さて問題はようやく冒頭の浜田防衛大臣発言になるのだが、上述の通り不利益処分を科す場合には当事者に対して十分な適正手続を保障することが実定法上も行政法の基本原則からも求められるところ、当該発言はそのような手続の保障抜きに実質的に懲戒免職に類似した不利益を当事者に課そうとするものであって、看過できないということになる。適正手続を保障したプロセスが対象者の側の事情によって行えなくなった(たとえば、不正をした職員がその発覚前に辞表を提出し、承認されてしまった)ような事例であればともかく、今回は懲戒処分に至るプロセスを取ることは可能であったし、当事者としてもそれを希望していたわけである。にもかかわらずそれを断念して当然の定年退職という事態に至ったのは防衛省側の事情であり(それがreasonableな選択だったということも上述したのだが)、それによって生じた問題の責任を当事者の側に一方的に押しつけるこ