AIを引っ提げてやってきた大学院生 学外のとある修士2年生の学生から、研究を評価してほしいと頼まれました。彼がやっているのは、私が専門とする研究分野のある仮説をデータによって検証する内容でした。読んでみたところ、経済学の五大誌は難しいにしても、着眼点、新規性、データの質などから、フイールドトップの学術誌に挑戦できる水準にあると感じました。 驚かされたのは、彼が経済学を専攻する学生ではなく、それどころか経済学をこれまでほとんど学んだことがないという点です。彼の関心は技術の新領域への応用、特に「生成AIの新活用」にあり、専門外である経済学という分野で、AIとの対話だけでどこまでのレベルの研究ができるかを1年間かけて試してみたというのです。研究のアイデア出し、先行研究のレビュー、理論モデルと仮説の構築、データの探索と収集、計量ソフトを用いた分析、図表の作成、英語論文化に至るまで、さまざまなAIツ