英「サンデー・タイムズ」の記者ウィル・ロイドは、10年間で8280時間を読書に費やし、悟った。「時間の無駄だった」と。 人は本を読めなくなっている。だが、「それが何だというのか」と彼は問う。読んだ本の内容は歳をとるにつれて忘れてゆき、読書が好きだからといって共感力が高まるわけでもない。文明が崩壊しようが、真理を見失おうが、人は「読む」ことを捨て、即時的な「楽しさ」を追求してしまうのだろうか……? 皆さんのお子さんは、おそらくもう本など読めなくなっていることでしょう──これは私の見解ではない。オックスフォード大学の英文学教授ジョナサン・ベイト卿の言葉だ。 数十年間にわたって、本好きのティーンエイジャーたちにチャールズ・ディケンズの『荒涼館』を課題図書として読ませてきた彼は、最近になってあることに気がついた。「多くの学生は、1週間に小説を3冊読むどころか、3週間かけても1冊も読み通せない」 も