アメリカの作家ジェームズ.T.ファレル(James T Farrell:1904-79)の「若きロニガン(Young Lonigan:1... アメリカの作家ジェームズ.T.ファレル(James T Farrell:1904-79)の「若きロニガン(Young Lonigan:1932)」という作品は、アイルランド系カトリック教徒の中流家庭での生活について書いている。 ロニガン少年は頭の良い健全な少年だったが、生活の「徹底した退屈さ」の中で次第に残忍な不良へと変貌していく。著者はロニガン少年の成長を描いた3部作で、アメリカの物質文明の「精神的貧困」を批判した。しかし、作品の完成度こそ高いが、精神的に豊かな時代というものが世界史上に一度でも存在したことがあるのか、という疑問が残る。古き良き時代へのノスタルジアでは、犯罪の原因を説明したとは到底いえない。現代を「病んだ時代」と捉える小説は多く、「怒りの葡萄」で有名なスタインベックも「罪のない殺人(Innocent Murders)」や「長い谷間(The Long Valley)
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