前回のエントリーで、ヘアサロンで修行中のK君(24)が閉店後に自分の技術を磨くために終電ギリギリまでがんばっている話を紹介しました。でも休みが月に6回(=週休1.5日)しかない状況のため、毎日終電ではなく、週に何回かは早く上がって息抜きをしています。
とはいえ、息抜きをし過ぎれば、アンダートレーニングに陥ってしまいますので、そのさじ加減をいかに調整するかというセンスが求められます。
アンダートレーニングとオーバートレーニングを避ける
アンダートレーニングについては、『メンタル・タフネス』前半のまとめで以下のように書きました。
一言で言えば、オーバートレーニングにならない程度のギリギリのタフネストレーニングを志向する、ということになります。ちなみに、つまらないと感じられる映画というのは、アンダートレーニングの極みと言えるでしょう。
ところで、習慣が長続きしないのもオーバートレーニングとアンダートレーニングの考え方で説明できます。
例えば、ブログが続かないとしたら、ブログを書く行為が今の自分にとってオーバートレーニングの状態、すなわち耐久可能な限界を超えた負荷がかかっている場合か、ちょっとしたことでブログを書くのをサボってしまい、そのまま復活できずにアンダートレーニングの状態、すなわち負荷から離れてしまっている場合のいずれか、と言えます。
ブログを書くことがタフネストレーニングあるいはメンテナンストレーニングのレベルにセットできていれば、そこにウェーブが生まれ、文字通り継続のための波動が生まれます。
ボートをこいだり、シーソーを動かしたりするときのような書く(負荷)と休む(回復)のリズムに乗ることができるわけです。
K君の場合は、適当に息抜きを挟みながらオーバートレーニングとアンダートレーニングをうまく避けていると言えます。
自分の身体が発するシグナルに素直に耳を傾ける
そうなると、いかに適切なタイミングで回復を挟むかが問題になります。『メンタル・タフネス』によると、それは自分の身体が発するシグナルに素直に耳を傾けることとされています。
食事をとりたい、眠りたい、リラックスしたい、運動したいという衝動は、回復を要求する言葉だ。それはまた、自分の身体の生理機能を垣間見せる窓でもある。この言葉を素直に聞き、理解することを学ぶのは、生命自体のリズムと鼓動を聞くことでもある。
私たちの身体は、意識に向けて絶えずシグナルを発信している。しかし、アルコールやドラッグを受け入れ、感情またはメッセージを無視するかたくなな意志が障壁となり、シグナルが届かない場合もある。人生におけるストレスの量が私たちを圧倒すると、しばしば身体が回復を求め、叫び声をあげていても、それに注意を払ったり耳を傾けることができなくなる。
お腹がすいているのに、仕事のキリがつかないという理由でそのまま続行してしまうことがあります。すると、いつの間にか空腹感が感じられなくなります。
これは、身体が発したシグナルを無視した結果、空腹を満たすことによって得られる回復のチャンスを逸したことになります。
代わりに得られるのは、高い代償。
生命にかかわる多くのことを無視する態度は、しばしば健康、幸福、成果という点において非常に高い代償を払うことになる。私たちの多くにとってその代償は、最も貴重なもの、残りの長い人生すべてである。
他の人が遅くまで残業しているのに、1人だけさっさと帰るメンバーがいると「あいつは甘い」「基準が低い」などと言われることがあります。
とは言え、人それぞれ体力の限界やストレス耐性が異なるので、みんなが残業しているから自分も、というのはナンセンスですし、必要以上に無理をしたことで身体を壊したのでは元も子もありません。
ただし、「今日は疲れているから早く帰ろう」という「自分へのいたわり」は大切ですが、これと「自分に対する甘え」とを明確に区別する必要があります。
さもなければ、ストレスに立ち向かう闘志が失われ、「まぁ、そんなにがんばらなくてもいいか?」というアンダートレーニングに陥ってしまうからです。
また、仕事からの逃避願望、あるいはネガティブな気持ちから「早く帰りたい」という行動が生まれているとすれば、それは別の問題。
まずは自分の気持ちに素直に耳を傾けてみます。
自分の気持ちに敏感になる第一歩は、衝動に従い、やみくもに行動するのではなく、気持ちをコントロールすることだ。私たちは自分の感情を自分にとってプラスに利用したいわけで、その感情によって傷つけられたり、押し潰されたりするような悪い選択を望んでいるわけではない。感情は成果、健康、そして幸福へのカギだ。したがって、人生をコントロールするために、私たちは感情をコントロールすることを学ばなければならない。
(中略)
気持ちや感情はメッセージをうまく伝えるメッセンジャーであるべきで、コントローラーではないことを頭に入れてほしい。気持ちと感情は身体の内部にある目や耳で、成長し、生き延びるために必要なストレスと回復の均衡度を測る計測器である。
「今日は疲れているから早く帰ろう」という意志決定に至るプロセスには2つのルートがあると考えられます。
- 1.これ以上続けるとオーバートレーニングになって、継続に差し支える
- 2.仕事に対してイヤだなーというネガティブな気持ちが生まれつつある
1は身体が意識に向けて発したシグナルですが、2はシグナルに似ていますが1よりも“ワケあり”だと言えます。
「イヤだなー」という慢性的な感情を「今日は疲れている」にすり替えて自分をだましている可能性があるからです。
この“ワケあり”のシグナルについては、また次回に。