結婚相談所には、年齢を問わずさまざまな男女が訪れる。婚活で成功する人、失敗する人の差は何なのか。主宰する結婚相談所でカウンセラーを務めている大屋優子さんは「私のもとに訪れた59歳男性は、極度に“コストパフォーマンス”を重視する人だった。回転寿司でお相手女性が選んだ『皿の色』に文句を言ったときのことは忘れられない」という――。

※なお、本稿は個人が特定されないよう、相談者のエピソードには変更や修正を加えている。

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写真=iStock.com/maruco
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59歳、年収1400万円の男性が訪れた

人生100年時代。結婚してパートナーを見つけたいのは結婚適齢期の人たちばかりではない。60代でも、70代でも、幸せを求めて結婚相談所で婚活するかたは、年々増えている。

「60代でも結婚相談所には登録できるのでしょうか?」という問い合わせは少なくない。結婚相談所は、結婚したいと思えばいくつになっても登録はできる。だが、60歳を過ぎるということは、一般の会社員なら定年退職を迎え、再雇用のタイミングでもある。現役時代の収入よりはぐんと減っているかたが圧倒的で、これからの老後に向けて、計画的に貯蓄や年金で安心した暮らしをと考えているかたが多い。

ずっと独身だった方の中には「今からレベルを下げることはちょっと……」と相手の収入が低いことに拒否感を示す方もいる。だが、「高所得」という条件にこだわってしまうと、お相手はそう簡単には見つからない。

ある日、私の相談所に一流企業に勤務する59歳の男性が訪れた。過去に離婚歴があり、その時点での年収は1400万円だった。

1人で過ごす老後は切ないと思った

彼は、学生時代からお付き合いしていたという女性と20代で結婚。子供を1人授かった。元妻は、いわゆるバリキャリ女性で、育児や家庭を大事にするタイプではなく、何事も優先は仕事。子供の教育を人生の優先事項にしたい彼とは、意見の対立がたびたび起こり、離婚に至る。

その後、子供は彼が引き取り、立派に育て上げた。子供は男の子で、いくら彼の実家の両親がそばにいたとはいえ、男手で育てるのは並大抵の努力ではない。彼は、勤勉で子煩悩。一生懸命育てた息子は優秀な大学を卒業し、就職した。

還暦目前。そこでふと我に返ったときに、このまま1人で過ごす老後は切ないと思ったそうだ。息子はいずれ家庭を持ち、独立して暮らしていくことになるであろう。そうなったときに、仕事もリタイアすれば、生きていく目的が自分にあるのだろうか。今は健康だが、病気もするかもしれない。子供に迷惑をかけるかもしれない。

そうならないためにも、再婚相手を見つけよう。そして、パートナーと旅行をしたり、お互いを思いやりながら、充実した老後を過ごしたい。そう思い、結婚相談所という場所での婚活を始めることにしたそうだ。