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JP7748859B2 - 端子付き電線、ワイヤハーネス - Google Patents
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JP7748859B2 - 端子付き電線、ワイヤハーネス - Google Patents

端子付き電線、ワイヤハーネス

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Description

本発明は、例えば自動車等に用いられる端子付き電線等に関するものである。
通常、自動車用ワイヤハーネスは、被覆導線の導体に圧着端子が接続された後に束ねられて、自動車等の信号線などとして配索される。一般的な被覆導線と圧着端子は、被覆導線の先端部の被覆が除去され、露出させた導線と導線圧着部とが圧着され、被覆部が被覆圧着部で圧着されて接続される。この際、導線の表面には導通性の悪い酸化膜ができるが、導線圧着部をかしめるときに強圧縮することで、この酸化膜を破壊することができるとともに、導線と圧着部とを確実に接触させることができる。このため、導線を構成する導体素線は、圧着端子の導線圧着部と接して圧着端子との間で導通が得られる。
しかし、特に自動車に用いられるワイヤハーネスにおいては、軽量化のため従来よりも細い電線が使用されることがあり、0.35sq(sq:mmの意味)以下の細径の電線が求められている。このように、細い電線の場合においては過度の圧縮による素線の破断や、素線のダメージにより、接続部の引張強度が著しく低下してしまう問題がある。しかし、圧縮を弱めると、上述したように、酸化被膜の破壊が十分ではなく、また、導線と導線圧着部との接触が十分ではなくなるため、接続部の抵抗増加の問題がある。
すなわち、強圧縮では、素線へのダメージが生じ、圧着部の強度が低下し易くなり、弱圧縮では、導線圧着部と導線との接触面積の確保や酸化膜の破壊が十分ではなく、圧着部抵抗が上昇するとともに、圧着が不十分なために引き抜きが発生するため、圧着部の強度も確保できない。このように、特に細径の被覆電線においては、導通性と引張強度のバランスを圧縮率のみで制御することが難しい。このため、一度の圧着で、導通性と引張強度のバランスを圧縮率で制御しやすい接続体が望まれている。
これに対し、抗張力体入りの電線が検討されている。例えば、引張強度が30N程度である導体からなる電線を使用する場合において、自動車用電線で要求される80Nを超える引張強度を確保する為に、抗張力体入りの電線として、金属製や非金属製の抗張力体の外周に導線が螺旋状に巻かれているものが提案されている。このような電線は、導体を段剥きし、抗張力体を露出させてスリーブに挿入し、抗張力体を鋼製クランプで圧着し、さらに接着剤等の硬化性樹脂により一体化するとともに、導体部分をアルミニウム等のクランプで圧着する方法がある(特許文献1)。
また、複数の素線が束ねられてなる導体部と、導体部の外周側かつ被覆材の内周側であって素線同士の間に存在する谷間に繊維状の抗張力体が配置された被覆電線が提案されている(特許文献2)。
しかし、特許文献1も特許文献2も、例えば、太径の被覆導線を用いて圧着端子と接続を行う場合には、接続強度と接続抵抗が両立するような圧縮率で導線圧着部での圧着を行うことができるが、電線の径が細くなると、接続強度も電気抵抗も適切な圧着条件範囲が狭くなる。これは、前述したように、接続強度を確保しようとすると導体が破断して接続抵抗が高くなり、接続抵抗を重視すると、接続強度を得ることができず、電線の抜けの要因となるためである。このように、電線径が細くなればなるほど、接続強度と電気抵抗の両立は難しくなる。
例えば、特許文献1では、スリーブに導体を挿入して圧着する方式であるが、より細い電線を管形状端子に挿入して圧着する際に、強圧縮では、導体が細いため素線へのダメージが生じ、引張強度が低下し易くなり、弱圧縮では、導体表面の酸化膜の破壊が不十分となり、金属結合状態が弱くなり導通性が低下する。
また、特に、オープンバレル形状で圧着を行うと、圧着時に導体と抗張力体が散逸し、引張強度が低下し圧着部抵抗が上昇するという問題がある。また、従来の抗張力体入り電線の接続の際には、段剥き作業や、抗張力体の圧着と導線の圧着のそれぞれの圧着工程が必要となる。このため、部品点数も多く、作業工数も増えて、高コストとなる。特に電線の径が細くなると、段剥き自体が困難になる。このように、特許文献1では、製造工程が複雑となるため、加工コストが増加するという問題がある。
