M360J
さくら
通称「SAKURA」(サクラ)。
アメリカ合衆国S&W社製M36チーフ・スペシャルの派生型、M360チーフスペシャル・エアライト・スカンジウムの日本警察向け特注モデルとして開発された、.38スペシャル弾5発を装填するリボルバーである。
2006年頃から調達され始め、それまで主流だったS&W社製M37や日本国産のニューナンブM60に代わって配備されつつある。警察拳銃として既にかなりの数が普及しているらしく、街中で見かけるおまわりさんも、現在は基本的に本銃を装備していることが多い。警察以外でも海上保安庁の海上保安官や法務省出入国在留管理庁の入国警備官向けなどに配備されている。
オリジナルのM360との違いとして、左フレームの刻印とグリップの形状、ランヤードリングの有無、フレームをチタンから安価なステンレス鋼へと変更したことなどが挙げられる。使用弾薬も、オリジナルでは高火力の.357マグナム弾を使用できたが、本銃はフレームの変更により使用できなくなっている。
製造は開発元のS&W社が担当し、ランヤードリング追加などのカスタム作業を日本企業ミネベアミツミ社が担当しているとみられる。このため左フレームにはミネベアミツミを意味する「NMB」の刻印が彫られている。たまに勘違いされるが、日本国内でのライセンス生産はしていない(ミネベアミツミ社や国内の官公庁は製造元を明かしていないが、後述の亀裂発見時に「米国製」と報じられたほか、S&W社の過剰生産分がアメリカの民間銃市場に放出されている)。
なお、2000年代末には200丁のフレームに亀裂が見つかったことがあるなど、耐久性を懸念する声も少なくない。しかしこれ以降は問題に関する報道も無くなったことから、何らかの対応策が講じられたと思われ、現在もさらなる調達と配備が進められている。