JP6784256B2 - 二軸延伸ポリエステルフィルムおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
近年では力学特性や耐衝撃性をより向上したものが求められ、本来のPBT樹脂の特性を引き出すために、PBT樹脂を二軸延伸したフィルムの検討が行われている。
しかしながら、これらの方法で得られた二軸延伸PBTフィルムは、二軸延伸時に幅方向で分子の配向主軸に歪みが生じることに起因して、長手方向に引裂く際に真っ直ぐに引裂くことが出来ないといった問題があった。このためこれらのフィルムで作製された包装袋は、手で開封した際の引裂直進性が悪く、開封した際に内容物の飛散や破損が発生してしまう可能性があった。
本発明は、ポリブチレンテレフタレートを60重量%以上、PBT樹脂以外のポリエステル樹脂として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)などのポリエステル樹脂のほか、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などのジカルボン酸が共重合されたPBT樹脂から選ばれる樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物からからなる二軸延伸ポリエステルフィルムであって、
フィルム幅方向に対して分子鎖主軸のなす角度が30°以下であり、かつ以下の(1)〜(3)の条件を同時に満足することを特徴とする二軸延伸ポリエステルフィルムである。(1)1.610≦Nx≦1.640
(2)1.649≦Ny≦1.670
(3)Nx−Ny≦−0.022
但し、Nxはフィルム長手方向の屈折率であり、Nyはフィルム幅方向の屈折率である。
工程(1);ポリブチレンテレフタレート樹脂を90重量%以上含む熱可塑性樹脂組成物を溶融し、溶融流体を形成する。
工程(2);前記溶融流体からなる理論積層数60以上の積層流体を形成する。
工程(3);前記積層流体を、ダイスから吐出し、冷却ロールに接触させて固化させ積層体を形成する。
工程(4);前記積層体を二軸延伸する。
また本発明においては、ポリエステルエラストマーのような、フィルムの透明性を損なう成分を添加していないので、得られたフィルムは特に優れた透明性を有している。
本発明に用いられるポリエステル熱可塑性樹脂組成物は、PBT樹脂を主たる構成成分とするものであり、PBT樹脂の含有率が60質量%以上が好ましく、さらには70質量%以上が好ましく、さらに90質量%以上が好ましい。60質量%未満であるとインパクト強度および耐ピンホール性が低下してしまい、フィルム特性としては十分なものでなくなってしまう。
主たる構成成分として用いるPBT樹脂は、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸が90モル%以上であることが好ましく、より好ましくは95モル%以上であり、さらに好ましくは98モル%以上であり最も好ましくは100モル%である。グリコール成分として1,4−ブタンジオールが90モル%以上であることが好ましく、より好ましくは95モル%以上であり、さらに好ましくは97モル%以上であり、最も好ましくは重合時に1,4−ブタンジオールのエーテル結合により生成する副生物以外は含まれないことである。
PBT樹脂以外のポリエステル樹脂(B)としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)などのポリエステル樹脂のほか、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などのジカルボン酸が共重合されたPBT樹脂が挙げられる。共重合されたPBT樹脂における共重合成分量はPBT樹脂全体に対して5wt%以上である。しかし、ポリアルキレンオキサイドを含むものは適さない。
ポリエステルフィルムの主配向方向に対する分子鎖主軸の配向角が30°以下であれば、長手方向の直線引裂き性が優れる理由は定かではないが、包装袋にしたときに包装袋を形成する表裏のポリエステルフィルムの分子鎖主軸の配向方向の差を小さくできるので、泣き別れが小さく直線引裂き性に優れると推定している。
従来、分子鎖主軸の配向角が20°を超える現象は、特に逐次二軸延伸方式において、長手方向に延伸した後に、テンターを用いて幅方向に延伸して製膜された場合のクリップに把持された幅方向の端部に近い部分からスリット(切断)されたフィルムに見られることがある。