また、特許文献2には、導線間に繊維状の抗張力体を備えることで、電気的特性を低下させることなく強度を向上させた例が開示されている。しかし、特許文献2の電線を圧着したとき、導線と端子の間に抗張力体が入りこむため、圧着部抵抗が上昇するおそれがある。仮に抗張力体が導体であったとしても、温度変化が加わったときに、熱膨張率の差で、抗張力体と導線の間にギャップが生じるため、圧着部抵抗が上昇する。
このように、特許文献1も特許文献2も、圧着時の圧縮率が低いと(すなわち強圧縮)、抗張力体がダメージを受けて引張強度が低下し、圧着時の圧縮率が高いと(すなわち弱圧縮)、圧着部抵抗が上昇する。すなわち、一度の圧着で、導通性と引張強度のバランスを圧縮率で制御することは難しい。
一方、特にアルミニウム導線の場合には、表面に酸化被膜が形成されるため、接続抵抗を低減するために、導線圧着部の内面にセレーションを形成する方法が提案されている(例えば特許文献3~5)。このようなセレーションは、導線の酸化被膜を破壊して、接続抵抗を低減するとともに、引張方向の引っ掛かりとなるように、導線の軸方向に対して直交する方向に延びるように形成されるか、又は導線の軸方向に対して断続的に凹凸として形成される。
実開昭61-046827号公報 特開2012-3856号公報 特開2017-84485号公報 特開2015-32542号公報 国際公開公報2019/167714号公報
しかし、セレーションを被覆導線の長手方向に対して直交する方向に形成する方法や、被覆導線の長手方向に対して断続的に形成する方法では、被覆導線の外周部に位置する導線は、長手方向に配置される全てのセレーションと交差する。導線とセレーションとの交差部では、導線は、セレーションの凹凸により径の細い部位と太い部とが交互に形成される。ある程度の太さのある導線の場合には、このような断面形態の変化は、引張強度の増加に寄与することもあるが、特に細線になると、このような断面変化部が導線の破断点となる傷となるおそれがある。このため、従来のセレーションを適用すると、却って引張強度が低下するおそれがある。さらに、長手方向に直交または導線の撚り方向と逆向きのセレーションがある場合(すなわち、セレーションと導体素線との交差部が多い場合)は、セレーションの凹部に導線が入りこみ、導線に不自然な引張方向の荷重がかかり、断線するおそれがある。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、接続強度と接続抵抗の両立が可能な端子付き電線等を提供することを目的とする。
前述した目的を達するために第1の発明は、被覆導線と端子とが電気的に接続される端子付き電線であって、前記被覆導線は、抗張力体と、前記抗張力体の外周に配置され、複数の導体からなる導線と、を有し、前記端子は、前記被覆導線の先端の被覆部から露出する前記導線が圧着される導線圧着部と、前記被覆導線の前記被覆部が圧着される被覆圧着部と、を具備し、前記導線圧着部の内面には、前記導線の長手方向又は長手方向に対して直交する方向以外の所定の角度に延びるセレーションが、周方向に併設され、前記導線の長手方向に対する前記セレーションの形成角度が、前記導線の長手方向に対する前記導体の延伸方向に対して±60度以内であり、前記導線は、前記抗張力体の外周に複数の導体が撚り合わせられて形成され、前記導線圧着部の内面には、前記導線の長手方向に対して所定の角度に前記セレーションが形成され、前記導線の長手方向に対する前記セレーションが延伸する螺旋方向と、前記導線の長手方向に対する前記導体が延伸する螺旋方向とが同一方向であることを特徴とする端子付き電線である。
前記導線の少なくとも先端部が、外周側から圧縮されていてもよい。
前記導体には、めっき処理が施されていてもよい。
前記導線は、前記抗張力体の外周に複数の導体素線が撚り合わせられて形成され、前記セレーションの幅が、導体素線の径の0.5倍以上2倍以下であることが望ましい。
第1の発明によれば、被覆導線の長手方向に垂直な断面において、抗張力体の外周部に導線が配置されているため、導線圧着部で導線を圧着した際に、確実に導線と導線圧着部とを接触させて導通させることができるとともに、抗張力体によって引張強度を高めることができる。
この際、導線圧着部にセレーションが設けられるため、導体と導線圧着部の接触面積の増大により、接続抵抗を下げることができる。例えば、セレーションのない状態では、導線のヤング率が抗張力体のヤング率よりも低いため、導線の方が先に伸びて、結果、導線の破断が生じるおそれがある。しかし、セレーションを設けることで、端子と導線の接触面積が増加し、端子導体間の摩擦力が増加する。このため、増加した摩擦力が導線の伸びを抑制し、引張試験で発生する荷重が抗張力体に分散することで電線の引張強度が上昇する。
