法および制御方法は、上記R1fpおよびR2fpで述べたものと同様である。なお、R1およびR2の測定方法の詳細は実施例に記載する。
ただし、研磨用組成物Sは、これらの粒度変化率の値を有するものに限定されるものではない。
研磨用組成物Sの好ましい一例としては、砥粒Aと、塩基性化合物Bとを含み、R1/R2が1.25以下であるものが挙げられる。
予備研磨工程P(複数の研磨段を備える(複数の研磨段の集合を含む)場合はその全て)の研磨時間は、特に制限されないが、0秒超であることが好ましく、20秒以上であることがより好ましく、80秒以上であることがさらに好ましく、140秒以上であることが特に好ましい。上記範囲であると、欠陥数の低減効果がより向上する。また、当該研磨時間は、特に制限されないが、450秒以下であることが好ましく、350秒以下であることが好ましく、300秒以下であることがさらに好ましい。上記範囲であると、生産効率がより向上する。
(中間研磨工程P
本発明のより好ましい一形態は、仕上げ研磨工程Pと、予備研磨工程Pとの間に中間研磨工程Pを有する。ここで、中間研磨工程Pは、仕上げ研磨工程Pとは異なる研磨定盤において行われる工程であり、標準試験2で得られる研磨レートが0nm/分超50nm/分未満である研磨用組成物Sを用いて研磨を行う工程である。
また、中間研磨工程Pと、予備研磨工程Pとは、異なる研磨定盤において行われることが好ましい。
表面品質に特に大きな影響を与える仕上げ研磨工程Pが主に欠陥数の低減を目的とする研磨段Pfp、および主にヘイズの低減を目的とする研磨段Pffを備えるため、研磨レートの高い予備研磨工程Pに加えて中間研磨工程Pを有することで、高い生産効率をはじめとする所望の研磨性能を実現しつつ、より優れた欠陥数およびより高いヘイズの低減効果が奏されることとなる。
中間研磨工程Pは、上述した標準試験2で得られる研磨レートが0nm/分超50nm/分未満である研磨用組成物Sが使用され、当該研磨用組成物を使用する研磨段が連続して設けられる限りにおいて、2以上の研磨段を含みうる。すなわち、中間研磨工程Pは、1つのみの研磨段から構成されていても、また複数の研磨段から構成されていてもよい。中間研磨工程Pを構成する研磨段の数は特に制限されないが、生産効率の観点から、1以上5以下であることが好ましく、1以上3以下であることがより好ましく、1または2であることがさらに好ましく、1であることが特に好ましい。
中間研磨工程Pにおいて使用する研磨用組成物Sの標準試験2で得られる研磨レートの下限は、0nm/分超であれば特に制限されないが、5nm/分以上であることが好ましく、10nm/分以上であることがより好ましい。また、中間研磨工程Pにおいて使用する研磨用組成物Sの標準試験2で得られる研磨レートの上限は、50nm/分未満であれば特に制限されないが、30nm/分以下であることが好ましく、20nm/分以下であることがより好ましい。この範囲であると、欠陥数およびヘイズの低減効果が向上する。
なお、研磨用組成物Sの研磨レートを求める標準試験2は、上記の予備研磨工程Pの説明において述べたものと同様である。
中間研磨工程Pで使用される研磨用組成物Sは、上記の標準試験2で得られる研磨レートを達成できるものであれば特に制限されないが、砥粒Aを含むことが好ましい。また、研磨用組成物Sは、特に制限されないが、塩基性化合物Bを含むことが好ましい。これより、研磨用組成物Sの好ましい一例としては、砥粒Aと、塩基性化合物Bとを含む研磨用組成物が挙げられる。また、研磨用組成物Sは、特に制限されないが、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)を実質的に含有しないことが好ましい。これより、研磨用組成物Sの好ましい一例としては、砥粒Aと、塩基性化合物Bを含み、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)を実質的に含有しない研磨用組成物が挙げられる。また、中間研磨工程Pが複数の研磨段を備える場合、少なくとも1つの研磨段で用いられる研磨用組成物Sは、上記のいずれかの好ましい研磨用組成物であることが好ましく、砥粒Aと、塩基性化合物Bを含み、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)を実質的に含有しない研磨用組成物あることがより好ましい。そして、この場合、全ての研磨段で用いられる研磨用組成物Sは、上記のいずれかの好ましい研磨用組成物であることが好ましく、砥粒Aと、塩基性化合物Bを含み、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)を実質的に含有しない研磨用組成物あることがより好ましい。かような研磨用組成物Sを用いることで、研磨対象物表面の欠陥数をより低減することができる。なお、砥粒Aおよび塩基性化合物Bの詳細は後述する。
中間研磨工程Pで使用される研磨用組成物Sは、粒度変化率R1/R2が1.25以下であることが好ましい。ここで、R1は、研磨用組成物S中に存在する粒子のD90(nm)であり、R2は、水酸化カリウムを用いて研磨用組成物SのpHを12.5に調整し、30分撹拌した後の、研磨用組成物中に存在する粒子のD90(nm)である。D90(nm)は、動的光散乱法により求められる体積基準粒度分布において、小粒子径側からの累積粒子径分布が90%に達するときの粒子の直径を示すものである。すなわち、研磨用組成物S中に存在する粒子の、動的光散乱法によって測定されたD90をR1とし、水酸化カリウムを用いてpHを12.5に調整し、30分撹拌した後の、研磨用組成物S中に存在する粒子の、動的光散乱法によって測定されたD90をR2としたとき、R1/R2が1.25以下であることが好ましい。また、粒度変化率R1/R2は、1.23以下であることがより好ましく、1.2以下であることがさらに好ましい。また、粒度変化率R1/R2の下限値は、特に制限されないが、通常、1以上であることが好ましい。
中間研磨工程Pが複数の研磨段を備える(複数の研磨段の集合を含む)場合、少なくとも1つの研磨段で用いられる研磨用組成物Sは、粒度変化率R1/R2が上記範囲を満たすことが好ましい。そして、この場合、全ての研磨段で用いられる研磨用組成物Sは、粒度変化率R1/R2が上記範囲を満たすことがより好ましい。これらの範囲及び態様が好ましい理由は、上記粒度変化率R1fp/R2fpで述べたものと同様である。ここで、R1およびR2の測定方法および制御方法は、上記R1fpおよびR2fpで述べたものと同様である。なお、R1/R2の測定方法の詳細は、実施例に記載するR1fp/R2fpの測定方法の詳細と同様である。
ただし、研磨用組成物Sは、これらの粒度変化率の値を有するものに限定されるものではない。
これより、好ましい中間研磨工程Pの一例は、砥粒Aと、塩基性化合物Bとを含み、ヒドロキシエチルセルロースを実質的に含有しない研磨用組成物Sを用いて研磨する工程であり、研磨用組成物Sは、粒度変化率R1/R2が1.25以下である。
中間研磨工程Pを有する場合、その研磨時間は特に制限されない。ここで、中間研磨工程Pと、上記の仕上げ研磨工程Pが有する複数の研磨段における最後の研磨段Pffより前に設けられる研磨段Pfp(複数の研磨段を備える(複数の研磨段の集合を含む)場合はその全ての研磨段)との合計研磨時間が20秒以上であることが好ましく、30秒以上であることが好ましく、60秒以上であることがより好ましい。この範囲であると、欠陥数の低減効果がより向上する。また、当該合計研磨時間は、450秒以下であることが好ましく、400秒以下であることがより好ましい。この範囲であると、生産性がより向上する。これより、中間研磨工程Pと、研磨段Pfp(複数の研磨段を備える(複数の研磨段の集合を含む場合はその全ての研磨段)との合計研磨時間の好ましい一例は、20秒以上450秒以下である。
(他の研磨工程)
本発明の一形態に係る研磨方法は、予備研磨工程P、仕上げ研磨工程Pおよび中間研磨工程Pのいずれでもない他の研磨工程をさらに有していてもよい。
(他の工程)
本発明の一形態に係る研磨方法は、上記で述べた各研磨工程に加えて、必要に応じて、公知の研磨方法で採用されうる、研磨工程以外の他の工程をさらに含んでいてもよい。他の工程としては、特に制限されないが、例えば、洗浄工程や、乾燥工程等が挙げられる。
他の工程において適用する装置、方法、条件は特に制限されず、公知のものが適宜採用される。洗浄工程の一例としては、例えば、アンモニアと過酸化水素水との混合液(例えば、40℃以上80℃以下)を用いて研磨済研磨対象物を洗浄する工程等が挙げられる。洗浄の方法としては、当該混合液中に研磨後の研磨対象物を浸漬する方法が挙げられる。また、混合液への浸漬に際して、超音波発振機により超音波を加えてもよい。また、乾燥工程の一例としては、例えば、スピンドライヤー等により研磨後の研磨対象物を乾燥する工程等が挙げられる。
(研磨用組成物)
以下、研磨段Pffで用いられる研磨用組成物Sff、研磨段Pfpで用いられる研磨用組成物Sfp、予備研磨工程Pで用いられる研磨用組成物S、および中間研磨工程Pで用いられる研磨用組成物Sをはじめとする本発明の一形態に係る研磨方法で用いられる研磨組成物について、これらの研磨用組成物を構成する各成分について詳細に説明する。
なお、各成分の含有の有無、およびその含有量、ならびに後述するpH値は、各研磨工程、各研磨段で用いられる研磨用組成物ごとに異なっていてもよい。また、これらは、各研磨工程が複数の研磨段を備える場合や、各研磨段が複数の研磨段を備える場合も、それぞれの研磨段用いられる研磨用組成物ごとに異なっていてもよい。
なお、前述のように、上記の条件(B)の場合は、研磨段Pffで使用される研磨用組成物Sffは、砥粒Affと、塩基性化合物Bffと、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)とを含む。
[砥粒]
研磨用組成物Sff、研磨用組成物Sfp、研磨用組成物S、および研磨用組成物Sをはじめとする、本発明の一形態で用いられうる研磨用組成物は、それぞれ砥粒を含むことが好ましい。
なお、上記の条件(B)の場合、研磨用組成物Sffは、砥粒を含む。また、この場合、研磨用組成物Sfp、研磨用組成物S、および研磨用組成物Sをはじめとする、研磨用組成物Sff以外の本発明の一形態で用いられる研磨用組成物は、それぞれ砥粒を含むことが好ましい。
