国内ライセンス(アニメ):さまざまな企業とのコラボで、アニメ作品の魅力を拡大させる仕事
2025.12.12
音楽、アニメ、ゲーム、キャラクター、イベントなど、人に感動を提供するエンタテインメントにはさまざまなジャンルがあり、そのジャンルの数だけ多種多様な職種が存在する。
連載企画「エンタメ業界のお仕事紹介」では、ソニーミュージックグループで働くスタッフの生の声から、エンタメ業界に存在する職種と業務内容、そして、その仕事にどんな“やりがい”や“魅力”があるのかを紐解いていく。
今回は、ソニー・ミュージックスタジオで音楽の録音に携わるレコーディングエンジニアに話を聞いた。
目次
SHIZUO
スタジオエンジニア
キャリア:13年目
さまざまなアーティストのレコーディングや音楽作品のマスタリング、映像作品のオーサリングが行なわれているソニー・ミュージックスタジオ。そこで勤務するのがスタジオエンジニア。ソニー・ミュージックスタジオのスタジオエンジニアには、大きく分けて5つの職種があり、音楽作品の録音からミックス作業までを行なう【レコーディングエンジニア】。レコーディングされた音源の音色を調整し、ノイズや歪みがないかの品質をチェックして曲のマスター音源を制作する【マスタリングエンジニア】。映像作品を構成する動画、音声、文字や画像などの各種データを編集して、ひとつにまとめ上げる【オーサリングエンジニア】。映像のマスターデータの品質を保持し、未来に遺すための作業を行なう【アーカイブエンジニア】。そして、スタジオ内のアナログ機器からソフトウェアまで機材全般のメンテナンスやスタジオ独自の機材開発などを行う【テクニカルエンジニア】。職種によって作業内容は大きく異なるが、アーティストやクリエイターと密なやり取りを経て音楽作品や映像作品を生み出すため、コミュニケーション能力が磨かれる職種でもある。
音楽企画制作/経理・財務/アニメ・ゲーム宣伝/音楽営業(マーケティング)/マーチャンダイジング/音楽宣伝/グローバルマーケティング(音楽)/アニメ企画制作/人事/プログラマー/著作権・契約・法務/ゲーム企画制作/キャラクタービジネス/マネージャー/パッケージ制作進行/ファンクラブ運営/デジタルコーディネーター/クリエイティブ(クリエイティブ/アートディレクション・制作プロデュース)/グローバルマーケティング(アニメ・ゲーム)/エンタプライズITシステム/音楽営業(セールス・マーケティング)/イベント・展示会運営/クリエイティブ(空間設計/企画)
 
音楽営業(セールス)/音楽営業(マーケティング)/音楽宣伝(デジタルプロモーション)/海外ライセンス(アニメ・ゲーム)/国内ライセンス(アニメ)
高校3年生のとき、学校の音響芸術鑑賞会である催し物を観る機会があったんですが、自分の席がちょうど“PA”と呼ばれる音響機器を操作するコンソールのすぐ後ろで。ピカピカと光る機材と、それを操る音響スタッフの仕事振りがカッコ良くて、“この仕事、面白そうだな”と思ったのがきっかけです。
その後、いろいろと調べていくうちに、PAが音響エンジニアと呼ばれる業種のひとつであり、そのなかに“レコーディングエンジニア”という職種があることを知りました。高校3年生という将来のことを考えるタイミングで、この仕事に興味を惹かれたのも何かの縁だろうと思い、専門学校に進学。レコーディングエンジニアの養成コースに進みました。
ただ、音楽制作に携われる仕事という華やかなイメージとは裏腹に、実は地味な作業が多くて。当初、120人ぐらいいたレコーディング専攻の同期も、エンジニアを目指す人は数カ月後には数えられるくらいに減っていました(笑)。それでも自分は楽しく学ぶことができ、無事に卒業。ソニー・ミュージックスタジオの採用試験にも運良く合格することができ、現在に至ります。
レコーディングエンジニアは、スタジオで録音機材を操作しつつ、一つひとつの音色を調整しながら演奏や歌唱を録音。アーティストやディレクターの意向を聞いて、全体のバランスを整えつつ、曲として仕上げていく“ミックス作業”まで行なうのが仕事です。
僕は現在、ベテランから若手まで幅広いアーティストのレコーディングで、メインエンジニアを担当させてもらっていますが、当然、最初からメインエンジニアを任されたわけではなくて。キャリアとしては、“アシアシ(アシスタントエンジニアをアシストするという意味の略称)”から始まり、“アシスタントエンジニア”を経て“メインエンジニア”へと段階的にステップアップしてきました。
アシアシは、アシスタントエンジニアをサポートしながら、録音のやり方や編集ソフト「Pro Tools」の扱い方、レコーディングの準備などの基本を身につけます。アシスタントエンジニアになるまでには、だいたい1年半から2年ほどかかることが多いですね。
続いてアシスタントエンジニアになると、メインエンジニアの指示の下、録音現場の進行をサポートしながら、編集ソフトのオペレーションも担当します。そして、ここから先は、技術とコミュニケーション能力が問われる世界です。