また、セレーションの形成方向が、被覆導線の長手方向に対して直交する方向ではないため、導体とセレーションとの交差箇所を減らすことができる。このように、被覆導線の長手方向に対して直交する方向ではなく、被覆導線の長手方向又は長手方向に対して所定の角度に延びるようにセレーションを形成することで、導体への傷の発生を抑制し、引張強度の低下を抑制することができる。
また、複数の導体が撚り合わせられている導線の場合には、セレーションの螺旋の向きと、導線の長手方向に対する導体の撚り合わせの螺旋の向きを同一方向とすることで、より効率的に、導体とセレーションとの交差箇所を減らすことができる。
上述したような効果は、導線の長手方向に対するセレーションの形成角度が、導線の長手方向に対する導体の撚り角度に対して、±60度以内である場合に、特に有効である。
また、導線の先端部を、外周側から圧縮して端末処理部を形成することで、導線の先端を管状の導線圧着部へ挿入する際に、導線がばらけてしまうことを抑制することができる。
また、導体の表面に導電性の金属でメッキすることで、導通性及び引張強度に対して効果的である。また、電線圧着時の作業時に導体素線のばらつきが小さくなるという作業性への改善効果もある。
また、セレーションの幅が、導体素線径の0.5倍以上2倍以下であれば、導線と導線圧着部の接触面積を確保することができる。
第2の発明は、第1の発明にかかる端子付き電線を含む、複数の端子付き電線が一体化されたことを特徴とするワイヤハーネスである。
第2の発明によれば、細径の電線が複数束ねられたワイヤハーネスを得ることができる。
本発明によれば、接続強度と接続抵抗の両立が可能な端子付き電線等を提供することができる。
端子付き電線10を示す斜視図。 (a)は、端子付き電線10を示す軸方向の断面図、(b)は、導線圧着部7における径方向断面図。 圧着前の端子1と被覆導線11を示す図。 (a)は、導線13の先端部を示す図、(b)~(d)は、端末処理部19の形態を示す図。 端末処理部19の他の形態を示す図。 (a)、(b)は、圧着前の端子1の展開図。 (a)は圧着前の端子1の展開図、(b)は導線13の展開図。 (a)は、端子付き電線10aを示す斜視図、(b)は、導線圧着部7における径方向断面図。 (a)は、端子付き電線10bを示す斜視図、(b)は、導線圧着部7における径方向断面図。
(第1の実施形態)
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1は、端子付き電線10を示す斜視図であり、図2(a)は、端子付き電線10の軸方向の断面図、図2(b)は、導線圧着部7の径方向断面図である。端子付き電線10は、端子1と被覆導線11とが電気的に接続されて構成される。
被覆導線11は、断面の略中央に配置される抗張力体17と、抗張力体17の外周に配置された複数の導体からなる導線13と、導線13を被覆する被覆部15からなる。なお、抗張力体17と導線13とから構成される導線を、複合導体12とする。また、被覆導線11は、被覆部15の先端から導線13が露出する。なお、導体は、軟銅線、硬銅線、銅合金線、コルソン合金線、アルミニウム線、アルミニウム合金線などから構成されるが、コスト及び電線導通性の観点からは、軟銅線、硬銅線、銅合金線であることが望ましい。この際、導線13(導体)の表面にスズめっきなどのめっき処理を施してもよい。
抗張力体17は、引張荷重に対して張力を受ける部材である。また、詳細は後述するが、抗張力体17の外周部において、導線13(複数の導体素線)が、被覆導線11の長手方向に螺旋状に撚られていてもよい。この際、抗張力体17の外周に配置されるそれぞれの導線13(導体素線)が、同一断面積の同一形状の導体からなってもよい。
端子1は、例えば銅、銅合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金製である。端子1は、端子本体3と圧着部5とがトランジション部4を介して連結されて構成される。端子1の圧着部5には被覆導線11が接続される。
端子本体3は、所定の形状の板状素材を、断面が矩形の筒体に形成したものである。端子本体3は、内部に、板状素材を矩形の筒体内に折り込んで形成される弾性接触片を有する。端子本体3は、前端部から雄型端子などが挿入されて接続される。なお、以下の説明では、端子本体3が、雄型端子等の挿入タブ(図示省略)の挿入を許容する雌型端子である例を示すが、本発明において、この端子本体3の細部の形状は特に限定されない。例えば、雌型の端子本体3に代えて雄型端子の挿入タブを設けてもよいし、丸型端子のようなボルト締結部を設けても良い。
