子どもの頃から、ずっと気になっていた。阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)の電光掲示板に表示される、あの独特の字体――。よーく見ると、小さなLED電球を点灯させて文字を表現していることが分かる。明朝体でもない、その「甲子園文字」とは? 甲子園球場のスコアボードが「電光式」となったのは1984年。それまでは、職人さんが選手名を書いていた。「バース」「掛布」「岡田」「王」「長嶋」……。当時のものは、甲子園歴史館に展示されている。縦約140センチ、横約67センチの木や鉄製の黒い板に、白色のペンキと筆を使って名前が書かれている。達筆だ。 歴史館の室井康平さん(27)によると、「今の電光掲示板の文字は、これらを基に作られています」。現在スコアボードに映し出される文字は、一般的なパソコンソフトにあるような明朝体ではなく、関係者の間では「甲子園文字」と呼ばれている。 場内アナウンスを担当している満田華奈さん(