東京工業大学(東工大)の青木尊之教授と大学院生の大橋遼河氏、九州大学の渡辺勢也助教、慶応義塾大学の小林宏充教授のグループは、東工大の「TSUBAME 3.0」スパコンを用いて野球ボールの周囲の気流を精密にシミュレーションし、なぜフォークボールが落ちるかを明らかにし、発表を行った。 縫い目が回転しながら飛ぶ野球ボールは、計算が複雑で、縫い目の影響を含めた詳細なシミュレーションはこれまでは行われていなかったという。 球を投げると周囲の空気の抵抗を受けて減速する。図1の左上のグラフは横軸はレイノルズ数で、野球ボールの場合は球の速度に比例する。そして、縦軸は球を減速させる力(抗力)である。 図1の右のグラフは、左のグラフの赤枠で囲んだ部分の拡大図で球速が速くなると抗力が急に減るドラッグクライシスという領域を示している。ドラッグクライシスより速度が遅い場合は境界層は層流であり、気流はボール表面に張り