ここで、前述のように、研磨用組成物Sff、研磨用組成物Sfp、研磨用組成物S、および研磨用組成物Sに含まれる砥粒を、それぞれ砥粒Aff、砥粒Afp、砥粒A、および砥粒Aと称する。砥粒は、研磨対象物の表面を機械的に研磨する働きを有する。
本発明の一形態に係る研磨方法における各研磨工程、各研磨段で用いられる研磨用組成物に含まれる砥粒は、それぞれ独立して、研磨条件や研磨対象物の種類等に応じて適宜選択することができる。砥粒の例としては、無機粒子、有機粒子、及び有機無機複合粒子が挙げられる。無機粒子の具体例としては、シリカ粒子、アルミナ粒子、酸化セリウム粒子、酸化クロム粒子、二酸化チタン粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化マグネシウム粒子、二酸化マンガン粒子、酸化亜鉛粒子、ベンガラ粒子等の酸化物粒子;窒化ケイ素粒子、窒化ホウ素粒子等の窒化物粒子;炭化ケイ素粒子、炭化ホウ素粒子等の炭化物粒子;ダイヤモンド粒子;炭酸カルシウムや炭酸バリウム等の炭酸塩等が挙げられる。有機粒子の具体例としては、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)粒子やポリ(メタ)アクリル酸粒子、ポリアクリロニトリル粒子等が挙げられる。ここで(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸及びメタクリル酸を包括的に指す意味である。砥粒は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記砥粒としては、無機粒子が好ましく、なかでも金属又は半金属の酸化物からなる粒子が好ましい。特に好ましい砥粒としてシリカ粒子が挙げられる。シリカ粒子としてはコロイダルシリカ、フュームドシリカ、沈降シリカ等が挙げられる。
シリカ粒子の中でも、コロイダルシリカまたはフュームドシリカが好ましく、コロイダルシリカが特に好ましい。すなわち、砥粒は、コロイダルシリカを含むことが特に好ましい。
なお、本発明の一形態に係る研磨方法における各研磨工程、各研磨段で用いられる研磨用組成物に含まれる砥粒は、各研磨工程における研磨の目的によって好ましい粒子径の範囲が異なる。
研磨用組成物Sに含有される砥粒Aの平均一次粒子径は、特に制限されないが、10nm以上であることが好ましく、20nm以上であることがより好ましく、30nm以上であることがさらに好ましい。この範囲であると、研磨対象物の表面を機械的に研磨しやすくなり、研磨レートが向上する。また、砥粒Aの平均一次粒子径は、特に制限されないが、100nm以下であることが好ましく、80nm以下であることがより好ましく、60nm以下であることがさらに好ましい。この範囲であると、研磨対象物の欠陥数やヘイズの低減効果が向上する。
研磨用組成物Sfp、研磨用組成物Sff、および研磨用組成物Sに含有される砥粒Afp、砥粒Aff、および砥粒Aの平均一次粒子径は、特に制限されないが、それぞれ5nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましく、20nm以上であることがさらに好ましい。この範囲であると、研磨対象物の表面を機械的に研磨しやすくなり、研磨レートが向上する。また、砥粒Afp、砥粒Aff、および砥粒Aの平均一次粒子径は、特に制限されないが、それぞれ60nm以下であることが好ましく、35nm未満であることがより好ましく、30nm以下であることがさらに好ましい。この範囲であると、研磨対象物の欠陥数やヘイズの低減効果が向上する。
これより、好ましい一例としては、砥粒Afp(研磨段Pfpが複数の研磨段を備える場合はそれぞれの砥粒Afp)の平均一次粒子径は、5nm以上35nm未満であることが挙げられる。ここで、研磨段Pfpが複数の研磨段を備える場合は全ての砥粒Afpの平均一次粒子径が上記範囲内であることが好ましい。また、好ましい一例としては、砥粒Affの平均一次粒子径は、5nm以上35nm未満であることが挙げられる。そして、より好ましい一例としては、砥粒Afp(研磨段Pfpが複数の研磨段を備える場合は全ての砥粒Afp)および砥粒Affの平均一次粒子径は、共に5nm以上35nm未満であることが挙げられる。
研磨用組成物Sに含有される砥粒Aの平均二次粒子径は、特に制限されないが、15nm以上であることが好ましく、35nm以上であることがより好ましく、55nm以上であることがさらに好ましい。この範囲であると、研磨対象物の表面を機械的に研磨しやすくなり、研磨レートが向上する。また、砥粒Aの平均二次粒子径は、特に制限されないが、250nm以下であることが好ましく、180nm以下であることがより好ましく、150nm以下であることがさらに好ましい。この範囲であると、研磨対象物の欠陥数やヘイズの低減効果が向上する。
研磨用組成物Sfp、研磨用組成物Sff、および研磨用組成物Sに含有される砥粒Afp、砥粒Aff、および砥粒Aの平均二次粒子径は、特に制限されないが、それぞれ10nm以上であることが好ましく、15nm以上であることがより好ましく、25nm以上であることがさらに好ましく、35nm以上であることが特に好ましい。この範囲であると、研磨対象物の表面を機械的に研磨しやすくなり、研磨レートが向上する。また、砥粒Afp、砥粒Aff、および砥粒Aの平均二次粒子径は、特に制限されないが、それぞれ100nm以下であることが好ましく、90nm以下であることがより好ましく、80nm以下であることがさらに好ましい。この範囲であると、研磨対象物の欠陥数やヘイズの低減効果が向上する。
なお、砥粒の平均一次粒子径の値は、例えば、BET法により測定される比表面積から算出される。砥粒の比表面積の測定は、例えば、マイクロメリテックス社製の「Flow SorbII 2300」を用いて行うことができる。本明細書において、当該平均一次粒子径を、BET法による平均一次粒子径とも称する。
また、砥粒の平均二次粒子径は、例えば動的光散乱法により測定され、例えば、日機装株式会社製の「ナノトラック(登録商標)UPA-UT151」を用いて測定することができる。
なお、本発明の一形態に係る研磨方法における各研磨工程、各研磨段で用いられる研磨用組成物に含まれる砥粒は、各研磨工程における研磨の目的によって好ましい含有量の範囲が異なる。
研磨用組成物Sに含有される砥粒Aの含有量は、特に制限されないが、研磨用組成物の総重量に対して0.01重量%以上であることが好ましく、0.1重量%以上であることがより好ましく、0.5重量%以上であることがさらに好ましい。この範囲であると、研磨レートが向上する。また、砥粒Aの含有量は、特に制限されないが、研磨用組成物の総重量に対して20重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましく、5重量%以下であることがさらに好ましい。この範囲であると、研磨対象物の欠陥数やヘイズの低減効果が向上する。
研磨用組成物Sfp、研磨用組成物Sff、および研磨用組成物Sに含有される砥粒Afp、砥粒Aff、および砥粒Aの含有量は、特に制限されないが、それぞれ研磨用組成物の総重量に対して0.001重量%以上であることが好ましく、0.01重量%以上であることがより好ましく、0.1重量%以上であることがさらに好ましい。この範囲であると、研磨レートが向上する。また、砥粒Afp、砥粒Aff、および砥粒Aの含有量は、特に制限されないが、それぞれ研磨用組成物の総重量に対して5重量%以下であることが好ましく、1重量%以下であることがより好ましく、0.5重量%以下であることがさらに好ましい。この範囲であると、研磨対象物の欠陥数やヘイズの低減効果が向上する。
[塩基性化合物]
研磨用組成物Sff、研磨用組成物Sfp、研磨用組成物S、および研磨用組成物Sをはじめとする、本発明の一形態で用いられうる研磨用組成物は、それぞれ塩基性化合物を含むことが好ましい。
なお、上記の条件(B)の場合、研磨用組成物Sffは、塩基性化合物を含む。また、この場合、研磨用組成物Sfp、研磨用組成物S、および研磨用組成物Sをはじめとする、研磨用組成物Sff以外の本発明の一形態で用いられる研磨用組成物は、それぞれ塩基性化合物を含むことが好ましい。
ここで、前述のように、研磨用組成物Sff、研磨用組成物Sfp、研磨用組成物S、および研磨用組成物Sに含まれる塩基性化合物を、それぞれ塩基性化合物Bff、塩基性化合物Bfp、塩基性化合物B、および塩基性化合物Bと称する。塩基性化合物は、研磨用組成物に添加されることによって研磨用組成物のpHを上昇させる機能を有する。塩基性化合物は、研磨対象物の面をエッチングにより化学的に研磨する働き、及び砥粒の分散安定性を向上させる働きを有する。また、塩基性化合物は、pH調整剤として用いることもできる。
本発明の一形態に係る研磨方法における各研磨工程、各研磨段で用いられる研磨用組成物に含まれる塩基性化合物は、それぞれ独立して、研磨条件や研磨対象物の種類等に応じて適宜選択することができる。
塩基性化合物の具体例としては、第2族元素またはアルカリ金属の水酸化物およびその塩、第四級アンモニウム化合物、アンモニア(水酸化アンモニウム)およびその塩、アミン等が挙げられる。第2族元素又はアルカリ金属の水酸化物又は塩において、第2族元素としては、特に制限されないが、アルカリ土類金属を好ましく用いることができ、例えば、カルシウムなどが挙げられる。また、アルカリ金属としては、カリウム、ナトリウムなどが挙げられる。塩としては、炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、酢酸塩などが挙げられる。第2族元素またはアルカリ金属の水酸化物又は塩としては、例えば、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、硫酸カリウム、酢酸カリウム、塩化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、および炭酸ナトリウム等が挙げられる。第四級アンモニウム化合物としては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムなどの水酸化物、塩化物、炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、およびリン酸塩などの塩が挙げられる。具体例としては、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウムなどの水酸化テトラアルキルアンモニウム;炭酸テトラメチルアンモニウム、炭酸テトラエチルアンモニウム、炭酸テトラブチルアンモニウムなどの炭酸テトラアルキルアンモニウム;塩化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウムなどの塩化テトラアルキルアンモニウム等が挙げられる。他のアンモニウム塩としては、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムなどが挙げられる。アミンの具体例としては、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、N-(β-アミノエチル)エタノールアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、無水ピペラジン、ピペラジン六水和物、1-(2-アミノエチル)ピペラジン、N-メチルピペラジン、グアニジンなどが挙げられる。