端子1の圧着部5は、被覆導線11と圧着される部位であり、被覆導線11の先端側に被覆部15から露出する導線13を圧着する導線圧着部7と、被覆導線11の被覆部15を圧着する被覆圧着部9とを有する。すなわち、被覆部15が剥離されて露出する導線13が、導線圧着部7により圧着され、導線13と端子1とが電気的に接続される。また、被覆導線11の被覆部15は、端子1の被覆圧着部9によって圧着される。なお、本実施形態では、導線圧着部7と被覆圧着部9は、いわゆるオープンバレル型である。
導線圧着部7の内面には、導線圧着部7の軸方向(すなわち、導線圧着部7で圧着される導線13の長手方向)又は導線圧着部7の軸方向(導線13の長手方向)に対して直交する方向以外の所定の角度に延びる複数のセレーション18が設けられる。図2(b)に示すように、複数のセレーション18は導線圧着部7の周方向の略全周にわたって所定の間隔で併設される。なお、オープンバレル型の圧着部5は、対向する少なくとも一対のバレル片が折り込まれて、被覆導線11が圧着される。この際、導線圧着部7の被覆導線11へ折り込まれる部位(すなわち、バレル片の先端部近傍)には、セレーション18を形成しなくてもよい。
なお、セレーション18としては、他の部位よりも厚み薄い凹部であってもよく、他の部位よりも厚みの厚い凸部であってもよい。また、長手方向に対して所定の角度に延びるとは、長手方向に対して直交する方向に延びるものを除くものとする。なお、セレーション18の延伸方向については詳細を後述する。
セレーション18は、例えば導線13がアルミニウム(又はアルミニウム合金)製である場合には、表面の酸化被膜を破壊するのに効果的である。また、導線13が銅製(又は銅合金製)である場合でも、導線13とセレーション18との交差部で、導線13の断面形状の変化が生じ、導線13と導線圧着部7の接触面積を増加させることができる。このため、接続抵抗を低下させることができる。
ここで、本発明は、複合導体12の断面積(導線13と抗張力体17の断面積の総計)が、2.5sq以下である場合に、セレーション18による効果が見られ、0.35sq以下である場合に特に有効である。さらには、複合導体12の断面積(導線13と抗張力体17の断面積の総計)は、0.3sq以下であることが望ましい。また、導線13は抗張力体17とともに用いられるため、導線13と抗張力体17の断面積の総計は0.05sq以下であってもよい。導線13の断面積が小さいほど、本実施形態の効果が大きい。なお、圧着部の強度を確保する観点からは、導線13と抗張力体17の断面積の総計は0.01sq以上が好ましく、0.03sq以上がより好ましい。
なお、抗張力体17は、鋼線などの金属線であってもよく、樹脂や繊維強化樹脂であってもよいが、複数の素線が束ねられて構成されてもよい。例えば、抗張力体17を構成する素線としては、PBO(ポリパラフェニレン・ベンゾビス・オキサゾール)繊維、アラミド繊維、炭素鋼線、ステンレス線、液晶ポリエステル繊維、ガラス繊維、炭素繊維などを適用可能であるが、防食性を考慮すると非金属線であることが望ましい。
また、抗張力体17の引張強度は、導線13の引張強度よりも高いことが望ましい。なお、引張強度とは、引張応力を受けた際に破断に至る最大応力を言うが、本実施形態においては、圧着時の材料の潰れによる破断のしやすさの相対的な指標とする。すなわち、抗張力体17は、圧着時において、導線13と比較して変形しにくい材質で構成される。なお、さらに、抗張力体17のヤング率は、導線13のヤング率よりも高いことが望ましく、抗張力体17の降伏応力(又は耐力)は、導線13の降伏応力(又は耐力)よりも高いことが望ましい。
次に、端子付き電線10の製造方法について説明する。図3は、圧着前の端子1と被覆導線11を示す斜視図である。前述したように、端子1は、端子本体3と圧着部5とを有する。圧着部5は、いわゆるオープンバレル型である。
まず、前述したように、被覆導線11の先端部の被覆部15を剥離して、先端部の導線13を露出する。次に、図4(a)に示すように、端子1の圧着部5へ挿入する前に、導線13の先端部に端末処理部19を形成してもよい。端末処理部19は、導線13の各素線がばらけないように一体化する処理部である。
前述したように、抗張力体17が略中央に配置され、その外周に導線13が配置される。導線13は複数の導体からなる。このような場合において、図4(b)に示すように、導線13の少なくとも先端部を、外周側から圧縮することで、端末処理部19を形成することができる。このように、導線13の先端部が外周側から圧縮されることで、素線がばらけることが抑制され、管状の圧着部5への挿入が容易である。
