カール・マルクスは、恐慌局面にある資本主義の様々な諸現象(信用制度の崩壊、企業・銀行倒産、失業者の増大等)のうち、根本的な現象を過剰生産ととらえた。そして恐慌現象の本質を、資本主義に内在する基本的矛盾から発生する諸矛盾の爆発であり、この爆発を通じた強制的な内的統一性の回復の局面である、と把握した。 「世界市場恐慌は、ブルジョア経済のあらゆる矛盾の現実的総括および強力的調整として理解されなければならない。」(マルクス『剰余価値学説史』Ⅱ、全集26巻第2分冊、689ページ。 資本主義の基本的矛盾とは、部分的ではない一般的な過剰生産傾向を生む生産と消費の矛盾である。 資本は一方では、資本家の衝動としてはより多くの利潤を得るために、また諸資本間の競争による蓄積の強制によって、生産力をどこまでも発展させようとする傾向をもっている。資本は他方では、賃金労働者の賃金を、生活必需品の範囲の最低限にまで制限