吉沢亮が主演する映画『国宝』の興行収入が伸びており、ネット上でもかなり好評であることが確認できる。歌舞伎は日本の伝統芸能とはいえ、敷居が高いと感じる人がいるのも事実。歌舞伎役者の人生を描いたこの映画が、なぜここまで話題を呼んでいるのか。(フリーライター 鎌田和歌)
『フラガール』李相日が監督
「今年の日本アカデミー賞決定」の声も
封切り直後からFacebookで熱い感動を投稿する40〜50代以上を多く見た。SNSでの投稿は口コミとして抜群であるから、友人知人の高評価を見て興味を持った人も少なくないだろう。「パンフレットを買おうと思ったけど完売だった」といった書き込みも目にする。
李相日監督・吉沢亮主演の映画『国宝』は1週目こそ3位スタートだったものの、その後動員を伸ばし、公開3週目の週末3日(6月20日〜22日)で約34万8000人を動員して首位を獲得。これまでの興行収入は21億円となり、今後も伸びると予想されている。
これまで『フラガール』(2006年)や『怒り』(2016年)をヒットさせてきた李監督の最新作であるとはいえ、歌舞伎俳優の人生を描く一作と聞いて見るのを躊躇した人もいるはずだ。歌舞伎を敷居が高いと感じる人は少なくないし、知識がないのに楽しめるのだろうか、と思った人もいるはずだ。
あくまでも筆者の観察範囲の話ではあるが、公開直後はやはり歌舞伎を普段から見に行っている人たちが「待ってました」とばかりに足を運んでいた印象だ。その後、口コミ評価の高さに釣られてそれほど歌舞伎に詳しくない層も関心を持ったように見えた。