また、図4(c)に示すように、導線13の少なくとも先端部に、一括してめき処理を施して、めっき層21によって端末処理部19を形成してもよい。このように、導線13の先端部に外周から一括してめっき処理が施されていることで、素線がばらけることが抑制され、管状の圧着部5への挿入が容易である。
なお、導線13の外周から一括してめっき処理を施す際に、めっき方法によっては高温になる場合がある。このようなめっき方法によって、導線13を撚った後に一括めっきを行うと、抗張力体17が熱により劣化して、引張強度が低下するおそれがある。
このような場合には、図4(d)に示すように、それぞれの導体ごとにめっき層21を形成してから抗張力体17の外周に撚り合わせてもよい。また、図5に示すように、それぞれの導体ごとにめっき層21を形成し、さらに、複数の導体の先端部に外周から一括してめっき処理を施してもよい。この場合、導体ごとのめっきと、一括めっきの種類を変えてもよい。前述したように、一括めっきを行うことで、導体のばらけを抑制することが可能であるが、導体を束ねて一括してめっき処理を行うと、導体の形状等の影響によって、部分的にめっきの厚い部分や薄い部分が生じてしまうおそれがある。これに対し、事前に導体ごとに下地めっき処置を行うことで、この影響を小さくして、略均一な一括めっきが可能となる。
なお、端末処理部19は、圧縮やめっき処理による方法には限られず、例えば、導線13の先端を半田処理や溶接処理によって素線のばらけを抑制してもよい。また、外周からの圧縮と一括めっきなどの複数の端末処理を併用してもよい。
次に、このように先端部を処理した被覆導線11を、圧着部5に配置する。この際、導線圧着部7には導線13の露出部が位置し、被覆圧着部9には被覆部15が位置する。
ここで、図6(a)は、圧着前における導線圧着部7の展開図である。前述したように、導線圧着部7には、セレーション18が設けられる。図示した例では、セレーション18は、圧着される被覆導線11の長手方向(図中A方向であって、端子1の軸方向ともいう)に延伸するように形成される。すなわち、複数のセレーション18は、端子1の軸方向に対して略平行に形成される。なお、セレーション18が延伸するとは、その方向が長手方向になるように、分断されずに連続して形成されることをいう。
なお、セレーション18の高さ(凸の場合)又は深さ(凹の場合)は、0.03mm以上0.08mm以下であることが望ましい。セレーション18の高さ又は深さが小さすぎると、セレーション18による接触面積増加の効果が小さい。また、セレーション18の高さ又は深さが大きすぎると、圧着時に導体がセレーション18の底まで接触せず、導体と導線圧着部7の間に空隙が発生するおそれがある。そのため、導線13と端子1の接触面積が低下し、接続抵抗が上昇する。また、導体の素線径に対して変化量が大きくなるため、導体素線の破断のおそれがある。
また、セレーション18の幅は、導線13を構成する導体径の0.5倍以上2倍以下であることが望ましい。セレーション18の幅が広くなりすぎると、一つのセレーション18に対して2本以上の導体が配置されることとなり、セレーション18による接触面積増加の効果が小さくなる。セレーション18の幅が広くなりすぎると、セレーション18に導体素線が接触せず、セレーションを設けた効果が小さくなる。
ここで、前述したように、導線13は複数の導体からなる。この際、それぞれの導体が撚り合わせられずに、被覆導線11の長手方向に対して略まっすぐに配置される場合(すなわち、個々の導体素線が延伸する方向が被覆導線11の長手方向に対して略まっすぐである場合)には、導体素線の延伸方向が被覆導線11の長手方向と一致する。
この場合、セレーション18の延伸方向と、導線13を構成する導体素線の延伸方向とが略平行になる。このため、導線13を構成する個々の導体素線が、複数のセレーション18と交差することがない。すなわち、導線13を構成する導体素線は、セレーション18の先端と後端を除き、略一定の断面形状となる。このため、導線13の引張強度の低下につながる傷の要因である断面変化部を低減し、引張強度の低下を抑制することができる。
なお、図6(b)に示すように、セレーション18の延伸方向は、被覆導線11の長手方向(図中A)に対して所定の角度(被覆導線11の長手方向に対して直交する方向に延びるものを除く)に形成してもよい。この場合でも、複数のセレーション18は、互いに略平行に形成される。この状態で、導線圧着部7で導線13を圧着すると、セレーション18は、被覆導線11の長手方向に対して、所定の角度で螺旋状に形成される。
