概要
『煌国』
それは世界の八割の国々を支配する超大国であり、ただ一人その頂点に立つ『皇帝』は、神にも等しい権力を有していた。
時は煌歴三六二年。
栄華を極める帝都とは対象的に、無法者がひしめくスラム街。そこで暮らす青年のアインは、無二の親友であるレナードと共に日々を逞しく生き抜いていた。
しかしそんなある日、帝都から役人がアインを訪ねてくる。
困惑する彼に対し、役人は告げた。
「貴方様は、煌国皇帝陛下の隠し子です。
よって、次期皇帝の座を懸けた戦い───
『皇位継承戦争』への、参加権を得ました」
それは五人の皇位継承権者による、熾烈な戦いの幕開けだった。
※平均文字数約5000字強。第一章も実質序章です。じっくりと読み進めるのをお
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- ★★★ Excellent!!!様々な思い渦巻く皇位継承戦争、その一部始終を見届けよ
滅茶苦茶に骨が太い、圧巻の戦記物です。
便利な魔法や奇を衒ったチートなどのない、ただただ純粋に剣と知略と政治が渦巻く、バチバチに地に足着いた戦いの記録……それがこの物語です。
始まりこそスローテンポではありますが、主人公が自身の出自を知った辺りから加速度的に運命の輪が回り始め、あっという間に謀略うごめく皇位継承戦争の渦に飲み込まれていき……ガッツリと軍を率いての戦闘が描かれるわけですね。
戦略的な軍の動きの見せ方や、各個人の戦闘での迫力もさることながら、仲間たちとの熱いやり取りも実に胸に来るものを感じます。
スラムのチームの結束力、実に心強い……!
また、戦闘ばかりではなく、謀略の交錯する宮…続きを読む - ★★★ Excellent!!!王道でありながら骨太。戦場の空気が匂い立つ戦記譚
本作は、王道の戦記小説として完成度の高い一作です。
まず注目すべきは、戦記ものとしての質の高さです。
戦場の緊張感、兵士や盗賊団が漂わせる生臭い気配、そして宮廷とスラム街の強烈な対比が、緻密な筆致によって立ち上がります。読者は場面ごとの空気をまるで肌で感じ取るかのように体験できるでしょう。また、戦闘が単なる力任せではなく、情報戦・交渉・駆け引きとして展開する点は、戦記というジャンルの醍醐味を的確に表現しています。
さらに特筆すべきは、文章の丁寧さです。
情景描写は緻密でありつつ冗長に陥ることなく、会話や仕草と自然に溶け合っています。そのため可読性を損なわずに、作品世界への没入感を高めてい…続きを読む - ★★★ Excellent!!!スラム街から帝都へ! 馬蹄轟き剣風薫る英雄譚
世界の大半を支配する『煌国』。その頂点に君臨する皇帝は齢七〇を迎え、一つの決断を下す。
曰く、「『皇位継承戦争(アウロベルム)』にて皇位継承者を決定する」
皇帝には五人の子があった。あるいは才知に長け、あるいは武勇に優れ、あるいは才気に富み、いずれ劣らぬ彼らがそれぞれの軍勢を率い、血で血を洗う継承戦の末に次代の皇帝を決するのだ。
否、ここにもう一人。皇帝が真に愛した侍女が産み落とした私生児、名をアインという――――
スラム街にて生まれ育ったアインは突然降って湧いた皇位継承戦争への参加権に戸惑うも、ある出来事によって決断を迫られる。どうしようもなくカッコつけたがりで楽天家、しかし意志…続きを読む