半導体や製造装置などの技術分野で、中国企業の実力には懐疑的な声が多かった。しかし、世界で最もこの分野に詳しいであろう米エヌビディアのトップは最近、焦燥感や危機感をあらわにした発言を繰り返している。トランプ氏の対中強硬策が、中国AI企業の競争力を高める皮肉な状況を生み出しているとしたら…。米国の優位性がなくなれば、同盟国であるわが国が得意とする製造・検査装置ビジネスにも多大な影響を被ることになる。決して対岸の火事ではいられない。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫) 米中対立の皮肉、日本も巻き添え… 4月末、米エヌビディアのジェンスン・フアンCEOは、「AI(人工知能)チップ分野において中国は、米国に遅れているわけではない。むしろ中国は、すぐ後ろに肉薄している」と発言した。この指摘は、米国が圧倒的に優位と思われたAIの分野で、中国の追い上げが予想を超えてきていると解釈できる。 フアン氏の焦りを感