これらの中でも、塩基性化合物としては、入手容易性や除去性の観点から、第2族元素もしくはアルカリ金属の水酸化物、水酸化テトラアルキルアンモニウム、またはアンモニア(水酸化アンモニウム)が好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化テトラメチルアンモニウムまたはアンモニア(水酸化アンモニウム)がより好ましく、水酸化カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウムまたはアンモニア(水酸化アンモニウム)がさらに好ましい。
塩基性化合物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の一形態に係る研磨方法における各研磨工程、各研磨段で用いられる研磨用組成物に含まれる塩基性化合物は、各研磨工程における研磨の目的によって好ましい種類および含有量の範囲が異なる。
塩基性化合物Bと、塩基性化合物Bffと、塩基性化合物Bfpとの好ましい組み合わせとしては、予備研磨工程Pに用いられる研磨用組成物Sが第2族元素もしくはアルカリ金属の水酸化物または水酸化テトラアルキルアンモニウムを含有し、かつ仕上げ研磨工程Pに用いられる研磨用組成物S(SfpおよびSff)がアンモニア(水酸化アンモニウム)を含有する形態が好ましい。また、予備研磨工程Pに用いられる研磨用組成物Sが水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムまたは水酸化テトラメチルアンモニウムを含有し、かつ仕上げ研磨工程Pに用いられる研磨用組成物S(SfpおよびSff)がアンモニア(水酸化アンモニウム)を含有する形態がより好ましい。そして、予備研磨工程Pに用いられる研磨用組成物Sが水酸化カリウムを含有し、かつ仕上げ研磨工程Pに用いられる研磨用組成物S(SfpおよびSff)がアンモニア(水酸化アンモニウム)を含有する形態がさらに好ましい。
研磨用組成物S中の塩基性化合物Bの含有量は、特に制限されないが、研磨用組成物の総重量に対して0.001重量%以上であることが好ましく、0.01重量%以上であることがより好ましく、0.05重量%以上であることがさらに好ましい。この範囲であると、研磨レートが向上する。また、塩基性化合物Bの含有量は、特に制限されないが、研磨用組成物の総重量に対して10重量%以下であることが好ましく、1重量%以下であることがより好ましく、0.1重量%以下であることが好ましい。この範囲であると、研磨対象物の欠陥数やヘイズの低減効果が向上する。ここで含有量とは、二種以上の塩基性化合物を用いる場合はそれらの合計量を意味する。
研磨用組成物Sfp、研磨用組成物Sff、および研磨用組成物S中の塩基性化合物Bfp、塩基性化合物Bff、および塩基性化合物Bの含有量は、特に制限されないが、それぞれ研磨用組成物の総重量に対して0.0001重量%以上であることが好ましく、0.0005重量%以上であることがより好ましく、0.001重量%以上であることがさらに好ましい。この範囲であると、研磨レートが向上する。また、塩基性化合物Bfp、塩基性化合物Bff、および塩基性化合物Bの含有量は、特に制限されないが、それぞれ研磨用組成物の総重量に対して1重量%以下であることがより好ましく、0.1重量%以下であることがより好ましく、0.05重量%以下であることがさらに好ましい。この範囲であると、研磨対象物の欠陥数やヘイズの低減効果が向上する。ここで含有量とは、二種以上の塩基性化合物を用いる場合はそれらの合計量を意味する。
本発明の一形態に係る研磨方法における各研磨工程、各研磨段で用いられる研磨用組成物中の塩基性化合物の含有量は、研磨対象物の欠陥数やヘイズの低減効果の観点から、最後の研磨工程に近づくに従い段階的に少なくなることが好ましい。中でも、研磨用組成物S(SfpおよびSffのそれぞれ)中の塩基性化合物の含有量に対する、研磨用組成物S中の塩基性化合物の含有量の比率は、2倍以上20倍以下の範囲であることが好ましい。
[ヒドロキシエチルセルロース(HEC)]
研磨用組成物Sff、研磨用組成物Sfp、研磨用組成物S、および研磨用組成物Sをはじめとする、本発明の一形態で用いられうる研磨用組成物は、それぞれヒドロキシエチルセルロースを含んでいてもよい。これらの中でも、研磨用組成物Sffは、ヒドロキシエチルセルロースを含むことが好ましい。
上記の条件(B)の場合、研磨用組成物Sffは、ヒドロキシエチルセルロースを含む。また、この場合、研磨用組成物Sfp、研磨用組成物S、および研磨用組成物Sをはじめとする、研磨用組成物Sff以外の本発明の一形態で用いられる研磨用組成物は、それぞれヒドロキシエチルセルロースを含んでいてもよい。
ヒドロキシエチルセルロースは、研磨対象物の表面のヘイズを低減する働きを有する。
ヒドロキシエチルセルロースの重量平均分子量は、特に制限されないが、2,000以上であることが好ましく、10,000以上であることがより好ましく、50,000以上であることがさらに好ましい。この範囲であると、研磨レートが向上する。また、ヒドロキシエチルセルロースの重量平均分子量は、特に制限されないが、1,000,000以下であることが好ましく、800,000以下であることがより好ましく、500,000以下であることがさらに好ましい。この範囲であると、研磨対象物のヘイズの低減効果が向上する。重量平均分子量は、ゲルパーミーエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定することができる。具体的には、実施例に記載の方法により測定される値を採用することができる。
研磨用組成物Sff中のヒドロキシエチルセルロースの含有量は、特に制限されないが、研磨用組成物の総重量に対して0.00001重量%超であることが好ましく、0.0005重量%以上であることがより好ましく、0.001重量%以上であることがさらに好ましい。この範囲であると、研磨対象物のヘイズの低減効果が向上する。また、研磨用組成物Sff中のヒドロキシエチルセルロースの含有量は、特に制限されないが、研磨用組成物の総重量に対して1重量%以下であることが好ましく、0.1重量%以下であることがより好ましく、0.01重量%以下であることがさらに好ましい。この範囲であると、研磨対象物の欠陥数の低減効果が向上する。
また、研磨用組成物Sfpおよび研磨用組成物Sは、ヒドロキシエチルセルロースを実質的に含有しないことが好ましい。また、研磨用組成物Sはヒドロキシエチルセルロースを含んでいてもよく、その含有量は特に制限されない。しかしながら、研磨レートの観点から、ヒドロキシエチルセルロースの含有量が少ないほど好ましく、ヒドロキシエチルセルロースを実質的に含有しないことがより好ましい。
[水溶性高分子]
本発明の一形態に係る研磨方法における各研磨工程、各研磨段で用いられる研磨用組成物は、それぞれ水溶性高分子を含んでいてもよい。水溶性高分子は、研磨後の研磨対象物に濡れ性を付与してゴミの付着を抑制する働き、および研磨対象物の表面を保護することで、本発明により奏される欠陥数およびヘイズの低減効果を向上させる働き等を有する。
本明細書において、「水溶性」とは、水(25℃)に対する溶解度が1g/100mL以上であることを意味し、「高分子」とは、重量平均分子量が2,000以上である(共)重合体をいう。重量平均分子量は、ゲルパーミーエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定することができる。具体的には、実施例に記載の方法により測定される値を採用することができる。また、本明細書において、ここで説明する水溶性高分子には、溶解度や分子量に関わらず、ヒドロキシエチルセルロースは含まれないものとする。
水溶性高分子の重量平均分子量は、2,000以上であり、10,000以上であることが好ましく、150,000以上であることがより好ましい。この範囲であると、研磨レートが向上する。また、水溶性高分子の重量平均分子量は、特に制限されないが、1,000,000以下であることが好ましく、800,000以下であることがより好ましく、500,000以下であることがさらに好ましい。この範囲であると、研磨対象物のヘイズおよび欠陥の低減効果が向上する。
水溶性高分子としては、特に制限されないが、例えば、分子内に水酸基、カルボキシル基、アシルオキシ基、スルホ基、ビニル構造、ポリオキシアルキレン構造、窒素原子を含む部分構造等を含む高分子等が挙げられる。これらの中でも、分子内に水酸基を含む高分子または分子内に窒素原子を含む部分構造を含む高分子が好ましく、分子内に窒素原子を含む部分構造を含む高分子がより好ましい。
好ましい水溶性高分子の一つである分子内に水酸基を有する高分子としては、特に制限されないが、例えば、オキシアルキレン単位を有する高分子、ビニルアルコールに由来する構造単位を有する高分子等が挙げられる。
オキシアルキレン単位を有する高分子としては、特に制限されないが、例えば、ポリエチレンオキサイド(PEO)、エチレンオキサイド(EO)とプロピレンオキサイド(PO)とのブロック共重合体、EOとPOとのランダム共重合体等が挙げられる。