分子鎖主軸の配向角を小さくするには、フィルム製造工程における縦延伸方向(以下MD)延伸温度を高くする、MD延伸倍率を小さくする、横延伸方向(以下、TD)リラックス率を小さくすることが挙げられる。
また、本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムに他素材の層を積層して良く、その方法として、本発明の二軸延伸ポリエステルフィルムを作成後に貼り合わせるか、製膜中に貼り合わせることできる。
上記を超えるとフィルムに印刷を施した際に、印刷された文字や画像の品位を損ねる可能性がある。
フィルム厚みの上限は好ましくは100μmであり、より好ましくは75μmであり、さらに好ましくは50μmである。100μmを越えると厚くなりすぎて本発明の目的における加工が困難となることがある。
本発明にかかるフィルムを得るための好適な方法のとして、キャスト時に同一の組成の原料を多層化してキャストすることが挙げられる。
PBT樹脂は結晶化速度が速いため、キャスト時にも結晶化が進行する。このとき、多層化せずに単層でキャストした場合には、結晶の成長を抑制しうるような障壁が存在しないために、これらの結晶はサイズの大きな球晶へと成長してしまう。その結果、得られた未延伸シートの降伏応力が高くなり、二軸延伸時に破断しやすくなるばかりでなく、得られた二軸延伸フィルムの柔軟性が損なわれ、耐ピンホール性や耐破袋性が不十分なフィルムとなってしまう。
一方で本発明者らは同一の樹脂を多層積層することで、未延伸シートの延伸応力を低減でき、安定した二軸延伸が可能となることを見出した。
工程(1)と工程(2)、工程(2)と工程(3)の間には、他の工程が挿入されていても差し支えない。例えば、工程(1)と工程(2)の間には濾過工程、温度変更工程等が挿入されていても良い。また、工程(2)と工程(3)の間には、温度変更工程、電荷付加工程等が挿入されていても良い。但し、工程(2)と工程(3)の間には、工程(2)で形成された積層構造を破壊する工程があってはならない。
このとき、未延伸シートの厚みは15〜2500μmの範囲が好適である。
PBT樹脂以外の樹脂としてPET樹脂を使用するときは、PBT樹脂単独の場合よりも高くすることが好ましい。
PBT樹脂以外の樹脂としてPET樹脂を使用するときは、PBT樹脂単独の場合よりも高くすることが好ましい。
本発明の二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムに積層するガスバリア層としては、無機薄膜層は金属または無機酸化物からなる薄膜又はポリ塩化ビニリデン等のバリア樹脂からなるコーティング層が好ましく用いられる。
ガスバリア層の中でも無機薄膜層は金属または無機酸化物からなる薄膜であることが好ましい。無機薄膜層を形成する材料は、薄膜にできるものなら特に制限はないが、ガスバリア性の観点から、酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの混合物等の無機酸化物が好ましく挙げられる。特に、薄膜層の柔軟性と緻密性を両立できる点からは、酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの複合酸化物が好ましい。この複合酸化物において、酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの混合比は、金属分の質量比でAlが20〜70%の範囲であることが好ましい。
Al濃度が20%未満であると、水蒸気バリア性が低くなる場合がある。一方、70%を超えると、無機薄膜層が硬くなる傾向があり、印刷やラミネートといった二次加工の際に膜が破壊されてバリア性が低下する虞がある。なお、ここでいう酸化ケイ素とはSiOやSiO2等の各種珪素酸化物又はそれらの混合物であり、酸化アルミニウムとは、AlOやAl2O3等の各種アルミニウム酸化物又はそれらの混合物である。
これら蒸着原料としては通常粒子が用いられるが、その際、各粒子の大きさは蒸着時の圧力が変化しない程度の大きさであることが望ましく、好ましい粒子径は1mm〜5mmである。
加熱には、抵抗加熱、高周波誘導加熱、電子ビーム加熱、レーザー加熱などの方式を採用することができる。また、反応ガスとして酸素、窒素、水素、アルゴン、炭酸ガス、水蒸気等を導入したり、オゾン添加、イオンアシスト等の手段を用いた反応性蒸着を採用することも可能である。
さらに、被蒸着体(蒸着に供する積層フィルム)にバイアスを印加したり、被蒸着体を加熱もしくは冷却するなど、成膜条件も任意に変更することができる。このような蒸着材料、反応ガス、被蒸着体のバイアス、加熱・冷却などは、スパッタリング法やCVD法を採用する場合にも同様に変更可能である。