若いエンジニアを積極的に起用する現場もあれば、熟練の技術を求める現場もあり、どれくらいの期間でメインエンジニアになれるかは人それぞれ。アシスタントとして担当した現場で、アーティストやディレクターに気に入ってもらい、「次の作品で、ちょっと手伝ってくれない」と言ってもらえるかどうか。
そのためには、レコーディングの技術を磨き、音楽的なセンスを蓄え、音楽制作者の人たちが何を求めているのかを聞き出すコミュニケーション能力を鍛える必要があります。技術職でありながら、意外と人間力も問われるのがレコ―ディンエンジニアという職業です。
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もちろん、専門的な知識を学んでいたほうがスタートダッシュという点では有利です。ですが、実際には現場で学ぶことがほとんどなので、仕事に対する熱量があれば、いくらでも挽回できます。
先ほど言った通り、技術も大事ですが、同じくらいコミュニケーション能力とか人間力が問われる現場。もし、音楽が好きで、音楽を作る現場に興味があるというなら、“専門学校に行っていないから”という理由で諦めてしまうのは、もったいないですね。
僕自身、高校3年間はサッカーひと筋で、楽器の経験もありませんでした。そのため、最初は不安もありましたが、こうして10年以上レコーディングエンジニアとして仕事を続けることができています。
アーティストやディレクターから「次の録音もお願いしたい」「この曲は、あなたじゃないとダメだね」と言っていただけるときが、何よりの喜びです。
アーティストは楽曲を作り、歌い、演奏しますが、アーティストだけでは手が届きにくい領域もあります。僕らレコーディングエンジニアは、そのなかの一部を預かり、責任を持って曲というかたちに仕上げるのが仕事。そこに価値を見出してもらい、自分を信頼して「任せるよ」と言ってもらえたときに、一番のやりがいを感じますね。
前向きで、トライすることを怖がらない人だと思います。失敗を恐れずにチャレンジしてこそ、自分のなかの引き出しも増えていく。“今日はこの方法にトライしてみようかな”と変化をつけることで、アーティストが求める音に近づけることもあります。
あとは、これも繰り返しになりますが、コミュニケーションをベースにして人間力を鍛えられる人ですね。レコーディングの現場では、スタジオという空間のなかで、長時間アーティストや関係スタッフと過ごすことになります。となれば、当然ながら一緒にいて楽しい人のほうがいいですよね。
音楽をとことん突き詰めるというのは大事なことですが、自分の音を押しつけることはエンジニアの仕事だとは思いません。確かな技術でチームの求める音を具現化できること、それに加えて煮詰まった現場をパッと明るくできるとか、いろんな趣味の話にもついていけるとか、相手の懐にスッと入り込めるような人は、やはり強いですね。
レコーディングエンジニアは、地味な作業が多い職種です。音を録ったあとのミックスの作業では、一日中ひとりでコツコツ作業することもあります。
また、新人のアシアシのころは、スタジオの清掃から始まり、スタジオに複数ある電球のひとつでも切れていたら、それを交換しつつ、備品の補充も行なって、さらに録音機材のチェックも欠かせません。いわゆる雑用と呼ばれるような業務ばかりなので、音楽制作の現場を華やかなものとイメージしていると、ギャップを感じてしまうかもしれませんね。
そのうえで、こうした作業を雑用と考えず、ステップアップのために感覚を磨く訓練だと捉えることができる人たちは、成長も早いです。アシアシやアシスタントエンジニアは、自分の作業だけに集中するのではなく、アーティストやディレクター、プロデューサー、マネージャーなど、スタジオに集まる人たちをサポートするのも大事な仕事。電源タップを持ってキョロキョロしている人がいるなら“電源を探しているのかも”と、その人の動きから状況を察して声をかけられるようになったら一人前です。
自分自身、こうした経験を通じて洞察力やコミュニケーション力が鍛えられたと思いますし、今考えれば、あの下積み期間で学んだことは、現在レコーディングエンジニアとして働くうえでも、とても重要な時間だったと思っています。
この仕事は面白いもので、どれだけキャリアを重ねてもその都度新たな壁が現われるんです。バンドの録音は得意でもピアノは不得意など、すべての技術やセンスに秀でたレコーディングエンジニアはいません。だからこそ、日々勉強だなと痛感しています。
例えば吹奏楽を録音する場合、各楽器の特性をしっかり理解したうえでマイクをセッティングする必要があります。音の鳴り方を十分に把握していなければ、演奏者から“自分はこの楽器に人生を懸けているのに、このエンジニアは何もわかっていない”と思われ、一気に信頼関係が崩れてしまうなんてこともあり得ます。幅広い経験を積み重ね、レコーディングエンジニアとして少しでもステップアップできたらと考えています。
また、より多くの作品に携わりたいという思いもあります。新人、ベテランを問わず、自分を必要としてもらえる場で力を発揮したいですね。もちろん、世界的に知られる楽曲に携われるようになるというのも目標のひとつです。
文・取材:野本由起
撮影:干川 修
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