ビニルアルコールに由来する構造単位を有する高分子とは、一分子中にビニルアルコール単位(-CH-CH(OH)-により表される構造部分;以下「VA単位」ともいう。)を有する高分子をいう。また、ビニルアルコールに由来する構造単位を有する高分子は、VA単位に加え、非ビニルアルコール単位(ビニルアルコール以外のモノマーに由来する構造単位、以下「非VA単位」ともいう。)を含む共重合体であってもよい。非VA単位の例としては、特に制限されず、エチレンに由来する構造単位等が挙げられる。ビニルアルコールに由来する構造単位を含むポリマーは、非VA単位を含む場合、一種類の非VA単位のみを含んでもよく、二種類以上の非VA単位を含んでもよい。なお、VA単位と非VA単位との含有比率(モル比)は特に制限されず、例えば、VA単位:非VA単位(モル比)=1:99~99:1であることが好ましい。ビニルアルコールに由来する構造単位を含むポリマーとしては、特に制限されないが、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルアルコール・エチレン共重合体等が挙げられる。ポリビニルアルコールの鹸化度は、特に制限されないが、80%以上100%以下であることが好ましい。
水酸基を有する高分子の中でも、入手容易性や水溶性高分子の機能の観点から、ビニルアルコールに由来する構造単位を有する高分子が好ましく、ポリビニルアルコール(PVA)がより好ましい。
好ましい水溶性高分子の他の一つである窒素原子を含む部分構造を含む高分子としては、特に制限されないが、例えば、ポリN-アクリロイルモルホリン(PACMO)、ポリN-ビニルピロリドン(PVP)、ポリN-ビニルイミダゾール(PVI)、ポリN-ビニルカルバゾール、ポリN-ビニルカプロラクタム、ポリN-ビニルピペリジン等の含窒素複素環構造を有する高分子等が挙げられる。これらの中でも、入手容易性や欠陥数およびヘイズの低減効果等の観点から、ポリN-アクリロイルモルホリン(PACMO)またはポリN-ビニルピロリドン(PVP)が好ましい。
水溶性高分子は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本発明の一形態に係る研磨方法において用いる研磨用組成物に含まれうる水溶性高分子は、各研磨工程における研磨の目的によって好ましい種類および含有量の範囲が異なる。
研磨用組成物S(SfpおよびSff)および研磨用組成物Sは、それぞれ水溶性高分子を含むことが好ましい。研磨用組成物S(SfpおよびSff)および研磨用組成物Sの水溶性高分子の含有量の下限は、特に制限されないが、それぞれ研磨用組成物の総重量に対して0.001重量%超であることが好ましい。また、研磨用組成物S(SfpおよびSff)および研磨用組成物Sの水溶性高分子の含有量の上限は、特に制限されないが、それぞれ研磨用組成物の総重量に対して1重量%以下であることが好ましく、0.5重量%以下であることがより好ましく、0.1重量%以下であることがさらに好ましい。この範囲であると、研磨対象物の欠陥数やヘイズの低減効果が向上する。ここで含有量とは、二種以上の水溶性高分子を用いる場合はそれらの合計量を意味する。
一方、研磨用組成物S中の水溶性高分子の含有量は、特に制限されないが少ないほど好ましく、水溶性高分子を実質的に含有しないことがより好ましい。なお、本明細書において、「水溶性高分子を実質的に含有しない」とは、研磨用組成物の総重量に対して、水溶性高分子の含有量が0.001重量%以下である場合をいう。
[界面活性剤]
本発明の一形態に係る研磨方法における各研磨工程、各研磨段で用いられる研磨用組成物は、それぞれ界面活性剤を含んでいてもよい。界面活性剤は、研磨対象物の表面を保護することで、本発明による奏される欠陥数およびヘイズの低減効果を向上させる働きを有する。
本明細書において、界面活性剤の分子量の上限は、界面活性剤としての機能発現の観点から、2,000未満であり、1,000以下であることが好ましく、500以下であることがより好ましい。また、界面活性剤の分子量の下限は、特に制限されないが、同様の観点から、200以上であることが好ましい。なお、分子量は、原子量の総和より算出することができ、重合体等の分子量分布が存在するものについては、ゲルパーミーエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定することができる。GPCによって測定する場合、具体的には、実施例に記載の方法により測定される値を採用することができる。
界面活性剤としては、特に制限されず、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤等の公知の界面活性剤を用いることができる。これらの中でも、欠陥数およびヘイズの低減効果等の観点から、ノニオン性界面活性剤が好ましい。
ノニオン性界面活性剤の例としては、特に制限されないが、例えば、アルキルベタイン、アルキルアミンオキシド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、およびアルキルアルカノールアミド等が挙げられる。これらの中でも、研磨用組成物の分散安定性向上の観点から、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテルがより好ましく、ポリオキシエチレンデシルエーテルがさらに好ましい。
界面活性剤は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本発明の一形態に係る研磨方法における各研磨工程、各研磨段で用いられる研磨用組成物に含まれうる界面活性剤は、各研磨工程における研磨の目的によって好ましい種類および含有量の範囲が異なる。
研磨用組成物S(SfpおよびSff)および研磨用組成物Sは、それぞれ界面活性剤を含むことが好ましい。研磨用組成物S(SfpおよびSff)および研磨用組成物Sの界面活性剤の含有量の下限は、特に制限されないが、それぞれ研磨用組成物の総重量に対して0.00001重量%超であることが好ましく、0.00005重量%以上であることがより好ましく、0.0001重量%以上であることがさらに好ましい。また、研磨用組成物S(SfpおよびSff)および研磨用組成物Sの界面活性剤の含有量の好ましい範囲は、特に制限されないが、それぞれ研磨用組成物の総重量に対して0.1重量%以下であることが好ましく、0.05重量%以下であることがより好ましく、0.001重量%以下であることがさらに好ましい。この範囲であると、研磨対象物の欠陥数やヘイズの低減効果が向上する。ここで含有量とは、二種以上の界面活性剤を用いる場合はそれらの合計量を意味する。
一方、研磨用組成物S中の界面活性剤の含有量は、特に制限されないが、少ないほど好ましく、界面活性剤を実質的に含有しないことがより好ましい。なお、本明細書において、「界面活性剤を実質的に含有しない」とは、研磨用組成物の総重量に対して、界面活性剤の含有量が0.00001重量%以下である場合をいう。
[分散媒]
本発明の一形態に係る研磨方法における各研磨工程、各研磨段で用いられる研磨用組成物は、それぞれ分散媒(溶媒)を含むことが好ましい。分散媒は、各成分を分散または溶解させる機能を有する。
分散媒は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
分散媒としては、特に制限されないが、水を含むことが好ましい。分散媒中の水の含有量は、特に制限されないが、分散媒の総重量に対して50重量%以上であることが好ましく、90重量%以上であることがより好ましく、水のみであることがさらに好ましい。水としては、研磨対象物の汚染や他の成分の作用を阻害することを防止するという観点から、不純物をできる限り含有しない水が好ましい。例えば、遷移金属イオンの合計含有量が100ppb以下である水が好ましい。ここで、水の純度は、例えば、イオン交換樹脂を用いる不純物イオンの除去、フィルタによる異物の除去、蒸留等の操作によって高めることができる。具体的には、水としては、例えば、脱イオン水(イオン交換水)、純水、超純水、蒸留水などを用いることが好ましい。
また、分散媒は、各成分の分散性または溶解性を向上させることができる場合、有機溶媒であってもよく、水と有機溶媒との混合溶媒であってもよい。有機溶媒としては、特に制限されず公知の有機溶媒を用いることができる。水と有機溶媒との混合溶媒とする場合は、水と混和する有機溶媒であるアセトン、アセトニトリル、エタノール、メタノール、イソプロパノール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール等が好ましく用いられる。有機溶媒を用いる場合、水と有機溶媒とを混合し、得られた混合溶媒中に各成分を添加し分散または溶解してもよいし、これらの有機溶媒を水と混合せずに用いて、各成分を分散または溶解した後に、水と混合してもよい。これら有機溶媒は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
[他の成分]
本発明の一形態に係る研磨方法における各研磨工程、各研磨段で用いられる研磨用組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、それぞれ他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、特に制限されず、例えば、酸、キレート剤、防腐剤、防カビ剤、溶存ガス、還元剤等の公知の研磨用組成物に用いられる成分を適宜選択しうる。
[pH]
本発明の一形態に係る研磨方法における各研磨工程、各研磨段で用いられる研磨用組成物のpHの下限は、特に制限されないが、それぞれ7以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましく、9以上であることがさらに好ましい。この範囲であると、研磨レートが向上する。また、これらのpHの下限は、特に制限されないが、それぞれ12.5未満であることが好ましく、12以下であることがより好ましく、11以下であることがさらに好ましく、10.6以下であることが特に好ましい。この範囲であると、欠陥数およびヘイズの低減効果が向上する。
pHは、pHメーター(株式会社堀場製作所製 商品名:LAQUA(登録商標))により確認することができる。
pHは、上記塩基性化合物の種類および添加量、または任意に添加されうる上記他の成分である酸の種類および添加量等によって制御することができる。
[研磨用組成物の製造方法]
