最近『メンタル・タフネス』という本を読み始めました。
「どうしたら意志が強くなりますか?」(前編)に対して、以下のようなトラックバックをいただいたのがきっかけです。
上記の記事の中で、
「「どうしたら筋肉を増強できますか?」なら比較的かんたんに答えられますが」
との記述がある。「メンタル・タフネス(ISBN4-584-39177-7)」は、
「精神力」を筋肉と同じように鍛える仕方を示す本だ。回復の間もなく筋肉に無理な負荷を与え続けると筋肉は壊れてしまう。
逆に、ギブスをはめて筋肉に全く負荷を与えないとやせ細ってしまう。
タフな体、筋肉を作るためには適度のストレス(トレーニング)と十分な回復の
繰り返しが必要であることは良く知られている。トップアスリートのメンタルトレーニングを職業とする著者は、筋肉と同様に
精神力・意志の強さもストレスと十分の回復の繰り返しにより強められる、と説く。
まだ途中までしか読み進められていないのですが、この本の最初のキーワードがIPS。
IPSとは、Ideal Performance State の略で「理想的な心理状態」と訳されます。
私は、第一線で活躍しているスポーツ選手と一緒に長年この研究を続け、スポーツでの成功は才能や技量以上に、この特別な心理状態(IPS)をコントロールすることであると解明してきた。
IPSをコントロールすることは、戦いにおいてバランスや全体を把握する力、楽しみ、ゆとり、冷静さ、ポジティブなエネルギー、情熱などをもたらす。
スポーツの潜在能力を発揮させることと、IPSのコントロールとは切り離すことができないという事実に気づいたことが研究の大きな進展につながった。簡単にいえば、感情が適切な状態にあれば、その人は能力を最大限に発揮することが可能となるということだ。
では、IPSとは具体的にはどんな状態を指すのでしょうか。続きを読み進めていくと、どうも決まったフォームを持っていないようです。人によって「これがIPSだ」という“IPS像”がまちまちだというのです。
例えば、
●リズムをつかんでプレーができた
●テニスボールが巨大なグレープフルーツと同じぐらい大きく見えて、簡単にポイントを決めることができた
●物事がうまく回っている状態だ
●自分自身が楽しめる状態だ
といった様々な表現方法でIPSが語られています。共通するポイントは「目に見えない」ということです。そこで著者は、サン=テグジュペリの作品のなかで「キツネが星の王子様に語りかける場面」を引きます。
「ここに私の秘密、とても簡単な秘密がある。人は心でしか物事を正しく見ることができない。本質的なことは目に見えない。『本質的なことは目に見えない』。小さな王子様は絶対に忘れないように繰り返す」
この本は、IPSという目に見えない、しかし「直感的に本質だ」ととらえられている何かを解明しようとする試みが綴られているようです。まだ5分の1程度しか読めていないので何とも言えませんが、少なくとも自分ではそう「直感」しています。
そして、ここまで読み進めたところで、ひるがえってシゴタノ!を考えてみたとき、「仕事を楽しくするためのコツ」というのもIPSのように目に見えないものであって、人の数だけ表現方法と実践方法があるはずで、単一の方法論に統合する方向性とは相容れないのではないか、と感じています。
つまり、実際に体験した人だけが「見える」ものなのではないか、ということです。これについては、以前から薄々感じていたことではあるのですが、それが少し確信に近づいたような気がします。
そして、読み進めながら思い出していたのは、ある小説の中で主人公が繰り返し口にする以下の言葉。
即決対処できる人間には自分自身の原則をつくりださねばならない。その原則さえあれば、原則に照らして矛盾の解決ができる。原則をさがすことこそ、おれの学問の道だ。それが、まだみつからぬ。
彼もまた「目に見えない」何かを追求しています(この小説ももう一度読み返さなければ、と先ほど本棚から取り出してきました)。
シゴタノ!で繰り返し取り上げている、現時点での3大書籍(『仕事は楽しいかね?』『パフォーマンス・マネジメント』『ロボット心理学』)に匹敵するジューシーな内容なので、今後この『メンタル・タフネス』も折に触れて取り上げることになりそうな予感がしています。
ご紹介くださった、rejoiceさん、ありがとうございます!