概要
彼の旅の目的は、世界の各地に咲き誇る花々を採集すること。
たどり着いた国で様々な人や植物と出会い、時に事件に巻き込まれたり女性に追いかけられたりしながら、のらりくらりと旅を続けていきます。
彼は何者なのか、そしてなぜ花を集める旅をしているのか――。
荒事は少なめ(ゼロではない)、きゅんとしたりほんわかしたり、かと思えば切なかったり意味深だったり。オルオーレンが旅先で出会う人々と紡ぐ物語です。
一話完結風なので、どのおはなしから読んでも差し支えありません。……が、第6章でそれまでの伏線を回収しておりますので、以降は順番に読んだほうがわかりやすいかと思います……。(2025/06/04追記)
更新は不定期です。カクヨムコン中は更新お休
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!花が紡ぐ優しさと真実の旅──心がそっとほどける物語
読むたびに胸の奥が
静かに温まっていくような物語──
旅人オルオーレンが訪れる土地ごとに
そこで暮らす人々の想いや痛みが
花を通してそっと浮かび上がります。
灯火草の淡い光のように
寄り添う優しさもあれば
紫毒花が照らす真実のように
少しだけ胸に刺さる現実もある──
それでも物語はどこまでも柔らかく
頁を閉じても
穏やかな風が吹き抜けるようです。
旅人としての距離感を保ちながら
人の価値や孤独を
丁寧にすくい上げるオルオーレンの視線が
とても心地よく
どの章も
小さな宝物のように感じられました。
花が世界を彩るのと同じように
この物語は読む人の心にも
優しい色を灯してくれる作品…続きを読む - ★★★ Excellent!!!花を探しながら世界を巡る旅。読めば同伴者の気分。
オルオーレンがとんでもなく人たらし! 行く先々で素敵な出会いとやり取りをしていく、短編連作です。
人って愚かだなあと思うことや、旅の美しい青年に向けられる幼い恋心とか、人情話があったり、物語のストーリーバリエーションがとても豊富です。
”花”が物語の小道具というか、テーマというか、花の存在になぞらえた各エピソードは、人間ドラマとしても秀逸。
それぞれの村で、町で、国で。その場所ならではの文化や人々の生活を垣間見る感じは、読んでいるとオルオーレンと一緒に旅をしているかのよう。
さくさくと1エピソードが読み切れてしまう手軽さと、どのお話も心に残る内容で、オルオーレン自身がいっ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!読むと心が洗われる、もっと読まれるべき傑作
『オルオーレンの花巡りの旅』は、完成度の高い世界観と、読後に残る心地よい余韻によって際立つ作品です。
まず特筆すべきは、その世界観の緻密さです。各地に咲き誇る花々が、単なる装飾ではなく小道具として物語の核を担っており、それぞれが土地の記憶や人々の心情を映し出すメタファーとして巧みに機能しています。そのため、読むたびに新しい層が開かれるような奥行きを感じます。
そして中心に立つ青年・オルオーレンの存在感。神秘的な背景と謎に満ちた設定に加え、知的で端正な佇まいはまさに物語世界を牽引するイケメン像で、思わず惚れてしまいそうになる魅力を備えています。彼の静かな言葉や仕草が、関わる人々を少しずつ変…続きを読む - ★★★ Excellent!!!花を愛する旅人が教えてくれる、やさしい世界の見つけ方
『オルオーレンの花巡りの旅』は、読んでいるうちに、まるで心の中に小さな花がそっと咲くような、あたたかい気持ちになれる物語です。白銀がかった髪と若草色の瞳を持つ青年・オルオーレンは、冒険者でも学者でもなく、ただ花を愛して旅をする不思議な人。その中性的で静かな雰囲気がとても印象的で、誰かを強引に変えるのではなく、関わった人の心にそっと変化をもたらしていきます。
果実酒の風味が変わった謎を花の性質から解き明かしたり、王女の心の迷いを一輪の地味な花とともに照らし出したり――どのお話も、植物の知識が自然に織り込まれていて、でも難しさを感じさせません。ただの知識ではなく「わかろうとする気持ち」が、…続きを読む - ★★★ Excellent!!!花にまつわる数々の物語を、主人公は胸に抱いて旅をする
果てのない世界を巡る、不思議な青年・オルオーレンと白猫(?)の旅の物語です。
オルオーレンの目的は世界の植物を採集すること。その旅の先々で彼はいろいろな物語に出会います。
感想:不思議な雰囲気を持つオルオーレンがとても魅力的🥰 彼は出会った人に問いかけます。『この地を象徴する花』、『この地から消えつつある花』、『あなたにとって特別な花』を教えてください、と。
花にまつわる物語は、時には優しく、時には悲しく、残酷な時もあります。
危険な目にあったり、戦闘にもなることがありますが、オルオーレンは冷静に、どこか人間離れした対応を見せます。
彼の美しい容姿や、優雅な物腰、落ち着いた声音で、出会…続きを読む - ★★★ Excellent!!!花を巡り、国を巡り、人々を巡る
旅の道連れは白猫と巨大な本。旅人オルオーレンが世界各地に咲き誇る花々を探求するお話です。
旅で出会った人々と、花を通して、ひとつひとつの物語は様相を大きく変えます。家族思いの優しいお話であったり、皮肉のきいたお話であったり、毒にも薬にもなるお話であったり、ちょっと笑えるお話であったり……決して優しいだけでは終わらない、繊細でどこか考えさせるストーリーが展開されます。それらが緻密な文章で描かれるので、あっという間に読み込んでしまいます。
オルオーレンさん、魅力的で、個人的にもっと掘り下げたくなります。初恋キラーの魔性にあてられちゃったかしら(むふふふふ……)