本発明の一形態に係る研磨方法における各研磨工程、各研磨段で用いられる研磨用組成物の製造方法は、上記説明した研磨用組成物に含まれる各成分を混合することを含むものであれば特に制限されない。
各成分を混合する際の混合方法は特に制限されず、公知の方法を適宜用いることができる。また混合温度は特に制限されないが、一般的には10~40℃が好ましく、溶解速度を上げるために加熱してもよい。また、混合時間も特に制限されない。
(研磨装置および研磨条件)
本発明の一形態に係る研磨工程に含まれる各研磨工程または各研磨段において用いられる研磨装置および採用されうる研磨条件について説明する。
研磨装置としては、研磨対象物を有する基板等を保持するホルダーと回転数を変更可能なモータ等とが取り付けてあり、研磨パッド(研磨布)を貼り付け可能な研磨定盤を有する一般的な研磨装置を用いることができる。例えば片面研磨装置や両面研磨装置を使用することができる。
片面研磨装置を用いて研磨対象物を研磨する場合には、キャリアと呼ばれる保持具を用いて研磨対象物を保持し、研磨パッド(研磨布)が貼付された定盤を研磨対象物の片面に押しつけて研磨用組成物を供給しながら定盤を回転させることにより、研磨対象物の片面を研磨する。
両面研磨装置を用いて研磨対象物を研磨する場合には、キャリアと呼ばれる保持具を用いて研磨対象物を保持し、研磨パッド(研磨布)が貼付された定盤を研磨対象物の両側から研磨対象物の両面にそれぞれ押しつけて、研磨用組成物を供給しながら両側の定盤を回転させることにより、研磨対象物の両面を研磨する。
研磨パッドとしては、一般的な不織布タイプ、ポリウレタンタイプ、スウェードタイプ等を特に制限なく使用することができる。研磨パッドには、研磨用組成物が溜まるような溝加工が施されていることが好ましい。
研磨条件については、ある研磨工程が、予備研磨工程P、中間研磨工程P、仕上げ研磨工程Pまたはこれら以外の研磨工程のいずれに分類されかに寄らず、各研磨工程または各研磨段における研磨の目的によってその好ましい範囲が異なることとなる。これより、研磨条件は、特に制限されず、各研磨工程または各研磨段における研磨の目的に応じて適切な条件が採用されうる。
研磨処理としては、片面研磨および両面研磨のいずれであってもよいが、片面研磨であることが好ましい。
プラテン(研磨定盤)回転数およびヘッド(キャリア)回転数は、特に制限されないが、10rpm以上100rpm以下であることが好ましい。特に、予備研磨工程Pでは、15rpm以上80rpm以下であることがより好ましい。また、仕上げ研磨工程Pでは、20rpm以上60rpm以下であることがより好ましく、25rpm以上55rpm以下であることがさらに好ましい。この範囲であると、研磨対象物の欠陥数やヘイズの低減効果が向上するとともに、生産効率も向上する。また、プラテン(研磨定盤)回転数およびヘッド(キャリア)回転数は、同じであっても、異なっていてもよいが、研磨対象物に対して同じ相対速度に設定されることが好ましい。
研磨対象物は、通常、定盤により加圧されている。この際の圧力(研磨荷重)は、特に制限されないが、5kPa以上30kPa以下であることが好ましい。特に、予備研磨工程Pでは、5kPa以上30kPa以下であることがより好ましく、10kPa以上25kPa以下であることがさらに好ましい。また、仕上げ研磨工程Pでは、10kPa以上20kPa以下であることがより好ましい。この範囲であると、研磨対象物の欠陥数やヘイズの低減効果が向上するとともに、生産効率も向上する。
各研磨用組成物は、研磨対象物に供給される前には濃縮された形態であってもよい。濃縮された形態とは、研磨用組成物の濃縮液の形態であり、研磨用組成物の原液としても把握されうる。このように濃縮された形態の研磨液は、製造、流通、保存等の際における利便性やコスト低減等の観点から有利である。濃縮倍率は特に限定されず、例えば、体積換算で2倍~100倍程度とすることができ、通常は5倍~50倍程度、例えば10倍~40倍程度が適当である。
このような濃縮液は、所望のタイミングで希釈して研磨用組成物を調製し、該研磨用組成物を研磨対象物に供給する態様で使用することができる。上記希釈は、例えば、上記濃縮液に水を加えて混合することにより行うことができる。
研磨用組成物の供給速度は、研磨定盤のサイズに応じて適宜選択することができるため特に制限されないが、研磨対象物全体が覆われる供給量であることが好ましく、経済性を考慮すると、0.1L/分以上5L/分以下であることがより好ましく、0.2L/分以上2L/分以下であることがさらに好ましい。この範囲であると、研磨対象物の欠陥数やヘイズの低減効果が向上するとともに、生産効率も向上する。
研磨用組成物を供給する方法も特に制限されず、ポンプ等で連続的に供給する方法(掛け流し)を採用してもよい。
研磨用組成物の研磨装置における保持温度としても特に制限はないが、研磨レートの安定性、研磨対象物の欠陥数やヘイズの低減効果の観点から、15℃以上40℃以下であることが好ましく、18℃以上25℃以下がより好ましい。
また、研磨用組成物は、研磨対象物の研磨に使用された後に回収し、必要に応じて研磨用組成物に含まれうる各成分を添加して組成を調整した上で、研磨対象物の研磨に再使用してもよい。
上記の研磨装置および研磨条件に関しては単に一例を述べただけであり、上記の範囲を外れてもよいし、適宜設定を変更することもできる。このような条件は当業者であれば適宜設定可能である。
研磨後に、研磨用組成物の洗浄処理を行うことが好ましい。洗浄方法としては、特に制限されないが、好ましい一例としては、29重量%濃度のアンモニア水:31重量%濃度の過酸化水素水:脱イオン水(DIW)=2:5.4:20の体積比や、29重量%濃度のアンモニア水:31重量%濃度の過酸化水素水:脱イオン水(DIW)=1:1:12の体積比となるよう混合して調製した洗浄液に6分間浸漬する方法が挙げられる。洗浄液への浸漬は、超音波発振器を作動させた状態で行うことが好ましい。また、洗浄液の温度は、特に制限されないが、40℃以上80℃以下の範囲とすることが好ましい。そして、洗浄液で洗浄した後、さらに脱イオン水(DIW)に浸漬することが好ましい。なお、洗浄後、スピンドライヤー等の公知の乾燥装置を用いて、研磨用組成物を乾燥することが好ましい。
<研磨用組成物セット>
本発明の他の一形態は、仕上げ研磨工程Pにおける最後の研磨段Pffで用いられる研磨用組成物Sffまたはその濃縮液と、前記研磨段Pffより前に設けられる研磨段Pfpで用いられる研磨用組成物Sfpまたはその濃縮液と、を含む、研磨用組成物セットであって、前記研磨用組成物Sffの上述の標準試験1で得られるヘイズパラメータの値は、前記研磨用組成物Sfpの標準試験1で得られるヘイズパラメータの値よりも小さい(すなわち、上記の条件(A)を満たす)、研磨用組成物セットに関する。本発明の一形態によれば、ケイ素-ケイ素結合を有する材料を含む研磨対象物の研磨方法において、研磨後の当該研磨対象物における、欠陥数およびヘイズの低減を高いレベルで両立しうる手段が提供される。
ここで、研磨用組成物セットが研磨用組成物Sffの濃縮液を含む場合であって、かつ、上記の条件(A)を満たす場合、研磨用組成物Sffの濃縮液は、希釈後の研磨用組成物Sffの標準試験で得られるヘイズパラメータの値が上記範囲を満たすものから選択される。
また、本発明の他の一形態は、仕上げ研磨工程Pにおける最後の研磨段Pffで用いられる研磨用組成物Sffまたはその濃縮液と、前記研磨段Pffより前に設けられる研磨段Pfpで用いられる研磨用組成物Sfpまたはその濃縮液と、を含む、研磨用組成物セットであって、
前記研磨用組成物Sffまたはその濃縮液は、砥粒Affと、塩基性化合物Bffと、ヒドロキシエチルセルロースとを含む(すなわち、上記の条件(B)を満たす)、研磨用組成物セットに関する。本発明の一形態によれば、ケイ素-ケイ素結合を有する材料を含む研磨対象物の研磨方法において、研磨後の当該研磨対象物における、欠陥数およびヘイズの低減を高いレベルで両立しうる手段が提供される。
なお、本発明の一形態に係る研磨用組成物セットは、上記の条件(A)および上記の条件(B)の両方を満たすことが好ましい。
本発明の一形態によれば、上記で説明した研磨方法に好ましく使用されうる研磨用組成物セットが提供されうる。研磨用組成物セットは、互いに分けて保管される研磨用組成物Sffと研磨用組成物Sfpとを少なくとも含む。ここで、研磨用組成物Sffは、濃縮された形態(濃縮液)であってもよく、研磨用組成物Sfpもまた濃縮液であってもよい。
当該研磨用組成物セットにおいて、研磨用組成物Sffまたはその濃縮液研磨用組成物Sfpまたはその濃縮液、および任意に用いられうる他の研磨用組成物またはその濃縮液は、互いに分けて保管される。
研磨用組成物セットにおいて、研磨用組成物Sfpまたはその濃縮液は、砥粒Afpと、塩基性化合物Bfpを含み、ヒドロキシエチルセルロースを実質的に含有しないことが好ましい。
また、本発明の一形態に係る研磨用組成物セットは、予備研磨工程Pで用いられる研磨用組成物Sをさらに含むことが好ましい。ここで、研磨用組成物Sは濃縮液であってもよい。当該研磨用組成物セットにおいて、研磨用組成物Sまたはその濃縮液、研磨用組成物Sffまたはその濃縮液研磨用組成物Sfpまたはその濃縮液、および任意に用いられうる他の研磨用組成物またはその濃縮液(例えば、研磨用組成物Sまたはその濃縮液等)は、互いに分けて保管される。
また、本発明の一形態に係る研磨用組成物セットは、中間研磨工程Pで用いられる研磨用組成物Sをさらに含むことが好ましい。ここで、研磨用組成物Sは濃縮液であってもよい。当該研磨用組成物セットにおいて、研磨用組成物Sまたはその濃縮液、研磨用組成物Sffまたはその濃縮液、研磨用組成物Sfpまたはその濃縮液、および任意に用いられうる他の研磨用組成物またはその濃縮液(例えば、研磨用組成物Sまたはその濃縮液等)は、互いに分けて保管される。
ここで、研磨用組成物Sff、研磨用組成物Sfp、研磨用組成物Sおよび研磨用組成物Sの詳細は、それぞれ上記の研磨方法で説明したものと同様である。また、仕上げ研磨工程P(研磨段Pffおよび研磨段Pfp)、予備研磨工程P、中間研磨工程Pの詳細は、それぞれ上記の研磨方法で説明の通りである。
上記で開示される研磨方法は、かかる研磨用組成物セットを用いて好適に実施することができる。したがって、上記研磨用組成物セットは、上記で開示される研磨方法や、当該研磨方法を実施することを含む研磨物(研磨済研磨対象物)の製造方法等に好ましく利用されうる。