この場合には、端子1の軸方向(図中A)とセレーション18の延伸方向(図中B)とのなす角度θ1は、±60度以下であることが望ましく、さらに望ましくは±40度以下である。すなわち、導線13を構成する導体素線の延伸方向は被覆導線11の長手方向と一致するため、導線13を構成する導体素線の延伸方向とセレーション18の延伸方向とのなす角度が±60度以下となる。このため、導体素線とセレーション18との交差部が十分に少なくなり、引張強度の低下を抑制する効果を得ることができる。
また、前述したように、導線13(複数の導体素線)を、抗張力体17の外周で撚り合わせる場合がある。図7(a)は、導線13を撚り合わせた場合の導線圧着部7の展開図であり、図7(b)は、さらに導線13を展開した状態(抗張力体17は透視した状態)を示す概念図である。
この場合、導線圧着部7で導線13を圧着すると、セレーション18と導体素線は、被覆導線11の長手方向に対して、所定の角度で螺旋状に形成されることとなる。この際、導線13の長手方向に対するセレーション18が延伸する螺旋方向と、導線13の長手方向に対する導体の延伸する螺旋方向とが同一であることが望ましい。例えば、端子本体部側から見た際に、手前から奥側(端子1の先端側から後端側)に向かうにつれて、時計回り方向の螺旋形状と反時計回り方向の螺旋形状が考えられるが、セレーション18が延伸する螺旋方向と、導線13を構成する導体の延伸する螺旋方向とが、いずれも時計回り方向、又は、いずれも反時計回り方向であることが望ましい。
このように、螺旋方向が同じ方向となるようにすることで、導体素線とセレーション18との交差部が十分に少なくなり、引張強度の低下を抑制する効果を得ることができる。
なお、この場合でも、被覆導線11の長手方向(図中A)に対するセレーション18の形成方向(図中B)の角度θ1が、被覆導線11の長手方向(図中A)に対する導線13を構成する導体の延伸方向(図中C)のなす角度θ2に対して、±60度以内であることが望ましく、さらに、±40度以内であることがより望ましい。ここで、導線13を構成する導体の延伸方向とは、螺旋状に撚り合わせられた導体の展開図において導体素線の長手方向をいう。なお、導線13の撚り角度θ2は、例えば25度以下である。
以上のように、セレーション18を有する導線圧着部7で導線13を圧着し、被覆圧着部9で被覆部15を圧着することで、端子付き電線10を得ることができる。さらに、得られた端子付き電線10を含む、複数の端子付き電線が一体化されたワイヤハーネスを得ることができる。
ここで、圧着工程前の導線13における総断面積をA0とし、圧縮された後の導線13の総断面積をA1とすると、導線13の圧縮率=A1/A0(%)である。この際、導線圧着部7における導線13の圧縮率は、70~80%であることが望ましい。このように、弱圧縮とすることで、導体素線の破断等を抑制することができるとともに、セレーション18によって接触面積を増大させ、摩擦抵抗による引張強度の増加と、接続抵抗を低減することができる。例えば、セレーションにより増加した導体と導線圧着部7の摩擦力が、導体の伸びを抑制し、引張試験で発生する荷重を抗張力体17に分散させることができ、電線の引張強度を高めることができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、導線圧着部7において、セレーション18が形成されるため、導線13(導体)との接触面積を増加させることができ、接続抵抗の低下と引張強度の向上の効果を得ることができる。
この際、セレーション18が、導線圧着部7の周方向に向けて形成されず、又は導線圧着部7の軸方向に断続的に配置されないため、導体素線とセレーション18との交差箇所を減らすことができる。このように、被覆導線の長手方向に対して直交する方向ではなく、導線13の長手方向又は長手方向に対して所定の角度に延びるようにセレーション18を形成することで、特に細径の被覆導線11において、導体素線への傷の発生を抑制し、引張強度の低下を抑制することができる。
例えば、導線13が、複数の導体素線が撚り合わせられて形成される場合において、セレーション18が延伸する螺旋方向と、導体素線が延伸する螺旋方向とを同一方向とすることで、効率よく、導体素線とセレーション18との交差箇所を減らすことができる。
