前回までの工場シリーズでは、筆者の父親が経営していた零細工場を通して、立場の弱い下請け企業の現状... 前回までの工場シリーズでは、筆者の父親が経営していた零細工場を通して、立場の弱い下請け企業の現状を綴ってきた。様々な問題を抱える日本の中小零細企業だが、今回から数回に分け、下請けであるがゆえに生じる社内問題から、家族経営の内情、工場が閉鎖するに至った経緯などを綴っていこうと思う。 2013年の秋、1つの町工場が静かにシャッターを下ろした。倒産したのではなく、意思を持っての廃業だった。 製造大国であるこの国からすると、元々存在していたのか分からないほど極小で、当時の得意先も今頃は取引していたことも忘れているであろう「いち下請け工場」であったが、筆者にとっては幼いころから家庭と変わらないかけがえのない存在だった。今でもあの音、匂い、油にまみれた父親や、彼を必死でサポートする母親の姿を鮮明に思い出すが、それはもう今後、記憶の域を脱することはない。 大学を卒業する頃、訳あって当時夢見ていた道を諦め
記事へのコメント0件
このエントリーにコメントしてみましょう。
注目コメント算出アルゴリズムの一部にLINEヤフー株式会社の「建設的コメント順位付けモデルAPI」を使用しています