研磨用組成物セットを構成する各研磨用組成物は、それぞれ、一剤型であってもよく、二剤型を始めとする多剤型であってもよい。多剤型の研磨用組成物は、例えば、各研磨用組成物の構成成分のうち少なくとも砥粒を含むパートAと、残りの成分を含むパートBとに分けて保管され、上記パートAと上記パートBとを混合して必要に応じて適切なタイミングで希釈することにより研磨用組成物が調製されるように構成されうる。
本発明の実施形態を詳細に説明したが、これは説明的かつ例示的なものであって限定的ではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって解釈されるべきであることは明らかである。
本発明は、下記態様および形態を包含する:
1.ケイ素-ケイ素結合を有する材料を含む研磨対象物の研磨方法であって、
仕上げ研磨工程Pを有し、
前記仕上げ研磨工程Pは、複数の研磨段を有し、
前記複数の研磨段は同一の研磨定盤において連続して行われ、
前記複数の研磨段における最後の研磨段は研磨用組成物Sffを用いて研磨する研磨段Pffであり、
前記複数の研磨段における前記研磨段Pffより前に設けられる研磨段は研磨用組成物Sfpを用いて研磨する研磨段Pfpであり、
前記研磨用組成物Sffは、下記条件(A)および下記条件(B)の少なくとも一方の条件を満たす、研磨方法:
条件(A):前記研磨用組成物Sffの標準試験1で得られるヘイズパラメータの値は、前記研磨用組成物Sfpの標準試験1で得られるヘイズパラメータの値よりも小さい、
条件(B):前記研磨用組成物Sffは、砥粒Affと、塩基性化合物Bffと、ヒドロキシエチルセルロースとを含む;
2.前記研磨用組成物Sfpは、砥粒Afpと、塩基性化合物Bfpとを含む、上記1.に記載の研磨方法;
3.前記砥粒Afpの平均一次粒子径は、5nm以上35nm未満である、上記2.に記載の研磨方法;
4.前記研磨用組成物Sfp中に存在する粒子の動的光散乱法によって測定されたD90をR1fpとし、
水酸化カリウムを用いてpHを12.5に調整し、30分撹拌した後の、前記研磨用組成物Sfp中に存在する粒子の動的光散乱法によって測定されたD90をR2fpとしたとき、
R1fp/R2fpが1.25以下である、上記1.~3.のいずれか1つに記載の研磨方法;
5.前記研磨用組成物Sfpは、ヒドロキシエチルセルロースを実質的に含有しない、上記1.~4.のいずれか1つに記載の研磨方法;
6.前記条件(A)において、前記研磨用組成物Sffは、砥粒Affと、塩基性化合物Bffとを含む、上記1.~5.のいずれか1つに記載の研磨方法;
7.前記条件(A)において、前記砥粒Affの平均一次粒子径は、5nm以上35nm未満である、上記6.に記載の研磨方法;
8.前記条件(B)において、前記砥粒Affの平均一次粒子径は、5nm以上35nm未満である、上記1.~5.のいずれか1つに記載の研磨方法;
9.前記研磨用組成物Sff中に存在する粒子の動的光散乱法によって測定されたD90をR1ffとし、
水酸化カリウムを用いてpHを12.5に調整し、30分撹拌した後の、前記研磨用組成物Sff中に存在する粒子の動的光散乱法によって測定されたD90をR2ffとしたとき、
R1ff/R2ffが1.25超である、上記1.~8.のいずれか1つに記載の研磨方法;
10.前記研磨段Pffの研磨時間が0秒超80秒以下である、上記1.~9.のいずれか1つに記載の研磨方法;
11.前記研磨段Pfpの研磨時間が20秒以上450秒以下である、上記1.~10.のいずれか1つに記載の研磨方法;
12.前記仕上げ研磨工程Pの前に、予備研磨工程Pを有し、
前記予備研磨工程Pは、標準試験2で得られる研磨レートが50nm/分以上である研磨用組成物Sを用いて研磨を行う工程であり、
前記仕上げ研磨工程Pは、標準試験2で得られる研磨レートが0nm/分超50nm/分未満である研磨用組成物Sを用いて研磨を行う工程であり、
前記研磨用組成物Sffおよび前記研磨用組成物Sfpは、共に前記研磨用組成物Sに該当する、上記1.~11.のいずれか1つに記載の研磨方法;
13.前記研磨用組成物Sは、砥粒Aと、塩基性化合物Bを含む、上記12.に記載の研磨方法;
14.前記研磨用組成物S中に存在する粒子の動的光散乱法によって測定されたD90をR1とし、
水酸化カリウムを用いてpHを12.5に調整し、30分撹拌した後の、前記研磨用組成物S中に存在する粒子の動的光散乱法によって測定されたD90をR2としたとき、
R1/R2が1.25以下である、上記12.または13.に記載の研磨方法;
15.前記仕上げ研磨工程Pと、前記予備研磨工程Pとの間に中間研磨工程Pを有し、
前記中間研磨工程Pは、標準試験2で得られる研磨レートが0nm/分超50nm/分未満である研磨用組成物Sを用いて研磨を行う工程であり、
前記研磨用組成物Sは、砥粒Aと、塩基性化合物Bとを含み、ヒドロキシエチルセルロースを実質的に含有せず、
前記研磨用組成物S中に存在する粒子の、動的光散乱法によって測定されたD90をR1とし、
水酸化カリウムを用いてpHを12.5に調整し、30分撹拌した後の、前記研磨用組成物S中に存在する粒子の、動的光散乱法によって測定されたD90をR2としたとき、
R1/R2が1.25以下である、上記12.~14.のいずれか1つに記載の研磨方法;
16.前記中間研磨工程Pと前記研磨段Pfpとの合計研磨時間が20秒以上450秒以下である、上記15.に記載の研磨方法;
17.仕上げ研磨工程Pにおける最後の研磨段Pffで用いられる研磨用組成物Sffまたはその濃縮液と、
前記研磨段Pffより前に設けられる研磨段Pfpで用いられる研磨用組成物Sfpまたはその濃縮液と、
を含む、研磨用組成物セットであって、
前記研磨用組成物Sffまたはその濃縮液は、下記条件(A)および下記条件(B)の少なくとも一方の条件を満たす、研磨用組成物セット:
条件(A):前記研磨用組成物Sffの標準試験1で得られるヘイズパラメータの値は、前記研磨用組成物Sfpの標準試験1で得られるヘイズパラメータの値よりも小さい、
条件(B):前記研磨用組成物Sffは、砥粒Affと、塩基性化合物Bffと、ヒドロキシエチルセルロースとを含む;
18.前記研磨用組成物Sfpまたはその濃縮液は、砥粒Afpと、塩基性化合物Bfpを含み、ヒドロキシエチルセルロースを実質的に含有しない、上記17.に記載の研磨用組成物セット;
19.予備研磨工程Pで用いられる研磨用組成物Sまたはその濃縮液をさらに含む、上記17.または18.に記載の研磨用組成物セット;
20.中間研磨工程Pで用いられる研磨用組成物Sまたはその濃縮液をさらに含む、上記17.~19.のいずれか1つに記載の研磨用組成物セット。
本発明を、以下の実施例および比較例を用いてさらに詳細に説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。なお、特記しない限り、「%」および「部」は、それぞれ、「重量%」および「重量部」を意味する。
<研磨用組成物の準備>
(研磨用組成物の調製)
下記表1に示される組成となるように、以下の材料を脱イオン水(DIW)中で混合することにより、研磨用組成物A、BおよびCをそれぞれ調製した。また、これらの研磨用組成物のpHを後述する方法により測定した。
・砥粒
シリカ1:コロイダルシリカ、BET法による平均一次粒子径25nm、
シリカ2:コロイダルシリカ、BET法による平均一次粒子径35nm。
・塩基性化合物
NH:アンモニア水(濃度29重量%、表1に記載の値はアンモニア量換算)、
KOH:水酸化カリウム。
・ヒドロキシエチルセルロース
HEC:ヒドロキシエチルセルロース(重量平均分子量:280,000)。
・水溶性高分子
PVA:ポリビニルアルコール(重量平均分子量:70,000、鹸化度98%以上)、
PACMO:ポリN-アクリロイルモルホリン(重量平均分子量:350,000)、
PVP:ポリN-ビニルピロリドン(重量平均分子量:17,000)。
・界面活性剤
C-PEO:ポリオキシエチレンデシルエーテル(重量平均分子量:400)。
(重量平均分子量)
ヒドロキシエチルセルロース、水溶性高分子および界面活性剤の重量平均分子量は、GPC法を用いて以下の条件にて測定した:
≪GPC測定条件≫
装置:東ソー株式会社製 HLC-8320GPC、
カラム:TSK-gel GMPWXL、
溶媒:100mM 硝酸ナトリウム水溶液/アセトニトリル=10~8/0~2(体積比)、
試料濃度:0.1重量%、
流量:1mL/min、
注入量:200μL、
測定温度:40℃、
分子量換算:ポリエチレングリコール換算、
検出器:示差屈折計(RI)。
(標準試験1で得られる各研磨用組成物のヘイズパラメータ)
[標準研磨工程1]
単結晶シリコンウェーハ(直径:300mm、p型、結晶方位<100>、COPフリー)を、下記研磨機の研磨定盤1上にて、上記調製した研磨用組成物Cを用いて、下記に示す研磨条件1で片面研磨した:
≪研磨条件1(前研磨)≫
研磨機:枚葉研磨機 PNX-332B(株式会社岡本工作機械製作所製)、
研磨パッド:SUBA400(不織布の基材にポリウレタンの樹脂を含浸させたパッド、厚さ1.27mm、硬度60(AskerC)、圧縮率9.4%、ニッタ・ハース株式会社製)、
研磨定盤:研磨定盤1、
研磨圧力:19kPa、
プラテン(研磨定盤)回転数:32rpm、
ヘッド(キャリア)回転数:30rpm、
研磨液:上記調製した研磨用組成物C、
研磨液の供給速度:1.0リットル/分(掛け流し)、
研磨時間:160sec、
定盤冷却水の温度:20℃、
研磨液の保持温度:20℃。
上記研磨工程の研磨条件1による研磨後のシリコンウェーハの研磨面を、同じ研磨機の研磨処理1とは異なる研磨定盤である研磨定盤2上にて、上記調製した研磨用組成物AまたはBを用いて、下記に示す研磨条件2で片面研磨した:
≪研磨条件2(後研磨)≫
研磨機:枚葉研磨機 PNX-332B(株式会社岡本工作機械製作所製)
研磨パッド:POLYPAS(登録商標) 27NX(スウェードタイプ、厚さ約1.5mm、密度約0.4g/cm、圧縮率約20%、圧縮弾性率約90%、硬度約40°(ショアA(Durometer A型))、平均開孔径約45μm、開孔率約25%、フジボウ愛媛株式会社製)、
研磨定盤:研磨定盤2、
研磨圧力:16kPa;
プラテン(研磨定盤)回転数:30rpm、
ヘッド(キャリア)回転数:30rpm、
研磨用組成物の供給速度:2.0リットル/分(掛け流し)、