JIS−Z−1702準拠の方法で測定した。
得られた全幅4200mmのフィルムのミルロールの端から300mmの位置を端部とし、端部及び中央部から100mm四方の正方形のフィルムサンプルを切り出し、そのフィルムサンプルについて、王子計測器株式会社製、MOA−6004型分子配向計を用いて、フィルム幅方向に対する分子鎖主軸の配向角を測定した。
ロールサンプルから幅方向で10点サンプルを採取した。そのサンプルについてJIS K 7142−1996 5.1(A法)により、ナトリウムD線を光源としてアッベ屈折計によりフィルム長手方向の屈折率(Nx)、幅方向の屈折率(Ny)を測定した。
JIS−K−7105に準ずる方法で、試料をヘイズメーター(日本電色製、NDH2000)を用いて異なる箇所3ヶ所について測定し、その平均値をフィルムの厚みで割った数値を厚みあたりのヘイズ値とした。
直線引裂き性の指標として、以下の方法によりなきわかれ距離を測定した。
(サンプル調製)
得られた全幅4200mmのフィルムのミルロールの端から300mmの位置を端部とし、端部および中央部を引裂き方向(長手方向)に210mm、その直交方向に50mm幅のポリエステルフィルム片を切り出す。このフィルム片の一方の短辺に10mm幅の両面粘着テープを貼り付け、中央線で半折して両短辺を重ね合わせて貼り付け、試験片を得る。次いで、試験片の重ね合わせた短辺側の中央部分(両端から25mm位置)に引裂き方向に30mmの切り込みを入れる。
(測定)
引張試験機(オリエンテック社製テンシロンRTC−1225A)のチャック間距離を50mmにして、サンプルの切り込みで分けられた二つの短辺を各々上および下のチャックに装着する。次いで、1000mm/分の速度でチャックを130mm変位させて引裂く。引裂かれた試験片の紙面表側フィルムの引裂き線と紙面裏側フィルムの引裂き線の引裂き開始点から50mm位置のズレ量をなきわかれ距離とする。各サンプル5回測定して、その平均値を得た。
株式会社東洋精機製作所製のインパクトテスターを用い、23℃の雰囲気下におけるフィルムの衝撃打ち抜きに対する強度を測定した。衝撃球面は、直径1/2インチのものを用いた。単位J/μm。
幅10mm×長さ150mmの寸法のフィルム各5個を縦方向及び横方向から切り出し、試験片とした。
各試験片には,試験片の中央部を中心にして間隔100mm±2mmの標線を付けた。加熱前の試験片の標線の間隔を0.1mmの精度で測定した。
試験片を熱風乾燥機(エスペック社製、PHH−202)内に無荷重の状態で吊り下げ、150℃、15分の加熱条件で熱処理を施した。
試験片を恒温槽から取り出して室温まで冷却した後,初めに測定したときと同じ部分について長さ及び幅を測定した。
各試験片の寸法変化率は,縦方向及び横方向について寸法変化の初期値に対する百分率として計算した。各方向の寸法変化率は,その方向での測定値の平均とした。
本願発明にかかるフィルムを、LLDPEシーラント(東洋紡製L4102、厚み40μm)とドライラミネートしたものを20.3cm(8インチ)×27.9cm(11インチ)の大きさに切断し、その切断後の長方形テストフィルムを、温度23℃の相対湿度50%の条件下に、24時間以上放置してコンディショニングした。しかる後、その長方形テストフィルムを巻架して長さ20.32cm(8インチ)の円筒状にする。
その円筒状フィルムの一端を、ゲルボフレックステスター(理学工業社製、NO.901型)(MIL−B−131Cの規格に準拠)の円盤状固定ヘッドの外周に固定し、円筒状フィルムの他端を、固定ヘッドと17.8cm(7インチ)隔てて対向したテスターの円盤状可動ヘッドの外周に固定した。
可動ヘッドを固定ヘッドの方向に、平行に対向した両ヘッドの軸に沿って7.6cm(3.0インチ)接近させる間に440゜回転させ、続いて回転させることなく6.4cm(2.5インチ)直進させた後、それらの動作を逆向きに実行させて可動ヘッドを最初の位置に戻すという1サイクルの屈曲テストを、1分間あたり40サイクルの速度で、連続して2000サイクル繰り返した。実施は5℃で行った。
しかる後に、テストしたフィルムの固定ヘッドおよび可動ヘッドの外周に固定した部分を除く17.8cm(7インチ)×27.9cm(11インチ)内の部分に生じたピンホール数を計測した(すなわち、497cm2(77平方インチ)当たりのピンホール数を計測した)。