この際、導線13の長手方向に対するセレーション18の形成角度を、導線13の長手方向に対する導体素線の延伸方向に対して±60度以内とすることで、効率よく、導体素線とセレーション18との交差箇所を減らすことができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。図8(a)は、第2の実施形態にかかる端子付き電線10aを示す斜視図であり、図8(b)は、導線圧着部7における軸方向に垂直な断面図である。なお、以下の説明において、第1の実施形態と同様の機能を奏する構成については、図1~図7と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
端子付き電線10aは、端子付き電線10と略同様の構成であるが、圧着部5が、バレル端部が突き合せられるのではなく、バレル同士が互いに重なり合うように形成される点で異なる。すなわち、対向するバレル片同士が重ね合わせられ、一方のバレル片が他方のバレル片を包み込むように圧着される。なお、導線圧着部7の内面には、第1の実施形態と同様に、セレーション18が形成される。
この場合、導線13は、導線圧着部7において、導線13の周方向の全周から圧着される。また、バレル先端が導線13に食い込むことを抑制することができる。このため、導体素線の破断等を抑制し、引張強度の低下を抑制することができる。
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、バレル片同士を互いに重ね合わせるように圧着することで、導線13の過剰な変形を抑制し、引張強度の低下を抑制することができる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。図9(a)は、第3の実施形態にかかる端子付き電線10bを示す斜視図であり、図9(b)は、導線圧着部7における軸方向に垂直な断面図である。
端子付き電線10bは、端子付き電線10と略同様の構成であるが、圧着部5が、オープンバレル型ではなく管状である端子1aを用いる点で異なる。このため、導線圧着部7の軸方向のいずれの位置においても、導線13を、より確実に全周360°から導線圧着部7で圧着することができる。なお、導線圧着部7の内面には、第1の実施形態と同様に、セレーション18が形成される。
なお、圧着部5は、例えば、板部材を丸めて端部同士を突き合わせて、長手方向に溶接やロウ付けによって接合してもよく、管状部材を展開して端子1を形成してもよい。なお、導線圧着部7と被覆圧着部9は、同一径であってもよいが、図示したように、被覆圧着部9の内径を導線圧着部7の内径よりも大きくしてもよい。
ここで、本実施形態のように導線圧着部7が筒状であり、接合部にロウ付け部分がある場合には、硬度の低いロウ付け部は、導線13への圧縮応力が小さくなるため、抗張力体17が引き抜け易くなる。このため、ロウ付け部を除去するか、あるいは、ロウ付け部分がなく、導線圧着部7に形成される接合部の硬さを、導線圧着部7における材料の硬さと同等とすることが望ましい。
第3の実施形態によれば、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、導線13は、全周360°方向から段差等なく圧着が行われるため、圧着時に、導線13へ局所的な応力(変形)が生じることを抑制することができる。
このように、圧着部5の形態は特に限定されず、例えば、複数の圧着形態を組み合わせてもよい。例えば、被覆圧着部9をオープンバレル型とし、導線圧着部7を管状としてもよい。
各種の端子付き電線を作成し、圧着部の電気特性(圧着部抵抗性能)及び機械的特性(引張強度性能)を評価した。なお、被覆導線としては、全て断面中央に抗張力体が配置され、外周に導体素線が撚り合わせられたものを用いた。被覆導線における被覆導体の構成を表1に示す。なお、複合導体断面積は、導線と抗張力体の断面積の和である。また、導体素線径は、導線を構成する素線径であり、導線断面積は、導体素線断面積の総和である。電気特性としては、端子と被覆導線との電気抵抗値を測定して評価した。機械的特性としては、端子から被覆導線を引っ張り、被覆導線が引き抜かれる際の荷重によって引張強度を測定した。
なお、表2に示すように、引張強度性能は、導線の断面積ごとに評価し、導線断面積ごとに、不合格「×」、仮合格「△」(状況により許容される)及び合格「○」(良い)で評価した。また、表3に示すように、圧着部の抵抗性能としては、導線の断面積ごとに評価し、導線断面積ごとに、不合格「×」、仮合格「△」(状況により許容される)及び合格「○」(良い)で評価した。ここで、実施例の基準は、抵抗性能が「○」、かつ引張強度性能が「△」以上である(引張強度は、他の技術との併用で担保しやすいため)とする。また、各条件及び評価結果を表4~表19に示す。
電線の断面積は、導体の総断面積である。導線材は、導線を構成する材質であり、抗張力体は、抗張力体を構成する材質である。なお、抗張力体において「繊維」とあるのは、複数の細い素線(繊維)が束ねられて形成されていることを示す。