研磨液:上記調製した研磨用組成物AまたはB、
研磨時間:160sec、
定盤冷却水の温度:20℃、
研磨液の保持温度:20℃。
[洗浄処理]
上記研磨工程の研磨条件2による研磨後のシリコンウェーハを、超音波発振器を作動させた状態において、29重量%濃度のアンモニア水:31重量%濃度の過酸化水素水:脱イオン水(DIW)=2:5.4:20の体積比となるよう混合して調製した洗浄液に6分間浸漬し洗浄した。洗浄液は、約70℃であった。その後、シリコンウェーハを、脱イオン水(DIW)に浸漬した後、乾燥した。
[ヘイズパラメータの算出]
上記洗浄処理後のシリコンウェーハのヘイズ(%)を、ケーエルエー・テンコール社製「Surfscan SP2XP」を用いて、DWOモードによって測定した。なお、ヘイズパラメータは、研磨用組成物Aによる研磨後のシリコンウェーハのヘイズ(%)を100とした相対値で評価した。これらの値を下記表2に標準ヘイズパラメータとして示す。
(標準試験2で得られる各研磨用組成物の研磨レート)
[前処理]
単結晶シリコンウェーハ(直径:200mm、p型、結晶方位<100>、COPフリー)を準備し、研磨前の重量を測定した。続いて、上記シリコンウェーハを、2重量%のHF(フッ化水素)水溶液に30秒間浸漬し、脱イオン水でリンスを行うことで、前処理を行った。
[標準研磨工程]
上記前処理後のシリコンウェーハを、上記調製した研磨用組成物A、B、またはCを用いて、下記に示す研磨条件で片面研磨した:
≪研磨条件≫
研磨機:枚葉研磨機 PNX-322(株式会社岡本工作機械製作所製)、
研磨パッド:POLYPAS(登録商標) 27NX(スウェードタイプ、厚さ約1.5mm、密度約0.4g/cm、圧縮率約20%、圧縮弾性率約90%、硬度約40°(ショアA(Durometer A型))、平均開孔径約45μm、開孔率約25%、フジボウ愛媛株式会社製)、
研磨荷重:15kPa、
プラテン(研磨定盤)回転数:30rpm、
ヘッド(キャリア)回転数:30rpm、
研磨液:上記調製した研磨用組成物A、BまたはC、
研磨用組成物の供給速度(掛け流し):0.4L/分、
研磨時間:600秒、
定盤冷却水の温度:20℃、
研磨用組成物の保持温度:20℃。
[洗浄処理]
上記標準研磨工程による研磨後のシリコンウェーハを、超音波発振器を作動させた状態において、29重量%濃度のアンモニア水:31重量%濃度の過酸化水素水:脱イオン水(DIW)=1:1:12の体積比となるよう混合して調製した洗浄液に6分間浸漬し洗浄した。洗浄液は、約60℃であった。その後、シリコンウェーハを、脱イオン水(DIW)に浸漬した後、スピンドライヤーにて乾燥した。
[研磨レートの算出]
上記洗浄処理後のシリコンウェーハ(直径:200mm、p型、結晶方位<100>、COPフリー)について、研磨後の重量を測定した。続いて、シリコンウェーハの研磨前後の重量差、シリコンウェーハの研磨面の面積およびシリコンの比重から、研磨レート(nm/min)を算出した。これらの値を下記表2に標準研磨レートとして示す。
(粒度変化率R1/R2)
上記調製した研磨用組成物A、B、またはCについて、日機装株式会社製のUPA-UT151を用いた動的光散乱法によって研磨用組成物中に存在する粒子の、体積基準粒度分布において小粒子径側からの累積粒子径分布が90%となる時の粒子径(D90)(nm)を測定し、得られたD90の値をR1とした。
また、上記調製した研磨用組成物A、B、またはCについて、水酸化カリウムを用いてpHを12.5に調整し、700rpmにて30分撹拌した後、日機装株式会社製のUPA-UT151を用いた動的光散乱法によってD90(nm)を測定し、得られたD90の値をR2とした。
なお、研磨用組成物(液温:25℃)のpHは、pHメーター(株式会社堀場製作所製 商品名:LAQUA(登録商標))により確認した。このとき、標準緩衝液(フタル酸塩pH緩衝液 pH:4.01(25℃)、中性リン酸塩pH緩衝液 pH:6.86(25℃)、炭酸塩pH緩衝液 pH:10.01(25℃))を用いて3点校正した後で、ガラス電極を研磨用組成物(濃縮液)に挿入し、2分以上経過し、安定した後の値を測定した。
そして、R1よりR2を除することで、粒度変化率R1/R2を算出した。各研磨用組成物の組成およびpHを下記表1に、粒度変化率R1/R2、標準試験1で得られる各研磨用組成物のヘイズパラメータ(標準ヘイズパラメータ)および標準試験2で得られる各研磨用組成物の研磨レート(標準研磨レート)を下記表2に示す。なお、表1において、研磨用組成物Aの水溶性高分子の欄にPVAとPACMOとが記載されているが、当該記載は、当該研磨用組成物においてこれら両方を併用したことを示すものである。
ここで、これら研磨用組成物を後述するように研磨用組成物S、SfpおよびSffとして用いる場合、これら研磨用組成物の粒度R1、R2および粒度変化率R1/R2は、それぞれR1、R2およびR1/R2、R1fp、R2fpおよびR1fp/R2fp、ならびにR1ff、R2ffおよびR1ff/R2ffとなる。
<研磨方法>
下記表3に記載の研磨方法によってシリコンウェーハの研磨を行った。各研磨工程における研磨条件を下記に示す。
(予備研磨工程P
単結晶シリコンウェーハ(直径:300mm、p型、結晶方位<100>、COPフリー)を、下記研磨機の研磨定盤1上にて、上記調製した研磨用組成物Cを研磨用組成物Sとして用いて、下記に示す研磨条件で片面研磨した:
≪予備研磨工程における研磨条件≫
研磨機:枚葉研磨機 PNX-332B(株式会社岡本工作機械製作所製)、
研磨パッド:SUBA400(不織布の基材にポリウレタンの樹脂を含浸させたパッド、厚さ1.27mm、硬度60(AskerC)、圧縮率9.4%、ニッタ・ハース株式会社製)、
研磨定盤:研磨定盤1、
研磨圧力:19kPa、
プラテン(研磨定盤)回転数:32rpm、
ヘッド(キャリア)回転数:30rpm、
研磨液:研磨用組成物S(上記調製した研磨用組成物C)、
研磨液の供給速度:1.0リットル/分(掛け流し)、
研磨時間:160sec、
定盤冷却水の温度:20℃、
研磨液の保持温度:20℃。
(仕上げ研磨工程P
上記予備研磨工程Pによる研磨後のシリコンウェーハの研磨面を、下記研磨機の研磨定盤2上にて、下記に示す研磨条件で片面研磨した:
≪研磨段Pfpにおける研磨条件≫
研磨機:枚葉研磨機 PNX-332B(株式会社岡本工作機械製作所製)
研磨パッド:POLYPAS(登録商標) 27NX(スウェードタイプ、厚さ約1.5mm、密度約0.4g/cm、圧縮率約20%、圧縮弾性率約90%、硬度約40°(ショアA(Durometer A型))、平均開孔径約45μm、開孔率約25%、フジボウ愛媛株式会社製)、
研磨定盤:研磨定盤2、
研磨圧力:16kPa;
プラテン(研磨定盤)回転数:30rpm、
ヘッド(キャリア)回転数:30rpm、
研磨用組成物の供給速度:2.0リットル/分(掛け流し)、
研磨液:研磨用組成物Sfp(上記調製した研磨用組成物AまたはB)、
研磨時間:下記表3に記載の時間、
定盤冷却水の温度:20℃、
研磨液の保持温度:20℃。
≪研磨段Pffにおける研磨条件≫
研磨機:枚葉研磨機 PNX-332B(株式会社岡本工作機械製作所製)、
研磨パッド:POLYPAS(登録商標) 27NX(スウェードタイプ、厚さ約1.5mm、密度約0.4g/cm、圧縮率約20%、圧縮弾性率約90%、硬度約40°(ショアA(Durometer A型))、平均開孔径約45μm、開孔率約25%、フジボウ愛媛株式会社製)、
研磨定盤:研磨定盤2、
研磨圧力:16kPa、
プラテン(研磨定盤)回転数:30rpm、
ヘッド(キャリア)回転数:30rpm、
研磨用組成物の供給速度:2.0リットル/分(掛け流し)、
研磨液:研磨用組成物Sff(上記調製した研磨用組成物AまたはB)、
研磨時間:下記表3に記載の時間、
定盤冷却水の温度:20℃、
研磨液の保持温度:20℃。
(洗浄処理)
上記仕上げ研磨工程による研磨後のシリコンウェーハを、超音波発振器を作動させた状態において、29重量%濃度のアンモニア水:31重量%濃度の過酸化水素水:脱イオン水(DIW)=2:5.4:20の体積比となるよう混合して調製した洗浄液に6分間浸漬し洗浄した。洗浄液は、約70℃であった。その後、シリコンウェーハを、脱イオン水(DIW)に浸漬した後、乾燥した。
<研磨後のシリコンウェーハの表面品質>
下記表3に記載の研磨方法による研磨後のシリコンウェーハの表面品質として、欠陥数およびヘイズの評価を行った。
(欠陥数)
下記表3に記載の研磨方法による研磨後のシリコンウェーハの欠陥数(個)を、下記方法に従って評価した。まず、ケーエルエー・テンコール(KLA-TENCOR)株式会社製の欠陥検出装置(ウエハ検査装置)Surfscan SP2XPを用いて、ウェーハ全面(ただし外周2mmは除く、すなわち、外周端部を0mmとしたときに、幅0mmから幅2mmまでの部分は除く)上の32nm以上の欠陥を欠陥座標と共に検出した。続いて、検出した欠陥座標における欠陥を、Review-SEM(RS-6000、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)で観察し、欠陥数を集計した。欠陥数は、研磨方法4による研磨後のシリコンウェーハの欠陥数を100とした相対値で評価した。欠陥数は、相対値が低いほど好ましく、50以下であると好ましい。
(ヘイズ)
下記表3に記載の研磨方法による研磨後のシリコンウェーハのヘイズ(%)を、ケーエルエー・テンコール社製「Surfscan SP2XP」を用いて、DWOモードによって測定した。なお、ヘイズは、研磨方法4による研磨後のシリコンウェーハのヘイズ(%)を100とした相対値で評価した。ヘイズは、相対値が低いほど好ましく、105以下であると好ましい。
各研磨方法による研磨後のシリコンウェーハの欠陥数およびヘイズの評価結果を下記表3に示す。
下記表1~3に示すように、本発明に係る研磨方法である、研磨方法1または2によれば、シリコンウェーハの欠陥数およびヘイズの低減を高いレベルで両立できることが確認された。一方、本発明の範囲外の研磨方法である、研磨方法3~5によれば、シリコンウェーハの欠陥数またはヘイズの少なくとも一方について、十分な低減効果が得られないことが確認された。
本出願は、2019年3月27日に出願された、日本特許出願番号第2019-061177号および日本特許出願番号第2019-061187号に基づいており、これらの開示内容は、これらの全体が参照により本明細書に組みこまれる。

