2025年11月に、プレジデントオンラインで反響の大きかった人気記事ベスト3をお送りします。クマ被害部門の第2位は――。
▼第1位 死んだふりで「片目、片手、片足になりました」…80年間の新聞を分析して判明「人食いグマ」から生き延びる方法
▼第2位 遺体の両目は飛び出し、顔面はグジャグジャ…札幌に現れ、幼児含む4人を食い荒らした「最悪の殺人グマ」の正体
▼第3位 TikTokで子グマへの餌付けを撮影中に、母グマが後ろから現れ…自然をナメた「迷惑観光客」が辿った末路
凶暴なクマ「穴持たず」とは
連日のようにメディアを賑わせているクマ被害。死者12人(10月30日時点、環境省まとめ)を出した全国のクマによる人身被害は、過去最悪を更新することが確実となった。
ただそれも、クマの冬ごもりと同時に終息すると思われる。
クマの冬ごもりは例年、遅くとも12月中旬までには完了するといわれる。
しかし十分なエサが得られなかったり、適当なクマ穴が見つからない、何らかの要因で一度入ったクマ穴を放棄せざるを得ない等の理由で、冬季間も山野を徘徊する個体が稀にいる。このような個体は「穴持たず」といい、空腹を抱えているため極めて凶暴かつ危険とされる。
そして実際に起きた、このような「穴持たず」による凶悪事件が、明治11年に北海道で発生した「丘珠ヒグマ事件」である。
「丘珠ヒグマ事件」は、北海道開拓使の置かれた札幌府の近郊で起こったこともあり、当時の入植者らを震撼させた。また被害者の遺体の一部が、札幌農学校(現北海道大学)付属植物園に長らく陳列されたこともあり、道民の間ではよく知られた事件である。
そのため事件に触れた記録はいくつも残されているが、詳細な資料は乏しい。
明治時代の北海道で発生した「凶悪事件」
本件については拙著『神々の復讐』(講談社)でも取り上げたが、今回新たな資料を入手したので再度検証を試みたい。
まず北海道帝国大学教授、八田三郎による『熊』(明治44年)を引用してみよう。