導体圧縮率は、導線圧着部における、圧縮前の導線(導体素線の総断面積)に対する圧縮の導線の総断面積である。導線処理は、導線の端末の処理であり、「スズメッキ」は、図4(d)に示すように、個々の導体にスズメッキを施したものである。
端子形状は、全て図1に示す端子1と同様に形態である。また、セレーションの幅は、延伸方向に垂直な幅であり、いずれもセレーションは凹溝である。なお。セレーションの深さが0とは、セレーションが形成されていないものである。
また、セレーションの角度は、導線の撚り角度に対するセレーションの延伸方向の角度である。すなわち、図7(b)に示すように、セレーション角度は、導線13の傾斜角度θ2に対する、セレーションの傾斜角度θ1であり、θ1とθ2が等しいとき、セレーション角度を0とする。また、セレーション角度は、導線13の傾斜角度θ2に対して、平面視で時計回り方向を+方向とし、反時計回り方向を-とした。なお、導線の撚り角度θ2は、いずれも約14度であった。
表4~表19より分かるように、所定の形態のセレーションを、撚り線の撚り角度に対して±60°以内で形成することで、抵抗性能と引張強度性能とが合格(△以上)となった。なお、抵抗値については、比較例においても仮合格(△)が見られたが、各実施例は、いずれも○であり、極めて良好であった。実施例の基準は、抵抗性能が「○」、かつ引張強度性能が「△」以上であるとしているが、比較例においては、この条件を満たす例は存在しなかった。また、特に、所定の形態のセレーションを、撚り線の撚り角度に対して±40°以内とすることで、抵抗性能と引張強度性能が全て「○」評価となった。
これに対し、特に電線断面積が0.35sq以下のものでは、セレーションの深さが0.01mm以下と浅い場合には、セレーションによる効果が小さく、特に引張強度性能がやや低下した。また、電線断面積が0.13sq以下のものでは、セレーションの深さが0.1mmと深すぎる場合に、抵抗性能が低下した。また、セレーションを90度に形成したものは、引張強度性能が不合格であった。
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1、1a………端子
3………端子本体
4………トランジション部
5………圧着部
7………導線圧着部
8………バレル間部
9………被覆圧着部
10、10a、10b……端子付き電線
11………被覆導線
12………複合導体
13………導線
15………被覆部
17………抗張力体
18………セレーション
19………端末処理部
21………めっき層

Claims (5)

  1. 被覆導線と端子とが電気的に接続される端子付き電線であって、
    前記被覆導線は、抗張力体と、前記抗張力体の外周に配置され、複数の導体からなる導線と、を有し、
    前記端子は、前記被覆導線の先端の被覆部から露出する前記導線が圧着される導線圧着部と、前記被覆導線の前記被覆部が圧着される被覆圧着部と、を具備し、
    前記導線圧着部の内面には、前記導線の長手方向又は長手方向に対して直交する方向以外の所定の角度に延びるセレーションが、周方向に併設され、
    前記導線の長手方向に対する前記セレーションの形成角度が、前記導線の長手方向に対する前記導体の延伸方向に対して±60度以内であり、
    前記導線は、前記抗張力体の外周に複数の導体が撚り合わせられて形成され、
    前記導線圧着部の内面には、前記導線の長手方向に対して所定の角度に前記セレーションが形成され、
    前記導線の長手方向に対する前記セレーションが延伸する螺旋方向と、前記導線の長手方向に対する前記導体が延伸する螺旋方向とが同一方向であることを特徴とする端子付き電線。
  2. 前記導線の少なくとも先端部が、外周側から圧縮されていることを特徴とする請求項1記載の端子付き電線。
  3. 前記導体には、めっき処理が施されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の端子付き電線。
  4. 前記導線は、前記抗張力体の外周に複数の導体素線が撚り合わせられて形成され、前記セレーションの幅が、導体素線の径の0.5倍以上2倍以下であることを特徴とする請求項1から請求項のいずれかに記載の端子付き電線。
  5. 請求項1から請求項のいずれかに記載の端子付き電線を含む、複数の端子付き電線が一体化されたことを特徴とするワイヤハーネス。
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