Claims (20)

  1. ケイ素-ケイ素結合を有する材料を含む研磨対象物の研磨方法であって、
    仕上げ研磨工程Pを有し、
    前記仕上げ研磨工程Pは、複数の研磨段を有し、
    前記複数の研磨段は同一の研磨定盤において連続して行われ、
    前記複数の研磨段における最後の研磨段は研磨用組成物Sffを用いて研磨する研磨段Pffであり、
    前記複数の研磨段における前記研磨段Pffより前に設けられる研磨段は研磨用組成物Sfpを用いて研磨する研磨段Pfpであり、
    前記研磨用組成物Sffは、下記条件(A)および下記条件(B)の少なくとも一方の条件を満たし、
    前記研磨方法は、下記(I)、下記(II)および下記(III)からなる群から選択される少なくとも1つを満たす、研磨方法:
    条件(A):前記研磨用組成物Sffの標準試験1で得られるヘイズパラメータの値は、前記研磨用組成物Sfpの標準試験1で得られるヘイズパラメータの値よりも小さい
    条件(B):前記研磨用組成物Sffは、砥粒Affと、塩基性化合物Bffと、ヒドロキシエチルセルロースとを含む
    (I)前記研磨用組成物S fp 中に存在する粒子の動的光散乱法によって測定されたD90をR1 fp とし、
    水酸化カリウムを用いてpHを12.5に調整し、30分撹拌した後の、前記研磨用組成物S fp 中に存在する粒子の動的光散乱法によって測定されたD90をR2 fp としたとき、
    R1 fp /R2 fp が1.25以下であること;
    (II)前記研磨用組成物S ff 中に存在する粒子の動的光散乱法によって測定されたD90をR1 ff とし、
    水酸化カリウムを用いてpHを12.5に調整し、30分撹拌した後の、前記研磨用組成物S ff 中に存在する粒子の動的光散乱法によって測定されたD90をR2 ff としたとき、
    R1 ff /R2 ff が1.25超であること;
    (III)前記仕上げ研磨工程P の前に、予備研磨工程P を有し、
    前記予備研磨工程P は、標準試験2で得られる研磨レートが50nm/分以上である研磨用組成物S を用いて研磨を行う工程であり、
    前記仕上げ研磨工程P は、標準試験2で得られる研磨レートが0nm/分超50nm/分未満である研磨用組成物S を用いて研磨を行う工程であり、
    前記研磨用組成物S ff および前記研磨用組成物S fp は、共に前記研磨用組成物S に該当し、
    前記研磨用組成物S 中に存在する粒子の動的光散乱法によって測定されたD90をR1 とし、
    水酸化カリウムを用いてpHを12.5に調整し、30分撹拌した後の、前記研磨用組成物S 中に存在する粒子の動的光散乱法によって測定されたD90をR2 としたとき、
    R1 /R2 が1.25以下であること
  2. 前記研磨用組成物Sfpは、砥粒Afpと、塩基性化合物Bfpとを含む、請求項1に記載の研磨方法。
  3. 前記砥粒Afpの平均一次粒子径は、5nm以上35nm未満である、請求項2に記載の研磨方法。
  4. 前記研磨用組成物Sfp中に存在する粒子の動的光散乱法によって測定されたD90をR1fpとし、
    水酸化カリウムを用いてpHを12.5に調整し、30分撹拌した後の、前記研磨用組成物Sfp中に存在する粒子の動的光散乱法によって測定されたD90をR2fpとしたとき、
    R1fp/R2fpが1.25以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の研磨方法。
  5. 前記研磨用組成物Sfpは、ヒドロキシエチルセルロースを実質的に含有しない、請求項1~4のいずれか1項に記載の研磨方法。
  6. 前記条件(A)において、前記研磨用組成物Sffは、砥粒Affと、塩基性化合物Bffとを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の研磨方法。
  7. 前記条件(A)において、前記砥粒Affの平均一次粒子径は、5nm以上35nm未満である、請求項6に記載の研磨方法。
  8. 前記条件(B)において、前記砥粒Affの平均一次粒子径は、5nm以上35nm未満である、請求項1~5のいずれか1項に記載の研磨方法。
  9. 前記研磨用組成物Sff中に存在する粒子の動的光散乱法によって測定されたD90をR1ffとし、
    水酸化カリウムを用いてpHを12.5に調整し、30分撹拌した後の、前記研磨用組成物Sff中に存在する粒子の動的光散乱法によって測定されたD90をR2ffとしたとき、
    R1ff/R2ffが1.25超である、請求項1~8のいずれか1項に記載の研磨方法。
  10. 前記研磨段Pffの研磨時間が0秒超80秒以下である、請求項1~9のいずれか1項に記載の研磨方法。
  11. 前記研磨段Pfpの研磨時間が20秒以上450秒以下である、請求項1~10のいずれか1項に記載の研磨方法。
  12. 前記仕上げ研磨工程Pの前に、予備研磨工程Pを有し、
    前記予備研磨工程Pは、標準試験2で得られる研磨レートが50nm/分以上である研磨用組成物Sを用いて研磨を行う工程であり、
    前記仕上げ研磨工程Pは、標準試験2で得られる研磨レートが0nm/分超50nm/分未満である研磨用組成物Sを用いて研磨を行う工程であり、
    前記研磨用組成物Sffおよび前記研磨用組成物Sfpは、共に前記研磨用組成物Sに該当する、請求項1~11のいずれか1項に記載の研磨方法。
  13. 前記研磨用組成物Sは、砥粒Aと、塩基性化合物Bを含む、請求項12に記載の研磨方法。
  14. 前記研磨用組成物S中に存在する粒子の動的光散乱法によって測定されたD90をR1とし、
    水酸化カリウムを用いてpHを12.5に調整し、30分撹拌した後の、前記研磨用組成物S中に存在する粒子の動的光散乱法によって測定されたD90をR2としたとき、
    R1/R2が1.25以下である、請求項12または13に記載の研磨方法。
  15. 前記仕上げ研磨工程Pと、前記予備研磨工程Pとの間に中間研磨工程Pを有し、
    前記中間研磨工程Pは、標準試験2で得られる研磨レートが0nm/分超50nm/分未満である研磨用組成物Sを用いて研磨を行う工程であり、
    前記研磨用組成物Sは、砥粒Aと、塩基性化合物Bとを含み、ヒドロキシエチルセルロースを実質的に含有せず、
    前記研磨用組成物S中に存在する粒子の、動的光散乱法によって測定されたD90をR1とし、
    水酸化カリウムを用いてpHを12.5に調整し、30分撹拌した後の、前記研磨用組成物S中に存在する粒子の、動的光散乱法によって測定されたD90をR2としたとき、
    R1/R2が1.25以下である、請求項12~14のいずれか1項に記載の研磨方法。
  16. 前記中間研磨工程Pと前記研磨段Pfpとの合計研磨時間が20秒以上450秒以下である、請求項15に記載の研磨方法。
  17. 仕上げ研磨工程Pにおける最後の研磨段Pffで用いられる研磨用組成物Sffまたはその濃縮液と、
    前記研磨段Pffより前に設けられる研磨段Pfpで用いられる研磨用組成物Sfpまたはその濃縮液と、
    を含む、研磨用組成物セットであって、
    前記研磨用組成物Sffまたはその濃縮液は、下記条件(A)および下記条件(B)の少なくとも一方の条件を満たし、
    前記研磨用組成物セットは、下記(I)、下記(II)および下記(III)からなる群より選択される少なくとも1つを満たす、研磨用組成物セット:
    条件(A):前記研磨用組成物Sffの標準試験1で得られるヘイズパラメータの値は、前記研磨用組成物Sfpの標準試験1で得られるヘイズパラメータの値よりも小さい
    条件(B):前記研磨用組成物Sffは、砥粒Affと、塩基性化合物Bffと、ヒドロキシエチルセルロースとを含む
    (I)前記研磨用組成物S fp 中に存在する粒子の動的光散乱法によって測定されたD90をR1 fp とし、
    水酸化カリウムを用いてpHを12.5に調整し、30分撹拌した後の、前記研磨用組成物S fp 中に存在する粒子の動的光散乱法によって測定されたD90をR2 fp としたとき、
    R1 fp /R2 fp が1.25以下であること;
    (II)前記研磨用組成物S ff 中に存在する粒子の動的光散乱法によって測定されたD90をR1 ff とし、
    水酸化カリウムを用いてpHを12.5に調整し、30分撹拌した後の、前記研磨用組成物S ff 中に存在する粒子の動的光散乱法によって測定されたD90をR2 ff としたとき、
    R1 ff /R2 ff が1.25超であること;
    (III)前記研磨用組成物セットは、前記仕上げ研磨工程P より前に配置される予備研磨工程P で用いられる研磨用組成物S またはその濃縮液をさらに含み、
    前記予備研磨工程P は、標準試験2で得られる研磨レートが50nm/分以上である研磨用組成物S を用いて研磨を行う工程であり、
    前記仕上げ研磨工程P は、標準試験2で得られる研磨レートが0nm/分超50nm/分未満である研磨用組成物S を用いて研磨を行う工程であり、
    前記研磨用組成物S ff および前記研磨用組成物S fp は、共に前記研磨用組成物S に該当し、
    前記研磨用組成物S 中に存在する粒子の動的光散乱法によって測定されたD90をR1 とし、
    水酸化カリウムを用いてpHを12.5に調整し、30分撹拌した後の、前記研磨用組成物S 中に存在する粒子の動的光散乱法によって測定されたD90をR2 としたとき、
    R1 /R2 が1.25以下であること
  18. 前記研磨用組成物Sfpまたはその濃縮液は、砥粒Afpと、塩基性化合物Bfpを含み、ヒドロキシエチルセルロースを実質的に含有しない、請求項17に記載の研磨用組成物セット。
  19. 予備研磨工程Pで用いられる研磨用組成物Sまたはその濃縮液をさらに含む、請求項17または18に記載の研磨用組成物セット。
  20. 中間研磨工程Pで用いられる研磨用組成物Sまたはその濃縮液をさらに含む、請求項17~19のいずれか1項に記載の研磨用組成物セット。
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