本願発明にかかるフィルムを、LLDPEシーラント(東洋紡製L4102、厚み40μm)とドライラミネートしたものを15cm四方の大きさにカットし、シーラントが内側になるように2枚を重ね合わせ、3方を160℃のシール温度、シール幅1.0cmにてヒートシールすることで内寸13cmの3方シール袋を得た。
得られた3方シール袋に水250mLを充填した後、ヒートシールにて口を閉じ、水の充填された4方シール袋を作製した。
得られた4方シール袋を室温5℃、湿度35%R.H.の環境下、高さ100cmの位置からコンクリート板の上に落下させ、破れやピンホールが発生するまでの落下回数を数えた。
二軸延伸フィルムの製膜性を次の基準で評価した。○および△であれば、生産性が良いと判断した。
○:破断無く製膜でき、連続生産が可能であった
△:製膜性が多少不安定で、稀に破断が発生するが、連続生産可能なレベル。
×:頻繁に破断が発生し、連続生産が困難であった。
(PBT樹脂)
後述する実施例1〜5のフィルム作製において、主原料であるPBT樹脂は1100−211XG(CHANG CHUN PLASTICS CO.,LTD.、固有粘度1.28dl/g)を用いた。
後述する実施例9〜11、比較例5のフィルム作製において、テレフタル酸//エチレングリコール=100//100(モル%)からなる固有粘度0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂を用いた。
一軸押出機を用い、PBT樹脂と不活性粒子として平均粒径2.4μmのシリカ粒子を含むマスターバッチを添加し、滑剤濃度として1600ppmとなるように配合したものを295℃で溶融させた後、メルトラインを12エレメントのスタティックミキサーに導入した。これにより、PBT樹脂溶融体の分割・積層を行い、同一の原料からなる多層溶融体を得た。265℃のT−ダイスからキャストし、15℃の冷却ロールに静電密着法により密着させて未延伸シートを得た。次いで、65℃で縦方向に2.8倍ロール延伸し、次いで、テンターに通して90℃で横方向に4.0倍延伸し、210℃で3秒間の緊張熱処理と1秒間1%の緩和処理を実施した後、両端の把持部を10%ずつ切断除去して厚みが12μmのPBT樹脂フィルムのミルロールを得た。得られたフィルムの製膜条件、物性および評価結果を表1に示した。
実施例1において、原料組成、製膜条件を表1に記載した二軸延伸フィルムに変えた以外は実施例1と同様に行った。
実施例1において、原料組成、製膜条件を表2に記載した二軸延伸フィルムに変えた以外は実施例1と同様に行った。
一軸押出機を用い、表3記載の条件によりフィルムを得た。得られたフィルムの製膜条件、物性および評価結果を表2に示した。
実施例1〜7に記載のPBT樹脂に対して、直線引裂き性を付与するためのポリエステルエラストマー成分として、ポリエステル−ポリエステルブロック共重合体「ペルプレンS1001」(東洋紡社製)を15重量%添加し、表3に記載の条件により製膜を行った。
実施例1において、原料組成、製膜条件を表3に記載した二軸延伸フィルムに変えた以外は実施例1と同様に行った。
Claims (4)
- ポリブチレンテレフタレートを60〜100重量%と、ポリブチレンテレフタレート以外のポリエステル樹脂を40〜0質量%と、を含む熱可塑性樹脂組成物からからなる二軸延伸ポリエステルフィルムであって、
フィルム幅方向に対して分子鎖主軸のなす角度が30°以下であり、かつ以下の(1)〜(3)の条件を同時に満足することを特徴とする二軸延伸ポリエステルフィルム。
(1)1.610≦Nx≦1.640
(2)1.649≦Ny≦1.670
(3)Nx−Ny≦−0.022
但し、Nxはフィルム長手方向の屈折率であり、Nyはフィルム幅方向の屈折率である。 - 上記ポリエステル樹脂は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)、及びジカルボン酸が共重合されたポリブチレンテレフタレートより選択される少なくとも一つである請求項1に記載の二軸延伸ポリエステルフィルム。
- 上記ジカルボン酸は、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、及びセバシン酸より選択される少なくとも一つである請求項2に記載の二軸延伸ポリエステルフィルム。
- フィルムの長手方向およびフィルム幅方向の150℃における熱収縮率が、ともに4.0%以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の二軸延伸ポリエステルフィルム。
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